JP2001085156A - 有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法と表示装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法と表示装置

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JP2001085156A
JP2001085156A JP26013999A JP26013999A JP2001085156A JP 2001085156 A JP2001085156 A JP 2001085156A JP 26013999 A JP26013999 A JP 26013999A JP 26013999 A JP26013999 A JP 26013999A JP 2001085156 A JP2001085156 A JP 2001085156A
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organic
airtight container
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moisture
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JP26013999A
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English (en)
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Tatsuya Sasaoka
龍哉 笹岡
Naoki Sano
直樹 佐野
Yuichi Iwase
祐一 岩瀬
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機エレクトロルミネッセンス素子の短絡欠
陥を自動的に修復可能な構造を提供する。 【解決手段】 有機エレクトロルミネッセンス素子は、
有機化合物からなる有機発光層10が互いに対向する陰
極K及び陽極Aの間に挟持された構造を有する積層体5
0と、この積層体50を収納して外気を遮断する気密性
容器60と、この気密性容器60内に封入された気体9
0とを有する。この気体90は、化学的に不活性なガス
を主体とし、0.0001%乃至20%の濃度で酸素ガ
スが添加されている。陰極Kと陽極A間に挟持された有
機層10の厚みは100nm程度であり、両極間にウイ
スカー等が生じて、短絡欠陥に至る場合が多い。この
時、密閉雰囲気中に酸素ガスが含まれていれば、エージ
ングを行うことで欠陥の原因となったウイスカーが酸化
され、導電性を失うことで、短絡欠陥が修復可能とな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種情報産業機器
のディスプレイや光源に好適な有機エレクトロルミネッ
センス素子に関し、特に長期にわたって安定した発光特
性を維持可能な有機エレクトロルミネッセンス素子に関
する。
【0002】
【従来の技術】互いに対向する一対の電極間に、有機発
光層が挟持され、この有機発光層に一方の電極(陰極)
から電子が注入されるとともに、他方の電極(陽極)か
ら正孔が注入されることにより、有機発光層内で電子と
正孔とが結合して発光する有機エレクトロルミネッセン
ス素子は、視認性及び耐衝撃性に優れているとともに、
有機発光層を形成する有機物の発光色が多様である等の
利点を有することから、例えば各種情報産業機器用のデ
ィスプレイや光源に好適に用いられている。
【0003】ここで、発光層に利用する固体有機材料
は、一般に水分や酸素等に侵されやすく、大気中で有機
エレクトロルミネッセンス素子を駆動すると、その発光
特性が急激に劣化する。そこで、有機エレクトロルミネ
ッセンス素子では、素子自体を密閉して大気から隔離し
ている。加えて、密閉雰囲気を不活性ガス等で置換する
ようにしている。このような密閉構造は、例えば特開平
9−148066号公報や特開平10−275679号
公報に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように、エレクト
