JP2001051192A - 対物レンズ - Google Patents
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Abstract
を単一の対物レンズで安定して再生すると共に、小型で
軽量化された出射光の波長が異なる2つの光源を有する
光ヘッド装置を得る。 【解決手段】 曲面形状の異なる複数の輪帯状屈折曲面
を対物レンズに形成し、RMS波面収差がDVD系及び
CD系で0.07λ以下になるよう輪帯の段差と曲面形
状を構成する。
Description
記録媒体用の記録装置や再生装置等に用いる光ヘッド装
置用対物レンズ及びそれを用いた光ヘッド装置に関す
る。
後、光ディスクで代表する。)の記録再生のために、光
源として波長が780nm帯の半導体レーザとNA(開
口数)が0.45の対物レンズ、及び、厚さが1.2m
mの光ディスクが使用される。一方、DVD系の光ディ
スクの記録再生には、光源として波長が640nm帯の
半導体レーザとNAが0.6の対物レンズ、及び、厚さ
が0.6mmの光ディスクが使用される。
とDVD系両方の光ディスクの記録再生を実現させるに
は、CD系とDVD系用それぞれの発振波長の半導体レ
ーザを2個、及び、それぞれのNAに対応した2個の対
物レンズを使用する。しかし、この方式では、光学系が
2系統となるため、光ヘッド装置の体積が大きく、重量
も重く、部品点数が多いため、組立工程が複雑である等
の欠点があった。
る半導体レーザからの光を波長選択性の合成分離ミラー
で合成分離し、同一の対物レンズを使用してコンパクト
な光ヘッド装置を構成することが提案されているが、前
述のように、CD系とDVD系の光ディスクでは対物レ
ンズに要求されるNAが異なるため、両系の光ディスク
を同一の対物レンズを使用して記録再生する場合、対物
レンズのNAを波長に応じて変える必要があった。
て、光軸を含む対物レンズの中心領域では2つの波長帯
の光は直進透過させ、光軸を含まない対物レンズの周辺
領域では大きなNAが必要な波長640nmの光は直線
的に透過させ、小さなNAでもよい波長780nmの光
は反射させる機能を有した波長選択性の絞りを、光ディ
スクと光源との間に配置することにより、CD系とDV
D系での光ディスクの波長に対するNAの切替を行って
いる。しかし、CD系とDVD系では光ディスクの厚さ
が異なるので、発生する球面収差をこのような開口制御
(NA制御)のみでは十分に低減させることは困難であ
った。
「光学」第28巻第2号1999年64−70項に概説
され、大別して2種の方策がある。すなわち、DVD系
で波面収差が最小となるように設計された対物レンズの
表面に輪帯状に段差を形成し、DVD系での波面収差増
大を抑制しつつCD系での波面収差を減少させる輪帯位
相補正レンズ方式と、対物レンズとは別に平面形状が環
状で断面形状が階段状の溝を基板に形成した素子を配置
する位相制御素子方式である。
11−2759号や特開平11−16190号にその実
施例が記載されている。何れも、輪帯位相補正段差のな
い連続面対物レンズに比べて、CDのRMS(Root Mea
n Square)波面収差は改善されているが、DVDの波面
収差は劣化する傾向にある。この原因は、従来の輪帯位
相補正面は同一の曲面を光軸方位に平行移動して段差を
形成しているため、輪帯毎にその焦点位置が段差分だけ
変化することによる。段差をDVD系の波長に対して略
整数倍とすることにより、DVD系のRMS波面収差の
増大を抑制し、CD系のRMS波面収差を低減する効果
は発現するが、改良の余地を残していた。
0−334504号に記載されるように、DVD波長に
対して位相制御素子は位相分布をほとんど変化させない
ため、RMS波面収差はDVD系に最適設計された対物
レンズの値を維持し、CD系のRMS波面収差を低減す
るように作用するため、記録再生性能が波面収差に敏感
なDVD系に対して有効である。しかし、位相制御素子
は対物レンズと分離した構成であるため、位相制御素子
と対物レンズとの偏心が許容値以上に生じるとCDのR
MS波面収差の低減作用が機能しなくなるといった問題
