JP2001073290A - 製紙用ドクター - Google Patents

製紙用ドクター

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JP2001073290A
JP2001073290A JP2000109015A JP2000109015A JP2001073290A JP 2001073290 A JP2001073290 A JP 2001073290A JP 2000109015 A JP2000109015 A JP 2000109015A JP 2000109015 A JP2000109015 A JP 2000109015A JP 2001073290 A JP2001073290 A JP 2001073290A
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doctor
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chromium
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Katsuhiko Kasai
克彦 葛西
Kenji Kadoma
憲司 門間
Yasuhiro Horikoshi
康弘 堀越
Eiji Mihara
英二 三原
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KANAKKU KK
YUNIDEKKU KK
Mitsubishi Paper Mills Ltd
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KANAKKU KK
YUNIDEKKU KK
Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 湿紙匹の加圧脱水、乾燥、厚み調整、搬送な
どのために設置された製紙工程中における各種ロールや
シリンダードライヤーなどの表面に付着した原料カスや
異物を掻き取って除去することができ、耐摩耗性に優
れ、かつ使用時にロール表面に傷をつけにくい製紙用ド
クターを提供する。 【解決手段】 製紙工程における工程中のロール表面に
付着した紙料カスや異物を掻き取って除去する製紙用ド
クターであって、該製紙用ドクターの母材がクロムを含
有または表面加工してなるものであり、該母材の表面ま
たは表面から内部に窒化処理した窒化処理層を設けてな
ることを特徴とする製紙用ドクター。また、窒化処理層
上に蒸着被覆層を設けた製紙用ドクター。好ましくは、
製紙用ドクターの母材が、クロムを3〜30重量%含有
してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製紙用ドクターに
関する。さらに詳しくは、湿紙匹の加圧脱水、乾燥、厚
み調整し、搬送する製紙工程中の各種ロールやシリンダ
ードライヤーなどの表面に付着した原料カスや異物を掻
き取って除去する製紙用ドクターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】製紙工程における抄紙機は、パルプ懸濁
物から湿紙匹を形成するためのワイヤーを支持している
ロール、湿紙匹を加圧し水分を除去するウェットプレス
部のプレスロールおよびフェルトを支持しているロー
ル、湿紙匹を乾燥させるシリンダードライヤー、紙に各
種の機能を付与するためのサイズプレスおよびゲートロ
ール装置などのロール、密度および平滑性を調整するた
めのカレンダーロールなど、必要に応じて様々なロール
が設置されている。
【0003】各種ロールは、湿紙匹や紙と直接接触する
ために、ロール表面にパルプ繊維、填料、サイズ剤、表
面サイズ剤などに由来する紙料カスや異物が付着、堆積
することは避けられない。これらを放置しておくことは
製品の品質を低下させるばかりでなく、断紙の原因にも
なり、甚だしい場合には事実上操業が不可能に陥ってし
まう。
【0004】その対策として、各種ロール表面の紙料カ
スや異物を掻き取って除去するドクターブレードが設置
されている。通常、硬いロールには硬い材質の製紙用ド
クター、軟らかい材質のロールには軟らかい材質の製紙
用ドクターを通常は使用している。
【0005】その理由として、各種ロールの硬度よりも
軟らかい材質の製紙用ドクターを選定することで、密着
性の確保と良好なカス取り性を維持させながらロールに
キズを付けないようにするためである。しかしながら、
運転効率の面からは、できるだけ摩耗の少ない硬い材質
が好ましく、良好な連続操業を維持するためには製紙用
ドクターの寿命が最低でも1ヶ月程度の期間は必要とさ
れている。特に、プレスパートのような工程の製紙用ド
クターでは、長寿命であることの要求が一層強い。
【0006】抄紙機においては、湿紙匹の水分を除去す
るプレスパートではステンレス製の製紙用ドクター、表
面強度やサイズ性およびその他の機能を持たせるために
澱粉や表面サイズ剤などを塗工するサイズプレスでは樹
脂製の製紙用ドクター、厚みを調整するカレンダーロー
ルにはリン青銅鋼製の製紙用ドクターというように、一
