JP2001060464A - 非水電解質2次電池用電解液およびそれを用いた非水電解質2次電池 - Google Patents
非水電解質2次電池用電解液およびそれを用いた非水電解質2次電池Info
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Abstract
によって、より安全な非水電解質2次電池の作製を可能
にする。 【解決手段】 リチウム塩を溶解させた非水電解質2次
電池用電解液中に、化学的、熱的安定性に優れたフッ素
系界面活性剤を1.0重量%よりも多く10.0重量%
よりも少ない量、より好ましくは1.2重量%以上5.
0重量%以下の量だけ含有させる。フッ素系界面活性剤
としては、例えば、パーフルオロアルキルポリオキシア
ルキレンアルコール、パーフルオロアルキルアルコキシ
レート、フッ素化アルキルエステル、パーフルオロアル
キルスルホン酸塩等を用いることができるが、特に、熱
安定性が非常に高く引火点を有さないフッ素化アルキル
エステルの使用が好ましい。
Description
池用電解液およびそれを用いた非水電解質2次電池に関
する。より詳しくは、特定物質を添加することによって
熱安定性が改善された非水電解質2次電池用電解液等に
関する。
池の電解液は、有機溶媒を使用しているため、一般的に
熱安定性に劣る。例えば、短絡や誤用等により大電流が
流れると、電池温度が急上昇し、可燃性の液体や分解ガ
スが噴出したり、さらに発火する等の可能性がある。特
に、LiNiO2系等を正極に用いた場合には、これら
が充電状態において高温付近で酸素を放出するため、電
極と電解液との反応により熱暴走を引き起こし、ひいて
は電池の破裂発火を招く虞が大きくなる。
して、例えば、(社)日本蓄電池工業会より発行の「リ
チウム2次電池安全性評価基準ガイドライン(SBA
G1101)」に記載されている釘刺し試験がある。こ
の方法では、完全充電状態の電池のほぼ中央部に、室温
で直径2.5mmから5mmの太さの釘を電極面に対し
て垂直方向に貫通させて、6時間以上放置するものであ
る。この試験方法は、電池の梱包時(木箱梱包の時等)
に誤って釘等が刺し込まれるような誤用を想定したもの
であるが、釘を貫通させることにより電池の内部では+
極と−極が直接接触する内部短絡状態となるため、電池
内の急激な反応による発熱により破裂したり、発火した
りする可能性を評価する方法としても利用されている。
のリチウム2次電池の破裂・発火の可能性が確認されて
おり、高度な電池性能を損なうことなく電池の熱安定性
を向上させる技術が模索されている。
めには、これまでにも様々な機構が提案されてきてい
る。例えば、多孔膜からなるセパレータを高温で融解し
て目詰まりするようなものとすることによりシャットダ
ウンを起こさせたり、抵抗が温度上昇と共に増大するP
TC素子を取付けるといった技術が提案されている。ま
た、電極表面に金属酸化物層を設けたり、高温での重合
反応性を有する低分子化合物を電解質に添加する方法等
も知られている。
おいても電池の安全性が充分に確立されたとは言い難
く、さらなる効果的な技術が希求されている。特に、容
量が3Ah以上の大型電池では、単電池が保存する化学
エネルギーが増大するため、安全性の確保がより重要で
ある。
定性の改善された電解液を提供し、より安全な非水電解
質2次電池の作製を可能にすることを目的とする。
め、本発明の非水電解質2次電池用電解液は以下の構成
を有する。すなわち、請求項1に係る発明では、リチウ
ム塩を溶解させた非水電解質2次電池用電解液におい
て、1.0重量%よりも多く10.0重量%よりも少な
い量のフッ素系界面活性剤が含まれていることを特徴と
する。尚、本明細書中におけるフッ素系界面活性剤の重
量%は、これを含まない電解液の重量に対するフッ素系
界面活性剤の重量比率を、百分率によって表したもので
ある。
に記載のものにおいて、前記フッ素系界面活性剤含有量
が、1.2重量%以上5.0重量%以下であることを特
徴とする。
2に記載のものにおいて、前記フッ素系界面活性剤が、
パーフルオロアルキルポリオキシアルキレンアルコー
ル、パーフルオロアルキルアルコキシレート、フッ素化
アルキルエステル、パーフルオロアルキルスルホン酸
塩、から選択される少なくとも1種の化合物を含むもの
であることを特徴とする。
項1から3のいずれかに記載のものにおいて、前記フッ
素系界面活性剤が、フッ素化アルキルエステルを含むも
のであることを特徴とする。
2次電池は、前記請求項1から4のいずれかに記載の非
水電解質2次電池用電解液を用いて構成されていること
を特徴とする。
化学的、熱的安定性に優れたフッ素系界面活性剤が存在
することによって、これが電極に吸着して電極界面での
発熱を抑制し、熱安定性に優れた電池を提供することが
可能となる。
性剤としては、パーフルオロアルキルポリオキシアルキ
