JP2001055190A - 非自航船の位置制御装置及びその位置制御方法 - Google Patents

非自航船の位置制御装置及びその位置制御方法

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JP2001055190A
JP2001055190A JP11231872A JP23187299A JP2001055190A JP 2001055190 A JP2001055190 A JP 2001055190A JP 11231872 A JP11231872 A JP 11231872A JP 23187299 A JP23187299 A JP 23187299A JP 2001055190 A JP2001055190 A JP 2001055190A
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Hiromi Nakada
博美 中田
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NAKATA SEKKEI KOGYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】アンカーの投錨時の位置ずれやアンカーの水
深、潮流等の有無によらず正確に位置決めが可能な非自
航船の位置制御装置を提供する。 【解決手段】GPS受信機と、非自航船の座標と目標座
標とのX方向のずれ量を算出するX方向ずれ量検出部
と、非自航船の座標と目標座標とのY方向のずれ量を算
出するY方向ずれ量検出部と、X方向のずれ量が許容誤
差以内となるまで非自航船をX方向に移動させるように
ウインチユニットを駆動制御するX方向移動制御部と、
Y方向のずれ量が許容誤差以内となるまで非自航船をY
方向に移動させるようにウインチユニットを駆動制御す
るY方向移動制御部と、X方向及びY方向のずれ量が共
に許容誤差以内に収斂するまでX方向移動制御部及びY
方向移動制御部を交互に動作させる制御を行う位置決め
制御部とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウインチの制御に
より、非自航船を目標位置及び目標方位に操船する非自
航船の位置制御装置及びその位置制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、海上作業における作業能率の向上
という要請から、海上作業に使用される非自航の作業船
(以下、「非自航船」と呼ぶ。)を目標位置に迅速かつ
正確に移動させる為の非自航船位置制御装置の開発が要
請されている。
【0003】非自航船により海上で作業を行う場合、ま
ず非自航船を作業を行う海上までタグボート等の曳航船
で曳航してゆき、作業を行う海上で非自航船の船体の四
隅にワイヤで繋留されたアンカーを所定の位置に投錨し
非自航船を固定する。このようにして非自航船をあらか
じめ決めた所定の位置に固定して、その位置で作業を行
う。その位置における作業を終えると、次に作業を行う
位置へ非自航船を移動させる。この際、非自航船の移動
は、移動させたい方向のアンカーに連結されたワイヤを
ウインチで巻上げると同時に、その反対側のアンカーに
連結されたワイヤを繰出することにより非自航船を移動
させる。非自航船が新たな作業位置に到達した時点で、
各アンカーに連結されたワイヤを巻張した状態で各ワイ
ヤの巻回されたウインチのドラムを固定することによ
り、非自航船を固定し、その位置で作業を行う。
【0004】このような非自航船の移動時の位置制御に
は、非自航船の位置制御装置が使用される。
【0005】従来の非自航船の位置制御装置としては、
特開平6−16380号(以下イ号公報と呼ぶ)に各ウ
インチをオペレータが手動操作することにより非自航船
の位置制御を行う非自航船の位置制御装置が開示されて
いる。
【0006】また、特開平9−301268号(以下、
ロ号公報と呼ぶ。)及び特開平9−159580号(以
下、ハ号公報と呼ぶ。)では、各ウインチの巻上量を自
動制御することにより非自航船の位置制御を行う非自航
船の位置制御装置が開示されている。
【0007】ロ号公報及びハ号公報に開示の非自航船の
位置制御装置では、レーザーを利用した距離および角度
測定器(光波器)等により、非自航船から離れて設置さ
れた櫓上に固定された反射鏡を用いてそれを基準点とし
て非自航船上の所定の測定基準点(所定測定基準点)の
位置および非自航船の方向を測定し作業座標系(X,
Y)における座標データにより現在位置座標を測定し、
オペレータにより入力される非自航船の移動先の座標と
現在位置座標とから各ワイヤの繰出量を計算し、ワイヤ
繰出量が正の値であるウインチについては、そのワイヤ
の繰出量と移動時間とから各ウインチの巻上速度を計算
する。また、ワイヤ繰出量が負の値または0であるウイ
ンチについては、ワイヤ繰出量の絶対値に基づいてトル
ク指令値を算出する。この結果、各ウインチは、それぞ
れ、算出された巻上速度及びトルク指令値に基づき、ワ
イヤを巻上又は繰出する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記イ
号公報に記載の非自航船の位置制御装置では、以下のよ
うな課題を有していた。 (1)イ号公報に開示されたような非自航船の位置制御
装置では、非自航船の操船時において複数のウインチの
巻上及び繰出はオペレータの判断により行う必要があ
る。従って、非自航船を目標位置及び目標方向に常に正
確に制御することが要求される場合、オペレータが非自
航船の位置を視覚的に判断し操作レバーを操作し、非自
航船を正確に目標位置に移動させるには、オペレータは
かなりの熟練を要し、未熟なオペレータでは非自航船の
正確な移動は困難である。 (2)オペレータが操作レバーを操作している時のみ非
自航船の位置制御が行われるため、潮流や風などの影響
により非自航船の位置が移動するのを防止することがで
きない。 (3)非自航船の位置制御と同時に非自航船自体の方位
を制御することが極めて難しい。
【0009】また、ロ号公報及びハ号公報に記載の非自
航船の位置制御装置では、以下のような課題を有してい
た。 (4)現実的には、アンカーは正確に長方形の頂点に正
確に投錨されるとは考えられず、必ず位置ずれを生じ
る。また、各アンカーの水深もそれぞれ異なると考えら
れる。従って、非自航船の位置制御をワイヤの巻上長で
制御する場合、各アンカーの投錨位置のずれ及び水深の
相違により位置制御時に位置ずれが生じる。
【0010】図15(a)は非自航船とそれ海底に係留
するアンカーとの位置関係を示す図であり、図15
(b)は図15(a)のワイヤP11に沿った垂直断面
を表す図である。
【0011】図15において、Sは非自航船、P1〜P4
は非自航船Sの4隅に設けられたワイヤの出入点、
1,A2は海底に投錨されたアンカーの位置、Z1,Z2
は各々アンカーA1,A2の水深を表す。また、P1とP2
とは、一定の間隔bだけ離間して非自航船Sの片側辺上
に設けられている。
【0012】非自航船Sのワイヤの出入点の一つは、最
初、P1の位置にあり、その後、ワイヤを長さdだけ巻
上げることによりP1’の位置に移動するものとする。
このとき、P11=l1,P1’A1=l1’とし、P1
1との水平距離をr1、P1’とA1との水平距離をr’
1とする。このとき、
【数1】 であり、この式からr’1を計算すると、(数2)のよ
うになる。
【数2】 同様に、アンカーA2を結ぶワイヤP22についても、
(数3)のようになる。
【数3】 すなわち、同じ長さだけワイヤを巻き取っても、アンカ
ーの水深が浅いほど非自航船Sの水平方向の移動距離は
大きい。従って、ロ号公報及びハ号公報に記載の非自航
船の位置制御装置における非自航船Sの移動制御のよう
に、アンカーとの水平距離のみからワイヤの巻上量を制
御した場合、各アンカーの水深の違いにより位置ずれが
生じる。 (5)ウィンチの巻上により非自航船を移動する場合、
ワイヤを繰出する側のウインチの回転をトルク制御して
いるが、移動後の非自航船の位置は一意的に決まらず、
潮流や風等による非自航船に加わる偶力等により位置ず
れを生じる。
【0013】図16は移動前と移動後との非自航船の位
置の関係はを表す図である。
【0014】図16において、Sは非自航船、P1〜P4
は非自航船Sの移動前における非自航船Sの4隅に設け
られたワイヤの出入点、P1’〜P4’及びP1”〜P4
は非自航船Sの移動後における非自航船Sの4隅に設け
られたワイヤの出入点、A1,A2は海底に投錨されたア
ンカーの位置、r1,r1’は非自航船Sの移動前,移動
後におけるA1とP1との間の水平距離、r2,r2’は非
自航船Sの移動前,移動後におけるA2とP2との間の水
平距離、C1,C1’はA1を中心とする半径r1,r1
の円弧、C2,C2’はA2を中心とする半径r2,r2
の円弧を表す。
【0015】ワイヤの出入点P1,P2からワイヤを同じ
長さdだけ巻上した場合、P1の巻上後の位置P1’は、
アンカーA1を中心とする水平距離r1’の円周上にあ
る。同様に、P2の巻上後の位置P2’は、アンカーA2
を中心とする水平距離r2’の円周上にある。また、
1’とP2’との距離は変わらず、一定の間隔bだけ離
間している。このような条件を満たす2点P1’,P2
は図16に示すように、一意的には決まらず、一定の範
囲内で、自由に決めることができる(例えば、点
1”,P2”等)。従って、ワイヤを繰出するウインチ
に一定のトルクが加わるようにブレーキをかけてワイヤ
を繰出した場合、非自航船Sには潮流などの非自航船S
に加わる外力(偶力)が加わることにより、非自航船S
は上記移動可能な範囲内において潮流などにより流され
る。これにより、位置ずれが生じる。 (6)アンカーと非自航船を繋ぐワイヤは、厳密には、
一般に懸垂線となる。また、ワイヤ自体に潮流による力
が働くため、ワイヤの中央部付近は潮流の下流方向に流
され、ワイヤは潮流の下流方向側に弛む。したがって、
ウインチによりワイヤを巻上げても、非自航船は正確に
アンカーの方向へは移動せず、潮流の下流方向に寄った
方向へ移動することになり、これにより位置ずれが生じ
る。本発明は上記従来の課題を解決するもので、オペレ
ータが目標位置を指定するのみで容易に所定の目標位置
に非自航船を移動させることが可能であり、アンカーの
投錨時の位置ずれやアンカーの水深、潮流等の有無によ
らず正確に非自航船の移動が可能な非自航船の位置制御
装置を提供することを目的とする。
【0016】また、本発明は上記従来の課題を解決する
もので、オペレータが目標位置を指定するのみで容易に
所定の目標位置に非自航船を移動させることが可能であ
り、アンカーの投錨時の位置ずれやアンカーの水深、潮
流等の有無によらず正確に非自航船の移動が可能な非自
航船の位置制御方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の非自航船の位置制御装置は、水底に投錨さ
れた複数のアンカーの各々に繋がれたワイヤの巻上及び
繰出を行う複数のウインチユニットを具備した非自航船
の位置制御を行う非自航船の位置制御装置であって、地
球の上空の静止軌道上を周回する複数個のGPS人工衛
星から発信される電波に基づき非自航船の座標を検出す
るGPS受信機と、作業座標系(X,Y)に対してGP
S受信機の検出する非自航船の座標(X1,Y1)と非自
航船の移動先の位置座標である目標座標(XT,YT)と
のX方向のずれ量を算出するX方向ずれ量検出部と、作
業座標系(X,Y)に対して非自航船の座標(X1
1)と目標座標(XT,YT)とのY方向のずれ量を算
出するY方向ずれ量検出部と、X方向のずれ量が許容誤
差より大きい場合、X方向のずれ量が許容誤差範囲以内
となるまで非自航船をX方向に移動させるようにウイン
チユニットを駆動制御するX方向移動制御部と、Y方向
のずれ量が許容誤差より大きい場合、Y方向のずれ量が
許容誤差範囲以内となるまで非自航船をY方向に移動さ
せるようにウインチユニットを駆動制御するY方向移動