ロルミネッセンス素子自体を気密性容器に収容すること
で、寿命を延ばすことが可能である。しかし、製造工程
中や使用段階で、陰極と陽極の間に短絡故障が発生する
場合がある。従来、このような短絡欠陥を製造段階で修
復することは困難であり、歩留り向上を阻害する原因の
一つになっていた。
【0005】
【課題を解決する為の手段】上述した従来の技術の課題
を解決するために以下の手段を講じた。即ち、有機化合
物からなる有機発光層が互いに対向する一対の電極間に
挟持された構造を有する積層体と、この積層体を収納し
て外気を遮断する気密性容器と、この気密性容器内に封
入された気体とを有する有機エレクトロルミネッセンス
素子において、前記気体は、化学的に不活性なガスを主
体とし、0.0001%乃至20%の濃度で酸素ガスが
添加されていることを特徴とする。好ましくは、前記の
化学的に不活性なガスは、窒素、アルゴン、ヘリウム及
びネオンから選択される。又、好ましくは、前記気体が
含有する水分は、露点が−40℃以下になる様に制限さ
れている。更に好ましくは、前記気密性容器は、該気体
に含まれる酸素ガスを吸収すること無く水分を吸着する
吸湿材を収納している。
【0006】本発明は、上述した有機エレクトロルミネ
ッセンス素子の構造に加え製造方法をも包含している。
即ち、有機化合物からなる有機発光層が互いに対向する
一対の電極間に挟持された構造を有する積層体を基板に
形成する形成工程と、該基板に蓋体を接合して気密性容
器を形成し該積層体を収納して外気から遮断する接合工
程と、この気密性容器内に気体を封入する封入工程とか
らなる有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法に
おいて、前記封入工程は、化学的に不活性なガスを主体
とし、0.0001%乃至20%の濃度で酸素ガスが添
加されている気体を封入することを特徴とする。
【0007】更に本発明は、有機エレクトロルミネッセ
ンス素子を画素とする表示装置を包含する。即ち、マト
リクス状に配された画素の集合からなる画面と、該画面
を収納して外気から遮断する偏平な気密性容器と、該気
密性容器に封入された気体とを有する表示装置におい
て、各画素は、有機化合物からなる有機発光層が互いに
対向する一対の電極間に挟持された構造を有する積層体
からなり、前記気体は、化学的に不活性なガスを主体と
し、0.0001%乃至20%の濃度で酸素ガスが添加
されていることを特徴とする。
【0008】本発明によれば、有機エレクトロルミネッ
センス素子の実装を中空構造とし、密閉空間に封入する
気体は、実際上水分フリーの不活性ガス若しくは窒素ガ
スを主体とし、少量の酸素を添加したものとする。好ま
しくは、水分除去のための吸湿材(ゲッター)も同時に
封入し、そのゲッターには酸素吸収効果のないものを選
定する。このように、有機エレクトロルミネッセンス素
子の実装を密閉構造にし、封入する気体に少量の酸素ガ
スを添加することで、短絡防止効果若しくは短絡修復効
果を持たせることができる。従来、発光層を構成する有
機物質は酸素により酸化を受け、容易に劣化するものと
考えられていた。しかし、実際には有機エレクトロルミ
ネッセンス素子は100℃以下の温度で動作することが
多いため、酸素で劣化することはあまりないのが現状で
ある。逆に、酸素ガスを密閉雰囲気中に導入することで
メリットがある。即ち、陰極と陽極の間に挟持された有
機層の厚みは100nm程度であり、両極間にウイスカ
ー等が生じて、短絡欠陥に至る場合が多い。この時、密
閉雰囲気中に酸素ガスが含まれていれば、エージングを
行うことで欠陥の原因となったウイスカーが酸化され、
導電性を失うことで、短絡欠陥が修復可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施
の形態を詳細に説明する。図1は、本発明に係る有機エ
レクトロルミネッセンス素子の基本的な構成を示す断面
図である。図示するように、本有機エレクトロルミネッ
センス素子は、有機化合物からなる有機層10が互いに
対向する一対の電極(陰極Kと陽極A)間に挟持された
構造を有する積層体50と、この積層体50を収納して
外気を遮断する気密性容器60とからなる。実際には、
有機層10は多層構造を有し、発光層が含まれている。