般に種々の製紙用ドクターが使用され、製紙用ドクター
の摩耗によるカス取り能力の低下する程度に応じて適宜
交換されるのが実情である。
【0007】アート紙やコート紙のように、紙表面に顔
料塗被組成物を塗工した塗工紙の製造工程でも、塗工用
のドクターブレードが用いられている。そして、塗工紙
の製造方法では、先端のランド部で顔料塗被組成物に密
着、余分の該組成物を掻き取って塗工量を一定にするよ
うな機構であることから、ドクターブレードの摩耗が品
質に与える影響が、抄紙機にも増して大きく、数時間で
製紙用ドクターを交換しなければならない場合があっ
た。
【0008】製紙用ドクターの材質については、摩耗と
コストの点から殆どがハイス鋼などの金属製材質が使用
されているものの不満足な面も多々あり、製紙用ドクタ
ーを延命させるために、各種表面処理や異種材料との接
合などの加工方法が種々検討されている。
【0009】例えば、特公平2−36671号公報に
は、スクレーバ、ブレードなどを製造するための帯状の
金属材料に対して、金属、サーメット材料、金属酸化物
および/または金属炭化物からなる耐摩耗性材料をプラ
ズマまたは火炎噴霧により耐摩耗性被覆する方法が開示
されている。また、特公平2−51398号公報には、
刃部を正方晶の結晶構造をもつジルコニアを少なくとも
50モル%含むジルコニア焼結体で構成したドクターブ
レードが開示されている。その製造法は、原料粉末を用
いて湿式成形法により成形し、成形体を熱間静水圧焼結
法などにより焼結し、ジルコニア焼結体の表面を研削加
工し、さらにホーニング加工やラッピング加工を施して
刃付けをし、また刃先に丸みを付けてドクターブレード
とするものである。
【0010】しかしながら、これらはいずれも製紙用ド
クター自体の表面強度、製紙用ドクターの母材と表面処
理層との接着強度などの面で未だ十分とは言えず改良の
余地があった。また、セラミック溶射による表面処理方
法では、溶射するべき粒子を表面に吹き付けて加工する
ため、ドクターとして重要な部分である刃先の形状が変
わってしまうことから研磨処理により希望する形状にし
なければならない工程が増加し、セラミック溶射表面加
工したままでは使用できない欠点も有している。つま
り、ドクターブレードのように先端形状がシャープなド
クターブレードには向いていないとも言える。
【0011】さらに、製紙用ドクターを用いた製紙工程
について、具体的に説明する。
【0012】図3は、製紙用ドクターを用いた工程にお
ける概略図である。例えば、プレスパートの工程では、
図3に示すように複数のロール12で湿紙14を加圧脱
水する。このロール12は、金属材、樹脂材、石材など
からなり、湿紙14を加圧して脱水したり、図示した複
数のロール群からなる乾燥パート(ドライヤー)で湿紙
14を乾燥させる作用を施しながら、紙を搬送させる作
用を有する。
【0013】そして、上述したように、上記ロール12
の表面には、紙料、液体、ゴミなどの異物13が付着し
やすく、これらの異物13が湿紙14に付着すると、紙
切れや不良品となってしまうため、予め製紙用ドクター
11の先端をロール12に押し当てて、異物13を除去
するようになっている。
【0014】製紙用ドクター11は、金属製や樹脂製の
ような板状の母材からなり、異物を除去しやすいよう
に、先端にはランド部を有するものが一般的であり、こ
のランド部を回転しているロール12の表面に押し当て
て、ロール12表面に付着した異物13を除去してい
る。
【0015】製紙用ドクター11の場合には、従来より
先端のランド部は、ロール12と密着して摺動し続ける
ために著しい摩耗を生じるものであった。特に、上記の
ような金属製または樹脂製の製紙用ドクター11の場合
には、先端のランド部の摩耗が激しく、2週間から1ヶ
月程度の使用により交換しなければならず、極めて効率
の悪いものであった。
【0016】また、この製紙用ドクター11をセラミッ
クスで形成された製紙用ドクター11を用いた場合で
も、使用時には先端のランド部に大きな力が加わること
からチッピングが生じやすいという欠点もあった。さら
に、製紙用ドクター11の取扱時に破損したり、先端ラ
ンド部にチッピングが生じやすく、その結果、使用時に
ロール12の表面に傷をつけてしまうという問題もあっ
た。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、湿紙
匹の加圧脱水、乾燥、厚み調整、搬送などのために設置
された製紙工程中における各種ロールやシリンダードラ
イヤーなどの表面に付着した原料カスや異物を掻き取っ
て除去することができ、耐摩耗性に優れ、かつ使用時に
ロール表面に傷をつけにくい製紙用ドクターを提供する
ことである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記に鑑
み鋭意研究した結果、本発明の製紙用ドクターを発明す
るに至った。
【0019】すなわち、本発明における第1の発明の製
紙用ドクターは、製紙工程における工程中のロール表面
に付着した紙料カスや異物を掻き取って除去する製紙用
ドクターであって、該製紙用ドクターの母材がクロムを
含有または表面加工してなるものであり、該母材の表面
