JP2001042041A - 放射線シンチレータ装置およびその製造方法 - Google Patents
放射線シンチレータ装置およびその製造方法Info
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- JP2001042041A JP2001042041A JP21692799A JP21692799A JP2001042041A JP 2001042041 A JP2001042041 A JP 2001042041A JP 21692799 A JP21692799 A JP 21692799A JP 21692799 A JP21692799 A JP 21692799A JP 2001042041 A JP2001042041 A JP 2001042041A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 製造が容易で、分解能が向上した放射線シン
チレータ装置およびその製造方法を提供すること。 【解決手段】 放射線を可視光に変換する材料を基板面
11に塗布して形成された柱状結晶21のシンチレータ
層12と、このシンチレータ層12の柱状結晶21間に
注入された光吸収材とを具備した放射線シンチレータ装
置において、光吸収材が柱状結晶21間に気体状で拡散
注入されて形成されている。
チレータ装置およびその製造方法を提供すること。 【解決手段】 放射線を可視光に変換する材料を基板面
11に塗布して形成された柱状結晶21のシンチレータ
層12と、このシンチレータ層12の柱状結晶21間に
注入された光吸収材とを具備した放射線シンチレータ装
置において、光吸収材が柱状結晶21間に気体状で拡散
注入されて形成されている。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、検査対象を撮影し
た放射線による画像を可視画像に変換するために使用す
る放射線シンチレータ装置およびその製造方法に関す
る。
た放射線による画像を可視画像に変換するために使用す
る放射線シンチレータ装置およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】放射線シンチレータ装置は、医療診断装
置や非破壊検査装置などにおいて、X線やガンマ線など
の放射線で撮影した画像を可視画像に変換する画像変換
素子として使用されている。このような画像変換素子を
用いて画像変換を行う場合には、ある程度の画質の劣化
は避けられない。一方、医療診断装置や非破壊検査装置
などでは、良好な画質が要求され、画像変換素子には高
い分解能が求められている。そのため、分解能の改善な
ど、画像変換素子に対する画質の改善が重要な課題にな
っている。
置や非破壊検査装置などにおいて、X線やガンマ線など
の放射線で撮影した画像を可視画像に変換する画像変換
素子として使用されている。このような画像変換素子を
用いて画像変換を行う場合には、ある程度の画質の劣化
は避けられない。一方、医療診断装置や非破壊検査装置
などでは、良好な画質が要求され、画像変換素子には高
い分解能が求められている。そのため、分解能の改善な
ど、画像変換素子に対する画質の改善が重要な課題にな
っている。
【0003】ところで、放射線で撮像した画像を可視画
像に変換する方法としては、これまで、いろいろな方法
が実用化されている。その代表的な例として、たとえ
ば、放射線で撮影した画像をスクリーン状の放射線シン
チレータ装置に投射し、放射線シンチレータ装置から出
力される可視光像を増幅し、ビデオ信号として取り出す
方法がある。
像に変換する方法としては、これまで、いろいろな方法
が実用化されている。その代表的な例として、たとえ
ば、放射線で撮影した画像をスクリーン状の放射線シン
チレータ装置に投射し、放射線シンチレータ装置から出
力される可視光像を増幅し、ビデオ信号として取り出す
方法がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】放射線による画像をビ
デオ信号として取り出す場合、従来、イメージインテン
シファイア(以後IIという)とテレビカメラとを組み
