JP3772055B2 - 電解槽 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、陽イオン交換膜を隔膜として用いるアルカリ金属塩、特に塩化ナトリウム等の電解に用いられるイオン交換膜電解槽に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、アルカリ金属塩水溶液の電解による水酸化アルカリ金属の製造、特に塩化ナトリウム水溶液の電解により、水酸化ナトリウム及び塩素を製造する方法として、陽イオン交換膜を挟んで、陽極室と陰極室とで構成され、陽極室には陽極を、陰極室には陰極をそれぞれ存在させ、陽極室にアルカリ金属水溶液を、また陰極室にアルカリ金属水酸化物水溶液を満たして、両電極間に直流電流を通し、電解を行う方法及びそれに用いられるイオン交換膜電解槽は、周知である。
【0003】
アルカリ金属塩(以下塩化ナトリウムを代表として説明するが、その他のアルカリ金属塩に対しても、当業者は、容易に適用し得るものである)の電解にあっては、理論上、理論分解電圧をかけることにより、所謂ファラデーの法則に従って、消費した電力に相当する水酸化ナトリウム、塩素及び水素が得られる。しかしながら、一般に電極の過電圧、イオン交換膜の電気抵抗、電極間に存在する塩化ナトリウム水溶液や水酸化ナトリウム水溶液の電気抵抗等により、電極間電圧の上昇を来し、電力の損失を生ずる。
【0004】
そこで、電極やイオン交換膜の改良が種々行われているが、併せて電極間距離を小さくする試みも種々なされており、陽・陰両電極で薄い固体電解質膜を実質的に挟持させた形の電解槽、所謂ゼロ・ギャップ電解槽も提案されている。本発明も、ゼロ・ギャップ電解槽の改良に係る発明である。
【0005】
ゼロ・ギャップ電解槽にあっては、陽イオン交換膜を挟持する少なくとも一方の部材に弾力を持たせ、陽イオン交換膜の破損につながる応力を吸収しようとする試みがなされ、特公昭63−53272号、特公平5−34434号、特開昭57−85981号等が提案されている。これらの提案のうち、例えば特公昭63−53272号による発明にあっては、イオン交換膜を挟んで一方の表面に比較的剛性の粗目スクリーン電極と他方の表面に可撓性或いは柔軟性の薄いスクリーン電極とを設け、該薄いスクリーン電極の裏側に、圧縮時の1.5倍以上の体積を有する弾力的圧縮性マットを給電体として設け、該マットは金属ワイヤーからなる一連の螺旋状コイルの織物であるアルカリ金属塩化物水溶液の電解槽を提案している。同様に、特公平5−34434号に記載の発明は、陽・陰両電極のうち、一方の電極として、一ヶ所の孔の面積が0.05mm2〜1.0mm2の多数の孔を有し、且つ開孔率が20%以上の多孔体電極面が、0.1〜1mmのワイヤーの集合体よりなり空隙率30%以上の集電体によって裏打ちされたイオン交換膜法アルカリ金属塩電解の電解槽を提案している。叉、特開昭57−85981号公報には、陽イオン交換膜の少なくとも一方の表面に電極活性を持たない多孔質層を設け、この多孔質層付着陽イオン交換膜を少なくとも一方は可撓性電極である両電極間に挟み、該可撓性電極はクッション性を有する導電性支持体で支持する構造の電解槽が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の如く、固体電解質膜を陽・陰両電極間で挟持する構造の電解槽における構造上の共通の特徴は、陽・陰両電極間に挟持される陽イオン交換膜の破損を避けるため及び陽・陰両電極間距離を最少に保つため、少なくとも一方の電極は可撓性材料とし、これを弾力性部材で押し、挟持圧を調節する点にある。
【0007】
弾力性部材としては、金属繊維からなる織物(編物を含む)或いは不織布等のマット状物やコイルバネ、板バネなどであり、いずれも何等かのバネ弾性を有するものである。
【0008】
