JP2001079418A - トリアジン化合物の分解触媒ポリマー及び該ポリマーの製造法並びに使用法 - Google Patents

トリアジン化合物の分解触媒ポリマー及び該ポリマーの製造法並びに使用法

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JP2001079418A
JP2001079418A JP26445499A JP26445499A JP2001079418A JP 2001079418 A JP2001079418 A JP 2001079418A JP 26445499 A JP26445499 A JP 26445499A JP 26445499 A JP26445499 A JP 26445499A JP 2001079418 A JP2001079418 A JP 2001079418A
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triazine
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catalyst polymer
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Toshibumi Takeuchi
俊文 竹内
Atsushi Matsui
淳 松井
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Nissan Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トリアジン化合物の分解触媒ポリマー及び該
ポリマーの製造法並びに使用法を提供。 【解決手段】 プロトン遊離基を有するプレポリマーの
共存下、一般式(1) 【化1】 (式中、Xはハロゲン原子、C1-5アルキルチオ基、モ
ノC1-5アルキルアミノ基又はアミノ基を意味し、R1
びR2はそれぞれ独立にC1-5アルキル基を意味する。)
で表されるトリアジン化合物を鋳型として、鋳型重合法
により合成することを特徴とするトリアジン化合物の分
解触媒ポリマー及び該分解触媒の製造法並びに使用法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環境中に放出さ
れ、河川、湖水並びに地下水等の汚染が懸念されるトリ
アジン系農薬及びトリアジン系殺生物剤等のトリアジン
化合物を簡便且つ迅速に分解するために、該化合物又は
該化合物に類似の化合物を鋳型(テンプレート)とし、
プロトン遊離基を有するプレポリマー共存下、鋳型重合
(モレキュラーインプリンティング)法により合成した
鋳型ポリマーを、該化合物の分解触媒ポリマーとして使
用する、該化合物の分解触媒ポリマー及びその製造法並
びにその使用法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、環境中のトリアジン系農薬の分析
前処理(選択的抽出及び濃縮)法として、特開平10−
239293号公報に、鋳型ポリマーを用いた当該農薬
の固相抽出法が報告されている。また、分析化学、第6
7巻、4404頁〔1995年〕には、固相抽出法の基礎的
な原理が開示されている。しかしながら、鋳型ポリマー
を用い、選択的にトリアジン系農薬及びトリアジン系殺
生物剤等のトリアジン化合物を捕捉、保持し、且つ鋳型
ポリマーの分解触媒能により該化合物を分解せしめる分
解触媒ポリマーに関する報告例はない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述特許公報に記載の
固相抽出法は、トリアジン系農薬及びトリアジン系殺生
物剤の分析前処理法として優れている。しかし、上述特
許公報には、鋳型ポリマーに反応性や機能性を付与する
試みは記載されておらず、又その可能性についても言及
されていない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意努力
検討した結果、トリアジン系農薬若しくはトリアジン系
殺生物剤等のトリアジン化合物又は該化合物に類似の化
合物を鋳型(テンプレート)とし、プロトン遊離基を有
するプレポリマー共存下、鋳型重合(モレキュラーイン
プリンティング)法により合成した鋳型重合法ポリマー
が、該化合物を選択的に捕捉、保持し、且つ当該ポリマ
ー上で該化合物の分解を促進する分解触媒ポリマーとな
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】即ち、本発明は、プロトン遊離基を有する