合わせた方法が用いられている。この方法は、通常のレ
ンズとCCD撮像素子とを組み合わせた可視光カメラと
比較すると、IIを用いている関係から、IIによる画
質の劣化がある。したがって、IIとテレビカメラとを
組み合わせた方法は、通常の可視光像用のカメラを用い
た場合よりも画像の分解能が低下する。そのため、この
ような分解能の低下を防止するいくつかの方法が提案さ
れている。
デオ信号として取り出す場合、従来、イメージインテン
シファイア(以後IIという)とテレビカメラとを組み
合わせた方法が用いられている。この方法は、通常のレ
ンズとCCD撮像素子とを組み合わせた可視光カメラと
比較すると、IIを用いている関係から、IIによる画
質の劣化がある。したがって、IIとテレビカメラとを
組み合わせた方法は、通常の可視光像用のカメラを用い
た場合よりも画像の分解能が低下する。そのため、この
ような分解能の低下を防止するいくつかの方法が提案さ
れている。
【0005】たとえば、シンチレータ層を蛍光体の柱状
結晶で構成し、そして、隣接する柱状結晶間に光吸収層
を設ける構造(特開昭62−43046号公報参照)、
あるいは、柱状結晶間に光反射物質の粉末を充填する構
造(特開昭59−121733号公報参照)などであ
る。
結晶で構成し、そして、隣接する柱状結晶間に光吸収層
を設ける構造(特開昭62−43046号公報参照)、
あるいは、柱状結晶間に光反射物質の粉末を充填する構
造(特開昭59−121733号公報参照)などであ
る。
【0006】このような構造の放射線シンチレータ装置
は、光学的界面の機能が強調され、分解能が改善する。
しかし、シンチレータ層の柱状結晶の大きさが、要求さ
れる分解能(20〜50lp/cm、または、250〜
100μm)よりも十分小さいことが必要で、たとえば
50μm以下に設定される。また、放射線の吸収効率を
上げるために、ある程度の緻密性も必要とされる。この
ため、柱状結晶間の隙間も1μm以下と狭くなってい
る。
は、光学的界面の機能が強調され、分解能が改善する。
しかし、シンチレータ層の柱状結晶の大きさが、要求さ
れる分解能(20〜50lp/cm、または、250〜
100μm)よりも十分小さいことが必要で、たとえば
50μm以下に設定される。また、放射線の吸収効率を
上げるために、ある程度の緻密性も必要とされる。この
ため、柱状結晶間の隙間も1μm以下と狭くなってい
る。
【0007】しかし、柱状結晶の大きさが小さく、同時
に、緻密性の高い構造を持つシンチレータ層の場合、光
吸収層の製造が容易でなく、分解能を向上させた放射線
シンチレータ装置の実現が困難になっている。
に、緻密性の高い構造を持つシンチレータ層の場合、光
吸収層の製造が容易でなく、分解能を向上させた放射線
シンチレータ装置の実現が困難になっている。
【0008】本発明は、上記した欠点を解決し、製造が
容易で、分解能が向上した放射線シンチレータ装置およ
びその製造方法を提供することを目的とする。
容易で、分解能が向上した放射線シンチレータ装置およ
びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、放射線を可視
光に変換する材料を基板面に塗布して形成した柱状結晶
のシンチレータ層と、このシンチレータ層の前記柱状結
晶間に注入した光吸収材とを具備した放射線シンチレー
タ装置において、前記光吸収材を、前記柱状結晶間に気
体状で拡散注入して形成したことを特徴としている。
光に変換する材料を基板面に塗布して形成した柱状結晶
のシンチレータ層と、このシンチレータ層の前記柱状結
晶間に注入した光吸収材とを具備した放射線シンチレー
タ装置において、前記光吸収材を、前記柱状結晶間に気
体状で拡散注入して形成したことを特徴としている。
【0010】また、本発明の放射線シンチレータ装置の
製造方法は、放射線を可視光に変換する材料を基板面に
塗布して柱状結晶のシンチレータ層を形成する第1工程
と、前記基板および前記シンチレータ層を加温し、前記
シンチレータ層の前記柱状結晶間に光吸収材の原料を気
体状で拡散注入する第2工程とからなっている。
製造方法は、放射線を可視光に変換する材料を基板面に
塗布して柱状結晶のシンチレータ層を形成する第1工程
