JP2001067731A - 光情報記録媒体 - Google Patents

光情報記録媒体

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JP2001067731A
JP2001067731A JP24128199A JP24128199A JP2001067731A JP 2001067731 A JP2001067731 A JP 2001067731A JP 24128199 A JP24128199 A JP 24128199A JP 24128199 A JP24128199 A JP 24128199A JP 2001067731 A JP2001067731 A JP 2001067731A
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JP24128199A
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Yoshiaki Suzuki
嘉昭 鈴木
Kenji Oishi
健司 大石
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Victor Company of Japan Ltd
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Victor Company of Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 再生回数に制限を設けた光情報記録媒体を提
供する。 【解決手段】 情報信号が微小凹凸形状によって予め記
録されている光透過性基板2上に、マスク層3と反射層
4とを順次積層して成る光ディスクであって、マスク層
3は、基板2側から入射する再生用レーザー光が連続照
射される照射部分の温度が消色温度以上になった場合に
は、照射部分の一部の光透過率が高くなって光スポット
径を実質的に縮小してレーザー光を反射層4側へ出射し
て反射層4側からの戻り光を基板2側へ出射することに
より情報信号を再生し、かつこの再生後に照射部分の蓄
熱によって内部組成を変化させることにより、ディスク
超解像機能を喪失するサーモクロミック材料から成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、再生回数に制限を
設けた光情報記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、光学的情報記録媒体において大容
量記録再生技術の開発がなされている。その中で、光学
的情報記録媒体上の照射レーザー光の実効的照射スポッ
ト径を小さくすることで、高密度な光情報を再生する手
法としてディスク超解像法が以下の例に示すように、開
発されている。
【0003】サーモクロミック物質を使用してディスク
超解像を実現する光記録媒体が特開平7−182693
号公報や特開平7−311978号公報に開示されてい
る。この技術においては、レーザ光が照射されることに
より、サーモクロミック層の照射部分の中心部分のみ
が、温度上昇によって、部分的に透過性になるので、こ
の現象を利用して、実効的照射スポット径を小さくし、
これにより、今まで、再生することの出来なかった高密
度の再生を可能としている。
【0004】また、この大容量の記録情報を何回も再生
して利用するための改良法に関する技術が開示されてい
る(特開平10−147068号公報)。この技術にお
いては、使用するレーザ光における、サーモクロミック
層の吸光度の最適範囲を設定することにより、スチル再
生特性を向上させることに成功している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、読み終えた
情報を、その場で、直ちに、消し去る必要は古くからあ
り、例えば、紙を使用の手紙類は、読み終えてから、ラ
イター等の火で焼いて、再び内容を読むことを不可能と
していた。光ディスクにおいても、再生読み取り後、直
ちに、情報の破壊ないし消去をすることにより、再再生
を不可とする技術が必要とされている。しかし、この再
生直後に再再生を積極的に不可とする技術は従来なかっ
