JP2001071438A - 難燃性三層樹脂シート - Google Patents

難燃性三層樹脂シート

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JP2001071438A
JP2001071438A JP24823899A JP24823899A JP2001071438A JP 2001071438 A JP2001071438 A JP 2001071438A JP 24823899 A JP24823899 A JP 24823899A JP 24823899 A JP24823899 A JP 24823899A JP 2001071438 A JP2001071438 A JP 2001071438A
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flame retardant
flame
retardant
layer
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Kazuyuki Wakamura
和幸 若村
Yasuki Nakayama
泰樹 中山
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄肉での押出し加工が可能で、かつ機械的特
性、電気絶縁性、寸法安定性等に優れ、ビデオカメラ、
ノートパソコン等の絶縁シートやプリンターのスペーサ
等に好適に使用できる難燃性三層樹脂シートを提供す
る。 【解決手段】 ポリエチレンテレフタレート系ポリエス
テル樹脂、ハロゲン系難燃剤及び難燃助剤からなる樹脂
組成物、もしくは、ポリエチレンテレフタレート系ポリ
エステル樹脂、ハロゲン系難燃剤、難燃助剤及び強化材
からなる樹脂組成物を中間層とし、ポリカーボネート、
ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート及びそれ
らのポリマーアロイから選ばれる少なくとも1種を両外
層とする難燃性三層樹脂シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄肉での押出し加
工が可能な難燃性を有する三層樹脂シートであり、機械
的特性、電気絶縁性、寸法安定性に優れ、ビデオカメ
ラ、ノートパソコン等の絶縁シートやプリンターのスペ
ーサ等に好適に使用できる難燃性三層樹脂シートに関す
る。
【0002】
【従来の技術】難燃性を有する薄肉シートは、ビデオカ
メラ、ノートパソコン等の絶縁シートやプリンターのス
ペーサ等に多用されているが、その素材はポリ塩化ビニ
ルあるいはポリ塩化ビニル系のシートであり、ダイオキ
シンの問題から、代替材料が望まれている。
【0003】その代替材料としては、例えばリン系難燃
剤を用いたポリフェニレンエーテル系のシートが開発さ
れている。しかし、リン系難燃剤は、燃焼により腐食性
の高い、有毒なホスフィンガスを発生する。また、リン
系難燃剤は、加水分解すると廃棄の際に漏出する恐れが
あり、環境汚染の点からも好ましくない。
【0004】一方、ハロゲン系難燃剤は、従来よりその
安全性、環境汚染性が問題視されており、各研究機関や
企業団体でその危険性が指摘され、ドイツ、オランダで
は一時その使用を規制をしようとする動きがあった。し
かし、最終的に危険であるという決め手に欠け、結局規
制は見送られた。また、世界保健機構(WHO)で、ラ
ットでの蓄積試験が実施されたが、ハロゲン系難燃剤は
安定であり、そのまま排出されても無害であるという結
論が出ている。
【0005】また、スイスの研究機関で、ハロゲン系難
燃剤の燃焼によるダイオキシン、ベンゾフラン等の発生
の報告があったが、その条件は特異な燃焼条件であり、
現在では、その構造からダイオキシン、ベンゾフラン等
を発生しやすいと考えられる特定のハロゲン系化合物、
例えばデカブロモビフェニルであっても、温度条件によ
りダイオキシンを発生しないようにできることが確認さ
れている。さらに、ダイオキシンはオレンジ等の果物類
を燃やした方が多くでるということが報告されており、
塩、紙からも燃焼条件によっては発生すると言われてい
る。以上の点から、安全性の検証がなされていないリン
系難燃剤の方がむしろ、危険であると考えるのが妥当で
ある。
【0006】他方、シートの薄肉化は、ビデオカメラや
ノートパソコンの薄型化の要求、あるいは、プリンター
の高性能化により、現在では、0.1mm のシートが主流に
なってきている。しかし、難燃剤を配合した樹脂組成物
を用いて 0.1mmのシートを安定生産することは、これま
では困難であると考えられ、また安定生産できたとして
も、そのシートは脆いものになり、実用に供することが
できなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記問題点
を解決し、薄肉での押出し加工が可能で、かつ機械的特
性、電気絶縁性、寸法安定性等に優れ、ビデオカメラ、
ノートパソコン等の絶縁シートやプリンターのスペーサ