制御部と、X方向のずれ量及びY方向のずれ量が共に許
容誤差範囲以内に収斂するまでX方向移動制御部及びY
方向移動制御部を交互に動作させる制御を行う位置決め
制御部と、を備えた構成より成る。
【0018】この構成により、オペレータが目標位置を
指定するのみで容易に所定の目標位置に非自航船を移動
させることが可能であり、アンカーの投錨時の位置ずれ
やアンカーの水深、潮流等の有無によらず正確に非自航
船の移動が可能な非自航船の位置制御装置を提供するこ
とができる。
【0019】また、本発明の非自航船の位置制御方法
は、水底に投錨された複数のアンカーの各々に繋がれた
ワイヤの巻上及び繰出を行う複数のウインチユニットを
具備した非自航船の位置制御を行う非自航船の位置制御
方法であって、地球の上空の静止軌道上を周回する複数
個のGPS人工衛星から発信される電波に基づきGPS
受信機により非自航船の座標を検出する位置検出過程
と、作業座標系(X,Y)に対してGPS受信機の検出
する非自航船の座標(X1,Y1)と非自航船の移動先の
位置座標である目標座標(XT,YT)とのX方向のずれ
量及びY方向のずれ量を算出する目標ずれ量算出過程
と、X方向のずれ量が許容誤差より大きい場合、X方向
のずれ量が許容誤差以内となるまでウインチユニットに
よるワイヤの巻上又は繰出により非自航船をX方向に移
動させるX方向移動動作と、Y方向のずれ量が許容誤差
より大きい場合、Y方向のずれ量が許容誤差以内となる
までウインチユニットによるワイヤの巻上又は繰出によ
り非自航船をY方向に移動させるY方向移動動作と、を
交互に行うことにより、X方向のずれ量及びY方向のず
れ量が共に許容誤差以内に収斂させる位置決め過程と、
を備えた構成より成る。
【0020】この構成により、オペレータが目標位置を
指定するのみで容易に所定の目標位置に非自航船を移動
させることが可能であり、アンカーの投錨時の位置ずれ
やアンカーの水深、潮流等の有無によらず正確に非自航
船の移動が可能な非自航船の位置制御方法を提供するこ
とができる。
【0021】
【発明の実施の形態】上記目的を達成するために、本発
明の請求項1に記載の非自航船の位置制御装置は、水底
に投錨された複数のアンカーの各々に繋がれたワイヤの
巻上及び繰出を行う複数のウインチユニットを具備した
非自航船の位置制御を行う非自航船の位置制御装置であ
って、地球の上空の静止軌道上を周回する複数個のGP
S人工衛星から発信される電波に基づき非自航船の座標
を検出するGPS受信機と、作業座標系(X,Y)に対
してGPS受信機の検出する非自航船の座標(X1
1)と非自航船の移動先の位置座標である目標座標
(XT,YT)とのX方向のずれ量を算出するX方向ずれ
量検出部と、作業座標系(X,Y)に対して非自航船の
座標(X1,Y1)と目標座標(XT,YT)とのY方向の
ずれ量を算出するY方向ずれ量検出部と、X方向のずれ
量が許容誤差より大きい場合、X方向のずれ量が許容誤
差以内となるまで非自航船をX方向に移動させるように
ウインチユニットを駆動制御するX方向移動制御部と、
Y方向のずれ量が許容誤差より大きい場合、Y方向のず
れ量が許容誤差以内となるまで非自航船をY方向に移動
させるようにウインチユニットを駆動制御するY方向移
動制御部と、X方向のずれ量及びY方向のずれ量が共に
許容誤差以内に収斂するまでX方向移動制御部及びY方
向移動制御部を交互に動作させる制御を行う位置決め制
御部と、を備えた構成としたものである。
【0022】この構成により、以下のような作用が得ら
れる。 (1)X方向ずれ量検出部は、GPS受信機の出力する
非自航船の座標(X1,Y1)と非自航船の移動先の位置
座標である目標座標(XT,YT)とのX方向のずれ量
(例えば、偏差|XT−X1|や二乗偏差(XT−X12
等)を算出する。Y方向ずれ量検出部は、GPS受信機
の出力する非自航船の座標(X1,Y1)と非自航船の移
動先の位置座標である目標座標(XT,YT)とのY方向
のずれ量(例えば、偏差|YT−Y1|や二乗偏差(YT
−Y12等)を算出する。位置決め制御部は、X方向移
動制御部により、X方向のずれ量が許容誤差より大きい
場合、X方向のずれ量が許容誤差以内となるまで非自航
船をX方向に移動させるようにウインチユニットを駆動
制御し、次いで、Y方向移動制御部により、Y方向のず
れ量が許容誤差より大きい場合、Y方向のずれ量が許容
誤差以内となるまで非自航船をY方向に移動させるよう
にウインチユニットを駆動制御するという動作を交互に
繰り返し、非自航船の位置を目標位置に収斂させる制御
を行う。 (2)オペレータが目標位置を指定するのみで容易に所
定の目標位置に非自航船を移動させることが可能とな
り、ウインチによる非自航船の操船にオペレータの熟練
を要せず、非自航船の移動時の作業性も向上する。 (3)各アンカーの位置ずれ及び水深の相違による位置
ずれ、潮流や風等により非自航船に加わる偶力等による
位置ずれ、ワイヤの中央部付近が潮流の下流方向に流さ
れることによる位置ずれを容易に補正して目標の位置に
非自航船を移動させるので、常に正しい位置に非自航船
を保持できる。 (4)非自航船が目標とする位置に移動した後も、継続
して非自航船の自動位置制御を継続することで、作業中
に何らかの理由で非自航船の位置ずれが生じた場合に
も、即座にもとの目標とする位置に戻ることができ、非
自航船を常に目標位置に正確に移動させることが可能と
なる。 (5)GPS受信機により検出される非自航船の経緯座
標に基づき非自航船の位置制御を行うため、海洋作業の
ように、作業海域の周囲に非自航船の位置の基準となる
目標物が存在しない場合にも、非自航船の正確な位置制
御が可能となる。
【0023】ここで、「作業座標系(X,Y)」とは、
オペレータが非自航船の位置の指定のために、経緯座標
とは別に任意に定めた直交座標系をいい、操船時の位置
指定を行い易いように任意に定めることができる。ま
た、作業座標系(X,Y)を経緯座標と同一の座標系に
設定してもかまわない。
【0024】非自航船の移動先の位置座標である目標座
標(XT,YT)は、タッチパネル等の入力装置から入力
され指定される。
【0025】非自航船には、ウインチユニットが4つ又
はそれ以上配設される。
【0026】X方向移動制御部及びY方向移動制御部は
ウインチユニットのワイヤの巻上及び繰出を制御するこ
とにより、非自航船をX方向又はY方向に移動させる制
御を行う。この場合、移動方向に対して移動した場合
に、繋留されたアンカーに近づくウインチユニットは巻
上制御され、繋留されたアンカーから遠ざかるウインチ
ユニットは繰出制御される。各ウインチユニットのワイ
ヤの巻上速度は、各時点での非自航船の位置に対する目
標位置の方向に従って制御される。繰出制御は、ウイン
チユニットのドラムの回転を一定のトルクで制動しなが
らワイヤを繰出する方法や、ワイヤの繰出速度に合わせ
てウインチユニットのドラムの回転を制動するトルクを
制御しながらワイヤを繰出する方法などが用いられる。
【0027】請求項2に記載の非自航船の位置制御装置
は、請求項1に記載の非自航船の位置制御装置であっ
て、非自航船の絶対方位φを検出する絶対方位検出装置
と、絶対方位検出装置の検出する非自航船の方位φ1
目標とする非自航船の方位である目標方位φTとの方位
ずれ量を算出する方位ずれ量算出部と、を備え、X方向
移動制御部は、方位ずれ量が許容誤差より大きい場合、
非自航船の方位が目標方位に近づくようにウインチユニ
ットの巻上速度を調節する制御を行い、Y方向移動制御
部は、方位ずれ量が許容誤差より大きい場合、非自航船
の方位が目標方位に近づくようにウインチユニットの巻
上速度を調節する制御を行う構成としたものである。
【0028】この構成により、請求項1の作用の他、以
下のような作用が得られる。 (1)方位ずれ量算出部は、絶対方位検出装置の検出す
る非自航船の方位φ1と目標とする非自航船の方位であ
る目標方位φTとの方位ずれ量(例えば、偏差|φT−φ
1|や二乗偏差(φT−φ12等)を算出する。X方向移
動制御部及びX方向移動制御部は、方位ずれ量が許容誤
差より大きい場合、非自航船の方位が目標方位に近づく
ように、巻上駆動されているウインチユニットの巻上速
度を調節する制御を行う。 (2)潮流や風などによる非自航船に加わる外力等によ
り非自航船が回転し目標方位φTからはずれた場合でも
目標方位φTに戻るように制御されるため、非自航船の
回転が防止され、非自航船のより正確な移動が可能とな
る。 (3)潮流の速い作業海域での作業や風の強い天候時で
の作業などの場合でも、非自航船の正確な移動が可能と
なる。
【0029】ここで、X方向移動制御部及びY方向移動
制御部は、ウインチユニットのワイヤの巻上速度又は繰
出速度若しくは繰出時のワイヤの張力(ウインチユニッ
トのドラムの回転を制動するトルク等)を制御すること
により、非自航船を目標方位に近づかせる制御を行う。
これは、例えば、ワイヤの巻上駆動されるウインチユニ
ットのうち、非自航船の中心に対して非自航船の方位ず
れ方向側(例えば、非自航船が進行方向に向かって右回
り方向に方位ずれを生じていた場合には右側、非自航船
が進行方向に向かって左回り方向に方位ずれを生じてい
た場合には左側)のウインチユニットの巻上速度を、非
自航船の中心に対して非自航船の方位ずれ方向と逆側の
ウインチユニットの巻上速度よりも遅くすることによ
り、非自航船に、非自航船の方位ずれ方向と反対向きの
回転偶力を与え、非自航船を目標方位に近づかせる制御
を行う方法や、ワイヤの繰出駆動されるウインチユニッ
トのうち、非自航船の中心に対して非自航船の方位ずれ
方向側のウインチユニットのドラムを制動するブレーキ
の制動トルクの大きさを、非自航船の中心に対して非自
航船の方位ずれ方向と逆側のウインチユニットのドラム
を制動するブレーキの制動トルクの大きさよりも小さく
することにより、非自航船に、非自航船の方位ずれ方向
と反対向きの回転偶力を与え、非自航船を目標方位に近
づかせる制御を行う方法などが用いられる。
【0030】請求項3に記載の非自航船の位置制御装置
は、請求項1又は2に記載の非自航船の位置制御装置で
あって、ウインチユニットは、ワイヤが巻回され回転自
在に配設されたドラムと、ドラムを回転駆動する油圧モ
ータと、油圧モータに循環させる作動油の循環方向及び
循環流量を制御する油圧モータ切替弁と、油圧モータ切
替弁の弁軸を回転駆動する循環制御モータと、を備え、
X方向移動制御部及びY方向移動制御部は、各ウインチ
ユニットの循環制御モータの回転角を制御することによ
りウインチユニットの巻上速度を調節する制御を行う構
成としたものである。
【0031】この構成により、請求項1又は2の作用の
他、以下のような作用が得られる。 (1)油圧モータによりドラムを回転駆動することで、
ドラムにワイヤが巻上げられる。油圧モータは作動油を
循環することにより駆動され、油圧モータ切替弁は、作
動油の循環方向及び循環流量を制御することにより、油
圧モータの回転方向及び回転速度を制御する。油圧モー
タ切替弁は循環制御モータにより制御され、循環制御モ
ータを制御することにより油圧モータの回転方向及び回
転速度を制御することができる。従って、X方向移動制
御部及びY方向移動制御部は、各ウインチユニットの循
環制御モータの回転角を制御することによりウインチユ
ニットの巻上速度を調節する制御を行う。 (2)油圧モータの回転速度の段階制御や無段階制御が
自在に可能であり、ウインチユニットの巻上速度の微妙
な調節を容易に行うことが可能となる。ここで、油圧モ
ータとしては、星形プランジャーモータ,ベーンモー
タ,ピストンモータ,ギヤモータ等が使用される。
【0032】上記目的を達成するために、本発明の請求
項4に記載の非自航船の位置制御方法は、水底に投錨さ
れた複数のアンカーの各々に繋がれたワイヤの巻上及び
繰出を行う複数のウインチユニットを具備した非自航船
の位置制御を行う非自航船の位置制御方法であって、地
球の上空の静止軌道上を周回する複数個のGPS人工衛
星から発信される電波に基づきGPS受信機により非自