レンアルコール、パーフルオロアルキルアルコキシレー
ト、フッ素化アルキルエステル、パーフルオロアルキル
スルホン酸塩等が好ましい。これらは、従来の電解液、
例えば、エチレンカーボネート(EC)/ジエチレンカ
ーボネート(DEC)の1/1(容積比)混合有機溶媒
にLiPF6を溶解させた、1M−LiPF6/EC+
DEC(1/1)溶液の引火点が約40℃であるのに対し
て、約150℃以上と各段に高い引火点を有するため、
少量の添加でも電解液の熱安定性を向上させることがで
きる。上記フッ素化アルキルエステルの中には、熱安定
性が非常に高く常圧では引火点を有さない化合物もあ
り、このような化合物の使用が最も好ましい。
液中にごく少量(例えば、0.001〜1重量%)を添
加すると、電極および/またはセパレータの表面に界面
活性剤の吸着膜が形成され、電解液の電極への浸透性が
改善されると共に、電極表面におけるリチウムの溶解析
出反応が均一なものとなり、充放電効率、サイクル特
性、急速充電性等が改良されるという報告もある(特開
平7−263027、特開平7−282851、特開平
8−7923、特開平10−12273等参照)。
量は、1.0重量%より多く10.0重量%未満の量で
あることが好ましい。添加量があまりにも少量である場
合、本発明で目的とするような電解液の熱安定性向上効
果はほとんど期待できない。一方、フッ素系界面活性剤
の添加量が過度に多くなると、電池の基本性能、特に充
放電容量に好ましくない影響を与える。これは、高分子
量のフッ素系界面活性剤を添加することによって電解液
の粘度が上昇し、イオンの伝導が阻害されるためと推定
できる。また、後に詳述するように、発明者らは、フッ
素系界面活性剤の過度の添加によって、温度上昇に伴う
負極における放熱、特に約120℃付近における放熱量
が増大していることを見出し、さらにその結果、フッ素
系界面活性剤の添加量が10.0重量%以上になると、
釘刺し試験において破裂発火が認められる等、電池の安
全性が却って低下することを確認した。電池の負極付近
では、フッ素系界面活性剤中のフッ素と電解質中のリチ
ウムとによってフッ化リチウムを生成する反応が起こっ
ており、この反応に伴う放熱量がフッ素系界面活性剤の
添加量が増すとともに増大することによって、負極付近
における電池の熱安定性はかえって低下するものと考え
られる。これらの両極における効果のバランスおよび充
放電サイクル等の諸条件を考慮すると、フッ素系界面活
性剤の添加量は、1.2重量%以上5.0重量%以下で
あることが、より好ましい。
池の安全性は大きく向上する。尚、正極および負極の構
成は特に限定されるものではなく、充放電が可能な材料
であればいずれで構成されていてもよい。正極には、例
えば、FeS2、TiS2、V2O5、MoO3、Mo
S2等の遷移元素のカルコゲナイトや、LiCoO2、
LiNiO2、LiMn2O4、LiMnO2又はLi
xMO2(但し、Mは一種以上の遷移元素であり、xは
電池の充放電状態によって異なり、通常0.05≦x≦
1.10である。)で表されるリチウムと一種類以上の
遷移元素との複合酸化物等により構成されるもの等を使
用できる。一方、負極には、様々な炭素材料により構成
されるものや、金属リチウムを使用できる。
に限定されるものではなく、通常非水電解質2次電池で
使用されるものに適用できる。有機溶媒としては、例え
ば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボ
ネート(EC)、1,2−ジメトキシエタン(DM
E)、2−メチルテトラヒドロフラン(2−MeTH
F)、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチル
カーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DE
C)、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクト
ン、テトラヒドロフラン(THF)、1,3−ジオキソ
ラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエ
ーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリ
ル、プロピオニトリル、アニソール、酢酸メチル、酢酸
エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、プロピオン酸メチル
や、それらの混合溶媒等が使用でき、このなかでも、E
C/DECの混合溶媒の使用が特に好ましい。一方、電
解質としては、例えばLiClO4、LiAsF6、L
iPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(C