等に好適に使用できる難燃性三層樹脂シートを提供する
ものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究した結果、本発明に到達し
た。すなわち、本発明の要旨は次の通りである。 (1) ポリエチレンテレフタレート系ポリエステル樹脂、
ハロゲン系難燃剤及び難燃助剤からなる樹脂組成物を中
間層とし、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエ
チレンテレフタレート及びそれらのポリマーアロイから
選ばれる少なくとも1種を両外層とする難燃性三層樹脂
シート。 (2) ポリエチレンテレフタレート系ポリエステル樹脂、
ハロゲン系難燃剤、難燃助剤及び強化材からなる樹脂組
成物を中間層とし、ポリカーボネート、ポリアリレー
ト、ポリエチレンテレフタレート及びそれらのポリマー
アロイから選ばれる少なくとも1種を両外層とする難燃
性三層樹脂シート。 (3) 厚みが 0.3mm以下であることを特徴とする上記(1)、
(2) のいずれか1項記載の難燃性三層樹脂シート。 (4) 両外層の厚み割合が全厚みの10〜70%であることを
特徴とする上記(1) 〜(3) のいずれか1項記載の難燃性
三層樹脂シート。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0010】本発明における中間層を形成するポリエチ
レンテレフタレート系ポリエステル樹脂(以下「PET
系ポリエステル樹脂」という。)とは、エチレンテレフ
タレート単位を主たる繰り返し単位とするもので、エチ
レンテレフタレート単位を少なくとも80モル%以上、好
ましくは90モル%以上の割合で含有するものである。こ
のPET系ポリエステル樹脂の極限粘度は、フェノール
/テトラクロロエタン混合溶媒(重量比 1/1)を用い、
20℃で測定したときの値で 0.5〜1.0 の範囲のものが好
ましい。極限粘度が 0.5よりも小さくなると、シートの
機械的強度が低下し、極限粘度が 1.0を超えると、シー
ト成形性に劣るものとなる。
【0011】なお、PET系ポリエステル樹脂には、上
記成分の他に、フタル酸、イソフタル酸、5-ナトリウム
スルホイソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,
4'-ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカ
ルボン酸等の芳香族ジカルボン酸成分、トリメリット
酸、ピロメリット酸及びそれらの酸無水物等の芳香族多
価カルボン酸成分、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、
セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸等の脂
肪族ジカルボン酸成分、1,4-ジシクロヘキサンジカルボ
ン酸等の脂環族カルボン酸成分、1,2 −プロパンジオー
ル、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-
ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオ
ール、ジエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、
ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、ポ
リエチレングリコール等の脂肪族ジオール成分、トリメ
チロールプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族多
価アルコール成分、1,4-シクロヘキサンジメタノール、
1,4-シクロヘキサンジエタノール等の脂環族ジオール成
分、4-ヒドロキシ安息香酸やε−カプロラクトンのヒド
ロキシカルボン酸成分等の共重合成分が、本発明の特性
を損なわない範囲で少量(通常は20モル%未満、好まし
くは10モル%未満)含有されていてもよい。
【0012】また、中間層を形成するハロゲン系難燃剤
としては、臭素化ポリスチレン、臭素化架橋芳香族重合
体、臭素化スチレン/無水マレイン酸共重合体、臭素化
ポリフェニレンエーテル、臭素化エポキシ樹脂、臭素化
フェノキシ樹脂、塩素置換多環式化合物等が挙げられる
が、中でも臭素化ポリスチレンが好適に使用できる。
【0013】臭素化ポリスチレンとしては、ポリスチレ
ンに臭素を付加させたもの、もしくは臭素が付加したス
チレンモノマーを重合したもの、あるいは両者の混合物
が挙げられ、前者としてはフェロ社製のパイロチェック
68PBが、後者としてはグレートレイクス社製のPDBSが好
適に使用できる。
【0014】ハロゲン系難燃剤の配合量は、PET系ポ
リエステル樹脂 100重量部に対して10〜50重量部とする
ことが好ましく、20〜40重量部とすることがより好まし
い。この配合量が10重量部未満では、高度な難燃性が得
