JP2001074909A - 液晶表示用反射防止フィルム及びその製造方法 - Google Patents

液晶表示用反射防止フィルム及びその製造方法

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JP2001074909A
JP2001074909A JP25324899A JP25324899A JP2001074909A JP 2001074909 A JP2001074909 A JP 2001074909A JP 25324899 A JP25324899 A JP 25324899A JP 25324899 A JP25324899 A JP 25324899A JP 2001074909 A JP2001074909 A JP 2001074909A
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film
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antireflection
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Masahisa Tosaka
昌久 登坂
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液晶表示装置の反射光を低減し、ハードコー
ト層と反射防止層とが高い密着性を有する、耐擦傷性、
表面硬度に優れた液晶表示装置用反射防止フィルム及び
その製造方法を提供する。 【解決手段】 基材フィルムの片面に、ハードコート層
を介して、反射防止層が積層されている液晶表示装置用
反射防止フィルムであって、上記ハードコート層は、該
表面の元素組成中に占めるSiの比率を、Si、C、及
びOの合計量に対して2〜35原子%となるように配合
するか、上記範囲になるように放電処理を施し、上記ハ
ードコート面に、反射防止層を積層する液晶表示装置用
反射防止フィルム及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置に好
適に用いられ得る反射防止フィルム及びその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、液晶表示装置(以下、LCDと
略する)は、室内環境や屋外環境において、使用環境に
伴う光の取り入れ方向・角度により表示部分に光が反射
して視認性が低減するという問題があった。一方、ハー
ドコート層上に反射防止層をコーティングしたフィルム
を表示装置に貼り付けたり、表示装置そのものに反射防
止層をコーティングしたCRTや液晶表示装置が市販さ
れている。しかしながら、表面に凹凸をつけたり、エッ
チングすることで反射防止することが行われているが、
品質にばらつきがあるだけでなく、透過画質を悪化させ
るという欠点があった。
【0003】そこで、塗工、蒸着、スパッタリング、プ
ラズマCVD等の方法で低屈折率層、高屈折率層の組み
合わせによる反射防止膜を形成する方法が提案された。
上記反射防止膜中の低屈折率層、及び高屈折率層の材料
は、主に酸化金属材料が利用されており、透過率を維持
しつつ、反射防止機能を付与するために、通常、0.1
μm程度の金属含有薄膜を単層及び複数層積層するもの
である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、反射防止膜
は、基材との密着性及び耐擦傷性が悪く、表面硬度も低
いという問題があった。そのため、基材上にハードコー
ト層(硬化被膜層)としてアクリレート系の官能基を有
する層を設けて、表面硬度を向上させる技術が汎用され
ている。しかし、有機材料であるハードコート層と無機
材料である金属含有薄膜との密着性に問題が残り、金属
含有薄膜の表面が剥離する等の問題が残った。金属含有
薄膜とハードコート層の密着性を上げる方法として、例
えばアクリル系ハードコート表面をコロナ放電処理する
方法が知られているが、密着性の向上効果は十分ではな
かった。また処理時間を延ばした場合、基材表面の劣化
が激しくなり、逆に密着性が低下する。また、アクリル
系ハードコート塗料に無定型シリカ粒子を混合し、金属
含有薄膜との密着性を向上させる方法(特開平5−16
2261号公報)や、オルガノポリシロキサンを用いて
接着特性を向上させる方法が提案されており、これらの
方法によれば、確かに表面硬度は向上するが、密着性に
関して効果が不十分であった。さらに、ハードコート層
上に反射防止層をコートしたフィルムをLCDの偏光板
表面に貼り付けたり、偏光板そのものに反射防止層をコ
ートした液晶装置が市販されている。しかしながら、炭
層フッ素膜の場合は、反射率がボトム型になり平均反射
率が高く、また金属薄膜積層体の場合は、金属含有薄膜
が薄いため耐擦殺傷性が悪く表面が傷つきやすいという
問題があった。
【0005】本発明は、上記の課題を解決し、反射防止
層とハードコート層が高い密着性を有し、表面硬度に優
れ、さらに、LCDの反射光の表面反射を低減できるL
CD用反射防止フィルムとその製造方法を提供すること
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1記載の本発明(以下、「本発明1」という)
では、基材フィルムの片面に、ハードコート層を介し
て、反射防止層が積層されていることを特徴とするLC
D用反射防止フィルムを提供する。また、請求項2記載
の本発明(以下、「本発明2」という)では、基材フィ
ルムの片面に、ハードコート層を介して、反射防止層が
積層され、該基材フィルムのもう一方の片面に粘着層が
形成されていることを特徴とする請求項1記載の液晶表
示用反射防止フィルムを提供する。また、請求項3記載
の本発明(以下、「本発明3」という)では、基材フィ
ルムがアルカリ処理されたトリアセチルセルロースフィ
ルムであることを特徴とする請求項1又は2記載の液晶
表示用反射防止フィルムを提供する。また、請求項4記
載の本発明(以下、「本発明4」という)では、ハード
コート層が、多官能アクリレート(A)100重量部
と、有機物により表面処理コートされたシリカ粒子、オ
ルガノポリシロキサン、及びシリコンアクリレートより
なる群から選ばれた少なくとも1種のシリコン系化合物
(B)1〜40重量部とからなる組成物を硬化させたも
のであり、上記ハードコート層の表面の元素組成中に占
めるSiの比率が、Si、C、及びOの合計量に対して
2〜35原子%であることを特徴とする請求項1〜3い
ずれか一項に記載の液晶表示用反射防止フィルムを提供
する。
【0007】また、請求項5記載の本発明(以下、「本
発明5」という)では、ハードコート層が、多官能アク
リレート(A)100重量部と、有機物により表面処理
コートされたシリカ粒子、オルガノポリシロキサン、及
びシリコンアクリレートよりなる群から選ばれた少なく
とも1種のシリコン系化合物(B)1〜70重量部と、
ウレタンアクリレート(C)5〜100重量部とからな
る組成物を硬化させたものであり、上記ハードコート層
の表面の元素組成中に占めるSiの比率が、Si、C、
及びOの合計量に対して2〜35原子%であることを特
徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載の液晶表示用
反射防止フィルムを提供する。また、請求項6記載の本
発明(以下、「本発明6」という)では、反射防止層
が、SiO2 層及びTiO2 層の積層体によって構成さ
れることを特徴とする請求項1〜5いずれか一項に記載
の液晶表示用反射防止フィルムを提供する。また、請求
項7記載の本発明(以下、「本発明7」という)では、
ハードコート層の表面の元素組成中に占めるSiの比率
が、Si、C、及びOの合計量に対して2〜35原子%
となるように放電処理が施されたハードコート層を有す
ることを特徴とする請求項1〜6いずれか一項に記載の
液晶表示用反射防止フィルムを提供する。
【0008】また、請求項8記載の本発明(以下、「本
発明8」という)では、基材フィルムに、ハードコート
層を介して、反射防止層を積層することにより液晶表示
用反射防止フィルムを製造する方法において、上記ハー
ドコート層の表面の元素組成中に占めるSiの比率が、
Si、C、及びOの合計量に対して2〜35原子%とな
るように放電処理を施し、更に上記放電処理された面
に、大気圧近傍の圧力下、金属化合物を含むガス雰囲気
中で、対向電極間に放電電流密度が0.2〜300mA
/cm2 となるように電界を印加することにより、放電
プラズマを発生させ、反射防止層を積層することを特徴
とする液晶表示用反射防止フィルムの製造方法を提供す
