JP2001043567A - 情報記録媒体 - Google Patents

情報記録媒体

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JP2001043567A
JP2001043567A JP11217155A JP21715599A JP2001043567A JP 2001043567 A JP2001043567 A JP 2001043567A JP 11217155 A JP11217155 A JP 11217155A JP 21715599 A JP21715599 A JP 21715599A JP 2001043567 A JP2001043567 A JP 2001043567A
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absorption control
light
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JP11217155A
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Naomasa Nakamura
直正 中村
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Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高い精度で情報を記録・再生することが可能な
相変化型の情報記録媒体を提供すること。 【解決手段】本発明の情報記録媒体1は、光透過性の基
板2と、前記基板2の一方の主面上に形成され、光ビー
ムを照射することにより可逆的に相変化して光学的特性
に変化を生ずる記録膜4と、前記記録膜4上に形成さ
れ、それぞれ光学的特性の異なる複数の材料を均一に混
合してなる混合物を含有する光吸収制御層6と、前記光
吸収制御層6上に形成された反射層7とを具備し、前記
光吸収制御層6は光透過性を有し、前記混合物は実質的
に単一の相を形成することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所定の光を照射す
ることにより光学的特性の変化を生ずる記録膜を有する
情報記録媒体に係り、特に相変化を利用して情報の記録
・消去を繰り返し行うことが可能な情報記録媒体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】相変化型光ディスクは、一般に、透明基
板上に、第1の保護膜、記録膜、第2の保護膜及び反射
層が順次積層された構造を有している。この記録膜は、
透明基板側からレーザビームを照射することにより可逆
的に相変化を生じ、第1及び第2の保護膜によりその蒸
発が防止されている。
【0003】上記相変化型光ディスクへの情報の記録
は、例えば、以下に示すようにして行われる。まず、製
造直後の光ディスクの全面に高強度の光ビームを照射し
て、記録膜を結晶質状態とする。すなわち、記録膜の初
期結晶化を行い、記録膜全面を未記録状態とする。次
に、比較的強度の高いパルス状のレーザ光を記録膜に照
射して記録膜の照射部を溶融させる。記録膜の溶融した
領域は、その後、急冷されて非晶質状態となる。以上の
ようにして、結晶質状態の記録膜に、記録部に相当する
非晶質状態の領域を形成することにより情報の記録が行
われる。
【0004】上述のように、相変化型の光ディスクにお
いては、記録膜の未記録部と記録部とで結晶性が異な
り、したがって、それらの間では光学的特性が異なって
いる。相変化型光ディスクによると、この光学的特性の
違い、より具体的には反射率の差を利用して記録された
情報の再生が行われる。
【0005】このような原理に基づいて再生が行われる
相変化型光ディスクにおいて、未記録部と記録部とのい
ずれが高い反射率を有するかは、記録膜の構造のみで決
定される訳ではなく、各層に用いる材料やその厚さ等に
応じて異なる。図6に、第2の保護層の厚さと反射率と
の関係をグラフにして示す。
【0006】図6に示すデータは、記録膜、保護膜及び
反射層を、GeSbTe系合金、ZnS:SiO2混合
物及びAlでそれぞれ構成した場合に得られるものであ
る。なお、図6において、横軸は第2の保護膜の厚さを
示し、縦軸は光ディスクに再生用のレーザビームを照射
した場合に観測される反射率、及び未記録部と記録部と