または表面から内部に窒化処理した窒化処理層を設けて
なることを特徴とするものである。
【0020】また、本発明における第2の発明の製紙用
ドクターは、製紙工程における工程中のロール表面に付
着した紙料カスや異物を掻き取って除去する製紙用ドク
ターであって、該製紙用ドクターの母材がクロムを含有
または表面加工してなるものであり、該母材の表面また
は表面から内部に窒化処理した窒化処理層を設け、さら
に該窒化処理層上に蒸着被覆層を設けてなることを特徴
とするものである。
【0021】上記第2の発明において、蒸着被覆層は、
窒化クロム、窒化チタン、窒化アルミニウムチタンから
選ばれるいずれか1種の蒸着被覆層であることを特徴と
する。
【0022】本発明において、製紙用ドクターの母材と
しては、クロムを10〜30重量%含有してなることが
好ましい。
【0023】本発明において、好ましくはクロムを含有
する製紙用ドクターの母材が、ステンレス鋼である。
【0024】また、本発明において、窒化処理層は、8
00〜1700Hvのビッカース硬度を有することが好
ましい。
【0025】さらに、本発明において、製紙用ドクター
の母材としては、該母材先端部にランド部を設け、かつ
該ランド部における刃先角度(θ)が20〜75°であ
ることが好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の製紙用ドクターに
ついて、詳細に説明する。
【0027】本発明は、製紙工程に使用される製紙用ド
クターの母材(以下、単に母材と称することもある。)
に対して、窒化処理を施すこと、または窒化処理した上
に蒸着被覆処理を施すことによって、耐摩耗性を改良し
てカス取り効果を持続させることのできる製紙用ドクタ
ーである。
【0028】まず最初に、本発明における製紙用ドクタ
ーについて、図面により具体的に説明する。
【0029】本発明の製紙用ドクターの使用の具体例を
図1に示す。図1は、本発明の製紙用ドクターの使用状
態の一例を示す斜視図である。図1において、本発明の
製紙用ドクター1は、鋳鋼やステンレス鋼などからなる
製紙用ドクターの母材に窒化処理層あるいは蒸着被覆層
を設けたものであり、その先端部にはランド部2を備え
ており、このランド部2をロール3の表面に接触させな
がら、ロール3を矢印方向に回転させると、表面に付着
した紙料、液体、ゴミなどの異物4を掻き取って除去す
ることができる。製紙用ドクターの寸法は、通常、厚さ
0.9〜1.2mm程度、幅は70mm強であり、全長
は1500〜9000mmと長いものである。
【0030】また、本発明の製紙用ドクターの形状につ
いては、図2に示す。図2は、本発明の製紙用ドクター
のランド部を示す拡大図であり、(a)はランド部9が
平坦状とした場合の製紙用ドクター5を示し、(b)は
ランド部6が曲面状とした場合の製紙用ドクター8を示
す。
【0031】図2の(a)に示すように、製紙用ドクタ
ー5のランド部6には面取り7が施されている。具体的
には、ランド部6は幅Lの平坦面からなり、面取り7が
幅Lの上下共に施されている。また、図2の(b)に示
すように、ランド部9に曲率半径Rの曲面からなる面取
り10が備えられている。そのため、使用時や取り扱い
時などにこのランド部9にチッピングが生じにくく、使
用時にロールの表面に傷がつくのを防止することができ
る。
【0032】図2の(a)のように、ランド部6を平坦
面とした場合、その幅Lは、0.03〜1.0mmとす
ることが好ましく、0.1〜1.0mmとすることがさ
らに好ましい。ランド部6のエッジ部は0.05mm程
度の微小の面取り7を施すことが好ましい。また、図2
の(b)のように、曲面状の面取り10を施す場合、そ
の曲率半径Rは0.03〜1.0mmとすることが好ま
しく、0.1〜1.0mmとすることがさらに好まし
い。これは、幅Lまたは曲率半径Rが0.03mm未満
であると、チッピングを防止する効果に乏しく、1.0
mmを超えると、異物を掻き取る効果が乏しくなるため
である。
【0033】ランド部や面取りの形状については、図2
に示すものに限らず、先端のチッピングを防止し、かつ
良好に掻き取りを行うことができれば、その他の種々の
形状とすることもできる。また、この面取りおよび曲率
は用途および使用条件で変わる場合もあり、使用に応じ
て適宜加工してもよい。なお、本発明の製紙用ドクター
を使用する際に、製紙用ドクター自体が撓むことが重要
であり、撓むことによって、ランド部をロールの表面に
均一に押しつけることができ、異物を確実に掻き取るこ
とができる。
【0034】さらに、上記(a)および(b)における
ランド部の「θ」は、ランド部の刃先角度を示すもので
あり、本発明における刃先角度θとしては、20〜75
°であることが好ましい。ここで、刃先角度θが20°
未満である場合には刃先の形状が崩れやすくなる傾向に
あり、また、75°を超えた場合には掻き取り効果が低
下する傾向にある。
【0035】本発明における第1の発明は、製紙工程に
おける工程中のロール表面に付着した紙料カスや異物を
掻き取って除去するための製紙用ドクターであり、クロ
ムを含有または表面加工した製紙用ドクターの母材の表
面または表面から内部に窒化処理することで窒化処理層
