JP2001064792A - 電解槽 - Google Patents

電解槽

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JP2001064792A JP24281599A JP24281599A JP2001064792A JP 2001064792 A JP2001064792 A JP 2001064792A JP 24281599 A JP24281599 A JP 24281599A JP 24281599 A JP24281599 A JP 24281599A JP 2001064792 A JP2001064792 A JP 2001064792A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】ゼロ・ギャップ電解槽において、陽イオン交換
膜を挟持するための弾性体に過大な圧縮圧力が掛り、復
元力が減少・減失し、延いては電解電圧が上昇すること
を防止する。 【解決手段】弾性体7が弾性限界を超えないように下支
え用ストッパー8を、該弾性体が存在する電極室内に設
けた電解槽。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、陽イオン交換膜を
隔膜として用いるアルカリ金属塩、特に塩化ナトリウム
等の電解に用いられるイオン交換膜電解槽に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、アルカリ金属塩水溶液の電解によ
る水酸化アルカリ金属の製造、特に塩化ナトリウム水溶
液の電解により、水酸化ナトリウム及び塩素を製造する
方法として、陽イオン交換膜を挟んで、陽極室と陰極室
とで構成され、陽極室には陽極を、陰極室には陰極をそ
れぞれ存在させ、陽極室にアルカリ金属水溶液を、また
陰極室にアルカリ金属水酸化物水溶液を満たして、両電
極間に直流電流を通し、電解を行う方法及びそれに用い
られるイオン交換膜電解槽は、周知である。
【0003】アルカリ金属塩(以下塩化ナトリウムを代
表として説明するが、その他のアルカリ金属塩に対して
も、当業者は、容易に適用し得るものである)の電解に
あっては、理論上、理論分解電圧をかけることにより、
所謂ファラデーの法則に従って、消費した電力に相当す
る水酸化ナトリウム、塩素及び水素が得られる。しかし
ながら、一般に電極の過電圧、イオン交換膜の電気抵
抗、電極間に存在する塩化ナトリウム水溶液や水酸化ナ
トリウム水溶液の電気抵抗等により、電極間電圧の上昇
を来し、電力の損失を生ずる。
【0004】そこで、電極やイオン交換膜の改良が種々
行われているが、併せて電極間距離を小さくする試みも
種々なされており、陽・陰両電極で薄い固体電解質膜を
実質的に挟持させた形の電解槽、所謂ゼロ・ギャップ電
解槽も提案されている。本発明も、ゼロ・ギャップ電解
槽の改良に係る発明である。
【0005】ゼロ・ギャップ電解槽にあっては、陽イオ
ン交換膜を挟持する少なくとも一方の部材に弾力を持た
せ、陽イオン交換膜の破損につながる応力を吸収しよう
とする試みがなされ、特公昭63−53272号、特公
平5−34434号、特開昭57−85981号等が提
案されている。これらの提案のうち、例えば特公昭63
−53272号による発明にあっては、イオン交換膜を
挟んで一方の表面に比較的剛性の粗目スクリーン電極と
他方の表面に可撓性或いは柔軟性の薄いスクリーン電極
とを設け、該薄いスクリーン電極の裏側に、圧縮時の
1.5倍以上の体積を有する弾力的圧縮性マットを給電
体として設け、該マットは金属ワイヤーからなる一連の
螺旋状コイルの織物であるアルカリ金属塩化物水溶液の
電解槽を提案している。同様に、特公平5−34434
