JP2001098974A - 火花点火式直噴エンジンの制御装置 - Google Patents

火花点火式直噴エンジンの制御装置

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JP2001098974A JP28069699A JP28069699A JP2001098974A JP 2001098974 A JP2001098974 A JP 2001098974A JP 28069699 A JP28069699 A JP 28069699A JP 28069699 A JP28069699 A JP 28069699A JP 2001098974 A JP2001098974 A JP 2001098974A
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    • F02D41/0285Introducing corrections for particular conditions exterior to the engine in relation with the state of the exhaust gas treating apparatus to purge or regenerate the exhaust gas treating apparatus the exhaust gas treating apparatus being a SOx trap or adsorbent

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  • Control Of Throttle Valves Provided In The Intake System Or In The Exhaust System (AREA)
  • Exhaust Gas After Treatment (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 火花点火式直噴エンジンにおいて、高回転高
負荷側の運転領域で排気温度の上昇を抑制して信頼性を
確保しつつ、高速燃費を大幅に改善することができるよ
うにする。 【解決手段】 排気通路に触媒17を備えるとともに、
燃焼室に直接燃料を噴射する燃料噴射弁10を備えたエ
ンジンにおいて、エンジン制御用のECU25に設定手
段26及び空燃比制御手段29を備える。設定手段26
は、エンジンの高回転高負荷側に空燃比を理論空燃比よ
りも小さい値とするエンリッチ領域を設定し、このエン
リッチ領域よりも低回転側ないし低負荷側に空燃比を理
論空燃比とする理論空燃比領域を設定するとともに、こ
の理論空燃比領域とエンリッチ領域との間に、空燃比を
理論空燃比よりも大きい値とするリーン領域を設定す
る。空燃比制御手段29は、上記設定に基づいて空燃比
を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃焼室に直接燃料
を噴射する燃料噴射弁を備えるとともに、エンジンの排
気通路に触媒を備えた火花点火式直噴エンジンの制御装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば特開平11−36959号
公報に示されるように、燃焼室内に燃料を直接噴射する
燃料噴射弁を備えるとともに、エンジンの低回転低負荷
側の特定運転領域では圧縮行程中に燃料を噴射して層状
燃焼(成層燃焼)を行わせ、それ以外の運転領域では吸
気行程で燃料を噴射して予混合燃焼(均一燃焼)を行わ
せるように制御する制御手段を設けたものが知られてい
る。
【0003】この種のエンジンでは、均一燃焼を行わせ
る運転領域のうちで高回転高負荷側の領域がエンリッチ
領域とされるとともに、この領域より低回転低負荷側の
領域が理論空燃比領域とされている。そして、理論空燃
比領域では、空燃比が理論空燃比となるように燃料噴射
量及び吸入空気量が制御されることにより、要求に見合
う出力が得られるとともに排気通路中の触媒による排気
浄化性能が高められてエミッションが良好に保たれ、ま
た、エンリッチ領域では、燃料噴射量が増量されて空燃
比が理論空燃比よりもリッチとされることにより、出力
が高められるとともに、過剰燃料の熱容量及び気化潜熱