での反射率の差を示している。また、曲線111は未記
録部の反射率を示し、曲線112は記録部の反射率を示
し、曲線113はそれらの差を示している。
【0007】図6から明らかなように、反射率変化量の
絶対値は、第2の保護膜の厚さを10〜20nm或いは
140〜150nmとした場合に最大となっている。し
かしながら、反射率の差113は、第2の保護膜の厚さ
を10〜20nmとした場合には正であるのに対し、1
40〜150nmとした場合には負となっている。
【0008】このように第2の保護膜の厚さに応じて未
記録部と記録部と反射率の差が正と負との間で変化する
のは、相変化型光ディスクが上述したように多層構造を
有していることに起因している。すなわち、透明基板か
ら入射したレーザビームは多重反射を生じ、各界面で光
学的な干渉を生ずる。その結果、観測される反射光強度
はその影響を受ける。ここで、光学的干渉条件は、各層
に用いる材料やその厚さ等に影響される。したがって、
相変化型光ディスクにおいて、未記録部と記録部とのい
ずれが高い反射率を有するかは、各層に用いる材料やそ
の厚さ等に応じて異なるのである。
【0009】上述のように、光学的条件のみを考慮する
と、相変化型光ディスクは、未記録部に対して記録部の
反射率が高くなるよう形成されてもよく、未記録部に対
して記録部の反射率が低くなるように形成されてもよ
い。しかしながら、第2の保護膜が厚く形成された場
合、例えば、T.OHTA et al.がJJAP. VOL 128(1989)SUPU
LEMENT 28-3,pp123-128において開示するように、記録
膜から反射層への熱の移動が阻害される。その結果、記
録時に記録膜を急冷することができず、記録特性が劣化
してしまう。そのため、一般に、記録層をGeSbTe
系合金等で構成した場合、第2の保護膜の厚さは10〜
20nm程度に制御されている。すなわち、通常の相変
化型光ディスクは、未記録部に対して記録部の反射率が
低くなるように形成されている。
【0010】以上説明した相変化型光ディスクへの情報
の記録方法としては、マーク長記録方式及びマーク位置
記録方式が知られている。図7を参照しながら、それぞ
れの記録方式について説明する。
【0011】図7(a)は、マーク長記録方式により記
録マークが形成されたトラックを概略的に示す図であ
り、図7(b)は、マーク位置記録方式により記録マー
クが形成されたトラックを概略的に示す図である。図7
(a)に示すように、マーク長記録方式においては、情
報“0”及び“1”は、それぞれ長さの異なる記録マー
ク114,115に対応している。一方、図7(b)に
示すように、マーク位置記録方式においては、記録膜1
17上に形成される記録マーク116はそれぞれ同じ形
状に形成され、隣り合う記録マーク116間での中心位
置の間隔から、情報“0”及び“1”が区別される。
【0012】未記録状態の相変化型光ディスクへの情報
の記録は、これら方式により高い精度で行うことが可能
である。しかしながら、既に情報が記録された相変化型
光ディスクにオーバーライト記録を行う場合、上述した
記録方式、特にマーク長記録方式によると記録の精度が
低下するおそれがある。
【0013】図8に、オーバーライト記録に必要なレー
ザ光のパワーをグラフにして示す。なお、図中、横軸は
時間を示し、縦軸はレーザ光のパワーを示している。図
8に示すように、オーバーライト記録は、消去信号に記
録信号を重畳することにより行われる。すなわち、レー
ザ光のパワーを消去パワー(バイアスパワー)と記録パ
ワーとの間で制御することにより、記録された情報を消
去しつつ、新たな記録を行うことができる。
【0014】このように、オーバーライト記録による
と、レーザ光を照射する領域が未記録状態であるか既に
情報が記録された状態であるかに関わらず、レーザ光の
パワーは消去パワー及び記録パワーの2値間で制御され
る。しかしながら、上述したように、通常、相変化型光
ディスクは未記録部に対して記録部の反射率が低くなる
ように形成される。すなわち、等しい強度のレーザ光が
照射された場合、記録部は未記録部に対してより多くの
光を吸収する。また、未記録部の記録膜は結晶状態にあ
るため、その溶融には潜熱が必要である。
【0015】そのため、記録膜の温度上昇は、記録部に
比べて未記録部の方がより低くなる。その結果、未記録
状態にある領域にオーバーライト記録を行った場合と、
記録状態にある領域にオーバーライト記録を行った場合
とで、記録マークの大きさにばらつきを生ずる。したが