号に記載の発明は、陽・陰両電極のうち、一方の電極と
して、一ヶ所の孔の面積が0.05mm2〜1.0mm2
の多数の孔を有し、且つ開孔率が20%以上の多孔体電
極面が、0.1〜1mmのワイヤーの集合体よりなり空
隙率30%以上の集電体によって裏打ちされたイオン交
換膜法アルカリ金属塩電解の電解槽を提案している。
叉、特開昭57−85981号公報には、陽イオン交換
膜の少なくとも一方の表面に電極活性を持たない多孔質
層を設け、この多孔質層付着陽イオン交換膜を少なくと
も一方は可撓性電極である両電極間に挟み、該可撓性電
極はクッション性を有する導電性支持体で支持する構造
の電解槽が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の如く、固体電解
質膜を陽・陰両電極間で挟持する構造の電解槽における
構造上の共通の特徴は、陽・陰両電極間に挟持される陽
イオン交換膜の破損を避けるため及び陽・陰両電極間距
離を最少に保つため、少なくとも一方の電極は可撓性材
料とし、これを弾力性部材で押し、挟持圧を調節する点
にある。
【0007】弾力性部材としては、金属繊維からなる織
物(編物を含む)或いは不織布等のマット状物やコイル
バネ、板バネなどであり、いずれも何等かのバネ弾性を
有するものである。
【0008】かかる構造にあっては、電解槽組立時に弾
性部材は圧縮変形され反発力を生ずるが、この反発力が
過度に大きければ、陽イオン交換膜は電極間に強く挟ま
れ機械的に劣化し、ブリスター(イオン交換膜に生じる
水泡)が発生する等膜破壊を生ずる。そこで、該反発力
(所謂バネ弾性率)は、電解槽の運転時の圧力変動によ
る陽イオン交換膜の振動を抑制し得る限度で可及的に小
さくすることが望ましい。
【0009】しかしながら、バネ弾性率の小さい弾性体
を用いると、電解槽の陽極室・陰極室間の圧力バランス
が崩れ、弾性体を圧縮する方向に過度に圧力が掛った場
合、例えば電解槽の液抜き時に、弾性体の存在する側の
電極室(通常陰極室)に存在する液が、陽イオン交換膜
を介して対向する電極室(通常陽極室)に存在する液よ
りも早く抜けた場合、或いは液張り時に陽極室の方に早
く液が張られた場合等、陽イオン交換膜及び電極が、弾
性体を強く圧縮する力が加わることになり、ついには該
弾性体にフックの法則に従う応力範囲を超える破壊荷重
となり、該弾性体の復元力が失われるに至る。一旦復元
力を失った弾性体は、電解槽運転時に電極を前方に押し
出す力がなく、陽・陰両電極間距離を正常に保つことが
できなくなり、場合によっては電極と弾性体との電気伝
導性も低下し、電解槽電圧が上昇するなどの問題を生ず
る。また陽イオン交換膜が完全に挟持されなくなり、電
解槽運転時の電解槽内圧力変動により、陽イオン交換膜
が振動し、電極との間で摩擦を生じて膜の破損を生ずる
こともある。
【0010】そこで、本発明者らは、ゼロ・ギャップ方
式のイオン交換膜電解槽において、陽イオン交換膜の挟
持のための弾性体による挟持圧力を可及的に小さくする
ため弾性体のバネ弾性率を小さくすることと、該弾性体
に弾性限界を超える過度の圧縮応力が掛かった場合であ
っても復元力が減少又は減失しないという、一見相矛盾
する課題を解決すべく鋭意検討を行ない本発明を完成し
た。
【0011】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、陽イオ
ン交換膜を挟んで陽極室と陰極室とで構成された電解槽
であって、陽極室は陽極室枠、背面壁及び陽イオン交換
膜で区画され、その内部に多孔板陽極が存在し、陰極室
は陰極室枠、背面壁及び陽イオン交換膜で区画され、そ
の内部に多孔板陰極が存在し、且つ陽・陰両電極はイオ
ン交換膜を介して近接対峙しており、前記陽・陰電極の
