JP2001056927A - 磁気記録媒体用基板 - Google Patents

磁気記録媒体用基板

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JP2001056927A
JP2001056927A JP22694299A JP22694299A JP2001056927A JP 2001056927 A JP2001056927 A JP 2001056927A JP 22694299 A JP22694299 A JP 22694299A JP 22694299 A JP22694299 A JP 22694299A JP 2001056927 A JP2001056927 A JP 2001056927A
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cyclic olefin
copolymer
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JP22694299A
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English (en)
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Takuya Hagiwara
琢也 萩原
Hiroyuki Momotake
宏之 百武
Shigetoshi Nishijima
茂俊 西島
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性が高く、剛性が高く、成形時の寸
法精度も良好で、各種環境下での寸法安定性が良好な磁
気記録媒体用基板、及びそれを用いた記録媒体を提供す
ること。 【解決手段】 (A)炭素原子数が2〜20の直鎖状ま
たは分岐状のα−オレフィンと(B)環状オレフィンと
の共重合体、またはこれら(A)と(B)と(C)芳香
族ビニル化合物との共重合体から選ばれた環状オレフィ
ン系共重合体よりなる磁気記録媒体用基板、及びそれを
用いた記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録媒体用基板お
よび磁気記録媒体に関する。さらに詳しくは環状オレフ
ィン系共重合体よりなる磁気記録媒体用基板および磁気
記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】電子計算機の計算処理プログラムの記憶
や、計算処理結果の記憶等を目的として、磁気ヘッドを
用いた磁気記録装置であるハードディスク装置が用いら
れている。近年では、磁気記録装置であるハードディス
ク装置は初期のものと比べてはるかに性能が向上してお
り、価格的にも扱い易くなってきたことから、従来のパ
ーソナルコンピューターの記憶装置としての用途以外
に、一般デジタル製品の記憶装置として搭載されつつあ
る。 例えば、テレビ、ビデオカメラ、デジタルカメラ
等の情報家電や、ゲーム機器等のアミューズメント、デ
ジタル衛星放送の受信機等、画像データの記憶処理等に
も分野を広げてきている。
【0003】この様な、ハードディスク装置を取り巻く
環境の変化から、その装置の記憶媒体であるハードディ
スクそのものに対する性能要求も日増しに厳しくなって
きており、産業界では様々な改良と技術革新が行われて
いる。 従来、ハードディスク装置は、CSS方式では
アルミニウムを基板としたハードディスクが、ロードア
ンロード方式ではガラスを基板としたハードディスクが
用いられてきた。 しかしながら、アルミニウムを基板
としたハードディスクは、CSS方式であるため、非作
動時の不測の衝撃に対する弱さが指摘されており、これ
がノート型のパーソナルコンピューター等のモバイル機
器へのハードディスクの搭載を妨げていた。 一方、ガ
ラスを基板とするハードディスクでは、ロードアンロー
ド方式であるため、衝撃に対する弱さは改善されるが、
ハードディスク自体の製造工程が複雑なことや、取り扱
いが難しい等の指摘が有ることから、先の家電製品への
搭載を妨げていた。 この様な問題を解決するために、
アルミニウムやガラスに比べて遥かに取り扱い易く生産
性の良好な樹脂を用いたハードディスクの発明と開発が
求められていた。
【0004】たとえば、特開平7−153060では、
従来のアルミ製の磁気ディスク基板に代わって熱可塑性
ノルボルネン系樹脂基板を用いた磁気ディスクが提案さ
れている。また特開平7−226044ではチャッキン
グ時の変形が小さい樹脂製の磁気ディスク基板が提案さ
れており、好適な熱可塑性ノルボルネン系樹脂が記載さ
れている。
【0005】しかしながら、これらの発明をもってして
も、従来の樹脂の問題点である剛性の不足に起因する共
振問題や、磁気記録メディアに要求される寸法精度等の
問題をすべて解決することは出来ず、新たな樹脂の開発
(特開平11−106571)や、これら欠点を補うた
めの磁気ディスク装置の設計が行われているのが現状で
ある。
【0006】先に述べた通り、ハードディスク装置を取
り巻く環境の劇的な変化から、特に大容量の画像データ
を取り扱うことを目的とした大容量、高速ハードディス
クの開発や、家電等に搭載されるハードディスク装置用
の大衆消費記録メディアとしての、軽量で取り扱い易い
ハードディスクの開発が求められている。
【0007】従来の樹脂基板を用いるハードディスクで
は、ハードディスク装置の回転数が低い領域では多くの
問題を発生しなかったが、高い回転数の領域では、共振
の発生の恐れから、基板自体の厚みを厚くする等の処置
が講ぜられていた。しかしながら、基板の厚みを厚くす
ることは、ハードディスクの回転速度の向上の妨げとな
るため、高速回転の達成が困難であった。また、従来の
樹脂製ハードディスクでは、成形加工時の寸法精度に限
界が有るため、極めて特異な成形条件でハードディスク
基板を成形しても、実使用時の寸法安定性が十分ではな
かった。そのため、成形時の寸法精度が良好で、実使用
時の寸法安定性が高い樹脂製基板が求められていた。
【0008】本発明者らは、上記ハードディスク用に好
適な記録媒体、特に磁気記録媒体用として適した樹脂基
板の開発を鋭意進めた結果本発明に到達した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、成形時の寸
法精度が良好で、実使用時の寸法安定性が高い磁気記録
媒体用樹脂基板を提供することを目的とする。さらに、
該樹脂基板を用いた磁気記録媒体の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、(A)
炭素原子数が2〜20の直鎖状または分岐状のα−オレ
フィンと、(B)下記一般式(I)または(II)で表さ
れる環状オレフィン
【0011】
【化3】
【0012】(式中、nは0または1であり、mは0ま
たは正の整数であり、kは0または1であり、R1〜R
18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に、水素原
子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R15〜R18
は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよ
く、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよ
く、またR15とR16とで、またはR17とR18とでアルキ
リデン基を形成していてもよい。)
【0013】
【化4】
【0014】(式中、pおよびqは0または1以上の整
数であり、rおよびsは0、1または2であり、R21
39はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族
炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基また
はアルコキシ基であり、R29またはR30が結合している
炭素原子と、R33が結合している炭素原子またはR31
結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1
〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、また
r=s=0のとき、R35とR32またはR35とR39とはは
互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成してい
てもよい。)との共重合体、および前記(A)と前記
(B)と(C)芳香族ビニル化合物との共重合体から選
ばれた環状オレフィン系共重合体よりなる磁気記録媒体
用基板を提供する。
【0015】前記環状オレフィン系共重合体が、(A)
炭素原子数が2〜20の直鎖状または分岐状のα−オレ
フィンと、(B)前記一般式(I)または(II)で表さ
れる環状オレフィンとの共重合体であって、極限粘度
[η]が0.1〜10dl/gの範囲にあり、(A)から
導かれる構成単位の含有割合が30〜90モル%の範囲
にあり、(B)から導かれる構成単位の含有割合が10
