JP2001098091A - 導電性樹脂シートおよびその製造方法 - Google Patents
導電性樹脂シートおよびその製造方法Info
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Abstract
シートの導電性を高める。 【解決手段】 導電性樹脂シートは、導電性フィラーを
含む樹脂材料を成形したシート状物であって、電圧の印
加処理が施されている。ここで、樹脂材料中における導
電性フィラーの含有量は、通常、20重量%未満であ
る。或いは、樹脂材料中における導電性フィラーの含有
量は、通常、1.0重量%以上16重量%以下である。
また、印加処理時の電圧は、例えば、20kV以上であ
りかつ樹脂材料の絶縁破壊電圧未満に設定されている。
Description
に、導電性樹脂シートに関する。
い、瓶類、缶類およびペットボトル類等の各種の物品の
物流分野において用いられる梱包材料として、使い捨て
を前提とした木製材料や段ボールなどに代えて繰り返し
利用可能な樹脂シートの利用が検討されている。実際、
このような樹脂シートは、例えば、特開平2−2298
46号公報および特開平3−111253号公報に記載
されている通り、「シートパレット」の名称で物流分野
において利用が広まりつつある。因みに、このような樹
脂シートを用いて多数のペットボトルを梱包する場合
は、樹脂シート上にペットボトルを多数個配列したもの
を数段に積層し、これをベルトにより固定して一体化す
る。
樹脂シートは、一般に電気絶縁性を有するため帯電し易
く、ゴミや埃が付着し易いため、微弱な導電性、特に表
面部分における導電性を付与されるのが好ましい。樹脂
シートに対して導電性を付与するための手法としては、
界面活性剤を塗布する方法や樹脂シートの成形材料とな
る樹脂材料中に導電性フィラーを添加する方法などの各
種の方法が知られているが、界面活性剤を塗布する方法
による場合は界面活性剤層の剥落による経時的な導電性
の低下が避けられないことから、一般には導電性フィラ
ーを用いる方法を採用する場合が多い。
を有する樹脂シートを製造する場合は、通常、樹脂材料
中に炭素材料や金属材料からなる導電性フィラーを適宜
添加して練和し、これを射出成形法や押出し成形法など
の各種の成形法に従ってシート状に成形する。因みに、
樹脂シートに付与される導電性は、導電性フィラーの添
加量が増えるに従って高まることになる。しかし、導電
性フィラーは一般に高価であるため、このような方法に
より導電性の樹脂シートを製造すると、結果的に樹脂シ
ートが割高になり、それを上述のような梱包材料として
用いる場合は物流コストの増加を招くことになる。
の種類によって表面部分の導電性を発現し易い場合とそ
うでは無い場合がある。例えば、押出し法により製造さ
れた樹脂シートは、その内部で導電性フィラーが配向し
易いため、導電性フィラーの添加量を多くしても表面部
分の導電性は高まり難い。さらに、多量の導電性フィラ
ーを含む樹脂シートの色調は、導電性フィラーの色彩の
影響を強く受ける。特に、導電性フィラーとして多量の
炭素材料を含む場合は、色彩が自ずと黒色になり、樹脂
シートそれ自体に所望の色彩を自由に付与するのは極め
て困難である。
を抑制しつつ、樹脂シートの導電性を高めること、特
に、表面抵抗を低下させることにある。本発明の他の目
的は、所望の色彩を呈し、しかも表面抵抗が小さな樹脂
シートを実現することにある。
トは、導電性フィラーを含む樹脂材料を成形したシート
状物であって、電圧の印加処理が施されている。ここ
で、樹脂材料中における導電性フィラーの含有量は、通
常、20重量%未満である。或いは、樹脂材料中におけ
る導電性フィラーの含有量は、通常、1.0重量%以上
16重量%以下である。導電性フィラーは、例えば、フ
ィラー群電気抵抗値が105Ωcm以下10-2Ωcm以
上のものである。
ものである。この場合、導電性フィラーの平均繊維径
は、例えば0.002μm以上15μm以下である。ま
た、シート状物に成形された樹脂材料中における導電性
フィラーの平均残存アスペクト比は、例えば10以上1
00,000以下である。
電圧は、例えば、1,000V以上樹脂材料の絶縁破壊
電圧未満である。或いは、20kV以上樹脂材料の絶縁
破壊電圧未満である。
導電性フィラーと共に樹脂材料中に分散された着色材を
さらに含んでいる。この場合、導電性フィラーは、例え
ば炭素繊維および黒鉛繊維のうちの少なくとも一つであ
る。また、導電性樹脂シートは、例えば、導電性フィラ
ーおよび着色材と共に樹脂材料中に分散された、導電性
フィラーの色彩を隠蔽するための隠蔽材をさらに含んで
いる。
は、例えば、表面抵抗が1012Ω/□以下である。
は、第1の樹脂材料を用いて形成された中心層と、中心
層の両面にそれぞれ積層された、導電性フィラーを含む
第2の樹脂材料を用いて形成された表面層とを備えてお
り、電圧の印加処理が施されている。
シートは、導電性フィラーを含む樹脂材料を成形したシ
ート状物からなり、樹脂材料の軟化点に加熱処理して室
温まで冷却した後の表面抵抗が加熱処理する前の表面抵
抗の100倍以上である。この導電性樹脂シートは、通
常、加熱処理の後に、さらに電圧の印加処理を施した場
合の表面抵抗が、電圧の印加処理を施す前の表面抵抗の
1/100以下である。
は、樹脂材料と導電性フィラーとを含む成形材料をシー
ト状に成形してシート状物を得る工程と、シート状物に
対して電圧を印加する工程とを含んでいる。
の製造方法は、第1の樹脂材料をシート状に成形して中
心層を得る工程と、導電性フィラーを含む第2の樹脂材
料をシート状に成形して中心層の両面にそれぞれ積層
し、シート状の積層体を得る工程と、積層体に対して電
圧を印加する工程とを含んでいる。
電性フィラーを含む樹脂材料を成形したシート状物から
なる。このシート状物は、単層のものであってもよく、
或いは、2層または3層以上の多層構造のものであって
もよい。シート状物が3層構造の場合、その一例は、図
1に示すように、中心層1と、当該中心層1の両面にそ
れぞれ配置された表面層2とを備えている。中心層1お
よび表面層2は、それぞれ第1の樹脂材料および導電性
フィラーを含む第2の樹脂材料を用いて形成されてお
り、両方の表面層2に導電性フィラーが含まれている。
なお、第1の樹脂材料と第2の樹脂材料は、同一のもの
であってもよいし、異なるものであってもよい。また、
表面層2は、中心層1に比べて厚みが小さく設定されて
いる。因みに、シート状物がこのような多層構造の場
合、導電性フィラーは、一部の層(表面層)にのみ含ま
れていてもよいし、全ての層に含まれていてもよい。
に板状のものであってもよいし、可撓性が大きな変形可
能なものであってもよい。さらに、シート状物の厚さ
は、特に限定されるものではなく、後述する導電性樹脂
シートの利用目的に応じて適宜設定することができる。
したがって、このシート状物は、フイルム状の薄膜状の
ものであってもよい。因みに、シート状物のこれらの各
種の特徴は、例えば後述する樹脂材料または成形方法を
適宜選択することにより、任意に設定することができ
る。
特に限定されるものではなく、公知の熱可塑性樹脂や熱
硬化性樹脂である。ここで、熱可塑性樹脂としては、例
