JP2001072985A - 酸化チタンと導電性ポリマーの複合材料を用いた空中窒素の固定化方法 - Google Patents

酸化チタンと導電性ポリマーの複合材料を用いた空中窒素の固定化方法

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JP2001072985A JP28859799A JP28859799A JP2001072985A JP 2001072985 A JP2001072985 A JP 2001072985A JP 28859799 A JP28859799 A JP 28859799A JP 28859799 A JP28859799 A JP 28859799A JP 2001072985 A JP2001072985 A JP 2001072985A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高エネルキー消費プロセスであるハーバー・
ボッシュ法に代わり、空中窒素の人工固定を常温常圧下
で光エネルギーを利用して行うとともに、固体窒素化合
物として固定する。 【解決手段】 酸化チタンと導電性ポリマーを複合化
し、光照射を行うと、酸化チタンの空中窒素固定化能力
と導電性ポリマーのドーピング・脱ドーピング能力が複
合化され、空中窒素が固体窒素化合物もしくは固体燃料
として固定化される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は空中窒素の固定化方
法に関し、詳しくは酸化チタンと導電性ポリマーを複合
化し、その複合材料に光照射を講じることにより、常温
常圧下で効率よく空気中の窒素ガスを固形燃料もしくは
固形窒素化合物質に変換する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】地球上の人口が爆発的に増大している現
在、生物体内にある1/3の窒素は合成アンモニアから
生産される窒素化合物に支えられている。しかしなが
ら、空中窒素から合成アンモニアを生産するハーバー・
ボッシュ法は高温高圧を必要とするエネルギー浪費プロ
セスであり、さらにその原料は石油の分解で得られる水
素ガスを利用している。石油が枯渇する将来人口を支え
るためには、ハーバー法の代替プロセスの開発が急務で
あり、国際的な問題となっていた。
【0003】このような代替プロセスとしては、空中窒
素を有機金属錯体に固定化し、ついで化学還元を行って
アンモニアガスを合成する方法(G.L.Leigh,
科学(Science)誌,第279巻,506−50
7頁,1998年参照)と、酸化チタンに光を照射し、
その表面で空中窒素をアンモニアガスに変換する方法
(G.N.Schrauzer and T.D.Gu
th,アメリカ化学会(Journal of the
American Chemical Societ
y)誌,第99巻22号,7189−7193頁,19
77年)などがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
有機金属錯体を用いた方法では、錯体は一度使用すると
再利用ができず実用的に向かないという問題点があっ
た。また、後者の方法は微量のアンモニアガスしか生産
せず、その量が空気中に存在するアンモニアガスの天然
存在量と同程度なので、反応の進行そのものが現在でも
なお疑問視されている。
【0005】そこで本発明者は、上記方法の欠点を解消
して、常温常圧下で光を照射するだけで、空中窒素をア
ンモニアガスではなく取り扱いやすい固体燃料もしくは
固体窒素化合物質として固定化する材料を探索すべく鋭
意研究を重ねた。
【0006】
【課題を解決するための手段】その結果、酸化チタンの
空中窒素固定化能力と導電性ポリマーの特異なドーピン
グ・脱ドーピング能力を組み合わせ、複合化することに
よって、上記目的を達成できることを見いだした。本発
明はかかる知見に基づいて完成したものである。すなわ
ち、本発明は酸化チタン粉末あるいは酸化チタン層の表
面に、化学的あるいは電気化学的に導電性ポリマーを付
着あるいは被覆し、前記材料からなる複合材料を構築す
ることを特徴とする窒素固定化システムの製造方法、お
よびその複合材料への光照射による新しい窒素固定化方
法を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の方法は、第1図に示す如
きプロセスにしたがって複合材料を構築し、第2図に示