プレポリマーの共存下、一般式(1)
【0006】
【化2】
【0007】(式中、Xはハロゲン原子、C1-5アルキ
ルチオ基、モノC1-5アルキルアミノ基又はアミノ基を
意味し、R1及びR2はそれぞれ独立にC1-5アルキル基
を意味する。)で表されるトリアジン化合物を鋳型とし
て、鋳型重合法により合成することを特徴とするトリア
ジン化合物の分解触媒ポリマー及び該分解触媒の製造法
並びに使用法に関するものである。
【0008】一般式(1)において示される各置換基を
具体的に説明する。
【0009】尚、本明細書中「n」はノルマルを、「i」
はイソを、「s」はセカンダリーを、「t」はターシャリ
ーを、「neo」はネオを意味する。
【0010】C1-5アルキルチオ基としては、メチルチ
オ、エチルチオ、n-プロピルチオ、i-プロピルチオ、シ
クロプロピルチオ、n-ブチルチオ、i-ブチルチオ、s-ブ
チルチオ、t-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、2-ペンチル
チオ、3-ペンチルチオ、i-ペンチルチオ、neo-ペンチル
チオ、t-ペンチルチオ、1-メチルシクロプロピルチオ、
2-メチルシクロプロピルチオ、シクロブチルチオ及びシ
クロペンチルチオ等が挙げられる。
【0011】モノC1-5アルキルアミノ基としては、メ
チルアミノ、エチルアミノ、n-プロピルアミノ、i-プロ
ピルアミノ、シクロプロピルアミノ、n-ブチルアミノ、
i-ブチルアミノ、s-ブチルアミノ、t-ブチルアミノ、n-
ペンチルアミノ、2-ペンチルアミノ、3-ペンチルアミ
ノ、i-ペンチルアミノ、neo-ペンチルアミノ、t-ペンチ
ルアミノ、1-メチルシクロプロピルアミノ、2-メチルシ
クロプロピルアミノ、シクロブチルアミノ及びシクロペ
ンチルアミノ等が挙げられる。
【0012】C1-5アルキル基としては、メチル、エチ
ル、n-プロピル、i-プロピル、シクロプロピル、n-ブチ
ル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、2-ペ
ンチル、3-ペンチル、i-ペンチル、neo-ペンチル、t-ペ
ンチル、1-メチルシクロプロピル、2-メチルシクロプロ
ピル、シクロブチル及びシクロペンチル等が挙げられ
る。
【0013】ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭
素及びヨウ素が挙げられる。
【0014】次に本明細書中に用いられている語句につ
いて説明する。
【0015】プロトン遊離基とは、プロトンを遊離しう
る酸性基を意味し、CO2H、PO32、SO3H及びS
2H等が挙げられる。又、酸性基の酸性度が高くなる
程、反応性が高くなるため、SO3H等の酸性度の高い
基が好ましい。
【0016】鋳型重合法(モレキュラーインプリンティ
ング法)とは、ある化合物を認識するポリマーを得る目
的で、プレポリマー(ポリマーの原料)、希釈剤(溶
剤)、架橋剤等の混合液中に認識対象化合物を鋳型とし
て添加したものを重合反応溶液とし、これを加熱或いは
紫外光照射する事により重合させてポリマー(鋳型ポリ
マー)を得る手法を意味する。
【0017】塊状重合法とは、鋳型重合を反応容器中
(例えばガラス製試験管)において行い、塊状の鋳型ポ
リマーを得る手法を意味する。
【0018】懸濁重合法とは、鋳型重合における重合反
応溶液を水或いは重合反応溶液と混じり合わない適当な
溶媒中に分散させ、攪拌することにより重合反応溶液を
液滴状に保ちながら加熱或いは紫外線照射する事によ
り、球状の鋳型ポリマーを得る手法を意味する。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明におけるトリアジン系農薬
又はトリアジン系殺生物剤等のトリアジン化合物として
は、ショート・レビュー・オブ・ハービィサイド[Short
Review of Herbicide、保土谷化学(株)編集]或いは
シブヤ・インデックス[クミアイ化学(株)編集]に収録
された化合物等を挙げることができる。
【0020】トリアジン系農薬としては、シマジン(s
imazine)、アトラジン(atrazine)、
ノラジン(norazine)、プロパジン(prop
azine)、トリエタジン(trietazin
e)、イパジン(ipazine)、クロラジン(ch
lorazine)、セブチラジン(sebuthyl
azine)、テルブチラジン(terbuthyla