を設けた製紙用ドクターである。
【0036】本発明において、製紙用ドクターの母材に
対する窒化処理する方法としては、減圧炉による窒素原
子の拡散原理を利用した減圧ガス窒化処理方法を使用す
るものである。
【0037】窒化処理する方法は、製紙用ドクターの母
材を減圧炉内に装填し、減圧した炉内にアンモニアガス
と窒化促進ガスを導入し、炉内温度を480〜550℃
に加熱し、3〜5時間保持して、該母材に窒素を拡散さ
せることで、クロムとの反応によって窒化処理層を生成
させる方法である。
【0038】また、本発明に使用する窒化処理する方法
は、製紙用ドクターの母材の表面から内部に向かい、窒
素が浸透、拡散しながら、該母材中のクロムと結合し、
窒素拡散層を形成するものであるため、該母材表面およ
び該母材自体に、反りや、膨張などの寸法変化を生ずる
ことがほとんどない。
【0039】この窒化処理する方法を行うことにより、
窒化処理層が生成されるが、ここで、「窒化処理層」と
は、母材表面で生成される窒素化合物による窒素化合物
層と、表面から内部に向かって生成される窒素拡散層と
を意味するものである。
【0040】本発明において、窒化処理する方法では、
処理温度、処理時間を制御することによって硬化層、即
ち窒素拡散層の深さを制御することができる。また、上
記窒化処理する方法によれば、表面から内部への硬度低
下がなだらかなため、表面層の剥離や欠損を生ずること
もないという利点も有する。
【0041】また、本発明における第2の発明は、クロ
ムを含有する製紙用ドクターの母材に上述の窒化処理す
る方法によって窒化処理層を施した上に、蒸着被覆層を
設けた製紙用ドクターである。
【0042】蒸着被覆層は、好ましくは窒化クロム、窒
化チタン、窒化アルミニウムチタンから選ばれるいずれ
か1種の窒化処理層である。
【0043】蒸着被覆層を設ける方法としては、製紙用
ドクターの母材に窒化処理層を施した上に、蒸着被覆層
を施す方法である。直接、製紙用ドクターの母材に蒸着
被覆層を施す場合、該母材と蒸着被覆層の表面硬さの差
が大きいために、該母材に直接蒸着被覆層を加工しても
剥離などを生じやすく、蒸着被覆層の有する高い表面硬
さを充分に生かすことができない。そこで、窒化処理層
を予め製紙用ドクターの母材に施すことにより、該母材
の表面硬さを高めることができ、それによって、窒化処
理層を施した該母材と蒸着被覆層の剥離を防止すること
ができる。
【0044】本発明において、蒸着被覆を施す方法とし
ては、特に限定されるものではなく、慣用の種々の方
法、例えば、CVD法、PVD法、イオンプレーティン
グ法などを使用することができる。これらの中で、イオ
ンプレーティング法は、CVD法に比べて、低温で成膜
でき、製紙用ドクターの母材への密着性にも優れている
ために特に好ましい。
【0045】本発明において、蒸着被覆層の厚さは、2
〜10μm、好ましくは、3〜6μmである。ここで、
蒸着被覆層の厚さが2μm未満であると、実用耐久性に
劣るために好ましくなく、また、厚さが10μmを超え
ると後述するように、蒸着被覆層を施した後の窒化処理
の際に、窒素原子の浸透性に問題を生ずることがあるた
めに好ましくない。
【0046】本発明の他の実施態様によれば、製紙用ド
クターの母材の表面に、先ず蒸着被覆層を設け、次に窒
化処理を行うこともできる。この方法によれば、製紙用
ドクターの仕上がり方法が、製紙用ドクターの母材+蒸
着被覆層の寸法となり、窒化処理を施す前に仕上がり寸
法とは異なる不良品を予め除くことができる。
【0047】また、表面に存在する蒸着被覆層を介し
て、製紙用ドクターの母材を窒化処理することにより、
一体的に窒化処理を行うことができ、蒸着被覆層の該母
材への付着をより強固なものとすることができる。この
方法は、正確な寸法が要求される製紙用ドクターの表面
強化に適した方法である。
【0048】上述したように、窒化処理する方法につい
ては、母材中に存在するクロムと、導入されるアンモニ
アとの反応により、窒化クロムを形成させるものである
ため、加工に供される該母材は、クロムを含有するかク
ロムを表面加工することが必要であり、窒化処理層を設
ける母材部位に、クロムが10〜30重量%含有するこ
とが好ましい。
【0049】ここで、クロム含有量が10重量%未満で
あると、窒化処理する方法に寄与するクロム含有量が少
ないために顕著な耐摩耗性に対する表面強度の向上効果
が十分には得られにくい。また、クロムが30重量%を
超えて多く含有されると表面硬度は高くなるが、その反
面脆くなり実用に耐えられなくなる。
【0050】一般的に、製紙用ドクターには比較的延性
があり、それらの母材としては、鋳鋼やステンレス鋼な
どが用いられることが多い。しかし、延性のある材質で
は先端ランド部が著しく摩耗するという欠点がある。
【0051】一方、本発明においては、比較的延性のあ
る製紙用ドクターの母材表面を、ビッカーズ硬度が80
0〜1700Hvの範囲内に入るように窒化処理を施す
ことにより、製紙用ドクターの先端ランド部の耐摩耗性
と耐チッピング性の両方を満足させることが可能になっ
たのである。
【0052】上記理由により、本発明に用いられる製紙
用ドクターを表面加工する上で、表面加工の指標とされ