航船の座標を検出する位置検出過程と、作業座標系
(X,Y)に対してGPS受信機の検出する非自航船の
座標(X1,Y1)と非自航船の移動先の位置座標である
目標座標(XT,YT)とのX方向のずれ量及びY方向の
ずれ量を算出する目標ずれ量算出過程と、X方向のずれ
量が許容誤差より大きい場合、X方向のずれ量が許容誤
差範囲以内となるまでウインチユニットによるワイヤの
巻上又は繰出により非自航船をX方向に移動させるX方
向移動動作と、Y方向のずれ量が許容誤差より大きい場
合、Y方向のずれ量が許容誤差範囲以内となるまでウイ
ンチユニットによるワイヤの巻上又は繰出により非自航
船をY方向に移動させるY方向移動動作と、を交互に行
うことにより、X方向のずれ量及びY方向のずれ量が共
に許容誤差範囲以内に収斂させる位置決め過程と、を備
えた構成としたものである。
【0033】この構成により、以下のような作用が得ら
れる。 (1)オペレータが目標位置を指定するのみで容易に指
定した目標位置に非自航船を移動させることが可能とな
り、ウインチによる非自航船の操船にオペレータの熟練
を要せず、非自航船の移動作業の作業性も向上する。 (2)各アンカーの位置ずれ及び水深の相違による位置
ずれや潮流や風等により非自航船に加わる外力等による
位置ずれが生じたり、ワイヤの中央部付近が潮流の下流
方向に流された場合でも、移動距離を検出し指定した目
標位置へ非自航船の位置を補正することだできる。るこ
とによる位置ずれが生じることがなくなる。 (3)非自航船が目標とする位置に移動した後も、継続
して非自航船の自動位置制御を継続することで、作業中
に何らかの理由で非自航船の位置ずれが生じた場合に
も、即座にもとの目標とする位置に戻ることができ、非
自航船を常に目標位置に正確に移動させることが可能と
なる。 (4)GPS受信機により検出される非自航船の経緯座
標に基づき非自航船の位置制御を行うため、海洋作業の
ように、作業海域の周囲に非自航船の位置の基準となる
目標物が存在しない場合にも、非自航船の正確な位置制
御が可能となる。
【0034】請求項5に記載の非自航船の位置制御方法
は、請求項4に記載の非自航船の位置制御方法であっ
て、非自航船の絶対方位φを検出する絶対方位検出過程
と、絶対方位検出過程において検出される非自航船の方
位φ1と目標とする非自航船の方位である目標方位φT
の方位ずれ量を算出する方位ずれ量算出過程と、を備
え、位置決め過程において、方位ずれ量が許容誤差より
大きい場合、非自航船の方位が目標方位に近づくように
各ウインチユニットの巻上速度を調節する構成としたも
のである。
【0035】この構成により、請求項4の作用の他、以
下のような作用が得られる。 (1)潮流や風などによる非自航船に加わる外力等によ
り非自航船が回転し目標方位φTからはずれた場合でも
目標方位φTに戻るように制御されるため、非自航船の
回転が防止され、非自航船のより正確な移動が可能とな
る。 (2)潮流の速い作業海域での作業や風の強い天候時で
の作業などの場合でも、非自航船の正確な移動が可能と
なる。
【0036】以下に本発明の一実施の形態について、図
面を参照しながら説明する。 (実施の形態1)図1は本発明の実施の形態1における
非自航船を作業位置に停泊させた状態を示す模式図であ
る。
【0037】図1において、1は非自航船、A1〜A4
は非自航船1の周辺の海底の4点に投錨されたアンカ
ー、R1〜R4は非自航船1の四隅を海底に投錨された
アンカーA1〜A4と連結し非自航船1を海上に固定す
るワイヤ、10〜13は非自航船1の四隅付近に配設さ
れワイヤR1〜R4を案内する回転シーブ、W1〜W4
は非自航船1の甲板上に配設されワイヤR1〜R4を巻
取又は繰出するウインチユニット、18〜21はワイヤ
R1〜R4が巻回されたウインチユニットW1〜W4の
ドラムである。
【0038】図2は本発明の実施の形態1における非自
航船の位置制御装置の全体構成を示す模式図である。
【0039】図2において、1は非自航船、R1〜R4
はワイヤ、10〜13は回転シーブ、W1〜W4はウイ
ンチユニット、18〜21はドラムであり、これらは図
1と同様であるため同一の符号を付して説明を省略す
る。
【0040】22はウインチユニットW1〜W4の近傍
に配設されウインチユニットW1〜W4の駆動制御を行
う駆動制御装置、23aは地球磁場の方向を基準として
磁気方位を検出する磁気コンパスからなる絶対方位検出
装置、23bは複数個のGPS(Global Positioning S
ystem)人工衛星から地上に無線送信される電波を受信
し電波に含まれる電波送信時刻,地球周回の軌道情報か
ら非自航船1の緯度,経度を示すGPS座標データを出
力するGPS受信機、24はオペレータによる動作指示
入力に従いGPS受信機23b及び絶対方位検出装置2
3aにより測定される非自航船1の位置及び方位に基づ
き駆動制御装置22により各ウインチユニットW1〜W
4の制御を行う制御盤、25はオペレータが駆動制御装
置22に対し単独運転や手動連動運転を指令する携帯可
能な入力装置からなる携帯操作盤である。
【0041】ここで、「単独運転」とは、オペレータが
制御盤24や携帯操作盤25から各ウインチユニットW
1〜W4を単独で手動制御で操作する運転のことをい
い、「手動連動運転」とは、オペレータが制御盤24や
携帯操作盤25から非自航船1の移動方向のみを指示し
その指示に従って各ウインチユニットW1〜W4の巻上
及び繰出動作を自動制御で行わせる運転のことをいう。
これらの運転時の動作についての詳細は後述する。
【0042】図3は本発明の実施の形態1における非自
航船の位置制御装置を示すブロック図である。
【0043】図3において、R1はワイヤ、W1〜W4
はウインチユニット、18はドラム、22は駆動制御装
置、23aは絶対方位検出装置、23bはGPS受信
機、24は制御盤、25は携帯操作盤であり、これらは
図2と同様のものであるので、同一の符号を付して説明
を省略する。
【0044】尚、ウインチユニットW1〜W4は全て同
様に構成されており、図3においては、その代表として
ウインチユニットW1についての構成を図示している。
また、後述の、ウインチユニットW1〜W4の駆動制御
を行うウインチ駆動制御部29〜32は、全て同様に構
成されており、図3においては、その代表としてウイン
チ駆動制御部29についての構成を図示している。
【0045】25aは携帯操作盤25と駆動制御装置2
2との間の通信線、26は制御盤24に配設されオペレ
ータが非自航船1の目標位置や目標方位を入力するため
の入力部と各ウインチユニットの状態を示すウインチ状
態データを表示する表示装置とを備えたタッチパネル、
28は制御盤24に内蔵されGPS受信機23bからの
GPS座標データと絶対方位検出装置23aからの絶対
方位データとタッチパネル26からの目標方位及び目標
位置データとに基づき各ウインチユニットの主制御部、
28aは主制御部28と駆動制御装置22との間の通信
線、29〜32は制御盤24の主制御部28から出力さ
れる各ウインチユニットの制御データを受信しそれに基
づき各ウインチユニットの制御を行うウインチ駆動制御
部、33は主制御部28と携帯操作盤25とからの制御
データを受信する駆動制御装置22の通信インタフェー
ス部、36は各ウインチユニットより入力されるウイン
チ状態信号(後述)よりウインチ状態データを生成し主
制御部28及びウインチ駆動制御部29〜32へ出力す
るP/S変換部である。P/S変換部36は、複数のパ
ラレル信号であるウインチ状態信号をデジタル信号に変
換した後にシリアル信号に変換し、ウインチ状態データ
として通信インタフェース部33を介して主制御部28
及びウインチ駆動制御部29〜32へ出力する。
【0046】駆動制御装置22は、ウインチ駆動制御部
29〜32,通信インタフェース部33,及びP/S変
換部36により構成されている。
【0047】ここで、「ウインチ状態信号」とは、ウイ
ンチユニットのワイヤの繰出速度,ウインチユニットの
クラッチの「嵌」・「脱」状態,ウインチユニットのブ
レーキの状態を表す信号のことをいい、「ウインチ状態
データ」とは、ウインチ状態信号をA/D変換・P/S
変換して生成されるウインチユニットの各状態を表すデ
ータのことをいう。
【0048】37はウインチユニットW1のドラム18
を回転駆動する油圧モータ、37aは油圧モータ37に
加圧した作動油を循環させる油圧ポンプ、38は油圧モ
ータ37からドラム18への動力伝達の「嵌」・「脱」
状態の切替を空圧により行うクラッチ、39は空圧によ
りドラム18の回転の制動を行うブレーキ、40は油圧
ポンプ37aと油圧モータ37とに接続され油圧ポンプ
37aから油圧モータ37へ送油する作動油の循環方向
を切り替えると共に作動油の循環流量の調節を行うこと
により油圧モータ37の回転方向の切替と油圧モータ3
7の回転数の調節を行う油圧モータ切替弁、41は油圧
モータ切替弁40の弁体の回動軸に連設され油圧モータ
切替弁40の切替を手動で行うことを可能とするハンド
ル、42はハンドル41を回動駆動することにより油圧
モータ切替弁40を動かす循環制御モータ、43はハン
ドル41に循環制御モータ42の回転駆動力を伝達する
伝達部、44は循環制御モータ42の回転角を検出しデ
ジタル信号として出力するロータリーエンコーダ、45
はウインチ駆動制御部29の制御に従いクラッチ38の
「嵌」・「脱」の空圧切替の制御を行うクラッチ空圧回
路、46はウインチ駆動制御部29の制御に従いブレー
キ39の制御を行うブレーキ空圧回路、47はワイヤR
1に当接してワイヤR1の移動に伴い回転自在に配設さ
れた回転部を備え回転部の回転を検出することでワイヤ
R1の繰出・巻上速度及びワイヤR1の繰出・巻上長を
検出し出力するスリーシーブである。
【0049】クラッチ38には、クロークラッチが使用
され、「嵌」状態では油圧モータ37の回転駆動力がド
ラム18に伝達される状態となり、「脱」状態では油圧
モータ37の回転駆動力がドラム18に伝達されない状
態となる。「嵌」・「脱」の切り替えは、エアシリンダ
からなるクラッチシリンダ(図示せず)により行われ、
クラッチ空圧回路45(後述)により空圧制御される。
【0050】ブレーキ39は、エアシリンダからなるブ
レーキシリンダ(図示せず)により駆動され、ブレーキ
空圧回路46(後述)により空圧制御される。尚、ブレ
ーキ39はトルク制御が可能であり、「半ブレーキ」状
態では、ワイヤの繰出方向に張力を加えることにより、
一定のトルクでワイヤを繰出することが可能となるよう
に構成されている。
【0051】ウインチ駆動制御部29において、48は
ウインチユニットW1の制御のための駆動データを算出
し各駆動部を制御する副制御部、49は副制御部48か
らの駆動データに基づき循環制御モータ42に駆動電力
を印加するモータ駆動部、50は副制御部48からの駆
動データに基づきクラッチ空圧回路45に駆動電力を印
加するクラッチ駆動部、51は副制御部48からの駆動
データに基づきブレーキ空圧回路46に駆動電力を供給
するブレーキ駆動部である。
【0052】クラッチ駆動部50は、副制御部48から
入力される駆動データ(例えば、嵌/脱データ)に基づ
きクラッチ空圧回路45を制御し、クラッチ38より出
力されるクラッチの状態を示すクラッチ状態信号は、P
/S変換部36を介して副制御部48に入力される。副
制御部48は、クラッチ38の「嵌」・「脱」を確認
し、出力した指令(駆動データ)と異なる場合には、表
示部(図示せず)に異常が生じたことを表示する。ま
た、ブレーキ駆動部51も上記クラッチ駆動部50の
「嵌」・「脱」状態の確認動作に準じた確認動作を行
う。
【0053】ウインチ状態信号としては、スリーシーブ
47から出力されるワイヤR1の繰出・巻上速度信号,
クラッチ38から出力されるクラッチ状態信号,ブレー
キ39から出力されるブレーキ状態信号がある。従っ
て、ウインチ状態信号は、複数本の信号線を経由してP
/S変換部36に入力され、デジタル変換されシリアル
変換された後、ウインチ状態データとして通信インタフ