えば、ポリエチレン樹脂,ポリプロピレン樹脂,ポリス
チレン樹脂およびポリアクリルスチレン樹脂などの汎用
プラスチック、アクリル−ブタジエン−スチレン樹脂
(ABS),ポリフェニルエーテル樹脂,ポリアセター
ル樹脂,ポリカーボネート樹脂,ポリブチレンテレフタ
レート樹脂,ポリエチレンテレフタレート樹脂,ナイロ
ン6およびナイロン6,6などのエンジニアリングプラ
スチック、並びにポリエーテルエーテルケトン樹脂,ポ
リアミド樹脂,ポリイミド樹脂,ポリスルホン樹脂,4
−フッ化エチレン−エチレン共重合体樹脂,ポリフッ化
ビニリデン樹脂,4−フッ化エチレン−パーフルオロア
ルキルビニルエーテル共重合体樹脂,ポリエーテルイミ
ド樹脂,ポリエーテルサルフォン樹脂,ポリフェニレン
サルファイド樹脂,変性ポリフェニレンオキサイド樹
脂,ポリフェニレンエーテル樹脂および液晶ポリマーな
どの超エンジニアリングプラスチックなどを挙げること
ができる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、フェ
ノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂および不飽
和ポリエステル樹脂などを挙げることができる。
は、樹脂材料に対して導電性を付与するために通常用い
られるものであり、金属材料、炭素材料、金属材料がコ
ートされた有機材料、金属材料がコートされた無機材
料、炭素がコートされた無機材料または黒鉛がコートさ
れた無機材料、若しくはこれらの群から任意に選択され
た2種以上のものの混合物である。
ケル、鉄、アルミニウム、ステンレスおよび酸化錫など
を例示することができる。炭素材料としては、ポリアク
リロニトリル樹脂,ピッチ,フェノール樹脂,レーヨン
およびリグニンなどの炭素前駆体を焼成して得られる炭
素、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェ
ンブラック並びに黒鉛を例示することができる。金属材
料がコートされた有機材料としては、ニッケルコートさ
れた樹脂を例示することができる。金属材料がコートさ
れた無機材料としては、ニッケルコートマイカ、銀コー
トガラス、アルミコートガラス、ニッケルメッキガラス
およびニッケルメッキ炭素などを例示することができ
る。炭素がコートされた無機材料としては、炭素がコー
トされたチタン酸カリウムを例示することができる。黒
鉛がコートされた無機材料としては、黒鉛がコートされ
たチタン酸カリウムを例示することができる。
レーク状、ウイスカー状および繊維状などの各種のも
の、またはこれらの任意の混合物であり、形状が特に限
定されるものではない。例えば、粒状のものとしては、
金属材料からなるものとして銀粉、銅粉、ニッケル粉、
鉄粉、酸化錫粉を、また、金属材料がコートされた無機
材料として銀コートガラスビーズを、さらに、炭素材料
からなるものとしてカーボンブラック、アセチレンブラ
ック、ケッチェンブラックを挙げることができる。ま
た、フレーク状のものとして、アルミフレークやニッケ
ルコートマイカを挙げることができる。さらに、ウイス
カー状のものとしては、炭素がコートされた無機材料と
して炭素がコートされたチタン酸カリウムウイスカー
を、また、炭素材料からなるものとして黒鉛ウイスカー
を挙げることができる。さらに、繊維状のものとして
は、金属材料からなるものとしてアルミニウム,銅およ
びステンレスなどの長繊維や短繊維を、また、金属材料
がコートされた無機材料からなるものとしてアルミコー
トガラス繊維やニッケルメッキガラス繊維を、さらに、
金属材料がコートされた有機材料からなるものとしてニ
ッケルコートされた樹脂繊維を、さらに、炭素材料から
なるものとしてポリアクリロニトリル系炭素繊維,等方
性ピッチ系炭素繊維,異方性ピッチ系炭素繊維,フェノ
ール樹脂系炭素繊維,レーヨン系炭素繊維およびリグニ
ン系炭素繊維等の炭素繊維並びに黒鉛繊維をそれぞれ例
示することができる。
る導電性フィラーの具体的な態様の一つは、例えば、炭
素材料、特に、導電性樹脂シートの強度を高めることが
できる炭素繊維および黒鉛繊維のうちの少なくとも一つ
である。
電性フィラーに代え、或いは上述の導電性フィラーと共
に、より安価な他の導電性フィラーが用いられてもよ
い。ここで利用可能なより安価な導電性フィラーとして
は、例えば、本願出願人が先に出願した特願平11−1
7697号に記載のものを挙げることができる。この導
電性フィラーは、バインダーが含浸された天然繊維から
なる繊維群を圧縮して成形体を得るための工程と、当該
成形体を加熱して炭化するための工程とを含む製造工程
を経て得られるものであり、より具体的には次の製造工
程を経て得られるものである。
らなる繊維群を圧縮して成形体を得る。ここで用いられ
る天然繊維は、例えば、綿、パルプ、絹、麻等である。
このうち、安価な綿が特に好ましい。
ト比(平均繊維長/平均繊維径)は、少なくとも5、例
えば、5〜2,000に設定されているのが好ましく、
10〜1,800に設定されているのがより好ましく、
20〜1,500に設定されているのがさらに好まし
い。平均アスペクト比が5未満の場合は、導電性の付与
効果が低下するおそれがある。逆に、2,000を超え
る場合は、樹脂材料に対する定量供給が困難になるおそ
れがある。なお、平均アスペクト比は、一般に、樹脂材
料に対する定量供給が可能な限り大きい方が、樹脂材料
との複合後の残存アスペクト比を大きくでき、その結果
樹脂材料に対して導電性を付与し易くなるため好まし
い。因みに、この平均アスペクト比の基準になる平均繊
維径は、光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡(SEM)
により求めることができる。
は、天然繊維同士を接着して一体化させることができる
ものであれば特に限定されるものではないが、通常は加
熱処理後に炭素を残す高分子材料系の炭素前駆体、特
に、不活性ガス中において600℃で加熱した後の炭化
収率が1〜80重量%のもの、好ましくは5〜60重量
%のもの、より好ましくは10〜50重量%のものであ
る。この炭化収率が1重量%未満の場合は、後述する炭
化工程において、加熱処理後の成形体が脆くなり、崩れ
やすくなる。この結果、この導電性フィラーと樹脂材料
とを混合する際、特にフィーダーを用いてこの導電性フ
ィラーを樹脂材料に対して供給する際に、導電性フィラ
ーが崩れやすくなり、導電性フィラーを高分子材料に対
して安定に定量供給するのが困難になる。
述のような炭化収率を有するものであれば特に限定され
るものではなく、公知の各種のものである。具体的に
は、例えば、ポリビニルアルコール、リグニン、フェノ
ール樹脂、フラン樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、
カルボキシメチルセルロース、ポリフェニレンオキサイ
ド、ポリエーテルサルホン、コールタール、ピッチ、ポ
リスルフォン等を用いることができる。これらのうち、
フェノール樹脂、フラン樹脂、ウレタン樹脂およびメラ
ミン樹脂のうちの少なくとも1つの熱硬化性樹脂が好ま
しい。なお、これらの炭素前駆体は、必要に応じて2種