内、一方の電極(A電極という)は複数枚の電導リブに
より背面壁に電気的に接続させると共に固定されてお
り、他方の電極(B電極という)は弾性体を介して、そ
の背後に存在する集電板に電気的に接続されており、該
集電板は背面壁に電気的に接続されており、電解槽が組
み立てられたとき、弾性体が圧縮され、その反発力によ
ってB電極を前方に押し、それによって陽イオン交換膜
をA電極に押しつける状態となる構造であり、前記B電
極の存在する電極室には、陽・陰電極室内の圧力変動に
よる電極のB電極室内への落ち込みが弾性体の圧縮によ
る弾性限界を越えないように、下支え用ストッパーが設
けられていることを特徴とする電解槽である。
【0012】ここで、弾性限界とは、弾性体に圧縮歪を
あたえた後、これを解放したとき、元の状態乃至はその
60%まで、好ましくは80%まで復元し得る歪の範囲
をいう。
【0013】また本発明にあっては、上記A電極は剛体
多孔板、例えば剛性を有するエキスパンドメタルなどで
構成され、B電極は柔軟な可撓性多孔板、例えば金属ワ
イヤーで織った(又は編んだ)金網や薄い金属のパンチ
ドメタル等とすることが好ましい。
【0014】弾性体については、金属ワイヤーの織物
(編み物を含む)に捲縮加工やヘリボーン加工を施した
金網を数枚重ね合せて弾力性をもたせたマツト状物を用
いるのが好ましい。
【0015】また、弾性体の弾性率は、一般に1平方セ
ンチ当り4g〜40g、好ましくは6g〜10g(以
下、弾性率は全て1cm2当りを表す)とするのがよ
い。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の特徴の一つは、従来公知
のゼロ・ギャップ電解槽の構造において、弾性体が陽イ
オン交換膜を介して、反応側にある電極室内圧により、
圧縮応力を受けたとき、その歪みが、弾性の限界を超え
ないよう下支え用ストッパー機構を有する点にある。
【0017】アルカリ金属ハロゲン化物、例えば塩化ナ
トリウム水溶液のイオン交換膜法による電気分解にあっ
ては、通常、陰極室内圧を陽極室内圧よりも40cm乃
至100cm水柱程度高くし、陽イオン交換膜は陽極に
押し付けられた状態で電解が行われる。そのため、ゼロ
・ギャップ電解槽においては弾性体は陰極室に用いられ
る場合が多い。従って以下の説明においては、陰極室に
弾性体を装着した電解槽について説明する。しかしなが
ら、弾性体は陽極室に装着することも可能であり、以下
の説明から、その態様は極めて容易に理解される。
【0018】該下支え用ストッパーは、陽極室内圧が陰
極室内圧を上廻わり、弾性体が圧縮応力を受けた場合、
その歪みが弾性体の弾性限界を超える地点以前に陰極を
支える構造であれば特に限定されない。例えば、弾性体
よりも厚さが薄く、且つ弾性率の大きい織物(又は編
物)を弾性体と集電板との間に存在させる方法、集電板
上に弾性体の厚みよりも小さい長さの突起物を複数個、
例えば10cm2当り1〜4本程度の割合で植設する方
法或いは、弾性体を複数に分割し、その間隙に該弾性体
の厚みよりも小さい上下方向のリブ状物を集電板に設置
する方法等が行われる。
【0019】上述のとおり、下支え用ストッパーの役割
は、陽極室の内圧が陰極室の内圧を上廻り、陽イオン交
換膜及び陰極が、陰極室内に装着されている弾性体の反
発力を上廻って、陰極室内に落ち込んだ場合、弾性体は
圧縮され、ついには下支え用ストッパーと同一高さに至
ると以降は該下支え用ストッパーが主として陰極の落ち
込みを支えることになるが、該下支え用ストッパーの弾
性率は大きいか或いは剛体であるため、それ以上の落ち
込みは実質的に回避される。併せて弾性体が弾性限界を
超えることも避けるのである。従って、弾性体と下支え