す如き原理にしたがって進行し、導電性ポリマーの表面
あるいは内部に固体の窒素固定化生成物が得られる。つ
まり、酸化チタン粉末あるいは酸化チタン膜表面に化学
的重合あるいは電気化学的重合法により導電性ポリマー
を形成し付着させる(第1図)。次に、この複合材料を
洗浄・乾燥し、光照射をおこなうと、酸化チタンと導電
性ポリマーが接する界面で空中窒素が還元され、アンモ
ニアが生成する。それとともに、導電性ポリマー表面お
よび内部では光を吸収して、導電性ポリマーにドーピン
グされていた負イオン(X)が脱ドープされる。一
方、アンモニアは複合材料中にある水分と酸塩基反応を
行いアンモニウム陽イオンとなる。このアンモニウムイ
オンが脱ドープされた負イオンXと結合してアンモニ
ウム塩(NH )となり、目的とする固体状の窒
素固定生成物が形成されるのである(第2図)。
【0008】本発明の方法で用いる酸化チタンは、粉末
状および膜状の形態からなるものである。ここで酸化チ
タンの製造方法としては各種のものがあるが、大きく分
けて下記の(1),(2),(3)および(4)の四種
の方法を挙げることができる。
【0009】まず(1)チタン金属を加熱して酸化物と
する焼成法が挙げられる。これはチタン金属粉末あるい
はチタン板を200〜2000℃で加熱し、酸化チタン
とする方法である。加熱温度により、アモルファス(無
定型)、アナターゼ、ルチルの結晶系をとる。いずれの
結晶系の酸化チタンも本発明の方法に利用することがで
きる。
【0010】次に、(2)他のタイプの酸化チタンとし
ては、チタン金属板を電解酸化する方法が挙げられる。
本発明の方法では、まず水性媒体あるいは有機媒体中に
支持塩(支持電解質)を入れて、撹拌機により充分に溶
解せしめ、その後得られた電解溶液を静置したままある
いは若干の撹拌を加えながらチタン板の電極を用いて電
解処理する。また電解条件は、各種状況に応じて適宜選
択すればよいが、通常は液温0〜70℃、好ましくは2
0〜30℃、電圧0.1〜500V、好ましくは10〜
500Vとする。このような電解処理により、陽極のチ
タン板上に所望する酸化チタンの薄膜が形成される。こ
こで用いる支持塩は、水性媒体あるいは有機媒体の電気
伝導度を調節するために加えるものである。この場合、
支持塩の種類は媒体中に溶解し、媒体の電気伝導度を調
節しうるものであれば、特に制限はない。また、本発明
の方法で用いる電極は、チタンを含有する金属もしくは
導電体であればよい。具体的には各種形状のチタン金
属、およびパラジウム、ルテニウム、タンタル、ニッケ
ル、モリブデン、バナジウム、アルミニウム、ジルコニ
ウム、鉄とのチタン合金などがあげられる。
【0011】さらに、(3)他のタイプの酸化チタンと
しては、ゾル・ゲル法により調整した酸化チタンがあげ
られる。これらの酸化チタンは、窯業学会誌(横尾俊
信,神谷寛一,作花済夫,窯業学会誌,第95巻2号,
150−155頁,1987年)に記載された方法によ
って製造することができる。
【0012】さらに、(4)他のタイプの酸化チタンと
しては、チタン金属表面に空気中で自然に形成される自
然酸化膜が挙げられる。これらの酸化チタンは、チタン
板を空気中に放置するだけの操作で簡便に作製され、放
置期間500日程度で100オングストロームの膜厚に
成長する(V.V.Andreeva,腐食(Corr
osion)誌,第20巻,35t.46t頁,196
4年参照)。本発明の方法で用いる酸化チタンとして
は、上述した(1),(2),(3)あるいは(4)の
酸化チタンが好適に用いられる。
【0013】本発明の方法では、まず上述した酸化チタ
ンを形成せしめ、その後電気化学的重合法,化学重合法
および光化学重合法により導電性ポリマーを酸化チタン
内部あるいは表面に付着させる。電気化学的重合法にお
いては、水性媒体あるいは有機媒体中に導電性ポリマー
前駆体(モノマー),支持塩を入れて充分に溶解せし
め、その後得られた電解溶液を静置したままあるいは若
干の撹拌を加えながら上述の酸化チタン電極を用いて電
解処理する。この際のモノマーの濃度は、制限がなく、
具体的には1μM以上であればよい。また、電解条件
は、各種状況に応じて適宜選定すればよいが、通常は液
温−20〜90℃、好ましくは0〜30℃、電圧0.0
3〜500V、好ましくは0.5〜100Vとし、電流
密度100mA/cm以下、好ましくは0.01〜5
0mA/cmとする。
【0014】また、化学重合法においては、水性媒体あ
るいは有機媒体中にモノマー,酸化チタン(粉末状ある