により排気温度の上昇が抑制され、排気通路中に設けら
れている触媒の過熱等が防止されて信頼性が確保される
ようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の装
置によると、エンリッチ領域では過剰に燃料が供給され
て燃料消費量が多くなるので、高速燃費(高回転側の運
転領域における燃費)の改善のためにはエンリッチ領域
をできるだけ小さくすることが望ましい。しかし、エン
リッチ領域を縮小してその分だけ理論空燃比とされる運
転領域を高負荷高回転側に拡張すると、理論空燃比では
発熱量が高くて排気温度が上昇し易くなるので、信頼性
の面で好ましくない。
【0005】本発明は、上記の事情に鑑み、高回転高負
荷側の運転領域で排気温度の上昇を抑制して信頼性を確
保しつつ、高速燃費を大幅に改善することができる火花
点火式直噴エンジンの制御装置を提供することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、排気通路に触媒を備えるとともに、燃焼
室に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備えた火花点火式
直噴エンジンにおいて、エンジンの高回転高負荷側に空
燃比を理論空燃比よりも小さい値とするエンリッチ領域
を設定し、このエンリッチ領域よりも低回転側ないし低
負荷側に空燃比を理論空燃比とする理論空燃比領域を設
定するとともに、この理論空燃比領域とエンリッチ領域
との間に、空燃比を理論空燃比よりも大きい値とするリ
ーン領域を設定する設定手段と、この設定手段による設
定に基づいて空燃比を制御する空燃比制御手段とを備え
たものである(請求項1)。
【0007】この発明によると、上記リーン領域では、
吸入空気量が多くされて空燃比がリーンとされることに
より、過剰に存在する空気の熱容量で排気温度の上昇を
抑制する作用が得られ、触媒の過熱が防止される。しか
も、空燃比がリーンにされることにより燃焼効率が高め
られて燃費が改善され、特に、エンリッチ領域に隣接し
て比較的高回転側にリーン領域が設定されることによ
り、エンリッチ領域が可及的に小さくされ、高速燃費が
改善される。
【0008】この発明において、上記燃料噴射弁に対す
る燃料供給系統に、エンジンで駆動されて少なくとも上
記リーン領域で4MPa以上の燃圧を生成する高圧燃料
ポンプを設ければ(請求項2)、燃料噴射弁に圧縮行程
噴射が可能な程度の燃圧が与えられる。このようにエン
ジン駆動の高圧燃料ポンプを設けた場合、エンジン回転
数の上昇につれて高圧燃料ポンプの駆動抵抗が増大する
ことにより高速燃費の改善が妨げられる傾向があるが、
上記のように比較的高速側の領域でリーン運転が行われ
ることにより、上記傾向が是正される。
【0009】上記空燃比制御手段は、急加速時には上記
リーン領域でも空燃比を理論空燃比以下に制御するよう
になっていること(請求項3)が好ましい。このように
すれば上記リーン領域でも加速性能の低下が防止され
る。
【0010】また、排気通路に設けられた触媒は、空燃
比が理論空燃比より大きいリーン運転状態のときにもN
Ox浄化性能を有するリーンNOx触媒からなるもので
あること(請求項4)が好ましく、このようにすればリ
ーン運転状態のときにも排気浄化が良好に行われる。
【0011】上記リーンNOx触媒は酸素過剰雰囲気で
NOxを吸収して酸素濃度が減少するに伴いNOxを放
出するようになっている場合、このリーンNOx触媒が
NOx吸収性を阻害する所定の硫黄吸収状態となったと
きにリーンNOx触媒から硫黄を脱離させる制御を行う
触媒再生制御手段を備えるとともに、上記リーン領域で
リーンNOx触媒から硫黄を脱離させる制御が行われる
ときは空燃比を理論空燃比以下に変更するようになって
いること(請求項5)が好ましい。このようにすると、
上記リーン領域でも、触媒温度を上昇させること等によ
るリーンNOx触媒からの硫黄の脱離が良好に行われ
る。
【0012】NOx触媒から硫黄を脱離させる制御とし
て、燃焼室内の空燃比を理論空燃比よりも小さい値に制
御するとともに、排気通路に2次エアを供給するように
してもよい(請求項6)。このようにすると、触媒温度
の上昇が促進されることで硫黄の脱離が効果的に行われ
る。
【0013】また、加速時においてNOx触媒から硫黄