る。また、請求項9記載の本発明(以下、「本発明9」
という)では、上記一対の対向電極間にパルス化された
電界を印加することを特徴とする請求項8記載の液晶表
示用反射防止フィルムの製造方法を提供する。また、請
求項10記載の本発明(以下、「本発明10」という)
では、上記パルス化された電界の印加における電圧立ち
上がり時間が100μs以下で、且つ、パルス電界の強
さが1〜100kV/cmの範囲であることを特徴とす
る請求項9に記載の液晶表示用反射防止フィルムの製造
方法を提供する。また、請求項11記載の本発明(以
下、「本発明11」という)では、上記パルス化された
電界の周波数が0.5〜100kHzであり、且つ、そ
の1つのパルス継続時間が1〜1000μsであること
を特徴とする請求項9又は10に記載の液晶表示用反射
防止フィルムの製造方法を提供する。また、請求項12
記載の本発明(以下、「本発明12」という)では、ハ
ードコート層、反射防止層の順に積層されたフィルムを
基材フィルムの片面に接着し、反射防止層が形成された
フィルムが、該基材フィルムのもう一方の片面に接着さ
れていることを特徴とする請求項8〜11いずれか一項
に記載の液晶表示用反射防止フィルムを提供する。
【0009】<基材フィルム>本発明において使用され
る基材フィルムの材質は、特に限定されず、例えば、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、再生セル
ロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロー
ス、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニル
アルコール、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレー
ト(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミ
ド、ナイロン、アクリル等が挙げられる。好ましくは、
透明性のある樹脂基材であり、これらは特に限定されず
トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート(P
MMA)等が挙げられる。さらに好ましくは、偏光板と
の接着性が良好な点から、アルカリ処理したトリアセチ
ルセルロースが挙げられる。
【0010】<ハードコート層>本発明において使用さ
れる多官能アクリレート(A)としては、例えば、ペン
タエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペン
タエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタ
エリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタ
エリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエ
リスリトール(メタ)テトラアクリレート、ジペンタエ
リスリトール(メタ)テトラアクリレート、ペンタエリ
スリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリス
リトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト
ールグリシジル(メタ)アクリレート、トリメチロール
プロパントリ(メタ)アクリレート、及びこれらの誘導
体、変性品等が挙げられる。これらは、単独で使用され
てもよいし、2種類以上併用されてもよい。
【0011】本発明において使用されるシリコン系化合
物(B)は、有機物により表面処理コートされたシリカ
粒子、オルガノポリシロキサン及びシリコンアクリレー
トよりなる群から選ばれた少なくとも1種のシリコン系
化合物からなる。上記有機物により表面処理コートされ
たシリカ粒子としては、例えば、図1、2に示したもの
が例示される。ここでCo−Siとはコロイダルシリカ
を示し、図2においてR1 、R2 はそれぞれアルキル基
を示す。なお、R1 とR2 は、それぞれ異なっていても
よいし、同一のものであってもよい。上記有機物により
表面処理コートされたシリカ粒子としては、東芝シリコ
ーン社製;品番「UVHC−1103」、「UVHC−
1105」等があげられる。
【0012】上記有機物により表面処理コートされたシ
リカ粒子の粒径は、小さすぎると、ハードコート塗料の
粘度が高くなるので塗工が困難になり、大きすぎると塗
工後のヘイズ値が上がり、透明性が落ちるため、0.1
〜3μmが好ましく、より好ましくは、0.2〜0.7
μmが好ましい。
【0013】上記オルガノシロキサン樹脂としては、以
下の構造のものが利用できる。
【0014】
【化1】
【0015】
【化2】
【0016】
【化3】
【0017】ここで、m,nは0以上の整数であり、m
≧0、n≧0、10≦m+n≦100が好ましく、より
好ましくは15≦m+n≦50である。m+n<10の
場合は硬度が低くなり、ハードコート性能が劣る。ま
た、m+n>100の場合は、塗料が高粘度化するた
め、塗工に問題が生じる。
【0018】上記シリコンアクリレートは、一般式(C
3 O)3 SiR3 O−CO−CR 4 =CH2 で示され
るものであり、R3 、R4 はそれぞれアルキル基を示
す。なお、R3 とR4 は、それぞれ異なっていてもよい
し、同一のものであってもよい。
【0019】上記シリコン系化合物(B)の量は、少な
すぎると、得られるハードコート層の表面硬度が低くな
り、多すぎると、硬化後のハードコートにクラックが発
生し、密着性が低下する。このため、本発明2では、多
官能アクリレート(A)100重量部に対して1〜40
重量部が好ましく、さらに好ましくは3〜20重量部で
ある。1重量部より少ないと、表面高度が低く密着性が
向上しない。また、40重量部より多い場合は、硬化後
のハードコート内にクラックが発生し、密着性が低下す
る。また、本発明3では多官能アクリレート(A)10
0重量部、ウレタンアクリレート5〜100重量部に対
して1〜70重量部が好ましく、さらに好ましくは10
〜60重量部である。1重量部より少ないと、表面高度
が低く密着性が向上しない。また、70重量部より多い
場合は、硬化後のハードコート内にクラックが発生し、
密着性が低下する。
【0020】上記ハードコート塗料の粘度を調整するた
めに、希釈溶媒を用いても良い。これらは、非重合性の
ものであれば特に限定されず、例えば、トルエン、キシ
レン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセルソルブ、エ
チルセルソルブ、エチルセルソルブアセテート、イソプ
ロピルアルコール、メチルエチルケトン等が挙げられ
る。これらの希釈溶媒は、これらは、単独で使用されて
もよいし、2種類以上併用されてもよい。
【0021】本発明において使用されるウレタンアクリ
レート(C)は、1種または2種以上を併用したポリオ
ール、ジイソシアネート、ヒドロキシ(メタ)アクリレ
ートを使用し、公知の方法で作られる。
【0022】上記ポリオールとしては、例えば、スピロ
グリコール、エトキシ化ビスフェノールA、エトキシ化
ビスフェノールS、ポリテトラメチレンオキサイドジオ
ール、ポリテトラメチレンオキサイドトリオール、ポリ
プロピレンオキサイドジオール、ポリプロピレンオキサ
イドトリオール等が挙げられる。
【0023】上記ジイソシアネートとしては、例えば、
テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイ
ソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2, 4−
トリレンジイソシアネート、4, 4' −ジフェニルジイ
ソシアネート、1, 5−ナフタレンジイソシアネート、
3, 3' −ジメチル−4, 4−ジフェニルジイソシアネ
ート、キシレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメ
チレンジイソシアネート、4, 4−ジフェニルメタンジ
イソシアネート、トリレンジイソシアネート等が挙げら
れる。
【0024】上記ヒドロキシ(メタ)アクリレートとし
ては、例えば、2、2−ビス〔4−(3−アクリロキシ
−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン、ビ
ス〔4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキ
