JP2001073085A - 耐震性に優れた建築用鋼材及びその製造方法 - Google Patents

耐震性に優れた建築用鋼材及びその製造方法

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JP2001073085A JP25034999A JP25034999A JP2001073085A JP 2001073085 A JP2001073085 A JP 2001073085A JP 25034999 A JP25034999 A JP 25034999A JP 25034999 A JP25034999 A JP 25034999A JP 2001073085 A JP2001073085 A JP 2001073085A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】地震荷重による繰返し予歪みを受けた後におい
ても優れた靱性を有し、建築・土木分野などの用途に好
適な耐震性に優れた比較的廉価な建築用鋼材とその建築
用鋼材を比較的容易に製造する方法の提供。 【解決手段】C:0.02〜0.15%、Si:0.2
〜0.7%、Mn:0.8〜2.0%、Cr:0.05
〜0.80%、Nb:0.01〜0.08%、Ti:
0.005〜0.040%、Al:0.01〜0.10
%を含有し、残部はFe及び不可避不純物からなり、不
純物中のPは0.02%以下、Sは0.02%以下の化
学組成で、更に、組織がフェライト・ベイナイト2相組
織であって、且つ、ベイナイト相の硬さがビッカース硬
さ220以上及びベイナイト相の割合が55〜95%を
満足する耐震性に優れた建築用鋼材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地震による破壊に
対する抵抗性、つまり「耐震性」に優れた建築用鋼材及
びその製造方法に関する。詳しくは、予歪みを受けてい
ない状態での靱性に優れることは勿論、地震荷重による
繰返し予歪みを受けた後においても優れた靱性を有し、
建築・土木分野などの用途に好適な耐震性に優れた建築
用鋼材及びその製造方法に関する。なお、「予歪み」と
は荷重履歴のうち最終破断に到るサイクルを除外したも
のをいい、これは鋼材の靱性低下の原因となる。
【0002】
【従来の技術】兵庫県南部地震や米国ノースリッジ地震
での被災状況を踏まえ、近年、鉄骨部材などとして用い
られる建築用鋼材の耐震性を向上させたいとする要望が
特に高まっている。
【0003】一般に、鋼材は予歪みを受けると靱性が低
下する。したがって、地震に遭遇した場合に建造物の耐
震性を高めるためには、建築用鋼材に対し十分な靱性を
確保させておくことは勿論であるが、地震波による繰返
し予歪みを受けた後にも十分な靱性を維持させることが
極めて重要となる。地震波により鋼材に繰返し予歪みが
付与された状態における靱性こそが鋼材の耐震性を決定
することになるからである。
【0004】こうした状況を踏まえて、特開平9−17
6782号公報及び特開平10−17982号公報に
は、P、S、O(酸素)及び固溶Nを低減させるととも
に、鋼材の表層に超微細組織を付与して、繰返し予歪み
が負荷された場合の予歪みによる材質の劣化を非常に小
さくするための技術が開示されている。しかし、これら
の公報で提案された技術は、表層を極めて超微細なフェ
ライト相にする必要があるため、加工と冷却、復熱を組
み合わせた特殊な加工熱処理を施さねばならいので製造
工程が複雑になるし、化学成分の制御も困難なことから
コストが嵩むものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑みなされたもので、その目的は、地震荷重による繰返
し予歪みを受けた後においても優れた靱性を有し、建築
・土木分野などの用途に好適な耐震性に優れた比較的廉
価な建築用鋼材とその建築用鋼材を比較的容易に製造す
る方法を提供することである。なお、繰返し予歪みを受
けた後の靱性の具体的な目標としては、後述の繰返し予
歪み履歴を付与した場合に、先端半径0.2mmの曲率
を持つVノッチ付きシャルピー試験片を用いた衝撃試験
で脆性破面率が50%となる破面遷移温度が20℃未満
であることとした。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記(1)に
示す耐震性に優れた建築用鋼材及び(2)に示すその製
造方法を要旨とする。
【0007】(1)重量%で、C:0.02〜0.15
%、Si:0.2〜0.7%、Mn:0.8〜2.0
