JP2001040611A - 路面用液体散布装置 - Google Patents

路面用液体散布装置

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JP2001040611A
JP2001040611A JP11216910A JP21691099A JP2001040611A JP 2001040611 A JP2001040611 A JP 2001040611A JP 11216910 A JP11216910 A JP 11216910A JP 21691099 A JP21691099 A JP 21691099A JP 2001040611 A JP2001040611 A JP 2001040611A
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Norio Meshida
紀雄 召田
Michitoku Suda
道徳 須田
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Nichireki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アスファルトやアスファルト乳剤などの瀝青
材料や、その他の舗装用液体材料を均一にムラなく散布
することができる路面用液体散布装置、並びにそのよう
な路面用液体散布装置を備えた作業車を提供することを
課題とする。 【解決手段】 直線状に配置された複数個のスプレーノ
ズルからなるスプレーノズル列を複数本備え、その複数
本のスプレーノズル列のうち少なくとも1本のスプレー
ノズル列におけるスプレーノズルの噴射角度が他のスプ
レーノズル列におけるスプレーノズルの噴射角度とは異
なっている路面用液体散布装置、及び、そのような路面
用液体散布装置を備えた作業車を提供することによって
上記課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、路面用液体散布装
置に関し、詳しくは、結合材などの舗装用液体材料を均
一に散布することのできる路面用液体散布装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】道路舗装を行うに際しては、アスファル
トやアスファルト乳剤などの瀝青材料をプライマーや結
合材などとして路面上に散布する場合があるが、従来、
これらの液体材料を路面上に散布するに当たっては、例
えば、アスファルトディストリビューターなどの作業車
を用いて、路面上に散布することが行われている。作業
車には、通常、作業車の進行方向と直交する方向に直線
状に配置された複数のスプレーノズルが備えられてお
り、それらのスプレーノズルから液体材料が噴射され、
路面上に散布される。
【0003】このような液体材料の散布は均一に行われ
るのが望ましく、そのため、従来は、使用する複数のス
プレーノズルの噴射特性を可能な限り揃えたり、隣接す
るスプレーノズルからの散布領域を互いに一部重複させ
るなどして、個々のスプレーノズルの持つ特性の変動を
打ち消し合う試みが為されている。しかしながら、市販
の規格品のスプレーノズルを使用することや、故障等が
原因でスプレーノズルを一部取り替えたりする場合があ
ることを考えると、使用する複数のスプレーノズルの噴
射特性を全く同じに揃えることには限界がある。また、
隣接するスプレーノズルからの散布領域を一部重複させ
るにしても、スプレーノズル自体の大きさや、スプレー
ノズルが取り付けられるスプレーバーの太さなどによる
制約があり、スプレーノズルの配置間隔を無闇に狭くす
ることもできないので、二重或いは三重に重複させるの
が精々であった。隣接するスプレーノズルからの散布領
域の重複が二重或いは精々三重であると、使用する液体
材料の種類や散布環境などにも依るが、均一な散布を実
現することはややもすれば難しく、その結果、散布ムラ
が生じ、その散布ムラが、作業車の進行方向に沿った散
布済み領域における複数本の筋として観察されることが
多かった。
【0004】このような散布ムラは、瀝青材料をプライ
ムコートやタックコートとして単位面積当たりに比較的
多量に散布する場合や、或いは、それらの散布面上にア
スファルト混合物などを厚く敷き均す場合には、それほ
ど問題となるものではないが、例えば、シールコートや
アーマーコートのように、施工後の散布・処理面上にア
スファルト混合物等を舗設せず、その散布・処理面を直
接そのままの状態で長期間交通に供するような場合や、