シ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(3−アクリロキシ
−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕スルホン、ビ
ス〔4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキ
シ)フェニル〕エーテル、4, 4−ビス〔4−(3−ア
クリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕シ
クロヘキサン、9, 9−ビス〔4−(3−アクリロキシ
−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕フルオレン、
9, 9−ビス〔4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキ
シプロポキシ)フェニル〕アントラキノン、2−ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロ
ピルアクリレート、グリシドールジメタクリレート、ペ
ンタエリスリトールトリアクリレート等が挙げられる。
【0025】上記ウレタンアクリレート(C)として
は、大日精化社製;品番「EXS−07」などが挙げら
れる。
【0026】上記ウレタンアクリレート(C)添加量
は、少なすぎると、得られるハードコート層の柔軟性や
密着性が低くなり、多すぎると、硬化後のハードコート
性能が低下する。このため、多官能アクリレート(A)
100重量部及びシリコン系化合物(B)1〜70重量
部に対して、ウレタンアクリレート(C)5〜100重
量部が好ましく、さらに好ましくは7〜40重量部であ
る。5重量部より少ないと、柔軟性や密着性が向上しな
い。また、100重量部より多い場合は、ハードコート
性能が低下する。ハードコート層のより好ましい組成と
しては、、多官能アクリレート(A)100重量部、シ
リコン系化合物(B)10〜60重量部及びウレタンア
クリレート(C)7〜40重量部とからなる組成が挙げ
られる。
【0027】本発明においてハードコート層を形成する
には、多官能アクリレート(A)、シリコン系化合物
(B)及び、ウレタンアクリレート(C)からなる組成
物を、透明性基材上に塗布し、乾燥、硬化する。上記組
成物を透明性基材上に塗布する方法としては、公知のス
プレーコート、グラビアコート、ロールコート、バーコ
ート等の塗工法を用いることが出来る。塗布量は、必要
とされる物性を考慮し、所望の厚さとなるように調整さ
れる。
【0028】上記のようにして透明性基材上に塗布さ
れ、乾燥されたハードコート用組成物を硬化する方法と
しては、アクリロイル基の重合反応を開始し促進するも
のであれば、特に限定されず、公知の方法で行うことが
出来る。
【0029】紫外線照射により硬化させる場合は、従来
公知の光重合開始剤を用いることができ、例えば2,2
−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、アセトフ
ェノン、ベンゾフェノン、キサントン、3−メチルアセ
トフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジ
メトキシベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテ
ル、ベンジルジメチルケタール、N,N,N',N'-テトラメチ
ル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1−(4−イ
ソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプ
ロパン−1−オン、その他チオキサント系化合物等が挙
げられる。
【0030】上記の硬化に用いられるエネルギー線源と
しては、例えば、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キ
セノンランプ、窒素レーザー、電子線加速装置、放射性
元素などの線源が使用される。エネルギー線源の照射量
は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、50
〜5000mJ/cm2 が好ましい。照射量が、50m
J/cm2 未満の場合は、硬化が不十分となるため、導
電層の耐摩耗性や硬度が低下する。また、5000mJ
/cm2 を超えると、ハードコート層が脆くなり、ハー
ドコート層にクラックが発生する。
【0031】また加熱による硬化を行う場合、開始剤と
して、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタ
ール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサ
イド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネ
ート等が挙げられる。これら開始剤は単独で使用されて
もよいし、2種類以上併用されてもよい。
【0032】上記ハードコート用組成物には、必要に応
じて、性能を損なわない範囲で、顔料、充填剤、界面活
性剤、分散剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等が
使用されてもよい。これらは単独で使用されてもよい
し、2種類以上併用されてもよい。
【0033】上記ハードコート層の厚みは、1〜15μ
mが好ましく、より好ましくは2〜8μmである。膜厚
が、1μmより薄すぎると硬度が下がり、15μmより
厚すぎるとハードコート層自体にクラックが発生し、反
射防止層との密着性が低下するためである。
【0034】本発明においては、基材上のハードコート
層の表面の元素組成中に占めるSiの比率が、Si、
C、及びOの合計量に対して2〜35原子%となるよう
に上記組成物の設計・塗工・硬化等を施す。上記表面の
Siの比率はESCAによって分析され、Si量/(S
i量+C量+O量)で算出される。
【0035】<表面処理>本発明におけるハードコート
層は、表面のSi元素量を調整するために、ハードコー
ト塗工後、表面処理を施しても良い。放電処理により表
面処理を行う場合は、ハードコート層表面をエッチング
し、−SiO−結合を露出させる効果のあるものであれ
ば特に限定されず、コロナ放電、プラズマ放電、エキシ
マレーザーによる処理等、また、有機溶剤によってハー
ドコート層表面を浸食し、Si元素量を制御する化学処
理等が挙げられる。その中でも、コロナ処理、プラズマ
処理による方法が好ましい。上記方法により表面処理さ
れる深さは、基材へのダメージがなければ特に限定され
ず、5〜150Å程度であることが好ましく、さらに好
ましくは10〜80Åである。5Åより浅い場合は、−
SiO−結合生成が少なく十分な密着性が得られない場
合がある。また、150Åを越えると基材へのダメージ
が大きくハードコートと基材との間で界面はく離が発生
する場合がある。
【0036】上記表面における元素組成中に占めるSi
の比率は、少なすぎると、表面に露出される−SiO−
の割合が低下するため、その上に成される反射防止層と
の密着性が向上されず、多すぎるとハードコート基材に
クラックが入り、反射防止層との密着性が低下するた
め、Si、C、及びOの合計量に対して2〜35原子%
となるようにする必要があり、好ましくは4〜30%で
ある。
【0037】<反射防止層>本発明における反射防止層
としては、TiO2 、ZrO2 、TiO2 、MgF等が
用いられるが、高性能な反射防止機能を付与するには、
TiO2 層上とSiO2 層との積層体を用いることが好
ましい。上記積層体は、ハードコート層上に屈折率の高
いTiO2 層(屈折率:約1.8〜2.1)が形成さ
れ、該TiO2層上に屈折率の低いSiO2 層(屈折
率:約1.4〜1.5)が形成された2層積層体;さら
に、この2層積層体上に、TiO2 層上及びSiO2
がこの順序で形成された4層積層体が好ましい。このよ
うな2層積層体又は4層積層体の反射防止層を設けるこ
とにより、特定波長の光の反射率を低くすることができ
る。上記反射防止層の厚みは、反射防止の性能が発現さ
れる厚みであれば特に限定されず、透明素材の場合は、
透過率の点から膜厚は薄い方が好ましい。通常は、10
0〜3000Åで使用される。上記反射防止層は、基材
フィルム両面に形成されてもよく、その順序は、特に限
定されず、例えば、基材フィルムの片面に、ハードコー
ト層を介して反射防止層を形成してから、該基材フィル
ムのもう一方の片面に反射防止層を形成しても良い。ま