るビッカース硬度を800〜1700Hvの範囲内にす
ることが好ましい。ここで、ビッカーズ硬度が800H
v未満の場合には、磨耗により製紙用ドクター十分な耐
摩耗性が得られない。また、1700Hvを超える場合
には、製紙用ドクター自体が堅くなるが、逆に脆くなる
傾向にあり、先端ランド部でのチッピングを発生させ
る。
【0053】本発明におけるビッカーズ硬度は、窒化処
理層を設けた製紙用ドクター表面についてのビッカース
硬度であり、JIS Z 2244に準拠して測定した
値である。
【0054】本発明の製紙用ドクターの窒化処理層の厚
さは、好ましくは10〜150μmであり、さらに好ま
しくは、20〜100μmである。窒化処理層が10μ
m未満の場合には、表面加工が非常に難しく、かつ目的
の表面硬度を均一に得ることも難しく、表面硬度にムラ
が発生することにより、窒化処理層が脆弱になり、摩耗
による耐摩耗性および耐チッピング性の両方を維持する
ことが難しく実用的ではない。
【0055】また、表面からの窒化処理層が150μm
を超えて厚いと、製紙用ドクター自体の延性が低下し、
硬度はあるものの製紙用ドクター自体は逆に脆くなる。
【0056】本発明の製紙用ドクターにおける窒化処理
層は、表面硬度が、ビッカース硬度800〜1700H
vの範囲にあることが好ましい。この範囲内において、
表面から内部へのビッカース硬度の傾向については、表
面から20μmの深さでは表面の50%以上のビッカー
ズ硬度を維持することができ、また表面から40μmの
深さでは25%以上のビッカーズ硬度を維持することが
観察された。この条件であれば、最適な耐摩耗性と長時
間のカス取り性を十分に確保することができる。ここ
で、表面から20μmの深さで表面の50%未満、もし
くは、表面から40μmの深さで表面の25%未満であ
る場合には、窒化処理層と母材の硬度差が大きくなるこ
とから、物理的に大きな応力がかかる製紙用ドクター全
体としての安定的な硬度を維持しにくくなり、製紙用ド
クター自体も脆くなる傾向にある。
【0057】本発明においては、製紙用ドクターの母材
としては、クロムを含有するものと、クロムを含有しな
いものとがあり、クロムを含有する場合は、上記窒化処
理する方法を用いて、窒化処理層を設けることができ
る。また、クロムを含有しないものでは、適宜、母材表
面に窒化処理層を所望の製紙用ドクター部位に、メッ
キ、溶射などで表面処理を行ってクロムを表面加工した
クロム加工層を設けることでよい。このクロム加工層を
ターゲットにして、窒化処理を施し、窒化処理層を設け
ることが可能である。
【0058】本発明のクロムを含有する製紙用ドクター
の母材としては、クロムを含有するステンレス鋼が好ま
しい。本発明に使用できるステンレス鋼には、例えば、
オーステナイト質(Cr−Ni系,300系列)、フェ
ライト質(17〜27Cr,400系列)、マルテンサ
イト質(12〜17Cr,400系列)の他、Niの一
部をMnで置換したオーステナイト質(Cr−Ni−M
n系,200系)および析出硬化型(Cr−Ni−Cu
系とCr−Ni−Al系,600系列)とが挙げられ
る。
【0059】特に好ましいステンレス鋼としては、30
0系列のオーステナイト質であり、オーステナイト質で
は、高い炭素溶解度とCrの強い炭化物生成能力のため
に浸炭に対する抵抗が小さく、初期に形成する薄い窒化
層がその後の窒素侵入を阻止することから、窒素化への
抵抗が大きくなり、本発明では、炭素溶解度の低いオー
ステナイト質のステンレス鋼が好ましく使用される。
【0060】また、クロムを含有しない製紙用ドクター
の母材としては、例えば、鋳鋼、セラミック、耐熱性プ
ラスチック、アルミニウム、銅などが挙げられるが、こ
れらに限定されるものではない。
【0061】
【実施例】以下、本発明について実施例により詳細に説
明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではな
い。以下における部、%は全て重量によるものである。
【0062】[クロム含有製紙用ドクターの母材に窒化
処理] 実施例1 製紙用ドクターの母材として、クロム含有量14%、ビ
ッカース硬度370Hvであるオーステナイト質のステ
ンレス鋼製(300系列)を用いた。製紙用ドクターの
母材は、厚さ0.5mm、幅70mm、長さ1500m
mであり、該母材のランド部の形状は、前記図2の
(a)に示す平坦状のもので、幅Lが0.2mmの平坦
面とし、下部のエッジ部には0.03mmの面取りを形
成し、刃先角度は35°とした。
【0063】上記寸法に加工した製紙用ドクターの母材
を用いて以下の条件により窒化処理を行った。窒化処理
に当たっては、製紙用ドクターの母材を減圧炉に装填
し、10-3mmHg程度の圧力に減圧し、アンモニア2
0〜40体積%、水素5〜15体積%、酸素2〜8体積
%、残部が窒素よりなる混合ガスを導入し、炉内温度4
80〜550℃で、3〜5時間適宜調節して保持するこ
とにより製紙用ドクターの母材表面に窒化処理層を形成
させた。得られた製紙用ドクターには窒化処理層が強固
に付着、形成されていた。なお、製紙用ドクターの断面
を走査型電子顕微鏡により観察したところ、製紙用ドク
