JP2001097993A - 5−アルキル−2−チオシトシンヌクレオシドおよびその塩、ならびに該化合物を含有する抗ウイルス剤 - Google Patents

5−アルキル−2−チオシトシンヌクレオシドおよびその塩、ならびに該化合物を含有する抗ウイルス剤

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JP2001097993A
JP2001097993A JP27373199A JP27373199A JP2001097993A JP 2001097993 A JP2001097993 A JP 2001097993A JP 27373199 A JP27373199 A JP 27373199A JP 27373199 A JP27373199 A JP 27373199A JP 2001097993 A JP2001097993 A JP 2001097993A
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Minero Saneyoshi
峯郎 実吉
Toshiyuki Nagata
敏幸 永田
Toshiyuki Wakayama
敏之 若山
Nobuaki Koike
信明 小池
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Toagosei Co Ltd
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Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の課題は、ウイルス感染症に対して十分
な薬効性および安全性を有する抗ウイルス剤を提供する
ことである。 【解決手段】下記式(1)で表される5−アルキル−2
−チオシトシンヌクレオシドまたはその塩。 【化1】 (式中、R1は炭素数が6個以下のアルキル基または置
換基を有していてもよいベンジル基を示し、R2は水素
原子、水酸基または保護基を有する水酸基を示し、R3
およびR4はそれぞれ水素原子または水酸基の保護基を
示す)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、医薬および核酸化
学の分野に有用な5−アルキル−2−チオシトシンヌク
レオシドおよびその塩に関するものである。
【0002】
【従来の技術】抗ウイルス剤の分野において、有効性お
よび安全性の高い薬剤の開発が進められ、現在、ウイル
ス感染症の治療薬として、アシクロビル、ガンシクロビ
ル、ビダラビンおよびアジドチミジン(いずれも慣用
名)などが使用されている。しかしながら、これらの薬
剤は耐性株の出現や毒性などの問題があり、現在のとこ
ろ、ウイルス性疾患に対して満足のいく治療薬はなく、
新たな抗ウイルス剤の開発が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ウイ
ルス感染症に対して十分な薬効性および安全性を有する
抗ウイルス剤を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究を行なった結果、新規な5
−アルキル−2−チオシトシンヌクレオシドおよびその
塩が、ウイルス感染性に対して薬効性があることを見出
し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は下
記式(1)で表される5−アルキル−2−チオシトシン
ヌクレオシドまたはその塩である。
【0005】
【化2】
【0006】(式中、R1は炭素数が6個以下のアルキ
ル基または置換基を有していてもよいベンジル基を示
し、 R2は水素原子、水酸基または保護基を有する水酸
基を示し、R3およびR4はそれぞれ水素原子または水酸
基の保護基を示す)
【0007】
【発明の実施の形態】本発明における5−アルキル−2
−チオシトシンヌクレオシドは、前記式(1)で表され
る化合物であり、式(1)におけるR1は炭素数が6個
以下のアルキル基または置換基を有していてもよいベン
ジル基であり、 R2は水素原子、水酸基または保護基を
有する水酸基を示し、R3およびR4はそれぞれ水素原子
または水酸基の保護基であり、これらは同一であっても
異なっていてもよい。R1は直鎖状、枝別れ状または環
状の炭素数が6個以下のアルキル基または置換基を有し
ていてもよいベンジル基であり、アルキル基としては、
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シ
クロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブ
チル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチ
ル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基、シクロペ
ンチル基、ヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メ
チルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペ
ンチル基、2−エチルブチル基、シクロヘキシル基およ
びシクロペンチルメチル基などが挙げられ、置換基を有
していてもよいベンジル基としては、ベンジル基、p−
メチルベンジル基、o−メチルベンジル基、m−メチル
ベンジル基、p−フルオロベンジル基、p−クロロベン
ジル基およびp−ブロモベンジル基などが挙げられる。
【0008】また、R2、R3およびR4で表される水酸
基の保護基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブ
チリル基、ベンゾイル基、トルオイル基、p−クロロベ
ンゾイル基およびアニソイル基などのアシル基;トリメ
チルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基およ
びtert−ブチルジフェニルシリル基などの有機ケイ
素基;トリチル基、メトキシトリチル基およびジメトキ
シトリチル基などのアリールアルキル基などを例示する
ことができる。
【0009】本発明の5−アルキル−2−チオシトシン
ヌクレオシドは、その塩の形態であってもよく、例え
ば、塩酸塩、硫酸塩、臭化水素酸塩およびリン酸塩など
の無機塩;酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、フマール
酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩およびクエン酸塩などの脂
肪族カルボン酸塩;安息香酸塩などの芳香族カルボン酸
塩ならびにメタンスルホン酸塩およびトルエンスルホン
酸塩などの有機スルホン酸塩などが挙げられる。
【0010】5−アルキル−2−チオシトシンヌクレオ
シドは新規化合物であり、種々の方法で製造することが
できるが、以下に記載する方法により収率よく製造する
ことができる。まず、式(1)においてR2が水素原子
である5−アルキル−2−チオ−2’−デオキシシチジ
ン誘導体の製造方法について述べる。その製造方法の一
例を下記製造経路(A)に表す。
【0011】
【化3】
【0012】以下、上記製造経路(A)の各工程につい
て説明する。 工程a):本工程は、ルイス酸の存在下に、2−デオキ
シリボース誘導体とビス(トリオルガノシリル)−5−
アルキル−2−チオウラシルとを反応させて、5−アル
キル−2−チオ−2’−デオキシウリジン誘導体を製造
する工程である。本工程における原料化合物である2−
デオキシリボース誘導体を表す式(2)においてR5
よびR6は水酸基の保護基を示し、Xは脱離基を示す。
5およびR 6は同一であっても異なっていてもよく、反
応の障害にならないものであれば特に限定されない。具
体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、
ベンゾイル基、トルオイル基およびp−クロロベンゾイ
ル基などのアシル基;トリチル基、メトキシトリチル基
およびジメトキシトリチル基などのアリールアルキル
基;エトキシカルボニル基などのアルキルオキシカルボ
ニル基;フェノキシカルボニル基などのアリールオキシ
カルボニル基;ならびにトリメチルシリル基、tert
−ブチルジメチルシリル基およびtert−ブチルジフ
ェニルシリル基などのトリオルガノシリル基などが挙げ
られ、これらの保護基がフェニル基を有する場合には、
その置換基としてアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基
およびアルコキシ基などを有していてもよい。Xの脱離
基としては、脱離能を有するものであればよく、具体的
には、塩素原子および臭素原子などのハロゲン原子;メ
トキシ基、エトキシ基およびプロポキシ基などのアルコ
キシ基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;アセチ
ルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基
およびベンゾイルオキシ基などのアシロキシ基;エトキ
シカルボニルオキシ基などのアルコキシカルボニルオキ
シ基;ならびにフェノキシカルボニルオキシ基などのア
リールカルボニルオキシ基などが挙げられ、これらの脱
離基がフェニル基を有する場合には、その置換基として
アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基およびアルコキシ
基などを有していてもよい。前記2−デオキシリボース
誘導体は、公知の方法〔例えばChem.Ber.,93,2777 (196
0).J.Org.Chem.,26,2895 (1961).〕に準じて製造するこ
とができる。
【0013】また、本工程における他方の原料化合物で
あるビス(トリオルガノシリル)−5−アルキル−2−
チオウラシルは式(3)で表されるものであり、R1
前記式(1)におけるR1と同様である。また、R7、R
8およびR9はアルキル基またはアリール基であり、いづ
れも同一であっても異なっていてもよい。アルキル基の
具体例としては、メチル基、エチル基およびtert−
ブチル基などが挙げられ、アリール基の具体例として
は、フェニル基などが挙げられる。ビス(トリオルガノ
シリル)−2−チオ−5−アルキルウラシルは公知の方
法で製造することができ、例えば、R7、R8およびR9
がともにメチル基である化合物は、1,1,1,3,
3,3−ヘキサメチルジシラザンまたはトリメチルシリ
ルクロリドのようなトリメチルシリル化剤と5−アルキ
ル−2−チオウラシルとの反応で製造することができ
る。
【0014】本反応は、ルイス酸の存在下に、2−デオ
キシリボース誘導体に対してビス(トリオルガノシリ
ル)−5−アルキル−2−チオウラシルを1当量以上用
いて反応を行うのが好ましい。前記ルイス酸としては、
四塩化スズ、四塩化チタンおよびトリメチルシリルトリ
フルオロメタンスルホナートなどが挙げられる。ルイス
酸の量としては、2−デオキシリボース誘導体に対して
0.1当量以上が好ましく、より好ましくは1当量以上
である。本反応は、非プロトン性溶媒中で行うことが好
ましく、非プロトン性溶媒としては、例えば、ジクロロ
メタン、クロロホルム、1,1−ジクロロエタン、1,
2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、
1,1,2,2−テトラクロロエタン、エーテル、ジオ
キサン、トルエンおよびアセトニトリルなどが挙げられ
る。反応温度は−78℃から50℃の範囲で行うことが
好ましく、更に好ましくは、−40℃から25℃であ
る。この反応の反応時間は、反応温度ならびに使用する
ルイス酸の種類および量によって異なるが、通常、数分
から1日が望ましい。
【0015】反応終了後、反応生成物を水で処理するこ
とにより、生成物中のトリオルガノシリル基が加水分解
し、目的物である式(4)で表される化合物が得られ
る。反応液をピリジン水溶液または炭酸水素ナトリウム
水溶液などの塩基性化合物を含有する水溶液で処理する
ことが、トリオルガノシリル基の分解を容易にすると共
に、反応液中のルイス酸を同時に中和できる点で好まし
い。
【0016】前記塩基性化合物を含有する水溶液で処理
した後、生成物を常法により反応混合物から単離するこ
とができる。例えば、有機溶媒抽出などの後処理を行っ
た後、必要に応じて再結晶およびクロマトグラフィーな
どの精製方法を利用する。
【0017】工程b):本工程は前記工程a)で得られ
た5−アルキル−2−チオ−2’−デオキシウリジン誘
導体の核酸塩基4位をアミノ化し、5−アルキル−2−
チオ−2’−デオキシシチジン誘導体を製造する工程で
ある。本工程の原料化合物である式(4)で表される化
合物は、必要に応じて前記工程a)で得られた5−アル
キル−2−チオ−2’−デオキシウリジン誘導体の糖部
水酸基の保護基であるR 5基およびR6基を他の保護基に
変換してもよい。前記塩基の4位をアミノ化する方法
は、常法に従って行えばよく、例えば、式(4)で表さ
れる化合物、トリアゾールならびにオキシ塩化リンまた
はp−クロロフェニルホスホロジクロリデートなどのク
ロロオキシリン化合物を有機溶媒中で反応させ、塩基の
4位にトリアゾリル基を導入した後、アンモニアを添加
する方法が好ましい。本反応において、トリアゾールお
よびクロロオキシリン化合物の反応割合としては、式
(4)で表される化合物に対していづれも1.0モル当
量以上用いるのが好ましく、いづれも1.5モル当量以
上用いることが生成物の収率に優れるためより好まし