陰極Kから供給された電子と陽極Aから供給された正孔
が発光層で再結合し、発光が得られる。図示の実施形態
では、積層体50は基板1の上に形成されている。基板
1に接着剤80を介して蓋体70が接合しており、上述
した気密性容器60を構成する。気密性容器60の内部
には気体90が封入されている。特徴事項として、気体
90は化学的に不活性なガスを主体とし、0.0001
%乃至20%の濃度で酸素ガスが添加されている。この
酸素ガスは、陰極Kと陽極Aの間に発生する短絡欠陥を
修復する機能がある。好ましくは、気体90を構成する
化学的に不活性なガスは、窒素、アルゴン、ヘリウム及
びネオンから選択される。又好ましくは、気体90が含
有する水分は、露点が−40℃以下になるように制限さ
れている。この条件は、実質的に水分フリーであり、有
機層10の水分による劣化が生じない。更に好ましく
は、気密性容器60は、気体90に含まれる酸素ガスを
吸収することなく、水分を吸着する吸湿材(ゲッター)
99を収納している。図示の実施形態では、吸湿材99
は蓋体70の内面に配されている。これに代え、基板1
の上面に吸湿材99を設けてもよい。吸湿材99の材料
としては、例えばアルカリ金属酸化物が挙げられる。具
体的には、酸化ナトリウム、酸化カリウムがある。これ
に代変えて、アルカリ土類金属酸化物を用いてもよい。
具体的には、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグ
ネシウムが挙げられる。吸湿材99の形成方法として
は、例えば上記の酸化物を固形化して成形体とし、この
成形体をガラス等からなる基板1又は蓋体70に固定す
る。或いは、真空蒸着法、スパッタ法、スピンコート法
等により、基板1又は蓋体70の表面に形成することも
可能である。尚、気体90に対する酸素ガスの添加濃度
は、0.0001%(100PPM)未満では、所望の
短絡欠陥防止効果や修復効果を得ることが難しく、20
%超では過剰となり逆に有機層10の酸化による劣化を
もたらす恐れがある。
【0010】以下、図2及び図3を参照して本発明に係
る有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を詳細
に説明する。尚、本例では陰極側から発光を取り出す構
造を採用している。但し、本発明はこれに限られるもの
ではなく、陽極側から発光を取り出す構造にも適用可能
であることは言うまでもない。又、以下の実施例中で用
いた各種の具体的な物質は例示であり、本発明の技術的
範囲を限定するものではない。先ず、(A)に示すよう
に、ガラス基板1上に、クロム(Cr)を膜厚200n
mでDCスパッタリングにより成膜する。尚、クロムに
代えて、金、白金、ニッケル、パラジウム等を用いるこ
とができる。場合によっては、金属に代えてITO等の
透明導電膜を用いてもよい。スパッタガスとしてアルゴ
ン(Ar)を用いて、圧力を0.2Pa、DC出力を3
00Wとした。通常のリソグラフィー技術を用いて、所
定の形状にパターニングする。エッチング液としてET
CH−1(三洋化成工業(株)製)を用いて、加工す
る。所定の形状の陽極Aが得られる。クロムは前記エッ
チング液により高精度かつ再現性よく加工できる。さら
に、加工精度が要求される場合は、ドライエッチングに
よる加工も可能である。エッチングガスとしては、塩素
(C1)と酸素(O)の混合ガスを用いることがで
きる。特に、リアクティブイオンエッチング(RlE)
を用いれば、高精度な加工ができ、且エッチング面の形
状の制御が可能である。所定の条件でエッチングすれ
ば、テーパー状の加工が可能で、陰極−陽極間ショート
を低減できる。
【0011】次に(B)に示すように、クロムが所定の
パタンに加工された基板1上に絶縁層15を成膜する。
絶縁層15に用いる材料は特に限定はないが、本実施例
では二酸化珪素(SiO)を用いている。Si0
スパッタリングにより膜厚200nmに形成する。成膜
方法に、特に限定はない。通常のリソグラフィー技術を
用いて、クロム上に開口を設ける様にSi0を加工す
る。Si0のエッチングには、フッ酸とフッ化アンモ
ニウムの混合液を使うことができる。また。ドライエッ
チングによる加工も可能である。前記開口部が、有機エ
レクトロルミネッセンス素子の発光部分となる。