た、別の基材フィルムに反射防止層を形成し、上記ハー
ドコート層を介して反射防止層を形成した面のもう一方
の片面に貼り付けても良い。
【0038】上記反射防止層の膜厚をd、屈折率をn、
入射光の波長をλとすると、反射防止層の膜厚とその屈
折率との間でnd=λ/4なる関係式が成立する。反射
防止層の屈折率が基材の屈折率より小さい場合は、上記
関係式が成立する条件では反射率が最小となる。従っ
て、得られる反射防止層の屈折率nが分かっていれば、
膜厚dは反射防止層の製造における成膜速度とその処理
時間で決定でき、特定の入射光の波長λ(単色光)に対
して反射率を最小にすることができる。
【0039】上記反射防止層が、例えばSiO2 層から
形成され、屈折率が1.42である場合は、可視光線中
の550nmの波長の入射光に対して、反射率を最小に
する反射防止層の膜厚は97nmとなる。
【0040】反射防止効果を期待する可視光線の波長領
域は、380〜780nmであり、特に視感度の高い4
50〜650nmの範囲にあるので、反射防止層の膜厚
が波長550nmに対応できる膜厚を中心に±30%の
範囲に設定されれば、可視光線に対する反射防止効果が
十分に期待される。
【0041】2層以上の薄膜で反射防止層を形成する場
合は、最上層(表面層)を低屈折率材料のλ/4膜近辺
となるようにし、基材上から高屈折率材料と低屈折率が
交互に配置されることが好ましい。ここで、表面から2
層目以降の膜厚は、波長450〜650nmでの反射率
が小さくなるように設定され、屈折率との兼ね合いにな
るが、一般にλ/2膜以下の厚さとなる。これにより、
単層の反射防止層よりも低反射の波長領域を広げること
ができる。
【0042】上記反射防止層の積層方法は特に限定され
ず、スパッタリング、蒸着、プラズマ化学蒸着(以下、
CVD)、塗工等が挙げられる。好ましくは、常圧プラ
ズマCVD法によって成膜されるものである。
【0043】上記本発明の携帯型表示装置用反射防止フ
ィルムの構成としては、基材フィルムの片面に、ハード
コート層を介して、反射防止層が積層され、該基材フィ
ルムのもう一方の片面に反射防止層が形成されても良
く、また、ハードコート層、反射防止層の順に積層され
たフィルムを基材フィルムの片面に接着し、反射防止層
が形成された別のフィルムが、該基材フィルムのもう一
方の片面に接着されていても良い。
【0044】上記TiO2 層は、Ti原料を気化させ、
キャリアガス(Ar単独ガス又はO 2 ガスとの混合ガ
ス)と混合した後、常圧プラズマCVD法により導電性
ハードコート層上又はすでに積層されたSiO2 層上に
成膜することによって形成される。上記SiO2 層は、
Si原料を気化させ、キャリアガス(ArもしくはN2
の単独ガス又はこれらの混合ガス;これらのガスとO2
ガスとの混合ガス)と混合した後、常圧プラズマCVD
法によりすでに積層されたTiO2 層上に成膜すること
によって形成される。
【0045】本発明において、放電処理が施されたハー
ドコート層の表面に反射防止層を製造する方法は、大気
圧近傍の圧力下、金属化合物を含むガス雰囲気中で、対
向電極間に放電電流密度が0.2〜300mA/cm2
となるように電界を印加することにより、放電プラズマ
を発生させ、反射防止層を形成することを特徴とする。
以下に、常圧プラズマCVD法による反射防止層につい
て詳述する。下記条件で反射防止層を成膜した時、スパ
ッタリング同等の膜質が得られるのに加え、塗工法同等
の連続成膜が可能になるため、生産性も非常に高い。
【0046】上記反射防止層の形成方法において、大気
圧近傍の圧力とは、100〜800Torrの圧力をい
い、中でも、圧力調整が容易で装置構成が容易となる7
00〜780Torrの圧力範囲とすることが好まし
い。
【0047】又、本発明における電極間の放電電流密度
とは、放電により電極間に流れる電流値を、放電空間に
おける電流の流れ方向と直交する方向の面積で除した値
をいい、電極として平行平板型のものを用いた場合に
は、その対向面積で上記電流値を除した値に相当する。
【0048】又、電極間にパルス電界を形成する場合に
は、パルス化された電流が流れるが、この場合にはその
パルス電流の最大値、つまりピーク−ピーク値を、上記
の面積で除した値をいう。
【0049】本発明における上記反射防止層の形成方法
(以下、適宜薄膜形成方法という場合がある)において
は、上記対向電極の少なくともいずれか一方の対向面に
固体誘電体を設置し、一方の電極の対向面に設置された
固体誘電体と他方の電極との間、又は、対向電極の双方
の対向面に設置された固体誘電体の間に、基材を配置し
て処理を行うようにすることが好ましい。
【0050】大気圧近傍の圧力下でのグロー放電では、
下記の理由により、放電電流密度がプラズマ密度を反映
する。金属化合物を含むガス雰囲気の大気圧近傍の圧力
下においては、電極間の放電電流密度を前記した0.2
〜300mA/cm2 の範囲とすることにより、金属化
合物をプラズマ励起させ、且つ、そのプラズマをグロー
放電状態に保ち、反射防止層の形成に至らせることが可
能となる。
【0051】一般にプラズマ中の電子密度、所謂、プラ
ズマ密度は、プローブ法や電磁波法によって測定され
る。
【0052】しかし、大気圧近傍の圧力では、電極間の
放電は、元来、アーク放電に移行し易いので、探針をプ
ラズマ中に挿入するプローブ法では、探針にアーク電流
が流れてしまい、正確な測定はできない。
【0053】又、発光分光分析やレーザ吸光分析などに
よる電磁波法は、ガスの種類によって得られる情報が異
なるので分析が困難である。
【0054】一方、大気圧近傍の圧力下におけるグロー
放電においては、低ガス圧放電に比して、ガス分子密度
が大きいので、電離後、再結合までの寿命が短く、電子
の平均自由行程も短い。そのため、グロー放電空間が電
極に挟まれた空間に限定されるという特徴がある。
【0055】それ故に、プラズマ中の電子はそのまま電
極を通して電流値に変換され、電子密度(プラズマ密
度)は放電電流密度を反映した値であると考えられ、本
発明者等の実験によると、この放電電流密度により、薄
膜形成制御が可能であることが判明している。
【0056】図3に、本発明者らが用いた放電プラズマ
発生装置と、その放電電圧および放電電流の測定に用い
た測定回路図を示す。
【0057】この放電プラズマ発生装置においては、平
行平板型の一対の電極1、2間にパルス電源3からkV
オーダーのパルス化された電界を印加することにより、
電極1、2間にパルス電界を形成するとともに、その一
方の電極2の対向面には固体誘電体4を設置した。
【0058】そして、一方の電極2とアース電位間に抵
抗5を直列接続し、その抵抗5の両端をBNC端子6を
介してオシロスコープ7に接続することにより、抵抗5
の両端の電圧値を測定して、その抵抗5の抵抗値を用い
て放電電流に換算した。
【0059】又、放電電圧は、電極1の電位を高圧プロ
ーブ8により1/1000に減衰させた上で、BNC端
子9〜オシロスコープ7によってアース電位との電位差
を計測することによって測定した。
【0060】この測定回路においては、パルス電界によ
る放電電流が高速に通電・遮断を繰り返しているので、
測定に供したオシロスコープ7は、そのパルスの立ち上
がり速度に対応したナノ秒オーダーの測定が可能な高周
波オシロスコープ、具体的には、岩崎通信社製オシロス
コープDS−9122とした。
【0061】又、放電電圧の減衰に用いた高圧プローブ
8は、岩崎通信社製高圧プローブSK−301HVとし
た。
【0062】測定結果を図4に例示する。図4において
波形1が放電電圧であり、波形2が放電電流を表す波形
である。パルス電界の形成による放電電流密度は、この
波形2のピーク−ピーク値の電流換算値を電極対向面の
面積で除した値である。
【0063】さて、本発明における薄膜形成方法におい
て、金属化合物を含むガス雰囲気中で、且つ、大気圧近
傍の圧力下で、電極間における放電電流密度が、0.2
〜300mA/cm2 である範囲を比較的に容易に実現
するには、対向電極間にパルス化された電界を印加する
方法を挙げることができる。
【0064】大気圧近傍の圧力下においては、通常の交
流電界を印加する方法では、上記放電電流密度が0.1
mA/cm2 以下の低い範囲しか達成されず、金属元素
含有薄膜が形成されるような金属化合物のプラズマを維
持することは難しい。実際に大気圧近傍の圧力下では、
ヘリウム、ケトン等の特定のガス以外のガスでは、安定
してグロー放電状態が継続されず、瞬時にアーク放電に
移行してしまうことが知られている。
【0065】そこで、本発明においては、電極間にパル
ス化された電圧を印加することにより、電極間の放電を