更には、散布式表面処理工法などのように、路面上に結
合材を単位面積当たり比較的少量だけ散布し、その上か
ら骨材を散布して表面処理層を構築するような場合に
は、思わぬ障害をもたらすことがある。特に、散布式表
面処理工法においては、骨材は、路面上に散布された結
合材によって路面に結合されるので、結合材の散布にム
ラがあって、例えば、結合材の散布量が少なすぎる箇所
があると、その箇所では骨材と路面との結合力が弱くな
り、車両の通行等によって骨材が飛散し、構築された表
面処理層が破壊されてしまう恐れがある。また、逆に、
結合材の散布量が多すぎる箇所があると、その箇所で
は、散布された骨材層の上面にまで結合材が浮き出し、
美観を損なうばかりでなく、路面がフラッシュし、著し
く滑りやすくなって、スリップの原因ともなる。更に
は、施工方向に対して直角となる方向に散布量の多い・
少ないの不均一性があると、結合材が施工方向に筋撒き
状態となってしまい、表面処理面が縞模様となってしま
うという欠点がある。
【0005】また、近年は、舗装材料の技術革新に伴
い、微粉入りの液体材料や、高粘度液体材料等、種々の
機能性液体材料が開発されているが、これらの機能性液
体材料の散布においては、均一な機能発現のためには均
一な散布が不可欠であるが、従来、このような従前にな
いレベルでの散布の均一性の要求を満たす路面用液体散
布装置は存在しなかった。
【0006】
【発明の解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な従来技術の欠点を解決するために為されたもので、ア
スファルトやアスファルト乳剤などの瀝青材料や、その
他の舗装用液体材料を均一にムラなく散布することがで
きる路面用液体散布装置、並びにそのような路面用液体
散布装置を備えた作業車を提供することを課題とするも
のである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らの調査したと
ころによれば、使用するスプレーノズルの特性を揃える
ことには限界があり、全く同一特性のスプレーノズルを
複数個調達することは困難であること、また、単一のス
プレーノズルから噴射される液体材料の噴射密度も完全
に均一ではなく位置的なムラがあり、単一のスプレーノ
ズルについて見ても散布領域の全体に渡って均一な散布
が行われていないことが判明した。例えば、図7に示す
ように、単一のスプレーノズルからの散布量にも位置的
なばらつきがある。なお、図7において符号3はスプレ
ーノズルであり、2はスプレーバーを、4は噴射パター
ンを、Nは散布位置を、Pは散布量を、それぞれ示して
いる。そこで、このような複数のスプレーノズル間、及
び、単一のスプレーノズルにおける散布の不均一性を解
消し、市販の規格品のスプレーノズルを使用して、例え
ば散布式表面処理工法や機能性液体材料の散布などにお
いて求められる従来にないレベルでの散布の均一性を実
現すべく研究を重ねた結果、複数のスプレーノズルから
なるスプレーノズル列を複数本使用し、それらのスプレ
ーノズル列のうち、少なくとも1本は、スプレーノズル
の噴射角度を他のスプレーノズル列と異ならせることに
よって、今までにないレベルで液体材料を均一に散布す
ることができることを見出して本発明を完成した。
【0008】即ち、本発明は、直線状に配置された複数
個のスプレーノズルからなるスプレーノズル列を複数本
備え、その複数本のスプレーノズル列のうち少なくとも
1本のスプレーノズル列におけるスプレーノズルの噴射
角度が他のスプレーノズル列におけるスプレーノズルの
噴射角度とは異なっている路面用液体散布装置、及び、
そのような路面用液体散布装置を備えた作業車を提供す
ることによって上記課題を解決するものである。
【0009】本発明の路面用液体散布装置によれば、複
数本存在するスプレーノズル列のうち、少なくとも1本
のスプレーノズル列におけるスプレーノズルの噴射角
度、すなわち、スプレーノズルから噴射される液体材料
の広がり角度は、他のスプレーノズル列におけるスプレ
ーノズルの噴射角度とは異なっている。こうすることに
よって、本発明の路面用液体散布装置においては、全て
のスプレーノズル列に特性に微妙な差異のある市販規格
品のスプレーノズルを使用する場合でも、個々のスプレ
ーノズルの特性の差異は分散され、また、他のスプレー
ノズルの有する不均一性と相殺されて、液体材料を均一
に散布することが容易となる。また、その際、隣接する
スプレーノズル間で、液体材料の散布領域を二重乃至は
三重以上に重複させることによって、個々のスプレーノ