いは薄膜状のいずれでもよい)をいれて、その後若干の
撹拌を加えながら酸化剤を添加しモノマーの重合を行
う。この重合処理を行うと、モノマーが酸化され、重合
物が得られるが、この重合物が酸化チタン粒子あるいは
酸化チタン薄膜上に沈積する。本発明の方法において使
用可能な上記酸化剤としては、各種のものがあるが、例
えば第二鉄塩(塩化第二鉄,クエン酸鉄,デカン酸鉄,
酸化水酸化鉄,乳酸鉄,ナフテン酸鉄,硝酸鉄,シュウ
酸鉄,過塩素酸鉄,燐酸鉄,ピロ燐酸鉄,硫酸鉄)、ヨ
ウ素、過硫酸アンモニウム、硫酸第二セリウム、塩化ア
ルミニウム、塩酸、硫酸、過塩素酸、五塩化モリブデ
ン、三フッ化硼素が好適である。また、このような酸化
剤を含んだ溶液を酸化チタン粒子あるいは酸化チタン薄
膜に塗布した後、モノマーの蒸気と接触させることによ
っても酸化チタン上に導電性ポリマーを沈積させること
ができる。
【0015】さらには、水性媒体あるいは有機媒体中に
モノマーをいれて、その後光照射を行うことによっても
酸化チタン上に導電性ポリマーを沈積しうる(光化学重
合法)。この光照射処理を行うと、酸化チタン中で光生
成されたホール(正孔)がモノマーを酸化し、酸化重合
物が酸化チタン上に沈積する。この際の光源は、酸化チ
タンの吸収波長である400nm以下の紫外光を発する
ものであれば特に制限はなく各種状況において適宜選択
すればよいが、通常はキセノンランプ、水銀ランプ、タ
ングステンランプ、ハロゲンランプ、蛍光灯、太陽光を
使用する。
【0016】さらには、あらかじめ電解重合処理あるい
は化学重合処理により、水性媒体あるいは有機媒体中に
可溶な重合物が得られれば、その重合物を取り出し、酸
化チタン上に塗布してもよい。
【0017】このような電解重合処理,化学重合処理お
よび光化学重合処理により、陽極の酸化チタン電極およ
び酸化チタン粒子に所望する導電性ポリマーの薄膜ある
いは堆積物が付着する。
【0018】本発明の方法において使用可能な上記モノ
マーとしては、各種のものがあるが、例えばチオフェン
およびその誘導体、ピロールおよびその誘導体、アニリ
ンおよびその誘導体、フランおよびその誘導体、カルバ
ゾールおよびその誘導体、セレノフェンおよびその誘導
体、イソチアナフテンおよびその誘導体などのヘテロア
ロマティックモノマーをはじめ、アセチレンおよびその
誘導体、ベンゼンおよびその誘導体、ナフタレンおよび
その誘導体、アントラセンおよびその誘導体、アズレン
およびその誘導体などのアロマティックモノマーなどを
あげることができる。さらには、上記モノマーの混合
物、例えばピロールとチオフェンの混合物も重合物前駆
体として用いることができ、その場合、共重合物が酸化
チタン上に沈積する。
【0019】本発明の方法では、まず空気中あるいは窒
素ガス中等の窒素ガスを含む媒体中に、上記の酸化チタ
ンと導電性ポリマーの複合材料を設置し、上述の光源を
用いて光照射を行う。また、この複合材料を水性媒体あ
るいは有機媒体中に設置してもよく、その際は水性媒体
あるいは有機媒体中に溶解した窒素ガスが固定化され
る。光照射条件は、各種状況に応じて適宜選定すればよ
いが、通常は気体状の媒体の場合、媒体温度−70〜3
00℃、好ましくは0〜100℃、液体状の媒体の場
合、媒体温度−20〜100℃、好ましくは0〜40℃
とする。また、光強度は特に制限はなく、強度を大きく
すればするほど窒素の固定化の速度が大きくなる。
【0020】この光照射処理を行うと、第2図に示す如
き反応が進行する。照射された光は導電性ポリマーの中
で主に吸収されるが、その際光吸収で生成された電子が
導電性ポリマー中にあるカチオンラジカルを還元する。
その際、カチオンラジカルを中和するために存在してい
た負イオン(X)が導電性ポリマーから放出される
(脱ドーピング)。一方、ポリマーの吸収を免れ、導電
性ポリマーと酸化チタン界面に到達した光は酸化チタン
に吸収され、ホールと電子が光生成される。このホール
(h)と電子(e)の作用により、空気中の窒素と水か
らアンモニアが合成される(化1)。このようにして生
成されたアンモニアは導電性ポリマー膜の中を移動(拡
散)し、膜表面に到達するがその過程で膜中の水分と反
応し、アンモニウムイオンに変換される(化2)。膜表
面ではこのアンモニウムイオンとXが結合し、固体窒
素生成物NH が形成される(化3)。
【0021】
【化1】
【0022】
【化2】
【0023】
【化3】
【0024】また、かかる光照射を水性媒体あるいは有
機媒体中にて行えば、固体窒素生成物が媒体中に溶解