〜70モル%の範囲にあり、ガラス転移点(Tg)が8
0℃以上で、比弾性率が2.8x107cm以上を示す
磁気記録媒体用基板は本発明の好ましい態様である。
【0016】また、前記環状オレフィン系共重合体が、
(A)炭素原子数が2〜20の直鎖状または分岐状のα
−オレフィン、(B)前記一般式(I)または(II)で
表される環状オレフィン、および(C)芳香族ビニル化
合物との共重合体であって、極限粘度[η]が0.1〜
10dl/gの範囲にあり、(A)から導かれる構成単
位の含有割合が、30〜89モル%の範囲にあり、
(B)から導かれる構成単位の含有割合が、10〜70
モル%の範囲にあり、(C)から導かれる構成単位の含
有割合が、0.1〜35モル%の範囲にあり、前記
(B)から導かれる構成単位の含有割合(B(モル
%))と、前記(C)から導かれる構成単位の含有割合
(C(モル%))とが0.5×B≧C≧0.01×Bで
示される関係を満たす環状オレフィン系共重合体である
磁気記録媒体用基板も本発明の好ましい態様である。
【0017】本発明はまた、前記環状オレフィン系共重
合体を主たる成分として含む樹脂組成物よりなる磁気記
録媒体用基板を提供する。
【0018】さらに本発明は、前記の環状オレフィン系
共重合体、または樹脂組成物を射出成形してなる、直径
が10mm〜125mm及び/又は厚みが0.2mm〜
1.7mmのディスク形状を有する磁気記録媒体用基板
を提供する。
【0019】さらにまた、本発明は前記した磁気記録媒
体用基板の表面に磁気記録層を設けてなる磁気記録媒体
を提供する。
【0020】
【発明の具体的説明】以下に、本発明に係る磁気記録媒
体用基板および磁気記録媒体について具体的に説明す
る。
【0021】磁気記録媒体用基板を構成する環状オレフ
ィン系共重合体について説明する。本発明に係る環状オ
レフィン系共重合体は、(A)炭素原子数が2〜20の
直鎖状または分岐状のα−オレフィンと、(B)下記一
般式(I)または(II)で表される環状オレフィンとの
共重合体、および前記(A)、(B)と(C)芳香族ビ
ニル化合物との共重合体から選ばれた環状オレフィン系
共重合体である。
【0022】まず、各成分のうち(A)および(B)に
ついて説明する。 (A)直鎖状または分岐状のα−オレフィン (A)直鎖状または分岐状のα−オレフィンとしては、
エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキ
セン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデ
セン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン
などの炭素原子数が2〜20の直鎖状α−オレフィン;
4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、3-メチル
-1-ブテンなどの炭素原子数が4〜20の分岐状α−オ
レフィンなどが挙げられる。これらのなかでは、炭素原
子数が2〜4の直鎖状α−オレフィンが好ましく、エチ
レンが特に好ましい。このような(A)直鎖状または分
岐状のα−オレフィンは、1種単独でまたは2種以上組
合わせて用いることができる。
【0023】(B)環状オレフィン (B)環状オレフィンとしては、下記一般式(I)また
は(II)で表される環状オレフィンが挙げられる。
【0024】
【化5】
【0025】式中、nは0または1であり、mは0また
は正の整数であり、kは0または1である。なおkが1
の場合には、kを用いて表される環は6員環となり、k
が0の場合にはこの環は5員環となる。
【0026】R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それ
ぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基
である。ここで、ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原
子、臭素原子またはヨウ素原子である。
【0027】また炭化水素基としては、通常、炭素原子
数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲ
ン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル
基または芳香族炭化水素基が挙げられる。より具体的に
は、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチ
ル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基など
が挙げられる。これらアルキル基はハロゲン原子で置換
されていてもよい。
【0028】シクロアルキル基としては、シクロヘキシ
ル基が挙げられ、芳香族炭化水素基としてはフェニル
基、ナフチル基などが挙げられる。さらに上記一般式
(I)において、R15とR16とが、R17とR18とが、R
15とR17とが、R16とR18とが、R15とR18とが、ある
いはR16とR17とがそれぞれ結合して(互いに共同し
て)、単環または多環の基を形成していてもよく、しか
もこのようにして形成された単環または多環が二重結合
を有していてもよい。ここで形成される単環または多環
としては、具体的に以下のようなものが挙げられる。
【0029】
【化6】
【0030】なお上記例示において、1または2の番号
を付した炭素原子は、前記一般式(I)においてそれぞ
れR15(R16)またはR17(R18)結合している炭素原
子を表す。
【0031】また、R15とR16とで、またはR17とR18
とでアルキリデン基を形成していてもよい。このような
アルキリデン基は、通常は炭素原子数2〜20のアルキ
リデン基であり、このようなアルキリデン基の具体的な
例としては、エチリデン基、プロピリデン基およびイソ
プロピリデン基が挙げられる。
【0032】
【化7】
【0033】式中、pおよびqはそれぞれ独立に、0ま
たは正の整数であり、rおよびsはそれぞれ独立に、
0、1または2である。また、R21〜R39はそれぞれ独
立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基またはアル
コキシ基である。
【0034】ここでハロゲン原子は、上記一般式(I)
中のハロゲン原子と同じである。また炭化水素基として
は、通常、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子
数3〜15のシクロアルキル基または芳香族炭化水素基
が挙げられる。より具体的には、アルキル基としては、
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ア
ミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル
基およびオクタデシル基などが挙げられる。これらアル
キル基はハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0035】シクロアルキル基としては、シクロヘキシ
ル基が挙げられ、芳香族炭化水素基としては、アリール
基、アラルキル基などが挙げられ、具体的には、フェニ
ル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基、フェニルエ
チル基などが挙げられる。
【0036】アルコキシ基としては、メトキシ基、エト
キシ基、プロポキシ基などが挙げられる。ここで、R29
およびR30が結合している炭素原子と、R33が結合して
いる炭素原子またはR31が結合している炭素原子とは、
直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して
結合していてもよい。すなわち、上記二個の炭素原子が
アルキレン基を介して結合している場合には、R29とR
33とが、または、R30とR31とが互いに共同して、メチ
レン基(−CH2−)、エチレン基(−CH2CH2−)また
はプロピレン基(−CH2CH2CH2−)の内のいずれか
のアルキレン基を形成している。
【0037】さらに、r=s=0のとき、R35とR32
たはR35とR39とは互いに結合して単環または多環の芳
香族環を形成していてもよい。具体的には、r=s=0
のとき、R35とR32とにより形成される以下のような芳
香族環が挙げられる。
【0038】
【化8】
【0039】ここで、qは一般式(II)におけるqと同
じである。上記のような一般式(I)または(III)表
される環状オレフィンとしては、具体的には、ビシクロ
-2-ヘプテン誘導体(ビシクロヘプト-2-エン誘導体)、
トリシクロ-3-デセン誘導体、トリシクロ-3-ウンデセン
誘導体、テトラシクロ-3-ドデセン誘導体、ペンタシク
ロ-4-ペンタデセン誘導体、ペンタシクロペンタデカジ
エン誘導体、ペンタシクロ-3-ペンタデセン誘導体、ペ
ンタシクロ-3-ヘキサデセン誘導体、ペンタシクロ-4-ヘ
キサデセン誘導体、ヘキサシクロ-4-ヘプタデセン誘導
体、ヘプタシクロ-5-エイコセン誘導体、ヘプタシクロ-