ェース部33を介して主制御部28へ出力される。
【0054】伝達部43の下端は循環制御モータ42の
回転軸に軸支されており、循環制御モータ42の回転は
伝達部43を介してハンドル41に伝達され、ハンドル
41が回動される。ハンドル41の下端は油圧モータ切
替弁40の回転軸に軸支されており、ハンドル41が回
動することにより、それと連動して油圧モータ切替弁4
0の弁体が摺動回転する。
【0055】尚、油圧モータ切替弁40は、オペレータ
が各ウインチユニットW1〜W4のハンドル41を直接
手で操作することにより切り替えることも可能であるよ
うに構成されている。制御盤24や駆動制御装置22等
の制御系に異常が生じた場合やワイヤに異常が生じた場
合のような緊急の場合に、オペレータが即座に対応する
ことを可能とするためである。
【0056】循環制御モータ42は、ハンドル41が複
数の所定の回動位置(以下、この回動位置のことをノッ
チと呼ぶ。)に回動するように切り替え制御される。例
えば、循環制御モータ42は、“−3”,“−2”,
“−1”,“0”,“1”,“2”,“3”の7つのノ
ッチの範囲内にハンドル41を回動させるように制御さ
れる。この場合、ハンドル41の回動位置が“0”(中
間)の状態では、油圧モータ切替弁40は油圧モータ3
7に作動油を循環させない状態となり、油圧モータ37
は停止され、ドラム18は回転駆動されない。ハンドル
41の回動位置が中間位置(“0”の位置)より一方の
側に回動した位置の場合(“1”,“2”,“3”の場
合。以下、この回動方向を「プラス側」と呼ぶ。)、油
圧モータ37は、ドラム18をワイヤR1を巻上する方
向に回転駆動させる。また、ハンドル41の回転位置が
中間位置よりプラス側と逆方向に回動した位置の場合
(“−3”,“−2”,“−1”の場合。以下、この回
動方向を「マイナス側」と呼ぶ。)、油圧モータ37
は、ドラム18をワイヤR1を繰出方向に回転駆動させ
る。
【0057】例えば、ハンドル41の回動位置を“1”
とする場合、副制御部48は、モータ駆動部49によ
り、ハンドル41の回動位置を“1”とする方向に循環
制御モータ42を回転駆動させる。ハンドル41の回動
位置はロータリーエンコーダ44(図3参照)により検
出され、デジタルデータとして副制御部48にフィード
バックされる。副制御部48は、ハンドル41の回転位
置が“1”となったときに循環制御モータ42の回転を
停止させる。このようにして、ハンドル41は“1”の
回動位置に正確に回動される。
【0058】油圧モータ切替弁40は、その回転角に応
じた流量の作動油を油圧モータ37に供給し、油圧モー
タ37を回転させる。ハンドル41の回動位置をどの位
置に設定するかは、ワイヤR1の繰出速度(又は巻上速
度)に応じて定められる。ハンドル41の回動位置が、
“2”,“3”というようにプラス側に大きく回動する
位置に設定されると、ワイヤR1の巻上速度の設定値が
大きくなる(設定速度が速くなる)。また、ハンドル4
1の回動位置は、“−2”,“−3”というようにマイ
ナス側に大きく回動する位置に設定されると、ワイヤR
1の繰出速度の設定値が大きくなる(設定速度が速くな
る)。
【0059】尚、本実施の形態では、油圧モータ37の
回転速度は7ノッチに設定可能とされているが、油圧モ
ータ37の回転速度の設定は7ノッチで行うものに限ら
れるものではなく、任意に複数ノッチの設定としてもよ
い。また、油圧モータ37の回転速度をノッチ制御する
ものに限られるものではなく、油圧モータ切替弁40の
回転角を任意に設定可能とし、油圧モータ37の回転速
度を無段階制御としてもよい。
【0060】図4は図3の主制御部の機能構成を示すブ
ロック図である。
【0061】図4において、22は駆動制御装置、23
aは絶対方位検出装置、23bはGPS受信機、26は
タッチパネル、28は主制御部であり、これらは図3と
同様のものであるため、同一の符号を付して説明を省略
する。
【0062】52は主制御部28が駆動制御装置22,
絶対方位検出装置23a,GPS受信機23b,タッチ
パネル26との間の通信を行う通信インタフェース部、
53は作業座標系(X,Y)における非自航船1の現在
位置(X1,Y1)をGPS受信機23bが出力するGP
S座標データから算出する現在位置計算部、54は作業
座標系(X,Y)に対してGPS受信機23bの検出す
る非自航船1の現在位置の座標(X1,Y1)とタッチパ
ネル26から入力された目標の移動先の位置である目標
座標(XT,YT)とのX方向の偏差|XT−X1|を算出
するX方向ずれ量算出部、55は作業座標系(X,Y)
に対してGPS受信機23bの検出する非自航船1の座
標(X1,Y1)とタッチパネル26から入力された非自
航船1の移動先の位置座標である目標座標(XT,YT
とのY方向の偏差|YT−Y1|を算出するY方向ずれ量
算出部、56はX方向の偏差|XT−X1|が許容誤差よ
り大きい場合、X方向の偏差|XT−X1|が許容誤差範
囲以内となるまで非自航船1をX方向に移動させるよう
にウインチユニットを駆動制御するX方向移動制御部、
57はY方向の偏差|YT−Y1|が許容誤差より大きい
場合、Y方向の偏差|YT−Y1|が許容誤差範囲以内と
なるまで非自航船1をY方向に移動させるようにウイン
チユニットを駆動制御するY方向移動制御部、58はX
方向の偏差|XT−X1|及びY方向の偏差|YT−Y1
が共に許容誤差範囲以内に収斂するまでX方向移動制御
部56及びY方向移動制御部57を交互に動作させる制
御を行う位置決め制御部、59は絶対方位データから作
業座標系(X,Y)の座標軸に対する非自航船1の現在
の方位を算出する現在方位算出部、60はタッチパネル
26から入力された目標位置と絶対方位検出装置23a
から入力された非自航船1の現在位置とから方位偏差|
φT−φ1|を算出する方位ずれ量算出部、61は運転モ
ード等の判定を行う運転モード判定部である。
【0063】ここで、「運転モード」とは、非自航船位
置制御装置の動作状態を示すものであり、単独運転モー
ド,手動連動運転モード,後述するGPS自動追尾モー
ドの3つのモードがある。「単独運転モード」とは、オ
ペレータが制御盤24や携帯操作盤25を操作すること
により各ウインチユニットのドラムの回転及び固定を単
独で手動制御運転を行う場合の運転モードであり、「手
動連動運転モード」とは、オペレータが制御盤24や携
帯操作盤25を操作することにより手動制御により非自
航船1の移動方向の入力を行い、オペレータより入力さ
れた移動方向の指示に基づき、主制御部28がウインチ
ユニットの巻上・繰出動作を自動制御する場合の運転モ
ードであり、「GPS自動追尾モード」とは、オペレー
タが入力した目標位置座標とGPS受信機23bの出力
する位置信号等に基づき、主制御部28が非自航船1の
位置制御を自動で行う運転モードである。
【0064】尚、本実施の形態では、X方向ずれ量算出
部54,Y方向ずれ量算出部55,方位ずれ量算出部6
0は、ずれ量として、偏差(X方向の偏差|XT−X
1|,Y方向の偏差|YT−Y1|,方位偏差|φT−φ1
|)を算出しているが、ずれ量としては偏差に限られる
ものではなく、二乗偏差等を用いてもよい。
【0065】図5は図3の携帯操作盤の構成を表すブロ
ック図である。図5において、25は携帯操作盤、62
は単独運転モードを起動・停止するための入力を行う単
独運転スイッチ、63は手動連動運転モードを起動・停
止するための入力を行う手動連動運転スイッチ、64は
駆動制御装置22との間で通信を行う通信インタフェー
ス部、65は単独運転スイッチ62の入力に基づき単独
運転モードにおける巻上・繰出・停止を指示を行う単独
運転指示部、66は手動連動運転スイッチ63の入力に
基づき手動運転モードにおける前進・後退・右進・左進
の指示を行う手動連動運転指示部、25aは携帯操作盤
25と駆動制御装置22との間を接続する通信線であ
る。
【0066】以上のように構成された本実施の形態の非
自航船の位置制御装置において、以下その位置制御方法
について説明する。図6は非自航船の作業海域へ曳航す
るための位置決め動作の工程を表すフローチャートであ
る。まず、作業海域までタグボート等の曳航船により非
自航船1を曳航し(S1)、次いで、転錨船によりアン
カーA1〜A4を作業海域を内包する四角形の頂点位置
に投錨しワイヤR1〜R4の張設作業を行う(S2)。
次に、手動連動運転モードで非自航船1を原点位置付近
まで誘導する(S3)。
【0067】ここで、「原点位置」とは、作業海域内に
おいて、非自航船1の位置制御のための位置座標の基準
となる点のことをいい、オペレータがアンカーA1〜A
4で囲まれた四角形内の任意の位置に設定することが可
能である。
【0068】非自航船1が原点位置付近に達すると、オ
ペレータはタッチパネル26又は駆動制御装置22を介
して携帯操作盤25から主制御部28に単独運転モード
に切り替える指示を入力する。次いで、オペレータは、
非自航船1が正確に原点位置に位置するように、タッチ
パネル26又は駆動制御装置22を介して携帯操作盤2
5より手動で非自航船1の位置及び向き(方位)の微調
整を行う(S4)。これにより、非自航船1は原点位置
において所定の方向を向いた状態となる。
【0069】次に、オペレータは、タッチパネル26よ
り、主制御部28に対し、作業座標系(X,Y)の原点
位置の経緯座標(ξ0,η0)及び作業座標系(X,Y)
のX軸方向の絶対方位θ0を設定する(S5)。
【0070】ここで、「作業座標系」とは、オペレータ
が非自航船1の位置の指定のために、経緯座標とは別に
任意に定めた直交座標系をいい、作業時の位置指定を行
い易いように任意に定めることができる。また、「作業
座標系」を経緯座標と同一の座標系に設定してもかまわ
ない。
【0071】次いで、オペレータは、タッチパネル26
よりGPS自動追尾モードに切り替えるように主制御部
28へ指示を入力し、以後は、主制御部28の制御によ
って、GPS自動追尾モードでの非自航船1の正確な位
置制御が行われる(S6)。
【0072】次に、上記ステップS3における手動連動
運転モードの動作について図面を用いて詳細に説明す
る。図7は実施の形態1の非自航船の手動連動運転モー
ドにおける位置制御動作を示すフローチャートである。
【0073】図4において、運転モード判定部61が手
動連動運転モードに設定されたと判定すると、まず、位
置決め制御部58は、GPS受信機23bより現在の経
緯座標(ξ1,η1)を取得し、絶対方位検出装置23a
より現在の絶対方位θ1を取得し(S10)、タッチパ
ネル26に現在の経緯座標(ξ1,η1)及び現在の絶対
方位θ1を表示する(S11)。
【0074】次に、位置決め制御部58は、オペレータ
によりタッチパネル26から手動連動運転モードの動作
を終了する指示が入力されているか否かを判断し(S1
2)、手動連動運転モードの動作を終了する指示が入力
されていない場合には、次いで、オペレータによりタッ
チパネル26から入力される指定方向の指示信号を検出
する(S13)。
【0075】ここで、「指定方向の指示信号」とは、非
自航船1の移動方向を指示する信号で、「前進」、「後
退」、「右進」、「左進」及び無指定の5つの状態から
なる。「前進」は作業座標系(X,Y)のX軸の正の方
向に移動する指示を表し、「後退」は作業座標系(X,
Y)のX軸の負の方向に移動する指示を表し、「右進」
は作業座標系(X,Y)のY軸の正の方向に移動する指
示を表し、「左進」は作業座標系(X,Y)のY軸の負
の方向に移動する指示を表す(図1参照)。
【0076】指定方向の指示信号が「前進」の場合(S
14)、位置決め制御部58は、X方向移動制御部56
に対し非自航船1のX軸の正の方向への移動を指示し、
X方向移動制御部56は、ウインチユニットW1,W2
を巻上駆動状態とし、ウインチユニットW3,W4を半
ブレーキ繰出状態とし(S15)、ステップS10に戻
る。
【0077】ここで、「巻上駆動状態」とは、油圧モー
タ37の回転によりドラム18を回転させ、ワイヤをド