い。アンモニアは式(4)で表される化合物に対して3
モル当量以上用いるのが好ましく、5モル当量以上用い
ることが優れるためより好ましい。
【0018】さらに、前記トリアゾール基を導入する反
応は、非プロトン性有機溶媒中で行うことが好ましく、
例えば、ピリジン、アセトニトリル、ジメチルスルホキ
シド、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、ジオ
キサンおよびクロロホルムなどが挙げられる。反応温度
は特に限定されないが、−20℃〜100℃で行うこと
が好ましく、反応時間は、反応温度によって異なるが、
通常1時間から数日である。本工程では、反応時間を短
縮させる目的で、トリメチルアミン、トリエチルアミ
ン、 N,N−ジメチルアニリンおよびN,N−ジメチ
ルアミノピリジンなどの第3級アミンを添加することが
好ましい。
【0019】前記塩基の4位をアミノ化する反応は、ア
ンモニアを吸収した溶媒中で行うことが好ましく、例え
ば、メタノールにアンモニアを吸収させた溶媒や、アン
モニア水と有機溶媒との混合溶液中で行うことができ
る。本工程において、水酸基の保護基であるR5基およ
びR6基をアンモニアで脱保護が可能な保護基を用いる
ことにより、核酸塩基の4位のアミノ化と糖部の脱保護
を同時に行うことができる。このような保護基として
は、 R5基およびR6基として、アセチル基、プロピオ
ニル基、ブチリル基、ベンゾイル基および置換ベンゾイ
ル基などのアシル基が挙げられる。
【0020】一方、式(4)で表される化合物のR5
およびR6基の少なくとも一方がアシル基以外の保護基
である場合には、上記の方法で塩基部4位をアミノ化し
た後、保護基の種類に応じて脱保護を行うことができ
る。例えば、水酸基の保護基が、トリチル基、メトキシ
トリチル基およびジメトキシトリチル基などのアリール
アルキル基の場合には、塩酸および硫酸などの無機系酸
性物質ならびに酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリ
クロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸およ
びトルエンスルホン酸などの有機酸などを使用して酸加
水分解を行い脱保護する。また、保護基がトリメチルシ
リル基、tert−ブチルジメチルシリル基およびte
rt−ブチルジフェニルシリル基などの有機ケイ素基で
ある場合には、アンモニア、アミンおよびアルコキシド
などの塩基性物質を用いた通常のアルカリ加水分解およ
びフッ化アンモニウム、テトラブチルアンモニウムフロ
リドおよびフッ化水素ピリジンなどの含フッ素試薬で処
理することにより脱保護を行う。
【0021】前記無機系酸性物質、有機酸、塩基性物質
および含フッ素試薬の割合は、反応条件を勘案して、保
護基で使用される通常の量を使用すればよい。反応は室
温でも進行するが、反応時間を短縮する目的で25〜8
0℃に加熱して反応を行ってもよい。反応時間は、反応
温度、保護基の種類および選択する脱保護方法によって
異なるが、通常1時間〜数日であることが好ましい。脱
保護終了後、式(5)で表される5−アルキル−2−チ
オ−2’−デオキシシチジンの単離は、通常の方法を用
いればよく、例えば反応終了後溶媒を除去し、必要に応
じて残渣をカラムクロマトグラフィーおよび再結晶によ
り精製する方法などが挙げられる。
【0022】次に、前記式(1)においてR2が水酸基
または保護基を有する水酸基である5−アルキル−2−
チオシトシン アラビノシド誘導体の製造方法について
述べる。その製造方法の一例を、下記製造経路(B)に
表す。
【0023】
【化4】
【0024】以下、上記製造経路(B)の各工程につい
て説明する。 工程c):本工程は、式(6)で表される5−アルキル
ウリジン類を式(7)で表される5−アルキル−2,
2’−シクロウリジン誘導体に変換する工程である。式
(6)および式(7)において、R1、R3およびR
6は、それぞれ前記式(1)または式(2)における
1、R3およびR6と同義である。本工程で用いる試薬
は、ウリジン類を2,2’−シクロウリジン類に変換さ
せる際に通常用いられている試薬を用いればよく、例え
ば、炭酸エステル、チオニルクロリド、一部加水分解し
たオキシ塩化リンまたは2−アシロキシイソブチリル
ハライドなどが挙げられる。本反応の条件、反応温度、
反応時間は、使用する試薬の種類に応じて適宜選択する
ことができる。反応終了後、式(7)で表される5−ア
ルキル−2,2’−シクロウリジン誘導体の単離は通常
の方法を用いればよく、例えば、反応終了後溶媒を除
き、必要に応じて残渣をカラムクロマトグラフィーおよ
び再結晶により精製する方法などが挙げられる。
【0025】工程d):本工程は、式(7)で表される
5−アルキル−2,2’−シクロウリジン誘導体をチオ
化し、式(8)で表される5−アルキル−2−チオウラ
シルアラビノシド誘導体を製造する工程である。式
(7)および式(8)におけるR 1、R3およびR6は、
それぞれ前記の通りである。本工程は、公知の方法(例
えば、J.Med.Chem.,10,331(196
7)、または特開平9−301993号公報)を応用し
て実施することができる。すなわち、式(7)で表され
る5−アルキル−2,2’−シクロウリジン誘導体を塩
基性物質の存在下で硫化水素を用いてチオ化する方法、
または、アンモニウム塩またはアルキルアミン塩の存在
下、式(7)で表される化合物を硫化水素のアルカリ金
属塩でチオ化する方法により、式(8)で表される5−
アルキル−2−チオウラシルアラビノシド誘導体を製造
することができる。式(7)で表される化合物を塩基性
物質の存在下で硫化水素を用いてチオ化する方法を用い
る場合、塩基性物質としては、メチルアミン、エチルア
ミン、プロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミ
ン、ジプロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチル
アミン、トリプロピルアミン、アニリン、ピリジン、ル
チジン、ジメチルアミノピリジンおよびグアニジンのよ
うな有機系アミン類を用いることが好ましく、必要に応
じて溶媒を用いてもよい。また、式(7)で表される化
合物1モルに対して上記アミン類は0.5モル以上、硫
化水素は1モル以上用いることが好ましく、反応時間を
短縮する目的でアミン類を2.0モル以上、硫化水素は
5モル以上用いることがより好ましい。反応温度は、室
温から150℃の範囲で行うことが好ましい。反応生成
物は、過剰のアミン類や硫化水素を除いた後、カラムク
ロマトグラフィーや再結晶などの通常に用いられる分離
方法および精製方法により純度を上げることができる。
【0026】一方、式(7)で表される化合物を、アン
モニウム塩またはアルキルアミン塩の存在下、硫化水素
のアルカリ金属塩でチオ化する場合に用いるアンモニウ
ム塩としては、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウ
ム、ギ酸アンモニウム塩、塩化アンモニウム、炭酸トリ
メチルアンモニウム、重炭酸トリメチルアンモニウムお
よびギ酸トリメチルアンモニウムなどが挙げられ、アル
キルアミン塩としてはトリメチルアミン塩酸塩、トリエ
チルアミン塩酸塩、トリプロピルアミン塩酸塩、ジメチ
ルアミン塩酸塩、ジエチルアミン塩酸塩およびエチルア
ミン塩酸塩などが例示される。硫化水素のアルカリ金属
塩としては、水硫化リチウム、水硫化ナトリムおよび水
硫化カリウムが好ましい。
【0027】上記チオ化反応におけるアンモニウム塩ま
たはアルキルアミン塩ならびに硫化水素のアルカリ金属
塩は、それぞれ、5−アルキル−2,2’−シクロウリ
ジン誘導体1モルに対して、1モル〜10モル使用する
ことが好適である。また、必要に応じて溶媒を使用する
ことができ、溶媒としては前記チオ化反応を妨害するも
のでなければ良く、例えば、テトラヒドロフラン、1,
4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、
N,N−ジメチルアセトアミド、水、メタノール、エタ
ノール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシドおよび
これらの混合物が例示される。チオ化反応により得られ
た生成物を単離する場合には、一般に用いられる分離方
法あるいは精製方法を用いればよく、例えば反応終了
後、溶媒を留去し、残渣を必要に応じて再結晶あるいは
カラムクロマトグラフィーにより純度を上げることがで
きる。
【0028】工程e):本工程は、式(8)で表される
5−アルキル−2−チオウラシルアラビノシド誘導体の
2’位の水酸基を保護し、式(9)で表される5−アル
キル−2−チオウラシルアラビノシド誘導体を製造する
工程である。式(9)におけるR1、R3およびR6は、
それぞれ前記の通りであり、R10は水酸基の保護基を示
す。 R10基は、R3またはR6と同様に、一般的な水酸
基の保護基でよく、例えば、アセチル基、プロピオニル
基、ブチリル基、ベンゾイル基、トルオイル基、p−ク
ロロベンゾイル基、アニソイル基などのアシル基;トリ
メチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基お
よびtert−ブチルジフェニルシリル基などの有機ケ
イ素系保護基;トリチル基、メトキシトリチル基および
ジメトキシトリチル基などのアリールアルキル基などを
例示することができる。本工程は常法によって行うこと
ができ、例えばアシル化する場合には、酸クロリドや酸
無水物などのアシル化剤を式(8)で表される化合物に
対して1当量以上用い、反応時間を短縮する目的でピリ
ジンあるいはトリエチルアミンのような塩基性物質を添
加することができ、また必要に応じて反応溶媒を用いる
こともできる。 R10基として、有機ケイ素系保護基を
用いる場合には、例えばトリメチルシリルクロリド、t
ert−ブチルジメチルシリルクロリドおよびtert
−ブチルジフェニルシリルクロリドなどの有機ケイ素ハ
ロゲン化物を式(8)で表される化合物に対して1当量
以上用い、ピリジンあるいはトリエチルアミンのような
塩基性物質の存在下で、必要に応じて反応溶媒を用いて
実施することができる。また、R10基として、トリチル
基、メトキシトリチル基およびジメトキシトリチル基な
どのアリールアルキル基を用いる場合には、例えば、ト
リチルクロリド、メトキシトリチルクロリドおよびジメ
トキシトリチルクロリドのようなアリールアルキルハラ
イドを式(8)で表される化合物に対して1当量以上用
い、ピリジンあるいはトリエチルアミンのような塩基性
物質の存在下で、必要に応じて反応溶媒を用いて実施す
ることができる。得られた式(9)で表される化合物
は、一般に用いられる分離方法あるいは精製方法により
単離することができ、例えば反応終了後、溶媒を留去
し、残渣を必要に応じて再結晶あるいはカラムクロマト
グラフィーにより純度を上げることができる。
【0029】工程f):本工程は、式(9)で表される
5−アルキル−2−チオウラシルアラビノシド誘導体の
核酸塩基4位をアミノ化し、式(10)で表される5−
アルキル−2−チオシトシンアラビノシド誘導体を製造
する工程である。本工程の原料化合物である式(9)で
表される化合物は、必要に応じて前記工程e)で得られ
た5−アルキル−2−チオウラシルアラビノシド誘導体
の糖部水酸基の保護基であるR3基、R6およびR10基を
他の保護基に変換してもよい。本工程は、前記工程b)
と同様の方法で実施することができ、必要に応じて前述
の方法で生成物を脱保護することができる。
【0030】本発明における5−アルキル−2−チオシ
トシンヌクレオシドは、ウイルス、特にヘルペスウイル
ス科に属するウイルス、例えば、単純ヘルペスウイルス
1型、単純ヘルペスウイルス2型、帯状・疱疹ウイル
ス、サイトメガロウイルスおよびエプスタインバールウ
イルスなどに対して優れた抗ウイルス作用を有し、且つ
ウイルスに感染していない増殖細胞に対しては、全く増
殖抑制効果を示さないので安全性が高く、5−アルキル
−2−チオシトシンヌクレオシドを有効成分とする薬剤
は、ウイルスに感染したヒトを含む動物の治療に有用で
ある。
【0031】前記5−アルキル−2−チオシトシンヌク
レオシドを有効成分とする薬剤は、任意の経路で投与す
ることができ、例えば、経口、非経口、経腸、局所投与
などの投与方法が可能である。投与量は、患者の年齢、
体重、疾病、重篤度、投与方法などにより異なり、これ
らの条件を総合した上で適宜決定されるものである。前
記5−アルキル−2−チオシトシンヌクレオシドの製剤
化に際しては、通常使用される製剤用担体、賦形剤、そ
の他の添加剤を含む組成物として使用される。剤型とし
ては、任意の形態をとることができ、例えば、錠剤、顆
粒剤、カプセル剤、座剤、注射剤、クリーム剤、スプレ
ー剤などを例示することができる。
【0032】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。 [実施例1] 5−メチル−2−チオ−2’−デオキシシチジン(化合
物4)の合成 6.35g(44.7mmol)の5−メチル−2−チ
オウラシルに50mlの1,1,1,3,3,3−ヘキ
サメチルジシラザン(以下、HMDSという)と硫酸ア
ンモニウム(200mg)を加え、反応液が透明になる
まで4時間加熱還流した。室温に戻し、減圧下で濃縮
後、1,2−ジクロロエタン(100ml)を加え、−
40℃に冷却した。同温度で四塩化スズ(9ml)を添
加し、続けて2−デオキシ−3,5−ジ−O−(p−ト
ルオイル)−α−D−リボフラノシル クロリド(8.