ターの表面から内部に10μmの範囲に渡って窒化物拡
散層が形成されていることが確認された。また、製紙用
ドクター表面のビッカース硬度は、890Hvであっ
た。
【0064】実施例2 実施例1でクロム含有量を20%とした以外は実施例1
と同様にして製紙用ドクターの母材に窒化処理層を形成
し、製紙用ドクターを作製した。なお、製紙用ドクター
の断面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、製紙
用ドクターの表面から内部に20μmの範囲に渡って窒
化物拡散層が形成されていることが確認された。また、
製紙用ドクター表面のビッカース硬度は、1100Hv
であった。さらに、窒化処理層の深さ方向で、20μm
の深さではビッカース硬度1100Hvの54.5%を
維持していることが確認された。
【0065】実施例3 実施例1でクロム含有量を28%とした以外は実施例1
と同様にして製紙用ドクターの母材に窒化処理層を形成
し、製紙用ドクターを作製した。窒化処理層の厚さは2
5μm、ビッカース硬度は1300Hvであった。さら
に、窒化処理層の深さ方向で、20μmの深さではビッ
カース硬度1300Hvの57.7%を維持しているこ
とが確認された。
【0066】実施例4 実施例1によるオーステナイト質のステンレス鋼製(3
00系列)の代わりにフェライト質ステンレス鋼を用
い、クロム含有量を11%とした以外は実施例1と同様
にして製紙用ドクターの母材に窒化処理層を形成し、製
紙用ドクターを作製した。窒化処理層の厚さは15μ
m、ビッカース硬度は900Hvであった。
【0067】実施例5 実施例1でクロム含有量を30%とした以外は実施例1
と同様にして製紙用ドクターの母材に窒化処理層を形成
し、製紙用ドクターを作製した。窒化処理層の厚さは4
0μm、ビッカース硬度は1400Hvであった。さら
に、窒化処理層の深さ方向で、20μmの深さではビッ
カース硬度1400Hvの57.1%、40μmの深さ
ではビッカース硬度1400Hvの42.9%を維持し
ていることが確認された。
【0068】比較例1 実施例1の製紙用ドクターの母材に窒化処理する代わり
に、炭化サーメット加工を施して製紙用ドクターとし
た。炭化サーメット層の厚さは95μm、ビッカース硬
度は1100Hvであった。さらに、炭化サーメット層
の深さ方向で、20μmの深さではビッカース硬度11
00Hvの100%、40μmの深さではビッカース硬
度1100Hvの100%を維持していた。
【0069】比較例2 実施例1の製紙用ドクターの母材に窒化処理する代わり
に、窒化ホウ素を表面加工して製紙用ドクターとした。
窒化ホウ素層の厚さは105μm、ビッカース硬度は1
100Hvであった。さらに、窒化ホウ素の加工層の深
さ方向で、20μmの深さではビッカース硬度1100
Hvの100%、40μmの深さではビッカース硬度1
100Hvの100%を維持していた。
【0070】[クロム加工層を設けた製紙用ドクターの
母材に窒化処理] 実施例6 表面硬度がビッカース硬度が400Hvの鋳鋼からなる
製紙用ドクターの母材の表面に、クロムメッキ法により
メッキ厚み30μmとなるようにクロム加工層を設け
た。続いて、クロム加工層上に、実施例1と同様の窒化
処理条件とし、窒化処理層を形成させ、製紙用ドクター
を作製した。ここで、クロムメッキ層のクロム含有量は
100%であった。また、窒化処理層の厚さは60μ
m、ビッカース硬度は1200Hvであった。さらに、
窒化処理層の深さ方向で、20μmの深さではビッカー
ス硬度1200Hvの65.0%、40μmの深さでは
ビッカース硬度1200Hvの44.2%を維持してい
ることが確認された。
【0071】[窒化処理層を設けたクロム含有製紙用ド
クターの母材に蒸着被覆処理] 実施例7 実施例3の条件により窒化処理層を形成させた。この製
紙用ドクターに、蒸着被覆層を次のようにして設けた。
金属チタンをターゲットとする真空アーク放電型インオ
プレーティング装置にて、バイアス電圧−40〜−60
V、アーク電流80〜120A、窒素圧力20mmTo
orの条件で適宜調整し、加工することにより厚さ2〜
3μmの蒸着被覆層を窒化処理層を設けた製紙用ドクタ
ー表面に形成した。蒸着被覆層は、製紙用ドクターに強
固に付着していた。得られた製紙用ドクターの断面を走
査型電子顕微鏡により観察したところ、製紙用ドクター
の表面から3μmの範囲に窒化チタンの蒸着被覆層が形
成されていることが確認された。
【0072】実施例8 実施例4の条件により窒化処理層を形成させた。この製
紙用ドクターに、蒸着被覆層を次のようにして設けた。
金属チタンをターゲットとする真空アーク放電型インオ
プレーティング装置にて、バイアス電圧−40〜−60
V、アーク電流80〜120A、窒素圧力20mmTo
orの条件で適宜調整し、加工することにより厚さ2〜
3μmの蒸着被覆層を窒化処理層を設けた製紙用ドクタ
ー表面に形成した。蒸着被覆層は、製紙用ドクターに強
固に付着していた。得られた製紙用ドクターの断面を走
査型電子顕微鏡により観察したところ、製紙用ドクター
の表面から3μmの範囲に窒化チタンの蒸着被覆層が形
成されていることが確認された。
【0073】[クロム加工層、窒化処理層を設けた製紙