4-エイコセン誘導体、ヘプタシクロ-5-ヘンエイコセン
誘導体、オクタシクロ-5-ドコセン誘導体、ノナシクロ-
5-ペンタコセン誘導体、ノナシクロ-6-ヘキサコセン誘
導体、シクロペンタジエン-アセナフチレン付加物、1,4
-メタノ-1,4,4a,9a-テトラヒドロフルオレン誘導体、1,
4-メタノ-1,4,4a,5,10,10a-ヘキサヒドロアントラセン
誘導体などが挙げられる。
【0040】以下に上記のような一般式(I)または
(II)で表される環状オレフィンのより具体的な例を示
す。
【0041】
【化9】
【0042】
【化10】
【0043】
【化11】
【0044】
【化12】
【0045】
【化13】
【0046】
【化14】
【0047】
【化15】
【0048】
【化16】
【0049】
【化17】
【0050】
【化18】
【0051】
【化19】
【0052】
【化20】
【0053】
【化21】
【0054】
【化22】
【0055】
【化23】
【0056】
【化24】
【0057】
【化25】
【0058】
【化26】
【0059】
【化27】
【0060】
【化28】
【0061】
【化29】
【0062】これらの中では、ビシクロ[2.2.1]-2-
ヘプテン誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3
-ドデセン誘導体およびヘキサシクロ[6.6.1.13,6.1
10,13..0 2,7.09,14]-4-ヘプタデセン誘導体が好まし
い。特にビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、テトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンが好ましい。
【0063】これらの一般式(I)または(II)で表さ
れる環状オレフィンは、1種単独でまたは2種以上組合
わせて用いることができる。上記のような一般式(I)
または(II)で表される環状オレフィンは、シクロペン
タジエンと対応する構造を有するオレフィン類とをディ
ールス・アルダー反応させることによって製造すること
ができる。
【0064】本発明に係る環状オレフィン系共重合体の
好ましい態様の一つは、前記(A)炭素原子数が2〜2
0の直鎖状または分岐状のα−オレフィンから導かれる
構成単位と、前記(B)一般式(I)または(II)で表
される環状オレフィンとの共重合体である。(A)と
(B)との共重合体とは、(A)炭素原子数が2〜20
の直鎖状または分岐状のα−オレフィンから導かれる構
成単位と、(B)一般式(I)または(II)で表される
環状オレフィンから導かれる構成単位とが結合して重合
体を形成している共重合体をいう。これらの構成単位が
ランダムに結合して重合体を形成している共重合体が好
ましい。
【0065】この共重合体の(A)から導かれる構成単
位の含有割合は、30〜90モル%、好ましくは40〜
80モル%の範囲にあり、(B)から導かれる構成単位
の含有割合が10〜70モル%、好ましくは20〜60
モル%の範囲にあることが望ましい。
【0066】この共重合体の極限粘度[η]は0.1〜1
0dl/g、好ましくは0.2〜10dl/g、より好
ましくは0.3〜8dl/gの範囲にあることが望まし
い。
【0067】この共重合体のガラス転移点(Tg)は、
80℃以上、通常80〜200℃、好ましくは90〜1
80℃、より好ましくは95〜170℃であることが望
ましい。
【0068】この共重合体の比弾性率は、2.8x10
7cm以上、好ましくは3.0x107cm以上であるこ
とが望ましい。比弾性率とは、弾性率/密度であって、
剛性を示す尺度である。比弾性率が低すぎると、磁気デ
ィスクなどの基板としたときサーボ帯域以上に共振周波
数を上げられない恐れがある。
【0069】本発明に係る環状オレフィン系共重合体の
好ましい他の態様は、前記(A)炭素原子数が2〜20
の直鎖状または分岐状のα−オレフィンと、前記(B)
一般式(I)または(II)で表される環状オレフィン
と、(C)芳香族ビニル化合物との共重合体である。こ
の共重合体は、前記(A)炭素原子数が2〜20の直鎖
状または分岐状のα−オレフィンから導かれる構成単位
と、前記(B)一般式(I)または(II)で表される環
状オレフィンから導かれる構成単位と、(C)芳香族ビ
ニル化合物から導かれる構成単位とが結合して重合体を
形成している共重合体である。これら構成単位がランダ
ムに結合して重合体を形成している共重合体が好まし
い。
【0070】以下に、本発明で使用しうる(C)芳香族
ビニル化合物について説明する。 (C)芳香族ビニル化合物 (C)芳香族ビニル化合物としては、スチレン;o-メ
チルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレ
ン、o,p-ジメチルスチレン、o-エチルスチレン、m-
エチルスチレン、p-エチルスチレン等のモノもしくは
ポリアルキルスチレン;メトキシスチレン、エトキシス
チレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニ
ルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、o-クロ
ロスチレン、p-クロロスチレン、ジビニルベンゼン等
の官能基含有スチレン誘導体;3-フェニルプロピレ
ン、4-フェニルブテン、α−メチルスチレンなどが挙げ
られる。これらの芳香族ビニル化合物は、1種単独でま
たは2種以上組合わせて用いることができる。
【0071】前記(A)炭素原子数が2〜20の直鎖状
または分岐状のα−オレフィンと、前記(B)一般式
(I)または(II)で表される環状オレフィンと、前記
(C)芳香族ビニル化合物との共重合体は、極限粘度
[η]が通常0.1〜10dl/g、好ましくは0.2
〜10dl/g、より好ましくは0.3〜8dl/gの
範囲にあることが望ましい。
【0072】この共重合体は、(A)直鎖状または分岐
状のα−オレフィンから導かれる構成単位の含有割合
が、30〜89モル%、好ましくは40〜80モル%の
範囲にあり、(B)環状オレフィンから導かれる構成単
位の含有割合が、10〜70モル%、好ましくは20〜
60モル%の範囲にあり、(C)芳香族ビニル化合物か
ら導かれる構成単位の含有割合が、0.1〜35モル
%、好ましくは0.2〜20モル%の範囲にあることが
望ましい。
【0073】この共重合体は、(B)環状オレフィンか
ら導かれる構成単位の含有割合(B(モル%))と、
(C)芳香族ビニル化合物から導かれる構成単位の含有
割合(C(モル%))とが0.5×B≧C≧0.01×
B好ましくは0.4×B≧C≧0.01×Bより好まし
くは0.3×B≧C≧0.02×Bで示される関係を満
たしていることが好ましい。
【0074】この共重合体のガラス転移点(Tg)は、
通常60〜170℃、好ましくは70〜160℃、より
好ましくは80〜160℃の範囲にあることが望まし
い。
【0075】この共重合体の曲げ弾性率は、3,500
〜3,800MPaにあることが好ましい。
【0076】本発明に係る環状オレフィン系共重合体
は、従来公知の触媒の存在下に、(A)直鎖状または分
岐状のα−オレフィンと(B)環状オレフィンとを、ま
たは(A)直鎖状または分岐状のα−オレフィンと
(B)環状オレフィンと(C)芳香族ビニル化合物とを
共重合させることにより製造することができる。環状オ
レフィン系共重合体を製造することのできる方法として
は、たとえば、特開昭60−168708号、同61−
120816号、同61−115916号、同61−2
71308号、61−272216号、同62−252
406号、62−252407号などに記載された方法
に従い、適宜条件を選択した方法を挙げることができ
る。
【0077】たとえば、共重合を炭化水素溶媒に可溶性
のバナジウム化合物および有機アルミニウム化合物から
形成される触媒を用いて、炭化水素溶媒中で行うことが
できる。
【0078】また、本発明に係る環状オレフィン系共重
合体本発明に係る環状オレフィン系共重合体を製造する
触媒として、メタロセン触媒は好ましい触媒の一つであ
る。メタロセン触媒としては、シングルサイト触媒とし
て従来から用いられているメタロセン系触媒、ならびに
これらに類似するメタロセン系触媒が制限なく用いられ
るが、特に遷移金属のメタロセン化合物(遷移金属化合
物)(a)と、有機アルミニウムオキシ化合物(b)お
よび/またはイオン化イオン性化合物(c)とからなる
触媒が好ましく用いられる。
【0079】メタロセン化合物(a)として具体的に
は、下記一般式(III)で表される遷移金属化合物が挙
げられる。
【0080】
【化30】
【0081】式中、M1はチタン、ジルコニウムまたは
ハフニウムを示し、好ましくはジルコニウムである。X
1およびX2は、互いに同一でも異なっていてもよく、水
素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜10のアルキ
ル基、炭素原子数が1〜10のアルコキシ基、炭素原子
数が6〜10のアリール基、炭素原子数が6〜10のア
リールオキシ基、炭素原子数が2〜10のアルケニル