%、Cr:0.05〜0.80%、Nb:0.01〜
0.08%、Ti:0.005〜0.040%、Al:
0.01〜0.10%を含有し、残部はFe及び不可避
不純物からなり、不純物中のPは0.02%以下、Sは
0.02%以下の化学組成で、更に、組織がフェライト
・ベイナイト2相組織であって、且つ、ベイナイト相の
硬さがビッカース硬さ220以上及びベイナイト相の割
合が55〜95%を満足する耐震性に優れた建築用鋼
材。
【0008】(2)上記(1)に記載の化学組成を有す
る鋼片を、1000〜1150℃に加熱し、圧延仕上げ
温度が820℃以上で圧下率が50%以上となるように
熱間圧延し、熱間圧延終了後は860〜740℃の温度
域の温度Tまで3.0℃/秒以下の冷却速度で冷却し、
次いで、温度Tから5〜20℃/秒の冷却速度で550
℃以下の温度まで冷却することを特徴とする耐震性に優
れた建築用鋼材の製造方法。
【0009】ここで、組織の割合は顕微鏡観察したとき
の組織割合、つまり、面積率のことをいう。又、上記の
各温度は鋼片や鋼材の厚さ方向中心部の温度をいい、
「冷却速度」も鋼材の厚さ方向中心部における冷却速度
をいう。
【0010】「圧下率」は、{(圧延前の鋼片の厚さ)
−(圧延後の鋼材の厚さ)}/(圧延前の鋼片の厚さ)
をいう。
【0011】以下、上記の(1)、(2)に記載のもの
をそれぞれ(1)の発明、(2)の発明という。
【0012】本発明者らは、前記した課題を解決するた
めに、1994年1月に起きた米国ノースリッジ地震と
1995年1月に起きた兵庫県南部地震での被害状況に
ついて詳細に調査した。
【0013】その結果、建築用鋼材(以下、単に「鋼
材」ともいう)には破壊に先立って繰返し予歪みが負荷
されており、したがって、建築物の耐震性を高めるため
には、繰返し予歪み後においても鋼材が十分な破壊靱性
を有することが極めて重要であることが判明した。換言
すれば、建造物が経験する幾度目かの地震波、あるい
は、建造後最初に経験する地震波によって鋼材に繰返し
予歪みが入力されると、鋼材の破壊に対する抵抗性が劣
化してしまうため、繰返し予歪みを受けていない鋼材の
靱性のみを根拠に建造物の設計が行われていたならば、
所望の耐震性は確保できないことが明らかになった。
【0014】そこで次に、繰返し予歪みに対する鋼材の
靱性の低下を抑制し、地震に遭遇した場合の建築物の耐
震性、強度健全性を高めて、建造時の初期状態(すなわ
ち建造直後)と同等の耐震性を確保させるために種々の
検討を行い、その結果、下記の重要な知見を得た。
【0015】(a)後述の繰返し予歪み履歴を付与した
場合に、先端半径0.2mmの曲率を持つVノッチ付き
シャルピー試験片を用いた衝撃試験で、脆性破面率が5
0%となる破面遷移温度(以下、単に「破面遷移温度」
という)が20℃未満であれば十分な耐震性が確保でき
る。
【0016】(b)繰返し予歪みを受けた鋼材の靱性が
低下するのは、硬さ(強度)が上昇することに基づく。
しかし、硬さがビッカース硬さ(以下「Hv硬さ」とい
う)で220以上のベイナイト相の場合には、繰返し予
歪みによって転位が再配列されるので硬さは却って低下
する。
【0017】(c)鋼材の組織をHv硬さで220以上
のベイナイト相を特定の割合で含むフェライト・ベイナ
イトの2相混合組織とすれば前記(a)の破面遷移温度
条件が満たされ、したがって、地震の繰返し予歪みを受
けても耐震性が維持される。
【0018】本発明は、上記の知見に基づいて完成され
たものである。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の各要件について詳
しく説明する。なお、以下においては各元素の含有量の
「%」表示は「重量%」を意味する。
【0020】(A)鋼材の化学組成 C:0.02〜0.15% Cは、鋼材の組織中に所望のベイナイト相を確保して耐
震性を高める作用がある。しかし、その含有量が0.0
2%未満では十分な効果が得られない。一方、0.15
%を超えると、溶接性が損なわれるため溶接施工が困難
となり、建築用の構造用鋼材としての適用領域が著しく
制限されてしまう。したがって、Cの含有量を0.02
〜0.15%とした。なお、Cの含有量は0.03〜
0.09%とすることが望ましい。
【0021】Si:0.2〜0.7% Siは、鋼を脱酸する作用がある。しかし、その含有量
が0.2%未満では効率的な脱酸を実施し難い。一方、
0.7%を超えて含有させると靱性が低下して十分な耐
震性が確保できない。したがって、Siの含有量を0.