と、前記基板および前記シンチレータ層を加温し、前記
シンチレータ層の前記柱状結晶間に光吸収材の原料を気
体状で拡散注入する第2工程とからなっている。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を説明する前
に、まず、放射線による画像を可視画像に変換するシン
チレータ層の光学的界面に、光吸収材を形成する本発明
の方法について説明する。
に、まず、放射線による画像を可視画像に変換するシン
チレータ層の光学的界面に、光吸収材を形成する本発明
の方法について説明する。
【0012】物質には蒸気圧という物性がある。蒸気圧
はその物質の温度だけで決まり、周囲の自分自身の分圧
や、異種物質の分圧の影響をほとんど受けない。また、
蒸気圧は、その物質が蒸発もしくは昇華により、固体も
しくは液体から気体に変化する速さの尺度としても用い
られている。
はその物質の温度だけで決まり、周囲の自分自身の分圧
や、異種物質の分圧の影響をほとんど受けない。また、
蒸気圧は、その物質が蒸発もしくは昇華により、固体も
しくは液体から気体に変化する速さの尺度としても用い
られている。
【0013】そして、1つの成分の気体物質と固体物質
が混在する系では、ある温度における固体の蒸気圧がp
で、気体の分圧Pがそれより高い場合(P>p)、周囲
の物質が昇華して新たに固体物質が析出する。逆に、P
<pである場合、固体が昇華して気化する。P=pの場
合は平衡し、固体化と気体化の昇華速度が等しくなり、
見かけ上、各相の量は変化しない。
が混在する系では、ある温度における固体の蒸気圧がp
で、気体の分圧Pがそれより高い場合(P>p)、周囲
の物質が昇華して新たに固体物質が析出する。逆に、P
<pである場合、固体が昇華して気化する。P=pの場
合は平衡し、固体化と気体化の昇華速度が等しくなり、
見かけ上、各相の量は変化しない。
【0014】また、蒸気圧は温度が高いほど高くなる。
この性質を利用すれば、シンチレータ層の面方向の光学
的界面が1μm以下であっても、光吸収材を容易に注入
できる。たとえば、シンチレータ層を光吸収材の原料の
蒸気中に曝し、そして、シンチレータ層自身も、その表
面に光吸収材の原料が付着しない程度に加温する。この
ようにすれば、シンチレータ層の表面において、光吸収
材の蒸気に十分な蒸気圧が得られ、シンチレータ層の隙
間に入り込む前での昇華が防止される。その結果、光吸
収材がシンチレータ層の光学的界面内に良好に注入され
る。
この性質を利用すれば、シンチレータ層の面方向の光学
的界面が1μm以下であっても、光吸収材を容易に注入
できる。たとえば、シンチレータ層を光吸収材の原料の
蒸気中に曝し、そして、シンチレータ層自身も、その表
面に光吸収材の原料が付着しない程度に加温する。この
ようにすれば、シンチレータ層の表面において、光吸収
材の蒸気に十分な蒸気圧が得られ、シンチレータ層の隙
間に入り込む前での昇華が防止される。その結果、光吸
収材がシンチレータ層の光学的界面内に良好に注入され
る。
【0015】この場合、光吸収材の原料としては、あま
り温度を上げなくても蒸気圧が十分に高いものが適して
いる。たとえば、温度が高くなると、光吸収材がシンチ
レータ層の結晶内部にまで拡散し、シンチレータ層の放
射線から可視光への変換効率が低下する。
り温度を上げなくても蒸気圧が十分に高いものが適して
いる。たとえば、温度が高くなると、光吸収材がシンチ
レータ層の結晶内部にまで拡散し、シンチレータ層の放
射線から可視光への変換効率が低下する。
【0016】しかし、X線用IIのような真空管の場
合、蒸気圧が高い物質は、真空管の中で再蒸発するとい
う問題がある。また、蒸気圧が高い物質は、耐酸化や吸
湿性など化学的に不安定なものが多い。そのため、蒸気
圧が高い物質をそのままシンチレータ層の中に残すこと
ができない。したがって、シンチレータ層の光学的界面
に注入された後に、化学的な処理などにより安定な光吸
収材となる物質が望まれる。この場合、光吸収材となる
原料には必ずしも光吸収性が要求されず、それだけ材料
の選択の幅が広がる。
合、蒸気圧が高い物質は、真空管の中で再蒸発するとい
う問題がある。また、蒸気圧が高い物質は、耐酸化や吸
湿性など化学的に不安定なものが多い。そのため、蒸気