zine)、シアナジン(cyanazine)、プロ
シアジン(procyazine)、メソプラジン(m
esoprazine)、シメトン(simeton
e)、イパトン(ipatone)、メトメトン(me
thometon)、アトラトン(atraton
e)、セクブメトン(secbumeton)、プロメ
トン(prometone)、シメトリン(simet
ryne)、アメトリン(ametryn)、プロメト
リン(prometryne)、シアナトリン(cya
natryn)、タルブトリン(terbutry
n)、メトプロトリン(methoprotryn
e)、MPMT、ジメタメトリン(dimethame
tryn)、デスメトリン(desmetryne)、
ジプロペトリン(dipropetryn)、テルブメ
トン(terbumeton)、アジプロトリン(az
iprotryne)、エグリナジン(eglinaz
ine)及びプログリナジン(proglinazin
e)等が挙げられる。
【0021】トリアジン系殺生物剤としては、イルガロ
ール(irgarol)等が挙げられる。
【0022】以下、本発明の分解触媒ポリマーの製造法
を説明する。
【0023】本発明の、トリアジン化合物を鋳型とす
る、トリアジン系農薬又はトリアジン系殺生物剤等のト
リアジン化合物の分解触媒ポリマーの合成法は、トリア
ジン化合物を鋳型として用いる事、及び分解触媒能を有
する(プロトン遊離基を有する)プレポリマーを、基軸
プレポリマーに対し一定の比率で加える事以外は、通常
のポリマー合成用の原料、資材及び重合条件を採用する
ことができる。
【0024】塊状重合法により製造する場合は、鋳型分
子、基軸プレポリマー、分解触媒能を有する(プロトン
遊離基を有する)プレポリマー、架橋剤及びラジカル開
始剤等を適当な溶剤に溶解した後、紫外線等で、重合さ
せることにより達成される。
【0025】基軸プレポリマーとしては、トリアジン化
合物と親和性のある官能基を有するプレポリマーを挙げ
ることができる。基軸プレポリマーの具体例としては、
メタクリル酸、ジメタクリル酸エチレングリコール、2
−(トリフルオロメチル)アクリル酸等を挙げることが
できる。基軸プレポリマーは、単独又は二種以上を混合
して用いることができ、その混合比率は任意に設定でき
る。基軸プレポリマーの使用量は、鋳型分子に対して0
〜100当量、好ましくは、0〜20当量の範囲であ
る。
【0026】分解触媒能を有する(プロトン遊離基を有
する)プレポリマーは、SO3Hの様な酸性度の高い基
を有するプレポリマーであれば特に限定はしないが、具
体例として、メタクリル酸スルホC2-5アルキルエステ
ル等を挙げることができ、メタクリル酸2−スルホエチ
ルエステル(SEMA)等が好ましい。分解触媒能を有する
(プロトン遊離基を有する)プレポリマーの使用量は、
鋳型分子に対して1〜100当量、好ましくは、1〜2
0当量の範囲である。
【0027】架橋剤は、架橋してポリマーを生成するも
のであれば特に限定はしないが、トリアクリル酸トリメ
チロールプロパン、トリアクリル酸ペンタエリスリトー
ル、ジアクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸
1,4−ブタンジオール、ジアクリル酸1,6−ヘキサ
ンジオール、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメ
タクリル酸1,4−ブタンジオール及びジメタクリル酸
1,6−ヘキサンジオール等が挙げられ、好ましくは、
ジメタクリル酸エチレングリコールが挙げられる。架橋
剤の使用量は、鋳型分子に対して5〜500当量、好ま
しくは、10〜100当量の範囲である。
【0028】ラジカル開始剤は、ラジカルを生成しうる
ものであれば特に限定はしないが、過酸化ベンゾイル及
びt−BuOOH等の過酸化物並びにアゾビスジメチル
バレロニトリル及びアゾビスイソブチロニトリル等のア
ゾ化合物等が挙げられ、好ましくは、アゾ化合物が挙げ
られ、更に好ましくは、アゾビスイソブチロニトリル等
が挙げられる。ラジカル開始剤の使用量は、触媒量以上
であれば特に限定はしないが、鋳型分子に対して0.1
〜1.0当量、好ましくは、0.3〜0.5当量以上用
いれば充分である。
【0029】溶剤は、上記のポリマー原料を溶解するも
のであれば特に限定はしないが、1,2−ジクロルエタ
ン、ジクロルメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハ
ロゲン系溶媒が好ましく、特にクロロホルムが好まし