F3SO2)2等が挙げられ、このうち特にLiPF6
およびLiClO4が好ましい。
を考慮すれば、本発明は容量3Ah以上の大型電池に適
用することが特に好ましい。
る。ただし、本発明はこれらによって限定されるもので
はない。実施例において使用したフッ素系界面活性剤
は、何れも住友スリーエム社製のものであり、商品名は
以下に示す通りである。 「FC−430」:フッ素系アルキルエステル 「FC−170c」:パーフルオロアルキルポリオキシ
エチレンエタノール 「FC−171」:パーフルオロアルキルアルコキシレ
ート
3(容積比)混合有機溶媒にLiPF6を溶解させ、1
M−LiPF6/EC+DEC(2/3)の比較例1の電解
液を調製した。この比較例1の電解液に、表1に示すよ
うな重量比率でフッ素系界面活性剤を添加し、比較例2
および3並びに実施例1から4の電解液を調製した。ま
た、EC/DECの1/1(容積比)混合有機溶媒にL
iClO4を溶解させ、1M−LiClO4/EC+D
EC(1/1)の比較例4の電解液を調製した。この比較例
4の電解液に、表1に示すような重量比率でフッ素系界
面活性剤を添加し、比較例5および6並びに実施例5お
よび6の電解液を調製した。これらの電解液を用いて、
以下の評価を行った。
i0.65Co0.26Mn0.09O2に充電した正
極またはLi0.7Cに充電した負極と共存させ、示差
走査熱量計(DSC)を用いて放熱および吸熱量を測定
した。
活性剤を添加した電解液(実施例1から3)を用いて正
極共存下に測定を行った。得られたチャートから読み取
った放熱開始温度と放熱量の合計を、表2に示す。
液にフッ素系界面活性剤を添加したことによって、比較
例1に比べて放熱開始温度が高温側へシフトすると共
に、放熱量も著しく減少した。これは、添加したフッ素
系界面活性剤が電極に吸着することにより、正極と電解
液との反応を阻害し、熱暴走を抑制したものと推測でき
る。また、放熱量の減少効果は、フッ素化アルキルエス
テルであるFC−430で最も大きいことが分かった。
充放電容量の観点からも、FC−430の使用が最も好
ましいと推定されたため、以下、FC−430を用いて
評価を行った。
(比較例1)、1.0重量%(比較例2)、1.2重量
%(実施例4)、5.0重量%(実施例1)、10.0
重量%(比較例3)と変化させた電解液について、正極
共存下または負極共存下の各々についてDSC測定を行
った。得られたチャートから読み取った放熱量等の値
を、表3に示す。また、比較例1、比較例2、実施例
1、実施例4、比較例3の電解液と、負極とを共存させ
て測定を行った際に得られたチャートを、それぞれ図1
のa)〜e)に示す。
430の添加量が増加するにつれて放熱開始温度の上昇
および放熱量の減少が見られ、正極側における熱安定性
は向上することが分かった。しかしながら、負極を共存
させた場合の測定においては、放熱量の合計はFC−4
30を少量添加すると減少するものの、5.0重量%、
10.0重量%と添加量が比較的多い場合には放熱量は
むしろ増加傾向にあり、特に、100℃近辺から開始が
認められる放熱ピーク(図1の各図におけるピーク1)
についての放熱量は、FC−430添加量の増加に伴っ
て顕著に増大することが知られた。すなわち、FC−4
30の添加に伴う負極における比較的低温での放熱量
は、むしろ増加傾向にあり、この主要因は、100℃を
超えた温度で、添加したフッ素系界面活性剤に由来する
フッ素と電解質中のリチウムとが反応してLiFを生成
し、この際に生成熱が放出されるためではないかと推定
される。
素化アルキルエステルの一種であるFC−430を使用
し、その添加量を0重量%(比較例1)、1.0重量%
(比較例2)、1.2重量%(実施例4)、5.0重量
%(実施例1)、10.0重量%(比較例3)とした電
解液を用いて電池を作製した。電池は、大型大容量の長
円筒形の非水電解質2次電池で、電極は組成の異なる2
層の合剤層で構成した。正極合剤層は、正極活物質とバ
インダ(ポリフッ化ビニリデン(PVdF))と導電助
剤(カーボンブラック)との混合物からなり、この合剤
をアルミニウム箔上に形成させた。負極合剤層は、炭素
材料(黒鉛)とバインダ(PVdF)との混合物からな
り、これを銅箔上に形成させて負極とした。上記帯状正
極板と負極板とをセパレータを介して扁平形に巻き取っ
た後、長円筒形の有底アルミニウム容器に挿入し、電極
体の巻芯部に充填物をつめた後、封口、注液して製造し
た。容器の封口にはレーザー溶接を適用した。
G1101記載の方法に準じて釘刺し試験を行った。
結果を、表4に示す。
(比較例1および2)の場合、正極および電解液共存下
での熱安定性が不十分であり、釘刺し試験において発火
した。添加量が1.0重量%よりも多い場合、すなわち
1.2重量%(実施例4)および5.0重量%(実施例
1)の場合には、電池の安全性が向上して発火は認めら