以上のものが混合して用いられてもよい。
を含浸する場合は、先ず、バインダーを含む溶液(バイ
ンダー溶液)を調製し、この溶液を天然繊維に対して含
浸させる。ここで用いられるバインダー溶液は、通常、
上述のバインダーを有機溶媒に溶解したもの(有機溶媒
溶液)、または上述のバインダーのエマルジョンであ
る。有機溶媒を用いる場合、利用するバインダーを溶解
することができるものであればその種類は特に限定され
るものではないが、一般にはアルコール類、ケトン類、
ハロゲン化炭化水素類などを用いることができる。
るための方法としては、各種の方法、例えば、バインダ
ー溶液中に天然繊維を浸漬する方法や、天然繊維に対し
てバインダー溶液を吹き付ける方法などを採用すること
ができる。
よびエマルジョンのいずれの場合も、天然繊維に対して
付与されるバインダー量が乾燥後の固形分換算で0.1
〜5重量%になるよう天然繊維に対して含浸されるのが
好ましい。天然繊維に対して付与されるバインダー量が
0.1重量%未満の場合は、天然繊維同士の接着性が低
下し、天然繊維による成形体を製造しにくくなるおそれ
がある。また、後述する工程により得られる加熱処理後
(炭化処理後)の成形体(すなわち、導電性フィラー)
の嵩密度が低下するおそれがある。逆に、5重量%を超
える場合は、加熱処理後(炭化処理後)の成形体、すな
わち導電性フィラーと樹脂材料との混合時に、導電性フ
ィラーが崩れにくくになり、結果的に導電性フィラーが
樹脂材料中に繊維状態で均一に分散しにくくなるおそれ
がある。なお、天然繊維に対して付与される上述のバイ
ンダー溶液量のより好ましい範囲は0.5〜3重量%で
ある。
された天然繊維の多数本からなる群、すなわち繊維群を
圧縮成形する。圧縮成形により達成する形状は特に限定
されるものではないが、通常は板状、棒状およびペレッ
ト状などである。このような成形体の嵩密度は、通常、
少なくとも0.1g/ccに設定するのが好ましく、少
なくとも0.4g/ccに設定するのがより好ましい。
1,000kg/cm2に設定するのが好ましく、50
〜500kg/cm2に設定するのがより好ましい。ま
た、この圧縮成形工程は、繊維群の成形性を高めるため
に、繊維群を加温しながら実施することができる。その
場合の設定温度は、通常、50〜200℃に設定するの
が好ましく、100〜180℃に設定するのがより好ま
しい。
る。ここでは、通常、成形体を窒素等の不活性ガス雰囲
気中において加熱処理し、成形体を炭化させる。なお、
加熱処理工程に先立って、成形体は、予め樹脂材料に対
してフィードし易い形状(例えばペレット状)に適宜切
断等されていてもよい。この加熱工程では、成形体を構
成する天然繊維およびバインダーが炭化され、成形体
は、炭化された天然繊維が炭化されたバインダーによっ
て緩やかに相互に結合した導電性フィラーになる。
べき加熱温度は、成形体、すなわち天然繊維およびバイ
ンダーの両方が炭化し得る温度範囲であり、通常、60
0〜2,800℃の範囲である。この場合の昇温速度
は、一般に、成形体の熱重量分析結果における重量変化
の大きい温度領域を比較的低速に設定し、重量変化の小
さい温度領域を比較的高速に設定するのが好ましい。
は、成形体の加熱処理時の最高温度の高低によってフィ
ラー群電気抵抗値が変化し得る。すなわち、成形体を低
温で加熱処理して得られた当該導電性フィラーはフィラ
ー群電気抵抗値が大きく、成形体を高温で加熱処理して
得られた当該導電性フィラーはフィラー群電気抵抗値が
小さくなる。このため、成形体の加熱処理時の温度設定
を適宜調整することにより、当該導電性フィラーによる
樹脂材料に対する導電性の付与効果を調整することがで
きる。例えば、加熱処理時の温度が高温に設定された場
合は当該導電性フィラーのフィラー群電気抵抗値が小さ
くなるため、その導電性フィラーは、樹脂材料に対する
添加量を変化させると、当該樹脂材料の導電性を変化さ
せ易くなる。逆に、加熱処理時の温度が低温に設定され
た場合は当該導電性フィラーのフィラー群電気抵抗値が
大きくなるため、その導電性フィラーは、樹脂材料に対
する添加量に比例して、樹脂材料の導電性を緩やかに変
化させることができる。
は、後述の通りである。
ィードし易い形状に予め切断等されていない場合、加熱
後の成形体は、樹脂材料に対してフィードし易い形状に
適宜切断等されてもよい。
ィラーのうち好ましいものは、より少ない使用量で所要
の導電性、特に、小さい表面抵抗を導電性樹脂シートに
実現することができることから、フィラー群電気抵抗値
が105Ωcm以下10-2Ωcm以上のもの、より好ま
しくは104Ωcm以下10-2Ωcm以上のものであ
る。ここで、フィラー群電気抵抗値とは、導電性樹脂シ
ートに含まれる導電性フィラーの個々の片の電気抵抗値
ではなく、導電性フィラーの群(集合体)としての電気
抵抗値であり、次のようにして求められるものをいう。
先ず、中心部に直径0.8cmの貫通孔を有する電気絶
縁体を用意し、その貫通孔の一端を銅製の電極で封止す
る。そして、貫通孔内に0.5gの導電性フィラー群を
充填し、貫通孔の他端から銅製の押し棒を挿入して20
kgf/cm2の圧力を加えて導電性フィラー群を高さ
xcmの円柱状に成形する。この状態で電極と押し棒と
の間に測定器を接続し、貫通孔内で圧縮された導電性フ
ィラー群の電気抵抗値を測定する。フィラー群電気抵抗
値は、測定された電気抵抗値に導電性フィラー群の成形
体の端面の面積(すなわち、0.42πcm2)を掛け、
その値を高さxcmで割ると体積抵抗値(Ωcm)とし
て求めることができる。なお、導電性フィラー群の電気
抵抗値を測定する際に用いられる測定器は、ブランク時
の電気抵抗値、すなわち、電極と押し棒とを直接に接触
させた場合の電気抵抗値をキャンセルできるものが好ま
しく、例えば、アドバンテスト株式会社のデジタルマル
チメーター“R6552”を挙げることができる。以
下、フィラー群電気抵抗値と言う場合は、このようにし
て求めた導電性フィラーの集合体の体積抵抗値を言うも
のとする。
は、繊維状のもの、特に、平均繊維径が0.002μm
以上15μm以下の極細繊維状のものである。このよう
な繊維状の導電性フィラーを用いた場合は、より少ない
使用量で所要の導電性、特に、小さい表面抵抗を導電性
樹脂シートに実現することができ、しかも、後述する着
色材による所望の色彩、特に鮮明な色彩を導電性樹脂シ
ートに対して自由に付与し易くなる。なお、平均繊維径
が0.002μm以上2μm以下の超極細繊維状の導電
性フィラーを用いた場合は、仮にそれが黒色の炭素材料
からなる炭素繊維や黒鉛繊維などであったとしても、後
述する着色材のみにより、すなわち、後述する隠蔽材を
用いなくても、鮮明な色彩を導電性樹脂シートに対して
付与し易くなる。
超極細繊維状の導電性フィラーとしては、例えば炭素繊
維の一種であるハイペリオン(ハイペリオン社の商品
名)を挙げることができる。
状のものが用いられている場合、本発明の導電性樹脂シ
ートを構成するシート状物は、当該導電性フィラーの平
均残存アスペクト比が10以上100,000以下にな
るよう製造されているのが好ましく、15以上10,0
00以下になるよう製造されているのがより好ましい。
この平均残存アスペクト比がシート状物の製造過程にお