があった。
ては、半導体レーザからの出射光が光ディスクで反射さ
れて戻り光となり、この戻り光をビームスプリッタを用
いて光検出器である受光素子に導く必要がある。このビ
ームスプリッタとして、異なる波長の半導体レーザ光を
合成分離するための前述の合成分離ミラーに加えて、こ
の合成分離ミラーによって分離されたそれぞれの波長の
光を上記の受光素子へ導くためのハーフミラーがさらに
必要となる。したがって、部品点数が多くなると共に、
組立工程が複雑となり、生産性が下がる。また、このハ
ーフミラーは通常入射光方向に対し90°方向に光を反
射するように使用するために、光ヘッド装置の小型化も
困難であった。
ムスプリッタとしてホログラム素子を用いることが提案
されている。このホログラフィックビームスプリッタ
は、光の進行方向を回折によって曲げて、半導体レーザ
の近くに配置した受光素子に光を導くことができる。
半導体レーザと対物レンズとの間の半導体レーザに近い
側に配置すると、2つの異なる波長の半導体レーザの近
くにそれぞれのホログラム素子が必要となり、部品点数
が増加する。また、特にDVD系の光ディスクの再生時
には、ホログラム素子を対物レンズと一体に駆動した方
がトラッキングの精度が高くなる。
していた前述の問題を解決するためになされたものであ
り、その目的は、輪帯位相補正レンズ方式の対物レンズ
であって、異なる2つの波長で光ディスクの記録再生時
に何れもRMS波面収差が改善された対物レンズ及びそ
れを用いた光ヘッド装置を提供することである。
明の対物レンズは、2つの波長λ1 とλ2 (λ1 <
λ 2 )のレーザ光源からの波面の位相が揃っている光束
を集光光学系によりそれぞれの波長において異なる厚さ
t1 とt2 (t1 <t2 )の基板越しに光記録媒体の情
報記録面に集光し、情報記録面上に情報を記録又は情報
記録面上の情報を再生する光ヘッド装置において、集光
光学系に用いられる屈折率nの対物レンズは、入射光束
の開口数の異なる領域に光軸に回転対称な輪帯状の少な
くとも5つの屈折曲面を有すると共に、その境界域で段
差をなし、開口数NA1の中心部の輪帯屈折曲面に対し
て、開口数NA1からNA2の領域の輪帯段差をd1
2、開口数NA2からNA3の領域の輪帯段差をd1
3、開口数NA3からNA4の領域の輪帯段差をd1
4、開口数NA4からNA5の領域の輪帯段差をd15
とすると、開口数NA1〜NA5と輪帯段差d12〜d
15は、 0.10≦NA1<NA2<NA3<NA4<NA5≦0.65 ・・・(1) の関係を満たすと共に、 0.60×λ1 /(n−1)≦d12≦1.40×λ1 /(n−1) 1.84×λ1 /(n−1)≦d13≦2.16×λ1 /(n−1) 0.88×λ1 /(n−1)≦d14≦1.12×λ1 /(n−1) −0.12×λ1 /(n−1)≦d15≦0.12×λ1 /(n−1) ・・・(2) の関係を満たし、かつ、波長λ1 の対物レンズ入射光に
対する前記の5つの輪帯状屈折曲面各々による集光点位
置が略一致するように、段差をなして隣接する輪帯状屈
折曲面の面形状が相互に異なることを特徴とするもので
ある。
20nm≦λ1 ≦680nm、及び、750nm≦λ2
≦820nmであり、光記録媒体の基板厚さが、t1 =
0.6mm、及び、t2 =1.2mmであり、開口数N
A1〜NA5は、 0.10≦NA1≦0.18 0.19≦NA2≦0.27 0.36≦NA3≦0.42 0.43≦NA4≦0.45 0.45≦NA5≦0.65・・・(3) を満たすと共に、波長λ1 の光束は対物レンズの開口数
略0.6に相当する領域を利用し、波長λ2 の光束は対
物レンズの開口数略0.45に相当する領域を利用する
ことを特徴とするものである。
構成することができる。
成例を示す断面図である。1は対物レンズ、2は対物レ
ンズ1に形成された輪帯状の複数の屈折曲面、3は対物
レンズ1のもう片方の屈折曲面を示す。この輪帯状の複
数の屈折曲面2は、厚さ0.6mmのDVD系光ディス
ク4、及び、厚さ1.2mmのCD系光ディスク5に対
して波面収差が最小となるように設計されている。図1