グロー放電からアーク放電に移行する前に停止させる。
電極間にこのような周期的なパルス電界を形成すること
により、微視的にパルス的なグロー放電が繰り返し発生
し、結果としてグロー放電状態が継続することになる。
【0066】以上のように、大気圧近傍の圧力下で、し
かも、金属化合物を含有する雰囲気中では、電極間にパ
ルス化した電界を印加することにより、安定したグロー
放電状態で放電電流密度が0.2〜300mA/cm2
である放電プラズマを長期に渡って発生させ、反射防止
層の形成に至らせることができるのである。
【0067】本発明において、反射防止層に使用される
金属化合物は、特に限定されないが、グロー放電におい
て、電子密度を大きくして、効率的にガスを分解させ、
薄膜形成能力を高めるという観点から、ジメチルシラ
ン;Si(CH3 2 2 、テトラメチルシラン;Si
(CH3 4 、テトラジメチルアミノチタン;Ti〔N
(CH3 2 4 などの有機金属化合物、モノシラン;
SiH4 、ジシラン;Si2 6 などの金属水素化合
物、二塩化シラン;SiH2 Cl2 、三塩化シラン;S
iHCl3 、塩化チタン;TiCl4 などの金属ハロゲ
ン化合物、テトラメトキシシラン;Si(OC
3 4 、テトラエトキシシラン;Si(OC2 5
4 、テトラエトキシチタン;Ti(OC2 5 4 、テ
トライソプロポキシチタン;Ti(OC3 7 4 など
の金属アルコキシドなどを用いることが好ましい。安全
性を考慮すると、これらの中でも、金属水素化合物、金
属アルコキシドが、常温、大気中で、発火、爆発の危険
性がないことから好ましく、腐食性、有害ガスの発生が
ないことから、金属アルコキシドが更に好ましい。
【0068】金属化合物を放電空間へ導入するには、金
属化合物は、常温常圧で、気体、液体、固体いずれの状
態であっても構わない。気体の場合は、そのまま放電空
間に導入できるが、液体、固体の場合は、加熱、減圧等
の手段により気化させて使用される。
【0069】金属化合物を加熱により気化して用いる場
合、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシチタ
ンなどの常温で液体で、沸点が200℃以下である金属
アルコキシドが本発明における薄膜形成方法に好適であ
る。上記金属アルコキシドは、溶媒によって希釈して使
用されても良く、溶媒は、メタノール、エタノール、n
−ヘキサンなどの有機溶媒及びこれらの混合溶媒が使用
されても構わない。上記の希釈溶媒は、グロー放電にお
いて、分子状、原子状に分解されるため、形成される薄
膜に対する影響は無視できる。
【0070】上述のように、本発明の金属化合物として
は金属アルコキシドを用いることが好ましい。
【0071】上述のように、「金属化合物を含むガス雰
囲気」とは、金属化合物がプラズマ放電するガス雰囲気
に濃度の如何を問わず、一つの成分として含まれている
ことを意味し、ガス雰囲気が金属化合物単独で占有され
ていても構わない。
【0072】しかし、経済性、安全性の観点から、上述
の金属化合物は、単独雰囲気ではなく、以下に例示され
るような希釈ガスによって希釈されていることが好まし
い。
【0073】上記希釈ガスとしては、ヘリウム、ネオ
ン、アルゴン、キセノン、窒素などが挙げられ、これら
の少なくとも1種の混合物が使用される。
【0074】更に、高密度プラズマを得るには、多くの
電子を有する化合物(分子量の大きい化合物)の存在下
で、ガスを分解することが有効であり、それは、上記希
釈ガスにも適用できる。
【0075】従って、本発明に使用する希釈ガスは、分
子量が10以上であることが好ましい。分子量が10未
満であるヘリウムのような気体を希釈剤として使用した
場合は、グロー放電が継続しても、電子密度の低い放電
状態しか達成できず、薄膜の形成には至らないか又は、
形成速度が遅すぎて不経済な結果となる。
【0076】よって、プラズマ放電を行う雰囲気ガスの
組成は、金属化合物0.005〜10体積%とアルゴン
及び/又は窒素99.995〜90体積%からなる混合
ガスであることが好ましい。金属化合物が0.005体
積%未満の場合は、高密度プラズマが得られ難く、薄膜
形成効率が悪くなり、10体積%を超えても、薄膜形成
速度に著しい向上が現れる訳ではなく、経済的に不利に
なるからである。
【0077】上記薄膜形成方法において、放電プラズマ
を発生させるために使用する電極の材質としては、銅、
アルミニウム等の金属単体、ステンレス、真鍮等の合
金、あるいは金属間化合物等を挙げることができる。
【0078】又、上記電極は電界集中によるアーク放電
の発生を避けるために、電極間の距離がほぼ一定となる
構造であることが好ましく、この条件を満たす電極構造
としては、平行平板型、円筒対向平板型、球対向平板
型、双曲面対向平板型、同軸円筒型構造等を挙げること
ができる。
【0079】又、本発明においては、上記電極の対向面
の一方または双方に固体誘電体を設置することが好まし
い。又、固定誘電体によって覆われずに電極どうしが直
接対向する部位があると、そこからアーク放電が生じや
すくなるため、固体誘電体はこれを設置する側の電極に
密着し、且つ、接する電極の対向面を完全に覆うように
する。
【0080】上記固体誘電体の形状は、シート状でもフ
ィルム状でもよいが、厚みが0.5〜5mm程度である
ことが好ましく、厚すぎると放電プラズマを発生するの
に高電圧を要し、薄すぎると電圧印加時に絶縁破壊が起
こりアーク放電が発生する。
【0081】この固体誘電体の材質は、ポリテトラフル
オロエチレンやポリエチレンテレフタレート等のプラス
チック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム、二酸
化ジルコニウム、二酸化チタニウム等の金属酸化物、チ
タン酸バリウム等の複酸化物等が挙げられる。
【0082】ただし、上記固体誘電体は、比誘電率が2
以上(25℃環境下、以下同)であることが好ましい。
このような固体誘電体としては、ポリテトラフルオロエ
チレン、ガラス、金属酸化膜等を挙げることができる。
【0083】又、放電電流密度が0.2〜300mA/
cm2 である放電プラズマを安定して発生させるために
は、比誘電率が10以上の固定誘電体を用いると有利で
ある。
【0084】比誘電率の上限は特に限定されるものでは
ないが、現実の材料では18,500程度のものが知ら
れている。比誘電率が10以上の固体誘電体としては、
酸化チタニウム5〜50重量%、酸化アルミニウム50
〜95重量%で混合された金属酸化物被膜、又は、酸化
ジルコニウムを含有する金属酸化物被膜からなり、その
被膜の厚みが10〜1000μmであるものを用いるこ
とが好ましい。
【0085】本発明における一対の電極間の距離は、固
体誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマの利用目
的等を考慮して決定されるが、1〜50mmとすること
が好ましい。1mm未満ではその間に発生するプラズマ
を表面処理等に利用する際の基材の配置のための空隙を
設けるのに不充分であり、50mmを越えると均一な放
電プラズマを発生することが困難となる。
【0086】本発明において、電極間にパルス電圧を印
加する場合、そのパルス波形は特に限定されるものでは
ないが、図5(A),(B)に例示するようなインパル
ス型や、(C)に例示するような方形波型、(D)に例
示するような変調型等を用いることができる。この図5
には印加電圧が正負の繰り返しであるものを例示した
が、正、又は、負のいずれかの極性のみのパルス電圧、
所謂、片波状のパルス電圧を印加してもよい。
【0087】本発明において、電極間に印加するパルス
電圧は、そのパルスの立ち上がり時間及び立ち下がり時
間が短い程、プラズマ発生の際のガスの電離が、効率よ
く行われる。
【0088】特に、電極間に印加するパルス電圧の立ち
上がりは、100μs以下とすることが好ましい。10
0μsをこえると、放電状態がアーク放電に移行し易
く、不安定なものとなる。また、このような高速立上が
り時間のパルス電界によって電子密度の高い放電状態を
実現する効果がある。
【0089】パルス電圧の立ち下がり時間は特に規定さ
れないが、立ち上がり時間と同程度に高速であることが
好ましく、より好ましくは100μs以下である。
【0090】また、立ち上がり/立ち下がり時間の下限
は特に限定しないが、電源装置等を勘案すると40ns
以上が現実的である。
【0091】尚、ここでいう立ち上がり時間とは、電圧
変化の向きが連続して正である時間をいい、立ち下がり
時間とは、電圧変化の向きが連続して負である時間を指
すものとする。