って、上述した記録方式、特に記録マークのエッジ部の
位置が記録された情報と高い相関を有するマーク長記録
方式を用いた場合に、記録の精度が低下するおそれがあ
るのである。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題に鑑
みてなされたものであり、高い精度で情報を記録・再生
することが可能な相変化型の情報記録媒体を提供するこ
とを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するためになされたものであり、光透過性の基板と、こ
の基板の一方の主面上に形成され、光ビームを照射する
ことにより可逆的に相変化して光学的特性に変化を生ず
る記録膜と、この記録膜上に形成され、それぞれ光学的
特性の異なる複数の材料を均一に混合してなる混合物を
含有する光吸収制御層と、この光吸収制御層上に形成さ
れた反射層とを有し、上記光吸収制御層は光透過性を有
し、上記混合物は実質的に単一の相を形成することを特
徴とする情報記録媒体を提供する。
【0018】上述したように、オーバーライト記録時に
おいては、既に情報が記録された領域と未記録の領域と
で記録膜の光吸収率が等しいか、或いは既に情報が記録
された領域に比べ未記録の領域の方が記録膜の光吸収率
が高いことが望ましい。また、再生時においては、記録
部と未記録部との間で反射率の差が大きいことが望まし
い。
【0019】これら要求を満足させるためには、各層の
干渉条件を制御することが必要である。しかしながら、
従来の相変化型光ディスクにおいて各層の干渉条件は、
各層に用いる材料や厚さを制御することのみにより行わ
れる。また、各層に用いる材料等は、一般に、結晶化温
度や融点のような他の特性により制約される。したがっ
て、従来の相変化型光ディスクにおいて、上述した2つ
の要求を同時に満足させることは困難である。
【0020】本発明の情報記録媒体(以下、相変化型光
ディスクという)は光透過性の光吸収制御層を有してい
る。この光吸収制御層は記録膜と反射層との間に設けら
れるため、相変化型光ディスクの光学的な干渉条件に大
きな影響を与える。したがって、光吸収制御層の光学的
特性や厚さ等を制御することにより、所望の干渉条件を
実現することが可能となる。
【0021】このように、本発明においては、光吸収制
御層の屈折率や消衰係数のような光学的特性を所望値に
制御することが必要である。しかしながら、光吸収制御
層を1種の元素で構成した場合、その光学的特性は用い
る元素に固有の値に限定されるため、所望の光学的特性
を得ることができない。
【0022】本発明の相変化型光ディスクにおいて、光
吸収制御層は、それぞれ光学的特性の異なる複数の材料
を含有する。光学的特性の異なる複数の材料を混合した
場合、それにより得られる混合物の光学的特性は、用い
る材料の種類や混合比等に応じて変化する。したがっ
て、上記光吸収制御層を設け、これら材料の種類、それ
らの濃度、及び光吸収制御層の厚さ等を制御することに
より、所望の光学的特性を得ることが可能となる。
【0023】例えば、上記複数の材料の混合物が任意の
組成を有し得る固溶体或いは混晶等である場合、それら
の濃度等を制御することにより所望の光学的特性を有す
る光吸収制御層を得ることができる。また、上記混合物
の組成が金属間化合物のように化学量論比に制限される
場合、上記複数の材料を適宜選択すること等により、所
望の光学的特性を有する光吸収制御層を得ることができ
る。すなわち、記録部と未記録部との間の反射率の差を
十分に高いレベルに維持しつつ、既に情報が記録された
領域における記録膜の光吸収率と未記録の領域における
吸収率との関係を最適化することが可能となる。
【0024】なお、光吸収制御層において上記複数の材
料が相分離している場合においても上述した効果を得る
ことができる。しかしながら、この場合、光吸収制御層
における光学的特性の面内均一性を高い精度で制御する
ことが困難となることがある。
【0025】それに対し、本発明においては、光吸収制
御層を構成する複数の材料として、均一に混合されるこ
とができ且つ実質的に単一の相からなる混合物を形成す
るものが選ばれる。そのため、本発明によると、光学的
特性に関して高い面内均一性を有する光吸収制御層を容
易に且つ高い精度で形成することが可能である。
【0026】このように、本発明の相変化型光ディスク
によると、光吸収制御層の光学的特性を制御することに