ラム18により巻上げるようにウインチユニットが駆動
された状態をいい、「半ブレーキ繰出状態」とは、クラ
ッチ38を「脱」状態、ブレーキ39を半ブレーキ状態
とし、ドラム18の回転と逆方向に一定のトルクを加え
た状態でワイヤを繰出するようにした状態をいう。
【0078】指定方向の指示信号が「後退」の場合(S
16)、位置決め制御部58は、X方向移動制御部56
に対し非自航船1のX軸の負の方向への移動を指示し、
X方向移動制御部56は、ウインチユニットW3,W4
を巻上げ駆動状態とし、ウインチユニットW1,W2を
半ブレーキ繰出状態とし(S17)、ステップS10に
戻る。
【0079】指定方向の指示信号が「左進」の場合(S
18)、位置決め制御部58は、Y方向移動制御部57
に対し非自航船1のY軸の負の方向への移動を指示し、
Y方向移動制御部57は、ウインチユニットW1,W3
を巻上げ駆動状態とし、ウインチユニットW2,W4を
半ブレーキ繰出状態とし(S19)、ステップS10に
戻る。
【0080】指定方向の指示信号が「右進」の場合(S
20)、位置決め制御部58は、Y方向移動制御部57
に対し非自航船1のY軸の正の方向への移動を指示し、
Y方向移動制御部57は、ウインチユニットW2,W4
を巻上げ駆動状態とし、ウインチユニットW1,W3を
半ブレーキ繰出状態とし(S21)、ステップS10に
戻る。
【0081】また、指定方向の指示信号が入力されなか
った(無指定の)場合には、位置決め制御部58は、全
てのウインチユニットW1〜W4を停止し固定状態とし
(S22)、ステップS10に戻る。
【0082】ここで、「固定状態」とは、ウインチユニ
ットの油圧モータ37が停止し、ブレーキ39が締めら
れ、ドラム18が回転しないように固定された状態をい
う。
【0083】ステップS12において、オペレータによ
りタッチパネル26から手動連動運転モードの動作を終
了する指示が入力された場合、運転モード判定部61
は、手動連動運転モードの終了を位置決め制御部58に
指示し、位置決め制御部58は、手動連動運転モードの
動作を終了する。
【0084】最後に、上記ステップS6(図6)におけ
るGPS自動追尾モードの動作について詳細に説明す
る。
【0085】図8及び図9は実施の形態1の非自航船の
GPS自動追尾モードにおける位置制御動作を示すフロ
ーチャートである。
【0086】図4において、運転モード判定部61がG
PS自動追尾モードに設定されたと判定すると、まず、
位置決め制御部58は、オペレータによりタッチパネル
26から入力される目標位置の座標(XT,YT)が設定
され(S30)、操船モードをX方向移動モードに設定
する(S31)。
【0087】ここで、「操船モード」とは、GPS自動
追尾モードにおいて位置決め制御部58がX軸方向又は
Y軸方向の何れかの移動制御を行うことを指定するモー
ドをいい、「X方向移動モード」と「Y方向移動モー
ド」からなる。「X方向移動モード」とは、位置決め制
御部58がX軸方向の移動制御を行うモードをいい、
「Y方向移動モード」とは、位置決め制御部58がY軸
方向の移動制御を行うモードをいう。
【0088】次に、現在位置計算部53は、GPS受信
機23bより現在の経緯座標(ξ1,η1)を取得し、現
在方位算出部59は、絶対方位検出装置23aより現在
の絶対方位θ1を取得する(S32)。現在位置計算部
53は、取得した経緯座標(ξ1,η1)から作業座標系
(X,Y)における現在位置(X1,Y1)を算出し、現
在方位算出部59は、取得した絶対方位θ1から現在方
位φ1(=θ1−θ0)を算出する(S33)。
【0089】ここで、現在方位φ1は、作業座標系
(X,Y)のX軸に対する角度であり、ここでは、作業
座標系(X,Y)のX軸の正方向からY軸の正方向に向
かって回転する方向を正の向きとする。
【0090】次に、位置決め制御部58は、現在の操船
モードを判定する(S34)。
【0091】ステップS34において、現在の操船モー
ドがX方向移動モードと判定された場合、X方向ずれ量
算出部54は、X方向の目標偏差|X1−XT|が許容誤
差範囲εX以内が否かを判定する(S35)。
【0092】ステップS35において、X方向の目標偏
差が許容誤差範囲εX以内でないと判定された場合、位
置決め制御部58は、X方向移動制御部56に対し非自
航船1のX軸方向への移動を指示し、X方向移動制御部
56は、X方向移動動作を行う(S36)。
【0093】ステップS35において、X方向の目標偏
差が許容誤差範囲εX以内と判定された場合、位置決め
制御部58は、まず、全てのウインチユニットW1〜W
4を停止させ固定状態とし(S37)、次いで、Y方向
の目標偏差|Y1−YT|が許容誤差範囲εY以内が否か
を判定する(S38)。
【0094】ステップS38において、Y方向の目標偏
差が許容誤差範囲εY以内と判定された場合、位置決め
制御部58は、タッチパネル26に目標位置に到達した
ことを表す表示を行う(S39)。
【0095】ステップS38において、Y方向の目標偏
差が許容誤差範囲εY以内ではないと判定された場合、
位置決め制御部58は、現在の操船モードをY方向移動
モードに設定する(S40)。
【0096】ステップS34において、現在の操船モー
ドがX方向移動モードでない判定された場合、位置決め
制御部58は、Y方向の目標偏差|Y1−YT|が許容誤
差範囲εY以内が否かを判定する(S41)。
【0097】ステップS41において、Y方向の目標偏
差が許容誤差範囲εY以内でないと判定された場合、位
置決め制御部58は、Y方向移動制御部57に対し非自
航船1のY軸方向への移動を指示し、Y方向移動制御部
57は、Y方向移動動作を行う(S42)。
【0098】ステップS41において、Y方向の目標偏
差が許容誤差範囲εY以内と判定された場合、位置決め
制御部58は、まず、全てのウインチユニットW1〜W
4を停止させ固定状態とし(S43)、次いで、X方向
の目標偏差|X1−XT|が許容誤差範囲εX以内が否か
を判定する(S44)。
【0099】ステップS44において、X方向の目標偏
差が許容誤差範囲εX以内と判定された場合、位置決め
制御部58は、タッチパネル26に目標位置に到達した
ことを表す表示を行う(S45)。
【0100】ステップS44において、X方向の目標偏
差が許容誤差範囲εX以内ではないと判定された場合、
位置決め制御部58は、現在の操船モードをX方向移動
モードに設定する(S46)。
【0101】以上の動作が終了すると、次に、運転モー
ド判定部61は、オペレータがタッチパネル26からG
PS自動追尾モードを終了する指示を入力したか否かを
判定する(S47)。
【0102】ステップS47において、GPS自動追尾
モードを終了する指示が入力されていないと判定された
場合、位置決め制御部58は、オペレータがタッチパネ
ル26から目標位置を変更する指示を入力したか否かを
判定し(S48)、入力されていた場合にはステップS
30に戻り、入力されていなかった場合にはステップS
32の動作に戻る。
【0103】ステップS47において、GPS自動追尾
モードを終了する指示が入力されたと判定された場合、
位置決め制御部58は、GPS自動追尾モードの動作を
終了する。
【0104】尚、上記ステップS47において、GPS
自動追尾モードを終了する指示が入力されていないと判
定されなかった場合でも、非自航船1が目標位置に到達
した場合には、GPS自動追尾モードを自動的に終了す
ることもできる。
【0105】上記ステップS36におけるX方向の移動
動作は以下のようにして行われる。図10はX方向移動
動作を表すフローチャートである。
【0106】図4において、まず、X方向移動制御部5
6は、現在のX座表X1が目標座標XTよりも小さいか否
かを判定する(S50)。
【0107】ステップS50において、現在のX座表X
1が目標座標XTよりも小さいと判定された場合、次い
で、X方向移動制御部56は、現在方位φ1の絶対値が
許容誤差範囲εa以内か否かを判定する(S51)。
【0108】ステップS51において、現在方位φ1
絶対値が許容誤差範囲εa以内と判定された場合、X方
向移動制御部56は、図3に示すウインチ駆動制御部2
9,30により、ウインチユニットW1の油圧モータ3
7の回転速度vW1とウインチユニットW2の油圧モータ
37の回転速度vW2とが同一となるようにウインチユニ
ットW1,W2の油圧モータ切替弁40,40を調節す
る(S52)。
【0109】ステップS51において、現在方位φ1
絶対値が許容誤差範囲εa以内でないと判定された場
合、X方向移動制御部56は、現在方位φ1は正値か否
かを判定する(S53)。
【0110】ステップS53において、現在方位φ1
正値と判定された場合、X方向移動制御部56は、ウイ
ンチ駆動制御部29,30により、ウインチユニットW
1の油圧モータ37の回転速度vW1がウインチユニット
W2の油圧モータ37の回転速度vW2よりも速くなるよ
うにウインチユニットW1,W2の油圧モータ切替弁4
0,40を調節する(S54)。
【0111】ステップS53において、現在方位φ1
正値でないと判定された場合、X方向移動制御部56
は、ウインチ駆動制御部29,30により、ウインチユ
ニットW2の油圧モータ37の回転速度vW2がウインチ
ユニットW1の油圧モータ37の回転速度vW1よりも速
くなるようにウインチユニットW1,W2の油圧モータ
切替弁40,40を調節する(S55)。
【0112】ステップS51〜S55の動作が終了する
と、X方向移動制御部56は、ウインチ駆動制御部2
9,30により、ウインチユニットW1,W2を巻上駆
動状態に設定し、ウインチユニットW3,W4を半ブレ
ーキ繰出状態に設定し(S56)、終了する。ここで、
すでにウインチユニットW1,W2が巻上駆動状態、ウ
インチユニットW3,W4が半ブレーキ繰出状態に設定
されていた場合には、X方向移動制御部56は、その状
態を維持する。
【0113】これにより、非自航船1はX軸の正方向に
前進し、このとき、非自航船1の向きがX軸方向からず
れていた場合にはずれの補正が行われる。
【0114】ステップS50において、現在のX座表X
1が目標座標XTよりも小さいと判定されなかった場合、
X方向移動制御部56は、現在方位φ1の絶対値が許容
誤差範囲εa以内か否かを判定する(S57)。
【0115】ステップS57において、現在方位φ1
絶対値が許容誤差範囲εa以内と判定された場合、X方
向移動制御部56は、ウインチユニットW4の油圧モー
タ37の回転速度vW4とウインチユニットW3の油圧モ
ータ37の回転速度vW3とが同一となるようにウインチ
ユニットW4,W3の油圧モータ切替弁40,40を調
節する(S58)。
【0116】ステップS57において、現在方位φ1
絶対値が許容誤差範囲εa以内でないと判定された場
合、X方向移動制御部56は、現在方位φ1は正値か否
かを判定する(S59)。
【0117】ステップS59において、現在方位φ1
正値と判定された場合、X方向移動制御部56は、ウイ
ンチユニットW4の油圧モータ37の回転速度vW4がウ
インチユニットW3の油圧モータ37の回転速度vW3
りも速くなるようにウインチユニットW3,W4の油圧
モータ切替弁40,40を調節する(S60)。
【0118】ステップS59において、現在方位φ1
正値でないと判定された場合、X方向移動制御部56
は、ウインチユニットW3の油圧モータ37の回転速度
W3がウインチユニットW4の油圧モータ37の回転速
度vW4よりも速くなるようにウインチユニットW3,W
4の油圧モータ切替弁40,40を調節する(S6
1)。
【0119】ステップS57〜S61の動作が終了する
と、X方向移動制御部56は、ウインチユニットW3,
W4を巻上駆動状態に設定し、ウインチユニットW1,
W2を半ブレーキ繰出状態に設定し(S62)、終了す
る。ここで、すでにウインチユニットW3,W4が巻上
駆動状態、ウインチユニットW1,W2が半ブレーキ繰
出状態に設定されていた場合には、X方向移動制御部5
6は、その状態を維持する。
