JP2001073036A - マルテンサイト系ステンレス熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

マルテンサイト系ステンレス熱延鋼板の製造方法

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JP2001073036A
JP2001073036A JP25312899A JP25312899A JP2001073036A JP 2001073036 A JP2001073036 A JP 2001073036A JP 25312899 A JP25312899 A JP 25312899A JP 25312899 A JP25312899 A JP 25312899A JP 2001073036 A JP2001073036 A JP 2001073036A
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martensitic stainless
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JP25312899A
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Katsumi Nakajima
勝己 中島
Hideki Matsuoka
秀樹 松岡
Yasushi Tanaka
靖 田中
Tetsuo Sakiyama
哲雄 崎山
Toshio Takano
俊夫 高野
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】この発明は、湿潤炭酸ガス等を含む環境におけ
る耐食性、および溶接熱影響部の硬度、靭性などの溶接
性に優れると共に、溶接管素材用として優れた造管性を
有するマルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法を提供
する。 【解決手段】重量%で、C:0.005%超え、0.0
3%以下、N:0.008%超え、0.03%以下、C
r:10%以上、14%以下、Ni:4%以下、Mo:
0.5%以下、Ti:0.1%以下を含有する鋼片を熱
間圧延後、(1)式を満足する巻取温度(T℃)で熱延
コイルとし、更に必要とする造管性に応じて焼戻し、2
相域加熱を単独または組合せて行う工程、又は焼戻し
後、調質圧延を行う工程を実施する。 700≦T<−23t+1013…(1) 但し、t:熱延仕上げ板厚(mm)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石油・天然ガス用
油井管及びラインパイプ用溶接管の素材として好適なマ
ルテンサイト系ステンレス熱延鋼板の製造方法に関し、
特に湿潤炭酸ガスを含む環境中での耐食性、および溶接
性に優れたマルテンサイト系ステンレス熱延鋼板の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、輸送に際して、鋼管の防食対策と
して腐食抑制剤が必要とされる湿潤な炭酸ガスや硫化水
素を含有する石油や天然ガスが増加する傾向にあり、腐
食抑制剤の回収処理費用、海洋汚染等の問題から、耐食
材料に対するニーズが強まってきている。従来、炭酸ガ
スを多く含有する石油や天然ガス用の耐食材料として、
AISI420鋼に代表される0.2%程度のCと12
〜13%程度のCrを含有するマルテンサイト系ステン
レス鋼が広く使用されてきた。
【0003】しかし、この鋼種は、強度に比し、比較的
コストに優れるものの、C含有量が多いため、溶接熱影
響部が硬化し、溶接割れ防止の予後熱温度が高く、ま
た、溶接熱影響部の靭性も非常に悪いという欠点を有し
ているため、これらの欠点あるいはさらに耐食性を改善
する目的で、C、またはC,Nを極力低減した低Cマル
テンサイト鋼が開発されてきた。
【0004】低Cマルテンサイト鋼にはδフェライト晶
出により熱間加工性が劣化する傾向があるものの、湿潤
炭酸ガスを含む環境中における耐食鋼として幅広く使用
されている。例えば、継目無鋼管を対象に特開平5−2
63138号、特開平6−41638号などが開示さ
れ、厚板を対象に特開平1−127620号、特開平3
−188215号、特開平3−188240号などが開
示され、また電縫鋼管を対象に特開平4−191319
