JP2001059127A - 球状黒鉛鋳鉄 - Google Patents
球状黒鉛鋳鉄Info
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Abstract
態で、また、Moを積極的に添加しなくても、引張強さ
および伸びが所定以上の機械的性質が得られるととも
に、後に溶融メッキ等の加熱処理をしても機械的性質が
劣化しない球状黒鉛鋳鉄を提供する。 【解決手段】 肉厚が75mm以下である低合金球状黒
鉛鋳鉄において、Niを2.0〜4.0質量%、Mnを
0.05〜0.50質量%含む。Vノッチ切欠き材の疲
労限度が290MPa以上で、切削距離1.7kmにお
いて逃げ面磨耗量が0.13mm以下である。
Description
m以下である球状黒鉛鋳鉄に関する。
質において、引張強さが高ければ、伸びが低く、逆に伸
びを高く得ようとすれば、引張強さが低くなってしまう
ものである。
用部品等の分野では、安価で、肉厚を薄く設計できる材
料、例えば、引張強さが750MPa以上および伸びが
8%以上というように、前記両方の機械的性質を同時に
兼ね備えた球状黒鉛鋳鉄が要求されていた。この条件を
満足できるものとして、次の2つのベイナイト球状黒鉛
鋳鉄があった。その一つは、鋳造したものを、オーステ
ナイト化温度(約800〜950℃)に加熱後、約30
0〜400℃の塩浴炉中に急冷し、そのまま同炉中に恒
温保持した後取り出して得るものであり、他のものは、
例えばNiを1〜4重量%、Moを0.5〜1.0重量
%を加えて、熱処理をしないで、所謂鋳放しの状態で得
るものであった。一方、引張強さが650〜680MP
a程度であっても、伸びが12%程度に向上するもの
は、建設機械部品等の分野においても有効に利用できる
ものである。
は、肉厚の厚い製品では内部まで十分なベイナイト組織
が得られないために、薄肉製品に使用されることはあっ
たが、熱処理による歪みが発生したり、塩浴を用いた熱
処理によりコストが高いという欠点があった。また、後
者のベイナイト球状黒鉛鋳鉄は、高価なMoを添加する
ことによりコストアップになる欠点があった。
は、例えば、耐蝕性を得る為に溶融亜鉛メッキを施す
(例えば、460℃で120秒間保持)と、表1に示す
ように、その加熱処理によって引張強さと伸びが低下す
るという欠点もあった。
明は、肉厚が75mm以下の球状黒鉛鋳鉄製品におい
て、引張強さが750MPa以上および伸びが8%以上
の機械的性質を同時に満足するか、引張強さが650〜
680MPa程度であっても、伸びが12%程度に向上
し、しかも溶融メッキ等の加熱処理をしても機械的性質
が低下せず、又、高価なMoを添加しなくても済む球状
黒鉛鋳鉄を得ることを課題としている。
めに、本発明に係る球状黒鉛鋳鉄においては、肉厚が7
5mm以下である球状黒鉛鋳鉄において、Niを2.0
〜4.0質量%、Mnを0.05〜0.50質量%含む
ようにしたため、従来必要とした熱処理をしなくても鋳
放し状態で、また、Moを積極的に添加しなくても、表
2に示すように、引張強さが750MPa以上および伸
びが8%以上、又は引張強さが680MPa程度でも伸
びが12%である機械的性質が得られるとともに、後に
溶融メッキ等の加熱処理をしても機械的性質は劣化しな
いものである。なお、本発明に係る球状黒鉛鋳鉄におい
ては、Vノッチ切欠き材について、その疲労限度が29
0MPa以上の特性を有することが好ましい。また、本
発明の球状黒鉛鋳鉄では、切削距離1.7kmにおいて
逃げ面磨耗量が0.13mm以下であることが好まし
い。
ては、肉厚が75mm以下であり溶融メッキした球状黒
鉛鋳鉄において、Niを2.0〜4.0質量%、Mnを
0.05〜0.50質量%含むようにしたため、溶融メ
ッキ等の加熱処理をされているにもかかわらず、表2に
示すように、従来必要とした熱処理をしなくても鋳放し
状態で、また、Moを積極的に添加しなくても、溶融メ
ッキ等の加熱処理をしないものとほぼ同等の機械的性質
が得られるものである。
Mnを0.05〜0.50質量%に成分調整した球状黒
鉛鋳鉄溶湯を砂型に注湯し鋳型内で自然放冷(鋳放し)
させ、肉厚75mm以下の部材を得た。Niが2.0質
量%未満では引張強さ、伸び共に表2に示すように目標
を達成できない(比較例1)。Niが4.0質量%を超
えると表2に示すように引張強さは確保できるが、伸び
が確保できないものである(比較例2)。Mnが0.5
0質量%を超えると表2に示すように伸びが確保できな
いものである(比較例3)。なお、Mnは原料組成に鑑
みると0.05質量%未満まで調整することは工業的に
極めて困難である。更に、肉厚が75mmを超えて15