【0012】続いて(C)に示すように、クロムとSi
O2 が形成されたガラス基板1を、真空蒸着装置に入
れ、有機層10及び陰極Kの金属層11を蒸着により形
成する。ここで有機層10は、正孔注入層101として
4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニル
アミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)、正孔輸
送層102としてビス(N−ナフチル)−N−フェニル
ベンジジン(α−NPD)、発光層103として8−キ
ノリノールアルミニウム錯体(Alq)を用いた。陰極
Kの金属層11には、マグネシウムと銀の合金(Mg:
Ag)を用いた。有機層10に属する各材料は、それぞ
れ0.2gを抵抗加熱用のボートに充填して真空蒸着装
置の所定の電極に取り付ける。金属層11のマグネシウ
ムは0.1g、銀は0.4gをボートに充填して、真空
蒸着装置の所定の電極に取り付ける。真空チャンバを、
1.0x10−4Paまで減圧した後、各ボートに電圧
を印加し、順次加熱して蒸着させる。蒸着には、金属マ
スクを用いることにより所定の部分のみ有機層10およ
びMg:Agからなる金属層11を蒸着させた。所定の
部分とは、基板1上で、クロムが露出している部分であ
る。クロムの露出している部分だけに高精度に蒸着する
ことは困難であるので、クロムの露出している部分全体
を覆うように(絶縁層15の縁にかかるように)蒸着マ
スクを設計した。まず、正孔注入層101としてMTD
ATAを30nm、正孔輸送層102としてα−NPD
を20nm、発光層103としてAlqを50nm蒸着
した。さらに、マグネシウムおよび銀の共蒸着を行なう
ことにより、有機層10上に陰極Kの金属層11として
Mg:Agを成膜する。マグネシウムと銀は、成膜速度
の比を9:1としている。Mg:Agの膜厚をl0nm
とした。
【0013】続いて、図3の(D)に示すように、基板
1を別の真空チャンバに移し、同じマスクを通して透明
導電層12を成膜する。成膜にはDCスパッタリングを
用いる。本実施例では、透明導電層12として室温成膜
で良好な導電性を示すIn−Zn−O系の透明導電膜を
用いる。成膜条件は、スパッタガスとしてアルゴンと酸
素の混合ガス(体積比Ar:O=1000:5)を用
い、圧力0.3Pa、DC出力40Wとした。膜厚20
0nmで成膜した。
【0014】更に(E)に示すように、基板1を真空チ
ャンバから取り出した後、吸湿材99を形成する。吸湿
材99の材料としては、例えばアルカリ金属酸化物が挙
げられる。具体的には、酸化ナトリウム、酸化カリウム
がある。これに代えて、アルカリ土類金属酸化物を用い
てもよい。具体的には、酸化カルシウム、酸化バリウ
ム、酸化マグネシウムが挙げられる。吸湿材99の形成
方法としては、例えば上記の酸化物を固形化して成形体
とし、この成形体をガラス等からなる基板1に固定す
る。
【0015】この後(F)に示すように、ガラス基板1
と蓋体70を接着剤80により接合し、気密性容器を形
成する。これにより、有機層10を陽極A及び陰極Kで
挟持した積層体が気密性容器に収納され、外気から遮断
される。実際には、この接合工程では、ガラス基板1を
予め窒素ガスで満たされたグローブボックスに移し、グ
ローブボックス内でガラス基板1と蓋体70を接着剤8
0で接合している。。尚、接着剤80は紫外線硬化型の
アクリル樹脂からなる。グローブボックス内で基板1と
蓋体70を接着剤80で接合したあと、紫外線を照射す
ることで、接着剤80が硬化し、基板1と蓋体70が接
合する。但し、本発明はこれに限られるものではなく、
紫外線硬化型の接着剤に変えて熱硬化型のエポキシ樹脂
等からなる接着剤を用いてもよい。この時、グローブボ
ックス内に満たされた窒素ガスには、予め少量の酸素ガ
スが添加されている。従って、本実施例では接合工程と
同時に封入工程が行われ、化学的に不活性なガスを主体
とし、0.0001%乃至20%の濃度で酸素ガスが添
加されている気体が気密性容器内に封入される。本例で
は、窒素ガスを主体とする気体90中に約1%の酸素ガ
スを添加している。尚気体は窒素ガスに限られるもので
はなく、基本的に化学的に不活性であれば良く、窒素ガ
スに代えて、アルゴン、ヘリウム、ネオンを用いること