た。とりわけ読み取り専用のROM型の光ディスクでは
再生回数を制限できなかった。ここで云う再再生を不可
とする技術は、単に、再生パワーを大として、RAM型
ディスク(書き換え型記録再生用のディスク)の記録層
を破壊する様に記録再生装置を設定できると云うもので
はない。マスク層を設けた光ディスクでは、再生レーザ
ー光のスポット径を縮小するために再生パワーを増大さ
せる必要があり、この読み取り動作と同時にマスク層あ
るいは記録層が熱損傷あるいは光損傷を受け、微小な記
録マークを再生できないものとするものである。積極的
に破壊読み出しを行い再生回数を制限するものである。
逆に云えば、再再生を不可となるような再生パワーや再
生線速度に再生条件を設定しなければ、該高密度記録情
報を再生することができない。そこで、上記した課題を
解決すべく、本発明は成されたものであり、情報信号が
微小凹凸形状によって予め記録されている光透過性基板
上にマスク層と反射層とを順次積層して成る再生専用光
情報記録媒体の場合には、前記マスク層には、再生時の
蓄熱によってディスク超解像機能を喪失してしまうサー
モクロミック材料を用いて、再生回数に制限を設けたも
のである。また、グルーブ部を有する光透過性基板上に
マスク層と記録層と反射層とを順次積層して成る記録型
光情報記録媒体の場合には、前記マスク層には、消色温
度が前記記録層の消去温度よりも高いサーモクロミック
材料を用い、かつ再生時の蓄熱によって記録されている
情報信号を消去する記録材料を用いて、再生回数に制限
を設けたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、本発明は、次の(1)〜(5)の構成の光情報
記録媒体を提供する。 (1) 図1,図2に示すように、情報信号が微小凹凸
形状によって予め記録されている光透過性基板(樹脂基
板)2上に、少なくとも、マスク層3と反射層4とを順
次積層して成る光情報記録媒体(光ディスク)I,IIで
あって、前記マスク層3は、前記光透過性基板2側から
入射する再生用レーザー光が連続照射される照射部分の
温度が消色温度以上になった場合には、前記照射部分の
一部の光透過率が高くなって光スポット径を実質的に縮
小して前記再生用レーザー光を前記反射層4側へ出射し
て前記反射層4側からの戻り光を前記光透過性基板2側
へ出射することにより前記情報信号を再生し、かつこの
再生後に前記照射部分の蓄熱によって内部組成を変化さ
せることにより、ディスク超解像機能を喪失するサーモ
クロミック材料から成ることを特徴とする光情報記録媒
体。 (2) 図3,図4に示すように、グルーブ部を有する
光透過性基板2上に、少なくとも、マスク層3と記録層
9と反射層4とを順次積層して成る光情報記録媒体(光
ディスク)III,IVであって、前記マスク層3は、前記
記録層9の消去温度よりも高い消色温度を有しており、
前記光透過性基板側2から入射する再生用レーザー光が
連続照射される照射部分の温度が消色温度以上になった
所定時間以内の場合には、前記照射部分の一部分の光透
過率は高くなって光スポット径を実質的に縮小して前記
再生用レーザー光を前記記録層9側へ出射して前記反射
層4側からの戻り光を前記光透過性基板2側へ出射する
ことにより前記情報信号を再生するサーモクロミック材
料から成り、前記記録層9は、前記マスク層3側から入
射する前記再生用レーザー光が連続照射される照射部分
の蓄熱によって、既に記録されている情報信号を消去す
る記録材料から成ることを特徴とする光情報記録媒体。 (3) 前記記録層9は、相変化記録材料から成ること
を特徴とする請求項2記載の光情報記録媒体。 (4) 前記マスク層3は、少なくとも電子供与呈色化
合物と電子受容性顕色剤とを含むサーモクロミック材料
から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいず
れかに記載の光情報記録媒体。 (5) 前記電子供与呈色化合物が少なくともロイコ染
料を含む化合物であり、前記電子受容性顕色剤が少なく
ともビフェニール系化合物を含む化合物であることを特
徴とする請求項4記載の光情報記録媒体。
【0007】
【発明の実施の態様】以下、本発明の光情報記録媒体
を、図に沿って説明する。図1〜図4はそれぞれ本発明