基、炭素原子数が7〜40のアリールアルキル基、炭素
原子数が7〜40のアルキルアリール基または炭素原子
数が8〜40のアリールアルケニル基を示す。
【0082】具体的には、ハロゲン原子としては例えば
フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。炭素原
子数が1〜10のアルキル基としては、例えばメチル、
エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシ
ル等を好ましく挙げることができる。
【0083】炭素原子数が1〜10のアルコキシ基とし
ては、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキ
シ、ヘキソキシ、オクトキシおよびデシルオキシ基が挙
げられる。
【0084】炭素原子数が6〜10のアリール基として
は、例えばフェニル、ナフチル基等が挙げられる。炭素
原子数が6〜10のアリールオキシ基としては、例えば
フェニルオキシ、ナフチルオキシ基等が挙げられる。
【0085】炭素原子数が2〜10のアルケニル基とし
ては、例えばエテニル、プロベニル、4-メチル-1-ペン
テニル、デセニル基等が挙げられる。炭素原子数が7〜
40のアリールアルキル基としては、例えばベンジル
基、フェネチル基、1-フェニルプロピル基等が挙げられ
る。、炭素原子数が7〜40のアルキルアリール基とし
ては、例えばトリル、エチルフェニル基、プロピルフェ
ニル基、n-ブチルフェニル基、t-ブチルフェニル基等が
挙げられる。
【0086】炭素原子数が8〜40のアリールアルケニ
ル基としては、例えばフェニルエチレニル基等が挙げら
れる。R41およびR42は、互いに同一でも異なっていて
もよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜1
0のアルキル基、炭素原子数が1〜10のフルオロアル
キル基、炭素原子数が6〜10のフルオロアリール基、
炭素原子数が6〜10のアリール基、炭素原子数が1〜
10のアルコキシ基、炭素原子数が2〜10のアルケニ
ル基、炭素原子数が7〜40のアリールアルキル基、炭
素原子数が7〜40のアルキルアリール基または炭素原
子数が8〜40のアリールアルケニル基を示すかまた
は、R41とR42は、それらの結合する原子と一緒に成っ
て環を形成してもよい。
【0087】具体的には、ハロゲン原子、炭素原子数が
1〜10のアルキル基、炭素原子数が6〜10のアリー
ル基、炭素原子数が1〜10のアルコキシ基、炭素原子
数が2〜10のアルケニル基、炭素原子数が7〜40の
アリールアルキル基、炭素原子数が7〜40のアルキル
アリール基または炭素原子数が8〜40のアリールアル
ケニル基としては、前記X1およびX2が示すとして例示
したものと同じ原子または基が挙げられる。
【0088】炭素原子数が1〜10のフルオロアルキル
基としては、例えばトリフルオロメチル、ペンタフルオ
ロエチル、オクタフルオロプロピル基等が挙げられる。
炭素原子数が6〜10のフルオロアリール基としては、
例えばペンタフルオロフェニル基が挙げられる。
【0089】R41およびR42としては、これらのなかで
は炭素原子数が1〜10のアルキル基が好ましく、特に
炭素原子数が1〜3のアルキル基が好ましい。R43およ
びR44は、互いに同一でも異なっていてもよく、中心金
属M1と一緒にサンドイッチ構造を形成し得る、シクロ
ペンタジエニル骨格を有しかつ2以上の環構造を有する
炭化水素基を示す。
【0090】具体的には、インデニル基またはその置換
体、フルオレニル基またはその置換体を好ましいものと
して挙げることができる。特に、R43およびR44の組合
せとしては、インデニル基またはその置換体同士の組合
せが望ましい。
【0091】上記のような一般式(III)で表される遷
移遷移金属化合物のうち、遷移金属(M1)がジルコニ
ウムである化合物としては、具体的には、以下のような
化合物が挙げられる。ジフェニルメチレン−ビス(1-イ
ンデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン
−ビス(1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、シク
ロヘキシリデン−ビス(1-インデニル)ジルコニウムジ
クロリド、ジフェニルメチレン−ビス(9-フルオレニ
ル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン−ビス
(9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘ
キシリデン−ビス(9-フルオレニル)ジルコニウムジク
ロリドなどが挙げられる。
【0092】これらのなかでは、ジフェニルメチレン−
ビス(1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプ
ロピレン−ビス(1-インデニル)ジルコニウムジクロリ
ドが好ましい。
【0093】また本発明では、メタロセン化合物(a)
として下記一般式(IV)で示されるメタロセン化合物
を用いることもできる。 L121 2 … (IV) (式中、M2は周期表の4族またはランタニド系列の金
属であり、L1は、非局在化π結合基の誘導体であり、
金属M2活性サイトに拘束幾何形状を付与しており、Z1
は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハ
ロゲン原子または20以下の炭素原子、ケイ素原子もし
くはゲルマニウム原子を含有する、炭化水素基、シリル
基もしくはゲルミル基である。)このような式(IV)
で示されるメタロセン化合物(a)の中では、下記一般
式(4)で示されるメタロセン化合物が好ましい。
【0094】
【化31】
【0095】式(V)中、M3はチタン、ジルコニウム
またはハフニウムであり、Z1は上記と同様である。C
pはM3にη5結合様式でπ結合したシクロペンタジエニ
ル基、置換シクロペンタジエニル基またはこれらの誘導
体である。
【0096】W1は酸素、イオウ、ホウ素もしくは周期
表の14族の元素、またはこれらの元素を含む基であ
り、V1は窒素、リン、酸素またはイオウを含む配位子
である。
【0097】W1とV1とで縮合環を形成してもよい。ま
たCpとW1とで縮合環を形成してもよい。一般式
(V)のCpで示される基の好ましいものとしては、シ
クロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基
およびこれらの飽和誘導体などが挙げられ、これらは金
属原子(M3)と環を形成する。シクロペンタジエニル
基中のそれぞれの炭素原子はヒドロカルビル基、置換ヒ
ドロカルビル基からなる群から選ばれた同一または異な
った基であることができ、1種またはそれ以上の炭素原
子はハロゲン原子、ヒドロカルビル置換メタロイド基に
よって置換され、そしてメタロイドは元素の周期表の1
4族およびハロゲン原子から選ばれる。また、1種また
はそれ以上の置換基は一緒になって縮合環を形成してい
てもよい。シクロペンタジエニル基中の少なくとも1つ
の水素原子置換しうる好ましいヒドロカルビルおよび置
換ヒドロカルビル基は1〜20個の炭素原子を含み、か
つ直鎖または分岐状のアルキル基、環状炭化水素基、ア
ルキル置換環状炭化水素基、芳香族基およびアルキル置
換芳香族基を包含する。好ましい有機メタロイド基は1
4族元素のモノ−、ジ−およびトリ−置換有機メタロイ
ド基を包含し、ヒドロカルビル基のそれぞれは1〜20
個の炭素原子を含む。好ましい有機メタロイド基の具体
的なものとしてはトリメチルシリル、トリエチルシリ
ル、エチルジメチルシリル、メチルジエチルシリル、フ
ェニルジメチルシリル、メチルジフェニルシリル、トリ
フェニルシリル、トリフェニルジャーミル、トリメチル
ジャーミルなどが挙げられる。
【0098】一般式(V)のZ1の具体的なものとして
は、ヒドライド、ハロ、アルキル、シリル、ジャーミ
ル、アリール、アミド、アリールオキシ、アルコキシ、
ホスファイド、サルファイド、アシル、疑似ハライドた
とえばシアニド、アジドなど、アセチルアセトネートま
たはそれらの混合物などが挙げられ、これらは互いに同
一でも異なっていてもよい。
【0099】一般式(V)で示されるメタロセン化合物
(a)の中でも、下記一般式(V-1)で表されるメタロ
セン化合物が好ましい。
【0100】
【化32】
【0101】式(V-1)中、M4は前記M3と同じであ
り、V2は−O−、−S−、−NR47−、−PR47−で
あるか、またはOR47、SR47、N(R472 またはP
(R472 からなる群から選ばれた中性の2個電子供与
体リガンドである。ここでR47は水素原子、または20
個までの水素以外の原子をもつアルキル、アリール、シ
リル、ハロゲン化アルキルもしくはハロゲン化アリール
基であるか、あるいは2個のR47または後述のR48とで
縮合環を形成していてもよい。
【0102】式(6)中、W2はSi(R482、C(R
482、Si(R482Si(R48 2、C(R482
(R482、CR48=CR4848、C(R482Si(R
482、Ge(R482、BR48、B(R482である。
