JP4232329B2 - ステッピングモータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロータに磁石を有するステッピングモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ステッピングモータはディジタル制御方式のマイコン制御に適したアクチュエータとして、情報関連機器やOA機器に広く用いられている。
【0003】
特に光メディアドライブのフィード用アクチュエータとして、ステッピングモータが持つ、高速応答性、高制御性を応用し、次第に利用されてきている。また、ステッピングモータは、安価な構成にて制御回路が組めるため、今後、この分野の用途は急増することが予想される。
【0004】
また、上記情報機器では、携帯用機器に代表されるように小型化が進んでおり、これらの用途に使われるステッピングモータには、小径化が要求される。以下、図面を参照しながら、上述した従来のステッピングモータの一例について説明する。
【0005】
図9は従来のステッピングモータの断面図を示すものである。同図において、31はロータ部であり、永久磁石32はシャフトに取り付けられている。永久磁石32の外周面は、円周方向に多極着磁されている。ステータのヨークは内ヨーク34と外ヨーク35とに別れており、内ヨーク34と外ヨーク35とは、それぞれ歯部37にてギャップ33を介し永久磁石32と対向している。また、内ヨーク34と外ヨーク35とは、コイル36を取り囲むように磁気的閉ループを、内ヨーク34と外ヨーク35とで一組のヨーク対を構成しており、内ヨーク34と外ヨーク35とは、電気角で180度の位相差を持っている。さらに、上記ヨーク対は、二組にあり、永久磁石12の両側の軸方向から永久磁石32をはさむように配置してあり、この二組のヨーク対の位相差を電気角で90度の位相差にした位置に配置されている。
【0006】
以上のように構成されたステッピングモータについて、その動作を説明すれば、ステータコイルを順次通電し極性を変えながら通電することにより、ロータ磁石はステータヨークの歯と歯とが各々電気角で90°ずつ回転することになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の構造では、ステータコイルが磁石と同一軸上に配置されるため、ステータヨークの磁路長が長くなり、漏れ磁束が増加し、モータのトルクが必然的に減少するという欠点を有していた。特に、ステッピングモータが小型化するに伴い、トルクを発生させる磁気回路の領域が極端に狭くなるために、トルクの減少が顕著になる根本的な問題が生じる。よって、磁気回路の効率向上は、小径のステッピングモータには必要不可欠な技術課題である。
【0008】
また、内ヨークと外ヨークの歯部が軸方向に長くなるため、前記歯部の根元付近に荷重がかかりやすく、前記歯部の強度が弱くなる機械的な課題があった。また、この強度不足が生じると、組立時に不慮の外力が加わると容易に変形し、前記歯部の位置精度が損なわれる弊害もあった。
【0009】
また、従来の二組のステータヨークどうしが直接接触するステッピングモータにおいても小型化、小径化が進むにつれ同様の課題がある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、ロータ磁石の外周部に配置された内ヨークの歯部と電気角で180度の位相差を持つ歯部を有する外ヨークとを持ち、ステータコイルをロータ磁石の外周側に対向配置させないステッピングモータにおいて、あるいは、ロータ磁石の外周部に配置された内ヨークの歯部と電気角で180度の位相差を持つ歯部を有する外ヨークとを持ち、ステータコイルをロータ磁石のスラスト軸に沿った横側に配置したステッピングモータにおいて、内ヨークと外ヨークの歯部の径方向の厚さは、歯部内の磁束量が先端部より根元部の方が多くなるように先端部が根元部より薄い形状とし、これに対向するロータ磁石の外径は、回転軸方向において中央部より両端の方が小径としている。
【0011】
上記手段によって、モータの外寸を大きくすることなく、漏洩磁束を削減し磁気回路内の発生磁束を有効に利用することができ、モータのトルクを増加することができる。また、歯部の強度を高めることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
上記の課題を解決するために本発明は、内ヨーク・外ヨークの歯部の径方向の厚さは、歯部内の磁束量が先端部より根元部の方が多くなるように先端部が根元部より薄い形状とし、ロータ磁石の外径は、回転軸方向において中央部より両端の方が小径としたものである。