し、液体媒体中に窒素固定を行うことができる。
【0025】また、Xは窒素固定の進行とともに消費
され膜中から消失するが、下記の方法により繰り返し窒
素固定を行うことができる。すなわち、充分光照射を行
って固体窒素生成物NH を形成せしめた後、複
合材料を水性媒体あるいは有機媒体中で洗浄し、固体窒
素生成物を溶解除去する。その後、Xを含む支持塩を
溶解せしめた水性媒体あるいは有機媒体中に上記複合材
料をいれ、媒体を静置したままあるいは若干の撹拌を加
えながら複合材料の電解処理(電解酸化)を行う。ま
た、電解条件は、各種状況に応じて適宜選択すればよい
が、通常は液温−20〜90℃、好ましくは0〜30
℃、電圧0.03〜500V、好ましくは0.5〜10
0Vとし、電流密度100mA/cm以下、好ましく
は0.01〜50mA/cmとする。
【0026】さらに、Xのこのような再補給は、前述
の化学酸化によっても行うことができる。すなわち、水
性媒体および有機媒体中に酸化剤およびXを含む支持
塩を溶解し、複合材料をこの媒体中に入れることにより
ポリマー膜中にカチオンラジカルを生じせしめ、X
再ドーピングを行う。
【0027】さらには、前述の光酸化によってもX
再ドーピングが可能となる。すなわち、水性媒体および
有機媒体中にXを含む支持塩を溶解し、複合材料をこ
の媒体中に入れて光照射を行う。この光照射によって酸
化チタン中で生成したホール(正孔)が導電性ポリマー
を再酸化し、カチオンラジカルを生じせしめるので、X
がポリマー膜中にドーピングされる。
【0028】
【実施例】次に本発明を実施例及び比較例により、さら
に詳しく説明する。
【0029】実施例 1 100ccのジクロロメタンに支持塩としての過塩素酸
テトラブチルアンモニウムを0.1モル溶かし、電解液
を形成させた。次にこの電解液中で、陽極にチタン板,
陰極に白金板を用いて温度20℃,印加電圧20V,電
流密度0.7mA/cmの条件で電解処理を行った。
970秒後、紫〜青の干渉色を有する酸化チタン薄膜を
チタン板上に得た。
【0030】次に、100ccのジクロロメタンに支持
塩としての過塩素酸テトラブチルアンモニウムを0.1
モル溶かし、これにモノマーとして3−メチルチオフェ
ン0.08モルを添加し、電解液を調製した。この電解
液中で、陽極に上記で得た酸化チタン層,陰極に白金板
を用いて、温度13℃,印加電圧20V,電流密度1.
5mA/cmの条件で電解酸化重合を行った。400
秒後、緑がかった黒色を呈する導電性ポリマー膜(ポリ
(3−メチルチオフェン),膜厚は約2.5μm)を酸
化チタン層上に得た。
【0031】次に、かくして得られた酸化チタンとポリ
(3−メチルチオフェン)の複合材料に、蛍光灯(日立
FL20SSN を使用)からの白色光(照度300
ルックス)を室温下にて照射した。第3図に光照射時間
0日(A),7日(B),45日(C),及び240日
(D)における複合材料表面の走査型電子顕微鏡(SE
M)写真(写真下部の線の長さは10μmを示す,To
pcon(株)社製ABT−20使用)を示す。これよ
り円柱形の針状結晶が時間経過とともに出現し、成長す
るようすがわかる。また、この針状結晶を取り出し、顕
微赤外分析(日本分光(株)MFT−2000を使用)
を行って得られたフーリェ変換赤外吸収(FT−IR)
スペクトルを第4図の曲線Aに示す。なお、過塩素酸ア
ンモニウムのFT−IRスペクトル(サドラー社スペク
トルライブラリー No.ST74990より引用)を
第4図の曲線Bに示したが、曲線AとBは吸収ピーク及
びスペクトル型が一致していることから、複合材料に形
成された針状結晶は、ロケット推進剤として知られる過
塩素酸アンモニウムであることがわかる。
【0032】実施例2 実施例1において、光の照度を1300ルックスに変え
たこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。複合材
料に光照射を7日間行ったもののSEM写真を第5図に
示す。第3図の写真Aと比較して、照度を増加させると
針状結晶のサイズ及び密度が増大することがわかる。
【0033】実施例3 実施例2において、酸化チタンを形成するための電解時
間(陽極酸化時間)を240秒に変えたこと以外は、実
施例2と同様の操作を行った。複合材料に光照射を7日
間行ったもののSEM写真を第6図に示す。ほとんどの
針状結晶はナノメーターサイズの直径を有しており、針
状結晶の形態は酸化チタン膜の作製法に敏感であること
がわかる