ここでR48は前記R47と同じである。
【0103】式(V-1)中、R53〜R56はそれぞれ独立
に水素原子、または20個までの水素以外の原子をもつ
アルキル、アリール、シリル、ジャーミル、シアノ、ハ
ロおよびそれらの組合せ(例えばアルカリール、アラル
キル、シリル置換アルキル、シリル置換アリール、シア
ノアルキル、シアノアリール、ハロアルキル、ハロシリ
ルなど)であるか、あるいはR53〜R56の隣接対はシク
ロペンタジエニル部分に縮合したヒドロカルビル環を形
成していてもよい。
【0104】式(V-1)中、Z2はそれぞれの場合にヒ
ドライドであるか、または20個までの水素以外の原子
をもつハロ、アルキル、アリールシリル、ジャーミル、
アリールオキシ、アルコキシ、アミド、シリルオキシお
よびそれらの組合せ(例えばアルカリール、アラルキ
ル、シリル、置換アルキル、シリル置換アリール、アリ
ールオキシアルキル、アリールオキシアリール、アルコ
キシアルキル、アルコキシアリール、アミドアルキル、
アミドアリール、シロキシアルキル、シロキシアリー
ル、アミドシロキシアルキル、ハロアルキル、ハロアリ
ールなど)、および20個までの水素以外の原子をもつ
中性ルイス塩基からなる群から選ばれた基である。
【0105】一般式(V-1)で表されるメタロセン化合
物(a)において、V2が中性2個電子供与体リガンド
であるとき、M4とV2との間の結合はより正確には配位
共有結合と呼ばれる結合である。また、錯体はダイマー
または高級オリゴマーとして存在しうる。
【0106】一般式(V-1)で表されるメタロセン化合
物(a)においては、R53〜R56、Z2、R47またはR
48の少なくとも1つは電子供与性部分であることが好ま
しく、特にV2が−NR19−または−PR19−(ただ
し、R19は炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数6〜
10のアリールである)に相当するアミドまたはホスフ
ィド基であることが好ましい。
【0107】一般式(V-1)で表されるメタロセン化合
物(a)の中でも、下記一般式(V-2)で表されるアミ
ドシランまたはアミドアルカンジイル化合物が好まし
い。
【0108】
【化33】
【0109】式(V-2)中、M5はシクロペンタジエニ
ル基にη5結合様式で結合しているチタン、ジルコニウ
ムまたはハフニウムであり、R60〜R65はそれぞれ独立
に水素原子、または10個までの炭素をもつシリル、ア
ルキル、アリールおよびそれらの組合せからなる群から
選ばれた基であるか、またはR60〜R65の隣接対はシク
ロペンタジエニル部分に縮合するヒドロカルビル環を形
成していてもよい。
【0110】式(V-2)中、W3はケイ素または炭素で
あり、Z3はそれぞれの場合にヒドライド、ハロ、10
個までの炭素のアルキル、アリール、アリールオキシま
たはアルコキシである。
【0111】一般式(V-2)で表されるメタロセン化合
物(a)においては、R60がメチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、ペンチル、ヘキシル(異性体を含む)、ノ
ルボルニル、ベンジル、フェニルなどであり、R62〜R
65がそれぞれ独立に水素原子、メチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、ペンチル、ヘキシル(異性体を含む)、ノ
ルボルニル、ベンジルなどであり、そしてZ3がクロ
ロ、ブロモ、ヨード、メチル、エチル、プロピル、ブチ
ル、ペンチル、ヘキシル(異性体を含む)、ノルボルニ
ル、ベンジル、フェニルなどであるメタロセン化合物が
好ましい。またR62〜R65が縮合環を形成して、シクロ
ペンタジエニル部分がインデニル、テトラヒドロインデ
ニル、フルオレニル、オクタヒドロフルオレニル環など
であるメタロセン化合物も好ましい。
【0112】一般式(V-2)で表されるメタロセン化合
物の具体的なものとしては、(t-ブチルアミド)ジメチ
ル(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラン
チタンジクロリド、(t-ブチルアミド)(テトラメチル-
η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイルジルコ
ニウムジクロリド、(t-ブチルアミド)(テトラメチル
-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイルチタン
ジクロリド、(メチルアミド)(テトラメチル-η5-シ
クロペンタジエニル)-1,2-エタンジイルジルコニウム
ジクロリド、(メチルアミド)(テトラメチル-η5-シ
クロペンタジエニル)-1,2-エタンジイルチタンジクロ
リド、(エチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペ
ンタジエニル)-メチレンチタンジクロリド、(t-ブチ
ルアミド)ジメチル(テトラメチル-η5-シクロペンタ
ジエニル)シランジルコニウムジベンジル、(ベンジル
アミド)ジメチル(テトラメチル-η5-シクロペンタジ
エニル)シランチタンジクロリド、(フェニルホスフィ
ド)ジメチル(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニ
ル)シランジルコニウムジベンジルなどが挙げられる。
【0113】メタロセン化合物(a)としては、前記一
般式(III)で示されるメタロセン化合物が特に重合活
性ならびに成形体の透明性、剛性、耐熱性および耐衝撃
性の面から好ましい。これまで説明したメタロセン化合
物(a)は1種単独でまたは2種以上組合わせて用いる
ことができる。本発明で使用するメタロセン化合物
(a)は、炭化水素またはハロゲン化炭化水素に希釈し
て用いてもよい。
【0114】次に、メタロセン触媒を形成する際に用い
られる有機アルミニウムオキシ化合物(b)およびイオ
ン化イオン性化合物(c)について説明する。有機アル
ミニウムオキシ化合物(b)は、従来公知のアルミノオ
キサン(b)であってもよく、また特開平2−7868
7号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機
アルミニウムオキシ化合物(b)であってもよい。
【0115】アルミノオキサン(b)は、例えば下記の
ような方法によって製造され、通常炭化水素溶媒の溶液
として回収される。(1)吸着水を含有する化合物ある
いは結晶水を含有する塩類、例えば塩化マグネシウム水
和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニ
ッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などを懸濁した
芳香族炭化水素溶媒に、トリアルキルアルミニウムなど
の有機アルミニウム化合物を添加して反応させて芳香族
炭化水素溶媒の溶液として回収する方法。
【0116】(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテ
ル、テトラヒドロフランなどの媒体中でトリアルキルア
ルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水
(水、氷または水蒸気)を作用させて芳香族炭化水素溶
媒の溶液として回収する方法。
【0117】(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの
炭化水素媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機
アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチ
ルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方
法。
【0118】イオン化イオン性化合物(c)としては、
ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物、およびカル
ボラン化合物を例示することができる。これらのイオン
化イオン性化合物(c)は、特表平1−501950号
公報、特表平1−502036号公報、特開平3−17
9005号公報、特開平3−179006号公報、特開
平3−207703号公報、特開平3−207704号
公報、USP−5321106号公報などに記載されて
いる。
【0119】イオン化イオン性化合物(c)として用い
るルイス酸としては、BR3 (ここで、Rは互いに同一
でも異なっていてもよく、フッ素、メチル基、トリフル
オロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル
基またはフッ素である。)で示される化合物が挙げら
れ、例えばトリフルオロボロン、トリフェニルボロン、
トリス(4-フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,
5-ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4-フルオロ
メチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェ
ニル)ボロンなどが挙げられる。
【0120】イオン化イオン性化合物(c)として用い
るイオン性化合物は、カチオン性化合物とアニオン性化
合物とからなる塩である。アニオンは前記メタロセン化
合物(c)と反応することによりメタロセン化合物
(a)をカチオン化し、イオン対を形成することにより
遷移金属カチオン種を安定化させる働きがある。そのよ
うなアニオンとしては、有機ホウ素化合物アニオン、有
機ヒ素化合物アニオン、有機アルミニウム化合物アニオ
ンなどがあり、比較的嵩高で遷移金属カチオン種を安定
化させるものが好ましい。カチオンとしては、金属カチ
オン、有機金属カチオン、カルボニウムカチオン、トリ
ピウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウム
カチオン、ホスホニウムカチオン、アンモニウムカチオ
ンなどが挙げられる。さらに詳しくはトリフェニルカル
ベニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、
N,N-ジメチルアンモニウムカチオン、フェロセニウ
ムカチオンなどである。
【0121】これらのうち、アニオンとしてホウ素化合
物を含有するイオン性化合物が好ましく、具体的にはイ
オン性化合物としては、トリアルキル置換アンモニウム
塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルア
ンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などが挙
げられる。
【0122】上記トリアルキル置換アンモニウム塩とし
ては、例えばトリエチルアンモニウムテトラ(フェニ
ル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニ
ル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(フ
ェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p-ト
リル)ホウ素などが挙げられる。
【0123】前記N,N-ジアルキルアニリニウム塩とし
ては、例えばN,N-ジメチルアニリニウムテトラ(フェ
ニル)ホウ素などが挙げられる。前記ジアルキルアンモ
ニウム塩としては、例えばジ(n-プロピル)アンモニウ
ムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロ
ヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが
挙げられる。
【0124】前記トリアリールホスフォニウム塩として
は、例えばトリフェニルホスフォニウムテトラ(フェニ
ル)ホウ素、トリ(メチルフェニル)ホスフォニウムテ
トラ(フェニル)ホウ素、トリ(ジメチルフェニル)ホ
スフォニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられ
る。
【0125】さらに前記イオン性化合物としては、トリ
フェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェ
ニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス
(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウム
テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げ
ることもできる。
【0126】イオン化イオン性化合物(c)として用い
るボラン化合物としては、下記のような化合物を挙げる
こともできる。デカボラン(14);ビス〔トリ(n-ブ
チル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n-ブ
チル)アンモニウム〕デカボレートなどのアニオンの
塩;およびトリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ドデカ
ハイドライドドデカボレート)コバルト酸塩(III)、
ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハ
イドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)など
の金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0127】イオン化イオン性化合物(c)として用い
るカルボラン化合物としては、4-カルバノナボラン(1
4)、1,3-ジカルバノナボラン(13)などのアニオン
の塩;およびトリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ノナ
ハイドライド-1,3-ジカルバノナボレート)コバルト酸
塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウン
デカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)鉄
酸塩(III)などの金属カルボランアニオンの塩などが
挙げられる。
【0128】上記のようなイオン化イオン性化合物
(c)は、2種以上組合せて用いてもよい。本発明で用
いるメタロセン触媒は、必要に応じて、前記各成分に加
えてさらに下記有機アルミニウム化合物(d)を含んで
いてもよい。
【0129】必要に応じて用いられる有機アルミニウム
化合物(d)としては、例えば下記一般式(VI)で示さ
れる有機アルミニウム化合物が挙げられる。 (R6nAlX3-n …(VI) 式(VI)中、R6は炭素原子数が1〜15、好ましく
は1〜4の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子または
水素原子であり、nは1〜3である。
【0130】このような炭素原子数が1〜15の炭化水
素基としては、例えばアルキル基、シクロアルキル基ま
たはアリール基が挙げられ、具体的には、メチル基、エ
チル基、n-プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基
などが挙げられる。
【0131】このような有機アルミニウム化合物として
は、具体的には以下のような化合物が挙げられる。トリ
メチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイ
ソプロピルアルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、
トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニ
ウムなどのトリアルキルアルミニウム、一般式(i-C4
9xAly(C510)z(式中、x、y、zは正の数
であり、z≧2xである。)で表わされるイソプレニル
アルミニウムなどのアルケニルアルミニウム、ジメチル
アルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロ
リドなどのジアルキルアルミニウムハライド、ジイソブ
チルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミ
ニウムハイドライド、ジメチルアルミニウムメトキシド
などのジアルキルアルミニウムアルコキシド、ジエチル
アルミニウムフェノキシドなどのジアルキルアルミニウ
ムアリーロキシドなどが挙げられる。
【0132】直鎖状または分岐状のα−オレフィン
(A)と、環状オレフィン(B)、または直鎖状または
分岐状のα−オレフィン(A)と、環状オレフィン
(B)と芳香族ビニル化合物(C)との共重合における
重合形態としては、溶液重合、バルク重合およびスラリ
ー重合のいずれも採用することができ、また連続重合お
よびバッチ重合のいずれで実施することができる。
【0133】共重合で用いられる重合溶媒としては、例
えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、灯油などの脂肪族
炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなど
の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなど
の芳香族炭化水素などを例示することができる。これら
の溶媒は、1種単独でまたは2種以上組合わせて用いる
ことができる。
【0134】共重合温度は、−50〜230℃、好まし
くは−30〜200℃、さらに好ましくは−20〜15
0℃の範囲であり、共重合反応時間は、2分〜5時間、
好ましくは5分〜3時間である。また、重合反応の際の
圧力は、0を超えて1000kg/cm2、好ましくは
0を超えて50kg/cm2の範囲である。
【0135】触媒は、遷移金属化合物(a)と、有機ア
ルミニウムオキシ化合物(b)、イオン化イオン性化合