ズルが有する散布量の位置的な不均一性はより一層打ち
消されて、極めて均一な散布が可能となる。
【0010】スプレーノズル列が3本ある場合には、噴
射角度の異なるスプレーノズル列が1本存在すれば、他
の2本のスプレーノズル列におけるスプレーノズルの噴
射角度は互いに同じであっても良いし、異なっていても
良い。他の2本のスプレーノズル列におけるスプレーノ
ズルの噴射角度が異なる場合には3本のスプレーノズル
列の全てにおいてスプレーノズルからの噴射角度が異な
ることとなる。スプレーノズル列が4本以上の場合も同
様であって、噴射角度の異なるスプレーノズル列が少な
くとも1本存在すれば、その他のスプレーノズル列にお
けるスプレーノズルの噴射角度は互いに同じであっても
良いし、異なっていても良い。
【0011】また、本発明の路面用液体散布装置におい
て、スプレーノズル列は、スプレーバーとそれに取り付
けられた複数のスプレーノズルで構成するのが望まし
く、その場合、基本的には、1本のスプレーノズル列に
対して1本のスプレーバーを用いるのが望ましいが、例
えば、径の大きなスプレーバーを用いて1本のスプレー
バーに複数のスプレーノズルを2列、若しくは3列以上
になるように取り付けたり、1本のスプレーバーに噴射
角度の異なるスプレーノズルを交互に配置するなどし
て、1本のスプレーバーと複数のスプレーノズルによっ
て複数列のスプレーノズル列を構成するようにすること
も可能である。このように1本のスプレーバーを複数の
スプレーノズル列で共用する場合には、省スペースが図
れるという利点がある。また、スプレーノズル列を構成
するスプレーバーを直列に接続し、蛇行した1本のスプ
レーバーとすることも可能である。このように各スプレ
ーノズル列を構成するスプレーバーを直列に接続する場
合には、配管系の配置が単純になるという利点がある。
【0012】なお、本明細書において、スプレーノズル
からの液体材料の散布領域とは、スプレーノズルから噴
射された液体材料の被散布面上での広がり領域のことを
いい、それが重複するとは、スプレーノズル列の列方向
と直交する水平方向から見て重複することをいうものと
する。本発明の路面用液体散布装置は、通常、作業車に
搭載されて、作業車と共にスプレーノズル列の列方向と
直交する水平方向に進行していくので、スプレーノズル
列の列方向と直交する水平方向から見て散布領域が重複
していれば、その重複領域内にある被散布面上の特定箇
所は、その重複数に応じた回数だけ重複散布を受けるこ
ととなる。重複数が多ければ多いほど、個々のスプレー
ノズル間やスプレーノズル列間の特性のばらつきが相殺
され、より均一な散布が達成されることは言うまでもな
い。
【0013】本発明の路面用液体散布装置で使用するス
プレーノズルの種類には特に制限はなく、円形全面形の
噴射パターンを有するスプレーノズルや、四角形全面形
の噴射パターン、円環形の噴射パターン、その他の噴射
パターンを有するものであっても良いが、均一な多重散
布を実現する観点からは、フラット形の噴射パターンを
有するスプレーノズルを使用するのが望ましい。フラッ
ト形の噴射パターンとは、スプレーノズルからある噴射
角度αをもって扇形に噴射される、噴射方向に垂直な断
面が細長いほぼ線状の噴射パターンであって、本発明で
いうフラット面とは扇形の噴射パターンの扇の面を指す
ものとする。
【0014】フラット形のスプレーノズルは、通常、そ
の噴射パターンのフラット面がスプレーノズル列の列方
向とある角度βを持つように配置される。角度βに特に
制限はなく、0〜90度の範囲であれば何度でも良い
が、各スプレーノズルからの噴射パターンを重複させて
不均一性を打ち消すという観点からは、通常、5〜45
度、好ましくは、10〜40度、更に好ましくは15〜
35度の範囲である。スプレーノズルの取付角度βは、
個々のスプレーノズル毎に異なっていても良いが、少な
くとも1本のスプレーノズル列内では同一であるのが好
ましい。
【0015】本発明の路面用液体散布装置においては、
スプレーノズル列を構成する複数のスプレーノズルは、
ほぼ等間隔で、かつ、直線状に整列しているのが望まし
い。直線状とは、複数のスプレーノズルが完全に一直線
上にあることを意味しない。複数のスプレーノズルは、
中心となる直線から多少の変位をもって分布することが
でき、全体として直線状に並んでいると判断される状態
であれば良い。例えば、複数のスプレーノズルは、交互
にジグザグに位置することができる。この場合、ジグザ
グ図形の中心に直線を想定することができるので、これ
らのスプレーノズルは直線状に整列していると言える。