の光情報記録媒体の第1実施例〜第4実施例の積層状態
を説明するための図である。
【0008】まず、本発明の光情報記録媒体が再生専用
の光ディスク(ROM型光ディスク)である場合の特徴
について、具体的に列記する。 (1) 光透過性基板上の凹凸ピットによって、情報信
号が予め記録されている。 (2) 所謂、ROM媒体においては、凹凸ピット面上
に、サーモクロミック層(マスク層)、金属膜による反
射膜、および保護層を順次積層して構成する。 (3) 誘電体膜はその目的に応じて、各層間に設けら
れる。例えば基板とマスク層間、マスク層と反射膜間に
設けられる。
【0009】(4) マスク層を構成するサーモクロミ
ックマスク材料は、次の性質を有している。即ち、再生
用レーザー光の波長に対して、消色温度より低い温度で
は吸光度が大であるから光透過率は低い。このため、光
透過性基板上の凹凸ピット上にマスク層があり、再生用
レーザー光が光透過性基板側から入射する場合、凹凸ピ
ット情報を含んだ通過光がこのマスク層に吸収され、充
分な反射光として、光透過性基板側へ戻ってこない。一
方、再生用レーザー光の波長に対して、消色温度よりも
高い温度ではマスク層の吸光度が減少するから光透過率
は増加する。このため、光透過性基板上の凹凸ピット上
にマスク層があり、再生用レーザー光が光透過性基板側
から入射する場合、凹凸ピット情報を含んだ通過光がこ
のマスク層に吸収されることなく、充分な反射光とし
て、光透過性基板側へ戻ってくる。
【0010】(5) 具体的には、再生時、光強度がガ
ウシアン分布であるレーザー光の加熱により、光照射の
中心部分のマスク層は、光照射の周辺のマスク層のそれ
よりも、高温となるから、このマスク層の前記した消色
温度を最適化することにより、レーザー光の中心に位置
する凹凸ピットのみを再生し、周辺の凹凸ピット情報を
マスクすることが可能となる。実際には、ディスクは回
転しているので加熱された領域は時間方向に遅れが生
じ、照射スポットの中心よりも後方側に消色した開口部
が形成されることになる。マスク層の透過率が上がり、
高密度再生がなされると同時に、その発熱、蓄熱あるい
は光照射により、マスク層のサーモクロミック材料自身
が変化を起こし、ディスク超解像機能を失う様に設定す
ることで、高密度記録情報の再再生を不可とするもので
ある。ディスク超解像機能の喪失とは、再生スポットの
縮小ができない状態をいい、マスク層が温度に依存せず
に常に透過率が高い状態すなわち消色状態となり、スポ
ット周辺の記録マークを遮蔽(マスク)できないことを
指す。
【0011】(6) マスク層のサーモクロミック材料
のディスク超解像機能を失効させる方法として以下の様
なものがある。再生時に、このマスク層の分解温度ま
でマスク層を昇温することで、マスク層のサーモクロミ
ック材料の分解が起こり、マスク層としての機能を失な
わせる。再生時に、顕色剤物質と色素物質で構成され
たサーモクロミック材料を両物質の分離温度までマスク
層を昇温することで、マスク層物質が分離し、マスク層
としての機能を失なわせる。基板がポリカーボネート
材料であり、且つビフェノール系物質を含む顕色剤で構
成されたサーモクロミック材料をそのポリカーボネート
樹脂基板への拡散吸収温度にまで昇温することで顕色剤
不足を発生させ、マスク層としての機能を失なわせる。
色素物質がロイコ色素を含む物質で構成されているサ
ーモクロミック材料において、ロイコ色素の閉環温度ま
でマスク層を昇温することで、マスク層としての機能を
失なわせる。色素物質がロイコ色素を含む物質で構成
され、顕色剤がビフェノール系物質で構成されているサ
ーモクロミック材料をロイコ色素とビフェノール系物質
とのサーモクロミック反応以上の温度までマスク層を昇
温することで、マスク層としての機能を失なわせる。こ
のように〜のいずれかの反応を消色温度以上の温度
で発生させることで、再生直後に、マスク機能を破壊し
て、再度の再生を不可とさせるものである。
【0012】つぎに、本発明の光情報記録媒体が記録再
生用光ディスクである場合の特徴について、具体的に列
記する。 (1) 所謂、書き換え型媒体あるいは追記型(ライト
ワンス)媒体においては、光透過性基板上に形成されて
ある一連のグルーブ面上に、サーモクロミック層(マス
