JP2001064670A - 乳脂肪部分グリセリド - Google Patents

乳脂肪部分グリセリド

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JP2001064670A
JP2001064670A JP23730599A JP23730599A JP2001064670A JP 2001064670 A JP2001064670 A JP 2001064670A JP 23730599 A JP23730599 A JP 23730599A JP 23730599 A JP23730599 A JP 23730599A JP 2001064670 A JP2001064670 A JP 2001064670A
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milk
milk fat
partial glyceride
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product
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JP23730599A
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Asuka Ogawa
あすか 小川
Hiroaki Konishi
寛昭 小西
Shoichi Koizumi
詔一 小泉
Makoto Shioda
誠 塩田
Masami Kawanari
真美 川成
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Snow Brand Milk Products Co Ltd
Original Assignee
Snow Brand Milk Products Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 離水が少なく、滑らかな組織を有し、口溶け
が良好な乳タンパク質凝固物等の食品を得るために用い
られる乳脂肪部分グリセリドを提供すること。 【解決手段】 乳脂肪部分グリセリドは、乳脂肪を加水
分解して得られる分解物から油層を分画、回収すること
により得られる、(A) モノグリセリドを10〜70重量%及
びジグリセリドを3〜50重量%含有し、(B) 脂肪酸の構
成として、炭素数4〜6の短鎖脂肪酸が 0.2〜22重量%
及び炭素数8〜12の中鎖脂肪酸が2〜10重量%であると
いう組成を有する。該乳脂肪部分グリセリドを食品、特
に、チーズ、ヨーグルト等の乳タンパク質凝固物に含有
させることで、離水が少なく、滑らかな組織を有し、口
溶けが良好な乳タンパク質凝固物等の食品が得られた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の組成を有す
る乳脂肪部分グリセリドに関する。また、本発明は、該
乳脂肪部分グリセリドからなる食品原料、及び該乳脂肪
部分グリセリドを含有する食品、乳タンパク質凝固物に
関する。本発明の乳脂肪部分グリセリドは、保水性及び
乳化性が良好であるため、食品の製造、特に乳タンパク
質を凝固させてなる食品の製造に用いた場合、高水分で
あるにもかかわらず、離水が少なく、滑らかな組織を有
し、口溶けが良好な乳タンパク質凝固物を得ることがで
きる。
【0002】
【従来の技術】ナチュラルチーズ、ヨーグルト、酸乳、
サワークリーム、酸カード等の乳タンパク質を凝固させ
て得られる食品は、良質なタンパク質やミネラルが豊富
に含有され、栄養バランスのとれた食品として古来より
食されている。
【0003】近年、消費者の食品に対するニーズは、よ
り滑らかであり、より軟らかい食感を求める傾向にあ
る。より滑らかで、より軟らかい食品を製造する1つの
方法として、食品中の水分含量を高めることが挙げられ
る。例えば、脂肪含量を0〜20重量%に調整し、殺菌
冷却した乳に、1価陽イオンの塩類を 0.1〜3重量%添
加し、乳酸菌スターター及びレンネットを添加して、凝
固させカッティングすることにより得られる高水分ナチ
ュラルチーズの製造方法(特開平9-262053号公報)、
水分含量が約40〜60重量%の脱脂チーズと、水分含量が
約3〜70重量%の乳タンパク質源の混合物を加熱し、均
質化して、ポリリン酸塩、澱粉及びガム類を加え、高温