かかる構造にあっては、電解槽組立時に弾性部材は圧縮変形され反発力を生ずるが、この反発力が過度に大きければ、陽イオン交換膜は電極間に強く挟まれ機械的に劣化し、ブリスター(イオン交換膜に生じる水泡)が発生する等膜破壊を生ずる。そこで、該反発力(所謂バネ弾性率)は、電解槽の運転時の圧力変動による陽イオン交換膜の振動を抑制し得る限度で可及的に小さくすることが望ましい。
【0009】
しかしながら、バネ弾性率の小さい弾性体を用いると、電解槽の陽極室・陰極室間の圧力バランスが崩れ、弾性体を圧縮する方向に過度に圧力が掛った場合、例えば電解槽の液抜き時に、弾性体の存在する側の電極室(通常陰極室)に存在する液が、陽イオン交換膜を介して対向する電極室(通常陽極室)に存在する液よりも早く抜けた場合、或いは液張り時に陽極室の方に早く液が張られた場合等、陽イオン交換膜及び電極が、弾性体を強く圧縮する力が加わることになり、ついには該弾性体にフックの法則に従う応力範囲を超える破壊荷重となり、該弾性体の復元力が失われるに至る。一旦復元力を失った弾性体は、電解槽運転時に電極を前方に押し出す力がなく、陽・陰両電極間距離を正常に保つことができなくなり、場合によっては電極と弾性体との電気伝導性も低下し、電解槽電圧が上昇するなどの問題を生ずる。また陽イオン交換膜が完全に挟持されなくなり、電解槽運転時の電解槽内圧力変動により、陽イオン交換膜が振動し、電極との間で摩擦を生じて膜の破損を生ずることもある。
【0010】
そこで、本発明者らは、ゼロ・ギャップ方式のイオン交換膜電解槽において、陽イオン交換膜の挟持のための弾性体による挟持圧力を可及的に小さくするため弾性体のバネ弾性率を小さくすることと、該弾性体に弾性限界を超える過度の圧縮応力が掛かった場合であっても復元力が減少又は減失しないという、一見相矛盾する課題を解決すべく鋭意検討を行ない本発明を完成した。
【0011】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、陽イオン交換膜を挟んで陽極室と陰極室とで構成された電解槽であって、陽極室は陽極室枠、背面壁及び陽イオン交換膜で区画され、その内部に多孔板陽極が存在し、陰極室は陰極室枠、背面壁及び陽イオン交換膜で区画され、その内部に多孔板陰極が存在し、且つ陽・陰両電極はイオン交換膜を介して近接対峙しており、前記陽・陰電極の内、一方の電極(A電極という)は複数枚の電導リブにより背面壁に電気的に接続させると共に固定されており、他方の電極(B電極という)は弾性体を介して、その背後に存在する集電板に電気的に接続されており、該集電板は背面壁に電気的に接続されており、電解槽が組み立てられたとき、弾性体が圧縮され、その反発力によってB電極を前方に押し、それによって陽イオン交換膜をA電極に押しつける状態となる構造であり、前記B電極の存在する電極室には、陽・陰電極室内の圧力変動による電極のB電極室内への落ち込みが弾性体の圧縮による弾性限界を越えないように、下支え用ストッパーが設けられていることを特徴とする電解槽である。
【0012】
ここで、弾性限界とは、弾性体に圧縮歪をあたえた後、これを解放したとき、元の状態の60%まで復元し得る歪の範囲をいう。
【0013】
また本発明にあっては、上記A電極は剛体多孔板、例えば剛性を有するエキスパンドメタルなどで構成され、B電極は柔軟な可撓性多孔板、例えば金属ワイヤーで織った(又は編んだ)金網や薄い金属のパンチドメタル等とすることが好ましい。
【0014】
弾性体については、金属ワイヤーの織物(編み物を含む)に捲縮加工やヘリンボーン加工を施した金網を数枚重ね合せて弾力性をもたせたマット状物を用いるのが好ましい。
【0015】
また、弾性体の弾性率は、一般に1平方センチ当り4g〜40g、好ましくは6g〜10g(以下、弾性率は全て1cm2当りを表す)とするのがよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の特徴の一つは、従来公知のゼロ・ギャップ電解槽の構造において、弾性体が陽イオン交換膜を介して、反応側にある電極室内圧により、圧縮応力を受けたとき、その歪みが、弾性の限界を超えないよう下支え用ストッパー機構を有する点にある。