【0120】これにより、非自航船1はX軸の負方向に
後退し、このとき、非自航船1の向きがX軸方向からず
れていた場合にはずれの補正が行われる。
【0121】上記動作において、循環制御モータ42が
前述したような7つのノッチ“−3”,“−2”,“−
1”,“0”,“1”,“2”,“3”の範囲内にハン
ドル41を回転させるように制御されるような場合、例
えば、ステップS52ではウインチユニットW1,W
2,W4,W3のノッチは“3”,“3”,“0”,
“0”のように設定され、ステップS54ではウインチ
ユニットW1,W2,W4,W3のノッチは“3”,
“2”,“0”,“0”のように設定され、ステップS
55ではウインチユニットW1,W2,W4,W3のノ
ッチは“2”,“3”,“0”,“0”のように設定さ
れる。ステップS58,S60,S61についてもこれ
に準じてノッチが設定される。
【0122】また、油圧モータ切替弁40の回転角を任
意に設定可能とし油圧モータ37の回転速度を無段階制
御とした場合、例えば、現在方位φ1に比例して各ウイ
ンチユニットの巻上速度の制御を行うようにしてもよ
い。この場合、ステップS52ではウインチユニットW
1,W2,W4,W3の油圧モータ37の回転速度はv
u,vu,0,0のように設定され、ステップS54では
ウインチユニットW1,W2,W4,W3の油圧モータ
37の回転速度はvu,vu−aφ1,0,0のように設
定され、ステップS55ではウインチユニットW1,W
2,W4,W3の油圧モータ37の回転速度はvu−a
φ1,vu,0,0のように設定される。ここで、vu
ウインチの巻上時の標準巻上速度、aは比例定数であ
る。当然ながらステップS58,S60,S61につい
てもこれに準じてノッチが設定される。これにより、非
自航船1の方位の制御をより正確に行うことが可能とな
る。
【0123】上記ステップS42(図8参照)における
Y方向の移動動作は以下のようにして行われる。図11
はY方向移動動作を表すフローチャートである。まず、
Y方向移動制御部57は、現在のY座表Y1が目標座標
Tよりも小さいか否かを判定する(S70)。
【0124】ステップS70において、現在のY座表Y
1が目標座標YTよりも小さいと判定された場合、次い
で、Y方向移動制御部57は、現在方位φ1の絶対値が
許容誤差範囲εa以内か否かを判定する(S71)。
【0125】ステップS71において、現在方位φ1
絶対値が許容誤差範囲εa以内でないと判定された場
合、Y方向移動制御部57は、ウインチ駆動制御部2
9,31により、ウインチユニットW1の油圧モータ3
7の回転速度vW1とウインチユニットW3の油圧モータ
37の回転速度vW3とが同一となるようにウインチユニ
ットW1,W3の油圧モータ切替弁40,40を調節す
る(S72)。
【0126】ステップS71において、現在方位φ1
絶対値が許容誤差範囲εa以内でないと判定された場
合、Y方向移動制御部57は、現在方位φ1は正値か否
かを判定する(S73)。
【0127】ステップS73において、現在方位φ1
正値と判定された場合、Y方向移動制御部57は、ウイ
ンチ駆動制御部29,31により、ウインチユニットW
1の油圧モータ37の回転速度vW1がウインチユニット
W3の油圧モータ37の回転速度vW3よりも速くなるよ
うにウインチユニットW1,W3の油圧モータ切替弁4
0,40を調節する(S74)。
【0128】ステップS73において、現在方位φ1
正値でないと判定された場合、Y方向移動制御部57
は、ウインチ駆動制御部29,31により、ウインチユ
ニットW3の油圧モータ37の回転速度vW3がウインチ
ユニットW1の油圧モータ37の回転速度vW1よりも速
くなるようにウインチユニットW1,W3の油圧モータ
切替弁40,40を調節する(S75)。
【0129】ステップS71〜S75の動作が終了する
と、Y方向移動制御部57は、ウインチ駆動制御部2
9,31により、ウインチユニットW1,W3を巻上駆
動状態に設定し、ウインチユニットW2,W4を半ブレ
ーキ繰出状態に設定し(S76)、終了する。ここで、
すでにウインチユニットW1,W3が巻上駆動状態、ウ
インチユニットW2,W4が半ブレーキ繰出状態に設定
されていた場合には、Y方向移動制御部57は、その状
態を維持する。
【0130】これにより、非自航船1はY軸の負方向に
左進し、このとき、非自航船1の向きがX軸方向からず
れていた場合にはずれの補正が行われる。
【0131】ステップS70において、現在のY座表Y
1が目標座標YTよりも小さいと判定された場合、Y方向
移動制御部57は、現在方位φ1の絶対値が許容誤差範
囲εa以内か否かを判定する(S77)。
【0132】ステップS77において、現在方位φ1
絶対値が許容誤差範囲εa以内と判定された場合、Y方
向移動制御部57は、ウインチユニットW2の油圧モー
タ37の回転速度vW2とウインチユニットW4の油圧モ
ータ37の回転速度vW4とが同一となるようにウインチ
ユニットW2,W4の油圧モータ切替弁40,40を調
節する(S78)。
【0133】ステップS77において、現在方位φ1
絶対値が許容誤差範囲εa以内でないと判定された場
合、Y方向移動制御部57は、現在方位φ1は正値か否
かを判定する(S79)。
【0134】ステップS79において、現在方位φ1
正値と判定された場合、Y方向移動制御部57は、ウイ
ンチユニットW4の油圧モータ37の回転速度vW4がウ
インチユニットW2の油圧モータ37の回転速度vW2
りも速くなるようにウインチユニットW4,W2の油圧
モータ切替弁40,40を調節する(S80)。
【0135】ステップS79において、現在方位φ1
正値でないと判定された場合、Y方向移動制御部57
は、ウインチユニットW2の油圧モータ37の回転速度
W2がウインチユニットW4の油圧モータ37の回転速
度vW4よりも速くなるようにウインチユニットW4,W
2の油圧モータ切替弁40,40を調節する(S8
1)。
【0136】ステップS77〜S81の動作が終了する
と、Y方向移動制御部57は、ウインチユニットW2,
W4を巻上駆動状態に設定し、ウインチユニットW1,
W3を半ブレーキ繰出状態に設定し(S82)、終了す
る。ここで、すでにウインチユニットW2,W4が巻上
駆動状態、ウインチユニットW1,W3が半ブレーキ繰
出状態に設定されていた場合には、Y方向移動制御部5
7は、その状態を維持する。
【0137】これにより、非自航船1はY軸の正方向に
右進し、このとき、非自航船1の向きがX軸からずれて
いた場合にはずれの補正が行われる。
【0138】尚、循環制御モータ42が7つのノッチ
“−3”,“−2”,“−1”,“0”,“1”,
“2”,“3”の範囲内にハンドル41を回転させるよ
うに制御されるような場合には、図10の説明において
述べたノッチ操作に準じた操作が行われ、油圧モータ切
替弁40の回転角を任意に設定可能とし油圧モータ37
の回転速度を無段階制御とした場合には、図10の説明
において述べた各ウインチの速度操作に準じた操作が行
われる。
【0139】以上のように、本実施の形態によれば、G
PS自動追尾モードの動作において、GPS受信機23
bにより常に非自航船1の位置を検出しながら、X方向
の移動動作とY方向の移動動作とを交互に行うことで非
自航船1の位置を目標とする位置に収斂させることによ
り、正確で容易な非自航船1の移動操作が可能となると
ともに、各アンカーの位置ずれ及び水深の相違による位
置ずれ、潮流や風等により非自航船1に加わる偶力等に
よる位置ずれ、ワイヤの中央部付近が潮流の下流方向に
流されることによる位置ずれが生じることがなく、正確
な非自航船1の位置制御が可能となる。また、非自航船
1が目標とする位置に移動した後も、継続してGPS自
動追尾モードに設定しておくことで、作業中に何らかの
理由で非自航船1の位置ずれが生じた場合にも、即座に
もとの目標とする位置に戻ることができ、非自航船1を
常に目標位置に正確に移動させることが可能となる。
尚、移動する非自航船1は慣性を有するため、ウインチ
W1〜W4を停止しても急には停止しない。そこで、ワ
イヤを巻上げるウインチの巻上速度を、非自航船1の現
在位置から目標位置までの距離に比例して設定するよう
にしてもよい。例えば、非自航船1の現在位置から目標
位置までの距離が、30m,20m,10m,5m,1
mの場合には、ウインチの巻上速度は、それぞれ、15
m/s,10m/s,5m/s,2.5m/s,0.5
m/sとする。
【0140】尚、本実施の形態では、ウインチユニット
が4つの場合を例として示したが、本発明はウインチユ
ニットは4つの場合に限るものではなく、4つ以上のウ
インチユニットを備えてもよい。この場合も、各ウイン
チユニットの巻上速度を、X軸方向移動及びY方向移動
に対応させ、調節することにより、上記で説明したもの
と同様の目標位置への収斂動作による移動を行い、非自
航船を精度よく目標位置に移動させることが可能であ
る。
【0141】(実施の形態2)図12は本発明の実施の
形態2における非自航船の位置制御装置の主制御部の機
能構成を示すブロック図である。
【0142】本実施の形態2の非自航船の位置制御装置
の他の構成については図1〜図3及び図5と同様である
ため、説明は省略する。おいては、図12において、2
3aは絶対方位検出装置、23bはGPS受信機、22
は駆動制御装置、26はタッチパネル、28は主制御
部、52は通信インタフェース部、53は現在位置計算
部、54はX方向ずれ量算出部、55はY方向ずれ量算
出部、56はX方向移動制御部、57はY方向移動制御
部、58は位置決め制御部、59は現在方位算出部、6
0は方位ずれ量算出部、61は運転モード判定部であ
り、これらは図4と同様のものであるため、同一の符号
を付して説明を省略する。
【0143】67は、X方向の偏差|XT−X1|及びY
方向の偏差|YT−Y1|が許容誤差範囲より大きい場
合、現在位置(X1,Y1)に対する目標座標(XT
T)の方位φ2(=tan-1(YT−Y1)/(XT
1))(以下、移動方位と呼ぶ)を算出し、移動方位
φ2とX軸とのなす角度Min(|φ2|,|φ2−18
0°|)が22.5°より小さい場合操船モードをX方
向移動モードに設定し、移動方位φ2とY軸とのなす角
度Min(|φ2−90°|,|φ2−270°|)が2
2.5°より小さい場合操船モードをY方向移動モード
に設定し、それ以外の場合にはX方向の偏差|XT−X1
|又はY方向の偏差|YT−Y1|が許容誤差範囲以内と
なるまで非自航船1を移動方位φ2に斜行移動させる制
御を行う斜行移動制御部である。
【0144】ここで、現在方位φ2は、作業座標系
(X,Y)のX軸に対する角度であり、ここでは、作業
座標系(X,Y)のX軸の正方向からY軸の正方向に向
かって回転する方向を正の向きとする。
【0145】尚、実施の形態1では、非自航船1の移動
を、X軸の正負の方向とY軸の正負の方向の4方向とし
ているが、本実施の形態では、X軸の正負の方向とY軸
の正負の方向に加え、斜め方向も加えた8方向とした。
従って、上記角度22.5°は、斜行移動制御部67が
非自航船1を斜行移動させるか否かの判断を行うための
閾値であり、本実施の形態においては、45°の半分の
22.5°としたものである。
【0146】以上のように構成された本実施の形態の非
自航船の位置制御装置において、以下その位置制御方法
について説明する。
【0147】まず、非自航船1を曳航船により作業海域
に曳航し原点位置に移動させるまでの動作は、図6及び
図7に示したフローチャートに準じた動作により行われ
る。
【0148】本実施の形態の非自航船1の位置制御装置
は、図6のステップS6におけるGPS自動追尾モード
の動作が実施の形態1とは異なる。以下、本実施の形態
における図6のステップS6におけるGPS自動追尾モ
ードの動作について説明する。
【0149】図13は実施の形態2の非自航船のGPS
自動追尾モードにおける位置制御動作を示すフローチャ
ートである。
【0150】運転モード判定部61がGPS自動追尾モ
ードに設定されたと判定すると、まず、位置決め制御部