用ストッパーとの関係は、電解槽の通常運転時には電解
槽の圧力変動は、弾性体の反発力の範囲内で吸収され、
弾性体に異常な圧縮応力が掛った時にのみ下支え用スト
ッパーの位置まで弾性体が圧縮されるが、なおその置点
までの歪は弾性限界の内に止まるところでなければなら
ない。
【0020】下支え用ストッパーは完全な剛体であって
もよいが、より好ましくは、弾性体の有する弾性率より
も6〜20倍程度の弾性率を有する弾性体で構成され
る。このようにすることによって、下支え用ストッパー
も場合によって生じる陽・陰極室の極めて大きな圧力変
動に対して2段階の緩衝作用を示すことができるのであ
る。勿論この場合には、下支え用ストッパーが最初に機
能する位置は、弾性体の弾性限界内の限界点よりも内側
でなければならない。その位置は用いる下支え用ストッ
パーの弾性率の大きさにもよるが一般に弾性体の弾性限
界に至るまでの1/2〜3/4程度の位置とするのが好
ましい。また、下支え用ストッパーも金属材料とするこ
とにより、電極と集電板との導電性についても貢献する
こともできる。
【0021】図1により本発明の基本的構成を説明す
る。即ち、図1は、本発明の複極式電解槽の一つのセル
を開いて示したものである。勿論単極式電解槽について
も同様に適用することが可能である。図1にあっては理
解を容易にするため、本発明の説明に関係しない部分は
省略されている。
【0022】図中、1は陽極室枠で、2は陽極室背面壁
である。3は陽極電導リブで、4は陽極である。ハロゲ
ン化アルカリ金属水溶液の電解、例えば塩化ナトリウム
の電解にあっては、陽極で塩素を発生するため、通常チ
タン材など耐塩素性材料で構成するか、または陽極室内
面がライニングされている。陽極リブや陽極も通常チタ
ン材である。陽極は比較的剛性の高い多孔板、例えばエ
キスパンドメタル、パンチドメタル、剛性を持つ太い金
属線で構成された金網、金属棒を格子状或いは縦方向に
接続したものなどである。エキスパンドメタルやパンチ
ドメタルの場合一つの孔の大きさは2〜100mm2
好ましくは4〜30mm2の孔が多数存在する。開孔率
は20%以上特に30〜70%が好ましい。また陽極に
は、白金族金属や白金族金属酸化物或いはこれらと周期
律表第4族乃至第8族金属酸化物との混合物等の陽極活
物質がコートされている。5は、陽イオン交換膜であ
る。通常ナフィオン(商品名)などパーフルオロカーボ
ンを骨格とし、側鎖にパーフルオロアルキルエーテル基
を有し、該側鎖にスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸
基叉はそれらの混合基などのイオン交換基を有する。中
でもカルボン酸基を有する陽イオン交換膜が優れてい
る。6は陰極であり、通常軟鋼やニッケルの多孔板、即
ち、パンチドメタルやメッシュ(金網)等であり、場合
によっては陰極活物質として、例えば含硫黄ニッケルメ
ッキや、ニッケルと周期律表第6属叉は第8属金属(ニ
ッケルを除く)との合金メッキが施されている。一般に
可撓性を有するものが好ましい。7は弾性体であり、図
1はマット状物を示している。この場合、軟鋼叉はニッ
ケルのワイヤーの集合体、特にコイル状物を相互に絡ま
せた構造や、織物(叉は編物)にクリンプを施したもの
や更にヘリボーン加工を施し、弾力を付与したものを数
枚重ね合せたマット状物が好ましい。通常は電解槽が組
み上がった状態で、該弾性体は30〜70%の体積に圧
縮されており、その反発力によりイオン交換膜及び陰極
を陽極側に押し付ける働きをする。このときの弾性率は
一般に40g/mm以下、特に6g/mm〜10g/m
m程度とするのが好ましい。8は電解槽内の圧力が逆転
した場合のための下支え用ストッパーである。図1にあ
っては、弾性体と下支え用ストッパーとが共に織物(又