撹拌し、澱粉をゲル化させてなる脱脂チーズソースの製
造方法(特開平7-227209号公報)等が開示されており、
水分含量を高めることで、滑らかで、軟らかな食感を有
する食品が提供されている。さらに、原料乳を均質化
処理して脂肪球を微細化し、分散させることにより保水
性を高めて水分含量の高い乳製品を製造すること、脂
肪含量を高めることにより軟らかく、かつ滑らかな組織
を有する乳製品を製造することが従来より行われてい
る。
【0004】しかしながら、では、一価陽イオンの塩
類を添加することによりチーズ本来の風味を損ね、で
は、流通又は保存中に澱粉が老化し、組織が脆弱となる
といった問題がある。また、では、離水が生じ、で
は、乳脂肪含量がある一定以上になると食品の軟らかさ
は失われ、逆に組織が硬くなり、流通又は保存中に脂肪
の凝集が起こりやすく、離水や組織のザラつきが生じる
という問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような現状におい
て、食品に添加しても風味を損なうことなく、保水性や
乳化性も良好な食品原料が求められており、またその食
品原料を用いて、高水分であるにもかかわらず、離水が
少なく、滑らかな組織を有し、口溶けが良好である乳タ
ンパク質凝固物等の食品を得ることが望まれているが、
そのような食品原料や乳タンパク質凝固物等の食品は未
だ提供されていない。従って、本発明は、食品に添加し
ても風味を損なうことなく、保水性及び乳化性が良好な
乳脂肪部分グリセリド、及び該乳脂肪部分グリセリドか
らなる食品原料、またその乳脂肪部分グリセリドを用い
て調製される、高水分であるにもかかわらず、離水が少
なく、滑らかな組織を有し、口溶けが良好である乳タン
パク質凝固物等の食品を提供することを課題とする。
【0006】なお、本発明において、乳タンパク質凝固
物とは、乳をレンネット等の酵素により凝固させたナチ
ュラルチーズ、乳を乳酸、酢酸、クエン酸等の有機酸に
より凝固させたヨーグルト、酸乳、サワークリーム、酸
カード、又は乳を加熱し、タンパク質を熱変性させて凝
固させた加熱変性凝固物等のことをいう。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
課題に鑑み鋭意研究を重ねた結果、乳脂肪を加水分解し
て得られる分解物から油層を分画、回収することにより
得られる乳脂肪部分グリセリドが良好な保水性及び乳化
性を有することを見出した。さらに、該乳脂肪部分グリ
セリドを乳タンパク質凝固物の製造に用いたところ、高
水分であるにもかかわらず、離水が少なく、滑らかな組
織を有し、口溶けの良好な乳タンパク質凝固物が得られ
ることを見出し本発明を完成させるに至った。
【0008】本発明の乳脂肪部分グリセリドは、乳脂肪
を加水分解して得られる分解物から油層を分画、回収す
ることにより得られ、(A) モノグリセリドを10〜70重量
%及びジグリセリドを3〜50重量%含有し、(B) 脂肪酸
の構成として、炭素数4〜6の短鎖脂肪酸が 0.2〜22重
量%及び炭素数が 8〜12の中鎖脂肪酸が2〜10重量%で
あるという特徴を有する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の乳脂肪部分グリセリドを
調製するための原料としては、例えば、乳脂肪を高濃度
に含有するバターオイル、クリーム、クリームチーズや
カマンベールーズ等のチーズ類、生乳、殺菌乳、滅菌
乳、全粉乳の溶解液等の乳類を挙げることができ、この
うち、乳脂肪を高濃度に含有するバターオイル、クリー
ム等を用いることが好ましい。また、乳脂肪含量が低い
場合は、親水性成分を除去して乳脂肪含量を高めること
が好ましい。
【0010】本発明の乳脂肪部分グリセリドは、乳脂肪
を加水分解して得られる分解物から油層を分画、回収す
ることにより得られるが、加水分解の方法としては、例
えば、アシドリシス、グリセロリシス、酵素分解等を例
示することができる。アシドリシスとは、乳脂肪を硫酸
や塩酸等の酸触媒を用いて加水分解することであり、グ
リセロリシスとは、乳脂肪にグリセロールを加えて脂肪
酸を再構成することであり、酵素分解とは、リパーゼ等
の酵素を触媒として加水分解することである。触媒とし
て用いることのできる酵素としては、グリセリンの1, 3
位だけを切断する膵臓より得られる酵素、リゾプス・ニ
ベウス (Rhizopus niveus) 起源の酵素、リゾプス・エ