られにくく、逆にこの配合量が50重量部を超えると、強
度が低下する傾向になる。
【0015】また、中間層を形成する難燃助剤として
は、難燃剤と相互作用を示し難燃効果を高めるものであ
り、具体的には、三酸化アンチモン、四酸化アンチモ
ン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム等のア
ンチモン化合物、酸化スズ(IV)、酸化鉄(III)、酸化
亜鉛等の金属酸化物、ホウ酸亜鉛等が挙げられるが、中
でもアンチモン化合物が好適に使用できる。
【0016】難燃助剤の配合量は、PET系ポリエステ
ル樹脂 100重量部に対して1〜20重量部とすることが好
ましく、5〜15重量部とすることがより好ましい。この
配合量が1重量部未満では、高度な難燃性が得られにく
く、逆にこの配合量が20重量部を超えると、強度が低下
する傾向になる。
【0017】本発明における両外層を形成する樹脂とし
ては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエチレ
ンテレフタレート及びそれらのポリマーアロイから選ば
れる少なくとも1種のものが用いられる。
【0018】ポリカーボネートは、ホスゲンと下記式
で示される二価フェノ−ルの重合により得られるもので
ある。 HO−Ar −X−Ar −OH (式中、Ar はベンゼン環を表し、ベンゼン環はアルキ
ル基又はハロゲン原子で置換されても良い。Xはメチレ
ン基、スルホニル基、カルボニル基、シクロヘキシル
基、硫黄原子又は酸素原子を表し、メチレン基の水素原
子はアルキル基、アリル基で置換されても良い。) 二価フェノールの具体例としては、2,2-ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-
3,5- ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒド
ロキシ-3,5- ジクロロフェニル) プロパン、4,4'- ジヒ
ドロキシジフェニルスルホン、4,4'- ジヒドロキシジフ
ェニルエーテル、4,4'- ジヒドロキシジフェニルスルフ
ィド、4,4'- ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4'- ジ
ヒドロキシジフェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ
-3,5- ジメチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒド
ロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェ
ニル)シクロヘキサン、4,4'- ジヒドロキシジフェニ
ル、ハイドロキノン等が挙げられ、その中でも、通常ビ
スフェノールAと呼ばれている2,2-ビス(4-ヒドロキシ
フェニル)プロパンが好適に使用できる。これらの二価
フェノールは単独で使用しても良いし、また2種以上混
合しても良い。また、これら二価フェノールは、通常は
パラ置換体であるが、他の異性体を使用しても良く、さ
らにこれら二価フェノールにエチレングリコール、プロ
ピレングリコール等を付加したものであっても良い。そ
して、ポリカーボネートの極限粘度は、フェノール/テ
トラクロロエタン混合溶媒(重量比 1/1)を用い20℃で
測定したときの値で 0.40 〜1.0 にあるものが、シート
物性及び押出し加工性の点で好ましい。
【0019】ポリアリレートは、芳香族ジカルボン酸成
分と二価フェノールの重合により得られるものである。
芳香族ジカルボン酸成分の好ましい例としては、テレフ
タル酸成分及び/又はイソフタル酸成分が挙げられる
が、特にテレフタル酸成分とイソフタル酸成分との混合
物を用いると、得られるポリアリレートの溶融加工性及
び総合的性能の面で好ましい。かかる混合物のとき、そ
の混合比は任意に選ぶことができるが、テレフタル酸成
分/イソフタル酸成分= 9/1〜1/9 (モル比)が好まし
く、特に溶融加工性及び性能のバランスの点で 7/3〜3/
7 (モル比)、さらには 1/1(モル比)がより好まし
い。また、二価フェノールの具体例として、ポリカーボ
ネートに用いられるものと同じものが挙げられる。ポリ
アリレートの好ましい例としては、テレフタル酸クロリ
ド/イソフタル酸クロリド= 1/1(モル比)とビスフェ
ノールAとの界面重合により得られるユニチカ社製のU
ポリマー(商品名)が挙げられる。そして、ポリアリレ
ートの極限粘度は、フェノール/テトラクロロエタン混
合溶媒(重量比 1/1)を用い20℃で測定したときの値で
0.40 〜1.0 にあるものが、シート物性及び押出し加工
性の点で好ましい。
【0020】ポリエチレンテレフタレートは、テレフタ
ル酸成分とエチレングリコールの重合により得られるも
のである。そして、ポリエチレンテレフタレートの極限
粘度は、フェノール/テトラクロロエタン混合溶媒(重
量比 1/1)を用い20℃で測定したときの値で 0.40 〜1.