【0034】比較例1 実施例1において、光照射を行わなかったこと以外は、
実施例1と同様の操作を行った。複合材料を室温下、暗
所にて90日間保存したもののSEM写真を第7図に示
す。針状結晶の生成、すなわち窒素固定は全く生じなか
った。
【0035】比較例2 実施例2において、導電性ポリマー膜形成直後、膜を酸
化チタン層から剥離しカーボンテープ上に移したこと以
外は、実施例2と同様の操作を行った。このカーボンテ
ープ上のポリ(3−メチルチオフェン)膜に光照射(1
300ルックス)を18日間行ったもののSEM写真を
第8図に示す。針状結晶の形成は全く見られず、窒素固
定には酸化チタンと導電性ポリマーの複合化が不可欠で
あることがわかる。
【0036】比較例3 実施例2において、光照射を行う雰囲気を空気から湿潤
アルゴンに変えたこと以外は、実施例2と同様の操作を
行った。複合材料に光照射を7日間行ったもののSEM
写真を第9図に示す。針状結晶の形成が見られず、本発
明の基本原理が確かに空中窒素の固定であることがわか
る。
【0037】比較例4 実施例2において、光照射を行う雰囲気を空気から湿潤
窒素に変えたこと以外は、実施例2と同様の操作を行っ
た。複合材料に光照射を7日間行ったもののSEM写真
を第10図に示す。高密度、高アスペクト比(結晶の長
さ/結晶の直径)の針状結晶の形成がみられた。
【0038】実施例4 実施例1において、酸化チタンとして、陽極酸化で形成
した酸化チタン膜の代わりに、チタン板上に自然に形成
される自然酸化膜を用いたこと以外は、実施例1と同様
の操作を行った。第11図に光照射時間0日(a),1
2日(b),170日(c),及び270日(d)にお
ける複合材料表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真
(写真下部の線の長さは10μmを示す,Topcon
(株)社製ABT−20使用)を示す。これより円柱形
の針状結晶が時間経過とともに出現し、成長するようす
がわかる。これよりチタンの自然酸化膜を用いても窒素
固定が可能であることがわかる。
【0039】実施例5 実施例1において、酸化チタンとして、陽極酸化で形成
した酸化チタン膜の代わりに、チタン板の焼成によって
形成した酸化チタン膜を用いたこと以外は、実施例1と
同様の操作を行った。複合材料に光照射を310日間行
ったもののSEM写真を第12図に示す。矢印部分に針
状結晶の成長が確認され、これより焼成酸化チタンを用
いても窒素固定が可能であることがわかる。
【0040】実施例6 実施例1において、酸化チタンとして、陽極酸化で形成
した酸化チタン膜の代わりに、スパッタリングにより酸
化インジウムスズをコートしたガラス板上に形成した酸
化チタン膜を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作
を行った。複合材料に光照射を990日間行ったものの
SEM写真を第13図に示す。矢印部分に針状結晶の成
長が確認され、これよりスッパタ法で形成した酸化チタ
ンを用いても窒素固定が可能であることがわかる。
【0041】実施例7 100ccのジクロロメタンに過塩素酸テトラブチルア
ンモニウムを0.1モル溶かし、これにモノマーとして
3−メチルチオフェン0.08モルを添加し、重合溶液
を調製した。この溶液中に、1〜4μmの粒径を有する
酸化チタン粒子0.3gを添加し、超音波を用いて分散
した。次にキセノンランプ(ウシオ電機社製500Wキ
セノンランプUI−501を使用)からの白色光をこの
溶液中の酸化チタン粒子に照射し、酸化チタン粒子表面
をポリ(3−メチルチオフェン)で被覆した。
【0042】次に、かくして得られた酸化チタン粒子と
ポリ(3−メチルチオフェン)の複合材料に、蛍光灯
(日立 FL20SSN を使用)からの白色光(照度
1300ルックス)を大気中・室温下にて照射した。第
14図に光照射時間7日における複合材料表面の走査型
電子顕微鏡(SEM)写真(写真下部の線の長さは10
μmを示す,Topcon(株)社製ABT−20使
用)を示す。針状結晶の成長が確認され、これより酸化
チタンの形態が粒子であっても窒素固定が可能であるこ
とがわかる。
【0043】実施例 8 100ccのアセトニトリルに支持塩としての過塩素酸
テトラブチルアンモニウムを0.1モル溶かし、これに
モノマーとしてピロール0.1モルを添加し、電解液を
調製した。この電解液中で、陽極に実施例1で得た酸化
チタン層,陰極に白金板を用いて、温度20℃,印加電