2〜0.7%とした。なお、Si含有量の望ましい範囲
は0.35〜0.55%である。
【0022】Mn:0.8〜2.0% Mnは、強度を確保するのに有効な元素である。しか
し、その含有量が0.8%未満では添加効果に乏しい。
一方、2.0%を超えると、溶接性が損なわれるため溶
接施工が困難となり、建築用の構造用鋼材としての適用
領域が著しく制限されてしまう。このため、Mnの含有
量を0.8〜2.0%とした。なお、Mnの含有量は
1.3〜1.7%とすることが好ましい。
【0023】Cr:0.05〜0.80% Crは強度向上に有効な元素である。しかし、その含有
量が0.05%未満では十分な効果が得られない。一
方、0.80%を超えると靱性と溶接性の確保が困難と
なる。したがって、Crの含有量を0.05〜0.80
%とした。なお、Cr含有量は0.05〜0.30%と
することが望ましい。
【0024】Nb:0.01〜0.08% Nbは、オーステナイト粒を微細にして靱性を高める作
用を有する。しかし、その含有量が0.01%未満では
添加効果に乏しい。一方、Nbを0.08%を超えて含
有させると却って靱性の低下を招く。このため、Nbの
含有量を0.01〜0.08%とした。なお、好ましい
Nb含有量の範囲は0.015〜0.06%である。
【0025】Ti:0.005〜0.040% Tiは、オーステナイト粒を微細にして靱性を高める作
用を有する。しかし、その含有量が0.005%未満で
は添加効果に乏しい。一方、Tiを0.040%を超え
て含有させると却って靱性の低下を招く。このため、T
iの含有量を0.005〜0.040%とした。なお、
Ti含有量は0.005〜0.020%とすることが好
ましい。
【0026】Al:0.01〜0.10% Alは、鋼を脱酸する作用がある。しかし、その含有量
が0.01%未満では十分な効果が得られない。一方、
0.10%を超えると破壊靱性の低下をきたすととも
に、鋼材の清浄性も低下してしまう。したがって、Al
の含有量を0.01〜0.10%とした。なお、Alの
含有量は0.01〜0.05%とすることが望ましい。
【0027】本発明においては、不純物元素としてのP
及びSの含有量を下記のとおりに制限する。
【0028】P:0.02%以下 Pは母材及び溶接熱影響部の靱性を損なうばかりでな
く、溶接性をも低下させてしまう。特に、その含有量が
0.02%を超えると、靱性と溶接性の低下が著しくな
る。したがって、Pの含有量を0.02%以下とした。
【0029】S:0.02%以下 Sは母材及び溶接熱影響部の靱性を損なうばかりでな
く、溶接性をも低下させてしまう。特に、その含有量が
0.02%を超えると、靱性と溶接性の低下が著しくな
る。したがって、Sの含有量を0.02%以下とした。
【0030】(B)鋼材の組織 本発明は、建築用鋼材の組織がフェライト・ベイナイト
2相組織で、且つ、ベイナイト相の硬さがHv硬さ22
0以上及びベイナイト相の割合が55〜95%を満足す
る点に最大の特徴を有している。これは、硬さ(強度)
が高いベイナイト相と硬さ(強度)が相対的に低いフェ
ライト相とを混在させて、繰返し予歪みを受けた後にも
優れた靱性、つまり、後述の繰返し予歪み履歴を付与し
た場合の先端半径0.2mmの曲率を持つVノッチ付き
シャルピー試験片を用いた衝撃試験で20℃未満の破面
遷移温度を確保し、耐震性を維持させるためである。な
お、組織の割合が顕微鏡観察したときの組織割合、つま
り、面積率のことをいうことは既に述べたとおりであ
る。
【0031】ベイナイト相の硬さがHv硬さで220を
下回る場合には、繰返し予歪みによって転位が再配列さ
れることがない。したがって、繰返し予歪みを受けたベ