号、特開平4−191320号、および特開平8−36
42号などが開示されている。
【0005】しかし、これらに開示されている製造方法
は主に厚肉材、または厚肉材による鋼管を対象としたも
のであり、井戸元から脱水、脱珪などの一次処理を行う
プラットフォームまでのフローライン用として潜在需要
の大きな薄肉鋼管を対象としたものではなく、薄肉鋼管
を製造することは必ずしも容易ではないのが現状であ
る。
【0006】例えば、継目無管自体、薄肉化に限界があ
り、また、特開平4−191319号、特開平4−19
1320号、および特開平8−3642号などによる電
縫鋼管の製造方法では電縫溶接部の熱処理方法が詳しく
紹介されているが、素材の製造条件、及び造管性に関す
る記載は少ない。
【0007】尚、溶接部の硬度を低下する目的でC,N
を50ppm,80ppm以下に低減する技術が特開平
9−41092号に開示されているが、製鋼コストが非
常に高く、強度が低下するという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、以上の点
に鑑みなされたもので、その目的は、湿潤炭酸ガスを含
む環境に対する耐食性、溶接性、および造管性に優れた
薄肉の溶接管素材用マルテンサイト系ステンレス熱延鋼
板の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成するため、成分組成、熱間圧延条件、および巻取
り後の熱処理について検討をおこない、以下の発明を完
成させた。
【0010】1. 重量%で、C:0.005%超え、
0.03%以下、N:0.008%超え、0.03%以
下,Si:1%以下、Mn:0.3%未満、P:0.0
4%以下、S:0.003%以下、Cr:10%以上、
14%以下、Ni:4%以下、Mo:0.5%以下、T
i:0.1%以下を含有する鋼片を1100℃以上12
50℃以下に加熱後、仕上温度850℃以上で熱間圧延
を行い、(1)式を満たす巻取温度:T(℃)にて、巻
取することを特徴とするマルテンサイト系ステンレス熱
延鋼板の製造方法。
【0011】 700≦T<−23t+1013 (1) 但し、t:熱延仕上げ板厚(mm) 2.1記載の製造方法により巻取り後、該熱延コイル
を、550℃以上、(Ac1+50℃)以下に加熱後冷却
するマルテンサイト系ステンレス熱延鋼板の製造方法。
【0012】3.1記載の製造方法により巻取り後、該
熱延コイルを、Ac1以上、Ac3以下に加熱後150℃
以下まで冷却し、その後、550℃以上、(Ac1+50
℃)以下に加熱後冷却するマルテンサイト系ステンレス
熱延鋼板の製造方法。
【0013】4.1記載の製造方法により巻取り後、該
熱延コイルを、550℃以上、(Ac1+50℃)以下に
加熱後冷却し、その後、調質圧延を行うマルテンサイト
系ステンレス熱延鋼板の製造方法。
【0014】5.1記載の組成の鋼に、重量%でNb、
Vの1種または2種の合計で含有量0.3%以下をさら
に含有する1乃至4のそれぞれに記載のマルテンサイト
系ステンレス熱延鋼板の製造方法。
【0015】6.1記載の組成の鋼に、重量%で希土類
元素:0.05%以下、Ca:0.03%以下の1種ま
たは2種をさらに含有する1乃至5のそれぞれに記載の
マルテンサイト系ステンレス熱延鋼板の製造方法。
【0016】
【発明の実施の形態】成分組成、製造条件について説明
する。
【0017】1.成分組成(%は重量%を意味する。) C:0.005%超え、0.03%以下 Cは、Crと炭化物を形成し、耐食性を低下させ、さら
に溶接熱影響部を大きく硬化させるので、0.03%以
下とする。一方、製鋼コストの著しい上昇を抑制し、マ
ルテンサイト主体の組織を得、鋼管として必要な強度を
確保するため、0.005%を超えて添加する。
【0018】N:0.008%超え、0.03%以下 Nは、溶接部の靭性を低下させるとともに、溶接熱影響
部を大きく硬化させるので、0.03%以下とする。一
方、製鋼コストの著しい上昇を抑制し、マルテンサイト
主体の組織を得、鋼管として必要な強度を確保するた
め、0.008%を超えて添加する。
【0019】Si:1%以下 Siは、脱酸および強度向上を目的に添加するが、1%
を超えて添加しても、その効果が飽和し、衝撃特性が劣
化するので、上限を1%とする。
【0020】Mn:0.3%未満 Mnは、脱酸および強度向上を目的に添加するが、0.