スピー (Rhizopus sp.) 起源の酵素等、又はグリセリン
の1, 2,3 位を切断するムコール・ジャバニカス(Mucor
javanicus)起源の酵素、キャンディダ・ルゴサ(Candid
a rugosa) 起源の酵素、キャンディダ・シリンドラセ
(candida cylindracea)起源の酵素等を挙げることがで
きる。
【0011】通常、天然の乳脂肪には 0.3〜0.4 重量%
の極微量のモノグリセリド及びジグリセイドが含まれて
いる。本発明では、乳脂肪を上述のようにして、アシド
リシス、グリセロリシス、酵素分解等により加水分解す
ることで、乳脂肪が加水分解されモノグリセリドを10〜
70重量%及びジグリセリドを3〜50重量%含有する乳脂
肪部分グリセリドを調製することができる。なお、本発
明の乳脂肪部分グリセリドは、乳脂肪を上述の方法で加
水分解した後、加水分解物を静置、又は遠心分離するこ
とにより油層と水層に分画し、油層を回収することによ
り得られる。
【0012】さらに、上述のようにして得られる乳脂肪
部分グリセリドをカラムクロマトグラフィー、溶剤分
別、分子蒸留等の公知の脂質分離精製方法により、その
濃度を90〜96重量%以上に精製してもよい。
【0013】本発明の乳脂肪部分グリセリドの特徴は、
乳脂肪由来のモノグリセリド及びジグリセリドの特性に
起因するものであるため、モノグリセリドが10重量%未
満の場合やジグリセリドが3重量%未満の場合には本発
明の効果が得られず、また、モノグリセリドが70重量
%、もしくはジグリセリドが50重量%を超えると食品に
分散し難い等の欠点が生じてくるため、モノグリセリド
は10〜70重量%及びジグリセリドは 3〜50重量%の範囲
である必要がある。
【0014】さらに、この保水性及び乳化性の良好な乳
脂肪部分グリセリドを添加することにより、保水性の良
好な食品、特に、ナチュラルチーズ、ヨーグルト、酸
乳、サワークリーム、酸カード等の乳タンパク質凝固物
を得ることができる。また、ホワイトソース、ドレッシ
ング、料理用クリーム、料理用ソース等の調理用食品、
ババロア、ムース、ミルクゼリー、スポンジケーキ等の
菓子類、パン類等にも本発明の乳脂肪部分グリセリドを
利用することができる。このとき、乳脂肪部分グリセリ
ドは食品中の脂肪含量に対して3〜30重量%含有してい
ることが好ましい。
【0015】
【実施例1】(1) 乳脂肪部分グリセリドの調製 豚膵臓(Hog pancreas)由来のリパーゼ(110-220units/m
g protein) (商品名LIPASE(EC3.1.13) Type . Crude,
SIGMA CHEMICAL CO.) を水30gに溶解し、バターオイル
100g に添加した。これをよく撹拌した後、37℃まで加
温し、緩やかに撹拌しながら5時間加水分解反応を行っ
た。反応終了後、静置して油層と水層に分画して油層を
回収し、次いで、油層中に残存する遊離脂肪酸やグリセ
ロール等を除去するために油層を水で洗浄した後、遠心
分離を行い、バターオイルのリパーゼ加水分解物68.4g
を得た。
【0016】次いで、ヘキサンで活性化したイアトロビ
ーズ(200.350mech IATRON LABORATRIES, INC) を充填し
たカラム(4×36cm) にバターオイルのリパーゼ加水分解
物を通し、ジエチルエーテル/ヘキサン=1/8(vol/vol)
7.2 l、ジエチルエーテル/ヘキサン/酢酸=1/1/0.1
(vol/vol/vol) 900ml、メタノール 900mlの溶出溶媒を
順に通液して分画して得た画分をそれぞれを第1、第
2、第3画分とした。そして、第3画分のメタノールを
乾固した。上記の操作を2回繰り返し、乳脂肪部分グリ
セリド 45.0gを得た。
【0017】この乳脂肪部分グリセリドの組成をTLC
法で測定したところ、モノグリセリドを69.8重量%及び
ジグリセリドを4.36重量%含有しており、炭素数4〜6
の短鎖脂肪酸は5.5 重量%及び炭素数8〜12の中鎖脂肪
酸は3.6 重量%であった。
【0018】(2) 酸カードの製造 本発明品1;脱脂乳(脂肪含量 0.1重量%) 4.8kg を75
℃で15秒間殺菌した後、50℃まで冷却し、UF膜を用い
て4倍に濃縮して濃縮脱脂乳を調製した。クリーム(脂
肪含量50重量%) 1.1 kgに、濃縮脱脂乳及び前記(1) で
得られた乳脂肪部分グリセリド29.7g(濃縮脱脂乳及びク
リームの脂肪含量の合計量の5重量%に相当)を添加し