0mmとなった比較例4の場合には、伸びは向上する
が、引張強さの低下が著しい。
量%、Mnを0.05〜0.50質量%に成分調整した
ときのみ、表2に示すように引張強さが750MPa以
上および伸びが8%以上の機械的性質の優れた状態が確
保され(実施例1〜7)、肉厚が75mmである場合で
も、引張強さは680MPa程度にとどまるものの伸び
が12%と向上した機械的性質が得られる(実施例
8)。また、このとき従来のようなMoの積極的な添加
は必要でない。
示すように、Vノッチ切欠き材の疲労限度が290MP
a以上という特性を有する。本発明の球状黒鉛鋳鉄は、
上記のように特に伸び特性に優れるため、Vノッチ切欠
き材であっても疲労限度が所定以上に高くなると考えら
れる。
性に優れている。加工性を示す指標として、切削試験を
行った場合の逃げ面磨耗量を用いると、本発明の球状黒
鉛鋳鉄は、切削距離1.7kmにおいて逃げ面磨耗量が
0.13mm以下である。なお、切削試験の切削条件と
しては、図6に示す形状の切削試験片60に対して、切
削速度が100m/min、送り量が0.2mm/回
転、切込みが1.5mmとし、刃物として三菱マテリア
ル製UC6010を用いて乾式切削を行った。
更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定
されるものでない。 (実施例1〜8、比較例1〜4)高周波溶解炉にてNi
2.0〜4.0質量%、Mn 0.05〜0.50質
量%、C 3.1〜4.0質量%、Si 1.8〜3.
0質量%、P 0.05質量%以下、S 0.02質量
%以下、Mg 0.02〜0.06質量%に調整し、溶
製した。
およびMgの成分範囲を上記のように定めたが、その理
由は下記のとおりである。 (1)Cが3.1質量%未満では、炭化物が現れて伸び
が著しく減少する。Cが4.0質量%を越えると、初晶
黒鉛が浮上して介在し、引張強さの低下の原因となる。 (2)Siが1.8質量%未満では、炭化物が現れて伸
びが著しく減少する。Siが3.0質量%を越えると、
初晶黒鉛が浮上して介在し、引張強さの低下の原因とな
る。 (3)Pが0.05質量%を越えると、ステダイト相が
現れて脆化する。 (4)Sが0.02質量%を越えると、Mg処理時にM
gSを生成し、溶存Mg量が低下して黒鉛球状化が阻害
され、ノロも増えて好ましくない。 (5)Mgが0.02質量%未満では、黒鉛を球状化す
ることができず、引張強さは、確保できない。Mgが
0.06質量%を越えると、炭化物が現れやすくなり、
処理時のMg合金が高価で好ましくない。
約1400℃で注湯し、砂型内で常温まで自然放冷(鋳
放し)した。
02)の最下部からテスト・ピースを採取し、引張強さ
および伸びをJIS Z 2201の4号試験片で測定
した。
よびMn 0.05〜0.50質量%の含有量の球状黒
鉛鋳鉄とその球状黒鉛鋳鉄の引張強さおよび伸びの関係
を説明したものであり、各質量%における上段は鋳放し
材を、下段は鋳放し材を溶融亜鉛メッキ処理した結果を
示す。但し、比較例は鋳放し材の結果のみを示した。
形供試材の種類であるB号、C号、D号の寸法aをそれ
ぞれ示す。
であり溶融亜鉛メッキした球状黒鉛鋳鉄の実施例を示し
たものである。図2において、10は架線金具であり、
肉厚が75mm以下であり溶融亜鉛メッキした球状黒鉛
鋳鉄から製造されている。この架線金具10は、図3に
示すように、送電線用鉄塔20に碍子連30の一端を取
り付けるときおよびこの碍子連30の他端に送電線50
を固定するときに使用される。その使用目的上、引張強
さおよび伸びが必要とされる部材である。
材(B号)から図4に示すVノッチ切り欠き材32を採
取し、回転曲げ疲労試験を行い、疲労限度を求めた。こ
こで、回転曲げ疲労試験は、JIS Z 2274に基
づいて、小野式回転曲げ疲労試験機を用い、室温、大気
中において、Vノッチ切り欠き材40を2500rpm
で回転させながら応力を掛け、破壊する時の応力と繰り
返し数の関係から疲労限度を測定した。結果を図5に示
す。
例1〜8と同様にして、図6に示す形状の球状黒鉛鋳鉄
からなる切削試験片60を採取した。この切削試験片6
0について、切削試験を行い、逃げ面磨耗量を測定した
ところ、切削距離1.7kmにおいて逃げ面磨耗量が
0.12mmであった。一方、従来の球状黒鉛鋳鉄(F
CD700相当)(組成:C 3.6質量%、Si
2.5質量%、Mn 0.4質量%、P 0.03質量
%、S 0.003質量%、Mg 0.03質量%、C
u 0.8質量%、残部がFe)の場合には、逃げ面磨
耗量が0.16mmであり、本発明の球状黒鉛鋳鉄が加
工性に優れていることがわかった。
75mm以下である球状黒鉛鋳鉄において、Niを2.