16g)のクロロホルム(100ml)溶液を滴下し
た。−40℃〜−30℃の範囲で6時間攪拌を続けた
後、−20℃に昇温し、激しく攪拌しながらピリジン
(20ml)と水(50ml)を添加した。室温に戻
し、セライトで濾過し、不溶物をクロロホルムで洗浄し
た。濾液に更に水を加え分液し、有機層を更に水で2回
洗浄後、 硫酸ナトリウムで乾燥し減圧下で濃縮した。
残渣を減圧下濃縮し、白色固体を四塩化炭素で洗浄後、
乾燥し、9.04gの3’,5’―ジ―O−(p−トル
オイル)−5−メチル−2−チオ−2’−デオキシウリ
ジン(化合物1)を得た(収率:87%)。構造はNM
Rで確認した。1 H-NMR:δ(CDCl3) 9.58(1H,brs,NH), 7.93(4H,dd,aro
m.) 7.53(1H,d,J=1.2Hz,6-H), 7.29-7.25(4H,m,aro
m.), 7.01(1H,dd,J=5.6Hz,8.4Hz,1'-H), 5.63(1H,m,3'-
H), 4.84(1H,dd,J=2.6Hz,12.4Hz,5'-H), 4.69(1H,dd,J=
3.0Hz,12.4Hz,5'-H), 4.59(1H,m,4'-H), 3.04-2.99(1H,
m,2'-H), 2.44(3H,s,CH3 in toluoyl), 2.42(3H,s,CH3
in toluoyl), 2.26-2.18(1H,m,2'-H), 1.66(3H,d,J=1.2
Hz,5-CH3).
【0033】次に、4.95gの化合物1を70mlの
メタノールに溶解し、28%アンモニア水(20ml)
を加え室温で15時間攪拌した。減圧下で濃縮し、残渣
を高速液体クロマトグラフィー(ODSカラム)で精製
し、2.38gの5−メチル−2−チオ−2’−デオキ
シウリジン(化合物2)を得た(収率:92%)。構造
はNMRで確認した。 融点:178℃1 H-NMR:δ(DMSO-d6) 12.56(1H,brs,NH), 8.02(1H,s,6-
H), 6.84(1H,t,J=6.4Hz,1'-H), 5.28(1H,d,J=4.4Hz,3'-
OH), 5.18(1H,br,5'-OH), 4.25(1H,m,3'-H), 3.85(1H,
m,4'-H), 3.67-3.60(2H,m,5'-H), 2.29-2.23(1H,m,2'-
H), 2.06-2.00(1H,m,2'-H), 1.83(3H,s,5-CH3).
【0034】次に、1.05gの化合物2をピリジン
(20ml)に溶解し、氷冷下で2.5mlの無水酢酸
を滴下した。滴下終了後、室温に戻し14時間攪拌し
た。反応液を氷冷し、3mlのメタノールを添加し1時
間攪拌した。室温に戻し、減圧下で溶媒を留去した。残
渣に酢酸エチルと水を加え分液し、有機層を更に水で2
回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下
で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
で精製することにより、1.86gの3’,5’―ジ―
O−アセチル−5−メチル−2−チオ−2’−デオキシ
ウリジン(化合物3)を得た(収率:94%)。構造は
NMRで確認した。1 H-NMR:δ(CDCl3) 9.72(1H,brs,NH), 7.52(1H,d,J=1.6H
z,6-H), 6.88(1H,dd,J=5.6Hz,8.0Hz,1'-H), 5.22-5.19
(1H,m,3'-H), 4.45(1H,dd,J=4.4Hz,12.4Hz,5'-H),4.38
(1H,dd,J=3.2Hz,12.4Hz,5'-H), 4.33-4.31(1H,m,4'-H),
2.82-2.86(1H,m,2'-H), 2.13(6H,s,acetyl), 2.11-2.0
3(1H,m,2'-H), 1.99(3H,d,J=1.6Hz,5-CH3).
【0035】さらに、1,2,4−トリアゾール(1.
03g)に乾燥アセトニトリル(15ml)を加え、氷
冷下で攪拌しながら、オキシ塩化リン(0.35ml)
とトリエチルアミン(2.1ml)を滴下した。次いで
510mgの化合物3のアセトニトリル溶液(15m
l)を滴下した。滴下終了後、室温に戻し15時間攪拌
した。高速液体クロマトグラフィーで原料の消失を確認
後、水(2ml)を添加した。減圧下で濃縮し、残渣に
酢酸エチルと水を加え分液し、有機層を更に水で2回洗
浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃
縮し、残渣にp−ジオキサン(10ml)と28%アン
モニア水(10ml)を加え14時間攪拌した。減圧下
で濃縮し残渣を高速液体クロマトグラフィ(ODSカラ
ム)で精製し、275mgの目的物である化合物4を得
た(収率:72%)。構造はNMRで確認した。1 H-NMR:δ(DMSO-d6) 8.02(1H,s,6-H), 7.85(1H,brs,N
H), 7.18(1H,brs,NH), 6.97(1H,t,J=6.0Hz,1'-H), 5.21
(1H,d,J=4.0Hz,3'-OH), 5.12(1H,m,5'-OH), 4.23(1H,m,
3'-H), 3.82(1H,m,4'-H), 3.67-3.59(2H,m,5'-H), 2.37
-2.31(1H,m,2'-H),1.94-1.88(1H,m,2'-H),1.91(3H,s,5-
CH3).
【0036】[実施例2] 5−エチル−2−チオ−2’−デオキシシチジン(化合
物8)の合成 15.02gの5−エチル−2−チオウラシルにHMD
S(70ml)と硫酸アンモニウム(250mg)を加
え、4時間加熱還流した。室温に戻し、減圧下で濃縮
後、1,2―ジクロロエタン(100ml)とクロロホ
ルム(50ml)を加え−40℃に冷却した。同温度で
四塩化スズ(17ml)を添加し、続けて2−デオキシ
−3,5−ジ−O−(p−トルオイル)−α−D−リボ
フラノシルクロリド(18.50g)のクロロホルム
(150ml)溶液を滴下した。−40℃〜−30℃の
範囲で7時間攪拌を続けた後、−20℃に昇温し、激し
く攪拌しながらピリジン(25ml)と水(60ml)
を添加した。室温に戻し、セライトで濾過し、不溶物を
クロロホルムで洗浄した。濾液に更に水を加え分液し、
有機層を更に水で2回洗浄後、 硫酸ナトリウムで乾燥
し減圧下で濃縮した。残渣を減圧下濃縮し、白色固体を
四塩化炭素で洗浄後、乾燥し、9.92gの3’,5’
−ジ−O−(p−トルオイル)−5−エチル−2−チオ
−2’−デオキシウリジン(化合物5)を得た(収率:
41%)。化合物5の構造はNMRで確認した。1 H-NMR:δ(CDCl3) 9.57(1H,brs,NH), 7.93(4H,dd,aro
m.), 7.47(1H,s,6-H), 7.29-7.25(4H,m,arom.), 7.01(1
H,dd,J=5.2Hz,8.8Hz,1'-H), 5.63(1H,m,3'-H), 4.83(1
H,dd,J=2.4Hz,12.4Hz,5'-H), 4.68(1H,dd,J=2.8Hz,12.4
Hz,5'-H), 4.60(1H,m,4'-H), 3.04 (1H,dd,J=5.2Hz,13.
8Hz,2'-H), 2.44(3H,s,CH3 in toluoyl), 2.42(3H,s,CH
3 in toluoyl), 2.26-2.19(1H,m,2'-H), 2.15-2.08(2H,
m,5-CH2 CH3),0.89(3H,t,J=7.2Hz,5-CH2 CH3 ).
【0037】次に、5.10gの化合物5を80mlの
メタノールに溶解し、28%アンモニア水(20ml)
を加え室温で一晩攪拌した。減圧下で濃縮し、残渣を高
速液体クロマトグラフィ(ODSカラム)で精製し、
2.40gの5−エチル−2−チオ−2’−デオキウリ
ジン(化合物6)を得た(収率:88%)。構造はNM
Rで確認した。1 H-NMR:δ(DMSO-d6) 12.55(1H,brs,NH), 8.00(1H,s,6-
H), 6.86(1H,t,J=6.4Hz,1'-H), 5.29(1H,d,J=4.0Hz,3'-
OH), 5.19(1H,t,J=4.4Hz,5'-OH), 4.27(1H,m,3'-H), 3.
86(1H,m,4'-H), 3.69-3.60(2H,m,5'-H), 2.30-2.23(3H,
m,5-CH2 and 2'-H), 2.08-2.01(1H,m,2'-H), 1.05(3H,
m,CH3).
【0038】次に、2.26gの化合物6をピリジン
(30ml)に溶解し、氷冷下で無水酢酸(4.0m
l)を滴下した。滴下終了後、室温に戻し一晩攪拌し
た。反応液を氷冷し、5mlのメタノールを添加し1時
間攪拌した。室温に戻し、減圧下で溶媒を留去した。残
渣に酢酸エチルと水を加え分液し、有機層を更に水で2
回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下
で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
で精製し、2.61gの3’,5’−ジ−O−アセチル
−5−エチル−2−チオ−2’−デオキシウリジン(化
合物7)を得た(収率:88%)。以下、化合物7のN
MRスペクトルを示す。1 H-NMR:δ(CDCl3) 9.71(1H,brs,NH), 7.47(1H,s,6-H),
6.88(1H,dd,J=5.6Hz,8.2Hz,1'-H), 5.23-5.20(1H,m,3'-
H), 4.45-4.32(3H,m,4'-H and 5'-H), 2.84-2.78(1H,m,
2'-H), 2.44-2.38(2H,m,5-CH2 CH3), 2.14(3H,s,acety
l), 2.12(3H,s,acetyl), 2.09-2.02(1H,m,2'-H), 1.15
(3H,t,J=7.2Hz,5- CH2 CH3 ).
【0039】さらに、1,2,4−トリアゾール(2.
30g=3.33mmol)に乾燥アセトニトリル(3
0ml)を加え、氷冷下で攪拌しながら、オキシ塩化リ
ン(0.8ml=8.5mmol)とトリエチルアミン
(4.6ml)を滴下した。次いで化合物7(1.18
g)のアセトニトリル溶液(25ml)を滴下した。滴
下終了後、室温で4時間攪拌し、更に40℃で一晩攪拌
した。高速液体クロマトグラフィーで原料の消失を確認
後、水(3ml)を添加した。減圧下で濃縮し、残渣に
酢酸エチルと水を加え分液し、有機層を更に水で2回洗
浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃
縮し、残渣にp−ジオキサン(20ml)と28%アン
モニア水(15ml)を加え一晩攪拌した。減圧下で濃
縮し残渣を高速液体クロマトグラフィー(ODSカラ
ム)で精製し、495mg(収率:55%)の目的物で
ある化合物8を得た。構造はNMRで確認した。図1に
化合物8のNMRチャートを示す。1 H-NMR:δ(DMSO-d6) 8.03(1H,s,6-H), 7.83(1H,brs,N
H), 7.20(1H,brs,NH), 6.99(1H,t,J=6.0Hz,1'-H), 5.22
(1H,d,J=4.0Hz,3'-OH), 5.12(1H,m,5'-OH), 4.23(1H,m,
3'-H), 3.84(1H,m,4'-H), 3.69-3.59(2H,m,5'-H), 2.39
-2.26(3H,m,5-CH2 and 2'-H), 1.97-1.90(1H,m,2'-H),
1.08(3H,d,J=7.2Hz,CH3).