て、混合、溶解し、80℃で殺菌し、原料乳5.9 kgを調製
した。次いで、原料乳のpHが 4.8〜5.2 になるように、
20重量%濃度の乳酸溶液を添加し、50℃に加熱して原料
乳を凝固させ、カードを調製し、カードをカッティング
してホエーを分離し、酸カードを得た。これを10℃で1
カ月間保存した。
【0019】比較品1;乳脂肪部分グリセリドを添加し
ないこと以外は、本発明品1と同様にして酸カードを得
た。これを10℃で1カ月間保存した。参考品1;市販の
乳化剤であるモノオレイン(エマルジー−OL、理研ビ
タミン社製)20.79gを乳脂肪部分グリセリドの代わりに
添加し、本発明品1と同様にして酸カードを得た。これ
を10℃で1カ月間保存した。
【0020】本発明品1、比較品1及び参考品1の水分
含量及び脂肪含量を表1に示す。
【表1】 ──────────────────────────────── 本発明品1 比較品1 参考品1 ──────────────────────────────── 水分含量(重量%) 56.4 42.0 50.8 脂肪含量(重量%) 18.4 24.8 21.6 ────────────────────────────────
【0021】
【試験例1】実施例1で得られた本発明品1、比較品1
及び参考品1について、(1) 硬さ、(2) 離水、(3) 水へ
の分散性、(4) 色差を測定し、(5) 官能評価を行った。
以下に測定方法及び評価方法を示す。
【0022】(1) 硬さ 硬さについては、10℃で2週間保存後、及び1カ月間保
存後の試料を一辺1cmの立方体に切り出し、テクスチャ
ー・アナライザー (TA-XT2、英弘精機社製)を用い、平
板上に試料を載せ、プランジャー(直径 10cm)で、圧縮
速度 2.0cm/ 分で試料を80%圧縮したときの荷重(g) を
測定し、これを硬さとした。
【0023】(2) 離水 離水については、1カ月間保存後の試料を一辺2cmの立
方体に切り出し、濾紙上に置き、50℃のオーブン中に2
時間放置後、目視にて、生じた離水量の多いもの;3、
少ないもの;2、無いもの;1として評価した。
【0024】(3) 水への分散性 水への分散性については、1カ月間保存後の試料を4℃
に保持し、一辺1cmの立方体に切り出し、直径5cmのビ
ーカーに入れ、水40mlを加え、このビーカーを振幅;3.
5 cm、70往復/分で振盪させ、120 秒後の試料の周囲約
1cmの懸濁液2mlを採取し、この懸濁液を分光光度計(U
V-2000、日立製作所社製) を用い、波長660mmで濁度を
測定し、これを水への分散性の尺度とした。なお、濁度
が高いほど、水への分散性が良く、口溶けが良好である
ことを示す。
【0025】(4) 色差 色差については、色彩色差計(CR-200b、ミノルタ社製)
を用いて行った。比較品を基準にして、本発明品1及び
参考品1の色差を測定した。
【0026】(5) 官能評価 5名の熟練パネラーに試料を各5gずつ食してもらい、組
織の滑らかさ及び風味について次の5段階で評価し、そ
の平均点で示した(少数点第2位を四捨五入)。5点;
大変好ましい、4点;好ましい、3点;どちらともいえ
ない、2点;好ましくない、1点;全く好ましくない。
【0027】以上の結果を表2に示す。
【表2】 ───────────────────────────────── 本発明品1 比較品1 参考品1 ───────────────────────────────── 硬さ(g) 2週間保存後 886.8 2,341 809.3 1カ月間保存後 862.9 1,919 822.5 離水 1 3 1 水への分散性 0.042 0.002 0.020 色差 ΔL 9.1 - 6.9 Δa 0.7 - 0.9 Δb -6.0 - -4.5 ΔEab 10.9 - 8.29 官能評価 組織 4.9 2.9 3.9 風味 4.1 4.1 2.8 ─────────────────────────────────
【0028】乳脂肪部分グリセリドを添加した本発明品
1は、乳脂肪部分グリセリドを添加していない比較品1
に比べ、軟らかく、離水も少なく、水への分散性も良
く、白色であり、食感で優れており、風味で同等の評価
を得た。さらに、本発明品1は、一般に使用されている
乳化剤を添加した参考品1に比べても、水への分散性が
良く、白色であり、風味、食感共に優れているとの評価
を得た。
【0029】