い。
【0030】反応温度は、−20〜70℃の範囲であ
り、好ましくは0〜50℃の範囲が挙げられる。
【0031】反応時間は、反応温度によって変化する
が、たとえば反応温度が5℃の場合、5〜20時間、好
ましくは、10〜15時間以上反応させれば充分であ
る。
【0032】懸濁重合法により製造する場合は、鋳型分
子、基軸プレポリマー、分解触媒能を有する(プロトン
遊離基を有する)プレポリマー、架橋剤、分散を安定化
させる安定剤及びラジカル開始剤等を適当な溶剤に溶解
した後、溶液を水に懸濁させ加熱攪拌を行い、重合させ
ることにより達成される。
【0033】基軸プレポリマー、分解触媒能を有する
(プロトン遊離基を有する)プレポリマー、架橋剤、ラ
ジカル開始剤及び溶剤に関しては、塊状重合法と同様の
条件を採用することができる。
【0034】分散を安定化させる安定剤は、プレポリマ
ーを含む溶液が、水中で分散した小滴の形態とることを
安定化させるものであれば、特に限定はしないが、ゼラ
チン、トラガカントゴム、デンプン、メチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコー
ル及びポリアクリル酸塩等が挙げられ、好ましくは、ポ
リビニルアルコールが挙げられる。安定剤の使用量は、
溶液の分散化を安定化させる範囲であれば、特に限定は
しない。
【0035】攪拌速度は、溶液の分散を安定化させる範
囲であれば特に限定はしないが、100〜500rpm
の範囲、好ましくは、200〜400rpmの範囲であ
る。
【0036】反応温度は、30〜80℃の範囲であり、
好ましくは、40〜60℃の範囲が挙げられる。
【0037】反応時間は、反応温度によって変化する
が、たとえば反応温度が50℃の場合、3〜15時間、
好ましくは、4〜10時間以上反応させれば充分であ
る。
【0038】製造した、トリアジン化合物を鋳型とす
る、トリアジン系農薬又はトリアジン系殺生物剤等のト
リアジン化合物の分解触媒ポリマーは、塊状重合法によ
り製造したポリマーの場合は、すり潰し、ふるいにかけ
ることにより、又、懸濁重合法により製造したポリマー
の場合は、ふるいにかけることにより、所望の粒径を有
するポリマー粒子にすることができる。
【0039】得られた粒子状のポリマーを、メタノー
ル、酢酸又はメタノール−酢酸混合溶液で洗浄すること
により、鋳型分子をポリマー内から除去することができ
る。
【0040】本発明のトリアジン化合物を鋳型とするト
リアジン系農薬及びトリアジン系殺生物剤等のトリアジ
ン化合物の分解触媒ポリマーは溶液に懸濁して、或いは
カラム等に充填して用いることができる。
【0041】本発明のトリアジン系農薬及びトリアジン
系殺生物剤の分解触媒ポリマーは、極性溶媒中で使用す
ることができる。当該分解触媒ポリマーは、極性溶媒
中、選択的にトリアジン系農薬及び工業用殺生物剤を捕
捉、保持し、ポリマー内に保有する酸性プロトンの触媒
能により、当該農薬及び工業用殺生物剤に対する溶媒分
子の求核置反応が促進され、分解反応が進行する。
【0042】
【実施例】以下、実施例及び参考例を挙げて本発明を更
に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。
【0043】実施例1[塊状重合法によるアトラジンを
鋳型とする分解触媒ポリマー(ポリマー(1))の合
成] クロロホルム25mL中に、アトラジン360mg、メ
タクリル酸287mg、メタクリル酸2−スルホエチル
エステル648mg、ジメタクリル酸エチレングリコー
ル9.35g及びアゾビスイソブチロニトリル120m
gを溶解させ、窒素ガスをバブリングした。その後、ガ
ラス製ネジ付き試験管に移し、5℃で12時間紫外線を
照射して重合させることにより、アトラジンを鋳型とす
る分解触媒ポリマー(ポリマー(1))を塊状のポリマ
ーとして得た。
【0044】参考例1[塊状重合法による鋳型分子を用
いないブランクポリマー(ポリマー(2))の合成] 鋳型分子であるアトラジンを用いない以外は、実施例1
と同様の操作を行い、鋳型分子を用いないブランクポリ
マー(ポリマー(2))を塊状のポリマーとして得た。
【0045】参考例2[塊状重合法によるプロトン遊離
基を有するプレポリマーを用いない鋳型ポリマー(ポリ
マー(3))の合成] メタクリル酸2−スルホエチルエステルの代わりに、メ
タクリル酸576mgを用いた以外は、実施例1と同様
の操作を行い、プロトン遊離基を有するプレポリマーを
用いない鋳型ポリマー(ポリマー(3))を塊状のポリ