0にあるものが、シート物性及び押出し加工性の点で好
ましい。
【0021】また本発明においては、中間層として、上
記のPET系ポリエステル樹脂、ハロゲン系難燃剤及び
難燃助剤に対し、強化材を配合した樹脂組成物を用いる
と、機械的強度や耐熱性等の点でより優れた難燃性三層
シートとすることができる。この際、強化材の配合量
は、PET系ポリエステル樹脂 100重量部にポリエステ
ル樹脂に対して80重量部以下とすることが好ましく、3
〜80重量部とすることがより好ましく、5〜60重量部と
することが特に好ましい。この配合量が80重量部を超え
ると、シートが固くなり、シート生産性に劣る傾向にな
る。
【0022】上記の強化材としては、粒状強化材、繊維
状強化材が用いられる。粒状強化材の具体例としては、
シリカ、炭酸カルシウム、合成ケイ酸又はそのケイ酸
塩、亜鉛、ハロサイトクレー、カオリン、塩基性炭酸マ
グネシウム、マイカ、タルク、石英粉、ワラストナイ
ト、ドロマイカ粉、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸
カルシウム、アルミナ、ガラスフレーク、カーボンブラ
ック等が挙げられるが、中でもマイカ、ワラストナイト
が好適に使用できる。
【0023】繊維状強化材の具体例としては、ガラス繊
維、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、炭化珪素繊維、
チタン酸繊維等を挙げられるが、中でもガラス繊維が好
適に使用できる。この際、各種繊維の直径及び長さにつ
いては特に制限されるものではないが、繊維長が長すぎ
ると、PET系ポリエステル樹脂や他の配合剤と均一に
混合・分散させることが難しく、逆に繊維長が短かすぎ
ると、強化材としての効果が不十分となるため、通常は
0.1〜10mmの繊維長のものが使用され、特に繊維状強化
材がガラス繊維である場合には、繊維長としては 0.1〜
7mmのものが好ましく、0.3 〜4mmのものがより好まし
い。
【0024】また、繊維状強化材としては、PET系ポ
リエステル樹脂との界面接着力を向上させて補強効果を
上げる目的で、必要に応じて種々の表面処理剤で処理し
たものを使用することができる。繊維状強化材としてガ
ラス繊維を使用する場合には、表面処理剤としては、ビ
ニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシ
ル)−エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエ
トキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、γ
−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシラン系
処理剤、メタクリレ−トクロミッククロリド等のクロム
系処理剤が挙げられる。
【0025】なお本発明においては、中間層を形成する
樹脂組成物もしくは両外層を形成する樹脂には、必要に
応じて熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、滑剤、顔料、
可塑剤、架橋剤、耐衝撃剤等の添加剤を、本発明の特性
を損なわない範囲で配合することもできる。
【0026】本発明の難燃性三層樹脂シートを製造する
に際しては、従来公知の方法を採用することができる。
具体的には、二台以上の溶融押出機を備えた複層シート
成形装置を使用して、上記した中間層を形成する樹脂組
成物と両外層を形成する樹脂とを同時に溶融押し出しし
て、三層構造の樹脂シートとする。
【0027】この際、中間層となる樹脂組成物は、二軸
溶融混練機によってペレット化したものを複層シート成
形装置の押出機に供給すればよいが、溶融混練機能を備
えたシート成形装置であれば、事前にペレット化してお
く必要はない。また、複層シート成形装置の設定温度
は、PET系ポリエステル樹脂の融点付近もしくはそれ
以上とすることが好ましく、通常は 240〜280 ℃で成形
ができるように設定する。さらに、中間層となる樹脂組
成物と両外層となる樹脂の供給量は、それぞれの押出機
の吐出量を変更することによって調整する。
【0028】このようにして得られる難燃性三層樹脂シ
ートの厚みは、0.3 mm以下であることが好ましい。厚み
が 0.3 mm を超える場合、シート特性に問題があるわけ