を脱離させる制御が行われるときに、上記リーン領域で
空燃比を理論空燃比に変更するようにしてもよい(請求
項7)。このようにすると、加速性が確保されるととも
に、硫黄の脱離も良好に行われる。
【0014】上記理論空燃比領域のうちの高回転側の領
域で、上記燃料噴射弁からの燃料噴射を吸気行程で分割
して行わせるようにしてもよい(請求項8)。このよう
にすると、理論空燃比領域のうちの高回転側の領域で
は、吸気行程の分割噴射により、燃料の分散及びミキシ
ングが促進されるため燃焼効率が高められて燃費が改善
されるとともに、燃焼効率が高められることに伴い排気
温度の上昇を抑制する作用も得られる。
【0015】このようにする場合にさらに、少なくとも
燃料噴射を吸気行程で分割して行わせる運転領域で、排
気系から吸気系への排気ガスの還流を行わせるようにす
れば(請求項9)、排気ガスの還流によっても排気温度
の上昇を抑制する作用が得られる。
【0016】また、上記触媒は、排気マニフォールドに
接続された上流側排気管より下流に配置されていること
(請求項10)が好ましく、このようにすれば触媒が排
気通路の比較的下流側に配置されることによっても触媒
温度の上昇を軽減する作用が得られる。
【0017】また、電気的な駆動手段により駆動されて
吸入空気量を調節するスロットル弁を備え、上記空燃比
制御手段はこのスロットル弁と上記燃料噴射弁からの燃
料噴射量とを制御することにより空燃比を制御するよう
になっていること(請求項11)が好ましい。このよう
にすると、運転領域に応じて空燃比を変更する制御が効
果的に行われる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づ
いて説明する。◇図1は本発明が適用される火花点火式
直噴エンジンの全体構造を概略的に示したものである。
このエンジンは、自動車に搭載されるガソリンエンジン
であって、エンジン本体1と、これに接続された吸気通
路2及び排気通路3を有している。上記エンジン本体1
は複数の気筒を有し、各気筒には、そのシリンダボアに
挿入されたピストン4の上方に燃焼室5が形成されてお
り、この燃焼室5に対し、吸気ポート及び排気ポートを
開閉する吸気弁17及び排気弁18が配設されるととも
に、燃焼室5の頂部に点火プラグ9が設けられている。
【0019】さらに、燃焼室5内に燃料を直接噴射する
燃料噴射弁10が燃焼室5の周辺部に設けられている。
また、上記ピストン4の頂部に凹状のキャビティ6が設
けられている。そして、後述する成層燃焼時には、ピス
トン4が上死点に近い位置となる圧縮行程後半に燃料が
上記燃料噴射弁10からキャビティ6に向けて噴射され
キャビティ6で反射されて点火プラグ9付近に達するよ
うに、燃料噴射弁10の位置及び方向とキャビティ6の
位置と点火プラグ9の位置との関係が予め設定されてい
る。
【0020】上記燃料噴射弁10には燃料供給通路11
を介して高圧燃料ポンプ12が接続されている。この高
圧燃料ポンプ12は、エンジンにより駆動され、燃料噴
射弁10に圧縮行程中期以降の噴射が可能な程度の燃圧
を与え得るようになっており、具体的には少なくともリ
ーン領域で4MPa以上の燃圧を生成するようになって
いる。
【0021】上記吸気通路2には、サージタンク13が
設けられるとともに、その上流側に、燃焼室内に導入さ
れる吸気量を調節するスロットル弁14が設けられてい
る。このスロットル弁14は、空燃比変更時等における
吸入空気量のコントロールを有効に行い得るように電気
駆動式とされ、つまり制御信号に応じて作動する電気的
なアクチュエータ15により駆動されるようになってい
る。
【0022】また、上記排気通路3には、排気ガスの空
燃比を検出するO2センサ10が配設されるとともに、
エンジンの排気マニホールドに接続された上流側排気管
より下流側に、排気ガスを浄化する触媒17が配設され
ている。この触媒17は、三元触媒により構成してもよ
いが、空燃比をリーンにして成層運転を行う場合の浄化
性能を高めるため、空燃比が理論空燃比よりもリーンな
条件下にある場合でもNOxを効果的に浄化することが
できる触媒を用いることが望ましい。当実施形態では、
酸素過剰雰囲気で排気ガス中のNOxを吸収し、空燃比
がリーンからリッチ側に変化して酸素濃度が低下したと
きに、吸収していたNOxを放出するとともに、雰囲気