圧が高い物質をそのままシンチレータ層の中に残すこと
ができない。したがって、シンチレータ層の光学的界面
に注入された後に、化学的な処理などにより安定な光吸
収材となる物質が望まれる。この場合、光吸収材となる
原料には必ずしも光吸収性が要求されず、それだけ材料
の選択の幅が広がる。
【0017】本発明者は、上記した特性を考慮し、光吸
収材となる原料として、たとえば塩化鉄(FeCl3 )
を見出した。図3は塩化鉄の蒸気圧曲線を示している。
横軸は温度(℃)、縦軸は圧力(TORR)である。図
3から分かるように、塩化鉄の蒸気圧は、90℃以下で
は10-5TORRで、真空中でもあまり昇華しない。逆
に、塩化鉄の蒸気は90℃以下の部分に付着しやすい性
質がある。一方、150℃では10-2TORR以上とな
り、真空中では活発に昇華する。逆に、150℃以上の
部分に付着しても昇華(析出)しにくい性質がある。ま
た、空気中で120℃で熱処理すると容易に酸化し、安
定な酸化鉄になる。酸化鉄は、空気中ではFe2 O3
(茶色)ができやすいが、Fe3 O4 (黒色)でも光吸
収材として利用できる。
収材となる原料として、たとえば塩化鉄(FeCl3 )
を見出した。図3は塩化鉄の蒸気圧曲線を示している。
横軸は温度(℃)、縦軸は圧力(TORR)である。図
3から分かるように、塩化鉄の蒸気圧は、90℃以下で
は10-5TORRで、真空中でもあまり昇華しない。逆
に、塩化鉄の蒸気は90℃以下の部分に付着しやすい性
質がある。一方、150℃では10-2TORR以上とな
り、真空中では活発に昇華する。逆に、150℃以上の
部分に付着しても昇華(析出)しにくい性質がある。ま
た、空気中で120℃で熱処理すると容易に酸化し、安
定な酸化鉄になる。酸化鉄は、空気中ではFe2 O3
(茶色)ができやすいが、Fe3 O4 (黒色)でも光吸
収材として利用できる。
【0018】上記した塩化鉄の性質を考慮し、たとえ
ば、シンチレータ層の光学的界面に光吸収材を注入する
注入工程では、シンチレータ層の温度を、光学的界面の
蒸気の入り口に相当する部分は120〜200℃に設定
する。また、入り口と反対側の部分、すなわち基板に接
する部分は85〜120℃に設定する。このような条件
にすれば、光吸収材の蒸気が光学的界面に染み込み、か
つ、温度が低い光学的界面の奥深い所で昇華(析出)さ
せることができる。その結果、光吸収材が、放射線シン
チレータの光学的界面内に十分に注入される。
ば、シンチレータ層の光学的界面に光吸収材を注入する
注入工程では、シンチレータ層の温度を、光学的界面の
蒸気の入り口に相当する部分は120〜200℃に設定
する。また、入り口と反対側の部分、すなわち基板に接
する部分は85〜120℃に設定する。このような条件
にすれば、光吸収材の蒸気が光学的界面に染み込み、か
つ、温度が低い光学的界面の奥深い所で昇華(析出)さ
せることができる。その結果、光吸収材が、放射線シン
チレータの光学的界面内に十分に注入される。
【0019】ここで、本発明の実施形態について図1を
参照して説明する。図1は、シンチレータ層の光学的界
面に光吸収材を形成する製造工程の一部を断面で示して
いる。
参照して説明する。図1は、シンチレータ層の光学的界
面に光吸収材を形成する製造工程の一部を断面で示して
いる。
【0020】符号11はAl基板で、Al基板11にシ
ンチレータ層12が付着している。また、Al基板11
に接して冷却板13が配置され、シンチレータ層12に
接してグラファイト蒸気拡散板14が配置されている。
冷却板13およびグラファイト蒸気拡散板14は、シン
チレータ層12の両面の温度を制御する機能を有してい
る。そして、グラファイト蒸気拡散板14に接して容器
15が配置されている。容器15は、グラファイト蒸気
拡散板14と接する部分に空間15aが形成され、その
空間15aに、光吸収材の原料、たとえば塩化鉄16が
収納されている。
ンチレータ層12が付着している。また、Al基板11
に接して冷却板13が配置され、シンチレータ層12に
接してグラファイト蒸気拡散板14が配置されている。
冷却板13およびグラファイト蒸気拡散板14は、シン
チレータ層12の両面の温度を制御する機能を有してい