【0040】[実施例3] 5−プロピル−2−チオ−2’−デオキシシチジン(化
合物10)の合成 5−プロピル−2−チオウラシル (1.63g)と硫
酸アンモニウム(100mg)をHMDS(20ml)
に懸濁し、1時間加熱還流した。過剰のHMDSを減圧
下留去した後、残渣に1,2−ジクロロエタン(40m
l)と2−デオキシ−3,5−ジ−O−(p−トルオイ
ル)−α−D−リボフラノシル クロリド(2.00
g)を加え、−35℃に冷却した。1Mの四塩化チタン
/ジクロロメタン溶液 (10.3ml)を滴下した
後、温度を徐々に1時間かけて室温まで戻し、さらに室
温で1時間攪拌した。反応溶液をクロロホルムと炭酸水
素ナトリウム水溶液の混合液に加え、激しく攪拌した
後、セライトを用いて濾過した。セライトをクロロホル
ムで洗浄し、ろ液を合わせて分液した。有機層を飽和食
塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。
溶媒を減圧留去し、得られた残渣を熱アセトン/メタノ
ールに溶解し、再結晶した。析出した結晶を集め、減圧
下で乾燥後、860mgの3’,5’−ジ−O−(p−
トルオイル)−5−プロピル−2−チオ−2’−デオキ
シウリジン(化合物9)を白色結晶として得た。ろ液を
濃縮し上記と同様の再結晶によりさらに220mgの化
合物9を得た(合計収率:40%)。NMRにより上記
化合物9であることを確認した。1 H-NMR(CDCl3):δ 9.34(1H,brs,NH), 7.96(2H,d,J=8.3H
z,aromatic CH), 7.90(2H,d,J=7.8Hz,aromatic CH), 7.
45(1H,s,6-H), 7.27(4H,m,aromatic CH), 7.02(1H,dd,J
=5.4,8.3Hz,1'-H), 5.64(1H,d,J=6.8Hz,3'-H), 4.83(1
H,dd,J=2.4, 12.2Hz,5'-H), 4.66(1H,dd,J=3.4,12.2Hz,
5'-H), 4.59(1H,m,4'-H), 3.01(1H,m,2'-H), 2.44(3H,
s,Ph-Me), 2.42(3H,s,Ph-Me), 2.20(1H,m,2'-H), 2.06
(1H,m,5-CH),1.97(1H,m,5-CH), 1.28(2H,m,CH2 -Me), 0.
74(3H,t,J=7.3Hz,CH3).
【0041】次に、1,2,4−トリアゾール(1.1
8g)を脱水アセトニトリル(20ml)に懸濁し、氷
浴下冷却した。オキシ塩化リン(0.37ml=3.9
mmol)を滴下し、20分間攪拌した後、トリエチル
アミン(2.6ml)を滴下し、さらに20分間攪拌し
た。600mgの化合物9と脱水アセトニトリル(40
ml)を加えた後、氷浴を除き2時間攪拌した。反応溶
液に水(5ml)を加えた後、減圧下で溶媒を半分程度
に濃縮した。クロロホルムと塩化アンモニウム水溶液の
混合溶液に、先の濃縮液を加え分液した。有機層を飽和
食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥後、
減圧下で濃縮した。残渣にp−ジオキサン(50ml)
と28%アンモニア水(20ml)を加え、40℃で1
0分間攪拌した。減圧下溶媒を留去し、残渣にメタノー
ル(50ml)と炭酸カリウム(780mg)を加え、
室温で1時間攪拌した。減圧下溶媒を留去し、残渣をフ
ラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、クロロ
ホルム:メタノール=93:7→9:1)にかけ、35
0mgの目的物である化合物10を得た(収率:100
%)。NMRにより上記化合物10であることを確認し
た。図2に化合物10のNMRチャートを示す。1 H-NMR:δ(DMSO-d6) 8.04(1H,s,6-H), 7.81(1H,brs,N
H), 7.22(1H,brs,NH), 6.98(1H,t,J=6.0Hz,1'-H), 5.22
(1H,d,J=4.4Hz,3'-OH), 5.19(1H,t,J=5.0Hz,5'-OH), 4.
22(1H,m,3'-H), 3.84(1H,m,4'-H), 3.68-3.59(2H,m,5'-
H), 2.38-2.21(3H,m,5-CH2 and 2'-H), 1.96-1.89(1H,
m,2'-H), 1.50-1.44(2H,m,5-CH2-CH2 ), 0.89(3H,t,J=7.
4Hz,CH3).
【0042】[実施例4] 5−イソプロピル−2−チオ−2’−デオキシシチジン
(化合物12)の合成 5−イソプロピル−2−チオウラシル(1.63g)と
硫酸アンモニウム(100mg)を30mlのHMDS
に懸濁し、3時間加熱還流した。過剰のHMDSを減圧
下留去した後、残渣に1,2−ジクロロエタン(40m
l)と2−デオキシ−3,5−ジ−O−(p−トルオイ
ル)−α−D−リボフラノシル クロリド(2.00
g)を加え、−35℃に冷却した。1Mの四塩化チタン
/ジクロロメタン溶液 (10.3ml)を滴下した
後、1時間かけて温度を室温にまで戻し、さらに室温で
1時間攪拌した。反応溶液をクロロホルムと炭酸水素ナ
トリウム水溶液の混合液に加え、激しく攪拌した後、分
液した。有機層中の析出した固体をメタノールを加えて
溶解した後、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム
を加えて乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣を
熱アセトン/メタノールに溶解し再結晶した。結晶を集
め乾燥し、860mgの3’,5’−ジ−O−(p−ト
ルオイル)−5−イソプロピル−2−チオ−2’−デオ
キシウリジン(化合物11)を白色結晶として得た。ろ
液を濃縮後、再結晶により更に220mgの化合物11
を得た(合計収率40%)。得られた化合物の融点およ
1H−NMRデータを以下に示す。 融点:193℃1 H-NMR(CDCl3):δ9.28(1H,brs,3-NH), 7.96(1H,d,J=8.3
Hz,aromatic CH), 7.88(1H,d,J=8.3Hz,aromatic CH),
7.45(1H,s,6-H), 7.29(1H,d,J=8.3Hz,aromatic CH), 7.
25(1H,d,J=8.3Hz,aromatic CH), 6.99(1H,dd,J=5.4, 8.
3Hz,1'-H), 5.63(1H,d,J=6.8Hz,3'-H), 4.79(1H,dd,J=
2.4,12.2Hz,5'-H), 4.69(1H,dd,J=3.9,12.2Hz,5'-H),
4.61(1H,m,4'-H), 3.07(1H,ddd,J=1.0,5.4,14.2Hz,2'-
H), 2.69(1H,m,CH), 2.44(3H,s,-Ph-Me), 2.42(3H,s,-P
h-Me), 2.21(1H,ddd,J=6.9,8.3,14.2Hz,2'-H), 0.98(3
H,d,J=6.9Hz,Me), 0.89(3H,d,J=6.9Hz,Me).
【0043】1,2,4−トリアゾール (1.18
g)を20mlの脱水アセトニトリルに懸濁し、氷浴下
で冷却した。オキシ塩化リン(0.37ml)を滴下
し、20分間攪拌した後、トリエチルアミン(2.6m
l)を滴下し、さらに20分間攪拌した。化合物11
(600mg)と脱水アセトニトリル(40ml)を加
えた後、氷浴を除いて2時間攪拌した。反応溶液に5m
lの水を加えた後、減圧下で濃縮した。残渣をクロロホ
ルムと塩化アンモニウム水溶液の混合溶液に加え分液し
た。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム
で乾燥後、減圧下で濃縮した。残渣にp−ジオキサン
(50ml)と28%アンモニア水(30ml)を加
え、40℃で10分間攪拌した。減圧下溶媒を留去し、
残渣にメタノール(50ml)と炭酸カリウム(800
mg)を加え、室温で1時間攪拌した。減圧下溶媒を留
去し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリ
カゲル、クロロホルム:メタノール=95:5→9:
1)にかけ、281mgの目的物である化合物12を得
た(収率86%)。得られた化合物12の融点、1H−
NMRデータ、UVスペクトルデータおよびシリカゲル
薄層クロマトグラフィ移動度を以下に示す。 融点:195〜196℃1 H-NMR(DMSO-d6):δ8.10(1H,s,6-H), 7.82(1H,br,NH),
7.24(1H,br,NH), 6.99(1H,t,J=6.4Hz,1'-H), 5.24(1H,
d,J=3.4Hz,3'-OH), 5.17(1H,t,J=4.4Hz,5'-OH), 4.24(1
H,dd,J=4.0,5.9Hz,3'-H), 3.86(1H,dd,J=3.4,6.8Hz,4'-
H), 3.65(2H,m,5'-H), 2.77(1H,m,CH), 2.37(1H,ddd,J=
3.9,6.4,13.2Hz,2'-H), 1.94(1H,m,2'-H),1.10(3H,d,J=
6.4Hz,Me), 1.09(3H,d,J=6.4Hz,Me). UV吸収(メタノール):λmax=269.6nm シリカゲル薄層クロマトグラフィ:Rf=0.28(ク
ロロホルム:メタノール=8:2)
【0044】[実施例5] 5−ブチル−2−チオ−2’−デオキシシチジン(化合
物14)の合成 5−ブチル−2−チオウラシル(1.77g)と硫酸ア
ンモニウム(100mg)を20mlのHMDSに懸濁
し、30分間加熱還流した。過剰のHMDSを減圧下留
去した後、残渣に1,2−ジクロロエタン(40ml)
と2−デオキシ−3,5−ジ−O−(p−トルオイル)
−α−D−リボフラノシル クロリド(2.00g)を
加え、−35℃に冷却した。1Mの四塩化チタン/ジク
ロロメタン溶液 (10.3ml)を滴下した後、温度
を徐々に室温まで戻した。反応溶液をクロロホルムと炭
酸水素ナトリウム水溶液の混合液に加え、激しく攪拌し
た後、セライトを用いて濾過した。セライトをクロロホ
ルムで洗浄し、合わせたろ液を分液した。有機層を飽和
食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒
を減圧留去し、得られた残渣を熱アセトンから再結晶
し、560mgの3’,5’−ジ−O−(p−トルオイ
ル)−5−ブチル−2−チオ−2’−デオキシウリジン
(化合物13)を白色結晶として得た。ろ液を濃縮し同
様の再結晶によりさらに472mgの化合物13を得
た。(合計収率37%)。NMRにより化合物13の構
造を確認した。得られた化合物13の融点および1H−
NMRデータを以下に示す。 融点:164−166℃1 H-NMR(CDCl3):δ9.36(1H,brs,NH), 7.96(2H,d,J=8.3H
z,aromatic CH), 7.89(2H,d,J=8.3Hz,aromatic CH), 7.
47(1H,s,6-H), 7.29(2H,d,J=8.3Hz,aromatic CH),7.26
(2H,d,J= 8.3Hz,aromatic CH), 7.02(1H,dd,J=5.4,8.3H
z,1'-H) 5.64(1H,dd,J=1.5,6.4Hz,3'-H) 4.82(1H,dd,J=
2.4,12.2Hz,5'-H), 4.67(1H,dd,J=3.4,12.2Hz,5'-H),
4.60(1H,m,4'-H), 3.03(1H,ddd,J=1.5,5.4,14.7Hz,2'-
H) 2.44(3H,s,Ph-Me), 2.42(3H,s,Ph-Me), 2.22(1H,dd
d,J=6.4,8.3,14.7Hz,2'-H), 2.10(1H,m,5-CH), 2.02(1
H,m,5-CH), 1.26(2H,m,5-CH2-CH2 ), 1.13(2H,m,5-CH2-C
H2-CH2 ),0.78(3Ht,J=7.3Hz,Me) UV吸収(メタノール):λmax=275.4nm,2
40.4nm シリカゲル薄層クロマトグラフィ:Rf=0.61(ク
ロロホルム:メタノール=8:2)
【0045】次に、1,2,4−トリアゾール (1.