中に存在するCO等の還元材によりNOxを還元させる
ようになっているリーンNOx触媒が用いられている。
【0023】なお、このようなリーンNOx触媒であっ
ても、浄化性能が最も高められるのは理論空燃比付近で
ある。
【0024】上記排気通路3と吸気通路2との間には、
排気ガスの一部を吸気系に還流させるEGR装置(排気
還流装置)が設けられ、このEGR装置は、排気通路3
と吸気通路2とを接続するEGR通路18と、このEG
R通路18に介設されたEGR弁19とを備えている。
【0025】上記エンジンには、上記O2センサ10の
他、吸気通路2内を通過する吸気の流量を検出するエア
フローセンサ21、アクセル開度(アクセル操作量)を
検出するアクセル開度センサ22、エンジン回転数の検
出等のためにクランク角を検出するクランク角センサ2
3等の各種センサ類が装備され、これらの検出信号がエ
ンジンコントロールユニット(ECU)25に入力され
るようになっている。
【0026】上記ECU25は、空燃比制御の領域を設
定する設定手段26と、燃料噴射制御手段27及びスロ
ットル制御手段28により構成される空燃比制御手段2
9と、運転状態検出手段30と、触媒再生制御手段31
とを含んでいる。
【0027】上記設定手段26は、空燃比制御の領域を
図2に示すように設定している。すなわち、エンジンの
低回転低負荷側の所定範囲の運転領域は、後に詳述する
圧縮行程噴射により成層燃焼を行わせる成層燃焼領域A
とし、この領域より高負荷側及び高回転側の領域は、後
に詳述する吸気行程噴射により均一燃焼を行わせる均一
燃焼領域としている。さらにこの均一燃焼領域におい
て、エンジンの高回転高負荷側に空燃比を理論空燃比よ
りも小さい値(つまり空気過剰率λをλ<1)とするエ
ンリッチ領域Dを設定し、このエンリッチ領域Dよりも
低回転側ないし低負荷側に空燃比を理論空燃比(つまり
λ=1)とする理論空燃比領域Bを設定するとともに、
この理論空燃比領域Bとエンリッチ領域Dとの間に、空
燃比を理論空燃比よりも大きい値(つまりλ>1)とす
るリーン領域Cを設定している。
【0028】つまり、上記エンリッチ領域Dは最大負荷
付近の高負荷領域と最高回転数付近の高回転領域とにわ
たって設定され、理論空燃比領域Bは概ね低速領域の中
負荷領域と中回転領域の低中負荷領域とにわたって設定
され、リーン領域Cは理論空燃比領域Bとエンリッチ領
域Dとの間の、比較的高回転側の領域に設定されてい
る。
【0029】上記燃料噴射制御手段27は燃料噴射弁1
0からの燃料噴射量及び噴射時期を制御し、スロットル
制御手段28はアクチュエータ15を制御することによ
りスロットル弁14の開度を制御するものである。そし
て、これら燃料噴射制御手段27及びスロットル制御手
段28により構成される空燃比制御手段29は、上記設
定手段26による設定に基づき、成層燃焼領域Aでは、
空燃比を理論空燃比よりも大幅に大きいリーン状態(λ
>1)とするように吸入空気量(スロットル開度)及び
燃料噴射量を制御するとともに、圧縮行程で燃料噴射弁
10から燃料を噴射させることにより成層燃焼を行わせ
るように制御する。また、均一燃焼領域では、吸気行程
で燃料噴射弁10から燃料を噴射させることにより均一
燃焼を行わせるようにしつつ、領域B,C,Dに応じて
設定された空燃比となるように吸入空気量(スロットル
開度)及び燃料噴射量を制御する。
【0030】上記運転状態検出手段30は、クランク角
センサ22の信号に基づいて求められるエンジン回転数
及びアクセル開度センサ23の信号等から求められるエ
ンジン負荷により運転状態を検出する。そしてこの検出
に基づき、現在の運転状態が図2のマップ中のどの運転
領域に属するかの判定が行われるとともに、加速状態の
判別が行われる。
【0031】また、上記触媒再生制御手段31は、触媒
17がNOx吸収性を阻害する所定の硫黄吸収状態とな
ったときに触媒17から硫黄を脱離させる再生制御を行
う。
【0032】つまり、前述のリーンNOx触媒は、燃料
やエンジンオイルに硫黄成分が含まれている場合に、排
気中のNOxを吸収するよりも排気中の硫黄酸化物(S
Ox)を吸収し易いという性質を有し、硫黄によって被
毒されたリーンNOx触媒はNOx吸収性が大きく低下
する。そして、このように硫黄によってリーンNOx触