イナイト相の硬さは上昇するので靱性が低下し、所望の
耐震性が得られない。
【0032】フェライト・ベイナイト2相組織におい
て、Hv硬さ220以上のベイナイト相の割合が55%
未満の場合には、フェライト相の割合が多くなりすぎて
フェライト相の硬さ上昇により繰返し予歪み後に鋼材全
体の硬さが著しく上昇し、その結果として靱性が低下し
てしまう。一方、Hv硬さ220以上のベイナイト相の
割合が95%を超える場合には、ベイナイト相の割合が
多くなりすぎるので強度レベルが著しく高くなり、一般
建材としての取り扱いができなくなってしまう。したが
って、建築用鋼材の組織をフェライト・ベイナイト2相
組織で、且つ、ベイナイト相の硬さがHv硬さ220以
上及びベイナイト相の割合が55〜95%を満足するよ
うに規定した。
【0033】上記の(A)と(B)の規定を満足させる
ことによって、(1)の発明に係る耐震性に優れた建築
用鋼材が得られる。
【0034】(C)鋼材の製造条件 (C−1)鋼片の加熱温度 鋼片の加熱温度は1000〜1150℃とするのがよ
い。加熱温度が1000℃未満では、鋼材の変形抵抗が
大きくなって圧延加工が困難となる場合がある。一方、
加熱温度が1150℃を超えると、オーステナイト結晶
粒が粗大化して靱性が低下する場合がある。したがっ
て、鋼片の加熱温度は1000〜1150℃とするのが
よい。
【0035】(C−2)熱間圧延 鋼片を前記(C−1)項に記載の温度に加熱した後の熱
間圧延は、圧延仕上げ温度が820℃以上で、圧下率が
50%以上となるように行うのがよい。熱間圧延の仕上
げ温度が820℃を下回ると適切な冷却開始温度を設定
できなくなる場合がある。又、圧下率が50%を下回る
と結晶粒が粗大となって靱性を確保できなくなることが
ある。したがって、熱間圧延は、圧延仕上げ温度が82
0℃以上で、圧下率が50%以上となるように行うのが
よい。
【0036】(C−3)熱間圧延後の冷却 熱間圧延後は、860〜740℃の温度域の温度Tまで
3.0℃/秒以下の冷却速度で冷却し、次いで、温度T
から5〜20℃/秒の冷却速度で550℃以下の温度ま
で冷却するのがよい。
【0037】上記の温度Tが860℃を超えると、ベイ
ナイト相の割合が多くなって繰返し予歪みを受けた後に
所望の靱性が得られず、したがって、耐震性が維持でき
ない場合がある。又、温度Tが740℃を下回ると、ベ
イナイト相における転位密度が小さくなって繰返し予歪
みを受けて転位が再配列されても硬さ低下が小さく、し
たがって、所望の靱性が得られないので耐震性が維持で
きない場合がある。
【0038】熱間圧延後に温度Tまで冷却する際の冷却
速度が3.0℃/秒を超えると、次に温度Tから規定の
条件で冷却しても(B)項で述べた所望の組織が得られ
ず、したがって、所望の耐震性が得られない場合があ
る。
【0039】温度Tからの冷却に際し、冷却速度が5℃
/秒未満になると(B)項で述べた所望の組織が得られ
ず、したがって、所望の耐震性が得られない場合があ
る。同様に、冷却速度が20℃/秒を超えても(B)項
で述べた所望の組織が得られず、したがって、所望の耐
震性が得られない場合がある。更に、冷却を停止する温
度が550℃を上回る場合にも、(B)項で述べた所望
の組織が得られず、したがって、所望の耐震性が得られ
ないことがある。
【0040】このため、熱間圧延後は、860〜740
℃の温度域の温度Tまで3.0℃/秒以下の冷却速度で
冷却し、次いで、温度Tから5〜20℃/秒の冷却速度
で550℃以下の温度まで冷却するのがよい。
【0041】以下、実施例により本発明を詳しく説明す
る。
【0042】
【実施例】(実施例1)C:0.06%、Si:0.4
5%、Mn:1.5%、Cr:0.17%、Nb:0.
