JP2001099194A - 円筒型磁気カップリング装置 - Google Patents

円筒型磁気カップリング装置

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JP2001099194A JP27984199A JP27984199A JP2001099194A JP 2001099194 A JP2001099194 A JP 2001099194A JP 27984199 A JP27984199 A JP 27984199A JP 27984199 A JP27984199 A JP 27984199A JP 2001099194 A JP2001099194 A JP 2001099194A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の円筒型磁気カップリングでは内輪磁石
と外輪磁石のスラスト方向の正確な位置合わせが必要で
あり、スラスト方向の相対位置のずれが回転力伝達の低
下を招き、また組立に多大の時間を要するなどの課題が
あった。 【解決手段】 外輪磁石3の長さを内輪磁石5よりも長
くすることにより、内輪磁石5、内輪ヨーク6からなる
内輪ユニットが、内輪磁石5のスラスト中心と外輪磁石
3のスラスト中心が一致する位置からスラスト方向の変
位を生じた場合でも、大きさが低下しない回転力の伝達
を行うことができる。また、外輪磁石3の長手方向両端
部分の磁石材質や磁石厚さを適当に選ぶことにより磁石
中央部分より相対的に高磁力にすることで、内外輪のス
ラスト方向位置ずれにより生じるスラスト力を低減する
ことができる。具体的には外輪磁石3の長手方向両端部
分が発生する起磁力を大にすることにより得られるもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気カップリング
装置の構成に関するもので、特に気密封止が困難な装置
等の内部に回転力を非接触で伝達できる円筒型磁気カッ
プリング装置に係わるものである。
【0002】
【従来技術】磁気カップリング装置は機械的なカップリ
ング(継ぎ手)を用いることなく、非接触で被駆動側に
回転力を伝達できるカップリング装置の一種であり、ユ
ニバーサルカップリングなどの機械的なものに比べて機
械部品が少なくまた摩耗部がない等のため、信頼性ある
いは寿命の点で優れている。さらに、磁気的な力を利用
して非接触で動力を伝えられるため、気密シールが困難
な装置の内部に回転力を容易に伝達可能である特長が生
かされ、最近非磁性材などからなる隔壁により分離され
た異なる環境間での回転力伝達に使用されるニーズが多
くなっている。具体的には、ケミカルポンプや真空機器
などがその主用途として挙げられる。その実施形態とし
ては、主として円筒型と円盤型がある。
【0003】円盤型は一組の円盤状磁石を対向して配置
する構成であるため、コンパクトな構成が可能であるこ
とから従来から広く使用されてきた。しかし、伝達すべ
き回転力に関与する回転方向の磁気力ばかりでなく、同
時にスラスト方向の磁気力を伴うため、スラスト軸受け
の負担を増加させるなどの問題があった。このスラスト
方向の磁気力を低減させる方策が考えられているが、か
なり困難な技術的課題である。しかしながら、円筒型は
このようなスラスト方向の磁気力が生じないため、適用
範囲が拡がる等の可能性を持っている。
【0004】さて、従来技術による円筒型磁気カップリ
ング装置を図4に示す。図4は磁気カップリング装置の
主要断面を示しており、非磁性体からなる隔壁4によっ
て内輪ユニット20側と外輪ユニット30側に隔離され
る場合を示す。図では内輪ユニットを真空容器内、また
外輪ユニットを常温常圧環境と便宜上決めたもので、以
下これを例として説明することにする。図の下部側に駆
動モータ8が配せられ、発生する回転力は駆動シャフト
1に直結された外輪ヨーク2と外輪磁石3からなる外輪
ユニット30に伝えられ、更に外輪磁石3と内輪磁石5
の磁力線が隔壁4を通過して相互に作用するため、内輪
ユニット20に結合した負荷シャフト7に回転力が伝達
され、最終的に負荷9が駆動されることになる。図中で
は内輪ユニット側の回転支持機構については図面の簡略
化のため、省略してある。
【0005】図5は磁気カップリング装置のA-A‘断面
である。図に示すように内輪と外輪側は負荷シャフト7
を中心に同心円状に配置された構成である。外輪磁石3
と内輪磁石5は図中に示すように半径方向に同数の磁極
に着磁される。外輪磁石3と内輪磁石5は円筒形状が一
般的であるが、アーク状の磁石で構成することも可能で
ある。図では4極の場合を示すが、さらに多数極でもよ
い。また、磁石の長さは実質的に同じとなっている。外
輪ユニットのヨーク2および内輪ユニットのヨーク6は
それぞれ外輪磁石3と内輪磁石5を保持する機能を持た
せており、通常は磁性体が用いられ磁路の確保と漏洩磁
束の低減する効果がある。しかし、機械的な支持を目的