媒が被毒されたときは、触媒温度を高くするとともに排
気中のCOの量を増加させることによって触媒から硫黄
を脱離させることが可能である。
【0033】そこで触媒再生制御手段31は、例えば運
転状態に応じてマップ等から求められる単位時間当たり
の硫黄吸収量を積算すること等により触媒17の硫黄吸
収状態を調べ、所定の硫黄吸収状態となったとき、空燃
比をリッチ化しつつ排気温度を上昇させるような制御に
よって触媒17から硫黄を脱離させるものであり、リー
ン領域Cにおいて所定の硫黄吸収状態となったときには
空燃比を理論空燃比以下(つまりλ≦1)に変更するよ
うになっている。
【0034】上記ECU25による制御の具体例を、図
3のフローチャートによって説明する。
【0035】このフローチャートに示す処理がスタート
すると、先ずステップS1でエアフローセンサ21によ
り検出される吸気流量、アクセル開度センサ22により
検出されるアクセル開度、クランク角センサ23の信号
の周期計測によって求められるエンジン回転数、O2
ンサ16の出力等の各種信号が入力される。続いてエン
ジン負荷及びエンジン回転数により運転状態が調べられ
て、その運転状態が成層燃焼領域Aにあるか否かが判定
され(ステップS2)、その判定がNOの場合は理論空
燃比領域Bにあるか否かが判定され(ステップS3)、
さらにその判定がNOの場合はリーン領域Cにあるか否
かが判定される(ステップS4)。これらステップS2
〜S4の判定結果に応じて次のような制御が行われる。
【0036】すなわち、ステップS2で成層燃焼領域A
にあることが判定されたときは、燃料噴射弁10から圧
縮行程で燃料が噴射されることにより成層燃焼状態とさ
れるとともに、空燃比がリーン(λ>1)となるように
吸入空気量及び燃料噴射量が制御される(ステップS
5)。
【0037】ステップS3で均一燃焼領域における理論
空燃比領域Bにあることが判定されたときは、燃料噴射
弁10から吸気行程で燃料が噴射されることにより均一
燃焼状態とされるとともに、空燃比が理論空燃比(λ=
1)となるように吸入空気量及び燃料噴射量が制御され
る(ステップS6)。この場合、例えばアクセル開度等
に応じてスロットル開度が制御されることにより吸入空
気量が調整されつつ、O2センサ10の出力に応じたフ
ィードバック制御等により、理論空燃比となるように燃
料噴射量が制御される。
【0038】ステップS4でリーン領域Cにあることが
判定されたときは、さらにステップS7でアクセル開度
変化率の演算等に基づいて急加速時か否かが判定され、
急加速時でなければ、ステップS8で硫黄脱離制御時か
否かが判定される。
【0039】リーン領域Cにおいて急加速時でも硫黄脱
離制御時でもない場合は、燃料噴射弁10から吸気行程
で燃料が噴射されることにより均一燃焼状態とされると
ともに、空燃比がリーン(λ>1)となるように制御さ
れる(ステップS9)。つまり、エンジン回転数及びア
クセル開度等によって定まる要求トルクに応じて燃料噴
射量が制御されつつ、理論空燃比に制御される場合と比
べてスロットル開度が大きくされて吸入空気量が多くさ
れることにより空燃比がリーンとされる。
【0040】また、リーン領域Cであっても急加速時で
ある場合や硫黄脱離制御時である場合には、空燃比が理
論空燃比以下(λ≦1)となるように吸入空気量及び燃
料噴射量が制御される(ステップS10)。
【0041】また、ステップS2〜S4の各判定が全て
NOであればエンリッチ領域Dにあることを意味し、こ
の場合は、燃料噴射量が増大されることにより、空燃比
がリッチ(λ<1)となるように制御される(ステップ
S11)。
【0042】以上のような当実施形態の制御装置による
と、燃料噴射量が比較的少ない低負荷低回転側の成層燃
焼領域Aでは、圧縮行程噴射で成層燃焼が行われること
により、点火プラグ回りが適度の空燃比に保たれて着火
性、燃焼性が確保されつつ、燃焼室全体としては空燃比
が超リーンとされ、これによってポンピングロスが低減
されるとともに燃焼効率が高められるため、燃費が大幅
に改善される。
【0043】中高負荷領域及び中高回転領域にわたる均
一燃焼領域では、吸気行程噴射で均一燃焼が行われるこ
とにより、燃料噴射量が比較的多い状況下で燃焼性が良
好に保たれる。そして、均一運転領域のうちで低負荷側
ないし低回転側の領域にある理論空燃比領域Bでは、理