【0013】
また、内ヨーク・外ヨークの歯部の回転方向の角度幅は、先端部が根元部より細い形状になっている。
【0014】
このように、歯部の厚さを径方向に変化させ、かつ、磁石の外径が、回転軸方向において中央部より両端の方が小さな径になっているものでは、ギャップ長を均一にでき、磁石の磁束の発生効率を高め、トルクを大きくできるとともに、歯部の強度を高め、前記歯部の位置精度を高めることができる。
【0015】
また、歯部の角度幅を回転方向に変化させたものでは、磁気飽和を解消し磁気回路の効率を向上しつつ、磁気抵抗の変化を緩やかにでき、ディテントトルクを低減できる。
【0016】
【実施例】
(実施例1)
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0017】
図1において、11はロータ部であり、永久磁石12はシャフトに取り付けられている。永久磁石12の外周面は、円周方向に多極着磁されている。ステータのヨークは内ヨーク14と外ヨーク15とに別れており、内ヨーク14と外ヨーク15とは、それぞれ歯部17にてギャップ13を介し永久磁石12と対向している。また、内ヨーク14と外ヨーク15とは、コイル16を取り囲むように磁気的閉ループを、内ヨーク14と外ヨーク15とで一組のヨーク対を構成しており、内ヨーク14と外ヨーク15とは、電気角で180度の位相差を持っている。さらに、上記ヨーク対は、二組にあり、永久磁石12の両側の軸方向から永久磁石12をはさむように配置してあり、この二組のヨーク対の位相差を電気角で90度の位相差にした位置に配置されている。
【0018】
内ヨーク14と外ヨーク15との歯部17は、図2に示すように先端の方が径方向の肉厚と比べ徐々に薄くなっており、歯部17は厚肉部17aと薄肉部17bとを有する。
【0019】
以上のように構成された本実施例におけるステッピングモータの磁気回路について説明する。
【0020】
図3に示すように永久磁石12から、発生した磁束はギャップ13を通り、歯部17に流れる。歯部17は、永久磁石12と面している範囲で永久磁石12から磁束が流入する。よって、図3に示すように歯部17内の磁束量は、歯部17の先端の薄肉部17bより歯部17の根元の厚肉部17aの方が多くなることになる。
【0021】
永久磁石12の磁束を漏れることなくコイル16と鎖交させるためには、歯部における磁気飽和を回避する必要がある。よって、本実施例のごとく、歯部の根元付近を厚肉にすることで、根本的に歯部に磁気飽和は生じず、歯部全体で集めた永久磁石の磁束を漏らすことなく、ステッピングモータのトルクに寄与させることができ、無駄のない高効率な磁気回路を得ることができる。また、永久磁石12の外径をヨークの歯部17の内径に合わせて変化させているため、平均ギャップ長を小さく、かつ回転軸方向に関してギャップが一定にでき、永久磁石の発生磁界の利用効率を高めることができる。
【0022】
また、歯部に厚肉部を設けることで、歯部全体の強度を高めることができる。本実施例では、コイルを磁石の両側の軸方向に配置していることから、内ヨークと外ヨークの歯部が軸方向に長くなってしまうために、前記歯部の根元付近に荷重がかかりやすい構造になっていた。しかし、歯部の最も荷重がかかる部分を厚肉部にすることで、歯部全体の強度を高くできる。また、この強度不足が生じると、組立時に不慮の外力が加わると容易に変形し、前記歯部の位置精度が損なわれる弊害もあったが、このような問題も根本的に解決できる。
【0023】
なお、歯部の形状は、薄肉部と厚肉部とが設けられていれば、特に限定されるものではない。例えば、歯部の形状は、図4に示すように歯部の一部のみ厚くしていく構造でも構わない。この場合、歯部薄肉部は、歯部が磁気飽和しない範囲である必要があることは言うまでもない。
【0024】
また、図5に示すように、歯部の形状は曲線状に根元ほど厚くなる構造でも構わない。
【0025】
(実施例2)
本実施例では、図6に示すように内ヨークおよび外ヨークの歯部20、21の回転方向の角度幅は、先端部20b、21bが根元部20a、21aより細い形状になっている。よって、実施例1と同様に、歯部の根元付近を厚肉にするため、歯部に磁気飽和は生じず、歯部全体で集めた永久磁石の磁束を漏らすことなく、ステッピングモータのトルクに寄与させることができ、無駄のない高効率な磁気回路を得ることができる。
【0026】