マーとして得た。
【0046】参考例3[塊状重合法による鋳型分子及び
プロトン遊離基を有するプレポリマーを用いないブラン
クポリマー(ポリマー(4))の合成] 鋳型分子であるアトラジンを用いず、又、メタクリル酸
2−スルホエチルエステルの代わりに、メタクリル酸5
76mgを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行
い、鋳型分子及びプロトン遊離基を有するプレポリマー
を用いないブランクポリマー(ポリマー(4))を塊状
のポリマーとして得た。
【0047】実施例2[ポリマー(1)〜(4)の評価] ポリマー(1)〜(4)をそれぞれすり潰してふるいに
かけ、粒径を32〜63μmに揃えた後、ステンレス製
カラム(長さ50mm、内径4.6mm)に充填し、メ
タノール−酢酸の混合溶液で洗浄した。溶離液として2
0mMパラトルエンスルホン酸・メタノール溶液を用
い、流速毎分1.5mL、サンプル検出波長274n
m、サンプル濃度1mM、サンプル体積20μLという
条件下で保持時間を計測し、アセトンをボイドマーカー
として保持係数k’を求めた。
【0048】尚、保持容量k’は、注入したサンプルの
保持時間tR 及びアセトンの保持時間t0 から次式によ
り算出した。
【0049】k’=(tR −t0 )/t0 結果を表1に示す。
【0050】
【表1】 ─────────────────────────── 試験物質 アトラジンに対する保持係数(k’) ─────────────────────────── ポリマー(1) 11.4 ポリマー(2) 9.4 ポリマー(3) 0.0 ポリマー(4) 0.0 ───────────────────────────
【0051】プロトン遊離基を有するプレポリマーであ
るメタクリル酸2−スルホエチルエステルを添加したア
トラジンのインプリントポリマー(ポリマー(1))
は、鋳型分子を用いないブランクポリマー(ポリマー
(2))に比較し、保持能の向上がみられた。また、プ
ロトン遊離基を有するプレポリマーを添加しなかったア
トラジンのインプリントポリマー(ポリマー(3))及
びそのブランクポリマー(ポリマー(4))は、本溶離
液(極性溶離液)の使用においては全く保持能を示さな
いのに対して、ポリマー(1)及びポリマー(2)の保
持係数は各々11.4、9.4であり、プロトン遊離基
を有するプレポリマーとしてメタクリル酸2−スルホエ
チルエステルを添加することにより、保持能の著しい向
上がみられた。
【0052】実施例3[ポリマー(1)及び(3)の加
溶媒分解反応における触媒能評価] 以下に示す方法によって、ポリマー(1)及び(3)の
メタノールによる加溶媒分解反応における触媒能を評価
した。尚、本反応は下記の反応式で示すように、アトラ
ジンから農薬活性を持たないアトラトンを生成する反応
(無毒化)である。
【0053】
【化3】
【0054】粒径を32〜63μmに揃えた、アトラジ
ンを鋳型とする分解触媒ポリマー(ポリマー(1))及
びプロトン遊離基を有するプレポリマーを用いない鋳型
ポリマー(ポリマー(3)をそれぞれアセトニトリルで
3回洗浄し、更にクロロホルムで3回洗浄した。乾燥さ
せた後、バイアル瓶中にポリマー30mg、500μM
アトラジン溶液(クロロホルム:メタノール=9:1)
を加えて室温で24時間攪拌した。上清1mLを空のバ
イアル瓶に移し、乾固させた後、残留物を1mLのアセ
トニトリル−酢酸アンモニウムバッファ(pH6.0、
0.1M)に溶解させ、高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)により上清中のアトラジンの定量を行っ
た。尚、HPLC分析にはカラム(SUPELCO LC-8DB)、
溶離液(アセトニトリル−酢酸アンモニウムバッファ、
pH6.0、0.1M)を用い、流速毎分1.0mL、
サンプル体積20μLという条件により行った。又、ア
トラジンの分解量は残存するアトラジンの量及び分解物
であるアトラトンの量の比較により決定した。結果を表
2に示す。
【0055】
【表2】 ──────────────────── 試験物質 アトラジン分解量 ──────────────────── ポリマー(1) 85% ポリマー(3) 0% ────────────────────
【0056】ポリマー(1)は、アトラジンの分解反応
を触媒し、アトラトンを生成したが、ポリマー(3)で
は、アトラジンの分解は全く認められなかった。これ
は、ポリマー(1)の結合部位に結合したアトラジン