用ドクターの母材に蒸着被覆処理] 実施例9 実施例6の条件により窒化処理層を形成させた。この製
紙用ドクターに、蒸着被覆層を次のようにして設けた。
金属チタンをターゲットとする真空アーク放電型インオ
プレーティング装置にて、バイアス電圧−40〜−60
V、アーク電流80〜120A、窒素圧力20mmTo
orの条件で適宜調整し、加工することにより厚さ2〜
3μmの蒸着被覆層を窒化処理層を設けた製紙用ドクタ
ー表面に形成した。蒸着被覆層は、製紙用ドクターに強
固に付着していた。得られた製紙用ドクターの断面を走
査型電子顕微鏡により観察したところ、製紙用ドクター
の表面から3μmの範囲に窒化チタンの蒸着被覆層が形
成されていることが確認された。
【0074】上記実施例1〜9および比較例1〜2によ
り作製した製紙用ドクターについて、下記の評価方法に
より評価し、その結果を表1に掲げた。また、各々の製
紙用ドクターの特性値を表1に併せて掲げた。
【0075】<製紙用ドクターの寿命>各製紙用ドクタ
ーのランド部を中心面平均粗さ(SRa)が0.4μm
である金属製のロールに接触させ、周速度600m/分
でロールを連続回転させた時、ランド部の摩耗により使
用不能となるまでの時間を測定した。なお、測定に当た
って、日数で表した。
【0076】
【表1】
【0077】表1より、本発明による実施例1〜9の製
紙用ドクターは、寿命が長いことが明らかである。特
に、窒化処理層を施した実施例1〜6の製紙用ドクター
ではビッカース硬度が800Hv以上であると寿命が長
いことがわかる。また、窒化処理層に蒸着被覆層を施し
た実施例7〜9の製紙用ドクターについては、60日以
上と寿命が長かった。一方、比較例1および2の製紙用
ドクターは、それぞれ炭化サーメット、窒化ホウ素処理
を施したものであるが、ビッカース硬度が1100Hv
と高いにもかかわらず、寿命が短いことがわかる。
【0078】次に、製紙用ドクターのランド部の形状を
代えた条件による種々の製紙用ドクターを作製した。
【0079】実施例10〜14 製紙用ドクターの母材として、クロム含有量15%、ビ
ッカース硬度370Hvであるオーステナイト質のステ
ンレス鋼製(300系列)を用いた。製紙用ドクターの
母材は、厚さ0.5mm、幅70mm、長さ1500m
mであり、該母材のランド部の形状は、前記図2の
(a)に示す平坦状のもので、幅Lが0.5mmの平坦
面とし、下部のエッジ部には0.05mmの面取りを形
成し、刃先角度は実施例10〜14について、それぞれ
15°、20°、75°、80°、85°とした。
【0080】上記寸法に加工した製紙用ドクターの母材
を用い、以下の条件により窒化処理を行った。窒化処理
に当たっては、製紙用ドクターの母材を減圧炉に装填
し、10-3mmHg程度の圧力に減圧し、アンモニア2
0〜40体積%、水素5〜15体積%、酸素2〜8体積
%、残部が窒素よりなる混合ガスを導入し、炉内温度4
80〜550℃で、3〜5時間適宜調節して保持するこ
とにより製紙用ドクターの母材表面に窒化処理層を形成
させた。得られた製紙用ドクターには窒化処理層が強固
に付着、形成されていた。なお、製紙用ドクターの断面
を走査型電子顕微鏡により観察したところ、製紙用ドク
ターの表面から内部に30μmの範囲に渡って窒化物拡
散層が形成されていることが確認された。また、製紙用
ドクター表面のビッカース硬度は、950Hvであっ
た。さらに、窒化処理層の深さ方向で、20μmの深さ
ではビッカース硬度950Hvの71.5%を維持して
いることが確認された。
【0081】実施例15〜16 製紙用ドクターの母材として、クロム含有量15%、ビ
ッカース硬度370Hvであるオーステナイト質のステ
ンレス鋼製(300系列)を用いた。製紙用ドクターの
母材は、厚さ0.5mm、幅70mm、長さ1500m
mであり、該母材のランド部の形状は、前記図2の
(b)に示す曲面状のもので、幅Lが0.5mm、曲率
半径が0.05mmの曲面として面取りを形成し、刃先
角度θは実施例15〜16について、それぞれ30°、
60°とした。なお、窒化処理層の処理条件は、実施例
10と同様に行った。
【0082】上記実施例10〜16により作製した製紙
用ドクターについて、下記の評価方法により評価し、そ
の結果を表2に掲げた。また、各々の製紙用ドクターの
特性値を表2に併せて掲げた。
【0083】<製紙用ドクターの寿命>各製紙用ドクタ
ーのランド部を中心面平均粗さ(SRa)が0.4μm
である金属製のロールに接触させ、周速度600m/分
でロールを連続回転させた時、ランド部の摩耗により使
用不能となるまでの時間を測定した。なお、測定に当た
って、日数で表した。
【0084】<異物の除去性>4つのプレスロールを有
するフォードリニア型の抄紙機を用い、本発明による製
紙用ドクターを3番目および4番目のプレスロールに設
置し、抄速300〜600m/分にて連続稼働させてパ
ルプ繊維、填料などの異物の除去性を観察した。異物の
除去性については、次のようにして判定した。 ◎ 異物を完全に除去することができる。 ○ 異物を良好に除去することができる。 △ 操業上問題のない程度で異物を除去することができ
る。
【0085】
【表2】