025%、Ti:0.015%、Al:0.035%を
含有し、残部はFe及び不可避不純物からなり、不純物
中のPは0.003%、Sは0.002%である本発明
の規定を満足する鋼を通常の方法で溶製し、その後鋼片
とした。
【0043】次いで、この鋼片を1100℃に加熱し、
圧延仕上げ温度が860℃で、圧下率が70%となるよ
うに熱間圧延して板厚25mmに仕上げ、熱間圧延仕上
げ後、2.0℃/秒の冷却速度で860〜700℃の種
々の温度まで冷却し、更にその後、前記温度から15℃
/秒の冷却速度で600〜50℃の種々の温度まで冷却
した。
【0044】このようにして得た厚さ25mmの各鋼板
の「t/4」部位(tは板厚)から先端半径0.2mm
の曲率を持つVノッチ付きシャルピー試験片を採取して
衝撃試験を行い、破面遷移温度を調査した。組織調査用
の試験片も採取し、鏡面研磨後ナイタルで腐食して倍率
500倍の光学顕微鏡で観察するとともに、ベイナイト
相のHv硬さ(荷重10gf)を測定した。
【0045】更に、上記厚さ25mmの各鋼板から元厚
の板状引張試験片を採取し、電気油圧式閉ループ汎用機
械試験機を用いて、先ず残留歪みが5%となる引張荷重
を与えた。なお、残留歪み量は5mm間隔で導入したけ
がき線で測定した。次いで、同試験機を用いて残留歪み
が−5%となるような圧縮荷重を与え、更にその後、引
張残留歪み5%、圧縮残留歪み−5%、残留歪み0%と
なるような予歪み履歴を与えた。
【0046】上記のプロセスで予歪みを供試材に導入し
た後、予歪み方向に破壊時の負荷がかかる方向から、つ
まり、板状引張試験片の長手方向をシャルピー試験片の
長手方向と一致させて、元厚の板状引張試験片の「1/
4」部位から先端半径0.2mmの曲率を持つVノッチ
付きシャルピー試験片を採取して衝撃試験を行い、繰返
し予歪みが付与された状態における破面遷移温度を調査
した。
【0047】表1〜表4に繰返し予歪みを受けていない
初期状態(つまり、熱間圧延後冷却した状態)における
調査結果及び繰返し予歪みを付加した後の状態における
調査結果をまとめて示す。
【0048】なお、表1〜表4の靱性欄におけるマーク
は、繰返し予歪みを受けていない初期状態の場合、◎は
破面遷移温度が−70℃未満、○は破面遷移温度が−7
0℃以上で−40℃未満、△は破面遷移温度が−40℃
以上で−10℃未満であることを示す。一方、繰返し予
歪みを付加した後の状態の場合、◎は破面遷移温度が−
40℃未満、○は破面遷移温度が−40℃以上で−10
℃未満、△は破面遷移温度が−10℃以上で20℃未
満、×は破面遷移温度が20℃以上であることを示す。
【0049】又、表1〜表4の組織欄における「相」の
記号は、Bがベイナイト相、Fがフェライト相、Mがマ
ルテンサイト相を示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】表1〜4から、本発明で規定する条件を満
足する鋼板は、これに繰返し予歪みを付与しても破面遷
移温度は20℃を下回り靱性に優れていることが明らか
で、したがって、耐震性を維持することができる。
【0055】(実施例2)表5及び表6に示す化学組成
を有する鋼を通常の方法で溶製した後鋳造して鋼片とし
た。表5、表6における鋼1〜4、鋼6〜8、鋼10〜
12、鋼14,鋼15及び鋼17〜19は化学組成が本
発明で規定する範囲内にある本発明例、鋼5,鋼9、鋼
13、鋼16及び鋼20は成分のいずれかが本発明で規
定する含有量の範囲から外れた比較例である。
【0056】次いで、前記の各鋼片を表7〜9に示す温
度に加熱し、圧延仕上げ温度を860℃、圧下率を表7
〜9に示す条件として熱間圧延し、板厚25〜80mm
に仕上げた。熱間圧延仕上げ後は、表7〜9に記載の種
々の条件で冷却した。
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】
【表7】
【0060】
【表8】
【0061】
【表9】
【0062】このようにして得た厚さ25〜80mmの
各鋼板の「t/4」部位(tは板厚)から先端半径0.