58は、オペレータによりタッチパネル26から入力さ
れる目標位置の座標(XT,YT)が設定され(S9
0)、操船モードを斜進移動モードに設定する(S9
1)。
【0151】ここで、「操船モード」とは、GPS自動
追尾モードにおいて位置決め制御部58がX軸方向又は
Y軸方向の何れかの移動制御を行うことを指定するモー
ドをいい、「X方向移動モード」,「Y方向移動モー
ド」,「斜進移動モード」からなる。「斜進移動モー
ド」とは、移動方位φ2とX軸とのなす角度Min(|
φ2|,|φ2−180°|)が22.5°以内の場合操
船モードをX方向移動モードに設定し、移動方位φ2
Y軸とのなす角度Min(|φ2−90°|,|φ2−2
70°|)が22.5°以内の場合操船モードをY方向
移動モードに設定し、それ以外の場合にはX方向の偏差
|XT−X1|又はY方向の偏差|YT−Y1|が許容誤差
範囲以内となるまで非自航船1を移動方位φ2に斜行移
動させる制御を行うモードをいう。尚、「X方向移動モ
ード」、「Y方向移動モード」は既に実施の形態1で説
明した。
【0152】次に、現在位置計算部53は、GPS受信
機23bより現在の経緯座標(ξ1,η1)を取得し、現
在方位算出部59は、絶対方位検出装置23aより現在
の絶対方位θ1を取得する(S92)。現在位置計算部
53は、取得した経緯座標(ξ1,η1)から作業座標系
(X,Y)における現在位置(X1,Y1)を算出し、現
在方位算出部59は、取得した絶対方位θ1から現在方
位φ1(=θ1−θ0)を算出する(S93)。
【0153】ここで、現在方位φ1は、作業座標系
(X,Y)のX軸に対する角度であり、ここでは、作業
座標系(X,Y)のX軸の正方向からY軸の正方向に向
かって回転する方向を正の向きとする。
【0154】次に、位置決め制御部58は、現在の操船
モードが斜進移動モードか否かを判定する(S94)。
【0155】ステップS94において、現在の操船モー
ドが斜進移動モードと判定された場合、X方向ずれ量算
出部54は、X方向の目標偏差|X1−XT|が許容誤差
範囲εX以内が否かを判定する(S95)。
【0156】ステップS95において、X方向の目標偏
差が許容誤差範囲εX以内ではないと判定された場合、
Y方向の目標偏差|Y1−YT|が許容誤差範囲εY以内
が否かを判定する(S96)。
【0157】ステップS96において、Y方向の目標偏
差が許容誤差範囲εY以内ではないと判定された場合、
位置決め制御部58は、斜行移動制御部67に対し非自
航船1の斜行移動を指示し、斜行移動制御部67は、斜
行移動動作を行う(S97)。
【0158】ステップS95において、X方向の目標偏
差が許容誤差範囲εX以内と判定された場合、位置決め
制御部58は、まず、全てのウインチユニットW1〜W
4を停止させ固定状態とし、次いで、現在の操船モード
をY方向移動モードに設定する(S98)。
【0159】ステップS96において、Y方向の目標偏
差が許容誤差範囲εY以内と判定された場合、位置決め
制御部58は、まず、全てのウインチユニットW1〜W
4を停止させ固定状態とし、次いで、現在の操船モード
をX方向移動モードに設定する(S99)。
【0160】ステップS94において、現在の操船モー
ドが斜進移動モードでないと判定された場合、位置決め
制御部58は、現在の操船モードがX方向移動モードか
否かを判定する(S100)。
【0161】ステップS100において、現在の操船モ
ードがX方向移動モードと判定された場合、X方向ずれ
量算出部54は、X方向の目標偏差|X1−XT|が許容
誤差範囲εX以内が否かを判定する(S101)。
【0162】ステップS101において、X方向の目標
偏差が許容誤差範囲以内でないと判定された場合、位置
決め制御部58は、X方向移動制御部56に対し非自航
船1のX軸方向への移動を指示し、X方向移動制御部5
6は、X方向移動動作を行う(S102)。
【0163】ステップS101において、X方向の目標
偏差が許容誤差範囲以内と判定された場合、位置決め制
御部58は、まず、全てのウインチユニットW1〜W4
を停止させ固定状態とし(S103)、次いで、Y方向
の目標偏差|Y1−YT|が許容誤差範囲εY以内が否か
を判定する(S104)。
【0164】ステップS104において、Y方向の目標
偏差が許容誤差範囲εY以内と判定された場合、位置決
め制御部58は、タッチパネル26に目標位置に到達し
たことを表す表示を行う(S105)。
【0165】ステップS104において、Y方向の目標
偏差が許容誤差範囲εY以内ではないと判定された場
合、位置決め制御部58は、現在の操船モードをY方向
移動モードに設定する(S106)。
【0166】ステップS100において、現在の操船モ
ードがX方向移動モードでない判定された場合、位置決
め制御部58は、Y方向の目標偏差|Y1−YT|が許容
誤差範囲εY以内が否かを判定する(S107)。
【0167】ステップS107において、Y方向の目標
偏差が許容誤差範囲以内でないと判定された場合、位置
決め制御部58は、Y方向移動制御部57に対し非自航
船1のY軸方向への移動を指示し、Y方向移動制御部5
7は、Y方向移動動作を行う(S108)。
【0168】ステップS107において、Y方向の目標
偏差が許容誤差範囲以内と判定された場合、位置決め制
御部58は、まず、全てのウインチユニットW1〜W4
を停止させ固定状態とし(S109)、次いで、X方向
の目標偏差|X1−XT|が許容誤差範囲εX以内が否か
を判定する(S110)。
【0169】ステップS110において、X方向の目標
偏差が許容誤差範囲εX以内と判定された場合、位置決
め制御部58は、タッチパネル26に目標位置に到達し
たことを表す表示を行う(S111)。
【0170】ステップS110において、X方向の目標
偏差が許容誤差範囲εX以内ではないと判定された場
合、位置決め制御部58は、現在の操船モードをX方向
移動モードに設定する(S112)。
【0171】以上の動作(ステップS92〜S112の
動作)が終了すると、次に、運転モード判定部61は、
オペレータがタッチパネル26からGPS自動追尾モー
ドを終了する指示を入力したか否かを判定する(S11
3)。
【0172】ステップS113において、GPS自動追
尾モードを終了する指示が入力されていないと判定され
た場合、位置決め制御部58は、オペレータがタッチパ
ネル26から目標位置を変更する指示を入力したか否か
を判定し(S114)、入力されていた場合にはステッ
プS90の動作に戻り、入力されていなかった場合には
ステップS92の動作に戻る。
【0173】ステップS113において、GPS自動追
尾モードを終了する指示が入力されたと判定された場
合、位置決め制御部58は、GPS自動追尾モードの動
作を終了する。
【0174】上記ステップS102におけるX方向の移
動動作及びステップS108におけるY方向の移動動作
は、実施の形態1において、図10及び図11で説明し
た動作と同様なため、説明は省略する。
【0175】上記ステップS97における斜行移動動作
は以下のようにして行われる。
【0176】図14は斜行移動動作を表すフローチャー
トである。
【0177】斜行移動制御部67は、移動方位φ2=t
an-1(YT−Y1)/(XT−X1)を算出する(S12
0)。
【0178】次いで、斜行移動制御部67は、移動方位
φ2とX軸とのなす角度Min(|φ2|,|φ2−18
0°|)が22.5°より小さいか否かを判定し(S1
21)、Min(|φ2|,|φ2−180°|)<2
2.5°の場合には、斜行移動制御部67は、まず、全
てのウインチユニットW1〜W4を停止させ固定状態と
し(S122)、次いで、現在の操船モードをX方向移
動モードに設定し(S123)、終了する。
【0179】ステップS121において、Min(|φ
2|,|φ2−180°|)が22.5°より小さくない
場合には、斜行移動制御部67は、移動方位φ2とY軸
とのなす角度Min(|φ2−90°|,|φ2−270
°|)が22.5°より小さいか否かを判定する(S1
24)。
【0180】ステップS124において、Min(|φ
2−90°|,|φ2−270°|)<22.5°の場合
には、斜行移動制御部67は、まず、全てのウインチユ
ニットW1〜W4を停止させ固定状態とし(S12
5)、次いで、現在の操船モードをY方向移動モードに
設定し(S126)、終了する。
【0181】ステップS124において、Min(|φ
2−90°|,|φ2−270°|)が22.5°より小
さくない場合には、斜行移動制御部67は、|φ2−4
5°|が22.5°以下か否かを判定し(S127)、
|φ2−45°|≦22.5°の場合には、ウィンチユ
ニットW2を巻上駆動状態とし、ウインチユニットW
1,W3,W4を半ブレーキ繰出状態に設定し(S12
8)、終了する。ここで、すでにウインチユニットW2
が巻上駆動状態、ウインチユニットW1,W3,W4が
半ブレーキ繰出状態に設定されていた場合には、斜行移
動制御部67は、その状態を維持する。これにより、非
自航船1はアンカーA2の方向に斜行進行する。
【0182】ステップS127において、|φ2−45
°|≦22.5°でない場合には、斜行移動制御部67
は、|φ2−135°|が22.5°以下か否かを判定
し(S129)、|φ2−135°|≦22.5°の場
合には、ウィンチユニットW4を巻上駆動状態とし、ウ
インチユニットW1,W2,W3を半ブレーキ繰出状態
に設定し(S130)、終了する。ここで、すでにウイ
ンチユニットW4が巻上駆動状態、ウインチユニットW
1,W2,W3が半ブレーキ繰出状態に設定されていた
場合には、斜行移動制御部67は、その状態を維持す
る。これにより、非自航船1はアンカーA4の方向に斜
行進行する。
【0183】ステップS129において、|φ2−13
5°|≦22.5°でない場合には、斜行移動制御部6
7は、|φ2−225°|が22.5°以下か否かを判
定し(S131)、|φ2−225°|≦22.5°の
場合には、ウィンチユニットW3を巻上駆動状態とし、
ウインチユニットW1,W2,W4を半ブレーキ繰出状
態に設定し(S132)、終了する。ここで、すでにウ
インチユニットW3が巻上駆動状態、ウインチユニット
W1,W2,W4が半ブレーキ繰出状態に設定されてい
た場合には、斜行移動制御部67は、その状態を維持す
る。これにより、非自航船1はアンカーA3の方向に斜
行進行する。
【0184】ステップS131において、|φ2−22
5°|≦22.5°でない場合には、斜行移動制御部6
7は、ウィンチユニットW1を巻上駆動状態とし、ウイ
ンチユニットW2,W3,W4を半ブレーキ繰出状態に
設定し(S133)、終了する。ここで、すでにウイン
チユニットW1が巻上駆動状態、ウインチユニットW
2,W3,W4が半ブレーキ繰出状態に設定されていた
場合には、斜行移動制御部67は、その状態を維持す
る。これにより、非自航船1はアンカーA1の方向に斜
行進行する。
【0185】以上のように、本実施の形態によれば、G
PS自動追尾モードにおける目標座標への移動の初期に
おいて、現在の座標に対し目標座標が斜め方向(X軸又
はY軸に対して22.5°以上傾いた方向)にある場
合、非自航船1を目標座標の方向へ斜行進行させ、非自
航船1の座標と目標座標とのX軸方向又はY軸方向の偏
差が所定の誤差範囲以内に達した後に、実施の形態1と
同様に、X方向の移動動作とY方向の移動動作とを交互
に行うことで非自航船1の位置を目標とする位置に収斂
させることにより、非自航船1が目標座標に移動される
までの時間を短縮することが可能となる。
【0186】
【発明の効果】以上のように、本発明の非自航船の位置
制御装置によれば、以下のような有利な効果を得ること
ができる。
【0187】請求項1に記載の発明によれば、 (1)オペレータが目標位置を指定するのみで容易に所
定の目標位置に非自航船を移動させることが可能で非自
航船の移動時の作業性に優れた非自航船の位置制御装置
を提供することができる。 (2)各アンカーの位置ずれ及び水深の相違による位置