論空燃比に制御されることにより、触媒17による排気
浄化性能が高められてエミッションが良好に保たれる。
【0044】また、理論空燃比領域Bとエンリッチ領域
との間の、比較的高回転側の領域にあるリーン領域Cで
は、スロットル開度が大きくされて吸入空気量が多くさ
れることにより、空燃比が理論空燃比よりもリーンとさ
れ、これにより排気温度の上昇が抑制されるとともに、
高速燃費が改善される。つまり、エンジン回転数及びエ
ンジン負荷が高くなると排気温度が上昇することによ
り、触媒17の過熱が生じ易くなる。この場合、当実施
形態のように排気通路3の比較的下流側に触媒17を配
置しておけばある程度は触媒の温度上昇が軽減される
が、これだけでは触媒温度の過度上昇を防止しきれな
い。
【0045】これに対し、吸入空気量が多くされること
により空燃比がリーンとされれば、過剰に存在する空気
の熱容量により排気温度の上昇が抑制され、触媒17の
過熱が防止されて信頼性が高められる。しかも、空燃比
がリーンにされると燃焼効率が高められるため、エンリ
ッチにされるような場合と比べて大幅に燃費が改善され
る。そして、比較的高回転側の運転領域では本来的に燃
焼安定性が高いため、均一燃焼状態で空燃比をある程度
リーンとしても充分に燃焼安定性が確保される。
【0046】また、エンジン負荷やエンジン回転数がさ
らに高くなると、空燃比をリーンとする制御では排気温
度上昇を充分に抑制しきれなくなるとともに出力を増大
できなくなることから、そのような高回転高負荷の領域
(エンリッチ領域D)では、燃料噴射量が増量されるこ
とで空燃比がリッチとされ、これにより出力が高められ
るとともに、過剰燃料の熱容量及び気化潜熱により排気
温度の上昇が抑制され、触媒17の過熱が防止されて信
頼性が高められる。
【0047】このように、最大負荷付近の高負荷領域や
最高回転数付近の高回転領域では空燃比がリッチとされ
るが、このエンリッチ領域Dは可及的に小さくされ、こ
の運転領域Dと理論空燃比領域Bとの間の比較的高回転
側の運転領域Cで空燃比がリーンとされることにより、
排気温度の過度上昇を抑制する作用が確保されつつ、高
速燃費が大幅に改善されることとなる。
【0048】また、当実施形態のエンジンでは、高い燃
圧を発生するエンジン駆動の高圧燃料ポンプ12が設け
られていて、エンジン回転数が高くなるとこの高圧燃料
ポンプ12の駆動抵抗が増大し、さらに、成層化を良好
にするためにピストン4の頂部に設けられているキャビ
ティ6は、吸気行程噴射による均一燃焼時には混合気の
均一性を崩すとともに冷却損失を招くものとなり、これ
らがエンジンの高速燃費の改善を妨げる要因となるが、
これらの要因があっても、上記のように比較的高回転側
の運転領域Cで空燃比がリーンとされることで充分に高
速燃費が改善される。
【0049】なお、仮に吸気ポートに燃料噴射弁が設け
られているようなエンジンにおいてこのような制御を行
うとすると、リーン領域からエンリッチ領域への移行時
に、燃料噴射量を急変させてもポート壁面への燃料付着
等により空燃比の変化(実際に燃焼室に供給される燃料
量の変化)は緩慢になるため、リーン空燃比からリッチ
空燃比への変化の途中で理論空燃比付近での燃焼状態が
生じて排気温度の上昇を招き易い。これに対し、燃焼室
に直接燃料を噴射する燃料噴射弁15を備えている本発
明の装置によると、燃料噴射量の増加に応じて空燃比が
リーンからリッチへ即座に切り替わるため、リーン領域
からエンリッチ領域へ移行するときにも排気温度の上昇
を抑制する作用が良好に維持される。従って、エンリッ
チ領域に隣接した比較的高回転側にリーン領域を設けて
信頼性を確保しつつ高速燃費を改善する制御が、有効に
実現されることとなる。
【0050】また、上記リーン領域Cであっても、急加
速時には、空燃比が理論空燃比以下(λ≦1)とされる
ことにより、加速性能が確保される。また、リーン領域
Cにおいて硫黄脱離制御が行われるときも、空燃比が理
論空燃比以下(λ≦1)とされ、これにより触媒温度の
上昇による硫黄の脱離が図られる。
【0051】そして、この急加速時や硫黄脱離制御時
は、一時的に空燃比が理論空燃比以下とされるだけなの
で、信頼性や燃費を著しく損ねるようなことはない。
【0052】なお、硫黄脱離制御としては、触媒温度を