【0092】又、電極間に形成するパルス電界は、その
パルス波形、立ち上がり及び立ち下がり時間、及び、周
波数を適宜に変調されていてもよい。
【0093】尚、パルス電界は、周波数が高く、パルス
幅が短い方が、高速連続薄膜形成には適している。
【0094】本発明において電極間に印加するパルス電
界の周波数は、0.5kHz〜100kHzの範囲とす
ることが好ましい。0.5kHz未満であると、薄膜形
成速度が遅すぎて現実的ではなく、100kHzを超え
ると、アーク放電が発生し易くなる。
【0095】又、パルス電界におけるパルス継続時間
は、1μs〜1000μsであることが好ましく、より
好ましくは3μs〜200μsである。1μs未満であ
ると放電が不安定なものとなり、1000μsを越える
とアーク放電に移行し易くなる。
【0096】ここで、パルス継続時間とは、図6に例示
するように、ON・OFFが繰り返されるパルス電界に
おける、1つのパルス波形の連続持続時間を言い、図4
(a)の波形ではパルス継続時間=パルスデューティ時
間であるが、図4(b)の波形では複数のパルスを含ん
だ、オンが継続する時間を言う。
【0097】更に、本発明において、パルス電界の強さ
は、放電プラズマの利用目的等によって適宜に選択され
るが、1〜100kV/cmとすることが望ましい。
【0098】1kV/cm未満であると、薄膜形成速度
が遅くなり、100kVを超えると、アーク放電が発生
するために好ましくない。
【0099】以上のような各条件を満足するパルス電界
を形成するための電源回路の構成例を、図7にブロック
図で示し、又、図8にはその動作の原理を等価的な回路
図によって示す。図8においてSW1〜4は、図7にお
けるスイッチングインバータ回路内でスイッチとして機
能する半導体素子であり、これらの各素子として、50
0ns以下のターンオン時間及びターンオフ時間を有す
る半導体素子を用いることにより、電界強度1〜100
kV/cm、且つ、パルスの立ち上がり及び立ち下がり
時間がともに40ns〜100μsの高電圧、且つ、高
速のパルス電界の形成を実現することができる。
【0100】次に、図8を参照しつつその動作原理を簡
単に説明する。+Eは正極性の直流電圧供給部、−Eは
負極性の直流電圧供給部である。SW1〜4は、上記し
た高速半導体素子からなるスイッチング素子である。D
1〜4はダイオードであり、I1 〜I4 は電荷の移動方
向を示している。
【0101】まず、SW1をONにすると、電荷がI1
で示す方向に移動して、放電空間の両端に置かれた一対
の電極の一方側(正極性の負荷)を充電する。
【0102】次に、SW1をOFFにしてから、SW2
を瞬時にONにすることにより、正極性の負荷に充電さ
れた電荷がSW2とD4を通ってI3 の方向に移動す
る。
【0103】次いで、SW2をOFFにした後、SW3
を瞬時にONにすると、電荷がI2の方向に移動して他
方側の電極(負極性の負荷)を充電する。
【0104】更に、SW3をOFFにしてから、SW4
を瞬時にONにすることにより、負極性の負荷に充電さ
れた電荷がSW4とD2を通ってI4 の方向に移動す
る。
【0105】以上の動作を繰り返すことにより、図9に
示した波形の出力パルスを得ることができる。〔表1〕
にこの動作表を示す。この〔表1〕に示した数値は、図
9の波形に付した数値と対応させてある。
【0106】
【表1】
【0107】以上の回路の利点は、負荷のインピーダン
スが高い場合であっても、充電されている電荷を、SW
2とD4、又は、SW4とD2の動作により確実に放電
することができる点、及び、高速ターンオンのスイッチ
ング素子であるSW1,SW3を使って高速に充電を行
うことができる点にあり、これにより、図6に示したよ
うな立ち上がり時間及び立ち下がり時間の極めて短いパ
ルス化された電界を、負荷に対して、つまり一対の電極
間に印加することが可能となる。
【0108】尚、本発明における薄膜形成方法において
用いられるパルス電界は、直流電界を重畳することを妨
げない。
【0109】本発明における薄膜形成方法は、以上説明
した本発明に固有の放電プラズマの発生方法により対向
電極間に発生させたプラズマを利用するものであり、対
向電極間、又は、一方の電極の対向面に固体誘電体を設
置する場合には、その固体誘電体と他方の電極の間、も
しくは双方の電極の対向面に固体誘電体を設置する場合
には、その固体誘電体の間に、処理すべき基材を配置す
る。
【0110】本発明の方法においては、薄膜形成処理す
べき基材を加熱したり冷却してもよいが、室温でも充分
に処理できる。
【0111】本発明のLCD用反射防止フィルムには、
ハードコート層を介した反射防止層の表面に、更に防汚
層を形成することができる。上記防汚層としては、フッ
素系シランカップリング剤を、スピンコーター、ディッ
ピング装置、マイクログラビアコーター等の塗工装置に
よって、上記反射防止層上に塗工、乾燥することにより
形成される。尚、スピンコーター、ディッピング装置で
は連続処理が行えずバッチ処理になる。
【0112】上記フッ素系シランカップリング剤の市販
品としては、例えば、信越化学社製コート剤「KP−8
01M」〔CF3(CF2)n C2H4Si(NH2)3〕、東芝シリコン社
製〔CF3(CF2)7C2H4Si(OCH3)3の100%溶液〕等が挙げ
られる。上記コート剤「KP−801M」は溶剤TFB
〔成分:1,3−ビス(トリフロロメチル)ベンゼン、
セントラル硝子社製〕で希釈して使用される。
【0113】上記防汚層は、例えば、防汚剤を溶剤によ
って希釈したものを、スピンコーター、ディッピング装
置、マイクログラビアコーター等によって塗工すること
に形成することができる。上記スピンコーター、ディッ
ピング装置を使用する場合は、連続処理ができずバッチ
処理となる。
【0114】本発明のLCD用反射防止フィルムは、該
フィルムを接着する面に接着剤層が設けられても良い。
例えば、本発明1のLCD用反射防止フィルムにおい
て、基材フィルムのハードコート層、反射防止層が積層
されたフィルムの反対面に粘着剤層が設けられてもよ
い。上記粘着剤としては、基材や偏光板等の光学部品を
強固に接着でき、しかも高温、高湿の条件下におかれて
も発泡しないものが好ましく、例えば、アクリル系粘着
剤が好適に用いられる。
【0115】上記アクリル系粘着剤としては、例えば、
アクリル(メタ)アクリレートを主成分とする、重量平
均分子量(Mw)50万以下、 Mw/Mn(数平均分
子量)=4以下であるアクリル系ポリマー100重量
部、ジメチルシリコーンオイル又は側鎖の一部を他の有
機基に置換した変性シリコーンオイルからなる消泡剤
0.01〜5重量部、メチルハイドロジェンシリコーン
オイルからなる再剥離剤0.01〜5重量部、及び、架
橋剤0.001〜5重量部からなるものが好ましい。ま
た、アクリル系粘着剤の市販品としては、例えば綜研化
学社製「SKダイン1358」が使用可能である。
【0116】上記粘着剤層は、例えば、上記アクリル系
粘着剤を基材に直接塗工して形成してもよく、予め粘着
剤層を離型紙上に設けた後、ラミネータ等によって基材
に積層して形成してもよい。
【0117】(作用)特に、本発明2では、上記構成フ
ィルムのもう一方の片面に粘着層が形成されているた
め、市販のLCD上に上記フィルムを貼り付けて使用す
ることにより外光の写り込みが防止されLCDの視認性
が良好となる。本発明3では、基材フィルムがアルカリ
処理されたトリアセチルセルロースフィルムであると、
表面が親水化処理されるため偏光板との接着性が向上す
る。本発明4では、ハードコート層が、多官能アクリレ
ート(A)と、上記シリコン系化合物(B)とからなる
組成物を硬化させたものであり、これにより表面硬度の
優れたハードコート層が形成できる。また、上記ハード
コート層の表面の元素組成中に占めるSiの比率が、S
i、C、及びOの合計量に対して2〜35原子%である
ので、通常、金属酸化膜からなる反射防止層とハードコ
ート層内のSiO2 の界面で分子間力が増し、ハードコ
ート層と反射防止層との密着性及び、それに伴って表面
硬度を発揮することができる。また、本発明5では、上
記構成に更に、ウレタンアクリレート(C)とからなる
組成物を硬化させたものであり、これによりフィルムの
柔軟性の調整が容易になり、表面のクラックの発生が抑
制され、ハードコート層と反射防止層との密着性及び表
面硬度を更に発揮することができる。また、本発明6で
は、反射防止層が、SiO2 層及びTiO2 層の積層体
によって構成され、ハードコート層上に、屈折率の高い
TiO2 層が形成されさらに、屈折率の低いSiO2
を積層することにより光の反射率を低くすることができ
るとともに、更にハードコート層との密着性の良い反射
