JP4752178B2 - マレイミド基含有架橋ポリマー粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、この方法では、N−(6−マレイミドカプロイロキシ)サクシンイミドのごときマレイミド基含有化合物をリン脂質と反応させ、カラムクロマトグラフィなどの方法で精製してマレイミド基含有リン脂質をあらかじめ作製しなければならない。さらに、多段の処理をへてマレイミド基を含有するリン脂質膜を作製し、これを磁性粒子のごとき核粒子上に形成するので、工程がきわめて複雑で、さらに核粒子とマレイミド基を含有するリン脂質膜とは化学結合していないので物理的に弱いという欠点がある。
即ち本発明は、
<1> 下記の(a)〜(e)からなる群から選ばれる1種以上に由来する構成成分と、下記一般式(1)で表される基とを有する架橋ポリマー粒子であることを特徴とするマレイミド基含有架橋ポリマー粒子である。
(a)ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、またはヒドロキシメチルベンジル(メタ)アクリレートの重合体、および共重合体
(b)t−ブチル(メタ)アクリレート重合体および共重合体またはベンジル(メタ)アクリレート重合体および共重合体を加水分解してカルボキシル基に変換した後、ジオールでエステル化して得られた重合体
(c)t−ブチル(メタ)アクリレート重合体および共重合体をジオールでエステル交換して得られた重合体
(d)ハロゲン化メチルスチレン重合体および共重合体をジオールでエーテル化して得られた重合体
(e)水酸基含有スチレン系重合体および共重合体
(a)ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、またはヒドロキシメチルベンジル(メタ)アクリレートの重合体、および共重合体
(b)t−ブチル(メタ)アクリレート重合体および共重合体またはベンジル(メタ)アクリレート重合体および共重合体を加水分解してカルボキシル基に変換した後、ジオールでエステル化して得られた重合体
(c)t−ブチル(メタ)アクリレート重合体および共重合体をジオールでエステル交換して得られた重合体
(d)ハロゲン化メチルスチレン重合体および共重合体をジオールでエーテル化して得られた重合体
(e)水酸基含有スチレン系重合体および共重合体
更に、本発明のマレイミド基含有架橋ポリマー粒子の製造方法は、上記の(a)〜(e)からなる群から選ばれる1種以上の主鎖構造を構成成分として含み、且つ水酸基を含有する架橋ポリマー粒子に(ポリ)エチレングリコールビスカルボキシメチルエーテルを導入してカルボキシル基含有架橋ポリマー粒子を得た後、該カルボキシル基含有架橋ポリマー粒子に、ヒドロキシメチルマレイミドを反応させることを特徴とする。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明のマレイミド基含有架橋ポリマー粒子は、上記の(a)〜(e)に由来する構成成分と、前記一般式(1)で表される基とを有する架橋ポリマー粒子であることを特徴とする。
前記一般式(1)中のマレイミド基は、エチレンオキシド鎖を介して架橋ポリマー粒子に化学結合しており、該エチレンオキシド鎖のnは、1以上の整数を表す。前記エチレンオキシド鎖は、(ポリ)エチレングリコールビスカルボキシメチルエーテルと前記架橋ポリマーとを反応させて化学的に結合することにより得ることができる。
一方、前記一般式(1)におけるnは、1以上の整数であればいずれであってもよいが、一般的に、水系溶媒中で良好な分散性を得る観点から、nは2以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましい。
前記平均粒径が1〜200μmの範囲内であると、単位質量当たりの十分な反応量を維持したまま、濾過あるいは遠心分離による固液分離特性を上げることができる。
本発明のマレイミド基含有架橋ポリマー粒子の製造方法は、水酸基を含有する架橋ポリマー粒子に(ポリ)エチレングリコールビスカルボキシメチルエーテルを導入して得られたカルボキシル基含有架橋ポリマー粒子に、ヒドロキシメチルマレイミドを反応させることを特徴とする。