る。そして、グラファイト蒸気拡散板14に接して容器
15が配置されている。容器15は、グラファイト蒸気
拡散板14と接する部分に空間15aが形成され、その
空間15aに、光吸収材の原料、たとえば塩化鉄16が
収納されている。
【0021】ここで、図1の円R内を拡大した構造を図
2に示している。図2では、図1に対応する部分には同
一の符号を付し、重複する説明を一部省略する。シンチ
レータ層12は、NaIを付活したCsI(沃化セシウ
ム)の蛍光体で形成され、Al基板11への塗布によっ
て形成されている。また、膜厚tは500μmで、直径
Dが8μmの柱状結晶21が、Al基板11面の広がり
に合わせて密に並んだ構造をしている。柱状結晶21間
には光学的界面22が形成されている。
2に示している。図2では、図1に対応する部分には同
一の符号を付し、重複する説明を一部省略する。シンチ
レータ層12は、NaIを付活したCsI(沃化セシウ
ム)の蛍光体で形成され、Al基板11への塗布によっ
て形成されている。また、膜厚tは500μmで、直径
Dが8μmの柱状結晶21が、Al基板11面の広がり
に合わせて密に並んだ構造をしている。柱状結晶21間
には光学的界面22が形成されている。
【0022】そして、図1のように配置された構造全体
が、内部が真空になった真空槽中に配置される。そし
て、真空槽内を200℃に加温する。このとき、光吸収
材の原料16が蒸発し、グラファイト蒸気拡散板14を
通り抜け外部へ出て行く。そして、光吸収材の原料16
の一部がシンチレータ層12に当たり、光学的界面22
に拡散していく。この時点では、全体の温度が高いた
め、光吸収材の原料16はどこにも昇華(析出)しな
い。
が、内部が真空になった真空槽中に配置される。そし
て、真空槽内を200℃に加温する。このとき、光吸収
材の原料16が蒸発し、グラファイト蒸気拡散板14を
通り抜け外部へ出て行く。そして、光吸収材の原料16
の一部がシンチレータ層12に当たり、光学的界面22
に拡散していく。この時点では、全体の温度が高いた
め、光吸収材の原料16はどこにも昇華(析出)しな
い。
【0023】次に、冷却板13の温度を下げ、5時間か
けて80℃にする。このとき、初期は光学的界面の奥深
くで原料16が昇華(析出)する。その後、全体の温度
が低下するに伴い、表面側でも昇華(析出)するように
なる。
けて80℃にする。このとき、初期は光学的界面の奥深
くで原料16が昇華(析出)する。その後、全体の温度
が低下するに伴い、表面側でも昇華(析出)するように
なる。
【0024】次に、全体の温度を下げ、原料16の蒸気
の発生が止まり作業が終了する。
の発生が止まり作業が終了する。
【0025】次に、光学的界面部分の原料16が昇華し
たシンチレータ層12の付着している基板11をアニー
ル炉に入れ、120℃、5時間乾燥し、空気中でアニー
ルした。このとき、原料16が酸化され、シンチレータ
層12は深さ方向全体に亙って茶色に着色した。
たシンチレータ層12の付着している基板11をアニー
ル炉に入れ、120℃、5時間乾燥し、空気中でアニー
ルした。このとき、原料16が酸化され、シンチレータ
層12は深さ方向全体に亙って茶色に着色した。
【0026】上記した方法で製造した放射線シンチレー
ション装置の分解能を評価した。その結果、医療診断に
最低必要とされる20lp/cmでのCTF(Contrast
Transfer Function)値が、従来は35〜40%であっ
たのに対し、発明では70%と大幅に改善されていた。
また、発明の放射線シンチレーション装置をX線用II
の入力蛍光面として用いた。このとき、入力面の像径が
240mm、出力面の像径が25mmの場合で、従来の
分解能が56lp/cmであったものが、発明では62
lp/cmに向上した。
ション装置の分解能を評価した。その結果、医療診断に
最低必要とされる20lp/cmでのCTF(Contrast
Transfer Function)値が、従来は35〜40%であっ
たのに対し、発明では70%と大幅に改善されていた。
また、発明の放射線シンチレーション装置をX線用II
の入力蛍光面として用いた。このとき、入力面の像径が
240mm、出力面の像径が25mmの場合で、従来の