3%を超えて添加した場合、過度の強度上昇および硫化
物の形成による耐応力腐食割れ性の低下をもたらすの
で、0.3%未満とする。
【0021】P:0.04%以下 Pは、熱間加工性、衝撃特性、および耐応力腐食割れ性
を劣化させるため、0.04%を上限とし、製造コスト
上、許される範囲で低減する。
【0022】S:0.003%以下 Sは、熱間加工性、衝撃特性、および耐応力腐食割れ性
を劣化させるため、0.003%を上限とし、製造コス
ト上、許される範囲で低減する。
【0023】Cr:10%以上、14%以下 Crは、耐食性を確保するため、10%以上添加する。
一方、14%を超えて添加すると、多量のオーステナイ
ト生成元素により、マルテンサイト主体の金属組織とし
なければならず、製造コスト上、望ましくない。また、
強度が上昇し、造管性が劣化するため、14%以下とす
る。
【0024】Ni:4%以下 Niは、C量低減によりオーステナイト生成元素量が減
少するのを補うとともに、衝撃特性および耐食性を向上
させるのに不可欠な元素である。しかし、添加量が4%
を超えるとそれらの効果が飽和し、溶接熱影響部の硬度
を上昇させ、靭性劣化を招くため、上限を4%とする。
耐食性や衝撃靭性等の特性のバランスを向上させるた
め、好ましくは2%以上、3.5%以下、より好ましく
は2.5%以上、3.5%以下を添加する。
【0025】Mo:0.5%以下 Moは未添加の場合、溶接部への後熱処理により、粒界
割れが生じ、靭性が著しく劣化するため、溶接部の靭性
確保を目的に添加する。しかし、過剰に添加するとその
効果が飽和し、強度が過度に上昇するため、上限を0.
5%とする。
【0026】Ti:0.1%以下 Tiは熱延時、または焼戻し熱処理時、炭窒化物を生成
し、固溶C,Nを固定する軟質化に有効な元素である
が、過剰に添加すると溶接部の靭性が著しく劣化するた
め、0.1%を上限とする。母材の軟質化および溶接部
の靭性のバランスをさらに向上させる場合、0.005
%以上、0.05%以下、より好ましくは0.01%以
上、0.05%以下、更に好ましくは0.03%以上、
0.05%以下の範囲で添加するのが好ましい。
【0027】本発明は以上の元素を含有していれば良
く、特に規定していない元素については、発明の効果を
妨げない範囲内で含有していても支障ない。本発明の効
果を更に改善する場合、Nb,V、Ca又は希土類元素
を単独又は複数添加する。
【0028】Nb,V:1種または2種の合計で0.3
%以下 NbおよびVは熱延時、または焼戻し熱処理時、炭窒化
物を生成し、固溶C,Nを固定するため軟質化に有効な
元素であり、添加する。一方、過剰に添加すると溶接部
の靭性が著しく劣化するため、合計で0.3%を上限と
する。
【0029】Ca,希土類元素:Caおよび希土類元素
は、熱間加工性を向上させ、衝撃特性を改善するが、過
剰に添加した場合、粗大な非金属介在物を生成し、それ
らの効果および耐食性を損なうので、Caは0.03
%、希土類元素は0.05%を上限とし、1種又は2種
を添加する。本発明における希土類元素は、原子番号5
7〜71番、89〜103番の元素およびY:イットリ
ウムを指すものとする。
【0030】2.製造条件 鋼片加熱温度:1100℃以上、1250℃以下 熱間圧延における熱間加工性を確保するため、鋼片を中
心部まで均一に加熱する。加熱温度は低温の場合、熱間
圧延における変形抵抗が大きくなり、圧延負荷が過大と
なるので1100℃以上とし、酸化スケール生成による
製造歩留の低下、δフェライト晶出による熱間加工性の
劣化を抑制するため1250℃以下とする。
【0031】熱延仕上温度:850℃以上 熱延鋼板の組織をマルテンサイト単相組織とし、再結晶
による粒成長の促進により軟質化を図るため、熱間圧延
仕上げ温度をオーステナイト単相域である850℃以上
とする。尚、高温の仕上げ温度の確保、均一な温度分布
の確保等を目的に仕上げ圧延前に、粗圧延後の鋼片をオ