【0017】
アルカリ金属ハロゲン化物、例えば塩化ナトリウム水溶液のイオン交換膜法による電気分解にあっては、通常、陰極室内圧を陽極室内圧よりも40cm乃至100cm水柱程度高くし、陽イオン交換膜は陽極に押し付けられた状態で電解が行われる。そのため、ゼロ・ギャップ電解槽においては弾性体は陰極室に用いられる場合が多い。従って以下の説明においては、陰極室に弾性体を装着した電解槽について説明する。しかしながら、弾性体は陽極室に装着することも可能であり、以下の説明から、その態様は極めて容易に理解される。
【0018】
該下支え用ストッパーは、陽極室内圧が陰極室内圧を上廻わり、弾性体が圧縮応力を受けた場合、その歪みが弾性体の弾性限界を超える地点以前に陰極を支える構造であれば特に限定されない。例えば、弾性体よりも厚さが薄く、且つ弾性率の大きい織物(又は編物)を弾性体と集電板との間に存在させる方法、集電板上に弾性体の厚みよりも小さい長さの突起物を複数個、例えば10cm2当り1〜4本程度の割合で植設する方法或いは、弾性体を複数に分割し、その間隙に該弾性体の厚みよりも小さい上下方向のリブ状物を集電板に設置する方法等が行われる。
【0019】
上述のとおり、下支え用ストッパーの役割は、陽極室の内圧が陰極室の内圧を上廻り、陽イオン交換膜及び陰極が、陰極室内に装着されている弾性体の反発力を上廻って、陰極室内に落ち込んだ場合、弾性体は圧縮され、ついには下支え用ストッパーと同一高さに至ると以降は該下支え用ストッパーが主として陰極の落ち込みを支えることになるが、該下支え用ストッパーの弾性率は大きいか或いは剛体であるため、それ以上の落ち込みは実質的に回避される。併せて弾性体が弾性限界を超えることも避けるのである。従って、弾性体と下支え用ストッパーとの関係は、電解槽の通常運転時には電解槽の圧力変動は、弾性体の反発力の範囲内で吸収され、弾性体に異常な圧縮応力が掛った時にのみ下支え用ストッパーの位置まで弾性体が圧縮されるが、なおその置点までの歪は弾性限界の内に止まるところでなければならない。
【0020】
下支え用ストッパーは完全な剛体であってもよいが、より好ましくは、弾性体の有する弾性率よりも6〜20倍程度の弾性率を有する弾性体で構成される。このようにすることによって、下支え用ストッパーも場合によって生じる陽・陰極室の極めて大きな圧力変動に対して2段階の緩衝作用を示すことができるのである。勿論この場合には、下支え用ストッパーが最初に機能する位置は、弾性体の弾性限界内の限界点よりも内側でなければならない。その位置は用いる下支え用ストッパーの弾性率の大きさにもよるが一般に弾性体の弾性限界に至るまでの1/2〜3/4程度の位置とするのが好ましい。また、下支え用ストッパーも金属材料とすることにより、電極と集電板との導電性についても貢献することもできる。
【0021】
図1により本発明の基本的構成を説明する。即ち、図1は、本発明の複極式電解槽の一つのセルを開いて示したものである。勿論単極式電解槽についても同様に適用することが可能である。図1にあっては理解を容易にするため、本発明の説明に関係しない部分は省略されている。
【0022】
図中、1は陽極室枠で、2は陽極室背面壁である。3は陽極電導リブで、4は陽極である。ハロゲン化アルカリ金属水溶液の電解、例えば塩化ナトリウムの電解にあっては、陽極で塩素を発生するため、通常チタン材など耐塩素性材料で構成するか、または陽極室内面がライニングされている。陽極リブや陽極も通常チタン材である。陽極は比較的剛性の高い多孔板、例えばエキスパンドメタル、パンチドメタル、剛性を持つ太い金属線で構成された金網、金属棒を格子状或いは縦方向に接続したものなどである。エキスパンドメタルやパンチドメタルの場合一つの孔の大きさは2〜100mm2、好ましくは4〜30mm2の孔が多数存在する。開孔率は20%以上特に30〜70%が好ましい。また陽極には、白金族金属や白金族金属酸化物或いはこれらと周期律表第4族乃至第8族金属酸化物との混合物等の陽極活物質がコートされている。