0〜4.0質量%、Mnを0.05〜0.50質量%含
むようにしたため、従来必要とした熱処理をしなくても
鋳放し状態で、また、Moを積極的に添加しなくても、
表2に示すように、引張強さが750MPa以上および
伸びが8%以上の機械的性質が得られるか、又は引張強
さが680MPa程度でも伸びが12%である機械的性
質が得られるとともに、後に溶融メッキ等の加熱処理を
しても機械的性質が劣化しないものである。
従来よりも拡大する。例えば、自動車用足廻り部品、建
設機械等に採用可能である。また、溶融亜鉛メッキをし
てもその機械的強度は劣化しないため、建設用金具、送
配電用金具等に採用可能である。
ては、肉厚が75mm以下であり溶融メッキした球状黒
鉛鋳鉄において、Niを2.0〜4.0質量%、Mnを
0.05〜0.50質量%含むようにしたため、溶融メ
ッキ等の加熱処理がされているにもかかわらず、表2に
示すように、従来必要とした熱処理をしなくても鋳放し
状態で、また、Moを積極的に添加しなくても、溶融メ
ッキ等の加熱処理をしないものとほぼ同等の機械的性質
が得られるものである。
れば、架線金具の薄肉化ひいては軽量化を達成すること
ができるものである。
である。
鉛鋳鉄の実施例の斜視図である。
の形状及び寸法を示す説明図である。
る。
40…Vノッチ切欠き材、50…送電線、60…切削試
験片。
Claims (4)
- 【請求項1】 肉厚が75mm以下である低合金球状黒
鉛鋳鉄において、Niを2.0〜4.0質量%、Mnを
0.05〜0.50質量%含むことを特徴とする球状黒
鉛鋳鉄。 - 【請求項2】 Vノッチ切欠き材の疲労限度が290M
Pa以上である請求項1記載の球状黒鉛鋳鉄。 - 【請求項3】 切削距離1.7kmにおいて逃げ面磨耗
量が0.13mm以下である請求項1記載の球状黒鉛鋳
鉄。 - 【請求項4】 肉厚が75mm以下であり、溶融メッキ
した低合金球状黒鉛鋳鉄において、Niを2.0〜4.
0質量%、Mnを0.05〜0.50質量%含むことを
特徴とする球状黒鉛鋳鉄。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000171251A JP2001059127A (ja) | 1999-06-08 | 2000-06-07 | 球状黒鉛鋳鉄 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16031399 | 1999-06-08 | ||
JP11-160313 | 1999-06-08 | ||
JP2000171251A JP2001059127A (ja) | 1999-06-08 | 2000-06-07 | 球状黒鉛鋳鉄 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001059127A true JP2001059127A (ja) | 2001-03-06 |
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ID=26486857
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000171251A Pending JP2001059127A (ja) | 1999-06-08 | 2000-06-07 | 球状黒鉛鋳鉄 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001059127A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105220060A (zh) * | 2015-11-06 | 2016-01-06 | 河南理工大学 | 一种高强度球墨铸铁及其生产方法 |
CN105220061A (zh) * | 2015-11-02 | 2016-01-06 | 四川贝氏新材料有限公司 | 一种中大型贝氏体钢耐磨铸件及其制备工艺 |
JP2018162516A (ja) * | 2017-03-24 | 2018-10-18 | ジー・エフ キャスティング ソリューションズ クンシャン カンパニー リミテッドGF Casting Solutions Kunshan Co. Ltd. | 球状黒鉛鋳鉄合金 |
CN108760472A (zh) * | 2018-07-23 | 2018-11-06 | 新兴铸管股份有限公司 | 一种焊接结构的力学性能实验装置及实验方法 |
-
2000
- 2000-06-07 JP JP2000171251A patent/JP2001059127A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2018162516A (ja) * | 2017-03-24 | 2018-10-18 | ジー・エフ キャスティング ソリューションズ クンシャン カンパニー リミテッドGF Casting Solutions Kunshan Co. Ltd. | 球状黒鉛鋳鉄合金 |
JP7369513B2 (ja) | 2017-03-24 | 2023-10-26 | ジー・エフ キャスティング ソリューションズ クンシャン カンパニー リミテッド | 球状黒鉛鋳鉄合金 |
CN108760472A (zh) * | 2018-07-23 | 2018-11-06 | 新兴铸管股份有限公司 | 一种焊接结构的力学性能实验装置及实验方法 |
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