14g)を脱水アセトニトリル(20ml)に懸濁し、
氷浴下で冷却した。オキシ塩化リン(0.36ml)を
滴下し、30分間攪拌した後、トリエチルアミン(2.
5ml)を滴下し、さらに30分間攪拌した。化合物1
3(600mg)と脱水アセトニトリル(20ml)を
加えた後、室温に戻し1時間攪拌した。反応溶液に水
(5ml)を加えた後、減圧下で濃縮した。クロロホル
ムと塩化アンモニウム水溶液の混合溶液に、上記残渣を
加え分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸
ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。残渣にp−ジ
オキサン(50ml)と28%アンモニア水(30m
l)を加え、40℃で10分間攪拌した。減圧下で溶媒
を留去し、残渣にメタノール(50ml)と炭酸カリウ
ム(740mg)を加え、室温で1時間攪拌した。減圧
下溶媒を留去し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラ
フィ(シリカゲル、クロロホルム:メタノール=95:
5→9:1)にかけ、303mgの目的物である化合物
14を得た(収率91%)。分析用サンプルは、さらに
熱アセトン/水から再結晶した。得られた化合物14の
融点、1H−NMRデータ、UVスペクトルデータおよ
びシリカゲル薄層クロマトグラフィ移動度を以下に示
す。 融点:172−173℃1 H-NMR(DMSO-d6):δ8.03(1H,s,6-H), 7.79(1H,br,NH),
7.21(1H,br,NH), 6.97(1H,t,J=6.4Hz,1'-H), 5.24(1H,
d,J=3.9Hz,3'-OH), 5.14(1H,t,J=4.9Hz,5'-OH), 4.23(1
H,dd,J=3.9,5.4Hz,3'-H), 3.84(1H,m,4'-H), 3.67(1H,d
dd,J=3.4,4.9,12.2Hz,5'-H), 3.60(1H,ddd,J=3.4,4.9,1
2.2Hz,5'-H), 2.35(1H,m,2'-H), 2.28(2H,m,5-CH2), 1.
92(1H,m,2'-H), 1.43(2H,m,5-CH2-CH2 ), 1.29(2H,m,5-C
H2CH2-CH2 ),0.89(3H,t,J=7.3Hz,Me) UV吸収(メタノール):λmax=270.4nm シリカゲル薄層クロマトグラフィ:Rf=0.359
(クロロホルム:メタノール=8:2)
【0046】[実施例6] 5−ベンジル−2−チオ−2’−デオキシシチジン(化
合物16)の合成 5−ベンジル−2−チオウラシル(2.24g)と硫酸
アンモニウム(100mg)を20mlのHMDSに懸
濁し、30分間加熱還流した。過剰のHMDSを減圧下
で留去した後、残渣に1,2−ジクロロエタン(40m
l)と2−デオキシ−3,5−ジ−O−(p−トルオイ
ル)−α−D−リボフラノシル クロリド(2.00
g)を加え、−35℃に冷却した。1Mの四塩化チタン
/ジクロロメタン溶液(10.3ml)を滴下した後、
反応温度を1時間かけて室温に戻した。反応溶液をクロ
ロホルムと炭酸水素ナトリウム水溶液の混合液に加え、
激しく攪拌した後、セライトを用いて濾過した。セライ
トをクロロホルムで洗浄し、合わせたろ液を分液した。
有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾
燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣を熱アセトン
から再結晶し、683mgの3’,5’−ジ−O−(p
−トルオイル)−5−ベンジル−2−チオ−2’−デオ
キシウリジン(化合物15)を白色結晶として得た。ろ
液を濃縮し同様の再結晶で更に426mgの化合物15
を得た(合計収率38%)。得られた化合物15の融点
および1H−NMRスペクトルデータを以下に示す。 融点:187〜188℃1 H-NMR(CDCl3):δ9.37(1H,brs,3-NH), 7.94(2H,d,J=8.3
Hz,aromatic CH), 7.93(2H,d,J=7.8Hz,aromatic CH),
7.41(1H,s,6-H), 7.28-7.16(7H,m,aromatic CH),7.02(2
H,m,aromatic CH), 6.91(1H,dd,J=5.4,8.3Hz,1'-H), 5.
51(1H,d,J=6.8Hz,3'-H), 4.59-4.46(3H,m,4'-H and 5'-
H), 3.54(1H,d,J=15.6Hz,CH-Ph), 3.37(1H,d,J=15.6Hz,
CH-Ph), 3.04(1H,ddd,J=1.5, 5.4,14.2Hz,2'-H), 2.43
(3H,s,Ph-Me), 2.40(3H,s,Ph-Me), 2.19(1H,ddd,J=6.8,
8.3,14.2Hz,2'-H). UV吸収(メタノール):λmax=275.0nm、2
39.6nm シリカゲル薄層クロマトグラフィ:Rf=0.61(ク
ロロホルム:メタノール=95:5)
【0047】次に、1,2,4−トリアゾール (1.
07g)を脱水アセトニトリル(15ml)に懸濁し、
氷浴下で冷却した。オキシ塩化リン(0.34ml)を
滴下し、20分間攪拌した後、トリエチルアミン(2.
34ml)を滴下し、さらに20分間攪拌した。化合物
15(600mg)を脱水アセトニトリル(30ml)
に溶解した溶液を上記反応溶液に滴下し、滴下終了後、
氷浴を除き2時間攪拌した。反応溶液に水(5ml)を
加えた後、減圧下で溶媒を一部留去した。クロロホルム
と塩化アンモニウム水溶液の混合溶液に、反応濃縮液を
加え分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸
ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。残渣にp−ジ
オキサン(50ml)と28%アンモニア水(30m
l)を加え、40℃で10分間攪拌した。減圧下で溶媒
を留去し、残渣にメタノール(50ml)と炭酸カリウ
ム(740mg)を加え、室温で1時間攪拌した。減圧
下溶媒を留去し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラ
フィ(シリカゲル、クロロホルム:メタノール=95:
5→9:1)にかけ、317mgの目的物である化合物
16を白色固体として得た(収率:90%)。分析用サ
ンプルは熱エタノール/水から再結晶した。得られた化
合物16の融点、1H−NMRデータ、UVスペクトル
データおよびシリカゲル薄層クロマトグラフィ移動度を
以下に示す。図3に化合物16のNMRチャートを示
す。 融点:203℃(軟化)、230℃(分解)1 H-NMR(DMSO-d6):δ7.95(1H,s,6-H), 7.88(1H,br,NH),
7.33-7.21(5H,m,Ph), 7.18(1H,br,NH), 6.92(1H,t,J=6.
3Hz,1'-H), 5.24(1H,d,J=4.4Hz,3'-OH), 5.06(1H,t,J=
4.9Hz,5'-OH), 4.17(1H,m,3'-H), 3.81(1H,d,J=3.9Hz,
4'-H), 3.67(2H,s,CH2-Ph), 3.46(2H,m,5'-H), 2.38(1
H,m,2'-H), 1.88(1H,m,2'-H). UV吸収(メタノール):λmax=274.0nm、2
51nm(sh) シリカゲル薄層クロマトグラフィ:Rf=0.42(ク
ロロホルム:メタノール=8:2)
【0048】[実施例7] 1−β−D−アラビノフラノシル−5−メチル−2−チ
オシトシン(化合物19)の合成 α−ヒドロキシイソ酪酸(4.84g)に、氷冷・窒素
置換下塩化オクタノイル(7.94g)を加え、50℃
で30分更に80℃で1時間攪拌した。反応液を室温ま
で放冷し、塩化チオニル(6.87ml)を加え、70
℃で2時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、減
圧下溶媒留去した。得られた残渣を窒素置換下でアセト
ニトリル(40ml)に溶解し、5−メチルウリジン
(4.00g)を加え、40℃で13時間攪拌した。反
応液を室温まで冷却した後、減圧下溶媒留去した。得ら
れた残渣にエーテルを加え、2,2’−アンヒドロ−
3’−O−オクタノイル−β−D−アラビノフラノシル
チミン(化合物17)を白色粉末として、2.89g得
た(収率:51%)。構造はNMRで確認した。1H-NMR
(DMSO-d6):δppm:7.69(1H,s), 6.37(1H,d,J=5.9Hz), 5.
41(1H,d,J=5.9Hz), 5.35(1H,s), 4.29-4.27(1H,m), 3.3
9(1H,dd,J=11.7, 4.4Hz), 3.26(1H,dd,J=11.7, 4.9Hz),
2.38(2H,t,J=7.3Hz), 2.27-2.21(2H,m), 1.58-1.54(2
H,m), 1.30-1.20(8H,m), 1.05(3H,t,J=7.3Hz), 0.87(3
H,t,J=7.3Hz).
【0049】次に、2.50gの化合物17をN,N−
ジメチルホルムアミド(25ml)に溶解し、トリエチ
ルアミン塩酸塩(3.76g)及び70%水硫化ナトリ
ウム水和物(2.18g)を加え室温で23時間攪拌し
た。反応液に酢酸エチルを加え、水で1回、飽和食塩水
で3回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥
後、減圧下溶媒留去し、1−(3’−O−オクタノイル
−β−D−アラビノフラノシル)−5−メチル−2−チ
オウラシルを得た。本化合物をピリジン(50ml)に
溶解し、氷冷下で無水酢酸(1.93g)を加え室温で
13時間攪拌した。反応液に氷冷下メタノールを加えた
後、減圧下溶媒留去した。残渣を酢酸エチルに溶解し、
水で1回、飽和炭酸水素ナトリウム水で3回、飽和食塩
水で1回洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥後、減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィーで精製(0%→1%メタノール
/クロロホルム)し、1.12gの1−(2’,5’−
ジ−O−アセチル−3’−O−オクタノイル−β−D−
アラビノフラノシル)−5−メチル−2−チオウラシル
(化合物18)を得た。構造はNMRで確認した。1 H-NMR(DMSO-d6):δppm:12.75(1H,brs), 7.62(1H,s),
6.96(1H,d,J=4.4Hz), 5.53(1H,dd,J=4.4, 2.4Hz), 5.16
(1H,dd,J=4.4, 2.4Hz), 4.41(1H,dd,J=12.2, 5.4Hz),
4.36(1H,dd, J=12.2, 3.9Hz), 4.21(1H,ddd,J=5.4, 4.
4, 3.9Hz), 2.39(2H,t,J=7.3Hz), 2.09(3H,s), 1.93(3
H,s), 1.89(3H,s), 1.56-1.52(2H,m), 1.28-1.24(8H,
m), 0.86(3H,t,J=6.8Hz).
【0050】さらに、1.10gの化合物18をピリジ
ン(20ml)に溶解し、氷冷・窒素置換下、4−クロ
ロフェニルホスホロジクロリダート(1.0ml)を加
え、0℃で30分攪拌した。反応液に1,2,4−トリ
アゾール(847mg) を加え室温で12時間攪拌し
た。反応液に氷冷下水を加え、減圧下溶媒留去した。残
渣を酢酸エチルに溶解し、水で1回、飽和炭酸水素ナト
リウム水で3回、飽和食塩水で1回洗浄した。有機層を
無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒留去した。残
渣をメタノール(20ml)に溶解し、28%アンモニ
ア水(20ml)を加え、室温で15時間攪拌した。反
応液を減圧下溶媒留去し、得られた残渣をメタノールに
溶解し、シリカゲルに吸着させ、シリカゲルカラムクロ
マトグラフィーで精製(16%メタノール/クロロホル
ム)し、メタノール−エーテルから結晶化し、149m
gの目的物である化合物19を得た。化合物19の融点
とNMRデータを示す。 融点:201−202℃(分解)1 H-NMR(DMSO-d6):δppm:7.82(1H,brs), 7.67(1H,s), 7.