ンラインで再加熱あるいは粗圧延後の鋼片をコイル状に
巻取り、これを箱又は箱状の炉の中に保持して復熱ある
いは加熱により温度上昇・温度分布を平滑化せしめた後
にリコイルして仕上げ圧延ラインに戻す等の処理をして
もよい。
【0032】巻取温度:700℃以上、−23*t+1
013未満(但し、tは熱延仕上げ板厚mm) 本発明者らの詳細な実験によれば、マルテンサイト系ス
テンレス熱延鋼板の強度を決定する最も重要なパラメー
タの一つが巻取温度であり、特に、焼戻熱処理後の強度
は巻取温度、板厚に大きく依存することが判明した。
【0033】本発明では巻取温度は、母材を軟質化する
ため、700℃以上の高温巻取とするが、過度の高温巻
取は、析出物の粗大化をもたらし、靭性や耐応力腐食割
れ性を著しく損なうことが、電子顕微鏡による詳細な観
察から明らかとなったので、熱延仕上げ板厚:t(m
m)をパラメータとして、−23*t+1013未満と
する。
【0034】本発明では巻取後の状態でも軟質であり、
薄板の溶接管素材として造管性に優れることを特徴とす
るが、造管ミルの性能等の制約から、さらに軟質化する
必要がある場合、焼戻熱処理、または二段熱処理を行
う。
【0035】焼戻熱処理:550℃以上(Ac1+50
℃)以下 熱延コイルを、550℃以上、好ましくは570℃以上
に加熱すると、十分焼戻しされ、鋼板が軟質化し、靭性
も良好となる。一方、(Ac1+50℃)を超えて加熱す
ると、冷却後マルテンサイトを生成する再オーステナイ
ト化体積率が増加し、強度が上昇するため、焼戻熱処理
は550℃以上(Ac1+50℃)以下、好ましくは57
0℃以上(Ac1+50℃)以下とする。
【0036】上記温度範囲内では高温になるに従い、焼
戻しマルテンサイトと再オーステナイト化されて、冷却
時新たにマルテンサイトになる部分(以下、フレッシュ
マルテンサイト)のバランスが良好となり、軟質化す
る。(Ac1+50℃)以下で焼戻した場合、再オーステ
ナイト化されて生成したフレッシュマルテンサイトの体
積率は僅かで、破壊靭性値を劣化させたり、応力腐食割
れ感受性を高めることはない。
【0037】本発明では、さらに、造管性を改善させる
目的で、調質圧延を行うことが出来る。焼戻熱処理まま
の熱延コイルは降伏点伸びに起因するストレッチャース
トレインと呼ばれるしわ状の欠陥を生じ、造管時の製造
を困難にし、製造も安定しない場合がある。
【0038】そのような場合、調質圧延を行う。過度の
調質圧延は強度を大きく上昇させ、造管性を損ねるの
で、高々数%程度の調質圧延とする。焼戻熱処理が55
0℃以上(Ac1+50℃)以下の場合、調質圧延により
降伏点伸びを完全に消失させることが可能となり、造管
性は著しく向上する。
【0039】二段熱処理 さらに軟質化する必要がある場合、巻取り後の熱延コイ
ルに2相域加熱と焼戻し熱処理を組合わせた二段熱処理
を行う。一段目熱処理としてAc1以上Ac3以下に加熱
後、150℃以下まで冷却し、その後、二段目として5
50℃以上(Ac1+50℃)以下に加熱後冷却する二段
熱処理を行う。
【0040】一段目の熱処理は、巻取後のマルテンサイ
ト組織を高温での焼戻しにより、非常に軟質化した焼戻
しマルテンサイト組織とするため、Ac1以上Ac3以下
に加熱する。この場合、一部が再オーステナイト化し、
フレッシュマルテンサイトとなるため、二段目を前述し
た焼戻し熱処理とする。尚、一段目の熱処理において再
オーステナイト化された部分のマルテンサイト変態を完
了させるため、熱処理後、コイルを150℃以下まで冷
却した後に二段目の熱処理を実施する必要がある。
【0041】
【実施例】実施例1.一段熱処理・二段熱処理の場合 表1に示す成分の鋼を溶製後、厚さ3.2〜12.8m
mの熱延コイルを製造した。これらの熱延コイルから、
ラインパイプ敷設時の現地円周溶接を想定した条件で、
溶接継手を作成し、衝撃特性について調査した。母材に