は編物)であって、該下支え用ストッパーは集電板と接
する側にマット状弾性体と重ね合せて装着されている。
この下支え用ストッパーは、弾性体と同様、必要に応じ
てヘリボーン加工されており、前記弾性体の厚さ(山・
谷間の長さ)の1/2〜1/4の厚さで、弾性体の押圧
強度(バネ弾性率)の6〜20倍、例えば36〜200
g/mm程度の弾性率を有する。9は陰極集電板で、一
般に剛性のある多孔板、例えばエキスパンドメタル、パ
ンチドメタル、剛性のある金属線の織物叉は金属棒を適
当な間隔で平行に並べたスダレ状物等である。10は陰
極リブであり、陰極室枠11の背面壁12に電気的に接
続されている。尚、陰極リブを用いないで、陰極集電板
を背面壁に一体化し、実質的に背面隔壁に至るまで弾性
体及びストッパーで埋めることも可能であるが、電極室
内液のスムースな流れを確保するためには集電板と背面
壁との間に間隔を持たせる構造が好ましい。
【0023】図2は、本発明の別の態様を示す図であり
図2に付した符号は、図1と同じものを表す。本例では
陰極6は剛性のある軟鉄又はニッケル性のエキスパンド
メタル又はパンチドメタル或いは耐アルカリ性の金属棒
などでその構造は、陽極の場合と同じであってよい。一
般にSW1〜5mm、LW4〜8mm程度のエキスパン
ドメタルが好適に用いられる。場合によっては陰極活物
質として、例えば含硫黄ニッケルメッキや、ニッケルと
周期律表第6属叉は第8属金属(ニッケルを除く)との
合金メッキが施されている。7はニッケルの板バネであ
り、通常は電解槽が組み上がった状態で、板バネは30
〜70%、好ましくは40〜60%に圧縮される。8は
電解槽内の圧力が逆転した場合のための下支え用ストッ
パーである。該ストッパーの形状については、板バネの
反発力を失わなければ、どのような形状でもよい。9は
陰極集電板で、一般に剛性のある多孔板、例えばエキス
パンドメタル、パンチドメタル、剛性のある金属線の織
物叉は金属棒を適当な間隔で平行に並べたスダレ状物等
である。10は陰極リブであり、陰極室枠11の背面壁
12に電気的に接続されているが、陰極集電板を背面壁
に一体化し、背面壁に直接板バネ及び下支え用ストッパ
ーで接する構造も可能である。
【0024】図3乃至5は、本発明の別の態様における
弾性体と下支え用ストッパーの関係を示す図である。図
3は集電板が背面壁に一体化された態様であり、陽イオ
ン交換膜5及び陰極6が軟鉄及び(又は)ニッケルワイ
ヤーで構成されたマット状弾性体を押圧して、陰極室内
に落ち込んだ場合、集電板と一体化した背面壁から植設
されている下支え用ストッパーによって該陰極を支える
構造である。集電体上に植設される下支え用ストッパー
の間隔は、陰極の剛性が大きい程、開いてよく、剛性が
小さく可撓性である程間隔は密にしなければならない。
一般に下支え用ストッパーが剛体である場合は10cm
2当り、1〜4個程度である。又図3に示すようにスト
ッパーの先端で、陰極に接する可能性のある部分は拡大
して、多孔板陰極を傷付けることなく、支えられるよう
にするのが好適である。
【0025】図4は、集電板が背面壁と一体化された構
造で、且つ弾性体が板バネの例である。図4にあって
は、下支え用ストッパーは縦長のリブ状構造である。一
般に板バネやコイルバネを弾性体とする場合には、該弾
性体が陰極と接する面積は物理的に小さくなるため、陰
極自体がより大きい剛性を有する必要がある。更に陰極
と弾性体との電気的接続を十分確保するため、溶接等に
よって、固着させるのが好ましい。勿論弾性体がマット
状物の場合であっても、部分的に溶接固着することがで
きる。
【0026】図5は、図4において陽イオン交換膜5を
除いて前から見た図である。板バネ状の弾性体7とリブ