26(1H,brs), 6.91(1H,d,J=3.9Hz), 5.43(1H,brs), 5.35
(1H,brs), 5.11(1H,brs), 4.25-4.21(1H,m), 3.90(1H,
s), 3.83-3.79(1H,m), 3.63(2H,d,J=4.9Hz), 1.90(3H,
s).
【0051】[実施例8] 1−β−D−アラビノフラノシル−5−エチル−2−チ
オシトシン(化合物22)の合成 α−ヒドロキシイソ酪酸(11.50g=111mmo
l)に、氷冷・窒素置換下、塩化オクタノイル(18.
8ml)を加え、50℃で1時間更に70℃で1時間攪
拌した。反応液を氷冷し、塩化チオニル(16.1m
l) を加え、50℃で2時間攪拌した。反応液を室温
まで冷却した後、減圧下溶媒留去した。残渣を窒素置換
下、100mlのアセトニトリルに溶解し、5−エチル
ウリジン(10.0g=36.7mmol)を加え、4
0℃で14時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した
後、減圧下溶媒留去した。残渣にエーテルを加え、2,
2’−アンヒドロ−3’−O−オクタノイル−β−D−
アラビノフラノシル−5−エチルウラシル(化合物2
0)を白色粉末として、3.64g(収率:26%)得
た。構造はNMRで確認した。1 H-NMR(DMSO-d6):δppm:7.69(1H,s), 6.37(1H,d,J=5.9H
z), 5.41(1H,d,J=5.9Hz), 5.35(1H,s), 4.29-4.27(1H,
m), 3.39(1H,dd,J=11.7, 4.4Hz), 3.26(1H,dd,J=11.7,
4.9Hz), 2.38(2H,t,J=7.3Hz), 2.27-2.21(2H,m), 1.58-
1.54(2H,m), 1.30-1.20(8H,m), 1.05(3H,t,J=7.3Hz),
0.87(3H,t,J=7.3Hz).
【0052】次に、3.00g(7.89mmol)の
上記化合物20をN,N−ジメチルホルムアミド(15
ml)に溶解し、トリエチルアミン塩酸塩(4.34
g)及び70%水硫化ナトリウム水和物(2.53g=
31.6mmol)を加え室温で18時間攪拌した。反
応液に酢酸エチルを加え、水で1回、飽和食塩水で3回
洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧
下溶媒留去し、1−(3’−O−オクタノイル−β−D
−アラビノフラノシル)−5−エチル−2−チオウラシ
ルを得た。本化合物を30mlのピリジンに溶解し、氷
冷下無水酢酸(2.23ml)を加え室温で14時間攪
拌した。反応液に氷冷下メタノールを加えた後、減圧下
溶媒を留去した。得られた残渣を酢酸エチルに溶解し、
水で1回、飽和炭酸水素ナトリウム水で3回、飽和食塩水
で1回洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウム
で乾燥後、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーで精製(0%→1%メタ
ノール/クロロホルム)し、3.65gの1−(2’,
5’−ジ−O−アセチル−3’−O−オクタノイル−β
−D−アラビノフラノシル)−5−エチル−2−チオウ
ラシル(化合物21)を得た(収率:93%)。その構
造はNMRで確認した。1 H-NMR(400MHz, CDCL3):δppm:9.68(1H,brs), 7.48(1H,
s), 6.93(1H,d,J=3.4Hz), 5.66(1H dd,J=3.9, 1.5Hz),
5.06(1H,dd,J=2.9, 1.5Hz), 4.51(1H,dd,J=12.2,6.8H
z), 4.41(1H,dd,J=12.2, 3.9Hz), 4.21(1H,ddd,J=6.8,
3.9, 2.9Hz), 2.47-2.38(4H,m), 2.14(3H,s), 2.01(3H,
s), 1.67-1.63(2H,m), 1.33-1.25(8H,m), 1.17(3H,t,J=
7.3Hz), 0.89(3H,t,J=7.3Hz).
【0053】さらに、2.00gの化合物21をピリジ
ン(40ml)に溶解し、氷冷・窒素置換下、4−クロ
ロフェニルホスホロジクロリダート(1.76ml)
を加え、0℃で45分攪拌した。反応液に1,2,4−
トリアゾール(1.50g)を加え40℃で18時間攪
拌した。反応液に氷冷下水を加え、減圧下溶媒留去し
た。残渣を酢酸エチルに溶解し、水で1回、飽和炭酸水
素ナトリウム水で3回、飽和食塩水で1回洗浄した。有
機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒留去し
た。残渣をメタノール(40ml)に溶解し、28%ア
ンモニア水(40ml)を加え、室温で16時間攪拌し
た。反応液を減圧下溶媒留去し、得られた残渣をメタノ
ールに溶解し、シリカゲルに吸着させ、シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーで精製(16%メタノール/クロ
ロホルム)し、メタノールより再結晶し、572mgの
目的物である化合物22を白色針状晶として得た(収
率:50%)。化合物22の融点とNMRスペクトルを
示す。 融点:198−200℃(分解)1 H-NMR(DMSO-d6):δppm:7.79(1H,brs), 7.64(1H,s), 7.
17(1H,brs), 6.97(1H,d,J=3.9Hz), 5.43(1H,d,J=3.9H
z), 5.35(1H,d,J=5.9Hz), 5.11(1H,t,J=5.4Hz), 4.25-
4.21(1H,m), 3.92(1H,s), 3.84-3.80(1H,m), 3.67-3.60
(2H,m), 2.30(2H,q,J=7.3Hz), 1.06(3H,t,J=7.3Hz).
【0054】[実施例9] 1−β−D−アラビノフラノシル−5−プロピル−2−
チオシトシン(化合物25)の合成 α−ヒドロキシイソ酪酸(7.65g)に、氷冷・窒素
置換下塩化オクタノイル(12.5ml)を加え、50
℃で1時間更に70℃で1時間攪拌した。反応液を氷冷
し、10.7mlの塩化チオニルを加え、50℃で2時
間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、減圧下溶媒
留去した。得られた残渣を窒素置換下、70mlのアセ
トニトリルに溶解し、5−プロピルウリジン(7.00
g=24.5mmol)を加え、40℃で14時間攪拌
した。反応液を室温まで冷却した後、減圧下溶媒留去し
た。得られた残渣にエーテルを加え、1.57gの2,
2’−アンヒドロ−3’−O−オクタノイル−β−D−
アラビノフラノシル−5−プロピルウラシル(化合物2
3)を白色粉末として得た。構造はNMRで確認した。1 H-NMR(DMSO-d6):δppm:7.72(1H,s), 6.37(1H,d,J=5.9H
z), 5.42(1H,d,J=5.9Hz), 5.35(1H,s), 4.29-4.27(1H,
m), 3.38(1H,dd J=11.7, 4.4Hz), 3.24(1H,dd,J=11.7,
4.4Hz), 2.38(2H,t,J=7.3Hz), 2.25-2.16(2H m), 1.57-
1.53(2H,m), 1.49-1.42(2H,m), 1.30-1.20(8H,m), 0.86
(6H,t,J=7.3Hz).
【0055】次に、1.50g(3.80mmol)の
化合物23をN,N−ジメチルホルムアミド(7.5m
l)に溶解し、トリエチルアミン塩酸塩(2.09g)
及び70%水硫化ナトリウム水和物(1.22g)を加
え室温で18時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加
え、水で1回、飽和食塩水で3回洗浄した。有機層を無水
硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒留去し、1−
(3’−O−オクタノイル−β−D−アラビノフラノシ
ル)−5−プロピル−2−チオウラシルを得た。本化合
物を30mlのピリジンに溶解し、氷冷下で1.08m
lの無水酢酸 を加え室温で15時間攪拌した。反応液
に氷冷下メタノールを加えた後、減圧下溶媒留去した。
残渣を酢酸エチルに溶解し、水で1回、飽和炭酸水素ナ
トリウム水で3回、飽和食塩水で1回洗浄した。得られた
有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒留去
した。残渣をメタノールに溶解し、シリカゲルに吸着さ
せ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製(ヘキ
サン:酢酸エチル=3:1→2:1)し、1.85gの
1−(2’,5’−ジ−O−アセチル−3’−O−オク
タノイル−β−D−アラビノフラノシル)−5−プロピ
ル−2−チオウラシル(化合物24)を得た(収率:9
5%)。この構造はNMRで確認した。1 H-NMR(DMSO-d6):δppm:12.75(1H,brs), 7.55(1H,s),
6.94(1H,d,J=4.4Hz), 5.52(1H,dd,J=4.4, 2.4Hz), 5.16
(1H,dd,J=5.9, 2.4Hz), 4.45-4.30(3H,m), 2.39(2H,t,J
=7.3Hz), 2.34-2.22(2H,m), 2.08(3H,s), 1.94(3H,s),
1.56-1.43(4H,m),1.30-1.20(8H,m), 0.89(3H,t,J=7.3H
z), 0.86(3H,t,J=7.3Hz).
【0056】さらに、化合物24(1.05g)をピリ
ジン(20ml)に溶解し、氷冷・窒素置換下、4−ク
ロロフェニルホスホロジクロリダート(0.9ml)を
加え、0℃で90分攪拌した。反応液に1,2,4−ト
リアゾール(765mg)を加え40℃で20時間攪拌
した。反応液に氷冷下水を加え、減圧下溶媒留去した。
残渣を酢酸エチルに溶解し、水で1回、飽和炭酸水素ナ
トリウム水で3回、飽和食塩水で1回洗浄した。有機層
を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒留去した。
残渣を1,4−ジオキサン(20ml)に溶解し、28
%アンモニア水(20ml)を加え、室温で21時間攪
拌した。反応液を減圧下溶媒留去し、得られた残渣をメ
タノールに溶解し、シリカゲルに吸着させ、シリカゲル
カラムクロマトグラフィーで精製(8%メタノール/ク
ロロホルム)し、514mgの目的物である化合物25
を得た(収率:83%)。その構造はNMRで確認し
た。1 H-NMR(DMSO-d6):δppm:7.78(1H,brs), 7.63(1H,s), 7.
19(1H,brs), 6.96(1H,d,J=3.9Hz), 5.44(1H,d,J=3.9H
z), 5.37(1H,d,J=5.4Hz), 5.12(1H,t,J=5.4Hz), 4.24-
4.21(1H,m), 3.92(1H,s), 3.84-3.80(1H,m), 3.66-3.60
(2H,m), 2.33-2.23(2H,m), 1.45(2H,tq,J=7.3Hz), 0.88
(3H,t,J=7.3Hz).
【0057】[実施例10] 1−β−D−アラビノフラノシル−5−イソプロピル−
2−チオシトシン(化合物28)の合成 α−ヒドロキシイソ酪酸(7.65g)に、氷冷・窒素
置換下で12.5mlの塩化オクタノイルを加え、50
℃で1時間更に70℃で1時間攪拌した。反応液を氷冷
し、10.7mlの塩化チオニルを加え、50℃で2時
間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、減圧下溶媒
留去した。得られた残渣を窒素置換下アセトニトリル
(70ml)に溶解し、5−イソプロピルウリジン
(7.00g)を加え、40℃で14時間攪拌した。反
応液を室温まで冷却した後、減圧下溶媒留去した。得ら
れた残渣にエーテルを加え、770mgの2,2’−ア
ンヒドロ−3’−O−オクタノイル−β−D−アラビノ
フラノシル−5−イソプロピルウラシル(化合物26)
を白色粉末として得た。構造はNMRで確認した。1 H-NMR(DMSO-d6):δppm:7.66(1H,s), 6.36(1H,d,J=5.9H
z), 5.41(1H,d,J=5.9Hz), 5.34(1H,s), 4.28-4.26(1H,
m), 3.38(1H,dd,J=11.7, 4.4Hz), 3.25(1H,dd,J=11.7,
4.9Hz), 2.79-2.76(1H,m), 2.39(2H,t,J=7.3Hz), 1.56-
1.54(2H m), 1.28-1.24(8H,m), 1.09(3H,d,J=7.3Hz),
1.07(3H,d,J=7.3Hz), 0.86(6H,t,J=7.3Hz).