防止層が形成できる。また、本発明7では、ハードコー
ト層の表面の元素組成中に占めるSiの比率が、Si、
C、及びOの合計量に対して2〜35原子%となるよう
に放電処理が施されたハードコート層を有する。このよ
うに上記ハードコート層を放電処理することにより、S
i元素が、ハードコート表面に局在して存在するため、
その後形成する反射防止層に使用されるSi及びTi元
素との分子間力による結合が強くなるため密着性及び表
面硬度が、飛躍的に向上する。また、本発明の液晶表示
用反射防止フィルムの製造方法は、基材フィルムに、ハ
ードコート層を介して、反射防止層を積層する方法にお
いて、ハードコート層に上記放電処理を施した後、上記
常圧プラズマCVD法を用いて反射防止層を積層する。
従って本発明によれば、ハードコート表面のSiと反射
防止層に通常含まれるSi及びTi元素間は−SiO−
等の共有結合で結合するため、ハードコート層と反射防
止層が、従来品より更に強固に密着した液晶表示用反射
防止フィルムが得られる。また、従来、低圧力下で行わ
れていた反射防止層の形成が、大気圧近傍で、短時間に
できるようになった。
【0118】
【実施例】以下、実施例を掲げて、本発明のを更に詳し
く説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定さ
れるものではない。
【0119】(実施例1) <ハードコート層の塗工>ハードコート剤として、多官
能アクリレート(大日精化社製、EXF37)100重
量部とコロイダルシリカ(東芝シリコーン社製、UVH
C−1103)10重量部との混合溶液を、トルエンで
上記混合溶液分が40%になるように希釈し調整した。
次に、アルカリ処理(ケン化条件:4Nの水酸化カリウ
ム溶液に120秒浸積)したトリアセチルセルロースフ
ィルム(コニカ社製、75μm厚)の片面に、マイクロ
グラビアコーターによって、上記ハードコート剤を塗工
し、加熱乾燥した後、300mJ/cm2 で紫外線ラン
プを照射し、厚さ5μmのハードコート層を作成した。 <表面処理>上記ハードコートフィルムの表面を0.6
kW、3m/分で、4回コロナ放電処理を施した。上記
コロナ放電処理されたハードコート層表面をESCAで
表面分析し、Si量/(Si量+C量+O量)を求めた
ところ、コロナ放電処理前が9原子%であるのに対し、
コロナ放電処理後は17原子%であった。
【0120】<反射防止層(a)の形成> (1)処理装置 使用した放電プラズマ処理装置は、図10に示されるよ
うに、容量10リッターのステンレス製の容器82から
なり、直流電源81−1、交流電源81−2、上部電源
84、下部電源85、固体誘電体86(上部電極にも装
着してあるが、図10には記載されていない)、基材8
7、ガス導入管88、希釈ガス導入管、ガス排気口81
0、排気口811から構成されている。 (2)TiO2 層とSiO2 層の形成(a)上記処理装
置において、下部電極85は直径140mmで、表面を
比誘電率16の二酸化ジルコニウム(以下、ZrO2 と
記す)誘電体86で被覆し、その上に処理する基材87
として、上記ハードコートフィルムを配置した。
【0121】上部電極84は、直径80mmで、直径1
mmの穴が5mm間隔で配設されており、表面は比誘電
率16のZrO2 誘電体86が被覆してあり、ハードコ
ートフィルム表面から2mm上方にを配置した。
【0122】油回転ポンプ(図10に記載されていな
い)で、容器内が0.1Torrになるまで、ガス排出
口811から排気した後、希釈ガス導入管89を通じて
アルゴン(Ar)ガスを導入し、容器の圧力を760T
orrとした。
【0123】しかる後に、上部電極84に接続した(反
応)ガス導入管88から気化したテトライソプロポキシ
チタン、アルゴンの混合気体を導入し、該混合気体導入
後の容器内のガス圧力比(体積比)が、テトライソプロ
ポキシチタン:アルゴン=0.5:95.5となるよう
に調整した。
【0124】上記混合気体を1分間導入した後に、上部
電極84と下部電極85の間に、波高値4kV、周波数
6kHzのパルス電界を印加し、放電プラズマ発生空間
83に3秒間放電して二酸化チタン(TiO2 )薄膜1
80Åをハードコート表面に形成した。
【0125】引き続いて、上記上部電極84に接続した
(反応)ガス導入管88から気化したテトラエトキシシ
ラン、アルゴン、酸素の混合気体を導入し、該混合気体
導入後の容器内のガス圧力比(体積比)が、テトラエト
キシシラン:アルゴン:酸素=1:7:92となるよう
に調整した。
【0126】上記混合気体を1分間導入した後に、上部
電極84と下部電極85の間に、波高値16kV、周波
数8kHzのパルス電界を印加し、放電プラズマ発生空
間83に3秒間放電して二酸化珪素(SiO2 )薄膜2
60Åを上記TiO2 薄膜表面に積層した。
【0127】更に、上記同様の方法にて、TiO2 薄膜
1410Å(放電時間20秒)を積層し、さらにSiO
2 薄膜880Å(放電時間10秒)を積層し、4層の反
射防止フィルムを得た。 <防汚層の形成>上記反射防止層の上に防汚剤(信越化
学社製、コート剤「KPー801M」)を溶剤1,3−
ビストリフロロメチルベンゼン(以下、TFBと略記す
る)で0.1重量%固形分濃度としたものをマイクログ
ラビアコートにて塗工し約150 Åの防汚層を形成した。<反射防止層(b)の形成>上
記ハードコート層を介して反射防止層が形成された上記
基材面と反対の面に上記反射防止層(a)の形成方法と
同様にしてTiO2 /SiO2 が4層積層した反射防止
層を形成した。 <粘着層の形成>上記反射防止層(b)の上にアクリル
系粘着剤(綜研化学社製、SKダイン2092)を塗布
し、LCD偏光板(サンリッツ社製、HLC2−561
8)上に接着した。
【0128】<評価方法> (1)表面Si元素量 表面処理後のハードコート層のSi元素量の比率はES
CAによって分析し、Si量/(Si量+C量+O量)
で算出した。 (2)平均反射率 上記反射防止フィルムの裏面をサンドペーパーで研磨し
た後、黒色塗料で塗装して、分光光度計(島津製作所社
製、「UV−3100PC」)にて、380〜780n
m波長域の5°正反射率を測定した。この測定データか
ら、上記分光光度計付属のカラー測定ソフト「COL−
3100PC」にて、C光源に対する三刺激値の一つで
あるYを計算し、これをもって視感度平均反射率とし
た。 (3)鉛筆硬度 上記反射防止フィルムの鉛筆硬度をJIS−K6894
に準じて評価した。 (4)テープ剥離試験 上記反射防止フィルム60℃、95%RHの条件で10
00時間後のフィルム表面にカッターナイフで1mm×
1mmの碁盤目を100ブロック作成し、JIS D0
202に準じてテープ剥離試験を行った。剥離試験後、
剥離せずに残った数を示した。(テープ剥離試験によ
り、反射防止層が剥がれず密着性が良好な場合を100
/100) (5)耐擦傷性 上記反射防止フィルムをスチールウール(#0000)
の200g/cm2 加圧下で30回擦った後、傷の無い
ものには○、傷が有るものには×を記した。 (6)防汚性 上記反射防止フィルムに指紋を付け、布で5回拭き取り
目視観察した。 (7)視認性 市販のLCD偏光板表面に上記反射防止フィルムを貼り
付け、屋外での視認性を観察した。その結果、明らかに
外光の写り込みが低減され画面が見やすくなった。以上
の評価結果を、表2に示した。
【0129】
【表2】
【0130】(実施例2) (1)反射防止フィルム(c) <ハードコート層の塗工>ハードコート剤として、多官
能アクリレート(大日精化社製、EXF37)100重
量部、コロイダルシリカ(東芝シリコーン社製、UVH
C−1105)35重量部とウレタンアクリレート(大
日精化社製、EXS−07)10重量部との混合溶液
を、トルエンで上記混合溶液分が40%になるように希
釈し調整した。上記以外は、実施例1と同様に行った。
視認性評価を行った結果、明らかに外光の写り込みが低
減され、画面が見やすくなった。上記以外の評価結果を
表2に示した。
【0131】(比較例1)実施例1のハードコート剤
を、多官能アクリレート100重量部とコロイダルシリ
カ80重量部との混合溶液にした以外は、実施例1と同
様に行い反射防止フィルムを得た。実施例と比べ、ハー
ドコート層と反射防止層との界面で剥離が観察された。
評価結果を表2に示した。
【0132】
【発明の効果】本発明1では、基材フィルムの片面に、
ハードコート層を介して、反射防止層が積層されている
ため、外光の写り込みが防止されLCDの視認性が良好
となる。本発明2では、上記構成フィルムのもう一方の
片面に粘着層が形成されているため、市販のLCD上に