いて10未満になった場合は、導電性フィラーの添加量
を増やさないと所望の導電性、特に、小さな表面抵抗を
達成できないおそれがある。逆に、導電性フィラーの平
均残存アスペクト比が100,000を超えるシート状
物は、一般に製造が困難である。なお、ここでいう残存
アスペクト比は、上述の樹脂材料に対して混合する前の
導電性フィラーのアスペクト比ではなく、樹脂材料に対
して混合されかつ樹脂材料がシート状物に成形された後
の導電性フィラーのアスペクト比(繊維長/繊維径)を
意味している。因みに、この残存アスペクト比は、例え
ば、導電性樹脂シートを構成する樹脂材料を熱分解させ
るか又は溶媒に溶解させることにより、導電性樹脂シー
トから導電性フィラーを分離し、通常はそのうちの数百
本の平均長さおよび平均径を光学顕微鏡または走査型電
子顕微鏡で測定すると、それらの値に基づいて求めるこ
とができる。
の導電性フィラーと共に樹脂材料中に分散された着色材
をさらに含んでいてもよい。この着色材は、本発明の導
電性樹脂シートに所望の色彩を付与するためのものであ
って非導電性のものであれば種類が特に限定されるもの
ではなく、各種の有機顔料や無機顔料である。好ましく
用いられる有機顔料の具体例としては、ナフトールレッ
ド、縮合アゾエローおよび縮合アゾレッドなどのアゾ系
顔料、銅フタロシアニンブルーや銅フタロシアニングリ
ーンなどのフタロシアニン系顔料、ジアンスラキノリル
レッド、チオインジゴ、ベリノンオレンジ、ベリレンス
カーレット、キナクリドンマゼンタ、イソインドリノン
エロー、キノフタロンエロー、ピロールレッドなどの縮
合多環顔料等を例示することができる。また、好ましく
用いられる無機顔料の具体例としては、亜鉛華、酸化チ
タン、弁柄、酸化クロム、コバルトグリーン、コバルト
ブルーなどの酸化物顔料、カドミウムエローやカドミウ
ムレッドなどの硫化物顔料、群青などの珪酸塩顔料、炭
酸カルシウムなどの炭酸塩顔料、マンガンバイオレット
などのりん酸塩顔料等を例示することができる。これら
の着色材は、利用する樹脂材料との適合性を考慮しつつ
適宜選択して用いられるのが好ましく、また、所望の色
彩を達成するために適宜混合して用いられてもよい。
述の着色材を含む場合、導電性フィラーおよび着色材と
共に樹脂材料中に分散された、導電性フィラーの色彩を
隠蔽するための隠蔽材をさらに含んでいてもよい。ここ
で用いられる隠蔽材は、着色材により付与される導電性
樹脂シートの色彩が導電性フィラーの色彩により影響を
受けるのを抑制し、導電性樹脂シートが着色材による鮮
やかな色彩を呈するようにするためのものであり、通
常、非導電性で白色の粒状のものが好ましい。具体的に
は、例えば、酸化チタン、マイカ、タルク、炭酸カルシ
ウムが用いられる。
ては、樹脂材料中に、シート状物の表面状態を平滑に保
つために、ステアリン酸等の滑剤が含まれていてもよ
い。また、樹脂材料中には、上述の導電性フィラー、着
色材および隠蔽材以外の各種の充填材、例えばセリサイ
トやガラスフレーク等の導電性を示さないものが含まれ
ていてもよい。
の樹脂材料中において、上述の導電性フィラーの含有量
は、通常、20重量%未満、好ましくは0.01重量%
以上20重量%未満、より好ましくは0.1重量%以上
18重量%以下、さらに好ましくは1.0重量%以上1
6重量%以下になるよう設定されている。この含有量が
20重量%以上の場合は、導電性樹脂シートがコスト高
となるばかりか、導電性樹脂シートから導電性フィラー
が脱落してコンタミネーションを引き起こすおそれがあ
る。また、導電性樹脂シートの色彩が導電性フィラーの
色彩に強く影響され、隠蔽材を用いた場合であっても導
電性樹脂シートを着色材の色彩に対応した所望の色彩に
設定するのが困難になる。さらに、導電性フィラーが粒
状の場合は、導電性樹脂シートの機械的強度が低下する
おそれがある。一方、導電性フィラーが繊維状の場合
は、導電性樹脂シートに反りが生じ易くなり、また、導
電性樹脂シートの表面粗度が高まり、表面平滑性が損な
われるおそれがある。
蔽材の含有量は、特に限定されるものではなく、導電性
樹脂シートに付与する色彩の彩度や明度等に応じて任意
に設定することができるが、通常は、樹脂材料により付
与される導電性樹脂シートの各種特性(例えば、機械的
強度、耐熱性、可撓性等)が阻害されない程度に設定す
るのが好ましい。具体的には、着色材については樹脂材
料重量の0.1重量%以上5.0重量%以下になるよう
設定するのが好ましく、0.2重量%以上2.0重量%
以下になるよう設定するのがより好ましい。また、隠蔽
材は、樹脂材料重量の0.1重量%以上10重量%以下
になるよう設定するのが好ましく、0.2重量%以上
5.0重量%以下になるよう設定するのがより好まし
い。
れる酸化チタンは、光酸化触媒として機能し得るので、
それを多量に含む導電性樹脂シートは、光の照射下で酸
化劣化し易くなる。したがって、酸化チタンを着色材ま
たは隠蔽材として用いる場合、その含有量は可能な限り
少量に、具体的には樹脂材料重量の0.1〜2.0重量
%程度に留めるのが好ましい。
処理が施されている。この印加処理は、導電性フィラー
および必要に応じて着色材や隠蔽材を含みかつ成形され
た、上述の樹脂材料からなるシート状物に対する処理で
ある。
000V以上(好ましくは20kV以上)でありかつシ
ート状物を構成する樹脂材料の絶縁破壊電圧未満、好ま
しくは20kV以上50kV以下に設定する。印加電圧
が1,000V未満の場合は、本発明の樹脂成形体の導
電性が導電性フィラーの含有割合に応じた程度の導電性
以上に高まらない場合がある。但し、印加電圧が20k
V未満の場合は、導電性を高めることができる場合があ
るとしても、その再現性の点において問題がある。逆
に、印加電圧が樹脂材料の絶縁破壊電圧以上の場合は、
シート状物が損壊してしまうおそれがある。
に固有の値であって各種の便覧などの文献に記載されて
おり、そのような記載内容を参考にすることができる。
因みに、各種文献に示されている絶縁破壊電圧は、単位
が通常MV/mで示されており、樹脂材料を用いて形成
した厚さ1mの成形体についての値であるため、本発明
では、シート状物の厚さに応じた絶縁破壊電圧値を適宜
計算するのが好ましい。
れるものではないが、通常は、1〜600秒程度、好ま
しくは5〜60秒程度である。600秒を超えて電圧を
印加しても、導電性樹脂シートの導電性は一定以上に高
まらず、却って不経済である。
法について説明する。先ず、単層の導電性樹脂シートを
製造する場合について説明する。この場合は、上述の樹
脂材料、導電性フィラーおよび必要に応じて着色材や隠
蔽材を混合し、成形材料を調製する。ここで、導電性フ
ィラーの混合量は、通常、成形材料中における割合が2
0重量%未満、好ましくは0.01重量%以上20重量
%未満、より好ましくは0.1重量%以上18重量%以
下、さらに好ましくは1.0重量%以上16重量%以下
になるよう設定する。また、着色材を用いる場合、その
混合量は、成形材料中における割合が0.1重量%以上
5.0重量%以下、好ましくは0.2重量%以上2.0
重量%以下になるよう設定する。さらに、隠蔽材を用い
る場合、その混合量は、成形材料中における割合が0.