【0058】次に、0.70gの化合物26をN,N−
ジメチルホルムアミド(3.5ml)に溶解し、トリエ
チルアミン塩酸塩(975mg)及び70%水硫化ナト
リウム水和物(567mg)を加え室温で18時間攪拌
した。反応液に酢酸エチルを加え、水で1回、飽和食塩
水で3回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥
後、減圧下溶媒留去し、1−(3’−O−オクタノイル
−β−D−アラビノフラノシル)−5−イソプロピル−
2−チオウラシルを得た。本化合物をピリジン(14m
l)に溶解し、氷冷下無水酢酸(0.5ml)を加え室
温で15時間攪拌した。反応液に氷冷下メタノールを加
えた後、減圧下溶媒留去した。残渣を酢酸エチルに溶解
し、水で1回、飽和炭酸水素ナトリウム水で3回、飽和
食塩水で1回洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナト
リウムで乾燥後、減圧下溶媒留去した。残渣をメタノー
ルに溶解し、シリカゲルに吸着させ、シリカゲルカラム
クロマトグラフィーで精製(ヘキサン:酢酸エチル=
3:1→2:1)し、838mgの1−(2’,5’−
ジ−O−アセチル−3’−O−オクタノイル−β−D−
アラビノフラノシル)−5−イソプロピル−2−チオウ
ラシル(化合物27)を得た(収率:92%)。その構
造はNMRで確認した。1 H-NMR(DMSO-d6):δppm:12.77(1H,brs), 7.40(1H,s),
6.93(1H,d,J=3.9Hz), 5.47(1H,dd,J=3.9, 1.5Hz), 5.13
(1H,dd,J=3.4, 1.5Hz), 4.45-4.32(3H,m), 2.86-2.79(1
H,m), 2.40(2H,t,J=7.3Hz), 2.08(3H,s), 1.95(3H,s),
1.57-1.53(2H,m),1.28-1.24(8H,m), 1.12(3H,d,J=6.8H
z), 1.11(3H,d,J=6.8Hz), 0.86(3H,t,J=7.3Hz).
【0059】さらに、510mgの化合物27をピリジ
ン(10ml)に溶解し、氷冷・窒素置換下、4−クロ
ロフェニルホスホロジクロリダート(0.44ml)
を加え、0℃で90分攪拌した。反応液に371mgの
1,2,4−トリアゾールを加え40℃で20時間攪拌
した。反応液に氷冷下水を加え、減圧下溶媒留去した。
残渣を酢酸エチルに溶解し、水で1回、飽和炭酸水素ナ
トリウム水で3回、飽和食塩水で1回洗浄した。有機層
を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒留去した。
残渣を1,4−ジオキサン(10ml)に溶解し、28
%アンモニア水(10ml)を加え、室温で21時間攪
拌した。反応液を減圧下溶媒留去し、得られた残渣をメ
タノールに溶解し、シリカゲルに吸着させ、シリカゲル
カラムクロマトグラフィーで精製(8%→16%メタノ
ール/クロロホルム)し、268mgの目的物である化
合物28を得た(収率:89%)。分析用サンプルは更
にメタノール−水により再結晶させた。その構造はNM
Rで確認した。 融点:134.1〜135.6℃1 H-NMR(DMSO-d6):δppm:7.82(1H,brs), 7.67(1H,s), 7.
22(1H,brs), 7.01(1H,d,J=4.4Hz), 5.45(1H,d,J=3.9H
z), 5.38(1H,d,J=5.4Hz), 5.13(1H,t,J=5.4Hz), 4.23(1
H,ddd,J=6.4, 4.4, 3.9Hz), 3.95(1H,ddd,J=6.4, 5.4,
2.4Hz), 3.84(1H,ddd,J=6.4, 5.9, 2.4Hz), 3.66(1H,dd
d,J=11.2, 6.4, 5.4Hz), 3.61(1H,ddd,J=11.2, 5.9, 5.
4Hz), 2.80-2.73(1H,m), 1.09(3H,d,J=6.8Hz), 1.07(3
H,d,J=6.8Hz).
【0060】[実施例11] 1−β−D−アラビノフラノシル−5−ブチル−2−チ
オシトシン(化合物31)の合成 α−ヒドロキシイソ酪酸(7.28g)に、氷冷・窒素
置換下で11.9mlの塩化オクタノイルを加え、50
℃で1時間更に70℃で1時間攪拌した。反応液を氷冷
し、塩化チオニル(10.2ml)を加え、50℃で2
時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、減圧下溶
媒留去した。得られた残渣を窒素置換下アセトニトリル
(70ml)に溶解し、5−ブチルウリジン(7.00
g)を加え、40℃で1時間攪拌した。反応液を室温ま
で冷却した後、減圧下溶媒留去した。得られた残渣にエ
ーテルを加え、7.40gの2,2’−アンヒドロ−
3’−O−オクタノイル−β−D−アラビノフラノシル
−5−ブチルウラシル(化合物29)を白色粉末として
得た(収率:78%)。構造はNMRで確認した。1 H-NMR(DMSO-d6):δppm:7.71(1H,s), 6.37(1H,d,J=5.9H
z), 5.41(1H,d,J=5.9Hz), 5.35(1H,s), 4.28(1H,t,J=4.
4Hz), 3.38(1H,dd,J=11.7, 4.4Hz), 3.24(1H,dd,J=11.
7,4.4Hz), 2.38(2H,t,J=7.3Hz), 2.26-2.19(2H,m), 1.5
7-1.53(2H,m), 1.44-1.37(2H,m), 1.31-1.24(10H,m),
0.88(3H,t,J=7.3Hz), 0.86(3H,t,J=6.8Hz).
【0061】次に、7.00gの化合物29をN,N−
ジメチルホルムアミド(35ml)に溶解し、トリエチ
ルアミン塩酸塩(9.42g)及び70%水硫化ナトリ
ウム水和物(5.48g)を加え室温で14時間攪拌し
た。反応液に酢酸エチルを加え、水で1回、飽和食塩水
で3回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥
後、減圧下溶媒留去し、1−(3’−O−オクタノイル
−β−D−アラビノフラノシル)−5−ブチル−2−チ
オウラシルを得た。本化合物をピリジン(180ml)
に溶解し、氷冷下無水酢酸(4.84ml)を加え室温
で5時間攪拌した。反応液に氷冷下メタノールを加えた
後、減圧下溶媒留去した。得られた残渣を酢酸エチルに
溶解し、水で1回、飽和炭酸水素ナトリウム水で3回、
飽和食塩水で1回洗浄した。得られた有機層を無水硫酸
ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒留去した。残渣をメタ
ノールに溶解し、シリカゲルに吸着させ、シリカゲルカ
ラムクロマトグラフィーで精製(ヘキサン:酢酸エチル
=5:1→3:1→2:1)し、8.65gの1−
(2’,5’−ジ−O−アセチル−3’−O−オクタノ
イル−β−D−アラビノフラノシル)−5−ブチル−2
−チオウラシル(化合物30)を得た(収率:96
%)。その構造はNMRで確認した。1 H-NMR(DMSO-d6):δppm:12.75(1H,brs), 7.54(1H,s),
6.94(1H,d,J=4.4Hz), 5.52(1H,dd,J=4.4, 2.4Hz), 5.15
(1H,dd,J=5.9, 2.4Hz), 4.45-4.30(3H m), 2.39(2H,t,
J=7.3Hz), 2.34-2.24(2H,m), 2.08(3H,s), 1.94(3H,s),
1.56-1.52(2H m),1.45-1.39(2H,m), 1.34-1.25(10H,
m), 0.88(3H,t,J=7.3Hz), 0.86(3H,t,J=7.3Hz).
【0062】さらに、4.60gの化合物30をピリジ
ン(50ml)に溶解し、氷冷・窒素置換下、4−クロ
ロフェニルホスホロジクロリダート(3.84ml)を
加え、0℃で90分攪拌した。反応液に1,2,4−ト
リアゾール(3.26g)を加え40℃で14時間攪拌
した。反応液に氷冷下水を加え、減圧下溶媒留去した。
残渣を酢酸エチルに溶解し、水で1回、飽和炭酸水素ナ
トリウム水で3回、飽和食塩水で1回洗浄した。有機層
を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒留去した。
残渣を1,4−ジオキサン(100ml)に溶解し、2
8%アンモニア水(100ml)を加え、室温で20時
間攪拌した。反応液を減圧下溶媒留去し、得られた残渣
をメタノールに溶解し、シリカゲルに吸着させ、シリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーで精製(8%→16%メ
タノール/クロロホルム)し、2.58gの目的物であ
る化合物31を得た(収率:94%)。構造はNMRで
確認した。1 H-NMR(DMSO-d6):δppm:7.79(1H,brs), 7.62(1H,s), 7.
17(1H,brs), 6.96(1H,d,J=3.9Hz), 5.44(1H,d,J=3.9H
z), 5.36(1H,d,J=5.4Hz), 5.11(1H,t,J=5.4Hz), 4.24-
4.21(1H,m), 3.93-3.91(1H,m), 3.84-3.80(1H,m), 3.66
-3.59(2H,m), 2.33-2.23(2H,m), 1.45-1.37(2H,m), 1.3
5-1.25(2H,m), 0.88(3H,t,J=7.3Hz).
【0063】[実施例12] 1−β−D−アラビノフラノシル−5−ベンジル−2−
チオシトシン(化合物34)の合成 α−ヒドロキシイソ酪酸(9.34g)に、氷冷・窒素
置換下塩化オクタノイル(15.3ml)を加え、50
℃で1時間更に70℃で1時間攪拌した。反応液を氷冷
し、13.1mlの塩化チオニルを加え、50℃で2時
間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、減圧下溶媒
留去した。得られた残渣を窒素置換下アセトニトリル
(100ml)に溶解し、5−ベンジルウリジン(1
0.00g)を加え、40℃で1.5時間攪拌した。反
応液を室温まで冷却した後、減圧下溶媒留去した。得ら
れた残渣にエーテルを加え、9.80gの2,2’−ア
ンヒドロ−3’−O−オクタノイル−β−D−アラビノ
フラノシル−5−ベンジルウラシル(化合物32)を白
色粉末として得た(収率:74%)。構造はNMRで確
認した。1 H-NMR(DMSO-d6):δppm:7.69(1H,s), 7.29-7.17(5H,m),
6.39(1H,d,J=5.9Hz), 5.41(1H,d,J=5.9Hz), 5.35(1H,
s), 4.28(1H,t,J=4.4Hz), 3.61(1H,d,J=15.1Hz),3.54(1
H,d,J=15.1Hz), 3.40(1H,dd,J=11.7, 4.4Hz), 3.26(1H,
dd,J=11.7, 4.4Hz), 2.38(2H,t,J=7.3Hz), 1.57-1.53(2
H,m), 1.28-1.24(8H,m), 0.86(3H,t,J=6.8Hz).
【0064】次に、9.00gの化合物32をN,N−
ジメチルホルムアミド(45ml)に溶解し、トリエチ
ルアミン塩酸塩(11.20g)及び70%水硫化ナト
リウム水和物(6.50g)を加え室温で15時間攪拌
した。反応液に酢酸エチルを加え、水で1回、飽和食塩
水で3回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥
後、減圧下溶媒留去し、1−(3’−O−オクタノイル
−β−D−アラビノフラノシル)−5−ベンジル−2−
チオウラシルを得た。本化合物をピリジン(200m
l)に溶解し、氷冷下で無水酢酸(5.75ml)を加
え室温で3時間攪拌した。反応液に氷冷下メタノールを
加えた後、減圧下溶媒留去した。残渣を酢酸エチルに溶
解し、水で1回、飽和炭酸水素ナトリウム水で3回、飽
和食塩水で1回洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナ
トリウムで乾燥後、減圧下溶媒留去した。残渣をメタノ
ールに溶解し、シリカゲルに吸着させ、シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーで精製(ヘキサン:酢酸エチル=
3:1→2:1)し、10.86gの1−(2’,5’
−ジ−O−アセチル−3’−O−オクタノイル−β−D
−アラビノフラノシル)−5−ベンジル−2−チオウラ
シル(化合物33)を得た(収率:96%)。構造はN
MRで確認した。1 H-NMR(DMSO-d6):δppm:12.84(1H,brs), 7.54(1H,s),
7.31-7.18(5H,m), 6.93(1H,d,J=4.4Hz), 5.47(1H,d,J=
4.4), 5.10(1H,s), 4.29-4.25(3H,m), 3.68(1H,d,J=15.