物(c)または有機アルミニウム化合物(d)とを重合
器内に別々にフィードしてもよく、また予め重合器の系
外で接触させておいてもよい。
【0136】重合反応系における遷移金属化合物(a)
の濃度は、好ましくは0.00005〜1.0ミリモル
/リットル、より好ましくは0.0001〜0.3ミリ
モル/リットルである。有機アルミニウムオキシ化合物
(b)およびイオン化イオン性化合物(c)の濃度は、
遷移金属化合物の1〜104当量用いることが好まし
い。また、これらと一緒に用いられる有機アルミニウム
化合物(d)の濃度は、有機アルミニウムオキシ化合物
のアルミニウム原子に対して、またはイオン化イオン性
化合物(d)の錯体金属原子に対して、0.01〜10
0当量用いることが好ましい。
【0137】本発明の共重合体の合成においては、
(A)直鎖状または分岐状のα−オレフィンおよび
(B)環状オレフィン、または(A)直鎖状または分岐
状のα−オレフィン、(B)環状オレフィンおよび
(C)芳香族ビニル化合物の仕込み比を適宜変更するこ
とで、所望の組成の共重合体を合成できる。(A)直鎖
状または分岐状のα−オレフィン、(B)環状オレフィ
ンおよび(C)芳香族ビニル化合物の場合、(B)環状
オレフィンと(C)芳香族ビニル化合物との仕込み比
(B/C(モル比))は、好ましくは9/1〜1/9、
より好ましくは7/3〜8/2の範囲である。
【0138】本発明に係る環状オレフィン系共重合体
は、単独で用いてもいいが、他の樹脂と混合した組成物
として用いることも可能である。樹脂基板の性能を維持
する観点から、該環状オレフィン系共重合体樹脂組成物
単独で用いることが好ましい。本発明の環状オレフィン
系共重合体樹脂を2種以上製造し混合して使用するの
は、本発明実施の好ましい態様である。また、性能を損
なわない範囲で、他の樹脂との組成物として用いること
を排除するものではない。
【0139】本発明において、環状オレフィン系共重合
体に混合して使用してもよい樹脂としては、ポリエーテ
ルサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、
熱可塑性ポリイミドなどの剛性が高く、寸法安定性が良
好な非晶性樹脂を挙げることができる。
【0140】本発明の樹脂基板は、先に述べた環状オレ
フィン系共重合体またはその樹脂組成物を、射出成形、
射出圧縮成形、押出成形、プレス成形、熱プレス成形等
の成形加工により直接もしくは、これら成形加工により
製作出来る環状オレフィン系共重合体及びその組成物か
ら成る平板、円盤、丸棒、角材、プレート、シート等
を、公知の切削機械加工、ラップ加工、表面仕上げ加
工、研磨加工、せん断加工、打ち抜き成形等の成形加工
方法により樹脂基板として使用できる成形品に成形する
ことができる。本発明に係る環状オレフィン系共重合体
及びその樹脂組成物からは、耐熱性が高く、従来の公知
のポリカーボネート製の基板よりも、剛性が高く、成形
時の寸法精度が良好で、各種環境下での寸法安定性の極
めて良好な樹脂基板を製作することができる。
【0141】ディスク形状成形体の成形条件の一例を示
す。環状オレフィン系共重合体またはその樹脂組成物を
コンパウンド押出成形機により、所定の粒径(φ2〜φ
5)のペレットに成形し、これをディスク成形用精密金
型装置を装備した精密射出成形機に投入し、ディスク形
状に成形を行う。
【0142】ディスク表面の金型転写性や使用する際の
スライダーの走行性を考慮して、射出成形時の成形機の
シリンダー温度は、300℃〜350℃が好ましく、金
型温度は90℃〜150℃が好ましい。シリンダー温度
が高過ぎるとシルバーの原因となって表面状態が悪くな
る可能性がある。特に、成形に供する金型の温度調整方
法には十分配慮する必要がある。この様な方法で、成形
されたハードディスク基板は、所定の取り出し機により
注意深く取り出しが行われ、本発明の環状オレフィン系
共重合体またはその組成物を成形加工してなるディスク
基板を得る。
【0143】本発明に係る環状オレフィン系共重合体樹
脂またはその組成物に、各種充填材を配合して使用する
こともできる。充填材の具体例としてはガラス繊維、炭
素繊維、樹脂繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、炭
素粉、炭素粒子、シリカ、マイカ、タルク、石英、ケイ
素などを挙げることができるが、これに限定されるもの
ではない。添加できる量は、樹脂性能を維持する観点か
ら決定されるが、通常樹脂に対して0〜40%添加され
る。混合するにあたっては、公知のコンパンド機やブレ
ンダーを用いて、先の環状オレフィン共重合体に練り込
む方法が挙げられる。
【0144】本発明の磁気記録媒体は、前述の樹脂基板
の表面に磁気記録層が設けられているものである。磁気
ディスクは、前述の樹脂からなる磁気ディスク基板上に
磁気記録層が設けられているものであるが、磁気記録層
は一般的には下地層、磁性層、保護膜、潤滑剤塗付層が
順次設けられてなるものである。本発明の磁気記録媒体
用基板は、水分が極めて少なく、寸法安定性が非常に良
好なため、これら磁気記録層をスパッタリング法などで
下地付けする際に、前処理が短くて済み、かつ下地との
親和性も高いため、磁気記録媒体として良好な性質を示
すものとなる。
【0145】本発明の樹脂製磁気記録媒体用基板として
は、直径が10mm〜125mm及び/又は厚みが0.
2mm〜1.7mmのディスク形状を有するものが好適
である。磁気ディスク基板としては、略円盤状のもので
あり、通常は、例えば、記録領域形成部、該記載領域形
成部の内周側およぴ外周側に位置するクランプ部および
ランディング部よりなるが、構造としてはこれらに限定
されるものではない。
【0146】なお、上記記録領域形成部は、磁気ディス
クとされたとき記録領域となる部分であり、実際にデー
タを記録する領域が形成されるデータ領域形成部と、ア
ドレス及び記録トラック内位置を制御する(トラツキン
グする)ためのサーポマークか形成きれるサーポマーク
形成部とからなっている。上述のような磁気ディスク基
板上には、下地層が形成され、さらにその上に磁性層が
形成されている。なお、磁性層が形成された上には保護
膜と潤滑剤塗付層とが形成されている。
【0147】
【発明の効果】本発明に係る環状オレフィン系共重合体
及びその組成物を成形加工して成る樹脂製基板は、耐熱
性が高く、剛性が高く、成形時の寸法精度も良好で、各
種環境下での寸法安定性が良好なので、磁気記録媒体用
基板として好適である。特に、ハードディスクなどの磁
気ディスク用基板として好適に用いることができる。
【0148】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。
【0149】(実施例1)エチレン・ノルボルネン共重
合体(E/NB、ノルボルネン含量53モル%)を、デ
ィスク成形用精密金型装置を装備した精密射出成形機
(住友重機械工業社製ネスタール50トン)に投入し、
60mmφ、厚さ1.2mmのディスク形状に成形を行
った。射出成形時の成形機のシリンダー温度は300℃
であり、金型温度は125℃であった。成形されたディ
スク基板は、所定の取り出し機構により注意深く取り出
し、ディスク状成形品を得た。得られたディスク基板の
物性および性能を表1に示す。本発明の環状オレフィン
系共重合体よりなるディスクは、剛性が高く、成形時の
寸法精度も良好である。
【0150】(実施例2)実施例1において、エチレン
・ノルボルネン共重合体をエチレン・テトラシクロドデ
セン共重合体(E/TD、テトラシクロドデセン含有量
38モル%)に代えるほかは同様にしてディスク状成形
品を得た。得られたディスク基板の物性および性能を表
1に示す。
【0151】(比較例1)実施例1において、エチレン
・ノルボルネン共重合体をポリカーボネート(PC,帝
人化成社製 パンライト AD5503)に代えるほか
は同様にしてディスク状成形品を得た。得られたディス
ク基板の物性および性能を表1に示す。
【表1】
【0152】(実施例3)135℃のデカリン溶媒中で
測定した極限粘度[η]が0.8dl/g、以下の測定
法で測定したガラス転移点が142℃のエチレン・ノル
ボルネン・スチレン共重合体(ノルボルネン含有量は4
1.1モル%、ステレン含量は9.8モル%)を用い
た。
【0153】〔ガラス転移点〕セイコー電子社製DSC
により10℃/分の昇温速度で測定した。
【0154】(基板の製造)上記エチレン・ノルボルネ
ン・スチレン共重合体を、コンパウンド押出成形機(日
本製鋼所製)により、所定の粒径(φ2〜φ5)のペレ
ットに成形した。押出成形時の押出機のシリンダー温度
は270℃、スクリューの回転数は150rpmであっ
た。得られたペレットを、ディスク成形用精密金型装置
を装備した精密射出成形機(住友重機械工業ネスタール
50トン)に投入し、ディスク形状に成形を行った。射
出成形時の成形機のシリンダー温度は300℃であり、
金型温度は120℃であった。成形されたハードディス
ク基板は、所定の取り出し機により注意深く取り出しデ
ィスク状成形品を得た。
【0155】この様に得られたディスク状成形品を、工
作機械(ファナック・ロボットドリル・ファルファT−