ではないが、スペーサや絶縁シートとして要求される厚
みとしては厚すぎ、市場性の乏しいものとなる。したが
って、特に市場性のある厚みは 0.1mm以下である。
【0029】また、難燃性三層樹脂シートの好ましい厚
み構成は、両外層の厚み割合が全厚みの10〜70%のもの
である。両外層の厚み割合が10%未満のものでは、シー
ト切れが発生する傾向にあり、量産性に問題がある。一
方、両外層の厚み割合が70%を超えるものでは、難燃性
を発現する中間層の割合が少なくなり、難燃性に劣るも
のとなる。
【0030】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。なお、実施例及び比較例における特性値の評
価は次の通りである。 (a) シート成形性 シートを形成する際の状況によって次の2段階で評価し
た。 ○:シート切れが無く、良好なシートが得られた。 ×:シート切れが発生し、量産性に劣った。 (b) 引張強さ、引張伸び及び引張弾性率 ASTM D638 に従って測定した。 (c) 難燃性 UL94の薄手材料垂直燃焼試験に従って測定し、ULの
燃焼クラスで次のように評価した。 VTM-0:着火してもすぐ消える。有炎滴下物が無い。 VTM-2:着火後しばらくすると消える。有炎滴下物によ
る延焼の危険がある。 × :着火すると燃え続ける。難燃性に劣る。
【0031】実施例1、2 難燃性三層樹脂シート(以下、実施例においては「三層
シート」という。)の中間層を形成する樹脂組成物のペ
レットを、次のように作製した。極限粘度0.80のポリエ
チレンテレフタレート(ユニチカ製、NEH 2050)100 重
量部、臭素化ポリスチレン(フェロ社製、パイロチェッ
ク68PB)30重量部及び三酸化アンチモン(日本精鉱社
製、PATOX-M )8重量部を混合した後、二軸溶融混練機
(東芝機械社製、TEM-70)を用いて 285℃で溶融混練し
ペレットを得た。また、三層シートの両外層を形成する
樹脂としては、ポリカーボネート(住友ダウ社製、カリ
バー K200-13)を使用した。これら二種類のペレットを
別々に三台の押出機を備えた複層シート成形装置に供給
し、両外層を構成する層の厚みが等しくなるようにシー
ト状に押し出し、なおかつ両外層の厚み割合が全厚みの
20%となる、厚み 0.1mm(実施例1)又は厚み 0.3mm
(実施例2)の三層シートを作製した。複層シート成形
装置での製造条件は、温度 250〜280 ℃、吐出量 80kg/
hr、スクリュー L/Dは25であった。得られた三層シート
の構成と特性を表1に示す。
【0032】実施例3〜6 三層シートの中間層を形成する樹脂組成物の構成が表1
になるようにペレットを作製し、かつ両外層の厚み構成
が表1になるようにした以外は、実施例1と同様にして
厚み 0.1mm三層シートを作製した。得られた三層シート
の構成と特性を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】比較例1〜3 三層シートの中間層を形成する樹脂組成物の構成が表2
になるようにペレットを作製し、かつ両外層の厚み構成
が表2になるようにした以外は、実施例1と同様にして
厚み 0.1mm三層シートを作製した。得られた三層シート
の構成と特性を表2に示す。
【0035】比較例4 実施例1の中間層として用いた樹脂組成物のペレットを
使用し、単層シート成形装置を用いて、厚み 0.1mmの単
層シートを作製した。単層シート成形装置での製造条件
は、温度 250〜280 ℃、吐出量 80kg/hr、スクリュー L
/Dは25であった。得られた単層シートの構成と特性を表
2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】実施例7〜9 両外層を形成する樹脂として、ポリアリレートとポリカ
ーボネートとのアロイ(ユニチカ社製、Uポリマー P-5
001 )、ポリアリレートとポリエチレンテレフタレート
とのアロイ(ユニチカ製、Uポリマー U-8400 、極限粘
度 1.0のポリエチレンテレフタレート(ユニチカ製、SA
1206)をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして
厚み 0.1mm三層シートを作製した。得られた三層シート
の構成と特性を表3に示す。
【0038】
【表3】
【0039】実施例10〜13、比較例5 極限粘度0.80のポリエチレンテレフタレート(ユニチカ