5は、陽イオン交換膜である。通常ナフィオン(商品名)などパーフルオロカーボンを骨格とし、側鎖にパーフルオロアルキルエーテル基を有し、該側鎖にスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基叉はそれらの混合基などのイオン交換基を有する。中でもカルボン酸基を有する陽イオン交換膜が優れている。6は陰極であり、通常軟鋼やニッケルの多孔板、即ち、パンチドメタルやメッシュ(金網)等であり、場合によっては陰極活物質として、例えば含硫黄ニッケルメッキや、ニッケルと周期律表第6属叉は第8属金属(ニッケルを除く)との合金メッキが施されている。一般に可撓性を有するものが好ましい。7は弾性体であり、図1はマット状物を示している。この場合、軟鋼叉はニッケルのワイヤーの集合体、特にコイル状物を相互に絡ませた構造や、織物(叉は編物)にクリンプを施したものや更にヘリンボーン加工を施し、弾力を付与したものを数枚重ね合せたマット状物が好ましい。通常は電解槽が組み上がった状態で、該弾性体は30〜70%の体積に圧縮されており、その反発力によりイオン交換膜及び陰極を陽極側に押し付ける働きをする。このときの弾性率は一般に40g/mm以下、特に6g/mm〜10g/mm程度とするのが好ましい。8は電解槽内の圧力が逆転した場合のための下支え用ストッパーである。図1にあっては、弾性体と下支え用ストッパーとが共に織物(又は編物)であって、該下支え用ストッパーは集電板と接する側にマット状弾性体と重ね合せて装着されている。この下支え用ストッパーは、弾性体と同様、必要に応じてヘリンボーン加工されており、前記弾性体の厚さ(山・谷間の長さ)の1/2〜1/4の厚さで、弾性体の押圧強度(バネ弾性率)の6〜20倍、例えば36〜200g/mm程度の弾性率を有する。9は陰極集電板で、一般に剛性のある多孔板、例えばエキスパンドメタル、パンチドメタル、剛性のある金属線の織物叉は金属棒を適当な間隔で平行に並べたスダレ状物等である。10は陰極リブであり、陰極室枠11の背面壁12に電気的に接続されている。尚、陰極リブを用いないで、陰極集電板を背面壁に一体化し、実質的に背面隔壁に至るまで弾性体及びストッパーで埋めることも可能であるが、電極室内液のスムースな流れを確保するためには集電板と背面壁との間に間隔を持たせる構造が好ましい。
【0023】
図2は、本発明の別の態様を示す図であり図2に付した符号は、図1と同じものを表す。本例では陰極6は剛性のある軟鉄又はニッケル性のエキスパンドメタル又はパンチドメタル或いは耐アルカリ性の金属棒などでその構造は、陽極の場合と同じであってよい。一般にSW1〜5mm、LW4〜8mm程度のエキスパンドメタルが好適に用いられる。場合によっては陰極活物質として、例えば含硫黄ニッケルメッキや、ニッケルと周期律表第6属叉は第8属金属(ニッケルを除く)との合金メッキが施されている。7はニッケルの板バネであり、通常は電解槽が組み上がった状態で、板バネは30〜70%、好ましくは40〜60%に圧縮される。8は電解槽内の圧力が逆転した場合のための下支え用ストッパーである。該ストッパーの形状については、板バネの反発力を失わなければ、どのような形状でもよい。9は陰極集電板で、一般に剛性のある多孔板、例えばエキスパンドメタル、パンチドメタル、剛性のある金属線の織物叉は金属棒を適当な間隔で平行に並べたスダレ状物等である。10は陰極リブであり、陰極室枠11の背面壁12に電気的に接続されているが、陰極集電板を背面壁に一体化し、背面壁に直接板バネ及び下支え用ストッパーで接する構造も可能である。
【0024】