本発明のマレイミド基含有架橋ポリマー粒子の製造に用いられる水酸基を含有する架橋ポリマー粒子は、該水酸基を含有する架橋ポリマー粒子を構成する成分の一つである重合体として、水酸基を含有する単量体を重合することにより得られた重合体(以下、「水酸基含有重合体」という場合がある。)の他、更に水酸基を含有する単量体と他の単量体とを共重合することによって得られた重合体(以下、「水酸基含有共重合体」という場合がある。)が挙げられるもので、前記水酸基を含有する架橋ポリマー粒子を構成する成分の一つである重合体としては前記水酸基含有共重合体が好ましい。前記水酸基を含有する架橋ポリマー粒子は重合時に架橋構造としても、重合によりポリマー粒子化した後に架橋させてもよい。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」又は「メタクリレート」を表すものとする。
具体的には、ジアシルパーオキサイド、ケトンパーオキサイドおよびアルキルハイドロパーオキサイドのような有機過酸化物;過酸化水素およびオゾンのような無機過酸化物;アゾビスバレロニトリル(AIBN;和光純薬社よりV−60として入手可能)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(和光純薬社よりV−59として入手可能)および2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬社よりV−65として入手可能)のような油溶性アゾ系有機化合物;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二酸塩(和光純薬社よりV−50として入手可能)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド](和光純薬社よりVA−086として入手可能)および2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二酸塩(和光純薬社よりVA−044として入手可能)のような水溶性アゾ系有機化合物が挙げられる。これら重合開始触媒を用いる場合は、重合が良好に開始されるのに充分な量で用いられることが好ましい。このような量は当業者に周知であるが、一般には0.1〜5.0質量%の量で用いることが好ましい。
また、前記水酸基を含有する架橋ポリマー粒子を構成する単量体とともに、トルエン、オクタン、シクロヘキサノン、ジブチルフタレート、ラウリルアルコール等の非重合性の添加剤を入れ、重合後に抽出除去して粒子を多孔質とすることも可能である。
本発明におけるカルボキシル基含有架橋ポリマー粒子は、既述の水酸基を含有する架橋ポリマー粒子に、(ポリ)エチレングリコールビスカルボキシメチルエーテルを導入して得られた架橋ポリマー粒子である。
既述のように、「(ポリ)エチレングリコールビスカルボキシメチルエーテル」とは、「エチレングリコールビスカルボキシメチルエーテル」又は「ポリエチレングリコールビスカルボキシメチルエーテル」を意味するものであり、HO2CCH2O(CH2CH2O)mCH2CO2Hの一般式で表されるジカルボン酸化合物を意味する。ここでmは、前記一般式(1)のnと同義である。
例えば、前記水酸基を含有する架橋ポリマー粒子に、(ポリ)エチレングリコールビスカルボキシメチルエーテルの片末端のカルボキシル基を適当な触媒とともに直接反応させ、カルボキシル基含有架橋ポリマー粒子としてもよいし、あるいは(ポリ)エチレングリコールビスカルボキシメチルエーテルのカルボキシル基を一旦酸ハロゲン化合物に変換した後、架橋ポリマーの水酸基と反応させることによりカルボキシル基含有架橋ポリマー粒子としてもよい。
これらエステル化反応をスムーズに進行させるため、前記水酸基を含有する架橋ポリマー粒子に含まれる官能基の総モル量に対し当量以上の(ポリ)エチレングリコールビスカルボキシメチルエーテルを反応させることが好ましいが、実際には架橋ポリマー粒子中の全ての官能基がエステル化するわけではないので当量以下であってもかまわない。