より、光ディスクの光学的な干渉条件が制御される。そ
のため、本発明の相変化型光ディスクによると、記録膜
の光吸収率を既に情報が記録された領域と未記録の領域
とで記録膜の光吸収率を等しくすること、或いは記録膜
の光吸収率が既に情報が記録された領域に比べ未記録の
領域において高くなるように制御することができる。ま
た、それと同時に、再生時における記録部と未記録部と
の間で反射率の差を最大値とすることが可能である。し
たがって、本発明の相変化型光ディスクによると、高い
精度で情報を記録・再生することが可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら説明する。
【0028】図1は、本発明の一実施形態に係る相変化
型光ディスクを概略的に示す断面図である。図1におい
て、相変化型光ディスク1は、基板2上に、第1の保護
膜3、記録膜4、第2の保護膜5、光吸収制御層6、及
び反射層7が順次積層された構造を有している。
【0029】上記光ディスク1において、基板2は、ポ
リメチルメタクリレート樹脂やポリカーボネート樹脂等
のプラスチック材料やガラス等のように、光透過性の材
料からなる。
【0030】記録膜4は、光照射により非晶質状態と結
晶質状態との間で可逆的に相変化する材料で構成される
ことが必要である。記録膜4を構成する材料としては、
例えば、GeSbTe系合金のようなカルコゲナイド等
を挙げることができる。
【0031】上記光ディスク1には、通常、記録膜4に
レーザ光等を照射する際に記録膜4が蒸発するのを防止
するために第1及び第2の保護膜3,5が設けられる。
すなわち、上記光ディスク1に第1及び第2の保護膜
3,5を設けることにより、記録膜4の穴明きを防止
し、記録膜4の耐熱保護を図ることができる。第1及び
第2の保護膜3,5に用いられる材料としては、例え
ば、ZnS・SiO2混合物、SiO2、TiO2、及び
Al23等の光透過性の誘電体を挙げることができる。
【0032】なお、後述する光吸収制御層6が十分な耐
熱性を有する場合、光吸収制御層6を保護膜の1つとし
て用いることも可能である。すなわち、この場合、保護
膜5を省略しても、記録膜4を十分に耐熱保護すること
ができる。
【0033】光吸収制御層6は、上述したように光透過
性を有し、それぞれ光学的特性の異なる複数の材料を含
有する。これら複数の材料は、光学的特性が異なり且つ
均一に混合されて実質的に単一の相からなる混合物を形
成するものであれば特に制限はないが、通常は、それぞ
れ単一の元素からなり且つ常温・常圧下で固体の材料で
ある。
【0034】この光吸収制御層6を構成する材料として
は、例えば、GeとSiとの固溶体、GeとSnとの固
溶体、及びGeとSbとの固溶体のように複数の半導体
を含有する固溶体を挙げることができる。光吸収制御層
6をこのような材料で構成した場合、各半導体の濃度等
を制御することにより所望の光学的特性を得ることがで
きる。これについて、図2を参照しながら説明する。
【0035】図2は、GeとSiとの固溶体の組成と、
その固溶体の光学的特性との関係を示すグラフである。
なお、図中、横軸は固溶体中のSi濃度を示し、縦軸は
混合物の屈折率と消衰係数とを示している。また、図
中、曲線11は固溶体の屈折率を示し、曲線12は固溶
体の消衰係数を示している。
【0036】図2に示すように、GeとSiとは任意の
割合で混合され、その混合比に応じて異なる光学的特性
を得ることができる。また、曲線11から明らかなよう
に、固溶体中のSi濃度が比較的低濃度である場合には
Si濃度を高めると屈折率が増加し、曲線12から明ら
かなように、Ge濃度を高めると消衰係数が増加する。
以上から、このような固溶体を用いた場合、各成分の濃
度等を制御することにより所望の光学的特性を有する光
吸収制御層6を得られることが分かる。
【0037】以上の説明は、主に光吸収制御層6の光学
的特性に関するものであるが、その熱的特性も重要であ
る。すなわち、上述したように、この光ディスク1にお
いては、記録膜4にレーザ光等を照射して加熱すること
により情報の記録・再生・消去が行われる。そのため、
当然の如く、光吸収制御層6にも十分な耐熱性が要求さ
れる。
【0038】光吸収制御層6の耐熱性は、上述した光学
的特性と同様に、その組成を変化させることにより制御
することができる。これについては、図3を参照しなが
ら説明する。
【0039】図3は、GeとSiとを含有する固溶体の