(a)は、DVD系の光ディスク4にNAが0.6に相
当する光束が集光される様子を示し、図1(b)は、C
D系の厚さ1.2mmの光ディスク5にNAが0.45
に相当する光束が集光される様子を示している。
面図と断面図をそれぞれ図2(a)、(b)に示す。輪
帯状の複数の屈折曲面2は、開口数NAの小さな順にN
A1からNA6に至る6種類の輪帯屈折曲面11〜16
からなる。図3に、屈折曲面2の拡大断面図を示す。対
物レンズ1の回転対称軸と対物レンズ1の屈折面とが交
わる対物レンズ1の頂点に対して、それぞれの複数の屈
折曲面12、13、14、15、16を対称軸まで延長
しその対称軸と交わる対称軸上における面間隔が、d1
2,d13,d14,d15,d16となるような段差
を有する曲面2となっている。
16が形成された例が示されているが、段差d16がな
く、曲面15と曲面16が同一屈折曲面であっても構わ
ない。
状、段差d12〜d16、及び、輪帯半径の分割域は、
各輪帯に入射する光束が波長λ1 でNA=0.6のDV
D系光ディスク、及び、波長λ2 でNA=0.45のC
D系光ディスクに対して、RMS波面収差が1゜以内の
斜入射光束について、それぞれ0.07λ1 以下、及
び、0.07λ2 以下となるように設計する。
対側の対物レンズ屈折曲面2に複数の輪帯状の屈折曲面
11〜16を形成した例が示されているが、光ディスク
4、5側の対物レンズ屈折曲面3に形成されていても構
わない。輪帯境界域の段差による陰を低減するために
は、略平行光束が入射する光ディスク4、5と反対側の
対物レンズ屈折曲面2に形成することが好ましい。
折曲面11〜16の段差d12〜d16、輪帯半径の分
割域及び面形状について以下に記す。
対して、RMS波面収差が0.02λ1 以下となるよう
に設計された段差のない単一曲面2Aと単一曲面3(表
2)を有する対物レンズ1を、厚さ1.2mmのCD系
光ディスク5に用いると、図9に示すような光ディスク
の厚さの相違に起因した球面収差が発生する。この図
は、位相差の断面を表しており、実際には3次元的で周
辺部の盛り上がったドーナツ状で、かつ、環状である。
〜d16により生じる位相ずれが、DVD系の波長λ1
の略整数倍に等しい場合、波長λ1 に対しては、これら
の段差形成に伴う輪帯屈折曲面11〜16通過後の波面
収差の変化はない。このような段差の深さdi(i=1
2〜16)は、対物レンズ1の屈折率をnとすると、次
の式(4)で記述される。
16の段差形成に伴い、次の式(5)に相当した位相差
が発生する。
波面収差を低減するように、段差の輪帯屈折曲面11〜
16の開口数領域と段差の深さdi、すなわち、式
(4)の整数値mを定めればよい。なお、図9に示され
た波長λ2 の波面収差は、上記のように、光ディスク4
から光ディスク5へ切り換えた際の光ディスクの厚さの
相違に起因した波面収差である。
す対物レンズ1の開口数領域に、式(2)で記述される
深さの段差d12〜d15を形成すればよい。さらに、
各輪帯屈折曲面11〜15の開口数領域は、式(3)で
記述される領域範囲であることが好ましい。
16の形成により、各輪帯域の光軸上の焦点位置が段差
の深さdiに相当する量でシフトするため、対物レンズ
1の焦点面位置においては波面収差が劣化する。この各
輪帯屈折面11〜16の光軸上の焦点位置シフトをなく
し、略同一集光点となるように、各輪帯屈折面の曲面形
状を設計することにより、波長λ1 での波面収差劣化を
低減することができる。具体的な設計例は後述の実施例
に示す。
°で入射する波長λ1 の入射光に対する対物レンズ1の
波面収差が0.07λ1 以下になることである。
され仕様の定まった本発明の対物レンズ1は、例えば、
ガラスあるいは樹脂の母材を設計値に対応した面形状を
有する金型を用いて精密成形することにより作製され
る。
要求されるNAが異なり、CD系の光ディスク再生時に
はNAがDVD系のそれより小さく、対物レンズの周辺
部を使用しないように制限することが好ましい。そのた
め、CD系の光ディスク再生時には、対物レンズ1の周
辺部透過光の位相がずれるように光学設計し、光ディス
ク面上に集光しないように収差を発生させることによ