2mmの曲率を持つVノッチ付きシャルピー試験片を採
取して衝撃試験を行い、破面遷移温度を調査した。組織
調査用の試験片も採取し、鏡面研磨後ナイタルで腐食し
て倍率500倍の光学顕微鏡で観察するとともに、ベイ
ナイト相のHv硬さ(荷重10gf)を測定した。
【0063】更に、上記厚さ25〜80mmの各鋼板か
ら元厚の板状引張試験片を採取し、電気油圧式閉ループ
汎用機械試験機を用いて、先ず残留歪みが5%となる引
張荷重を与えた。なお、残留歪み量は5mm間隔で導入
したけがき線で測定した。次いで、同試験機を用いて残
留歪みが−5%となるような圧縮荷重を与え、更にその
後、引張残留歪み5%、圧縮残留歪み−5%、残留歪み
0%となるような予歪み履歴を与えた。
【0064】上記のプロセスで予歪みを供試材に導入し
た後、予歪み方向に破壊時の負荷がかかる方向から、つ
まり、板状引張試験片の長手方向をシャルピー試験片の
長手方向と一致させて、元厚の板状引張試験片の「1/
4」部位から先端半径0.2mmの曲率を持つVノッチ
付きシャルピー試験片を採取して衝撃試験を行い、繰返
し予歪みが付与された状態における破面遷移温度を調査
した。
【0065】表7〜9に上記の各種調査結果を併せて示
す。
【0066】なお、表7〜9の靱性欄におけるマーク
は、繰返し予歪みを受けていない初期状態の場合、◎は
破面遷移温度が−70℃未満、○は破面遷移温度が−7
0℃以上で−40℃未満、△は破面遷移温度が−40℃
以上で−10℃未満、×は破面遷移温度が−10℃以上
であることを示す。一方、繰返し予歪みを付加した後の
状態の場合、◎は破面遷移温度が−40℃未満、○は破
面遷移温度が−40℃以上で−10℃未満、△は破面遷
移温度が−10℃以上で20℃未満、×は破面遷移温度
が20℃以上であることを示す。
【0067】又、表7〜9の組織欄における「相」の記
号は、Bがベイナイト相、Fがフェライト相を示す。
【0068】表7〜9から、本発明で規定する条件を満
足する鋼板は、これに繰返し予歪みを付与しても破面遷
移温度は20℃を下回り靱性に優れていることが明らか
で、したがって、耐震性を維持することができる。
【0069】
【発明の効果】本発明の鋼材は、繰返し予歪みを受けた
後においても優れた靱性を有するので、建築・土木分野
などの建築用鋼材として利用することができる。この建
築用鋼材は本発明の方法によって比較的容易に製造する
ことができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C:0.02〜0.15%、S
    i:0.2〜0.7%、Mn:0.8〜2.0%、C
    r:0.05〜0.80%、Nb:0.01〜0.08
    %、Ti:0.005〜0.040%、Al:0.01
    〜0.10%を含有し、残部はFe及び不可避不純物か
    らなり、不純物中のPは0.02%以下、Sは0.02
    %以下の化学組成で、更に、組織がフェライト・ベイナ
    イト2相組織であって、且つ、ベイナイト相の硬さがビ
    ッカース硬さ220以上及びベイナイト相の割合が55
    〜95%を満足する耐震性に優れた建築用鋼材。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の化学組成を有する鋼片
    を、1000〜1150℃に加熱し、圧延仕上げ温度が
    820℃以上で圧下率が50%以上となるように熱間圧
    延し、熱間圧延終了後は860〜740℃の温度域の温
    度Tまで3.0℃/秒以下の冷却速度で冷却し、次い
    で、温度Tから5〜20℃/秒の冷却速度で550℃以
    下の温度まで冷却することを特徴とする耐震性に優れた
    建築用鋼材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1354973A1 (en) * 2002-04-09 2003-10-22 Nippon Steel Corporation High-strength steel sheet and high-strength pipe excellent in deformability and method for producing the same
CN113025898A (zh) * 2021-02-26 2021-06-25 重庆钢铁股份有限公司 一种低锰低硅微钛合金化q355b结构钢板及其生产方法

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