1Hz), 3.60(1H,d,J=15.1Hz), 2.38(2H,t,J=7.3Hz), 2.0
4(3H,s), 1.80(3H,s), 1.55-1.52(2H,m), 1.27-1.23(8
H,m), 0.85(3H,t,J=7.3Hz).
【0065】さらに、6.56gの化合物33をピリジ
ン(60ml)に溶解し、氷冷・窒素置換下、4−クロ
ロフェニルホスホロジクロリダート(5.14ml)を
加え、0℃で90分攪拌した。反応液に1,2,4−ト
リアゾール(4.36g)を加え40℃で15時間攪拌
した。反応液に氷冷下水を加え、減圧下溶媒留去した。
残渣を酢酸エチルに溶解し、水で1回、飽和炭酸水素ナ
トリウム水で3回、飽和食塩水で1回洗浄した。有機層
を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒留去した。
残渣を1,4−ジオキサン(100ml)に溶解し、2
8%アンモニア水(100ml)を加え、室温で20時
間攪拌した。反応液を減圧下溶媒留去し、得られた残渣
をメタノールに溶解し、シリカゲルに吸着させ、シリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーで精製(8%→16%メ
タノール/クロロホルム)し、更にメタノール−エーテ
ルより再結晶し、3.47gの目的物である化合物34
を無色板状結晶として得た(収率:85%)。その構造
はNMRで確認した。 融点:211.4−213.1℃1 H-NMR(DMSO-d6):δppm:7.86(1H,brs), 7.52-7.21(6H,
m), 7.11(1H,brs), 6.92(1H,d,J=3.9Hz), 5.41-5.38(2
H,m), 4.96(1H,brs), 4.21(1H,s), 3.89(1H,s), 3.77-
3.75(1H,m), 3.66(2H,s), 3.48-3.36(2H,m).
【0066】[実施例13] 1−β−D−アラビノフラノシル−5−シクロヘキシル
−2−チオシトシン(化合物36)の合成 α−ヒドロキシイソ酪酸(8.62g)に、氷冷・窒素
置換下塩化オクタノイル(14.1ml)を加え、50
℃で1時間更に70℃で1時間攪拌した。反応液を氷冷
し、12.1mlの塩化チオニルを加え、50℃で2時
間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、減圧下溶媒
留去した。得られた残渣を窒素置換下アセトニトリル
(90ml)に溶解し、5−シクロヘキシルウリジン
(9.00g)を加え、40℃で1時間攪拌した。反応
液を室温まで冷却した後、減圧下溶媒留去した。得られ
た残渣に水を加え、クロロホルムで4回抽出した。有機
層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒留去し、
2,2’−アンヒドロ−3’−O−オクタノイル−β−
D−アラビノフラノシル−5−シクロヘキシルウラシル
を得た。本化合物をN,N−ジメチルホルムアミド(4
5ml)に溶解し、トリエチルアミン塩酸塩(15.2
0g)及び70%水硫化ナトリウム水和物(8.84
g)を加え室温で13時間攪拌した。反応液に酢酸エチ
ルを加え、水で1回、飽和食塩水で3回洗浄した。有機
層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒留去し、
1−(3’−O−オクタノイル−β−D−アラビノフラ
ノシル)−5−シクロヘキシル−2−チオウラシルを得
た。本化合物をピリジン(200ml)に溶解し、氷冷
下で無水酢酸(7.81ml)を加え室温で3時間攪拌
した。反応液に氷冷下メタノールを加えた後、減圧下溶
媒留去した。残渣を酢酸エチルに溶解し、水で1回、飽
和炭酸水素ナトリウム水で3回、飽和食塩水で1回洗浄
した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、
減圧下溶媒留去した。残渣をメタノールに溶解し、シリ
カゲルに吸着させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーで精製(ヘキサン:酢酸エチル=5:1→3:1)
し、11.14gの1−(2’,5’−ジ−O−アセチ
ル−3’−O−オクタノイル−β−D−アラビノフラノ
シル)−5−シクロヘキシル−2−チオウラシル(化合
物35)を得た(収率:73%)。構造はNMRで確認
した。1 H-NMR(DMSO-d6):δ12.76(1H,brs), 7.36(1H,s), 6.93
(1H,d,J=4.4Hz), 5.48(1H,dd,J=4.4, 1.5Hz), 5.13(1H,
t,J=1.5Hz), 4.41-4.29(3H,m), 2.40(2H,t,J=7.3Hz),
2.09(3H,s), 1.95(3H,s), 1.90-1.14(21H,m), 0.86(3H,
t,J=6.8Hz).
【0067】次に、6.88gの化合物35をピリジン
(60ml)に溶解し、氷冷・窒素置換下、4−クロロ
フェニルホスホロジクロリダート(5.45ml)を加
え、0℃で80分攪拌した。反応液に1,2,4−トリ
アゾール(4.62g)を加え40℃で14時間攪拌し
た。反応液に氷冷下水を加え、減圧下溶媒留去した。残
渣を酢酸エチルに溶解し、水で1回、飽和炭酸水素ナト
リウム水で3回、飽和食塩水で1回洗浄した。有機層を
無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒留去した。残
渣を1,4−ジオキサン(200ml)に溶解し、28
%アンモニア水(100ml)を加え、室温で16時間
攪拌した。反応液を減圧下溶媒留去した後、残渣をメタ
ノール(100ml)に溶解し、炭酸カリウム(5.1
4g)を加え、室温で30分攪拌した。不溶物を濾別
後、濾液を減圧下溶媒留去し、得られた残渣をメタノー
ルに溶解し、シリカゲルに吸着させ、シリカゲルカラム
クロマトグラフィーで精製(8%→16%メタノール/
クロロホルム)し、3.78gの化合物36を得た(収
率:90%)。構造はNMRで確認した。1 H-NMR(DMSO-d6):δppm:7.78(1H,brs), 7.63(1H,s), 7.
24(1H,brs), 7.00(1H,d,J=3.9Hz), 5.46-5.34(3H,m),
4.21(1H,s), 3.94(1H,d,J=2.4Hz), 3.82(1H,dd,J=4.9,
2.4Hz), 3.68-3.58(2H,m), 2.42-2.36(1H,m), 1.79-1.6
5(4H,m), 1.49-1.07(6H,m).
【0068】[実施例14]単純ヘルペスウイルス1型
に対する活性の測定 単純ヘルペスウイルス1型に対する活性は、RPMI8
226細胞を宿主細胞とし、MTT{3−(4,5−ジ
メチルチアゾ−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラ
ゾリウム ブロミド}を用いた細胞変性抑制効果を調べ
ることにより求めた。RPMI8226細胞を2%FC
Sを含むRPMI1640培地に5×104/mlの濃
度で懸濁後、単純ヘルペスウイルス1型(KOS株)を
含むウイルス調整液(50 CCID50/100μl)
を接種した。100μlのウイルス感染細胞懸濁液を、
設定濃度の試験薬剤液(100μl)を含む24−穴プ
レートの各ウェルに加え、35℃で5日間、5%CO2
の条件下で培養した。培養終了後、20μlのMTTの
PBS溶液(7.5mg/ml)を加え、37℃で2時
間培養した。培地を除き、10%トリトンX−100を
含むイソプロパノール溶液(100μl)を添加した。
マイクロプレートリーダーを用いて540nmと690
nmの吸光度を求め、それらの値からウイルスの増殖を
50%抑制する薬剤濃度(EC50値)を算出した。ま
た、ウイルス調整液の代わりに細胞に培地を加えた群も
同様に培養し、上記と同様の処理をし、50%細胞毒性
濃度(CC50値)を求めた。上記細胞毒性濃度(CC50
値)と抗ウイルス活性有効濃度(EC50値)の比である
選択性(SI値)を求め、表1にその結果を示した。
【0069】
【表1】
【0070】[実施例15]細胞増殖抑制活性の測定 2−チオ−5−アルキル−2’−デオキシウリジンの増
殖する細胞に対する増殖抑制効果を調べるために、K5
62細胞(ヒト白血病細胞)とA375細胞(ヒト悪性
黒色腫)に対する細胞増殖抑制活性を求めた。K562
細胞を、10%FBSを含むDMEM培地中、37℃、
5%CO2の条件下で培養し、96穴プレートに細胞を
2×104/100μl/ウェルに調整し、24時間培
養後、RPMI1640培地で希釈した試験薬剤を10
μl/ウェル添加した。試験薬剤添加後、37℃、5%
CO2の条件下で72時間培養した。培養終了後、20
μlのXTT{2,3−ビス(2−メトキシ−4−ニト
ロ−5−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム−5
−カルボキサミド}のPBS溶液(1.0mgXTT/
ml)を加え、37℃で4時間静置した。プレートミキ
サーで攪拌後、プレートリーダーで492nmの吸光度
を測定し、それらの値から細胞の増殖を50%阻害する
濃度(IC50値)を算出した。一方、A375細胞は、
DMEM培地中で37℃、5%CO2の条件下で培養
し、96穴プレートに細胞を5×104/100μl/
ウェルに調整し、24時間培養後、 DMEM培地で希
釈した試験薬剤を10μl/ウェル添加した。試験薬剤
添加後、37℃、5%CO2の条件下で72時間培養し
た。培養終了後、20μlのMTTのPBS溶液(4.
0mgMTT/ml)を加え、37℃で4時間静置し
た。培地を除き、DMSOを100μl/ウェル添加
し、プレートミキサーで攪拌後、プレートリーダーで5
40nmの吸光度を測定し、それらの値から細胞の増殖
を50%阻害する濃度(IC50値)を算出した。K56
2細胞とA375細胞に対する2−チオ−5−アルキル
−2’−デオキシウリジンの増殖抑制活性を表2に示し
た。
【0071】
【表2】
【0072】
【発明の効果】本発明における5−アルキル−2−チオ
シトシンヌクレオシドおよびその塩は優れた抗ウイルス
活性を有するものであり、医薬および核酸化学等の分野
で有用な化合物である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で得られた化合物8の1H−NMRチ
ャートを示す。
【図2】実施例3で得られた化合物10の1H−NMR
チャートを示す。
【図3】実施例8で得られた化合物16の1H−NMR
チャートを示す。
フロントページの続き (72)発明者 小池 信明 茨城県つくば市大久保2番 東亞合成株式 会社つくば研究所内 Fターム(参考) 4C057 BB02 BB05 DD01 LL09 LL18 LL19 LL20 4C086 AA01 AA02 AA03 EA16 MA01 ZB33

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(1)で表される5−アルキル−2
    −チオシトシンヌクレオシドまたはその塩。 【化1】 (式中、R1は炭素数が6個以下のアルキル基または置
    換基を有していてもよいベンジル基を示し、R2は水素
    原子、水酸基または保護基を有する水酸基を示し、R3
    およびR4はそれぞれ水素原子または水酸基の保護基を
    示す)
  2. 【請求項2】請求項1記載の5−アルキル−2−チオシ
    トシンヌクレオシドまたはその塩を有効成分として含有
    する抗ウイルス剤。
JP27373199A 1999-09-28 1999-09-28 5−アルキル−2−チオシトシンヌクレオシドおよびその塩、ならびに該化合物を含有する抗ウイルス剤 Pending JP2001097993A (ja)

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