状に縦方向に列べられた下支え用ストッパー8との関係
を示す図である。
【0027】勿論、図3及び図4は、集電板と背面壁と
が一体化した場合を示したが、集電板と背面壁との間に
間隙を持たせた構造とすることも任意にできる。
【0028】以上、弾性体と下支え用ストッパーとの関
係の数例を示したが、本発明は図示された関係に止まら
ず、下支え用ストッパーと弾性体及びその他の電解槽構
造との組み合わせは全く任意である。
【0029】以下比較例及び実施例により、本発明を更
に具体的に説明する。 比較例1 電極が図1に示す構造にある電解槽を用いて、塩化ナト
リウム水溶液の電解を行った。通電部となる室枠の中空
部は、縦116cm、横238cmの大きさで、電極室
の厚みは4.4cmであった。叉、かかる電解槽の陽極
室の電導リブは、14cm間隔で24枚設置した。陽極
は剛性のあるチタン製のパンチドメタルに活性物質を被
服したものを用いた。陰極については、線径0.15m
m、開口率68%、各孔の面積0.49mm2のニッケ
ルにNi3Sn2の合金メッキしたものを使用した。弾性
体としては、ニッケル製の線径0.08mmのワイヤー
を4本まとめて編んだ金網を4枚重ねて1.4cmピッ
チでクリンプしたマット状のもので、50%圧縮時の弾
性率12g/mm、20%圧縮時の弾性率16g/m
m、電槽組立時の圧縮率50%、弾性率12g/mmの
ものを用いた。使用した陽イオン交換膜は、ナフィオン
N−981(デュポン社製)を用いた。
【0030】以上の構造の電解槽による電解は、電流密
度40A/dm2、電解温度85℃、陽極室内圧力5.
9KPa、陰極室圧力9.8KPaで約2ヶ月電解し
た。この電解における電圧は、2.95vであった。そ
の後、入口ホース取替のため、陽極液・陰極液を脱液し
たときに、陰極側へのN2投入量が少なく、陰極側に1
0KPaの圧力がかかった。入口ホース取替後、再度電
解したところ、電圧が3.5vまで上昇した。原因は、
弾性マットの反発力がうしなわれて、電極への電気伝導
性がなくなり、Niの集電板で電気分解が起こったため
である。
【0031】比較例2 電極が図2に示す構造の電解槽を用いて、塩化ナトリウ
ム水溶液の電解を行った。通電部となる室枠の中空部
は、縦116cm、横238cmの大きさで、電極室の
厚みは4.4cmであった。叉、かかる電解槽の陽極室
の電導リブは、14cm間隔で24枚設置した。使用す
る陽極は比較例1において用いたのと同じチタン製のパ
ンチドメタルに活性物質を被服したものを用いた。陰極
については、縦58cm、横119cmのSW3mm、
LW6mmの剛性のあるニッケル製エキスパンドメタル
にNi3Sn2の合金メッキを施したものを4枚並べて用
いた。陰極と集電板との間はニッケルの板厚0.5m
m、幅4cm、長さ8cmの板バネが弾性体として12
0枚溶接されている。板バネは、電槽組立時の圧縮率5
0%、弾性率50g/mmのものを用いた。使用したイ
オン交換膜は、ナフィオンN−981(デュポン社製)
を用いた。以上の構造の電解槽による電解は、電流密度
40A/dm2、電解温度85℃、陽極室内圧力5.9
KPa、陰極室圧力9.8KPaで約1ヶ月電解した。
この電解における電圧は、3.00vであった。その
後、膜取替のため、陽極液・陰極液を脱液したときに、
陰極側へのN2投入量が少なく、陰極側に20KPaの
圧力がかかった。膜取替後、再度電解したところ、電圧
が3.07vまで上昇した。原因は、板バネの反発力が
うしなわれて、電極と膜間が2mmあり、溶液抵抗によ
り電圧が上昇した。
【0032】実施例1 電解槽の構造、電解条件は比較例1と同じであるが、弾
性マットと集電板との間に弾性マットの反発力がうしな
われないように、同形状のマットでニッケル製の線径