ずれ、潮流や風等により非自航船に加わる偶力等による
位置ずれ、ワイヤの中央部付近が潮流の下流方向に流さ
れることによる位置ずれが生じても即座に元の位置に戻
り、位置決め精度に優れた非自航船の位置制御装置を提
供することができる。 (3)非自航船が目標とする位置に移動した後も、継続
して非自航船の自動位置制御を継続することで、作業中
に何らかの理由で非自航船の位置ずれが生じた場合に
も、即座にもとの目標とする位置に戻ることができ、非
自航船を常に目標位置に正確に移動させることが可能な
非自航船の位置制御装置を提供することができる。 (4)GPS受信機により検出される非自航船の経緯座
標に基づき非自航船の位置制御を行うため、海洋作業の
ように、作業海域の周囲に非自航船の位置の基準となる
目標物が存在しない場合にも、非自航船の正確な位置制
御が可能な非自航船の位置制御装置を提供することがで
きる。
【0188】請求項2に記載の発明によれば、請求項1
の効果に加え、 (1)潮流や風などによる非自航船に加わる外力等によ
り非自航船が回転し目標方位φTからはずれた場合でも
目標方位φTに戻るように制御されるため、非自航船の
回転が防止され、非自航船のより正確な移動を可能とす
る非自航船の位置制御装置を提供することができる。 (2)潮流の速い作業海域での作業や風の強い天候時で
の作業などの場合でも、非自航船の正確な移動が可能な
非自航船の位置制御装置を提供することができる。
【0189】請求項3に記載の発明によれば、請求項1
又は2の効果に加え、 (1)油圧モータの回転速度の段階制御や無段階制御が
自在に可能であり、ウインチユニットの巻上速度の微妙
な調節を容易に行うことが可能な非自航船の位置制御装
置を提供することができる。
【0190】また、本発明の非自航船の位置制御方法に
よれば、以下のような有利な効果を得ることができる。
【0191】請求項4に記載の発明によれば、 (1)オペレータが目標位置を指定するのみで容易に所
定の目標位置に非自航船を移動させることが可能で非自
航船の移動時の作業性に優れた非自航船の位置制御方法
を提供することができる。 (2)各アンカーの位置ずれ及び水深の相違による位置
ずれ、潮流や風等により非自航船に加わる偶力等による
位置ずれ、ワイヤの中央部付近が潮流の下流方向に流さ
れることによる位置ずれが生じることがなく、位置決め
精度に優れた非自航船の位置制御方法を提供することが
できる。 (3)非自航船が目標とする位置に移動した後も、継続
して非自航船の自動位置制御を継続することで、作業中
に何らかの理由で非自航船の位置ずれが生じた場合に
も、即座にもとの目標とする位置に戻ることができ、非
自航船を常に目標位置に正確に移動させることが可能な
非自航船の位置制御方法を提供することができる。 (4)GPS受信機により検出される非自航船の経緯座
標に基づき非自航船の位置制御を行うため、海洋作業の
ように、作業海域の周囲に非自航船の位置の基準となる
目標物が存在しない場合にも、非自航船の正確な位置制
御が可能な非自航船の位置制御方法を提供することがで
きる。
【0192】請求項5に記載の発明によれば、請求項4
の効果に加え、 (1)潮流や風などによる非自航船に加わる偶力等によ
り非自航船が回転し目標方位φTからはずれた場合でも
目標方位φTに戻るように制御されるため、非自航船の
回転が防止され、非自航船のより正確な移動を可能とす
る非自航船の位置制御方法を提供することができる。 (2)潮流の速い作業海域での作業や風の強い天候時で
の作業などの場合でも、非自航船の正確な移動が可能な
非自航船の位置制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における非自航船を作業
位置に停泊させた状態を示す模式図
【図2】本発明の実施の形態1における非自航船の位置
制御装置の全体構成を示す模式図
【図3】本発明の実施の形態1における非自航船の位置
制御装置を示すブロック図
【図4】図3の主制御部の機能構成を示すブロック図
【図5】図3の携帯操作盤の構成を表すブロック図
【図6】非自航船の作業海域へ曳航するための位置決め
動作の工程を表すフローチャート
【図7】実施の形態1の非自航船の手動連動運転モード
における位置制御動作を示すフローチャート
【図8】実施の形態1の非自航船のGPS自動追尾モー
ドにおける位置制御動作を示すフローチャート
【図9】実施の形態1の非自航船のGPS自動追尾モー
ドにおける位置制御動作を示すフローチャート
【図10】X方向移動動作を表すフローチャート
【図11】Y方向移動動作を表すフローチャート
【図12】本発明の実施の形態2における非自航船の位
置制御装置の主制御部の機能構成を示すブロック図
【図13】実施の形態2の非自航船のGPS自動追尾モ
ードにおける位置制御動作を示すフローチャート
【図14】斜行移動動作を表すフローチャート
【図15】(a)非自航船とそれ海底に係留するアンカ
ーとの位置関係を示す図 (b)図15(a)のワイヤP11に沿った垂直断面を
表す図
【図16】移動前と移動後との非自航船の位置の関係は
を表す図
【符号の説明】
1 非自航船 A1,A2,A3,A4 アンカー R1,R2,R3,R4 ワイヤ 10,11,12,13 回転シーブ W1,W2,W3,W4 ウインチユニット 18,19,20,21 ドラム 22 駆動制御装置 23a 絶対方位検出装置 23b GPS受信機 24 制御盤 25 携帯操作盤 25a 通信線 26 タッチパネル 28 主制御部 28a 通信線 29,30,31,32 ウインチ駆動制御部 33 通信インタフェース部 36 P/S変換部 37 油圧モータ 37a 油圧ポンプ 38 クラッチ 39 ブレーキ 40 油圧モータ切替弁 41 ハンドル 42 循環制御モータ 43 伝達部 44 ロータリーエンコーダ 45 クラッチ空圧回路 46 ブレーキ空圧回路 47 スリーシーブ 48 副制御部 49 モータ駆動部 50 クラッチ駆動部 51 ブレーキ駆動部 52 通信インタフェース部 53 現在位置計算部 54 X方向ずれ量算出部 55 Y方向ずれ量算出部 56 X方向移動制御部 57 Y方向移動制御部 58 位置決め制御部 59 現在方位算出部 60 方位ずれ量算出部 61 運転モード判定部 62 単独運転スイッチ 63 手動連動運転スイッチ 64 通信インタフェース部 65 単独運転指示部 66 手動連動運転指示部 67 斜行移動制御部 25a 通信線 100 制御盤 101 非自航船位置測定器 102 アンカー位置測定器 103 ウインチ電動機駆動制御回路

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水底に投錨された複数のアンカーの各々
    に繋がれたワイヤの巻上及び繰出を行う複数のウインチ
    ユニットを具備した非自航船の位置制御を行う非自航船
    の位置制御装置であって、地球の上空の静止軌道上を周
    回する複数個のGPS人工衛星から発信される電波に基
    づき前記非自航船の座標を検出するGPS受信機と、作
    業座標系(X,Y)に対して前記GPS受信機の検出す
    る前記非自航船の座標(X1,Y1)と前記非自航船の移
    動先の位置座標である目標座標(XT,YT)とのX方向
    のずれ量を算出するX方向ずれ量検出部と、前記作業座
    標系(X,Y)に対して前記非自航船の座標(X1
    1)と前記目標座標(XT,YT)とのY方向のずれ量
    を算出するY方向ずれ量検出部と、前記X方向のずれ量
    が許容誤差より大きい場合、前記X方向のずれ量が許容
    誤差以内となるまで前記非自航船をX方向に移動させる
    ように前記ウインチユニットを駆動制御するX方向移動
    制御部と、前記Y方向のずれ量が許容誤差より大きい場
    合、前記Y方向のずれ量が許容誤差以内となるまで前記
    非自航船をY方向に移動させるように前記ウインチユニ
    ットを駆動制御するY方向移動制御部と、前記X方向の
    ずれ量及び前記Y方向のずれ量が共に前記許容誤差以内
    に収斂するまで前記X方向移動制御部及び前記Y方向移
    動制御部を交互に動作させる制御を行う位置決め制御部
    と、を備えたことを特徴とする非自航船の位置制御装
    置。
  2. 【請求項2】 前記非自航船の絶対方位φを検出する絶
    対方位検出装置と、前記絶対方位検出装置の検出する前
    記非自航船の方位φ1と目標とする前記非自航船の方位
    である目標方位φTとの方位ずれ量を算出する方位ずれ
    量算出部と、を備え、前記X方向移動制御部は、前記方
    位ずれ量が許容誤差より大きい場合、前記非自航船の方
    位が前記目標方位に近づくように前記ウインチユニット
    の巻上速度を調節する制御を行い、前記Y方向移動制御
    部は、前記方位ずれ量が許容誤差より大きい場合、前記
    非自航船の方位が前記目標方位に近づくように前記ウイ
    ンチユニットの巻上速度を調節する制御を行うことを特
    徴とする請求項1に記載の非自航船の位置制御装置。
  3. 【請求項3】 前記ウインチユニットは、前記ワイヤが
    巻回され回転自在に配設されたドラムと、前記ドラムを
    回転駆動する油圧モータと、前記油圧モータに循環させ
    る作動油の循環方向及び循環流量を制御する油圧モータ
    切替弁と、前記油圧モータ切替弁の弁軸を回転駆動する
    循環制御モータと、を備え、前記X方向移動制御部及び
    前記Y方向移動制御部は、前記各ウインチユニットの前
    記循環制御モータの回転角を制御することにより前記ウ
    インチユニットの巻上速度を調節する制御を行うことを
    特徴とする請求項1又は2に記載の非自航船の位置制御
    装置。
  4. 【請求項4】 水底に投錨された複数のアンカーの各々
    に繋がれたワイヤの巻上及び繰出を行う複数のウインチ
    ユニットを具備した非自航船の位置制御を行う非自航船
    の位置制御方法であって、地球の上空の静止軌道上を周
    回する複数個のGPS人工衛星から発信される電波に基
    づきGPS受信機により前記非自航船の座標を検出する
    位置検出過程と、作業座標系(X,Y)に対して前記G
    PS受信機の検出する前記非自航船の座標(X1,Y1
    と前記非自航船の移動先の位置座標である目標座標(X
    T,YT)とのX方向のずれ量及びY方向のずれ量を算出
    する目標ずれ量算出過程と、前記X方向のずれ量が許容
    誤差より大きい場合、前記X方向のずれ量が許容誤差範
    囲以内となるまで前記ウインチユニットによるワイヤの
    巻上又は繰出により前記非自航船をX方向に移動させる
    X方向移動動作と、前記Y方向のずれ量が許容誤差より
    大きい場合、前記Y方向のずれ量が許容誤差範囲以内と
    なるまで前記ウインチユニットによるワイヤの巻上又は
    繰出により前記非自航船をY方向に移動させるY方向移
    動動作と、を交互に行うことにより、前記X方向のずれ
    量及び前記Y方向のずれ量が共に前記許容誤差範囲以内
    に収斂させる位置決め過程と、を備えたことを特徴とす
    る非自航船の位置制御方法。
  5. 【請求項5】 前記非自航船の絶対方位φを検出する絶
    対方位検出過程と、前記絶対方位検出過程において検出
    される前記非自航船の方位φ1と目標とする前記非自航
    船の方位である目標方位φTとの方位ずれ量を算出する
    方位ずれ量算出過程と、を備え、前記位置決め過程にお
    いて、前記方位ずれ量が許容誤差より大きい場合、前記
    非自航船の方位が前記目標方位に近づくように前記各ウ
    インチユニットの巻上速度を調節することを特徴とする
    請求項4に記載の非自航船の位置制御方法。
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