1重量%以上10重量%以下、好ましくは0.2重量%
以上5.0重量%以下になるよう設定する。
は、前者に対して後者を均一に分散できる方法であれば
特に限定されるものではなく、例えば、樹脂材料に対
し、公知の各種のフィーダー等を用いて導電性フィラー
を供給して混練する方法を採用することができる。この
際、樹脂材料は、導電性フィラーの分散性を高めるた
め、必要に応じて予め粘度調整されていてもよい。
む場合、これらは導電性フィラーと同時に、上述の方法
により樹脂材料に対して混合することができる。この場
合、着色材および隠蔽材は、導電性フィラーと共に樹脂
材料中に分散し、成形材料を、利用した着色材の種類に
応じた色彩に着色することになる。
ート状に成形し、シート状物を得る。ここでは、射出成
形法、押出し成形法等の、成形材料をシート状に成形す
るための公知の各種の成形法を採用することができる。
なお、成形材料が着色材を含む場合、ここで得られるシ
ート状物は、利用した着色材に応じた色彩を呈すること
になる。特に、成形材料が隠蔽材を含む場合は、それが
導電性フィラーの色彩を効果的に隠蔽することになるの
で、シート状物は、利用した着色材に応じた鮮やかな色
彩を呈することになる。
印加処理を施す。ここでは、通常、シート状物を接地し
た金属上に置き、そのシート状物の上方に電極を配置し
て、当該電極に上述の電圧値の交流電圧または直流電圧
を印加する。因みに、交流電圧を印加する場合、その周
波数は1MHz以下である場合に導電性の改善効果、特
に、表面抵抗の低下効果が高まり易い。一方、直流電圧
を印加する場合、電極に印加する電圧の極性は、正また
は負のいずれでもよいが、一般には正に設定する方が導
電性の改善効果、特に、表面抵抗の低下効果が高まり易
い。
されるものではないが、例えば、多数の針状電極の集合
体、複数の半球状の電極や複数の平板状電極が配列され
たもの、或いは1枚の大型の平板状電極等である。
電極とシート状物との間隔は、電圧の印加環境、印加電
圧値、シート状物の大きさ、シート状物を構成する樹脂
材料の種類、シート状物に含まれる導電性フィラーの種
類や量などに応じて適宜設定するのが好ましい。例え
ば、空気中において30,000Vの電圧を印加する場
合、当該間隔は、通常、20〜100mm、好ましくは
30〜50mmの範囲に設定される。この間隔が20m
m未満の場合は、過電流が流れ易くなるおそれがある。
逆に、100mmを超えると、電圧の印加処理による効
果が殆ど発現しなくなる可能性がある。
ート状物に対する電圧の印加工程とは、個別に実施され
てもよいし、連続的に実施されてもよい。例えば、シー
ト状物を射出成形法により製造する場合は、シート状物
を一旦製造してから、別の工程で当該シート状物に対し
て電圧の印加処理を施すことになる。これに対し、シー
ト状物を押出し成形法により製造する場合は、シート状
物を連続的に製造することができるので、製造されて来
るシート状物に対して続けて電圧の印加処理を施すこと
ができる。
層1と、当該中心層1の両面にそれぞれ配置された、導
電性フィラーを含む樹脂材料からなる表面層2を備えた
3層構造のシート状物からなる導電性樹脂シートを製造
する場合について説明する。
めの第1の樹脂材料と、表面層2を形成するための、導
電性フィラーおよび必要に応じて着色材や隠蔽材を含む
第2の樹脂材料とを個別に用意する。なお、第1の樹脂
材料と第2の樹脂材料は、同一のものであってもよい
し、異なるものであってもよい。また、第2の樹脂材料
の調製方法や導電性フィラー等の含有量は、上述の単層
の導電性樹脂シートの製造方法の場合と同様である。
料を用い、それぞれシート状の中心層1およびシート状
の表面層2を成形する。そして、中心層1の両面に表面
層2を積層して、これらが一体化されたシート状の積層
体を得る。ここでは、上述のような各種の成形法を用い
て中心層1と表面層2とを個別に製造した後にこれらを
積層して一体化してもよいし、例えばTダイ等の3層押
出し機を用いて中心層1および表面層2を同時に成形す
ると共に積層してもよい。
電圧の印加処理を施す。ここでの印加処理は、単層の導
電性樹脂シートを製造する場合と同様に実施することが
できる。
ートにおいては、導電性フィラーを含む表面層2の厚さ
を中心層1の厚さに比べて小さく設定することができ
る。したがって、この場合は、中間層1の厚さを所要の
剛性を発揮できる程度に大きく設定しつつ、導電性乃至
は表面抵抗に関与する表面層2の厚さを小さく設定する
ことができるため、シート状物の厚さを大きく設定する
必要がある場合であっても高価な導電性フィラーの使用
量を極力抑制することができ、より安価に所要の導電性
乃至は表面抵抗を呈する導電性樹脂シートを実現するこ
とができる。
樹脂シートは、樹脂材料中に導電性フィラーが分散され
た他の導電性樹脂シートと比較した場合、そこに含まれ
る導電性フィラー量からは通常達成しにくい高い導電
性、特に、小さな表面抵抗値を示す。すなわち、本発明
の導電性樹脂シートは、導電性フィラーの含有量が例え
ば20重量%未満に抑制されているにも拘わらず、ペッ
トボトル等の搬送用樹脂シート(シートパレット)に対
して一般に求められている1012Ω/□以下の範囲の表
面抵抗、若しくは102Ω/□以上1012Ω/□以下の
表面抵抗、またはシートパレットにおいて特に好ましい
とされている104Ω/□以上108Ω/□以下の範囲の
表面抵抗を示し得る。具体的には、例えばポリアクリロ
ニトリル系炭素短繊維を導電性フィラーとして用いる場
合は、その導電性フィラーの含有量がそれよりも数重量
%(通常は3〜5重量%程度)多い導電性樹脂シートと
同等の導電性または表面抵抗を示し得る。
ート状物は、通常、導電性フィラー同士が接触し得る確
率が高い程導電性が高まり、導電性フィラーの含有量が
少ないとその確率が小さくなるため導電性を発現しにく
くなるのであるが、それにも拘わらず本発明の導電性樹
脂シートが通常のものに比べて上述のような高い導電性
を発揮する理由は、例えば、次のように考えることがで
きる。樹脂材料中に導電性フィラーが分散された導電性
樹脂シートにおいては、導電性フィラーと、その間に存
在する樹脂材料とから構成される多数の、若しくは無数
のコンデンサの集合体が内部に形成されているものと考
えられる。本発明の導電性樹脂シートは、電圧の印加処
理が施されているため、このようなコンデンサを構成す
る導電性フィラー間において樹脂材料の絶縁破壊が生
じ、その結果、電流の通路が形成されて導電性が高まっ
ているものと推察される。
高価な導電性フィラーの添加量を抑制しつつ、そのよう
な導電性フィラーの添加量では通常達成できない高い導
電性を発揮することができる。換言すると、この導電性
樹脂シートは、導電性フィラーの含有量から通常期待で
きる導電性よりも高い導電性を発揮することができる。
したがって、この導電性樹脂シートは、同等の導電性を
発揮する他の導電性樹脂シートに比べて安価に提供する
ことができる。特に、導電性フィラーとして本出願人が
先に提案した安価なものを用いた場合、この導電性樹脂
シートは、さらに安価に提供することができる。
特有の効果を発揮する結果、導電性フィラーを含むこれ
までの導電性樹脂シートでは達成しにくかった電気抵抗
値(表面抵抗値)を実現することもできる。例えば、導
電性フィラーとして炭素繊維を用いる場合、樹脂材料に
対するその添加量を徐々に増加させて行くと、導電性樹
脂シートは、添加量がある程度の量までは表面抵抗が1
014〜1015Ω/□程度であって電気絶縁性を維持して
いるが、ある一定の添加量を超えると、添加量がごく僅
かに変化しただけで導電性樹脂シートの導電性が極端に
高まってしまい(すなわち、表面抵抗が極端に小さくな
ってしまい)、導電性樹脂シートの表面抵抗をシートパ
レット分野において特に好ましいとされている104〜
108Ω/□程度の範囲に設定するのが極めて困難なこ
とが知られている。本発明の導電性樹脂シートは、この
ような現象を発現する炭素繊維のような導電性フィラー
を用いる場合であっても、その添加量と導電性との関係
が緩やかに変化する範囲内でその添加量を設定するだけ
で、その添加量により通常達成できる導電性よりも高い
導電性を実現することができるので、表面抵抗を1012
Ω/□以下の範囲、若しくは102〜1012Ω/□の範
囲、特に104〜108Ω/□の範囲に設定するのが比較