10c)により、機械研削加工を行い、ODφ95×I
Dφ25×厚み1.27tのドーナッツ形状の円ディス
ク状成形品を得た。これに平面ラップ盤により上下面を
研磨加工することにより、ディスク基板を得た。得られ
たディスク基板の、物性及び性能を表2に示す。本発明
の環状オレフィン系共重合体よりなるディスク基板は、
剛性が高く、成形時の寸法精度も良好で、実使用時の寸
法安定性も良好であることがわかる。
【0156】(実施例4)実施例3においてエチレン・
ノルポルネン・スチレン共重合体に代えて、135℃の
デカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]は0.7dl
/gであり、実施例3と同様にして測定した、ガラス転
移点(Tg)が135℃のエチレン・テトラシクロドデ
セン・スチレン共重合体を用いて、実施例3と同様にデ
ィスク状成形品を得た。この様にして得られたディスク
状成形品を、工作機械(ファナック・ロボットドリル・
ファルファT−10c)により、機械研削加工を行い、
ODφ95×IDφ25×厚み1.27tのドーナッツ
形状の円ディスク状成形品を得た。これに平面ラップ盤
により上下面を研磨加工することにより、ディスク基板
を得た。得られたディスク基板の、物性及び性能を表2
に示す。
【0157】(比較例2)実施例3において、エチレン
・ノルボルネン・スチレン共重合体に代えて、ポリカー
ボネート(帝人化成社製パンライト AD5503)を
使用して、実施例3と同様な成形加工条件でディスク基
板を得た。得られたディスク基板の、物性及び性能を表
2に示す。
【0158】(比較例3)実施例3において、エチレン
・ノルボルネン・スチレン共重合体に代えて、ノルボル
ネン樹脂(日本ゼオン社製 ゼオネックス 280)を
使用する他は同様にして、ディスク基板を得た。得られ
たディスク基板の物性および性能を表2に示す。
【0159】なお、表2におけるディスク基板の、物性
及び性能の測定法は以下のとおりである。 ・曲げ強度:ASTM D790に準じて測定した。 ・曲げ弾性率:ASTM D790に準じて測定した。 ・表面粗度:得られたディスクに光をあて、その反射光
を観察し、下記基準によって判定した。 ◎:光の乱れがまったくなかった。 ○:若干光の乱れがあった。 ・成形収縮:射出成形によって120mmx130m
m、厚さ2mmtの角板を成形し、製品の収縮率を金型
寸法と製品の寸法より求めた。 ・吸水率:選られた製品を23℃水中に24時間放置
後、カールフィッシャー法により測定した。 ・寸法変化:23℃の水中に24時間放置後、放置前後
の寸法差から求めた。
【0160】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 25/00 C08L 25/00 45/00 45/00 (72)発明者 西島 茂俊 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井化学株式会社内 Fターム(参考) 4J002 BB051 BB141 BB171 BB191 BC011 BC041 BC081 BC091 BC111 BC121 BK001 FD010 GS00 4J100 AA01P AA02P AA03P AA04P AA07P AA09P AA15P AA16P AA17P AA18P AA19P AA21P AB02R AB03R AB04R AB07R AB08R AB16R AR01Q AR02Q AR11Q AR21Q BA03R BA05R BA06R BA16R BC08Q BC43Q BC44Q BC49Q CA04 CA05 DA09 DA25 DA49 JA43 5D006 CB01 CB07 DA03 FA04

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)炭素原子数が2〜20の直鎖状また
    は分岐状のα−オレフィンと、(B)下記一般式(I)
    または(II)で表される環状オレフィン 【化1】 (式中、nは0または1であり、mは0または正の整数
    であり、kは0または1であり、R1〜R18ならびにRa
    およびRbは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原
    子または炭化水素基であり、R15〜R18は、互いに結合
    して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環
    または多環が二重結合を有していてもよく、またR15
    16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成
    していてもよい。) 【化2】 (式中、pおよびqは0または1以上の整数であり、r
    およびsは0、1または2であり、R21〜R39はそれぞ
    れ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、
    脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基またはアルコキシ
    基であり、R29またはR30が結合している炭素原子と、
    33が結合している炭素原子またはR31が結合している
    炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキ
    レン基を介して結合していてもよく、またr=s=0の
    とき、R35とR32またはR35とR39とは互いに結合して
    単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。)と
    の共重合体、および前記(A)と前記(B)と(C)芳
    香族ビニル化合物との共重合体から選ばれた環状オレフ
    ィン系共重合体よりなる磁気記録媒体用基板。
  2. 【請求項2】前記環状オレフィン系共重合体が、(A)
    炭素原子数が2〜20の直鎖状または分岐状のα−オレ
    フィンと(B)前記一般式(I)または(II)で表され
    る環状オレフィンとの共重合体であって、極限粘度[η]
    が0.1〜10dl/gの範囲にあり、(A)から導か
    れる構成単位の含有割合が30〜90モル%の範囲にあ
    り、(B)から導かれる構成単位の含有割合が10〜7
    0モル%の範囲にあり、ガラス転移点(Tg)が80℃
    以上で、比弾性率が2.8x107以上を示すことを特
    徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体用基板。
  3. 【請求項3】前記環状オレフィン系共重合体が、(A)
    炭素原子数が2〜20の直鎖状または分岐状のα−オレ
    フィン、(B)前記一般式(I)または(II)で表され
    る環状オレフィンおよび(C)芳香族ビニル化合物との
    共重合体であって、極限粘度[η]が0.1〜10dl
    /gの範囲にあり、(A)から導かれる構成単位の含有
    割合が、30〜89モル%の範囲にあり、前記(B)か
    ら導かれる構成単位の含有割合が、10〜70モル%の
    範囲にあり、前記(C)から導かれる構成単位の含有割
    合が、0.1〜35モル%の範囲にあり、前記(B)か
    ら導かれる構成単位の含有割合(B(モル%))と、前
    記(C)から導かれる構成単位の含有割合(C(モル
    %))とが0.5×B≧C≧0.01×Bで示される関
    係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録
    媒体用基板。
  4. 【請求項4】請求項1から3のいずれかに記載の環状オ
    レフィン系共重合体を主たる成分として含む樹脂組成物
    よりなる磁気記録媒体用基板。
  5. 【請求項5】請求項1から4のいずれかに記載の磁気記
    録媒体用基板が、直径が10mm〜125mm及び/又
    は厚みが0.2mm〜1.7mmのディスク形状を有す
    る射出成形体である磁気記録媒体用基板。
  6. 【請求項6】請求項1から5のいずれかに記載の基板の
    表面に磁気記録層を設けてなる磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】前記磁気記録媒体が磁気ディスクであるこ
    とを特徴とする請求項6記載の記載の磁気記録媒体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002052550A1 (fr) * 2000-12-26 2002-07-04 Teijin-Bayer Polytec Limited Substrats pour disques durs et disques durs
JP2007179680A (ja) * 2005-12-28 2007-07-12 Toyobo Co Ltd 磁気記録媒体

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