ができる。
【0016】最後に、本発明に係る有機エレクトロルミ
ネッセンス素子の主要部である積層体を画素に用いた表
示装置を説明する。一般に、アクティブマトリクス型の
表示装置では、多数の画素をマトリクス状に並べ、与え
られた輝度情報に応じて画素毎に光強度を制御すること
によって画像を表示する。電気光学物質として液晶を用
いた場合には、各画素に書き込まれる電圧に応じて画素
の透過率が変化する。電気光学物質として有機エレクト
ロルミネッセンス材料を用いたアクティブマトリクス型
の表示装置でも、基本的な動作は液晶を用いた場合と同
様である。しかし液晶ディスプレイと異なり、有機エレ
クトロルミネッセンスディスプレイは各画素に発光素子
を有する自発光型であり、液晶ディスプレイに比べて画
像の視認性が高い、バックライトが不要、応答速度が速
い等の利点を有する。個々の発光素子の輝度は電流量に
よって制御される。即ち、発光素子が電流駆動型或いは
電流制御型であるという点で液晶ディスプレイ等とは大
きく異なる。
【0017】液晶ディスプレイと同様、有機エレクトロ
ルミネッセンスディスプレイもその駆動方式として単純
マトリクス方式とアクティブマトリクス方式とが可能で
ある。前者は構造が単純であるものの大型且つ高精細の
ディスプレイの実現が困難であるため、アクティブマト
リクス方式の開発が盛んに行われている。アクティブマ
トリクス方式は、各画素に設けた有機エレクトロルミネ
ッセンス素子に流れる電流を画素内部に設けた能動素子
(一般には、絶縁ゲート型電界効果トランジスタの一種
である薄膜トランジスタ、以下TFTと呼ぶ場合があ
る)によって制御する。このアクティブマトリクス方式
の有機エレクトロルミネッセンスディスプレイにつき、
一画素分の等価回路を図4に示す。画素PXLは有機エ
レクトロルミネッセンス素子OLED、第一の能動素子
としての薄膜トランジスタTFT1、第二の能動素子と
しての薄膜トランジスタTFT2及び保持容量Csから
なる。有機エレクトロルミネッセンス素子は多くの場合
整流性があるため、OLED(有機発光ダイオード)と
呼ばれることがあり、図ではダイオードの記号を用いて
いる。図示の例では、TFT2のソースSを基準電位
(接地電位)とし、OLEDの陰極KはVdd(電源電
位)に接続される一方、陽極AはTFT2のドレインD
に接続されている。一方、TFT1のゲートGは走査線
Xに接続され、ソースSはデータ線Yに接続され、ドレ
インDは保持容量Cs及びTFT2のゲートGに接続さ
れている。
【0018】PXLを動作させるために、まず、走査線
Xを選択状態とし、データ線Yに輝度情報を表すデータ
電位Vdataを印加すると、TFT1が導通し、保持
容量Csが充電又は放電され、TFT2のゲート電位は
データ電位Vdataに一致する。走査線Xを非選択状
態とすると、TFT1がオフになり、TFT2は電気的
にデータ線Yから切り離されるが、TFT2のゲート電
位は保持容量Csによって安定に保持される。TFT2
を介して有機エレクトロルミネッセンス素子OLEDに
流れる電流は、TFT2のゲート/ソース間電圧Vgs
に応じた値となり、OLEDはTFT2から供給される
電流量に応じた輝度で発光し続ける。
【0019】上述したように、図4に示した画素PXL
の回路構成では、一度Vdataの書き込みを行えば、
次に書き換えられるまで一フレームの間、OLEDは一
定の輝度で発光を継続する。このような画素PXLを図
5のようにマトリクス状に多数配列すると、アクティブ
マトリクス型表示装置を構成することができる。図5に
示すように、本表示装置は、画素PXLを選択するため
の走査線X1乃至XNと、画素PXLを駆動するための
輝度情報(データ電位Vdata)を与えるデータ線Y
とがマトリクス状に配設されている。走査線X1乃至X
Nは走査線駆動回路21に接続される一方、データ線Y
はデータ線駆動回路22に接続される。走査線駆動回路
21によって走査線X1乃至XNを順次選択しながら、
データ線駆動回路22によってデータ線YからVdat
aの書き込みを繰り返すことにより、所望の画像を表示
することができる。単純マトリクス型の表示装置では、
各画素PXLに含まれる発光素子は、選択された瞬間に
のみ発光するのに対し、図5に示したアクティブマトリ
クス型表示装置では、書き込み終了後も各画素PXLの