上昇させるとともに排気中のCOを増加させることが望
ましいため、空燃比を理論空燃比よりも小さいリッチ状
態とすることが望ましい。さらに、燃焼室内の空燃比を
理論空燃比よりリッチとしつつ排気通路に2次エアを供
給することで触媒温度の上昇を図ることも有効である。
【0053】また、リーン領域において急加速時で、か
つ硫黄脱離制御が行われるときは、空燃比を理論空燃比
(λ=1)とすることが望ましい。このようにすると、
加速性が高められるとともに、加速に伴う排気温度の上
昇により触媒からの硫黄の脱離が良好に行われ、かつ、
燃料が過剰に供給されることがなくて燃費やエミッショ
ンの悪化が防止される。
【0054】本発明の制御装置において、制御の具体例
などは上記実施形態に限定されず、種々変更可能であ
る。
【0055】例えば、理論空燃比領域のうちの高回転側
の領域では、燃料噴射弁からの燃料噴射を吸気行程の期
間内に複数回(例えば2回)に分割して行うようにして
もよく、このように吸気行程で分割噴射を行えば、燃料
の分散及びミキシングが促進されることにより燃焼効率
が高められて燃費が改善されるとともに、燃焼効率が高
められることに伴い排気温度の上昇を抑制する作用も得
られる。さらに、少なくともこの吸気行程分割噴射が行
われる領域で、EGR弁19を開いて排気ガスの還流を
行わせるようにすれば、排気温度の上昇を抑制する作用
が高められる。つまり、EGRが行われるとNOxが低
減されるとともに排気温度が低くなり、特に吸気行程分
割噴射が行われている状態では、それ自体により排気温
度の上昇が抑制されるとともに、燃焼安定性が高められ
るために比較的多くのEGRを導入することができ、こ
れにより排気温度の上昇を抑制する作用が高められるこ
ととなる。
【0056】
【発明の効果】以上のように本発明は、火花点火式直噴
エンジンにおいて、高回転高負荷側のエンリッチ領域と
このエンリッチ領域よりも低回転側ないし低負荷側の理
論空燃比領域との間に、空燃比を理論空燃比よりも大き
い値とするリーン領域を設定しているため、上記リーン
領域で排気温度の上昇が抑制されて触媒の過熱が防止さ
れ、しかも燃焼効率が高められて燃費が改善される。特
に、エンリッチ領域に隣接して比較的高回転側に上記リ
ーン領域を設定し、エンリッチ領域を可及的に小さくし
ているため、触媒の過熱を防止して信頼性を確保しつつ
高速燃費を大幅に改善することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すエンジン全体の概略
図である。
【図2】燃料噴射の制御などのための運転領域の設定を
示す説明図である。
【図3】制御の具体例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン本体 2 吸気通路 3 排気通路 5 燃焼室 9 点火プラグ 10 燃料噴射弁 12 高圧燃料ポンプ 14 スロットル弁 17 触媒 19 EGR弁 25 ECU 26 設定手段 29 空燃比制御手段 31 触媒再生制御手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 41/34 F02D 41/34 H (72)発明者 荒木 啓二 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 Fターム(参考) 3G065 AA00 CA01 DA04 EA04 EA08 EA09 EA11 EA12 FA11 GA05 GA10 GA46 3G091 AA11 AA24 AB05 BA00 BA08 BA10 CA22 CB02 CB03 CB07 DC01 EA01 EA05 EA07 EA34 FA08 FA09 FA13 FA14 FB10 FB11 FB12 HB05 3G301 HA04 HA13 HA16 JA02 JA33 KA08 KA09 KA12 KA13 KA24 KA25 LA00 LA03 LB00 LB04 MA01 MA11 MA19 MA26 ND01 NE13 NE14 NE15 PA01Z PD03A PD03Z PE01Z PE03Z PF03Z

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排気通路に触媒を備えるとともに、燃焼