り、実質的に開口制御できる。この場合は、波長選択性
の開口制御フィルタを省くことができ、使用部品の点数
が減らせて好ましい。
帯状屈折曲面2において、DVD系で用いられCD系で
は用いられないNAが0.45〜0.6の領域に対応し
た開口数NA5〜NA6の輪帯曲面16にも段差d16
を形成し、DVD系波長λ1=640nmの光束に対し
ては波面収差を劣化させないが、CD系波長λ2 =78
0nmの光束に対しては光学系のNAが0.45以下の
波面収差に対してNAが0.45〜0.6の波面収差の
差異が大きくなるように段差d16及び曲面を規定すれ
ば、有効な波長選択性の開口制御フィルタとして作用す
る。
ッタ用ホログラム61を形成したホログラム用の基板6
とを単一のホルダー7を用いて一体化した複合体8の構
成例の断面図を図4に示す。ここで、ビームスプリッタ
用ホログラム61は、光ディスクに向かう往路と光ディ
スクから光検出器に向かう復路の光路を分離するための
ものである(図7)。このように対物レンズ1とビーム
スプリッタ用ホログラム61を形成したホログラム用の
基板6とをホルダー7を用いて一体化することで、部品
点数を減らすと共に、小型化や軽量化につながり、さら
には光ヘッド装置の組立が容易になる。
さらにλ/4板等の波長板を一体化することにより、光
ディスクへ向かう光及び光ディスクからの反射戻り光の
偏光特性を制御できて、さらに好ましい。
透過し、CD系の波長光束を反射又は回折するダイクロ
イックフィルターを、このホログラム用の基板6のNA
が0.45〜0.6の輪帯領域に一体化して形成しても
よい。
ズ及びそれをそれを用いた光ヘッド装置の実施例につい
て説明する。ここで使用した2つの半導体レーザの発振
波長は、λ1 =640nmとλ2 =780nmである。
光線追跡に用いた対物レンズのDVD系及びCD系の光
ディスクに対する仕様を表1に示す。
対物レンズについて、波長λ1 =640nm、NA=
0.6のDVD系の光ディスクに対して波面収差が最小
となるように設計した。その対物レンズの断面図を図8
に、その屈折曲面2Aと3の面形状を表2に示す。
して次式(a)で記述される。cは曲率半径Rの逆数、
kは円錐定数、A2 ,A4 ,A6 はそれぞれ2次,4
次,6次の非球面係数である。
項を用いてもよい。
CD系光ディスクに適用したときのRMS波面収差の計
算結果を、入射角0゜〜1゜の平行光の場合について表
3に従来例としてまとめた。DVD系ではNA=0.6
の光束について、CD系ではNA=0.45の光束につ
いての計算結果である。
差が0.033λ2 以下だが、NA=0.45のCD系
の光ディスクでは図9に示すような大きな球面収差が発
生し、マレシャルの基準値0.07λ2 を大幅に超過す
るため、このままでは記録情報の再生ができない。
示したような6輪帯の段差を設定し、DVD系のRMS
波面収差を劣化させないでCD系のRMS波面収差を低
減するように、各輪帯の最小NAと最大NA、段差の深
さdi(i=12〜16)、屈折曲面形状を光線追跡に
より設計した。屈折曲面2の非球面定数は2次の非球面
係数A2 のみを用い、正弦条件を考慮して軸外1゜まで
の斜入射光束に対してもRMS波面収差の劣化が少ない
設計条件とした。
の面形状Zi (r)は次式(b)で記述される。
2の輪帯面形状の仕様を表4にまとめた。屈折曲面3の
仕様は表2と同じである。また、数値は小数点5桁まで
の記載とした。
ク及びCD系光ディスクに適用したときのRMS波面収
差の計算結果を表5にまとめた。
十分満たす低いRMS波面収差が得られた。
5に示す。図9の従来例に対して輪帯状に位相補正され
ることでRMS波面収差が減少している。
レンズにおいて、屈折曲面2として実施例1と同じ最小
・最大NAの輪帯域にDVD系の波長λ1 =640nm
に対して波長の整数倍の位相差に相当する段差の深さd
i(i=12〜16)を形成し、CD系のRMS波面収
差を低減する手法を用いて計算した。その屈折曲面2の
仕様を表6に示す。
ク及びCD系光ディスクに適用したときのRMS波面収
差の計算結果を表7にまとめた。