分解能が56lp/cmであったものが、発明では62
lp/cmに向上した。
【0027】なお、上記した放射線シンチレーション装
置をX線用IIの入力蛍光面として用いる場合、放射線
シンチレーション装置をX線用IIの真空容器の入力窓
の内側に配置してもよく、また、シンチレーション層が
形成された基板を入力窓として利用することもできる。
また、柱状結晶間の光学的界面に光吸収材の原料を気体
状で拡散注入させる方法であるため、光吸収材の製造も
容易である。
置をX線用IIの入力蛍光面として用いる場合、放射線
シンチレーション装置をX線用IIの真空容器の入力窓
の内側に配置してもよく、また、シンチレーション層が
形成された基板を入力窓として利用することもできる。
また、柱状結晶間の光学的界面に光吸収材の原料を気体
状で拡散注入させる方法であるため、光吸収材の製造も
容易である。
【0028】なお、上記した実施形態では、光吸収材の
原料として、塩化鉄を使用している。しかし、光吸収材
の原料としては、沃化タンタル(TaI5 )や塩化タン
タル(TaCl5 )、塩化チタン(TiCl4 )、沃化
チタン(TiI4 )、塩化ジルコニウム(ZrC
l4 )、塩化水銀(HgCl2 )、臭化水銀(HgBr
2 )、沃化水銀(HgI2 )などを用いることもでき
る。なお、材料の安定性や毒性、酸化物の光吸収性など
を考えた場合、塩化鉄がより良好な特性となっている。
原料として、塩化鉄を使用している。しかし、光吸収材
の原料としては、沃化タンタル(TaI5 )や塩化タン
タル(TaCl5 )、塩化チタン(TiCl4 )、沃化
チタン(TiI4 )、塩化ジルコニウム(ZrC
l4 )、塩化水銀(HgCl2 )、臭化水銀(HgBr
2 )、沃化水銀(HgI2 )などを用いることもでき
る。なお、材料の安定性や毒性、酸化物の光吸収性など
を考えた場合、塩化鉄がより良好な特性となっている。
【0029】また、上記した実施形態では、柱状結晶間
に注入された光吸収材の原料を化学的変化として酸化さ
せ、安定な光吸収材に変化させている。しかし、この場
合、化学的変化として窒化させ、安定な光吸収材に変化
させることもできる。
に注入された光吸収材の原料を化学的変化として酸化さ
せ、安定な光吸収材に変化させている。しかし、この場
合、化学的変化として窒化させ、安定な光吸収材に変化
させることもできる。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、製造が容易で、分解能
が向上した放射線シンチレータ装置およびその製造方法
を実現できる。
が向上した放射線シンチレータ装置およびその製造方法
を実現できる。
【図1】本発明の実施形態を説明するための概略の断面
図である。
図である。
【図2】図1の円R内を拡大した拡大図である。
【図3】塩化鉄の蒸気圧曲線を示す特性図である。
11…基板 12…シンチレータ層 13…冷却板 14…グラファイト蒸気拡散板 15…容器 15a…容器の空間 16…光吸収材の原料 21…シンチレータ層を構成する柱状結晶 22…柱状結晶間の光学的界面
Claims (8)
- 【請求項1】 放射線を可視光に変換する材料を基板面
に塗布して形成した柱状結晶のシンチレータ層と、この
シンチレータ層の前記柱状結晶間に注入した光吸収材と
を具備した放射線シンチレータ装置において、前記光吸
収材を、前記柱状結晶間に気体状で拡散注入して形成し
たことを特徴とする放射線シンチレータ装置。 - 【請求項2】 放射線を可視光に変換する材料を基板面
に塗布して形成した柱状結晶のシンチレータ層と、この
シンチレータ層の前記柱状結晶間に注入した光吸収材と
を具備した放射線シンチレータ装置において、前記光吸
収材を、光吸収材の原料を前記柱状結晶間に気体状で拡
散注入し、前記光吸収材の原料を化学的処理で変化させ
て形成したことを特徴とする放射線シンチレータ装置。 - 【請求項3】 光吸収材の原料が塩化鉄、または、沃化
タンタル、塩化タンタル、塩化チタン、沃化チタン、塩
化ジルコニウム、塩化水銀、臭化水銀、沃化水銀のいず
れかである請求項2記載の放射線シンチレータ装置。 - 【請求項4】 放射線を可視光に変換する材料を基板面
に塗布して柱状結晶のシンチレータ層を形成する第1工