    室に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備えた火花点火式
    直噴エンジンにおいて、エンジンの高回転高負荷側に空
    燃比を理論空燃比よりも小さい値とするエンリッチ領域
    を設定し、このエンリッチ領域よりも低回転側ないし低
    負荷側に空燃比を理論空燃比とする理論空燃比領域を設
    定するとともに、この理論空燃比領域とエンリッチ領域
    との間に、空燃比を理論空燃比よりも大きい値とするリ
    ーン領域を設定する設定手段と、この設定手段による設
    定に基づいて空燃比を制御する空燃比制御手段とを備え
    たことを特徴とする火花点火式直噴エンジンの制御装
    置。
  2. 【請求項2】 上記燃料噴射弁に対する燃料供給系統
    に、エンジンで駆動されて少なくとも上記リーン領域で
    4MPa以上の燃圧を生成する高圧燃料ポンプを設けた
    ことを特徴とする請求項1記載の火花点火式直噴エンジ
    ンの制御装置。
  3. 【請求項3】 上記空燃比制御手段は、急加速時には上
    記リーン領域でも空燃比を理論空燃比以下に制御するよ
    うになっていることを特徴とする請求項1または2記載
    の火花点火式直噴エンジンの制御装置。
  4. 【請求項4】 排気通路に設けられた触媒は、空燃比が
    理論空燃比より大きいリーン運転状態のときにもNOx
    浄化性能を有するリーンNOx触媒からなるものである
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の火
    花点火式直噴エンジンの制御装置。
  5. 【請求項5】 上記リーンNOx触媒は酸素過剰雰囲気
    でNOxを吸収して酸素濃度が減少するに伴いNOxを
    放出するようになっており、このリーンNOx触媒がN
    Ox吸収性を阻害する所定の硫黄吸収状態となったとき
    にリーンNOx触媒から硫黄を脱離させる制御を行う触
    媒再生制御手段を備えるとともに、上記リーン領域でリ
    ーンNOx触媒から硫黄を脱離させる制御が行われると
    きは空燃比を理論空燃比以下に変更することを特徴とす
    る請求項4記載の火花点火式直噴エンジンの制御装置。
  6. 【請求項6】 NOx触媒から硫黄を脱離させる制御と
    して、燃焼室内の空燃比を理論空燃比よりも小さい値に
    制御するとともに、排気通路に2次エアを供給すること
    を特徴とする請求項5記載の火花点火式直噴エンジンの
    制御装置。
  7. 【請求項7】 加速時においてNOx触媒から硫黄を脱
    離させる制御が行われるときに、上記リーン領域で空燃
    比を理論空燃比に変更することを特徴とする請求項5記
    載の火花点火式直噴エンジンの制御装置。
  8. 【請求項8】 上記理論空燃比領域のうちの高回転側の
    領域で、上記燃料噴射弁からの燃料噴射を吸気行程で分
    割して行わせることを特徴とする請求項1乃至7のいず
    れかに記載の火花点火式直噴エンジンの制御装置。
  9. 【請求項9】 少なくとも燃料噴射を吸気行程で分割し
    て行わせる運転領域で、排気系から吸気系への排気ガス
    の還流を行わせることを特徴とする請求項8記載の火花
    点火式直噴エンジンの制御装置。
  10. 【請求項10】 上記触媒は、排気マニフォールドに接
    続された上流側排気管より下流に配置されていることを
    特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の火花点火
    式直噴エンジンの制御装置。
  11. 【請求項11】 電気的な駆動手段により駆動されて吸
    入空気量を調節するスロットル弁を備え、上記空燃比制
    御手段はこのスロットル弁と上記燃料噴射弁からの燃料
    噴射量とを制御することにより空燃比を制御するように
    なっていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれ
    かに記載の火花点火式直噴エンジンの制御装置。
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