的容易になる。
な導電性フィラーによる導電性が付与されているため帯
電しにくいので、瓶類、缶類およびペットボトル類等の
各種の物品、特に、帯電により商品価値が損なわれたり
危険性を伴うおそれがある物品(帯電忌避性物品)の物
流分野において用いられるシートパレットや包装容器内
の区画壁材などの梱包材料として用いることができる。
また、この導電性樹脂シートは、静電気が忌避される各
種の材料、例えば、建築物の樹脂製床材等の表面層形成
用材料等として利用することもできる。この場合、本発
明の導電性樹脂シートは、このような床材において静電
気に起因して発生し得る各種の障害を効果的に抑制する
ことができる。
着色材による各種の色彩が付与され得るので、色彩によ
り、意匠性を高めたり、或いは用途や種類を区別するこ
とができる。例えば、シートパレットは、梱包物の種類
に応じて表面抵抗の異なる多種類のものを用意する場合
や梱包物の種類や搬送先を区別するために多種類のもの
を用意する場合が考えられるが、本発明の導電性樹脂シ
ートからなるシートパレットは、数種類の表面抵抗毎ま
たは梱包物の種類や搬送先毎に色彩を変化させることが
できるので、梱包作業時において多種類のものの中から
必要なものを色彩に基づいて容易に識別することができ
る。
上述の単層のものは、リサイクルして再度同様の導電性
樹脂シートに再生することもできる。すなわち、この種
の導電性樹脂シートは、裁断後に再度所望の形状に成形
し直し、さらに既述の条件による電圧の印加処理を施す
と、表面抵抗が小さな同様の導電性樹脂シートに再生さ
れ得る。因みに、導電性樹脂シートが着色材による色彩
を付与されている場合、再生後の導電性樹脂シートには
同様の色彩が反映され得る。
において他の樹脂シートと特に異なることが無いため、
外観形態に基づいて他の樹脂シートから識別するのは困
難であるが、例えば次のような方法で他の樹脂シートか
ら判別することができる。
シートに対して熱重量分析を実施し、当該樹脂シートに
含まれる導電性フィラーの量と種類を分析する。そし
て、予め測定された樹脂シートの表面抵抗が分析により
判明した導電性フィラー量(特に、20重量%未満)で
は通常達成できないレベルである場合(すなわち、通常
達成できる表面抵抗よりも小さい場合)、当該樹脂シー
トは、本発明の導電性樹脂シートであると判定すること
ができる。
際は、通常、空気中において10℃/分程度の昇温速度
で室温から1,000℃まで樹脂シートを加熱し、その
間の重量変化を調べる。加熱後の樹脂材料が炭素を残さ
ない場合、熱重量分析時における樹脂シートの加熱は、
窒素等の不活性ガス中で実施することもできる。
%の非導電性無機物とを含む、表面抵抗が1.4×10
3Ω/□のポリスルホン樹脂(加熱処理後に炭素を残す
樹脂)からなる導電性樹脂シートについての熱重量分析
結果を示す。なお、非導電性無機物は、隠蔽材として用
いられる酸化チタンを含む、数種類の無機物の混合物で
ある。図2に%で表示された数値は、変曲点間の重量減
少を示している。図において、637.6〜763.5
℃の範囲で14.4%の重量減少が認められ、これは導
電性樹脂シートに含まれる炭素繊維の量と略一致してい
ることがわかる。また、800℃での残留分は略15%
であり、これは導電性樹脂シートに含まれる非導電性無
機物の量と略一致していることがわかる。このような熱
重量分析結果により、分析対象である導電性樹脂シート
は、約15重量%の炭素材料系導電性フィラーと、約1
5重量%の非導電性無機物とを含むことがわかる。
における29.5%の重量減少は、導電性樹脂シートを
構成するポリスルホン樹脂の炭化によるものであり、燃
焼速度が炭素繊維や他の炭素材料系の導電性フィラーに
比べて著しく速いため、導電性フィラーである炭素繊維
に起因するものでないことが容易に判別できる。
フィラーが金属材料系のものである場合は、その導電性
フィラーの酸化による重量増加が観測されることにな
る。したがって、熱重量分析結果において重量増加が認
められた場合は、導電性樹脂シートが金属材料系の導電
性フィラーを含んでいるものと推測することができる。
A(エレクトロンスペクトロスコピーフォーケミカルア
ナリシス)やEPMA(エレクトロンプローブマイクロ
アナライザー)を用いた分析を実施して導電性樹脂シー
ト中に含まれる導電性フィラーの種類や量を推測する手
法も同様に採用することができる。
樹脂材料の軟化点またはそれ以上に加熱処理した後に室
温まで冷却し、その後、当該樹脂シートについて表面抵
抗を測定する。本発明の導電性樹脂シートは、このよう
な加熱処理により絶縁破壊部分が治癒され、加熱処理後
の表面抵抗が加熱処理する前の表面抵抗に比べて大きく
なる。より具体的には、本発明の導電性樹脂シートは、
通常、加熱処理後の表面抵抗が加熱処理する前の表面抵
抗の100倍以上になる。これに対し、本発明のものと
は異なる導電性樹脂シート、すなわち、電圧の印加処理
の履歴が無い導電性樹脂シートは、絶縁破壊部分を有し
ていないため、上述のような加熱処理を施しても、表面
抵抗が増加し難い。
に室温まで冷却された本発明の導電性樹脂シートは、そ
の後、既述の条件でさらに電圧の印加処理を施すと、表
面抵抗が当該電圧の印加処理前の1/100以下になり
得る。
を有している場合において、その色彩が樹脂シートの断
面全体に渡って実質的に均一に現れており、しかもその
表面抵抗が10 12Ω/□以下の範囲、若しくは102〜
1012Ω/□の範囲、特に104〜108Ω/□の範囲で
ある場合、その樹脂シートは、本発明の導電性樹脂シー
トのうち、上述の単層のものの可能性がある。因みに、
本発明で用いられるような炭素材料系の導電性フィラー
を20重量%以上含む導電性樹脂シートは、全体が黒色
を呈することになるため、着色材を含んでいても、当該
着色材に応じた色彩を呈し得ない。
分洗浄し、洗浄の前後の表面抵抗を比較する。本発明の
導電性樹脂シートは、表面抵抗が洗浄の前後で変化しに
くいが、他の導電性樹脂シート、特に、界面活性剤を用
いて導電性が付与された導電性樹脂シートは、洗浄後の
表面抵抗が著しく高くなる。したがって、導電性樹脂シ
ートの洗浄前後の表面抵抗を測定することにより、導電
性樹脂シートが本発明の導電性樹脂シートであるか否か
を判別することができる。
7のポリアクリロニトリル系炭素短繊維(三菱レーヨン
株式会社の商品名“パイロフィル”)からなる、フィラ
ー群電気抵抗値が0.06Ωcmの繊維群(導電性フィ
ラー)を用意した。
サイド樹脂(日本ゼネラルエレクトリック株式会社の商
品名“ノリルPPO534”)に対して上述の繊維群、
黄色の着色材(東洋化成株式会社の商品名“CB11
6”)、隠蔽材である酸化チタン(石原産業株式会社の
商品名“CR60”)およびタルク(富士タルク株式会
社の商品名“#1000”)をフィーダーを用いて供給
して混合し、繊維群、着色材および隠蔽材を含む樹脂材
料からなるペレット(成形材料)を調製した。なお、繊
維群の混合割合は、ペレット中において6.0重量%に
なるよう設定した。また、着色材、酸化チタンおよびタ
ルクの混合割合は、それぞれ1.0重量%、0.2重量
%および3.0重量%になるよう設定した。このペレッ
トは、着色材による黄色を呈していた。
圧力1,200kg/cm2および金型温度60℃の条
件で住友重機械工業株式会社製のPROMAT射出成形
機を用いて成形し、厚さが3mmで日本工業規格A4サ
イズの矩形状シート、すなわち単層の黄色のシート状物
を得た。得られたシート状物の表面に銀ペーストを用い
て一対の電極を形成し、当該電極間の電気抵抗を測定し
てシート状物の表面抵抗(Ω/□)を求めたところ、4
×1015Ω/□であった。なお、以下、「表面抵抗」と
言う場合は、このようにして測定した抵抗を言うものと
する。
ニトリル系炭素繊維の平均残存アスペクト比は28.6
であった。因みに、この平均残存アスペクト比は、シー
ト状物を塩化メチレンに溶解してポリアクリロニトリル
系炭素短繊維を分離し、そのうちの400本の平均長さ
と平均径とを光学顕微鏡で測定して算出したものであ
る。
ート状物を載置し、当該シート状物の上方に多数の針状
電極からなる電極群を配置した。なお、プレートと電極
群との間隔は40mmに設定し、電極群がシート状物に
直接触れないようにした。そして、電極群に対し、その
極性がプラスになるよう30,000Vの直流電圧を1