有機エレクトロルミネッセンス素子が発光を継続するた
め、単純マトリクス型に比べ有機エレクトロルミネッセ
ンス素子のピーク輝度(ピーク電流)を下げられるなど
の点で、とりわけ大型高精細のディスプレイでは有利と
なる。
【0020】図6は、図4に示した画素PXLの断面構
造を模式的に表している。但し、図示を容易にするた
め、OLEDとTFT2のみを表している。OLED
は、陽極A、有機層10及び陰極Kを順に重ねたもので
ある。陽極Aは画素毎に分離しており、例えばクロムか
らなり、基本的に光反射性である。陰極Kは画素間で共
通接続されており、例えば、金属層11と透明導電層1
2の積層構造であり、基本的に光透過性である。かかる
構成を有するOLEDの陽極A/陰極K間に順方向の電
圧(10V程度)を印加すると、電子や正孔等キャリア
の注入が起こり、発光が観測される。OLEDの動作
は、陽極Aから注入された正孔と陰極Kから注入された
電子により形成された励起子による発光と考えられる。
【0021】一方、TFT2はガラス等からなる基板1
の上に形成されたゲート電極2と、その上面に重ねられ
たゲート絶縁膜3と、このゲート絶縁膜3を介してゲー
ト電極2の上方に重ねられた半導体薄膜4とからなる。
この半導体薄膜4は例えば多結晶シリコン薄膜からな
る。TFT2はOLEDに供給される電流の通路となる
ソースS、チャネルCh及びドレインDを備えている。
チャネルChは丁度ゲート電極2の直上に位置する。こ
のボトムゲート構造のTFT2は層間絶縁膜5により被
覆されており、その上にはソース電極6及びドレイン電
極7が形成されている。これらの上には別の層間絶縁膜
9を介して前述したOLEDが成膜されている。OLE
Dからなる画素が集積的に形成されたガラス基板1に、
同じくガラス等からなる蓋体(図示せず)を接合するこ
とで、画面を外気から遮断することができる。本発明に
従って、画面を収納した偏平な気密性容器は、化学的に
不活性なガスを主体とし、少量の酸素ガスが添加された
気体で満たされる。ある画素に短絡欠陥が生じても、所
定の条件でエージングを施すことにより、添加された酸
素ガスの作用で、短絡欠陥が修復可能となる。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
有機化合物からなる有機発光層が互いに対向する一対の
電極間に挟持された構造を有する積層体と、この積層体
を収納して外気を遮断する気密性容器と、この気密性容
器内に封入された気体とを有する有機エレクトロルミネ
ッセンス素子において、気体は化学的に不活性なガスを
主体とし0.0001%乃至20%の濃度で酸素ガスが
添加されているので、一対の電極間に短絡欠陥が発生し
た場合でも酸素ガスの作用により容易に修復可能であ
り、更には短絡欠陥の発生自体を防止する効果も得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素
子の基本的な構成を示す断面図である。
【図2】本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素
子の製造方法を示す工程図である。
【図3】同じく製造方法を示す工程図である。
【図4】本発明に係る表示装置の一画素分を示す等価回
路図である。
【図5】本発明に係る表示装置の全体構成を示すブロッ
ク図である。
【図6】本発明に係る表示装置の構造を示す部分断面図
である。
【符号の説明】
1・・・ガラス基板、10・・・有機層、50・・・積
層体、60・・・気密性容器、70・・・蓋体、80・
・・接着剤、90・・・気体、99・・・吸湿材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩瀬 祐一 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 3K007 AB05 AB13 BA06 BB01 BB04 BB05 BB07 CA01 CB01 DA00 DB03 EB00 FA01 FA02

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機化合物からなる有機発光層が互いに
    対向する一対の電極間に挟持された構造を有する積層体