程と、前記基板および前記シンチレータ層を加温し、前
記シンチレータ層の前記柱状結晶間に光吸収材の原料を
気体状で拡散注入する第2工程とからなる放射線シンチ
レータ装置の製造方法。 - 【請求項5】 放射線を可視光に変換する材料を基板面
に塗布して柱状結晶のシンチレータ層を形成する第1工
程と、前記基板および前記シンチレータ層を加温し、前
記シンチレータ層の前記柱状結晶間に光吸収材の原料を
気体状で拡散注入する第2工程と、前記シンチレータ層
の柱状結晶間に注入された前記光吸収材の原料を化学的
処理し、光吸収材に変化させる第3工程とからなる放射
線シンチレータ装置の製造方法。 - 【請求項6】 光吸収材の原料が、塩化鉄、または、沃
化タンタル、塩化タンタル、塩化チタン、沃化チタン、
塩化ジルコニウム、塩化水銀、臭化水銀、沃化水銀のい
ずれかである請求項4または請求項5記載の放射線シン
チレータ装置の製造方法。 - 【請求項7】 第2工程において、基板の温度をシンチ
レータ層の表面温度よりも低くした請求項4または請求
項5記載の放射線シンチレータ装置の製造方法。 - 【請求項8】 第2工程において、基板の温度が85〜
150℃の範囲で、シンチレータ層の表面温度が120
〜200℃の範囲である請求項4または請求項5記載の
放射線シンチレータ装置の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21692799A JP2001042041A (ja) | 1999-07-30 | 1999-07-30 | 放射線シンチレータ装置およびその製造方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP21692799A JP2001042041A (ja) | 1999-07-30 | 1999-07-30 | 放射線シンチレータ装置およびその製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
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ID=16696121
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JP21692799A Pending JP2001042041A (ja) | 1999-07-30 | 1999-07-30 | 放射線シンチレータ装置およびその製造方法 |
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---|---|
JP (1) | JP2001042041A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008286785A (ja) * | 2007-04-18 | 2008-11-27 | Canon Inc | 放射線検出装置及び放射線検出システム |
US9269741B2 (en) | 2010-09-07 | 2016-02-23 | Konica Minolta Medical & Graphic, Inc. | Production method of radiation image detector and radiation image detector |
-
1999
- 1999-07-30 JP JP21692799A patent/JP2001042041A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008286785A (ja) * | 2007-04-18 | 2008-11-27 | Canon Inc | 放射線検出装置及び放射線検出システム |
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JP5966925B2 (ja) * | 2010-09-07 | 2016-08-10 | コニカミノルタ株式会社 | 放射線画像検出器の製造方法 |
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