ク層)、記録層、反射膜、保護層を順次積層して構成す
る。
【0013】(2) 記録層は、相変化媒体、光磁気媒
体、有機系ライトワンス媒体のいずれかであり、情報信
号の消去が生じる層が、該記録層である。 (3) 誘電体層はその目的に応じて、各層間に設けら
れる。例えばマスク層と記録層間、記録層と反射膜間に
設けられる。
【0014】(4)マスク層を構成するサーモクロミッ
クマスク材料は、再生パワーPsrにてディスク超解像効
果が発現し、かつ再生パワーPmaskにてディスク超解像
機能を喪失する。再生パワーがPsrより小さい場合に
は、マスク層が消色温度以上に加熱されないため透過率
が低く照射した再生光が検出器に戻ってこない。再生パ
ワーを徐々に増し、Psrのパワーを照射するとマスク層
の温度が上昇し消色温度以上に加熱されて透過率が高く
なり情報信号が検出される。消色温度以上に加熱された
領域が実質的な再生スポットとなり、再生パワーに比例
して再生スポットサイズは増大する。光の回折限界以下
の微小マークの再生出力はスポットサイズと共に増大
し、Psrよりも高いパワーで最大値をとり、過剰なパワ
ーを入れると出力は低下し、再生パワーPmaskにてディ
スク超解像機能を喪失する。ただし、記録光によるディ
スク超解像機能の低下はない。記録にはパルス光を用い
るため照射時間が極短くマスク層への熱損傷や光損傷は
無視できる。
【0015】(5) 記録層を構成する記録材料は、再
生パワーPeraseにて消去する記録材料からなり、Psr
とPeraseの関係が、Perase≦Psrを満足する。ディス
ク超解像が発現する再生パワーPsr以上で再生を行うと
再生信号を検出すると同時に直ちに記録層の状態が変化
して、記録マークの破壊や消去が起こり再生回数を制限
する。 (6) 具体的には、記録層の消去温度をマスク層の消
色温度をよりも低温に設定する。マスク層の消色温度
が、記録層である光磁気のキューリ温度を越える様にす
ることで、外部磁場により消去を行う。また、マスク層
の消色温度が、記録層である相変化記録材料の結晶化
(消去)温度を越える様にすることで、記録部分及び未
記録部分を結晶化あるいは非晶質化のどちらかに均一化
することで、記録情報を消去する。
【0016】(7) マスク層の消色温度が、記録層で
ある有機系ライトワンス材料の分解(消去)温度を越え
る様に設定することで、未記録部分をすべてを記録部分
に変質させることで、記録情報を破壊(消去)する。
【0017】(8) マスク層の層膜厚を厚くすること
により、レーザー光の吸収を大きくし、再生時に必要な
レーザーパワーを高める。これにより、再生時に記録層
に到達する熱量を増加させ、記録層物質の消去温度を越
える様にする。 (9) マスク層の最大吸収波長を、使用するレーザー
波長に限りなく近づけることで、レーザー光の吸収効率
を大きくし、再生時に必要なレーザパワーを高める。こ
れにより、再生時に記録層に到達する光量を増加させ、
記録層の温度上昇を助ける。マスク層の消色温度以下
で、充分、記録層の消去温度を得ることが出来る。
【0018】(10) 顕色剤物質と色素物質で構成さ
れたサーモクロミック材料の融点を高温側に設定するこ
とにより、所謂、マスク層の消色温度そのものを高温側
にすることで、再生に必要なレーザーパワーを増大さ
せ、これにより、再生時に記録層に到達する光量を増加
させ、記録層の温度上昇を助ける。マスク層の消色温度
以下で、充分、前記記録層の消去温度を得ることが出来
る。
【0019】さて、本発明の光情報記録媒体の第1実施
例であるROM型光ディスクIは、図1に示すように、
光透過性樹脂基板2上に、マスク層3、反射層4、保護
層5を順次積層して成る。再生用レーザー光は樹脂基板
2側から照射される。
【0020】光ディスクIにおいて、マスク層3側の表
面にピットや凹凸を持つ光透過性の樹脂基板2は、ポリ
カーボネート樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、エ
ポキシ樹脂など、通常、光ディスク基板として用いられ
るものが使用可能である。ピットやグルーブの形成方法
には特に制限はなく通常の射出成形やフォトポリマー成
形法等で形成される。マスク層3はサーモクロミック物
質として種々のものを使用することが出来るが、例え