にするだけならば、非磁性体でも可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来からカップリング
装置の重要な性能であるトルク伝達特性を損なわずに十
分に発揮させるためには、内輪磁石5と外輪磁石3の位
置を合わせを許容精度範囲内に抑える必要があった。し
かしながら、隔壁4が内輪ユニット20側を外輪ユニッ
ト30側から遮蔽するような複雑な構造であるため、多
大な組立工数を要していた。このような従来技術には次
のような課題がある。即ち、内輪磁石と外輪磁石のスラ
スト方向の正確な位置合わせが困難であったことであ
る。従来のカップリング装置では内外輪磁石のスラスト
位置を精度よく合わせる必要があったが、内輪磁石と外
輪磁石の間に隔壁があるため、直接測って位置決めが出
来ずに間接的な方法によるしかなかった。これはスラス
ト方向の正確な位置合わせが容易でないこと、組立に相
当の時間と労力を要すること、あるいは不正確な位置決
めのためカップリング装置の性能を十分引き出せないば
かりか、不要な力の作用により装置にストレスが加わり
寿命などを短くしていた。また、スラスト方向に自由度
を持たせることが難しい構造でもあったため、上記の不
具合は未解決の状態であった。
【0007】例え正確に位置決めがされたとしても、運
転中の温度上昇による伸びあるいは機械的なガタなどが
生じるため、常に内輪磁石と外輪磁石とのスラストの相
対位置は変動して、カップリングの伝達特性は十分に発
揮できていなかった。これは負荷側が室温以上に加熱あ
るいは加熱ー冷却サイクルが繰り返される等の用途の場
合にその問題が顕在化した。
【0008】さらに、従来技術によるカップリング装置
の特性に前述した以外の課題を有していた。内輪磁石ま
たは外輪磁石のどちらか一方がスラスト方向に位置がず
れると、磁石の有効に作用する磁束量が減少するため、
内輪磁石と外輪磁石とのカップリング力が急激に低下し
てしまうことである。しかも、カップリング力の減少に
伴い、逆にスラスト力がほぼ比例して増加することであ
る。この不要なスラスト力は内輪側と外輪側に同時に作
用するため、スラスト軸受けを強化する等の対策が必要
であった。これを怠ると信頼性低下などの原因となって
いた。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願発明者は、長年、磁
石などを有する磁気回路を応用した製品の研究開発に携
わってきた。本願発明は従来の磁気カップリング装置を
新たな分野におけるニーズに対応すべく検討過程で想到
したものである。このニーズとは、単に回転力伝達の機
能のみを発揮すれば足りると言うものでなく、ソフト的
な面を持っている。即ち、組立工数を大幅に低減できる
とともに、使い勝手に優れ使用中のトラブルも解消で
き、同時に安価に製作可能なものである。さらに付け加
えるならば、不要な磁気力を極力抑えられるため、使用
制限が全くない上に設計的な選択範囲を大幅に広めたこ
とである。
【0010】本発明は、内輪磁石または外輪磁石のいず
れか一方を他より長くすることによって従来技術の課題
を解決したものである。また、磁石長が長い磁石に対し
て、両端部を中央部より高磁力化することによってカッ
プリング特性を改善したものであり、それは円筒型磁気
カップリング装置における保有磁気エネルギと磁気力の
関係を考察した結果から想到したものである。カップリ
ング力とスラスト力は磁気カップリング装置が保有する
磁気エネルギに関係しており、その大きさは保有磁気エ
ネルギの仮想変位法によって算定されることは電磁気学
の教えるとことである。この観点から、スラスト変位に
対して磁気エネルギの変化を小さくできると共に、カッ
プリング力を実質的に低下させない構成として前述した
手段を発明したものである。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施例を示すも
のである。また、図2は本発明と従来技術の回転力伝達
特性とスラスト力特性を示すものである。なお、図4に
示す従来例と同一の機能を持つ部分は、同じ符号を使用
している。図1において、外輪磁石3の長さを内輪磁石
5より長くした場合である。内輪磁石5は外輪磁石3に
周りを囲まれたような配置にしてある。このような配置
にすると、図の上下方向であるスラスト方向に内輪ユニ
ットあるいは外輪ユニットのいずれか一方が移動したと
しても、スラスト力の発生は小さく且つその変化量は微
小である。また、外輪磁石と内輪磁石とが相互作用する
磁束量はほとんど変化しないため、カップリング力も一
定値が得られる。これは回転軸に対称に磁束を分布さ
せ、スラスト方向の分布に急激な変化を生じないように
したためである。磁石長さ関係は相対的なもので、いず
れか一方が長ければ本発明の効果が得れ、その差の程度
によって異なることは以下の説明から容易に理解でき
る。
【0012】図2において、横軸は図中の矢印の方向で
あるスラスト方向の変位であり、磁石長中央を原点とし
ている。一方、縦軸は回転力とスラスト力を示すもので
あり、本図においては内輪ユニット側を変位させた場合