0秒間印加した。このようにして電圧の印加処理が施さ
れたシート状物(本発明に係る導電性樹脂シート)の表
面抵抗は1×108Ω/□であり、電圧の印加処理前に
比べて大幅に低下していることが確認された。また、シ
ート状物の色彩は、電圧の印加処理後であっても変化し
なかった。
を実施した結果を図3に示す。この熱重量分析結果は、
熱重量分析器としてセイコーインスツルメント株式会社
の商品名“TG/DTA32”を用い、分析条件を測定
温度範囲=20〜1,000℃、昇温速度=10℃/分
および空気流量=200.0ml/分にそれぞれ設定し
て得られたものであり、そこに%で表示された数値は重
量の残存率である。この熱重量分析結果は、シート状物
中の繊維群重量が5.8重量%であることを示してお
り、この値は、シート状物を製造する際に用いた繊維群
の混合割合と概ね一致している。また、この結果は、不
燃残査が5.3重量%残留していることを示している
が、これは、隠蔽材等に由来するものと考えられる。
会社の商品名“ノバテックBC3B”)に対し、平均繊
維径が7μmでありかつ平均アスペクト比が857のポ
リアクリロニトリル系炭素短繊維(三菱レーヨン株式会
社の商品名”パイロフィル”)からなる、フィラー群電
気抵抗値が0.06Ωcmの繊維群、黄色の着色材(東
洋化成株式会社の商品名“CB116”)、隠蔽材であ
る酸化チタン(石原産業株式会社の商品名“CR6
0”)およびマイカ(クラレ株式会社の商品名“クラレ
マイカ200HK”)を実施例1の場合と同様にして混
合し、ペレットを得た。なお、繊維群の混合割合は、ペ
レット中において5.0重量%になるよう設定した。ま
た、着色材、酸化チタンおよびマイカの混合割合は、そ
れぞれ0.6重量%、0.2重量%および1.0重量%
になるよう設定した。このペレットは、着色材による鮮
やかな黄色を呈していた。
様の成形過程を経てシート状物を製造した。このシート
状物は、鮮やかな黄色を呈していた。また、シート状物
中におけるポリアクリロニトリル系炭素短繊維の平均残
存アスペクト比は51.1であった。この平均残存アス
ペクト比は、シート状物を溶解するための溶媒として熱
デカリンを用いた点を除き、実施例1の場合と同様にし
て求めたものである。
加処理を施す前後について測定した。電圧の印加処理条
件は、30kVの交流電圧を用いた点を除き、実施例1
の場合と同様に設定した。シート状物の表面抵抗は、電
圧の印加処理前が2.6×1014Ω/□であったのに対
し、電圧の印加処理後は3.3×105Ω/□に低下し
ていた。なお、シート状物の色彩は、電圧の印加処理後
であっても変化しなかった。
いて熱重量分析を実施した結果を図4に示す。この熱重
量分析結果は、熱重量分析器としてセイコーインスツル
メント株式会社の商品名“TG/DTA32”を用い、
分析条件を測定温度範囲=20〜1,000℃、昇温速
度=10℃/分および空気流量=200.0ml/分に
それぞれ設定して得られたものであり、そこに%で表示
された数値は重量の残存率である。図4に示された熱重
量分析結果は、シート状物中の繊維群重量が4.9重量
%であることを示しており、この値は、シート状物を製
造する際に用いた繊維群の混合割合と概ね一致している
ことが分かる。また、この結果は、不燃残査が2.1重
量%残留していることを示しているが、これは隠蔽材等
に由来するものと考えられる。
および1.0重量%に変更し、また、酸化チタンとマイ
カとを用いなかった点を除いて実施例2の場合と同様に
して黄色のシート状物を製造した。シート状物中におけ
るポリアクリロニトリル系炭素短繊維の平均残存アスペ
クト比は52.3であった。このシート状物の表面抵抗
を測定した後、このシート状物に対して実施例2と同様
の条件による電圧の印加処理を施した。シート状物の表
面抵抗は、電圧の印加処理前が8×1013Ω/□であっ
たのに対し、電圧の印加処理後は4×105Ω/□に低
下していた。なお、シート状物の色彩は、電圧の印加処
理後であっても変化しなかった。
いて、実施例2の場合と同様に熱重量分析を実施した結
果を図5に示す。図5に示された熱重量分析結果は、シ
ート状物中の繊維群重量が6.1重量%であることを示
しており、この値は、シート状物を製造する際に用いた
繊維群の混合割合と概ね一致していることが分かる。ま
た、この結果は、不燃残査が0.5重量%残留している
ことを示しているが、これはシート状物中に含まれる着
色材に由来のもの、若しくは不純物によるものと考えら
れる。
ネラルエレクトリック株式会社の商品名“ノリルPPO
534”)に対し、平均繊維径が12μmでありかつ平
均アスペクト比が250のピッチ系炭素短繊維(大阪瓦
斯株式会社の商品名“Xylus GCA03J43
1”)からなる、フィラー群電気抵抗値が6080Ωc
mの繊維群、緑色の着色材(大日精化株式会社の商品名
“NO41”)、隠蔽材である酸化チタン(石原産業株
式会社の商品名“CR60”)およびマイカ(クラレ株
式会社の商品名“クラレマイカ200HK”)を実施例
1の場合と同様にして混合し、ペレットを得た。なお、
繊維群の混合割合はペレット中において16重量%にな
るよう設定し、また、着色材、酸化チタンおよびマイカ
の混合割合は、それぞれ1.0重量%、1.0重量%お
よび5.0重量%になるよう設定した。得られたペレッ
トは、着色材による緑色を呈していた。
様の成形過程を経てシート状物を製造した。このシート
状物は、着色材による緑色を呈していた。また、シート
状物中におけるピッチ系炭素短繊維の平均残存アスペク
ト比は18.8であった。この平均残存アスペクト比
は、実施例1の場合と同様にして求めたものである。さ
らに、このシート状物は、電圧の印加処理前および実施
例1の場合と同様の電圧印加処理後の表面抵抗を測定し
たところ、それぞれ3×1010Ω/□および5×108
Ω/□であった。シート状物の色彩は、電圧の印加処理
後であっても変化しなかった。
いて、加熱処理後の表面抵抗を調べた。ここでは、シー
ト状物を表1に示す温度で30分間加熱し、その後10
分かけて室温まで冷却する加熱−冷却サイクルを各温度
について4サイクル実施し、その後に表面抵抗を測定し
た。結果を表1に示す。加熱処理温度のレンジが95〜
165℃の場合は、加熱処理後の表面抵抗は加熱処理前
と略同じであって大幅な変化は見られなかったが、実施
例2で用いた樹脂の軟化点である175℃での加熱処理
後は、表面抵抗が電圧の印加処理前のレベルまで大幅に
上昇していることがわかる。
繊維群のみを用い、実施例2の場合と同様にしてシート
状物を製造した。ここでは、繊維群の含有量が5重量
%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%および1
0重量%にそれぞれ設定された6種類のシート状物を製
造した。各シート状物の表面抵抗を測定した結果を図6
に示す。
%、7重量%および8重量%にそれぞれ設定されたシー
ト状物について、実施例2の場合と同様の電圧の印加処
理を施し、その後の表面抵抗を測定した。結果を図6に
示す。
8重量%のレゾール樹脂:住友ベークライト株式会社の
商品名“スミライトレジン PR53717”)にアセ
トンとメタノールとを2:1の割合で混合した混合溶媒
を添加し、フェノール樹脂の濃度が5重量%の樹脂溶液
を得た。
600のストランド状の綿を浸漬した後に取り出し、乾
燥後のフェノール樹脂含浸量が固形分換算で2重量%に
なるよう絞り機にかけて樹脂溶液量を調整した。
℃に設定されたプレス機を用いて100kg/cm2の
圧力で5分間加圧成形し、綿の嵩密度が0.4g/cc
でありかつ大きさが300mm×300mm×3mmの
板状の成形体を得た。続けて、この成形体を炭化炉内に
入れ、窒素雰囲気下において、室温〜230℃の間を
6.6℃/分、230〜350℃の間を1℃/分、35
0〜470℃の間を2℃/分、470〜1,000℃の
間を5℃/分の割合で昇温させながら徐々に加熱し、最
終温度である1,000℃で2時間さらに加熱処理して
炭化させた。この際の炭化収率は22.5重量%であっ
た。炭化後の成形体を3mm角に切断し、第1の導電性
フィラーを得た。この第1の導電性フィラーのフィラー
群電気抵抗値は0.8Ωcmであった。
るポリフェニレンオキサイド樹脂(日本ゼネラルエレク
トリック株式会社の商品名“ノリル0534”)に対し
て上述の第1の導電性フィラーと、平均繊維径が12μ