関しては、衝撃特性、硬度、および腐食性を調査した。
【0042】衝撃試験は母材および溶接継手からJIS
4号衝撃試験片(ハーフサイズ、但し、板厚が5mm未
満の場合には、原厚まま)を採取し、試験を行った。
尚、溶接継手の切欠位置は溶接熱影響部とした。硬度は
荷重10kgのビッカース硬さ試験を行った。
【0043】腐食試験は湿潤炭酸ガス環境における腐食
特性を厚さ3mm、巾15mm、長さ50mmの試験片
を用い、試験温度120℃のオートクレープ中で炭酸ガ
ス分圧40気圧の条件で3%NaCl水溶液中に30日
間浸漬して、試験前後の重量変化から腐食速度を算出し
た。腐食速度の単位はmm/yで表示した。
【0044】製造条件及び得られた鋼板の特性を表4に
示す。硬さ試験結果はビッカース硬さで260未満を○
印、260以上280未満を△印、280以上を×印で
それぞれ表示する。
【0045】腐食試験結果は腐食速度が0.1mm/y
未満を○印、0.1mm/y以上0.3mm/y未満を
×印、0.3mm/y以上を××印でそれぞれ表示す
る。衝撃試験結果は遷移温度がー40℃以下を○印、遷
移温度がー40℃を超えてー20℃以下を×印、遷移温
度がー20℃超えを××印でそれぞれ表示する。
【0046】表1の供試鋼の化学組成において表示しな
い残部は実質的にFeからなる。No.1〜13は本発
明の規定を満足する成分組成で、No.14〜17は何
れかの元素が本発明範囲外の比較鋼となっている。表2
の試験結果(表2の試験結果のNo.は表1に示す同じ
No.の供試鋼による試験結果であることを示す。)に
おいてNo.1〜9は成分組成、製造条件ともに本発明
の範囲内の実施例で母材の硬度(造管性)、母材の耐食
性、及び母材、溶接熱影響部の衝撃靭性に優れている。
No.10〜17は成分組成、製造条件の何れかまたは
両者が本発明の範囲外の比較例であり、鋼板の特性が劣
っている。
【0047】実施例2 焼戻し熱処理+調質圧延の場合 表3に示す成分の鋼を溶製後、厚さ3.5〜12.0m
mの熱延コイルを製造した。これらの熱延コイルから、
ラインパイプ敷設時の現地円周溶接を想定した条件で、
溶接継手を作成し、衝撃特性について調査した。母材に
関しては、衝撃特性、硬度、および腐食性を調査した。
【0048】衝撃試験は母材および溶接継手からJIS
4号衝撃試験片(ハーフサイズ、但し、板厚が5mm未
満の場合には、原厚まま)を採取し、試験を行った。
尚、溶接継手の切欠位置は溶接熱影響部とした。硬度は
荷重10kgのビッカース硬さ試験を行った。
【0049】腐食試験は湿潤炭酸ガス環境における腐食
特性を厚さ3mm、巾15mm、長さ50mmの試験片
を用い、試験温度120℃のオートクレープ中で炭酸ガ
ス分圧40気圧の条件で3%NaCl水溶液中に30日
間浸漬して、試験前後の重量変化から腐食速度を算出し
た。腐食速度の単位はmm/yで表示した。
【0050】製造条件及び熱延材の特性を表2に示す。
硬さ試験結果はビッカース硬さで260未満を○印、2
60以上280未満を△印、280以上を×印でそれぞ
れ表示する。
【0051】腐食試験結果は腐食速度が0.1mm/y
未満を○印、0.1mm/y以上0.3mm/y未満を
×印、0.3mm/y以上を××印でそれぞれ表示す
る。衝撃試験結果は遷移温度がー40℃以下を○印、遷
移温度がー40℃を超えてー20℃以下を×印、遷移温
度がー20℃超えを××印でそれぞれ表示する。
【0052】表3の供試鋼の化学組成において表示しな
い残部は実質的にFeからなる。No.1〜14は本発
明の規定を満足する成分組成で、No.15〜18は何
れかの元素が本発明範囲外の比較鋼となっている。表4
の試験結果(表4の試験結果のNo.は表3に示す同じ
No.の供試鋼による試験結果であることを示す。)に
おいてNo.1〜10は成分組成、製造条件ともに本発
明の範囲内の実施例で母材の硬度(造管性)、母材の耐
食性、及び母材、溶接熱影響部の衝撃靭性に優れてい
る。