を、近傍にあるプロトン遊離基がプロトン化することに
より、メタノールによる求核置換反応を優位に進行させ
たためと考えられる。一方、ポリマー(3)では、結合
部位に結合したアトラジンの近傍にプロトン遊離基が存
在しないため、プロトン化されず、結果としてメタノー
ルによる求核置換反応が進行しなかったものと考えられ
る。
【0057】従って、ポリマー(1)は、アトラジンの
加溶媒分解反応の触媒として有効であることが示され
た。
【0058】
【発明の効果】本発明の、トリアジン化合物を鋳型とす
る、トリアジン系農薬又はトリアジン系殺生物剤等のト
リアジン化合物の分解触媒ポリマーは、環境中で有害な
トリアジン化合物の無毒化に使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 20/38 C08F 20/38 Fターム(参考) 4D017 AA03 BA04 CA11 CB01 DA01 EA01 4G069 AA02 AA08 AA09 BA22A BA22B BA22C BA43C BE08C BE09C BE13A BE13B BE13C BE22A BE22B BE22C BE33A BE33B BE33C BE38A BE38B BE38C CA05 CA10 CA11 DA03 DA06 EA01Y EB18Y FA01 FC01 FC02 FC06 4J011 JA07 JA08 JB01 PA43 PB40 PC02 PC07 PC08 QA03 QA13 QA23 QA24 QA32 QA40 QC07 SA76 UA01 UA08 WA10 4J100 AJ02P AJ03P AL08Q AL62P AL62R AL63R AL67R BA03R BA56Q BB18P CA04 CA23 DA28 FA03 FA18 FA21

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロトン遊離基を有するプレポリマーの
    共存下、一般式(1) 【化1】 (式中、Xはハロゲン原子、C1-5アルキルチオ基、モ
    ノC1-5アルキルアミノ基又はアミノ基を意味し、R1
    びR2はそれぞれ独立にC1-5アルキル基を意味する。)
    で表されるトリアジン化合物を鋳型として、鋳型重合法
    により合成することを特徴とするトリアジン化合物の分
    解触媒ポリマー
  2. 【請求項2】Xがハロゲン原子であるトリアジン化合物
    を鋳型とする請求項1記載の分解触媒ポリマー
  3. 【請求項3】プロトン遊離基がSO3Hであるプレポリ
    マーを用いる請求項1記載の分解触媒ポリマー
  4. 【請求項4】プロトン遊離基を有するプレポリマーが、
    メタクリル酸スルホC2-5アルキルエステルである請求
    項1又は請求項2記載の分解触媒ポリマー
  5. 【請求項5】トリアジン化合物がアトラジン、プロパジ
    ン、シマジン、アメトリン又はイルガロールである請求
    項1又は請求項2記載の分解触媒ポリマー
  6. 【請求項6】鋳型重合法が塊状重合法である請求項1又
    は請求項2記載の分解触媒ポリマーの製造法
  7. 【請求項7】鋳型重合法が懸濁重合法である請求項1又
    は請求項2記載の分解触媒ポリマーの製造法
  8. 【請求項8】トリアジン化合物がアトラジン、プロパジ
    ン、シマジン、アメトリン又はイルガロールである請求
    項6又は請求項7記載の分解触媒ポリマーの製造法
  9. 【請求項9】トリアジン化合物がアトラジン、プロパジ
    ン、シマジン、アメトリン又はイルガロールである請求
    項1又は請求項2記載の分解触媒ポリマーを用いたトリ
    アジン化合物の分解法
  10. 【請求項10】請求項1又は請求項2記載の分解触媒ポ
    リマーを溶液に懸濁して用いることを特徴とするトリア
    ジン化合物の分解法
  11. 【請求項11】請求項1又は請求項2記載の分解触媒ポ
    リマーをカラムに充填して用いることを特徴とするトリ
    アジン化合物の分解法
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7678317B2 (en) 1999-10-08 2010-03-16 Anthony Khouri Concrete mixing drum manufacturing method

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