【実施例2】(1) 乳脂肪部分グリセリドの調製 リゾプス・ニベウス (Rhizopus niveus) 起源のリパー
ゼ(30,000 uints/g protein)(商品名 ニューラーゼ F
「アマノ」天野製薬社製)を水45gに溶解し、バターオ
イル 150gに添加した。これをよく撹拌した後、37℃ま
で加温し、緩やかに撹拌しながら5時間加水分解反応を
行った。反応終了後、静置して油層と水層に分画して油
層を回収し、次いで、油層中に残存する遊離脂肪酸やグ
リセロール等を除去するために油層を水及び水酸化ナト
リウムで洗浄した後、遠心分離を行い、バターオイルの
リパーゼ加水分解物130gを得、これを乳脂肪部分グリセ
リドとした。
【0030】この乳脂肪部分グリセリドの組成をTLC
法で測定したところ、モノグリセリドを20.5重量%及び
ジグリセリドを42.8重量%含有しており、炭素数4〜6
の短鎖脂肪酸は9.0 重量%及び炭素数8〜12の中鎖脂肪
酸は9.8 重量%であった。
【0031】(2) ゴーダチーズの製造 本発明品1;予め70℃で殺菌した脱脂乳(脂肪含量 0.1
重量%)9.61kgと予め80℃で殺菌したクリーム(脂肪含
量50重量%) 0.39kgを混合し、原料乳10kgを調製した。
この原料乳に、前記(1) で調製した乳脂肪部分グリセリ
ド110.6g (脂肪含量の合計の39.1重量%に相当)及び
溶解バター(脂肪含量80重量%) 100gを添加して脂肪含
量が 2.8重量%になるように調整し、TKホモミキサー
で撹拌した後、30℃に加温した乳酸菌スターター(Type
LD、CH Normal01 、クリスチャンハンセン社製) 0.01重
量%を添加して30℃で30分間保持し、次いで、レンネッ
ト(HR−子牛レンネット、クリスチャンハンセン社製)
0.06重量%を添加して30℃で 100分間静置し、乳を凝固
させてカードを得た。得られたカードをカッティング
し、ホエーを分離して排除した後、カード粒を型に詰め
て圧縮し、食塩濃度20重量%の食塩水に3時間浸漬させ
て加塩し、10℃の恒温室で1カ月間熟成させてゴーダチ
ーズを得た。
【0032】比較品2;乳脂肪部分グリセリドを添加し
ないこと以外は、本発明品2と同様にしてゴーダチーズ
を得た。これを10℃で1カ月間保存した。参考品2;市
販の乳化剤であるモノオレイン(エマルジーOL、理研
ビタミン社製) 22.7g を乳脂肪部分モノグリセリドの代
わりに添加し、本発明品2と同様にしてゴーダチーズを
得た。
【0033】本発明品2、比較品2及び参考品2の水分
含量及び脂肪含量を表3に示す。
【表3】 ──────────────────────────────── 本発明品2 比較品2 参考品2 ──────────────────────────────── 水分含量(重量%) 50.5 42.0 47.1 脂肪含量(重量%) 19.8 23.4 21.4 ────────────────────────────────
【0034】
【試験例2】試験例1と同様の方法で、実施例2で得ら
れた本発明品2、比較品2及び参考品2について、(1)
硬さ、(2) オイルオフ、(3) 水への分散性、(4) 色差を
測定し、(5) 官能評価を行った。なお、(1) の硬さにつ
いては、加塩後、10℃の恒温室で2週間熟成させたグリ
ーンチーズも測定し、(2) のオイルオフについては、試
料を一辺2cmの立方体に切り出し、濾紙上に置き、50℃
のオーブン中に2時間放置後、目視にて、オイルオフが
多いもの;3、少ないもの;2、無いもの;1として評
価した。
【0035】以上の結果を表4に示す。
【表4】 ─────────────────────────────────── 本発明品2 比較品2 参考品2 ─────────────────────────────────── 硬さ(g) グリーンチーズ 809.3 2,502 798.4 883.6 2,050 850.7 オイルオフ 1 3 1 水への分散性 0.069 0.006 0.048 色差 ΔL 10.2 - 6.1 Δa 0.6 - 0.8 Δb -6.5 - -5.1 ΔEab 12.1 - 8.0 官能評価 組織 4.9 3.4 3.9 風味 4.3 4.3 2.8 ───────────────────────────────────
【0036】乳脂肪部分グリセリドを添加した本発明品
2は、乳脂肪部分グリセリドを添加していない比較品2
に比べ、軟らかく、オイルオフも少なく、水への分散性