組成とこの固溶体の融点との関係を示すグラフである。
図中、横軸は固溶体中のSi濃度を示し、縦軸は固溶体
の融点を示している。なお、Geの融点は940℃であ
り、Siの融点は1412℃である。
【0040】図3から明らかなように、Si濃度を高め
ることにより固溶体の融点は上昇する。したがって、光
吸収制御層6が低融点の材料を含有する場合は、十分な
耐熱性が得られ且つ所望の光学的特性が得られるように
光吸収制御層6の組成を適宜設定することにより、記録
膜4の光吸収率を記録部に比べ未記録部においてより高
く制御することが可能となる。
【0041】以上、光吸収制御層6を複数の半導体を含
有する固溶体で構成する場合について説明したが、光吸
収制御層6は金属と半導体とを含有する合金や複数の金
属を含有する合金で構成することもできる。例えば、光
吸収制御層6を、Al、Co、Cr、Fe、Mn、M
g、Nb、Ni、Pd、Pt及びTi等とSiとからな
るシリサイドで構成することができる。これらシリサイ
ドは金属間化合物であるので、その組成比は化学量論比
に制限されるが、用いる金属の種類を適宜選択すること
により所望の光学的特性を有する光吸収制御層6を得る
ことができる。
【0042】また、上記光ディスク1において、反射層
7に用いられる材料としては、AlやAu等を挙げるこ
とができる。反射層7には、これら金属だけでなく、A
lやAu等を母材としてTi、Mo、Zr、或いはCr
等を含有する合金等も用いることができる。
【0043】以上説明した相変化型光ディスク1は、そ
の構造と光学的特性との間に、例えば以下に示すような
関係を有している。以下、図4を参照しながら説明す
る。
【0044】図4は、光吸収制御層6の屈折率と、光吸
収制御層6の消衰係数と、記録部の光吸収率に対する未
記録部の光吸収率の比である吸収率比との関係を示すグ
ラフである。なお、図4に示すデータは、光ディスク1
が下記構造を有すると仮定してシュミレーションを行う
ことにより得られたものである。すなわち、ここでは、
第1及び第2の保護膜3,5にZnS・SiO2混合物
が用いられ、記録膜4がGeSbTe系合金で構成さ
れ、反射層7がAlで構成される場合を想定している。
また、第1の保護膜3、記録膜4、第2の保護膜5、光
吸収制御層6、及び反射層7の厚さは、それぞれ、80
nm、20nm、5nm、20nm、及び100nmと
する。
【0045】図4において、横軸は光吸収制御層6の屈
折率nを示し、縦軸は光吸収制御層6の消衰係数kを示
している。また、図4において、等高線は吸収率比を示
している。
【0046】図4において、1.00と表示された等高
線から右側の領域では、1.00を超える吸収率比が得
られている。すなわち、光吸収制御層6の屈折率を約
2.5以上とすること、より具体的には、座標(n,
k)が1.00と表示された等高線から右側の領域内に
存在するように光吸収制御層6の屈折率n及び消衰係数
kを設定することにより、記録膜4の光吸収率が、記録
部に比べ未記録部においてより高くなるように制御する
ことが可能となる。
【0047】例えば、光吸収制御層6をGeとSiとの
固溶体で構成する場合を考える。まず、Geの濃度(原
子%)が100%、80%、60%、及び0%である場
合の座標(n,k)を、図2のグラフから得る。次に、
このようにして得られた座標(n,k)を図4のグラフ
に参照する。これにより、下記表1に示す吸収率比がそ
れぞれ得られる。
【0048】
【表1】
【0049】上記表1に示すデータから明らかなよう
に、光吸収制御層6をGeのみ或いはSiのみで構成し
た場合に比べ、GeとSiとの固溶体で構成した場合に
おいて、より高い吸収率比を得ることができる。なお、
上記表1には、ごく一部のデータのみが示されている
が、図2のデータ全てを図4のグラフに参照することに
より、GeとSiとの固溶体中のSi濃度を10〜40
原子%とすることにより、特に高い吸収率比が実現され
ることが分かる。
【0050】なお、図2〜4に示すデータは上述した構
造を有する光ディスク1に特有のものである。したがっ
て、異なる構造を有する光ディスク1に関しては、図2
〜4に示したのとは異なるデータが得られる。
【0051】以上示したように、上記相変化型光ディス
ク1は光吸収制御層6を有している。この光吸収制御層
6は、記録膜4と反射層7との間に設けられるので、光
ディスク1の光学的な干渉条件に大きな影響を与える。
したがって、光吸収制御層6の光学的特性や厚さを制御