製、NEH 2050)、平均粒径13μmのマイカ(レプコ社
製、M-400 )、平均粒径5μmで平均繊維長50μmのワ
ラストナイト(川鉄鉱業社製、PH-450)、臭素化ポリス
チレン(フェロ社製、パイロチェック68PB)及びアンチ
モン酸ソーダ(日産化学社製、サンエポック NA-1070L
)をそれぞれ表4示す配合比で混合した後、二軸溶融
混練機(東芝機械社製、TEM-70)を用いて 285℃で溶融
混練しペレットを得た。また、三層シートの両外層を形
成する樹脂としては、ポリカーボネート(住友ダウ社
製、カリバー K200-13)を使用した。これら二種類のペ
レットを使用し、両外層の厚み構成が表4になるように
した以外は、実施例1と同様にして厚み 0.1mm三層シー
トを作製した。得られた三層シートの構成と特性を表4
に示す。
【0040】比較例6 実施例11の中間層として用いた樹脂組成物のペレット
を使用し、単層シート成形装置を用いて、厚み 0.1mmの
単層シートを作製した。単層シート成形装置での製造条
件は、温度 250〜280 ℃、吐出量 80kg/hr、スクリュー
L/Dは25であった。得られた単層シートの構成と特性を
表4に示す。
【0041】
【表4】
【0042】表1〜4より次のことが判明した。実施例
1〜6は、中間層に難燃剤と難燃助剤を含有するポリエ
チレンテレフタート樹脂組成物を、両外層にポリカーボ
ネートを用いた例であり、シート成形性、機械的特性、
難燃性に優れていた。比較例1〜3は中間層に難燃剤と
難燃助剤の両方、あるい難燃剤と難燃助剤のいずれか一
方を含まない例であり、難燃性が劣っていた。比較例4
は単層シートの例であり、シート成形性が劣っていた。
実施例7〜9は、両外層にポリアリレート/ポリカーボ
ネートアロイ、ポリアリレート/ポリエチレンテレフタ
レートアロイ、ポリエチレンテレフタレートを用いた例
であり、実施例1〜6同様、シート成形性、機械的特
性、難燃性に優れていた。実施例10〜13は、さらに
強化材を中間層に配合した例であり、実施例10〜12
は、粒状強化材としてマイカを用いた例であり、実施例
13は、繊維状強化材としてワラストナイトを用いた例
である。これらの三層シートは、いずれも強化材を含ま
ない実施例1〜9の三層シートと較べて高い引張弾性率
を有していた。比較例5は比較例1と同様、難燃剤と難
燃助剤の両方を含まない例であり、難燃性に劣ってい
た。比較例6は比較例4と同様、単層シートの例であ
り、シート成形性が劣っていた。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、薄肉での押出し加工が
可能で、機械的特性、電気絶縁性、寸法安定性に優れた
難燃性三層樹脂シートが得られる。そしてこの難燃性三
層樹脂シートは、薄肉で、難燃性を要求されるビデオカ
メラ、ノートパソコン等の絶縁シートやプリンターのス
ペーサ等に好適に使用できる。
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Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレンテレフタレート系ポリエス
    テル樹脂、ハロゲン系難燃剤及び難燃助剤からなる樹脂
    組成物を中間層とし、ポリカーボネート、ポリアリレー
    ト、ポリエチレンテレフタレート及びそれらのポリマー
    アロイから選ばれる少なくとも1種を両外層とする難燃
    性三層樹脂シート。
  2. 【請求項2】 ポリエチレンテレフタレート系ポリエス
    テル樹脂、ハロゲン系難燃剤、難燃助剤及び強化材から
    なる樹脂組成物を中間層とし、ポリカーボネート、ポリ
    アリレート、ポリエチレンテレフタレート及びそれらの
    ポリマーアロイから選ばれる少なくとも1種を両外層と
    する難燃性三層樹脂シート。
  3. 【請求項3】 厚みが 0.3mm以下であることを特徴とす
    る請求項1、2のいずれか1項記載の難燃性三層樹脂シ
    ート。
  4. 【請求項4】 両外層の厚み割合が全厚みの10〜70%で
    あることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載
    の難燃性三層樹脂シート。
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