このようにして得られたカルボキシル基含有架橋ポリマー粒子は、本発明のマレイミド基含有架橋ポリマー粒子の原料として好ましく用いることができる。
ここで、カルボキシル基導入量の再現性の面で、あらかじめ反応前に粒子を分級処理し、粒径をそろえてから反応させることが好ましい。こうして得られたカルボキシル基含有架橋ポリマー粒子は、メタノール等の溶媒に希釈分散させ、濾別し、更に水洗及び/又は溶剤洗浄の後、噴霧乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥等の通常の手段によって粉体として単離することができる。
前記触媒の添加量を水酸基を含有する架橋ポリマー粒子の総質量100質量部に対して、0.01〜50質量部の範囲とすることにより、カルボキシル基が導入し易くなり、また、反応後の触媒の除去も有利に進行させることができる。
t−ブチルメタクリレート(和光純薬(株)製)100部、ジビニルベンゼン(純度55%)5部を用いて懸濁重合を行い、分級操作を施し平均粒径15μmの架橋ポリマー粒子を得た。得られた粒子をイオン交換水及び溶剤で洗浄後、単離乾燥して架橋ポリマー粒子Aを得た。
メチルメタクリレート(東京化成(株)製)70部、ジビニルベンゼン(純度55%)5部を用いて懸濁重合を行い、分級操作を施し平均粒径15μmの架橋ポリマー粒子を得た。得られた粒子をイオン交換水及び溶剤で洗浄後、単離乾燥して架橋ポリマー粒子Bを得た。
24部のマレイミド(アルドリッチ(株)製)、21部の35%HCOH(和光純薬(株)製)、5%NaOH水溶液を0.7部入れ、40℃で2時間反応させたところ、ヒドロキシメチルマレイミドの白色結晶が析出した。減圧濾過後、常温で真空乾燥した。このようにして得たヒドロキシメチルマレイミドCの粗結晶を酢酸エチルで再結晶し、22部のヒドロキシメチルマレイミドCを得た。
得られた架橋ポリマー粒子A 10部をp−キシレンα,α−ジオール50部に分散させ、窒素雰囲気下テトラ−n−プロポキシチタン0.2部を加えて、14時間170℃で反応させた。得られた微粒子をメタノールに分散/洗浄しさらにイオン交換水及び溶剤で洗浄後、単離乾燥して水酸基含有架橋ポリマー粒子を得た。このようにして得られた水酸基含有架橋ポリマー粒子10部を(ポリ)エチレングリコールビスカルボキシメチルエーテル(アルドリッチ(株)製、前記一般式におけるmが10〜11である化合物。)50部に分散させ、メシチレン(和光純薬(株)製)15部を加え、窒素雰囲気下p−トルエンスルホン酸一水和物を0.2部滴下し、7時間還流下反応させた。得られた粒子をメタノールに分散/洗浄しさらにイオン交換水及び溶剤で洗浄後、単離乾燥してカルボキシル基含有架橋ポリマー粒子を得た。
得られたマレイミド基含有架橋ポリマー粒子を一定量ねじ口試験管にW(g)秤量し、あらかじめ調製した2−メルカプトエチルアミン(東京化成社製)の反応液を、2−メルカプトエチルアミンが過剰量になるよう一定量加え、攪拌反応させた。
マレイミド基含有架橋ポリマー粒子を遠心分離したのち上澄み溶液の2−メルカプトアミンと4,4’−ジチオジピリジンと反応させ、324nmの吸光度をからモル吸光係数ε=19800を用いて上澄み溶液中の2−メルカプトエチルアミン量B(mol)を求めた。ブランクとして、サンプルを含まない系の2−メルカプトアミン量C(mol)も同様に測定し、下記の式に従ってマレイミド基量A(mmol/g)を求めた。
A=(C−B)/W×1000
得られた架橋ポリマー粒子A 10部をジオキサン(和光純薬(株)製)120部と塩酸(和光純薬(株)製)40部に分散させ、5時間80℃で反応させた。得られた粒子をイオン交換水に分散/洗浄した後、単離乾燥してカルボキシル基に変換した架橋ポリマー粒子を得た。
このようにして得られたカルボキシル基に変換した架橋ポリマー粒子10部を硫酸(和光純薬(株)製)50g、ポリエチレングリコール200(和光純薬(株)製)300部の混合液に分散し6時間120℃で反応させた。得られた粒子をイオン交換水に分散/洗浄した後、単離乾燥して水酸基を含有する架橋ポリマー粒子を得た。