することにより、光ディスク1の光学的特性を制御する
ことができる。
【0052】また、上記光ディスク1において、光吸収
制御層6は、それぞれ光学的特性の異なる第1及び第2
の材料を含有している。そのため、第1の材料の種類、
第2の材料の種類、及びそれらの原子比をパラメータと
して用いることにより、光吸収制御層6の光学的特性を
所望値とすることができる。
【0053】このように、上記相変化型光ディスク1に
よると、光吸収制御層6を用いて光ディスク1の光学的
特性を制御するに当り、多くのパラメータを用いること
ができる。したがって、例えば、未記録部と記録部との
間で高いコントラスト比が得られるように未記録部及び
記録部の反射率を制御することと、記録部と未記録部と
に記録用のレーザ光を照射した場合に双方で等しいサイ
ズの記録マークが形成されるように記録部及び未記録部
の光吸収率を制御することとを同時に行うことができ
る。
【0054】したがって、上記相変化型光ディスク1に
よると、高い精度で情報を記録・再生することが可能と
なる。
【0055】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0056】(実施例)以下に示す方法により、図1に
示す光ディスク1を作製した。
【0057】まず、表面に渦巻線状の溝が形成された直
径90mm、厚さ0.6mmのポリカーボネート製円盤
ディスク2上に、真空スパッタリング法を用いて、Zn
SとSiO2との混合物からなる保護膜3を80nmの
厚さに形成した。
【0058】次に、保護膜3上に、真空スパッタリング
法を用いて、GeSbTeからなる記録膜4を20nm
の厚さに形成した。記録膜4中のGe、Sb、Teの原
子比は、2:2:5とした。さらに、記録膜5上に、真
空スパッタリング法を用いて、ZnSとSiO2との混
合物からなる保護膜5を5nmの厚さに形成した。
【0059】その後、保護膜5上に、真空スパッタリン
グ法を用いて、GeとSiとの固溶体からなる光吸収制
御層6を20nmの厚さに形成した。光吸収制御層6の
成膜は、60原子%のGeと40原子%のSiとを含有
するターゲットを用い、このターゲットにRF電力を投
入することにより行った。このようにして成膜した光吸
収制御層6の組成はターゲットの組成とほぼ等しかっ
た。
【0060】なお、光吸収制御層6は、複数のターゲッ
トを用いて形成することもできる。例えば、Geターゲ
ットとSiターゲットとを用いて形成することができ
る。この場合、光吸収制御層6中のGeとSiとの原子
比は、予めGeターゲットのみを用いた場合の成膜速
度、及びSiターゲットのみを用いた場合の成膜速度を
測定し、これらの結果に基づいてそれぞれのターゲット
に投入するRF電力のパワーを調整することにより制御
可能である。
【0061】次に、光吸収制御層6上にAlからなる反
射層7を100nmの厚さに形成した。さらに、ポリカ
ーボネート製円盤ディスク2の反射層7を形成した面
に、直径90mm、厚さ0.6mmのポリカーボネート
製円盤ディスク(図示せず)を紫外線硬化樹脂を用いて
接着した。以上のようにして相変化型光ディスク1を作
製した。この光ディスク1をサンプル(1)とする。
【0062】(比較例)光吸収制御層6にGeとSiと
の固溶体を用いる代わりにSiのみを用いたこと以外は
サンプル(1)と同様にして光ディスク1を作製した。
この光ディスク1をサンプル(2)とする。
【0063】上述した方法により作製したサンプル
(1),(2)の記録・消去特性を図5に示す装置を用
いて調べた。
【0064】図5は、本発明の実施例において用いられ
る光ディスクドライブ装置を概略的に示す図である。図
5に示すように、光ディスク1は、スピンドルモータ3
2の回転軸に保持される。光ディスク1は、スピンドル
モータ32の回転数を制御することにより、所定の回転
数で回転される。
【0065】入力装置36から入力される信号は、変調
回路35において“1”または“0”の信号へとデジタ
ル化される。変調回路35からのデジタル信号はレーザ
ドライバ37へと送られ、光学ヘッド33から出射され
るレーザ光のON/OFFを制御する。これにより、デ
ィスク1上へのデータの書込みが行われる。
【0066】ディスク1に所定のパワーのレーザ光を照
射することにより得られる再生信号は、光学ヘッド33
に接続されたプリアンプ38で増幅される。増幅された
再生信号は、次に2値化回路39において、アナログ信