mでありかつ平均アスペクト比が250の等方性ピッチ
系炭素短繊維(大阪瓦斯株式会社の商品名”Xylus
GC03J401”)の群からなる第2の導電性フィ
ラー(フィラー群電気抵抗値=0.08Ωcm)とを混
合し、成形材料を得た。ここでは、ポリフェニレンオキ
サイド樹脂中において第1の導電性フィラーおよび第2
の導電性フィラーがそれぞれ4重量%および8重量%含
まれるように設定した。なお、ポリフェニレンオキサイ
ド樹脂に対する第1および第2の導電性フィラーの供給
は、2台の定量フィーダーを用い、各定量フィーダーか
ら第1および第2の導電性フィラーを別個にポリフェニ
レンオキサイド樹脂に対して供給した。
このペレットを、樹脂温度300℃、射出圧力1,80
0kg/cm2および金型温度150℃の条件で住友重
機械工業株式会社製のPROMAT射出成形機を用いて
成形し、厚さが3mmで日本工業規格A4サイズの矩形
状シート、すなわち実施例1の場合と同様の単層のシー
ト状物を得た。得られたシート状物について、実施例1
の場合と同様に表面抵抗を測定したところ、9.1×1
014Ω/□であった。また、シート状物中における第1
の導電性フィラーおよび第2の導電性フィラーの平均残
存アスペクト比は、それぞれ14および24であった。
この平均残存アスペクト比は、溶媒としてジクロロメタ
ンを用いた点を除き、実施例1の場合と同様にして算出
したものである。
2の場合と同様にして電圧の印加処理を施し、その後再
度表面抵抗を測定したところ、4.9×106Ω/□に
低下していることが確認された。
性フィラーおよび第2の導電性フィラーの量をそれぞれ
5重量%および7重量%に変更した点を除いて実施例7
の場合と同様にシート状物を得た。このシート状物の表
面抵抗を測定したところ、5.3×1014Ω/□であっ
た。また、シート状物中における第1の導電性フィラー
および第2の導電性フィラーの平均残存アスペクト比
は、それぞれ14および24であった。この平均残存ア
スペクト比は、実施例7の場合と同様にして算出したも
のである。さらに、このシート状物に対して実施例7の
場合と同様に電圧の印加処理を施したところ、表面抵抗
は5.8×105Ω/□に低下していることが確認され
た。
混合割合をそれぞれ20重量%、3.0重量%および
1.0重量%に変更し、また、タルクに代えて5.0重
量%のマイカ(クラレ株式会社の商品名“クラレマイカ
200HK”)を利用した点を除いて実施例1の場合と
同様のペレットを調製した。このペレットを用いて実施
例1の場合と同様の方法でシート状物を製造したとこ
ろ、当該シート状物は、濃灰色を呈し、ペレットに添加
した着色材による色彩は反映されなかった。また、この
シート状物は、電圧の印加処理を施す前から、既に2.
0×102Ω/□の表面抵抗を示した。
量%、カーボンブラック(アクゾ社の商品名“ケッチェ
ンブラックEC”)20重量%、赤色の着色材(東洋化
成株式会社の商品名“CB328”)3.0重量%、酸
化チタン(石原産業株式会社の商品名“CR60”)
5.0重量%およびタルク(富士タルク株式会社の商品
名“#1000”)5.0重量%を実施例1の場合と同
様に混合してペレットを得、さらに、このペレットから
実施例1の場合と同様にしてシート状物を得た。得られ
たシート状物は、黒色であり、着色材による色彩は反映
されなかった。また、このシート状物の表面抵抗は、電
圧の印加処理を施す前から、既に4Ω/□であった。
ィラーを含みかつ電圧の印加処理が施されているため、
同量の導電性フィラーを含む他の樹脂シートに比べて高
い導電性、特に、小さな表面抵抗を示し得る。したがっ
て、この導電性樹脂シートは、導電性フィラーの添加量
を抑制しつつ高い導電性、特に、小さな表面抵抗を達成
し得る。
は、導電性フィラーと共に着色材を含みかつ電圧の印加
処理が施されているため、所要の色彩を呈し、しかも同
量の導電性フィラーを含む他の導電性樹脂シートに比べ
て高い導電性、特に、小さな表面抵抗を示し得る。
は、導電性フィラーを含みかつ樹脂材料からなるシート
状物に対して電圧を印加しているため、導電性フィラー
の添加量を抑制しながら高い導電性、特に、小さな表面
抵抗を示す導電性樹脂シートを製造することができる。
図。
量分析の結果を示す図。
果を示す図。
果を示す図。
果を示す図。
群の含有量と表面抵抗との関係を電圧印加処理前後のそ
れぞれについて示したグラフ。
Claims (18)
- 【請求項1】導電性フィラーを含む樹脂材料を成形した
シート状物であって、電圧の印加処理が施されている、
導電性樹脂シート。 - 【請求項2】前記樹脂材料中における前記導電性フィラ
ーの含有量が20重量%未満である、請求項1に記載の
導電性樹脂シート。 - 【請求項3】前記樹脂材料中における前記導電性フィラ
ーの含有量が1.0重量%以上16重量%以下である、
請求項1に記載の導電性樹脂シート。 - 【請求項4】前記導電性フィラーは、フィラー群電気抵
抗値が105Ωcm以下10-2Ωcm以上のものであ
る、請求項1、2または3に記載の導電性樹脂シート。 - 【請求項5】前記導電性フィラーが繊維状のものであ
る、請求項1、2、3または4に記載の導電性樹脂シー
ト。 - 【請求項6】前記導電性フィラーの平均繊維径が0.0
02μm以上15μm以下である、請求項5に記載の導
電性樹脂シート。 - 【請求項7】前記シート状物に成形された前記樹脂材料
中における前記導電性フィラーの平均残存アスペクト比
が10以上100,000以下である、請求項5または
6に記載の導電性樹脂シート。 - 【請求項8】前記電圧が1,000V以上前記樹脂材料
の絶縁破壊電圧未満である、請求項1、2、3、4、
5、6または7に記載の導電性樹脂シート。 - 【請求項9】前記電圧が20kV以上前記樹脂材料の絶
縁破壊電圧未満である、請求項1、2、3、4、5、6
または7に記載の導電性樹脂シート。 - 【請求項10】前記導電性フィラーと共に前記樹脂材料
中に分散された着色材をさらに含む、請求項1、2、
3、4、5、6、7、8または9に記載の導電性樹脂シ
ート。 - 【請求項11】前記導電性フィラーが炭素繊維および黒
鉛繊維のうちの少なくとも一つである、請求項10に記
載の導電性樹脂シート。 - 【請求項12】前記導電性フィラーおよび前記着色材と
共に前記樹脂材料中に分散された、前記導電性フィラー
の色彩を隠蔽するための隠蔽材をさらに含む、請求項1
0または11に記載の導電性樹脂シート。 - 【請求項13】表面抵抗が1012Ω/□以下である、請
求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11
または12に記載の導電性樹脂シート。 - 【請求項14】第1の樹脂材料を用いて形成された中心
層と、 前記中心層の両面にそれぞれ積層された、導電性フィラ
ーを含む第2の樹脂材料を用いて形成された表面層とを
備え、 電圧の印加処理が施されている、導電性樹脂シート。 - 【請求項15】導電性フィラーを含む樹脂材料を成形し
たシート状物からなり、 前記樹脂材料の軟化点に加熱処理して室温まで冷却した
後の表面抵抗が加熱処理する前の表面抵抗の100倍以
上である、導電性樹脂シート。 - 【請求項16】前記加熱処理の後に、さらに電圧の印加
処理を施した場合の表面抵抗が、前記印加処理を施す前
の表面抵抗の1/100以下である、請求項15に記載
の導電性樹脂シート。 - 【請求項17】樹脂材料と導電性フィラーとを含む成形
材料をシート状に成形してシート状物を得る工程と、 前記シート状物に対して電圧を印加する工程と、を含む
導電性樹脂シートの製造方法。 - 【請求項18】第1の樹脂材料をシート状に成形して中
心層を得る工程と、 導電性フィラーを含む第2の樹脂材料をシート状に成形
して前記中心層の両面にそれぞれ積層し、シート状の積
層体を得る工程と、 前記積層体に対して電圧を印加する工程と、を含む導電
性樹脂シートの製造方法。
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- 2000-01-21 JP JP2000013546A patent/JP4503758B2/ja not_active Expired - Fee Related
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