0.25mmのワイヤーを2本まとめて編んだ金網を2
枚重ねてクリンプしたもので、10%圧縮時の弾性率3
00g/mmのマットを設置した。この電解における電
圧は、2.95vであり、比較例1と同じであった。そ
の後、陰極室側に20KPaの圧力をかけたのち、再度
電解したところ、電圧は2.95vと変わらなかった。
【0033】実施例2 電解槽の構造、電解条件は比較例2と同じであるが、板
バネの間に反発力がうしなわれないように、高さ5mm
のリブを100mm間隔で集電板上に取付けた。この電
解における電圧は、3.00vであり、比較例2と同じ
であった。その後、陰極室側に20KPaの圧力をかけ
たのち、再度電解したところ、電圧は3.00vと変わ
らなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の電解槽の断面図である。
【図2】は、本発明の電解槽の断面図である。
【図3】は、本発明における弾性体と下支え用ストッパ
ーの関係を説明するための図である。
【図4】は、本発明における弾性体と下支え用ストッパ
ーの関係を説明するための図である。
【図5】は、本発明における弾性体と下支え用ストッパ
ーの関係を説明するための図である。
【符号の説明】
1…陽極室枠 2…陽極室背面壁 3…陽極リブ 4…陽極 5…陽イオン交換膜 6…陰極 7…弾性体 8…下支え用ストッパー 9…集電板 10…リブ 11…陰極室枠 12…陰極室背面壁

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陽イオン交換膜を挟んで陽極室と陰極室と
    で構成された電解槽であって、陽極室は陽極室枠、背面
    壁及び陽イオン交換膜で区画され、その内部に多孔板陽
    極が存在し、陰極室は陰極室枠、背面壁及び陽イオン交
    換膜で区画され、その内部に多孔板陰極が存在し、且つ
    陽・陰両電極はイオン交換膜を介して近接対峙してお
    り、前記陽・陰電極の内、一方の電極(A電極という)
    は複数枚の電導リブにより背面壁に電気的に接続させる
    と共に固定されており、他方の電極(B電極という)は
    弾性体を介して、その背後に存在する集電板に電気的に
    接続されており、該集電板は背面壁に電気的に接続され
    ており、電解槽が組み立てられたとき、弾性体が圧縮さ
    れ、その反発力によってB電極を前方に押し、それによ
    って陽イオン交換膜をA電極に押しつける状態となる構
    造であり、前記B電極の存在する電極室には、陽・陰電
    極室内の圧力変動による電極のB電極室内への落ち込み
    が弾性体の圧縮による弾性限界を越えないように、下支
    え用ストッパーが設けられていることを特徴とする電解
    槽。
  2. 【請求項2】A電極は剛体多孔板であり、B電極は可撓
    性を有する多孔板であり、該B電極は弾性体を介して、
    その背後に存在する集電板に電気的に接続されており、
    該集電板は複数の電導リブにより背面壁に電気的に接続
    されると共に背面壁との間に間隔を持って固定されてい
    る請求項1に記載の電解槽。
  3. 【請求項3】弾性体が金属ワイヤーよりなる織物(編物
    を含む)にヘリボーン加工を施した1平方センチ当たり
    の弾性率6g/mm〜10g/mmのマット状物であ
    り、下支え用ストッパーが金属ワイヤーよりなる織物
    (編物を含む)にヘリボーン加工を施した弾性率が前記
    弾性体の6〜20倍の弾性体である請求項1または2に
    記載の電解槽。
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