このようにして得られた水酸基を含有する架橋ポリマー粒子10部を(ポリ)エチレングリコールビスカルボキシメチルエーテル(アルドリッチ(株)製:前記一般式におけるmが10〜11である化合物。)50部に分散させ、メシチレン(和光純薬(株)製)15部を加え、窒素雰囲気下p−トルエンスルホン酸一水和物を0.2部滴下し、7時間還流下反応させた。得られた粒子をメタノールに分散/洗浄しさらにイオン交換水及び溶剤で洗浄後、単離乾燥してカルボキシル基含有架橋ポリマー粒子を得た。
このようにして得られたカルボキシル基含有架橋ポリマー粒子10部に前記ヒドロキシメチルマレイミドC 17部、トルエン500部を入れ60〜70℃の条件で撹拌し、触媒のp−トルエンスルホン酸一水和物0.4部を入れ、温度を上げて10時間還流下反応させた。得られた粒子をメタノールに分散/洗浄しさらにイオン交換水及び溶剤で洗浄後、単離乾燥してマレイミド基含有架橋ポリマー粒子を得た。
このようにして得られたマレイミド基含有架橋ポリマー粒子のマレイミド基量を実施例1と同じ方法で測定を行ったところ、マレイミド基量は1.5mmol/gであった。このマレイミド基含有架橋ポリマー粒子1部を10部の純水に入れ、30秒間超音波処理して顕微鏡観察したところ良好に分散していることを確認した。
実施例1において、用いた架橋ポリマー粒子Aを架橋ポリマー粒子Bに変更したこと以外、実施例1と同様にして比較の架橋ポリマー粒子を得た。この架橋ポリマー粒子のマレイミド基量を実施例1と同じ方法で測定を行ったところ、マレイミド基は全く測定されなかった。
実施例2において、得られたカルボキシル基に変換した架橋ポリマー粒子を塩化チオニルでクロル化し、ヒドロキシメチルマレイミドと反応させて比較のマレイミド基含有架橋ポリマー粒子を得た。得られたマレイミド基含有架橋ポリマー粒子のマレイミド基量を実施例1と同じ方法で測定を行ったところ、0.2mmol/gであった。
このマレイミド基含有架橋ポリマー粒子1部を10部の純水に入れ、30秒間超音波処理して顕微鏡観察したところ、粒子の凝集は全くほぐれず分散状態が悪いものであった。
Claims (2)
- 下記の(a)〜(e)からなる群から選ばれる1種以上に由来する構成成分と、下記一般式(1)で表される基とを有する架橋ポリマー粒子であることを特徴とするマレイミド基含有架橋ポリマー粒子。
(a)ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、またはヒドロキシメチルベンジル(メタ)アクリレートの重合体、および共重合体
(b)t−ブチル(メタ)アクリレート重合体および共重合体またはベンジル(メタ)アクリレート重合体および共重合体を加水分解してカルボキシル基に変換した後、ジオールでエステル化して得られた重合体
(c)t−ブチル(メタ)アクリレート重合体および共重合体をジオールでエステル交換して得られた重合体
(d)ハロゲン化メチルスチレン重合体および共重合体をジオールでエーテル化して得られた重合体
(e)水酸基含有スチレン系重合体および共重合体
[一般式(1)中、nは1以上の整数を表す。] - 下記の(a)〜(e)からなる群から選ばれる1種以上に由来する構成成分を有する架橋ポリマー粒子に(ポリ)エチレングリコールビスカルボキシメチルエーテルを導入してカルボキシル基含有架橋ポリマー粒子を得た後、該カルボキシル基含有架橋ポリマー粒子にヒドロキシメチルマレイミドを反応させることを特徴とするマレイミド基含有架橋ポリマー粒子の製造方法。
(a)ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、またはヒドロキシメチルベンジル(メタ)アクリレートの重合体、および共重合体
(b)t−ブチル(メタ)アクリレート重合体および共重合体またはベンジル(メタ)アクリレート重合体および共重合体を加水分解してカルボキシル基に変換した後、ジオールでエステル化して得られた重合体
(c)t−ブチル(メタ)アクリレート重合体および共重合体をジオールでエステル交換して得られた重合体
(d)ハロゲン化メチルスチレン重合体および共重合体をジオールでエーテル化して得られた重合体
(e)水酸基含有スチレン系重合体および共重合体
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