上記フィルムを貼り付けて使用することにより外光の写
り込みが防止されLCDの視認性が良好となる。本発明
3では、基材フィルムがアルカリ処理されたトリアセチ
ルセルロースフィルムであるため、偏光板との接着性が
向上する。本発明4は、上記構成よりなるので、ハード
コート層と反射防止層との密着性及び表面硬度を発揮す
ることができる。また、本発明5は、本発明4の構成に
更に、ウレタンアクリレートとからなる組成物が硬化さ
れているため、ハードコート層と反射防止層との密着性
及び表面硬度を更に発揮することができる。また、本発
明6は、反射防止層が、SiO2 層及びTiO2 層の積
層体によって構成されるため、ハードコート層とのより
密着性の良い反射防止層が形成できる。 また、本発明
7では、ハードコート層の表面の元素組成中に占めるS
iの比率が、Si、C、及びOの合計量に対して2〜3
5原子%となるように放電処理が施されたハードコート
層を有するため、反射防止層との密着性及び表面硬度
が、更に飛躍的に向上する。また、本発明の液晶表示用
反射防止フィルムの製造方法は、ハードコート層に上記
放電処理を施すとともに、常圧プラズマCVD法を用い
て反射防止層を積層する上記の構成としているため、ハ
ードコート層と反射防止層が、更に強固に密着した液晶
表示用反射防止フィルムが得られる。また、従来、低圧
力下で行われていた反射防止層の形成が、大気圧近傍
で、短時間にできるようになった。
【0133】
【図面の簡単な説明】
【図1】有機物により表面処理コートされたシリカ粒子
の一例を示す説明図である。
【図2】有機物により表面処理コートされたシリカ粒子
の別の例を示す説明図である。
【図3】本発明に用いた放電プラズマ発生装置とその放
電電圧及び放電電流の測定に用いた測定回路図の一例を
示す説明図である。
【図4】図3の装置により得られた放電電圧(波形1)
と放電電流(波形2)の測定結果を示すグラフである。
【図5】本発明において一対の電極間に印加するパルス
電圧の波形の例を示す説明図である。
【図6】本発明でいうパルス電界継続時間の説明図であ
る。
【図7】本発明を適用した装置において用いるのに適し
た電源回路の構成例を示すブロック図である。
【図8】等価的な回路図で示す図7の回路の動作原理の
説明図である。
【図9】図8に示された動作原理により得ることのでき
るパルス電圧波形の説明図である。
【図10】本発明の各実施例で用いた放電プラズマ発生
装置の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【符号の説明】 Co−Si コロイダルシリカ 1、2 電極 3 パルス電源 4 固体誘電体 5 抵抗 6、9 BNC端子 7 オシロスコープ 8 高圧プローブ 81−1 直流電源 81−2 交流電源(高電圧パルス電源) 82 ステンレス製容器 83 放電プラズマ発生空間 84 上部電極 85 下部電極 86 固体誘電体 87 基材 88 ガス導入管 89 希釈ガス導入管 810 ガス排出口 811 排気口

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材フィルムの片面に、ハードコート層
    を介して、反射防止層が積層されていることを特徴とす
    る液晶表示用反射防止フィルム。
  2. 【請求項2】 基材フィルムの片面に、ハードコート層
    を介して、反射防止層が積層され、該基材フィルムのも
    う一方の片面に粘着層が形成されていることを特徴とす
    る請求項1記載の液晶表示用反射防止フィルム。
  3. 【請求項3】 基材フィルムがアルカリ処理されたトリ
    アセチルセルロースフィルムであることを特徴とする請
    求項1又は2記載の液晶表示用反射防止フィルム。
  4. 【請求項4】 ハードコート層が、多官能アクリレート
    (A)100重量部と、有機物により表面処理コートさ
    れたシリカ粒子、オルガノポリシロキサン、及びシリコ
    ンアクリレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種
    のシリコン系化合物(B)1〜40重量部とからなる組
    成物を硬化させたものであり、 上記ハードコート層の表面の元素組成中に占めるSiの
    比率が、Si、C、及びOの合計量に対して2〜35原
    子%であることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項
    に記載の液晶表示用反射防止フィルム。
  5. 【請求項5】 ハードコート層が、多官能アクリレート
    (A)100重量部と、有機物により表面処理コートさ
    れたシリカ粒子、オルガノポリシロキサン、及びシリコ
    ンアクリレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種
    のシリコン系化合物(B)1〜70重量部と、ウレタン
    アクリレート(C)5〜100重量部とからなる組成物
    を硬化させたものであり、 上記ハードコート層の表面の元素組成中に占めるSiの
    比率が、Si、C、及びOの合計量に対して2〜35原
    子%であることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項
    に記載の液晶表示用反射防止フィルム。
  6. 【請求項6】 反射防止層が、SiO2 層及びTiO2
    層の積層体によって構成されることを特徴とする請求項
    1〜5いずれか一項に記載の液晶表示用反射防止フィル
    ム。
  7. 【請求項7】 ハードコート層の表面の元素組成中に占
    めるSiの比率が、Si、C、及びOの合計量に対して
    2〜35原子%となるように放電処理が施されたハード
    コート層を有することを特徴とする請求項1〜6いずれ
    か一項に記載の液晶表示用反射防止フィルム。
  8. 【請求項8】 基材フィルムに、ハードコート層を介し
    て、反射防止層を積層することにより液晶表示用反射防
    止フィルムを製造する方法において、 上記ハードコート層の表面の元素組成中に占めるSiの
    比率が、Si、C、及びOの合計量に対して2〜35原
    子%となるように放電処理を施し、更に上記放電処理さ
    れた面に、 大気圧近傍の圧力下、金属化合物を含むガス雰囲気中
    で、対向電極間に放電電流密度が0.2〜300mA/
    cm2 となるように電界を印加することにより、放電プ
    ラズマを発生させ、反射防止層を積層することを特徴と
    する請求項1〜7いずれか一項に記載の液晶表示用反射
    防止フィルムの製造方法。
  9. 【請求項9】 上記一対の対向電極間にパルス化された
    電界を印加することを特徴とする請求項8記載の液晶表
    示用反射防止フィルムの製造方法。
  10. 【請求項10】 上記パルス化された電界の印加におけ
    る電圧立ち上がり時間が100μs以下で、且つ、パル
    ス電界の強さが1〜100kV/cmの範囲であること
    を特徴とする請求項9に記載の液晶表示用反射防止フィ
    ルムの製造方法。
  11. 【請求項11】 上記パルス化された電界の周波数が
    0.5〜100kHzであり、且つ、その1つのパルス
    継続時間が1〜1000μsであることを特徴とする請
    求項9又は10に記載の液晶表示用反射防止フィルムの
    製造方法。
  12. 【請求項12】 ハードコート層、反射防止層の順に積
    層されたフィルムを基材フィルムの片面に接着し、反射
    防止層が形成されたフィルムが、該基材フィルムのもう
    一方の片面に接着されていることを特徴とする請求項8
    〜11いずれか一項に記載の液晶表示用反射防止フィル
    ムの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002053619A1 (fr) * 2000-12-28 2002-07-11 Natoco Co., Ltd. Urethane (meth)acrylate polymerisable par rayonnement actinique, compositions polymerisables avec ce compose et utilisation de cet urethane (meth)acrylate et de ces compositions
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