圧3V,電流密度0.2mA/cmの条件で電解酸化
重合を行った。500秒後、深緑色を呈する導電性ポリ
マー膜(ポリピロール,膜厚は約0.2μm)を酸化チ
タン層上に得た。
【0044】次に、かくして得られた酸化チタンとポリ
ピロールの複合材料に、蛍光灯(日立 FL20SSN
を使用)からの白色光(照度300ルックス)を室温
下にて照射した。第15図に光照射時間170日におけ
る複合材料表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(写
真下部の線の長さは10μmを示す,Topcon
(株)社製ABT−20使用)を示す。針状結晶の成長
が確認され、これより導電性ポリマーがポリピロールで
あっても窒素固定が可能であることがわかる。
【発明の効果】以上の如く、本発明の方法によれば、空
気中の窒素の固定化を、石油資源を利用することなく、
常温常圧のきわめて温和な条件にて効率よく行うことが
できる。しかも本発明で使用する複合材料は再利用が容
易であり、繰り返し空中窒素を固体窒素化合物質として
固定化することができる。したがって、本発明の方法
は、現存の人工窒素固定化方法であるハーバー法の代替
法として幅広くかつ有効に利用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に用いる複合材料の構築方法を示
したものである。
【図2】本発明方法の原理を模式的に示したものであ
る。
【図3】実施例1の複合材料に光照射を行った時、光照
射時間とともに窒素固定化物結晶が現れ、成長するよう
すを示した走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図4】実施例1で形成された針状結晶の顕微FT−I
Rスペクトル(印A)及び過塩素酸アンモニウムのFT
−IRスペクトル(印B)である。
【図5】実施例2で得られた複合材料上の窒素固定化物
結晶のSEM写真である。
【図6】実施例3で得られた複合材料上の窒素固定化物
結晶のSEM写真である。
【図7】比較例1で得られた複合材料のSEM写真であ
る。
【図8】比較例2で得られた複合材料のSEM写真であ
る。
【図9】比較例3で得られた複合材料のSEM写真であ
る。
【図10】比較例4で得られた複合材料上の窒素固定化
物結晶のSEM写真である。
【図11】実施例4の複合材料に光照射を行った時、光
照射時間とともに窒素固定化物結晶が現れ、成長するよ
うすを示した走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図12】実施例5で得られた複合材料上の窒素固定化
物結晶のSEM写真である。
【図13】実施例6で得られた複合材料上の窒素固定化
物結晶のSEM写真である。
【図14】実施例7で得られた複合材料上の窒素固定化
物結晶のSEM写真である。
【図15】実施例8で得られた複合材料上の窒素固定化
物結晶のSEM写真である。
【符号の説明】
1 酸化チタン粉体粒子 2 酸化チタン膜 3 チタン金属板 4 導電性ポリマー膜もしくは堆積物 5 導電性ポリマー中に存在する正電荷(カチオンラジ
カル) 6 固体生成物(NH
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 101/12 C08L 101/12 Fターム(参考) 4F073 AA32 BA32 BA34 BA46 BB01 CA53 HA09 HA11 4G069 BA04A BA04B BA18 BA22A BA22B BA48A BE21A BE21B CC31 CC40 EA01Y EA08 EB15Y ED10 4H015 AA17 AA24 AA27 AB06 BA12 BB01 CB01 4J002 AA001 CC031 CE001 CH121 CM011 DE136 GT00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化チタンと導電性ポリマーを複合化し、
    この複合材料に光照射を行って空中の窒素を固体窒素化
    合物質として固定化するすることを特徴とする空中窒素
    固定化方法。
  2. 【請求項2】酸化チタンと導電性ポリマーの複合化を、
    電気化学重合,化学重合あるいは光化学重合を用いて行
    う請求項1記載の空中窒素固定化方法。
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