である。この磁気力特性は内輪ユニットを変位させた
が、外輪ユニットを変位させても同じである。本発明に
よる実線の磁気力特性と従来の破線で示す特性とを比較
すると、明らかに特性が改善されている。即ち、スラス
ト力およびカップリング力である回転力共に、スラスト
方向に対して変化が小さい。回転力は実質的に一定値の
範囲が広く、またスラスト力の発生は非常に低いことが
わかる。
【0013】図3は本発明の他の実施例を示す。図示す
るように外輪磁石3は中央に配置した磁石32を挟むよ
うに両側に磁石31および33を配した複合構成である。
この時両側に配した磁石31および33による磁力は中
央の磁石32のそれより大きくなるように選ぶ。磁力を
大にする方法は磁石材質の高いものを適用するか、同質
材の磁石の場合は磁石の厚さあるいは長さを適宜選択す
る等が考えられる。この構成にすると、図2に示す回転
力およびスラスト力特性を皿らに改善できる。これはス
ラスト方向の磁束分布をより一層平均化する効果がある
ためである。
【0014】
【発明の効果】本発明により内外輪磁石のスラスト方向
の相対位置がずれた場合においても最大伝達トルクを維
持することができる。これにより、内外輪ユニットの組
立時にスラスト方向の正確な位置合わせが不要になり、
同時にスラスト方向移動の自由度を持たせることができ
るため、適用分野も広がるものである。また、内外輪磁
石のスラスト方向の相対位置がずれた場合に発生する不
要なスラスト力も大幅に低減することが可能となるた
め、装置の信頼性、寿命などを格段に向上できるもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による円筒型磁気カップリング装置断面
図である。
【図2】回転力特性とスラスト力特性である。
【図3】本発明の他の実施例である。
【図4】従来技術による円筒型磁気カップリング装置断
面図である。
【図5】従来の円筒型磁気カップリングの断面図であ
る。
【符号の説明】
1 駆動シャフト、2 ヨーク、3 外輪磁石、4 隔
壁、5 内輪磁石、6 ヨーク、7 負荷シャフト、8
駆動モータ、20 内輪ユニット、30 外輪ユニッ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒状の内輪磁石をヨークに固着した内
    輪ユニットに非磁性の隔壁を中間に介在させ、ヨークに
    外輪磁石を固着した外輪ユニットを前記内輪ユニットに
    同心的に配することにより、前記内輪ユニットと外輪ユ
    ニット間で非接触で回転力の伝達を行い、前記隔壁によ
    って内輪と外輪側とが隔離されている円筒型磁気カップ
    リング装置において、前記内輪ユニットまたは外輪ユニ
    ットの少なくともいずれか一方がスラスト方向にずれて
    も伝達する回転力は実質的に減少しないことを特徴とす
    る円筒型磁気カップリング装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記内輪および外輪
    ユニットが形成する磁気回路の保有する磁気エネルギは
    スラスト方向のずれに対して実質的に変化しない構成で
    あることを特徴とする円筒型磁気カップリング装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2のいずれかにおいて、
    前記内輪若しくは外輪磁石の長さはいずれか一方が長い
    ことを特徴とする円筒型磁気カップリング装置。
  4. 【請求項4】 請求項3において、磁石長が長い前記内
    輪あるいは外輪磁石のいずれかは両端側に中央より高い
    磁力を発生する複合させた構成であることを特徴とする
    円筒型磁気カップリング装置。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102007059933B3 (de) * 2007-12-12 2009-07-09 Flück, Anton Vorrichtung zum Bremsen und Kuppeln mit berührungsloser Kraftübertragung
JP2010154722A (ja) * 2008-12-26 2010-07-08 Panasonic Electric Works Co Ltd トルク伝達装置
JP2014025207A (ja) * 2012-07-24 2014-02-06 Lixil Corp 給排水装置
CN106122486A (zh) * 2016-09-09 2016-11-16 广西科技大学 一种增加磁力密封装置转矩的方法
KR101803954B1 (ko) * 2016-09-30 2017-12-01 한국파워트레인 주식회사 차량용 토크 컨버터
CN111478550A (zh) * 2020-04-01 2020-07-31 南宁学院 磁力联轴器

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