でマレシャルの基準値0.07λを満たすが、従来例の
DVD系のRMS波面収差が劣化し、実施例1に比べ高
い数値となっている。
劣化させないでCD系のRMS波面収差を低減するよう
に各輪帯の最小・最大NA、段差の深さdi(i=12
〜16)、屈折曲面形状を設計したが、DVD系のRM
S波面収差を許容範囲内で劣化させ、その分CD系のR
MS波面収差をさらに低減するような設計も可能であ
る。その例として、以下に実施例2として設計結果を記
す。
の仕様を表8に、屈折曲面3の仕様を表9に示す。数値
は小数点5桁までの記載とした。
光ディスクに適用したときのRMS波面収差の計算結果
を表10にまとめた。
十分満たす低いRMS波面収差が得られ、実施例1に比
べCD系のRMS波面収差が低減された。
の波面収差を図6に示す。実線は本実施例の輪帯番号1
6の段差Z16がある場合を、点線は段差のない場合を
示す。したがって、NAが0.45以上の領域では、C
D系の波面収差は元々大きな値であるが、上記段差を形
成することによりさらに増大する。このような光束は信
号読み出しに寄与しないため、実効的に開口制御として
働く。
ズの屈折率をn1 とすると、実施例1及び実施例2の何
れにおいても、波長λ1 に対して輪帯12及び14の領
域では略1波長分の光路差に相当する段差λ1 /(n1
−1)が形成され、輪帯13の領域では略2波長分の光
路差に相当する段差2×λ1 /(n1 −1)が形成され
ている。このような輪帯状の段差を形成することによ
り、各輪帯域の光軸上の焦点位置がシフトするが、各輸
帯面の曲面形状を変えることにより、各輪帯域の光軸上
の焦点位置を同一となるようにしてRMS波面収差の劣
化をなくしている。したがって、DVD波長λ1 におけ
る輪帯段差形成に伴うRMS波面収差の劣化は抑制され
る。
て規定される輪帯の段差di(i=12〜16)はλ1
/(n1 −1)の整数倍から若干ずれた(2)式で示さ
れる範囲で、光路差が波長λ1 の整数倍となる。
における対物レンズの屈折率をn2とすると、上記輪帯
状の段差を形成することにより、輪帯12及び14の領
域では、以下の式(6)の1倍、輪帯13の領域では2
倍の、波長λ2 を単位とした光路差が発生する。
1 ≒n2 とおくと、(λ1 /λ2 )×(n2 −1)/
(n1 −1)=0.82となる。すなわち、輪帯段差の
ない場合の波面収差である図9に示した球面収差に対し
て、輪帯12及び14の領域では、(1−0.82)=
0.18λ2 分波面収差を差し引く補正として作用し、
輪帯13の領域では、2×(1−0.82)=0.36
λ2 分波面収差を差し引く補正として作用するため、図
5に示されるような波面収差に改善される。
A1〜NA3は、下記の範囲にあることが、CD波長λ
2 での波面収差を低減する上で好ましい。
グラム6が形成された基板とをホルダー7に一体化し、
光ヘッド装置に組み込んだ構成例を図7に示す。
する高分子液晶の薄膜に格子状の凹凸部を設け、この高
分子液晶の常光屈折率と略等しい屈折率を有する光学的
等方性材料で、高分子液晶の薄膜の凹凸部を充填した偏
光ホログラムを用いた。この偏光ホログラムは、入射す
る光の偏光方向により回折効率が異なるもので、半導体
レーザから光ディスクに向かう往路では高透過率の偏光
方向を利用し、また、復路ではλ/4板62を往復する
ことにより偏光方向を90°回転させ高回折効率の偏光
方向を利用し、光検出器に光を導くことができる。ここ
で用いたλ/4板62は、2つの波長λ1 =640nm
とλ2 =780nmの平均の波長に対する1/4の位相
差波長板とした。
VD系光ディスク用の波長640nmの半導体レーザ7
1Aと、CD系光ディスク用の波長780nmの半導体
レーザ71Bであり、光源出射光はそれぞれのコリメー
トレンズ73A、73Bを透過し、波長選択性プリズム
ミラー74により光軸を一致させ、本発明の対物レンズ
1と偏光ホログラム素子6とがホルダー7に一体化され
た複合素子8を透過する。また、この複合素子8には、
λ/4板62が偏光ホログラム素子6に接合されてい
る。この透過光は、対物レンズ1により光ディスク45
の光情報記録媒体面に集光する。