号からデジタル信号へとデジタル化される。デジタル化
された再生信号は、さらに復調回路40において復調さ
れ、アナログ信号として出力装置41へと出力される。
【0067】なお、図5において、制御系43は、レー
ザドライバ37を介して光学ヘッド33から出射される
レーザ光強度を制御したり、例えば、リニアモータ駆動
制御系46を介してリニアモータ34を駆動することに
より光学ヘッド33を所望の位置に制御するのに用いら
れる。また、制御系43は、フォーカス駆動制御系44
やトラック駆動制御系45を介して、光学ヘッド33に
設けられた対物レンズアクチュエータを駆動することに
より、ディスク1の面振れやトラックの偏心に追従する
ように対物レンズの位置を制御するのに用いられる。
【0068】以上のように構成される光ディスクドライ
ブ装置30を用いてサンプル(1),(2)の記録・消
去特性を測定するのに先立ち、サンプル(1),(2)
の記録膜を、それぞれアルゴンレーザを用いて初期結晶
化した。
【0069】次に、図5に示す光ディスクドライブ装置
30を用い、スピンドルモータ32の回転数を線速度が
8m/sとなるように制御して、サンプル(1),
(2)に情報を記録した。なお、この記録は、記録パワ
ーを12mWとし、記録信号を単一信号とし、その周波
数を2.67MHzとして、記録マーク長が1.5μm
となるように行った。
【0070】さらに、上述したようにして情報を記録し
たサンプル(1),(2)に、光ディスクドライブ装置
30を用いて、オーバーライト記録を行った。なお、記
録パワーは12mWとし、消去パワーは5mWとした。
また、このオーバーライト記録は、記録信号の周波数を
10MHzとして、長さ0.4μmの記録マークが形成
されるように行った。
【0071】以上のようにしてオーバーライト記録を行
ったサンプル(1),(2)について有効消去率を測定
した。下記表にその結果を示す。
【0072】
【表2】
【0073】上記表において、有効消去率とは、長さ
1.5μmの記録マーク上にオーバーライト記録を行う
ことにより形成された長さ0.4μmの記録マークの信
号レベルから、オーバーライトにより完全には消去され
ずに残留した長さ1.5μmの記録マークの信号レベル
を引いたものである。未記録状態にある領域にオーバー
ライト記録を行った場合と、記録状態にある領域にオー
バーライト記録を行った場合とでの記録マークのサイズ
の違いは、有効消去率が大きいほど小さいと考えられ
る。これは、以下の理由による。
【0074】すなわち、記録状態にある領域と未記録状
態にある領域との間で記録膜5の光吸収率が異なる場
合、オーバーライト記録を行う際に、それらの間で温度
上昇に差が生ずる。そのため、長さ0.4μmの記録マ
ークが形成されるような条件下で、長さ1.5μmの記
録マークが形成された領域と未記録状態にある領域とに
オーバーライト記録を行った場合、それらの間で記録マ
ークのサイズに差が生ずる。
【0075】ここで、有効消去率が十分に大きいという
ことは、オーバーライト記録後において、長さ1.5μ
mの記録マークの信号レベルが極めて低いことを意味し
ている。すなわち、オーバーライト記録を行う際に、長
さ1.5μmの記録マークがほぼ完全に消去されたこと
を示している。したがって、有効消去率が十分に大きい
ということは、長さ1.5μmの記録マークが形成され
た領域にオーバーライト記録を行った場合と、未記録状
態にある領域にオーバーライト記録を行った場合とで、
同じサイズの記録マークが形成されたことを示している
といえる。
【0076】一方、有効消去率が小さいということは、
オーバーライト記録後において、長さ1.5μmの記録
マークの信号レベルが高いことを意味している。すなわ
ち、オーバーライト記録を行う際に、長さ1.5μmの
記録マークが完全には消去されず残留したことを示して
いる。したがって、有効消去率が小さいということは、
長さ1.5μmの記録マークが形成された領域にオーバ
ーライト記録を行った場合と、未記録状態にある領域に
オーバーライト記録を行った場合とで、異なるサイズの
記録マークが形成されたことを示しているといえる。
【0077】サンプル(1),(2)の有効消去率を比
較すると、サンプル(1)においてはサンプル(2)に
比べて高い値が得られている。すなわち、本発明の実施
例に係るサンプル(1)によると、従来例に係るサンプ
ル(2)に比べて、記録マークを均一なサイズで形成す