図3乃至5は、本発明の別の態様における弾性体と下支え用ストッパーの関係を示す図である。図3は集電板が背面壁に一体化された態様であり、陽イオン交換膜5及び陰極6が軟鉄及び(又は)ニッケルワイヤーで構成されたマット状弾性体を押圧して、陰極室内に落ち込んだ場合、集電板と一体化した背面壁から植設されている下支え用ストッパーによって該陰極を支える構造である。集電体上に植設される下支え用ストッパーの間隔は、陰極の剛性が大きい程、開いてよく、剛性が小さく可撓性である程間隔は密にしなければならない。一般に下支え用ストッパーが剛体である場合は10cm2当り、1〜4個程度である。又図3に示すようにストッパーの先端で、陰極に接する可能性のある部分は拡大して、多孔板陰極を傷付けることなく、支えられるようにするのが好適である。
【0025】
図4は、集電板が背面壁と一体化された構造で、且つ弾性体が板バネの例である。図4にあっては、下支え用ストッパーは縦長のリブ状構造である。一般に板バネやコイルバネを弾性体とする場合には、該弾性体が陰極と接する面積は物理的に小さくなるため、陰極自体がより大きい剛性を有する必要がある。更に陰極と弾性体との電気的接続を十分確保するため、溶接等によって、固着させるのが好ましい。勿論弾性体がマット状物の場合であっても、部分的に溶接固着することができる。
【0026】
図5は、図4において陽イオン交換膜5を除いて前から見た図である。板バネ状の弾性体7とリブ状に縦方向に列べられた下支え用ストッパー8との関係を示す図である。
【0027】
勿論、図3及び図4は、集電板と背面壁とが一体化した場合を示したが、集電板と背面壁との間に間隙を持たせた構造とすることも任意にできる。
【0028】
以上、弾性体と下支え用ストッパーとの関係の数例を示したが、本発明は図示された関係に止まらず、下支え用ストッパーと弾性体及びその他の電解槽構造との組み合わせは全く任意である。
【0029】
以下比較例及び実施例により、本発明を更に具体的に説明する。
比較例1
電極が図1に示す構造にある電解槽を用いて、塩化ナトリウム水溶液の電解を行った。通電部となる室枠の中空部は、縦116cm、横238cmの大きさで、電極室の厚みは4.4cmであった。叉、かかる電解槽の陽極室の電導リブは、14cm間隔で24枚設置した。陽極は剛性のあるチタン製のパンチドメタルに活性物質を被服したものを用いた。陰極については、線径0.15mm、開口率68%、各孔の面積0.49mm2のニッケルにNi3Sn2の合金メッキしたものを使用した。弾性体としては、ニッケル製の線径0.08mmのワイヤーを4本まとめて編んだ金網を4枚重ねて1.4cmピッチでクリンプしたマット状のもので、50%圧縮時の弾性率12g/mm、20%圧縮時の弾性率16g/mm、電槽組立時の圧縮率50%、弾性率12g/mmのものを用いた。使用した陽イオン交換膜は、ナフィオンN−981(デュポン社製)を用いた。
【0030】
以上の構造の電解槽による電解は、電流密度40A/dm2、電解温度85℃、陽極室内圧力5.9KPa、陰極室圧力9.8KPaで約2ヶ月電解した。この電解における電圧は、2.95vであった。その後、入口ホース取替のため、陽極液・陰極液を脱液したときに、陰極側へのN2投入量が少なく、陰極側に10KPaの圧力がかかった。入口ホース取替後、再度電解したところ、電圧が3.5vまで上昇した。原因は、弾性マットの反発力がうしなわれて、電極への電気伝導性がなくなり、Niの集電板で電気分解が起こったためである。
【0031】
比較例2
電極が図2に示す構造の電解槽を用いて、塩化ナトリウム水溶液の電解を行った。通電部となる室枠の中空部は、縦116cm、横238cmの大きさで、電極室の厚みは4.4cmであった。叉、かかる電解槽の陽極室の電導リブは、14cm間隔で24枚設置した。使用する陽極は比較例1において用いたのと同じチタン製のパンチドメタルに活性物質を被服したものを用いた。陰極については、縦58cm、横119cmのSW3mm、LW6mmの剛性のあるニッケル製エキスパンドメタルにNi3Sn2の合金メッキを施したものを4枚並べて用いた。陰極と集電板との間はニッケルの板厚0.5mm、幅4cm、長さ8cmの板バネが弾性体として120枚溶接されている。板バネは、電槽組立時の圧縮率50%、弾性率50g/mmのものを用いた。使用したイオン交換膜は、ナフィオンN−981(デュポン社製)を用いた。