ば、電子供与呈色化合物と電子受容性顕色剤の混合物が
などが適する。電子供与呈色化合物としては、フルオラ
ン系化合物、スピロピラン系化合物、フタリド系化合
物、ラクタム系化合物などがあげられる。電子受容性顕
色剤としては、フェノール系化合物、ビスフェノール系
化合物などがあげられる。
【0021】反射層4は一般に光ディスクに使用されて
いる反射膜材料と同様であり、金、銀、アルミニウムな
どの金属や微量の金属や半金属を添加した合金の薄膜で
構成される。反射層4の上には、媒体保護の目的で必要
に応じて保護層5を設ける。この保護層5は、紫外線硬
化樹脂をスピンコート法によって、形成することが出来
る。
【0022】本発明の光情報記録媒体の第2実施例であ
るROM型光ディスクIIは、図2に示すように、樹脂基
板2上に、誘電体層8、マスク層3、誘電体層7、反射
層4、保護層5を順次積層して成る。再生用レーザー光
は樹脂基板2側から照射される。
【0023】光ディスクIIは、図2に示すように、光透
過性基板2とマスク層3間、マスク層3と反射層4間に
透明無機物からなる誘電体層7,8をそれぞれ設けてい
る。誘電体層7,8は放熱の必要性、光干渉性等の必要
性に応じて使用され、主に、金属酸化物、非金属酸化
物、金属ハロゲン化物、金属硫化物、金属窒化物等やこ
れらの混合物が使用される。例えば、二酸化珪素、フッ
化マグネシウム、硫化亜鉛、窒化ケイ素等があげられ
る。
【0024】本発明の光情報記録媒体の第3実施例であ
る記録再生型光ディスクIIIは、図3に示すように、樹
脂基板2上に、マスク層3、記録層9、反射層4、保護
層5を順次積層して成る。記録又は再生用レーザー光は
樹脂基板2側から照射される。
【0025】光ディスクIIIにおいて、マスク層3側の
表面にグルーブ溝を持つ光透過性の樹脂基板2は、ポリ
カーボネート樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、エ
ポキシ樹脂など、通常、光ディスク基板として用いられ
るものが使用可能である。グルーブの形成方法には特に
制限はなく射出成形法や2P法等の通常の方法で形成さ
れる。マスク層3はサーモクロミック物質として種々の
ものを使用することが出来るが、例えば、電子供与呈色
化合物と電子受容性顕色剤の混合物がなどが適する。電
子供与呈色化合物としては、フルオラン系化合物、スピ
ロピラン系化合物、フタリド系化合物、ラクタム系化合
物などがあげられる。電子受容性顕色剤としては、フェ
ノール系化合物、ビスフェノール系化合物などがあげら
れる。
【0026】記録層9は相変化物質、光磁気物質、有機
系ライトワンス物質等を使用出来るが、相変化物質とし
ては、GeSbTe系合金、AgInSbTe系合金な
どがあげられる。光磁気物質としては、TbFeCo系
物質等があげられる。有機系ライトワンス物質として
は、アゾ金属錯体系色素、シアニン系色素、フタロシア
ニン系色素などがあげられる。反射層4は一般に光ディ
スクに使用されている反射膜材料と同様であり、金、
銀、アルミニウムなどの金属や微量の金属や半金属を添
加した合金の薄膜で構成される。反射層4の上には、媒
体保護の目的で必要に応じて保護層5を設ける。この保
護層5は、紫外線硬化樹脂をスピンコート法によって、
形成することが出来る。
【0027】本発明の光情報記録媒体の第4実施例であ
る記録再生型光ディスクIVは、図4に示すように、樹脂
基板2上に、マスク層3、誘電体層8、記録層9、誘電
体層7、反射層4、保護層5を順次積層して成る。記録
又は再生用レーザー光は樹脂基板2側から照射される。
【0028】光ディスクIVは、図4に示すように、マス
ク層3と記録層9間、記録層9と反射層4間に透明無機
物からなる誘電体層7,8をそれぞれ設けている。誘電
体層7,8は放熱の必要性、光干渉性等の必要性に応じ
て使用され、主に、金属酸化物、非金属酸化物、金属ハ
ロゲン化物、金属硫化物、金属窒化物等やこれらの混合
物が使用される。例えば、二酸化珪素、フッ化マグネシ
ウム、硫化亜鉛、窒化ケイ素等があげられる。
【0029】つぎに、本発明の光情報記録媒体の<具体
例1>〜<具体例3>について説明する。
【0030】<具体例1>8/16変調信号が微小なピ