    と、 この積層体を収納して外気を遮断する気密性容器と、 この気密性容器内に封入された気体とを有する有機エレ
    クトロルミネッセンス素子において、 前記気体は、化学的に不活性なガスを主体とし、0.0
    001%乃至20%の濃度で酸素ガスが添加されている
    ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 【請求項2】 前記の化学的に不活性なガスは、窒素、
    アルゴン、ヘリウム及びネオンから選択されることを特
    徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス
    素子。
  3. 【請求項3】 前記気体が含有する水分は、露点が−4
    0℃以下になる様に制限されていることを特徴とする請
    求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 【請求項4】 前記気密性容器は、該気体に含まれる酸
    素ガスを吸収すること無く水分を選択的に吸着する吸湿
    材を収納していることを特徴とする請求項3記載の有機
    エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 【請求項5】 有機化合物からなる有機発光層が互いに
    対向する一対の電極間に挟持された構造を有する積層体
    を基板に形成する形成工程と、 該基板に蓋体を接合して気密性容器を形成し該積層体を
    収納して外気から遮断する接合工程と、 この気密性容器内に気体を封入する封入工程とからなる
    有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法におい
    て、 前記封入工程は、化学的に不活性なガスを主体とし、
    0.0001%乃至20%の濃度で酸素ガスが添加され
    ている気体を封入することを特徴とする有機エレクトロ
    ルミネッセンス素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記の化学的に不活性なガスは、窒素、
    アルゴン、ヘリウム及びネオンから選択されることを特
    徴とする請求項5記載の有機エレクトロルミネッセンス
    素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記気体が含有する水分は、露点が−4
    0℃以下になる様に制限されていることを特徴とする請
    求項5記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 該気体に含まれる酸素ガスを吸収するこ
    と無く水分を吸着する吸湿材を該気密性容器に配する工
    程を含むことを特徴とする請求項7記載の有機エレクト
    ロルミネッセンス素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 マトリクス状に配された画素の集合から
    なる画面と、 該画面を収納して外気から遮断する偏平な気密性容器
    と、 該気密性容器に封入された気体とを有する表示装置にお
    いて、 各画素は、有機化合物からなる有機発光層が互いに対向
    する一対の電極間に挟持された構造を有する積層体から
    なり、 前記気体は、化学的に不活性なガスを主体とし、0.0
    001%乃至20%の濃度で酸素ガスが添加されている
    ことを特徴とする表示装置。
  10. 【請求項10】 前記の化学的に不活性なガスは、窒
    素、アルゴン、ヘリウム及びネオンから選択されること
    を特徴とする請求項9記載の表示装置。
  11. 【請求項11】 前記気体が含有する水分は、露点が−
    40℃以下になる様に制限されていることを特徴とする
    請求項9記載の表示装置。
  12. 【請求項12】 前記気密性容器は、該気体に含まれる
    酸素ガスを吸収すること無く水分を吸着する吸湿材を収
    納していることを特徴とする請求項11記載の表示装
    置。
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