【0053】No.11〜18は成分組成、製造条件の
何れかまたは両者が本発明の範囲外の比較例であり、鋼
板の特性が劣っている。No.11は調質圧延を実施し
ない場合の実施例で、降伏点伸びが生じ、造管性に劣っ
ている。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、湿潤炭酸
ガスや硫化水素を含む環境における耐食性、溶接熱影響
部の硬度、靭性などの溶接性に優れると共に、溶接管素
材用として優れた造管性を有するマルテンサイト系ステ
ンレス鋼の製造が可能となり、産業上、極めて有意義で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 靖 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 崎山 哲雄 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 高野 俊夫 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K032 AA04 AA08 AA13 AA16 AA19 AA21 AA22 AA23 AA24 AA27 AA29 AA31 AA35 AA36 AA40 BA01 CA02 CA03 CC04 CF01 CF02 CF03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.005%超え、0.
    03%以下、N:0.008%超え、0.03%以下,
    Si:1%以下、Mn:0.3%未満、P:0.04%
    以下、S:0.003%以下、Cr:10%以上、14
    %以下、Ni:4%以下、Mo:0.5%以下、Ti:
    0.1%以下を含有する鋼片を1100℃以上1250
    ℃以下に加熱後、仕上温度850℃以上で熱間圧延を行
    い、(1)式を満たす巻取温度:T(℃)にて、巻取す
    ることを特徴とするマルテンサイト系ステンレス熱延鋼
    板の製造方法。 700≦T<−23t+1013 (1) 但し、t:熱延仕上げ板厚(mm)
  2. 【請求項2】 請求項1記載の製造方法により巻取り
    後、該熱延コイルを、550℃以上、(Ac1+50℃)
    以下に加熱後冷却するマルテンサイト系ステンレス熱延
    鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の製造方法により巻取り
    後、該熱延コイルを、Ac1以上、Ac3以下に加熱後1
    50℃以下まで冷却し、その後、550℃以上、(Ac1
    +50℃)以下に加熱後冷却するマルテンサイト系ステ
    ンレス熱延鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の製造方法により巻取り
    後、該熱延コイルを、550℃以上、(Ac1+50℃)
    以下に加熱後冷却し、その後、調質圧延を行うマルテン
    サイト系ステンレス熱延鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の組成の鋼に、重量%でN
    b、Vの1種または2種の合計で含有量0.3%以下を
    さらに含有する請求項1乃至4のそれぞれに記載のマル
    テンサイト系ステンレス熱延鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の組成の鋼に、重量%で希
    土類元素:0.05%以下、Ca:0.03%以下の1
    種または2種をさらに含有する請求項1乃至5のそれぞ
    れに記載のマルテンサイト系ステンレス熱延鋼板の製造
    方法。
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