反射光は再び複合素子8を透過し、偏光ホログラム6に
より光軸がわずかに曲げられ、各光検出器72A、72
Bに到達する。λ/4板62の役割は上記した通りであ
る。
により光ディスク45の光情報記録媒体面のトラック上
に記録されたピットに常時入射光束を集光するために、
複合素子8を光軸方位と光ディスク半径方位に移動可能
な2次元アクチュエータに組み付けて、フォーカシング
及びトラッキング調整が行われる。
レーザを71B、CD系の光ディスク用の半導体レーザ
を71Aとしてもよい。この場合、波長選択性プリズム
ミラー74の反射特性は上記の場合と異なり、波長64
0nmの光を反射することとなる。
た光ヘッド装置を実施例に基づいて説明してきたが、本
発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能であ
る。
系及びCD系の光ディスクの記録再生時に、本発明の対
物レンズ及びそれを用いた光ヘッド装置を用いることに
より、RMS波面収差を安定してマレシャルの基準値以
下の小さな値に維持することが可能となる。これによっ
て、光ディスクからの反射光である情報光のノイズが低
減され、安定した記録再生が可能となる。
ッタ用ホログラムが形成された基板とをホルダーに一体
化することにより、光ヘッド装置の構成部品点数を減ら
すことができ、小型化が実現できる。
いた場合とCD系光ディスクに用いた場合の断面図であ
る。
ある。
の曲面を示す断面図である。
グラムとがホルダーに一体化された一例を示す断面図で
ある。
スクに用いた場合のNAが0.45までの波面収差図で
ある。
スクに用いた場合のNAが0.6までの波面収差図であ
る。
成例を示す概念図である。
場合に発生する波面収差図である。
た輪帯曲面 12…対物レンズの開口数NA1以上NA2以下の領域
に形成された輪帯曲面 13…対物レンズの開口数NA2以上NA3以下の領域
に形成された輪帯曲面 14…対物レンズの開口数NA3以上NA4以下の領域
に形成された輪帯曲面 15…対物レンズの開口数NA4以上NA5以下の領域
に形成された輪帯曲面 16…対物レンズの開口数NA5以上NA6以下の領域
に形成された輪帯曲面 45…光ディスク 61…ビームスプリッタ用ホログラム 62…λ/4板 71A、71B…半導体レーザ 72A、72B…光検出器 73A、73B…コリメートレンズ 74…波長選択性ビームスプリッタ
Claims (1)
- 【請求項1】 2つの波長λ1 とλ2 (λ1 <λ2 )の
レーザ光源からの波面の位相が揃っている光束を集光光
学系によりそれぞれの波長において異なる厚さt1 とt
2 (t1 <t2 )の基板越しに光記録媒体の情報記録面
に集光し、情報記録面上に情報を記録又は情報記録面上
の情報を再生する光ヘッド装置において、集光光学系に
用いられる屈折率nの対物レンズは、入射光束の開口数
の異なる領域に光軸に回転対称な輪帯状の少なくとも5
つの屈折曲面を有すると共に、その境界域で段差をな
し、開口数NA1の中心部の輪帯屈折曲面に対して、開
口数NA1からNA2の領域の輪帯段差をd12、開口
数NA2からNA3の領域の輪帯段差をd13、開口数
NA3からNA4の領域の輪帯段差をd14、開口数N
A4からNA5の領域の輪帯段差をd15とすると、開
口数NA1〜NA5と輪帯段差d12〜d15は、 0.10≦NA1<NA2<NA3<NA4<NA5≦
0.65 の関係を満たすと共に、 0.60×λ1 /(n−1)≦d12≦1.40×λ1
/(n−1) 1.84×λ1 /(n−1)≦d13≦2.16×λ1
/(n−1) 0.88×λ1 /(n−1)≦d14≦1.12×λ1
/(n−1) −0.12×λ1 /(n−1)≦d15≦0.12×λ
1 /(n−1) の関係を満たし、かつ、波長λ1 の対物レンズ入射光に
対する前記の少なくとも5つの輪帯状屈折曲面各々によ
る集光点位置が略一致するように、段差をなして隣接す
る輪帯状屈折曲面の面形状が相互に異なることを特徴と
する対物レンズ。
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