【0086】表2より、本発明による実施例10〜16
の製紙用ドクターは、いずれも窒化処理層を施したもの
であり、ビッカース硬度が950Hvである。実施例1
0〜14の製紙用ドクターは、ランド部が平坦状の製紙
用ドクターであり、刃先角度(θ)によって寿命に差が
出ていることがわかる。刃先角度(θ)が15°では、
異物の除去性に優れているものの寿命がやや短い。刃先
角度(θ)が20〜75°の製紙用ドクターは、製紙用
ドクターの寿命が長く、異物の除去性も優れている。ま
た、実施例15〜16の製紙用ドクターは、ランド部が
曲面状の製紙用ドクターであり、刃先角度(θ)がそれ
ぞれ30°、60°であるが、いずれも製紙用ドクター
の寿命が長く、異物の除去性も優れていることがわか
る。
【0087】
【発明の効果】本発明は、クロムを含有するステンレス
鋼などの製紙用ドクターの母材またはクロム加工層を設
けた製紙用ドクターの母材に、窒化処理層を設けた製紙
用ドクター、また該窒化処理層上に蒸着被覆層を設けた
製紙用ドクターとすることにより、湿紙匹の加圧脱水、
乾燥、厚み調整し、搬送する製紙工程中における各種ロ
ールやシリンダードライヤーなどの表面に付着した原料
カスや異物を掻き取って除去することができ、耐摩耗性
に優れ、かつ使用時にロール表面に傷をつけにくい製紙
用ドクターとすることができる。特に、本発明の製紙用
ドクターは、溶射、コーティングなどによる表面加工方
法と異なり、製紙用ドクターの刃先角度の形状通りに表
面加工することができることから、研磨による余剰部分
を削り取る必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製紙用ドクターの使用状態の一例を示
す斜視図である。
【図2】本発明の製紙用ドクターのランド部を示す拡大
図であり、(a)はランド部が平坦状とした製紙用ドク
ターを示し、(b)はランド部が曲面状とした製紙用ド
クターを示す。
【図3】製紙用ドクターを用いた工程における概略図で
ある。
【符号の説明】
1、5、8、11 製紙用ドクター 2、6、9 ランド部 7、10 面取り 3、12 ロール 4、13 異物 14 湿紙 L ランド部の幅 R 曲率半径 θ 刃先角度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 葛西 克彦 東京都千代田区丸の内3丁目4番2号 三 菱製紙株式会社内 (72)発明者 門間 憲司 東京都千代田区丸の内3丁目4番2号 三 菱製紙株式会社内 (72)発明者 堀越 康弘 静岡県静岡市水落町7番−2号 有限会社 カナック内 (72)発明者 三原 英二 東京都千代田区神田北乗物町18番地 朝比 奈ビル2F 株式会社ユニデック内 Fターム(参考) 4L055 CG23 FA30

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 製紙工程における工程中のロール表面に
    付着した紙料カスや異物を掻き取って除去する製紙用ド
    クターであって、該製紙用ドクターの母材がクロムを含
    有または表面加工してなるものであり、該母材の表面ま
    たは表面から内部に窒化処理した窒化処理層を設けてな
    ることを特徴とする製紙用ドクター。
  2. 【請求項2】 製紙工程における工程中のロール表面に
    付着した紙料カスや異物を掻き取って除去する製紙用ド
    クターであって、該製紙用ドクターの母材がクロムを含
    有または表面加工してなるものであり、該母材の表面ま
    たは表面から内部に窒化処理した窒化処理層を設け、さ
    らに該窒化処理層上に蒸着被覆層を設けてなることを特
    徴とする製紙用ドクター。
  3. 【請求項3】 蒸着被覆層が、窒化クロム、窒化チタ
    ン、窒化アルミニウムチタンから選ばれるいずれか1種
    の蒸着被覆層であることを特徴とする請求項2記載の製
    紙用ドクター。
  4. 【請求項4】 製紙用ドクターの母材が、クロムを10
    〜30重量%含有してなることを特徴とする請求項1、
    2、または3記載の製紙用ドクター。
  5. 【請求項5】 クロムを含有する製紙用ドクターの母材
    が、ステンレス鋼であることを特徴とする請求項1、
    2、3、または4記載の製紙用ドクター。
  6. 【請求項6】 窒化処理層が、800〜1700Hvの
    ビッカース硬度を有することを特徴とする請求項1、
    2、3、4または5記載の製紙用ドクター。
  7. 【請求項7】 製紙用ドクターの母材が、該母材先端部
    にランド部を設け、かつ該ランド部における刃先角度
    (θ)が20〜75°であることを特徴とする請求項
    1、2、3、4、5または6記載の製紙用ドクター。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010519424A (ja) * 2007-02-22 2010-06-03 シーエス プロダクション アクチエボラグ 紙クレーピング装置及びその方法

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