以上の構造の電解槽による電解は、電流密度40A/dm2、電解温度85℃、陽極室内圧力5.9KPa、陰極室圧力9.8KPaで約1ヶ月電解した。この電解における電圧は、3.00vであった。その後、膜取替のため、陽極液・陰極液を脱液したときに、陰極側へのN2投入量が少なく、陰極側に20KPaの圧力がかかった。膜取替後、再度電解したところ、電圧が3.07vまで上昇した。原因は、板バネの反発力がうしなわれて、電極と膜間が2mmあり、溶液抵抗により電圧が上昇した。
【0032】
実施例1
電解槽の構造、電解条件は比較例1と同じであるが、弾性マットと集電板との間に弾性マットの反発力がうしなわれないように、同形状のマットでニッケル製の線径0.25mmのワイヤーを2本まとめて編んだ金網を2枚重ねてクリンプしたもので、10%圧縮時の弾性率300g/mmのマットを設置した。この電解における電圧は、2.95vであり、比較例1と同じであった。その後、陰極室側に20KPaの圧力をかけたのち、再度電解したところ、電圧は2.95vと変わらなかった。
【0033】
実施例2
電解槽の構造、電解条件は比較例2と同じであるが、板バネの間に反発力がうしなわれないように、高さ5mmのリブを100mm間隔で集電板上に取付けた。この電解における電圧は、3.00vであり、比較例2と同じであった。その後、陰極室側に20KPaの圧力をかけたのち、再度電解したところ、電圧は3.00vと変わらなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の電解槽の断面図である。
【図2】は、本発明の電解槽の断面図である。
【図3】は、本発明における弾性体と下支え用ストッパーの関係を説明するための図である。
【図4】は、本発明における弾性体と下支え用ストッパーの関係を説明するための図である。
【図5】は、本発明における弾性体と下支え用ストッパーの関係を説明するための図である。
【符号の説明】
1…陽極室枠
2…陽極室背面壁
3…陽極リブ
4…陽極
5…陽イオン交換膜
6…陰極
7…弾性体
8…下支え用ストッパー
9…集電板
10…リブ
11…陰極室枠
12…陰極室背面壁

Claims (3)

  1. 陽イオン交換膜を挟んで陽極室と陰極室とで構成された電解槽であって、陽極室は陽極室枠、背面壁及び陽イオン交換膜で区画され、その内部に多孔板陽極が存在し、陰極室は陰極室枠、背面壁及び陽イオン交換膜で区画され、その内部に多孔板陰極が存在し、且つ陽・陰両電極はイオン交換膜を介して近接対峙しており、前記陽・陰電極の内、一方の電極(A電極という)は複数枚の電導リブにより背面壁に電気的に接続させると共に固定されており、他方の電極(B電極という)は弾性体を介して、その背後に存在する集電板に電気的に接続されており、該集電板は背面壁に電気的に接続されており、電解槽が組み立てられたとき、弾性体が圧縮され、その反発力によってB電極を前方に押し、それによって陽イオン交換膜をA電極に押しつける状態となる構造であり、前記B電極の存在する電極室には、陽・陰電極室内の圧力変動による電極のB電極室内への落ち込みが弾性体の圧縮による弾性限界を越えないように、下支え用ストッパーが設けられていることを特徴とする電解槽。
  2. A電極は剛体多孔板であり、B電極は可撓性を有する多孔板であり、該B電極は弾性体を介して、その背後に存在する集電板に電気的に接続されており、該集電板は複数の電導リブにより背面壁に電気的に接続されると共に背面壁との間に間隔を持って固定されている請求項1に記載の電解槽。
  3. 弾性体が金属ワイヤーよりなる織物(編物を含む)にヘリンボーン加工を施した1平方センチ当たりの弾性率6g/mm〜10g/mmのマット状物であり、下支え用ストッパーが金属ワイヤーよりなる織物(編物を含む)にヘリンボーン加工を施した弾性率が前記弾性体の6〜20倍の弾性体である請求項1または2に記載の電解槽。
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