れなくなった。しかしながら、添加量をさらに増加させ
て10.0重量%以上(比較例3)とした場合には、釘
刺し試験における電池の破損状況は無添加の試料と比較
してもむしろ悪化し、破裂発火した。これは上記のDS
C測定の結果を考え併せると、熱安定性は、正極側では
添加量の増加に伴って向上するものの、負極側において
は悪化するためと考えられる。
ものと同様の電池を使用し、イオン伝導度、内部抵抗、
放電容量、放電平均電圧、重量エネルギー密度等を測定
した。結果を、同じく表4に示す。
の粘度が上昇するために総じて内部抵抗が大きくなり、
イオン伝導度が低下する。また、添加物量の増加に伴っ
て重量エネルギー密度も低下する傾向にある。その結
果、充放電容量が低下するが、これは主として高容量が
必要とされる使途に用いられるリチウム2次電池等の非
水電解質2次電池にとっては、大きなデメリットとな
る。従って、これらの電池特性と熱安定性とのバランス
においてフッ素系界面活性剤の添加量を決定する必要が
あり、本実施例においては、1.0重量%より多く1
0.0重量%よりも少ない量が好ましく、1.2重量%
以上5.0重量%以下の量がより好ましいといえる。
実施例5および6の各電解液を使用し、LiNi0.6
5Co0.26Mn0.07O2、導電助剤および結着
剤からなる正極を用い、対極および参照極にリチウム金
属を用いて、サイクル数に対する放電容量の変化を測定
した。10サイクル経過後の放電容量および容量保持率
を表5に示す。
ことにより、無添加の比較例4に比較して容量保持率は
向上した。添加したフッ素系界面活性剤が電極に吸着し
て保護したためと考えられるが、添加量が増えて、特に
10.0重量%以上になると容量保持率の著しい低下が
認められ(比較例6)、フッ素系界面活性剤を過度に添
加すると、上記したように電池特性そのものに悪影響が
あると同時に、耐久性にも問題を生じることが分かっ
た。
施例1および4、並びに比較例3の電解液の、Li
0.7Cに充電した負極共存下でのDSC測定チャート
Claims (5)
- 【請求項1】 リチウム塩を溶解させた非水電解質2次
電池用電解液において、1.0重量%よりも多く10.
0重量%よりも少ない量のフッ素系界面活性剤が含まれ
ていることを特徴とする非水電解質2次電池用電解液。 - 【請求項2】 前記非水電解質2次電池用電解液のフッ
素系界面活性剤含有量が、1.2重量%以上5.0重量
%以下であることを特徴とする請求項1に記載の非水電
解質2次電池用電解液。 - 【請求項3】 前記フッ素系界面活性剤が、パーフルオ
ロアルキルポリオキシアルキレンアルコール、パーフル
オロアルキルアルコキシレート、フッ素化アルキルエス
テル、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、から選択さ
れる少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする請
求項1または2に記載の非水電解質2次電池用電解液。 - 【請求項4】 前記フッ素系界面活性剤が、フッ素化ア
ルキルエステルを含むことを特徴とする請求項1から3
のいずれかに記載の非水電解質2次電池用電解液。 - 【請求項5】 請求項1から4のいずれかに記載の前記
非水電解質2次電池用電解液を用いた非水電解質2次電
池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11234400A JP2001060464A (ja) | 1999-08-20 | 1999-08-20 | 非水電解質2次電池用電解液およびそれを用いた非水電解質2次電池 |
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JP11234400A JP2001060464A (ja) | 1999-08-20 | 1999-08-20 | 非水電解質2次電池用電解液およびそれを用いた非水電解質2次電池 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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ID=16970417
Family Applications (1)
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Country | Link |
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- 1999-08-20 JP JP11234400A patent/JP2001060464A/ja active Pending
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