ット(3Tマーク長0.26μm)として設けられたポリカ
ーボネート樹脂基板を、金属スタンパにより射出成形
し、このピット形成面上に、電子供与呈色化合物とし
て、GN―2(山本化成製)を、電子受容性顕色剤とし
て、ビスフェノールAを、真空蒸着法により、共蒸着成
膜し、膜厚モニター上でGN―2とビスフェノールAの
比率を約1:2に設定し、膜厚350nmのマスク層を
形成した。
【0031】次に、マスク層上に、反射層として、アル
ミニウムを真空スパッタリング法にて、70nmの厚さ
に形成した。更に、保護膜として、紫外線硬化樹脂XR
11(住友化学製)をスピナー法にて、約7μmの厚さ
で形成し、ROM型光ディスクを作製した。
【0032】上記光ディスクを開口数NA0.6の対物
レンズと、波長635nmの半導体レーザを搭載したプ
レーヤで再生した。再生の線速度は3.5m/s、再生パ
ワーは、4.0mWに設定した。4.0mW以下の再生
パワーでは、マスク層の透過率が増大しないため信号を
読み出すことができなかった。
【0033】最短マークである3Tの信号振幅I3Tと最
長マークである14Tの信号振幅I 14Tを測定し、I3T/
14Tを求めた。1回目の再生ではI3T/I14T=0.6
0であったが、10回目の再生ではI3T/I14T=0.2
0と低下し、信号品質が劣化しジッタが15%以上とっ
て再生不可能となった。
【0034】<具体例2>案内溝としてトラックピッチ
0.74μmのグルーブが設けられたポリカーボネート
樹脂基板を、金属スタンパにより、射出成形し、このグ
ルーブ形成面上に、電子供与呈色化合物として、GN―
2(山本化成製)を、電子受容性顕色剤として、ビスフ
ェノールAを、真空蒸着法により、共蒸着成膜し、モニ
ター上でGN―2とビスフェノールAの比率を約1:2
に設定し、膜厚370nmのマスク層を形成した。
【0035】次に、マスク層上に、誘電体層として、Z
nS−SiO2を真空スパッタ法により、75nmの厚
さに形成した。その上に記録層として、Ag5In5Sb
60Te30を、真空スパッタ法により、20nm形成し
た。誘電体層として、ZnS−SiO2を真空スパッタ
法により、17nmの厚さに形成した。更に、反射層と
して、アルミニウムチタン合金(Al97.5Ti2.5wt%)
を真空スパッタリング法にて、150nmの厚さに形成
した。更に、保護膜として、紫外線硬化樹脂XR11
(住友化学製)をスピナー法にて、約6μmの厚さで形
成し、書き換え型光ディスク(相変化型光ディスク)を
作製した。
【0036】上記光ディスクを開口数NA0.6の対物
レンズと、波長635nmの半導体レーザを搭載したプ
レーヤで記録再生した。はじめに、線速度3.5m/sで
レーザ光を分割パルスパターンに変調して記録を行っ
た。ピークパワー14mW、消去パワー7.0mW、ボ
トムパワー0.5mWに設定した。記録信号は8/16
変調で、クロック周波数は38.6MHzであった。つ
いで、線速度3.5m/sで、再生パワー3.5mWで再
生を行った。3.5mW以下の再生パワーでは、マスク
層の透過率が増大しないため信号を読み出すことができ
ない。
【0037】最短マークである3Tの信号振幅I3Tと最
長マークである14Tの信号振幅I 14Tを測定し、I3T/
14Tを求めた。1回目の再生ではI3T/I14T=0.5
0であったが、2回目の再生ではI3T/I14T=0.10
と低下し、信号品質が著しく劣化した。1回目の再生時
に記録層に形成されたアモルファス状態の記録マーク
が、再生光を吸収して昇温し結晶化したため記録マーク
が消去され、信号が再生できなくなった。
【0038】<具体例3>マスク層の膜厚を200nm
から400nmまで変えた他は実施例2と同様にして相
変化型光ディスクを作製し、記録を行った。ついで、線
速度3.5m/sで、再生パワーを1.5から4.0mW
に設定して再生を行った。マスク層の膜厚と再生可能回
数(I3T/I14T>0.20)を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】表1に示すように、マスク層の膜厚が厚く
なるにつれて、マスク層の透過率が増大し超解像効果が
出現する再生パワーも増大する。これに伴い相変化記録
マークが消去され易くなり再生可能回数は減少する。マ