も良く、白色であり、食感で優れており、風味で同等の
評価を得た。さらに、本発明品2は、一般に使用されて
いる乳化剤を添加した参考品2に比べても、水への分散
性が良く、白色であり、風味、食感共に優れているとの
評価を得た。
【0037】
【実施例3】フレンチドレッシングの製造 本発明品3; ナタネ油 120ml、大豆油80ml、ワインビネ
ガー 100ml、食塩 5.0g 、コショウ0.75g に実施例1で
調製した乳脂肪部分グリセリド (脂肪重量の合計の 3.0
重量%に相当) 7.86g を加え、食塩が溶けるまでよく撹
拌し、フレンチドレッシングを得た。
【0038】比較品3:乳脂肪部分グリセリドを添加し
ないこと以外は、本発明品3と同様にしてフレンチドレ
ッシングを得た。 参考品3:市販の乳化剤であるモノオレイン(エマルジ
ーOL、理研ビタミン社製)5.49g を乳脂肪部分グリセ
リドの代わりに添加し、本発明品3と同様にしてフレン
チドレッシングを得た。
【0039】
【試験例3】実施例3で得られた本発明品3、比較品3
及び参考品3について、油脂の分離状態を評価した。油
脂の分離状態については、3分間撹拌した試料を 100ml
容のメスシリンダー (内径 2.8cm×高さ16.2cm) に入
れ、20℃の恒温室に1分間静置し、分離した油層部分の
高さ(cm)を測定し、評価した。なお、油層部分の高さ
が高いほど分離しやすく、乳化状態が不安定であること
を示す。
【0040】その結果を次に示す。 本発明品3: 3.16 cm、比較品3:10.8cm、参考品3:
3.5cm 乳脂肪部分グリセリドを添加した本発明品3は、乳脂肪
部分グリセリドを添加していない比較品3に比べ、油脂
の分離が少なく、さらに一般に使用されている乳化剤を
添加した参考品3に比べても、油脂の分離が少なく、乳
化状態が安定に保たれていることが明らかとなった。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、保水性及び乳化性の良
好な乳脂肪部分グリセリドを提供することができる。本
発明の乳脂肪部分グリセリドは、乳由来であるため風味
が良好であり、食品に添加してもその風味を損なうこと
がない。本発明の乳脂肪部分グリセリドは、保水性及び
乳化性が非常に良好であるため、食品、特に、乳タンパ
ク質を凝固させてなる乳タンパク質凝固物等の食品の製
造に用いた場合、高水分であるにもかかわらず、離水が
少なく、滑らかな組織を有し、白色である食品を製造す
ることができる。よって、食品原料として、乳製品、調
理用食品、菓子類及びパン類等に広く利用することがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小泉 詔一 埼玉県狭山市富士見1−25−5パナステー ジ302号 (72)発明者 塩田 誠 埼玉県所沢市西新井町2丁目18エステーム 302号 (72)発明者 川成 真美 埼玉県川越市吉田新町2丁目12−16 Fターム(参考) 4H045 AA10 CA43 4H059 BA13 BA34 BB02 BB03 BC05 BC48 CA36 CA38 EA17 EA40

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乳脂肪を加水分解して得られる分解物か
    ら油層を分画、回収することにより得られ、次の(A) 及
    び(B) の組成を有する乳脂肪部分グリセリド。 (A) モノグリセリドを10〜70重量%及びジグリセリドを
    3〜50重量%含有する。 (B) 脂肪酸の構成として、炭素数4〜6の短鎖脂肪酸が
    0.2〜22重量%及び炭素数8〜12の中鎖脂肪酸が2〜10
    重量%である。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の乳脂肪部分グリセリドか
    らなる食品原料。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の乳脂肪部分グリセリドを
    含有することを特徴とする食品。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の乳脂肪部分グリセリドを
    含有することを特徴とする乳タンパク質凝固物。
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