ることができた。したがって、本発明の実施例に係るサ
ンプル(1)によると、マーク長記録を行う場合にマー
ク長のばらつきが低減されるため、高い精度で情報を高
密度に記録することが可能である。
【0078】
【発明の効果】以上示したように、本発明の情報記録媒
体は光吸収制御層を有している。この光吸収制御層は、
記録膜と反射層との間に設けられるので、上記記録媒体
の光学的な干渉条件に大きな影響を与える。したがっ
て、光吸収制御層の光学的特性や厚さを制御することに
より、上記記録媒体の光学的特性を制御することができ
る。また、上記記録媒体において、光吸収制御層は、そ
れぞれ光学的特性の異なる第1及び第2の材料を含有し
ている。そのため、第1の材料の種類、第2の材料の種
類、及びそれらの原子比をパラメータとして用いること
により、光吸収制御層の光学的特性を所望値とすること
ができる。
【0079】したがって、第1の材料の種類、第2の材
料の種類、それらの原子比、及び光吸収制御層の厚さを
制御することにより、上記記録媒体の光学的特性を所望
値とすることができる。すなわち、本発明によると、高
い精度で情報を記録・再生することが可能な相変化型の
情報記録媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報記録媒体を概略
的に示す断面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る情報記録媒体の光吸
収制御層に用いられる固溶体の組成と光学的特性との関
係を示すグラフ。
【図3】本発明の一実施形態に係る情報記録媒体に用い
られる固溶体の組成と光学的特性との関係を示すグラ
フ。
【図4】本発明の一実施形態に係る情報記録媒体におけ
る、光吸収制御層の屈折率と光吸収制御層の消衰係数と
吸収率比との関係を示すグラフ記録膜の厚さと光吸収制
御層の厚さと吸収率比との関係を示すグラフ。
【図5】本発明の実施例において用いられる光ディスク
ドライブ装置を概略的に示す図。
【図6】従来の情報記録媒体における、第2の保護層の
厚さと反射率との関係を示すグラフ。
【図7】(a)はマーク長記録方式を概略的に示す図、
(b)はマーク位置記録方式を概略的に示す図。
【図8】オーバーライト記録に必要なレーザ光のパワー
を示すグラフ。
【符号の説明】
1…相変化型光ディスク ; 2…基板 ; 3,5…
保護膜 4…記録膜 ; 6…光吸収制御層 ; 7…反射層 11,12,111〜113…曲線 ; 30…光ディ
スクドライブ装置 32…スピンドルモータ ; 33…光学ヘッド ;
34…リニアモータ 35…変調回路 ; 36…入力装置 ; 37…レー
ザドライバ 38…プリアンプ ; 39…2値化回路 ; 40…
復調回路 41…出力装置 ; 43…制御系 ; 44…フォー
カス駆動制御系 45…トラック駆動制御系 ; 46…リニアモータ駆
動制御系

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光透過性の基板と、 前記基板の一方の主面上に形成され、光ビームを照射す
    ることにより可逆的に相変化して光学的特性に変化を生
    ずる記録膜と、 前記記録膜上に形成され、それぞれ光学的特性の異なる
    複数の材料を均一に混合してなる混合物を含有する光吸
    収制御層と、 前記光吸収制御層上に形成された反射層とを具備し、 前記光吸収制御層は光透過性を有し、前記混合物は実質
    的に単一の相を形成することを特徴とする情報記録媒
    体。
  2. 【請求項2】 前記複数の材料の少なくとも1つは半導
    体であることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 前記混合物は固溶体を形成することを特
    徴とする請求項1または請求項2に記載の情報記録媒
    体。
  4. 【請求項4】 前記複数の材料の1つはSiであること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報
    記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記光吸収制御層は、実質的にGeとS
    iとの固溶体からなることを特徴とする請求項1に記載
    の情報記録媒体。
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