スク層の膜厚と再生パワーを調整することにより再生可
能回数を任意に設定することが可能であった。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、再
生回数に制限を設けた光情報記録媒体を提供することが
できる。これによって、情報の発信側と受信側の当事者
だけに限定した情報交換が出来る。光情報記録媒体の再
生の可否を判別するだけで、再生の前か後か判別でき
る。記録を後に残したくない用途が広がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光情報記録媒体の第1実施例の積層状
態を説明するための図である。
【図2】本発明の光情報記録媒体の第2実施例の積層状
態を説明するための図である。
【図3】本発明の光情報記録媒体の第3実施例の積層状
態を説明するための図である。
【図4】本発明の光情報記録媒体の第4実施例の積層状
態を説明するための図である。
【符号の説明】
2 樹脂基板(光透過性基板) 3 サーモロクロミック層(マスク層) 4 反射層 5 保護層 7,8 誘電体層 9 記録層 I〜IV 光ディスク(光情報記録媒体)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 情報信号が微小凹凸形状によって予め記
    録されている光透過性基板上に、少なくとも、マスク層
    と反射層とを順次積層して成る光情報記録媒体であっ
    て、 前記マスク層は、 前記光透過性基板側から入射する再生用レーザー光が連
    続照射される照射部分の温度が消色温度以上になった場
    合には、前記照射部分の一部分の光透過率が高くなって
    光スポット径を実質的に縮小して前記再生用レーザー光
    を前記反射層側へ出射して前記反射層側からの戻り光を
    前記光透過性基板側へ出射することにより前記情報信号
    を再生し、かつこの再生後に前記照射部分の蓄熱によっ
    て内部組成を変化させることにより、ディスク超解像機
    能を喪失するサーモクロミック材料から成ることを特徴
    とする光情報記録媒体。
  2. 【請求項2】 グルーブ部を有する光透過性基板上に、
    少なくとも、マスク層と記録層と反射層とを順次積層し
    て成る光情報記録媒体であって、 前記マスク層は、前記記録層の消去温度よりも高い消色
    温度を有しており、前記光透過性基板側から入射する再
    生用レーザー光が連続照射される照射部分の温度が消色
    温度以上になった所定時間以内の場合には、前記照射部
    分の一部分の光透過率が高くなって光スポット径を実質
    的に縮小して前記再生用レーザー光を前記記録層側へ出
    射して前記反射層側からの戻り光を前記光透過性基板側
    へ出射することにより前記情報信号を再生するサーモク
    ロミック材料から成り、 前記記録層は、前記マスク層側から入射する前記再生用
    レーザー光が連続照射される照射部分の蓄熱によって、
    既に記録されている情報信号を消去する記録材料から成
    ることを特徴とする光情報記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記記録層は、相変化記録材料から成る
    ことを特徴とする請求項2記載の光情報記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記マスク層は、少なくとも電子供与呈
    色化合物と電子受容性顕色剤とを含むサーモクロミック
    材料から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項3の
    いずれかに記載の光情報記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記電子供与呈色化合物が少なくともロ
    イコ染料を含む化合物であり、前記電子受容性顕色剤が
    少なくともビフェニール系化合物を含む化合物であるこ
    とを特徴とする請求項4記載の光情報記録媒体。
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