なお、歯部の形状は、薄肉部と厚肉部とが設けられていれば、特に限定されるものではない。例えば、歯部の形状は、図7に示した歯部22のように曲線上に厚くなっていてもよい。この場合、歯部は磁石の磁束を流すのに必要な断面積を確保しつつ、円周方向の磁気抵抗の変化を緩やかにすることができ、ディテントトルクの増加を抑制することができる。
【0027】
また、歯部の形状は、図8に示した歯部23のように一部のみ厚くしていく構造でも構わない。この場合、歯部薄肉部は、歯部が磁気飽和しない範囲である必要があることは言うまでもない。
【0028】
【発明の効果】
上記実施例の記載から明らかなように、請求項1あるいは請求項2に記載の発明によれば、歯部の根元付近を厚肉にすることにより、歯部に磁気飽和は生じず、歯部全体で集めた永久磁石の磁束を漏らすことがなくなり、無駄のない高効率な磁気回路を得ることができ、ステッピングモータのトルクを大きくすることができる。
【0029】
また、歯部に厚肉部を設けることで、歯部全体の強度を高めることができ、この強度アップにより、組立時の不慮の外力による変形を防ぎ、歯部の位置精度を確保できる。
【0030】
また請求項3に記載の発明によれば、平均ギャップ長を小さくかつ回転軸方向にギャップ長を均一にでき、永久磁石の発生磁界に利用効率をさらに高めることができる。
【0031】
なお、上記した効果の他に、請求項1あるいは請求項2記載の発明と同様な効果を有していることは言うまでもない。
【0032】
また、請求項4に記載の発明によれば、円周方向の磁気抵抗な変化を緩やかにすることができ、ディテントトルクの増加を抑制することができる。
【0033】
なお、上記した効果の他に、請求項1あるいは請求項2記載の発明と同様な効果を有していることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示すモータの構造図
【図2】本発明の第1の実施例における歯形状の詳細図
【図3】本発明の第1の実施例における磁束の流れを示す説明図
【図4】本発明の第1の実施例における他の歯形状の例を示す説明図
【図5】本発明の第1の実施例における他の歯形状の例を示す説明図
【図6】本発明の第2の実施例を示す歯部の構造図
【図7】本発明の第2の実施例における他の歯形状の例を示す説明図
【図8】本発明の第2の実施例における他の歯形状の例を示す説明図
【図9】従来のモータの形態を示す説明図
【符号の説明】
11 ロータ
12 永久磁石(ロータ磁石)
13 エアギャップ
14 内ヨーク
15 外ヨーク
16 コイル部(ステータコイル)
17、18、19、20、21、22、23 歯部
17a、18a、19a、20a、21a、22a、23a 厚肉部(根元部)
17b、18b、19b、20b、21b、22b、23b 薄肉部(先端部)
Claims (4)
- ステータコイルと、ロータ磁石と、ロータ磁石の外周部に歯部を有する内ヨークと、内ヨークの歯部と電気角で180度の位相差を持つ歯部を有する外ヨークとを持ち、ステータコイルをロータ磁石の外周側に対向配置させず、さらにステータコイルを取り囲むように磁気的閉ループを、内ヨークと外ヨークとで一組のヨーク対を構成し、かつ二組のヨーク対の位相差を電気角で90度の位相差にしたステッピングモータであって、
すべての内ヨーク、外ヨークの歯部の径方向の厚さは、歯部内の磁束量が先端部より根元部の方が多くなるように先端部が根元部より薄い形状とし、
ロータ磁石の外径は、回転軸方向において中央部より両端の方が小径としたステッピングモータ。 - ステータコイルと、ロータ磁石と、ロータ磁石の外周部に歯部を有する内ヨークと、内ヨークの歯部と電気角で180度の位相差を持つ歯部を有する外ヨークとを持ち、ステータコイルをロータ磁石のスラスト軸に沿った横側に配置し、さらにステータコイルを取り囲むように磁気的閉ループを、内ヨークと外ヨークとで一組のヨーク対を構成し、ヨーク対二組をロータ磁石の両側の軸方向から磁石をはさむように配置し、かつ二組のヨーク対の位相差を電気角で90度の位相差にしたステッピングモータであって、
すべての内ヨーク、外ヨークの歯部の径方向の厚さは、歯部内の磁束量が先端部より根元部の方が多くなるように先端部が根元部より薄い形状とし、
ロータ磁石の外径は、回転軸方向において中央部より両端の方が小径としたステッピングモータ。 - ロータ磁石とヨーク対とのエアギャップ長は均一である請求項1または請求項2記載のステッピングモータ。
- すべての内ヨーク、外ヨークの歯部の回転方向の角度幅は、先端部が根元部より細い形状になっている請求項1または請求項2記載のステッピングモータ。
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