【0016】本発明の路面用液体散布装置においては、
複数のスプレーノズル列が互いに平行であることが望ま
しい。また、少なくとも1本のスプレーノズル列におい
て、スプレーノズルからの液体材料の散布領域の端部位
置が、スプレーノズル列の列方向と直交する水平方向か
ら見て、他のスプレーノズル列におけるスプレーノズル
からの液体材料の散布領域の端部位置とは、ずれた位置
にくるように、複数のスプレーノズルが配置されている
のが望ましい。スプレーノズルからの液体材料の散布領
域の端部位置は、液体材料の散布量が他の位置に比べて
不均一となり易いので、そのような散布領域の端部位置
が各スプレーノズル列毎にずれていることによって、散
布領域端部の不均一さが分散され、散布の均一性を達成
する上で効果的である。
【0017】本発明の路面用液体散布装置は、作業車に
搭載されるのが好ましい。作業車としては、道路舗装工
事用の作業車に限られず、路面に凍結防止用の液体を散
布したり、未舗装道路に防塵処理用の液体を散布する液
体散布車も含まれる。また、必要であれば、農業用の肥
料や田畑へのアスファルト乳剤の散布などにも使用でき
る。しかしながら、本発明の路面液体用散布装置は極め
て均一性に優れた散布を実現することができるので、散
布式表面処理工法などのように、これまでにないレベル
での均一性が求められる散布作業に使用するのが好まし
い。散布式表面処理工法に適した作業車としては、例え
ば、同じ出願人による特願平11−145612号明細
書、特願平11−145614号明細書、特願平10−
172107号明細書、特願平10−172119号明
細書、及び、特願平10−177986号明細書に開示
したような、少なくとも骨材の散布装置と結合材の散布
装置とを搭載した作業車が挙げられ、本発明の路面用液
体散布装置は、そのような作業車に結合材散布装置とし
て搭載され、散布式表面処理工法用作業車として構成さ
れる。
【0018】本発明の路面用液体散布装置によって散布
される液体材料に特に制限はなく、アスファルトやアス
ファルト乳剤などの瀝青材料、水、樹脂、その他エマル
ジョン、化学薬品、液体肥料、凍結防止剤、乾燥防止液
等、通常路面に散布されることのある液体材料ならばい
ずれにも適用可能であるが、粘性などの点から従来均一
散布が特に困難であった瀝青材料に適用すると最も効果
がある。また、本発明でいう路面とは、必ずしも舗装道
路表面、未舗装道路表面に限られず、広場、駐車場、荷
役場、運動場、田畑、海岸、荒野、緑地等、散水や液体
材料の散布作業が行われる場所の全てを含むものであ
る。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明につい
て詳細に説明する。
【0020】図1は、本発明の路面用液体散布装置の一
例を示す図である。図1において、1は本発明の路面用
液体散布装置を示し、同じ高さに配置された2本のスプ
レーバー2及び5から構成されている。なお、図1では
スプレーバー5はスプレーバー2の奥にあって見えない
ので、スプレーバー2だけを示している。各スプレーバ
ー2及び5には、それぞれ複数のフラット形のスプレー
ノズル3−1、3−2、3−3、・・・及び、6−1、
6−2、6−3、・・・が等間隔で同じ位置に取り付け
られており、それぞれスプレーノズル列を構成してい
る。なお、図1ではスプレーノズル6−1、6−2、6
−3、・・・はスプレーノズル3−1、3−2、3−
3、・・・の奥にあって見えないので、スプレーノズル
3−1、3−2、3−3、・・・だけを示している。実
線で示された4−1、4−2、4−3、・・・は、スプ
レーノズル3−1、3−2、3−3、・・・から噴射さ
れる液体材料の噴射パターンを、また、破線で示された
7−1、7−2、7−3、・・・は、スプレーノズル6
−1、6−2、6−3、・・・から噴射される液体材料
の噴射パターンを示している。8は液体材料の散布面、
α、αは噴射角度、Hはスプレーノズル列の取付高
さ、即ち、散布面までの距離である。
【0021】今、スプレーバー2に取り付けられた複数
のスプレーノズル3−1、3−2、3−3、・・・から
噴射される液体材料の噴射パターン4−1、4−2、4
−3、・・・について見ると、各噴射パターン4−1、
4−2、4−3、・・・は、散布面8と接する位置、即
ち、散布領域において、隣接する噴射パターンの散布領
域と半分ずつ重複しており、スプレーノズル3−1、3
−2、3−3、・・・によって、2重に重複した散布が
行われることが分かる。例えば、ハッチングを施した部
分Xにおいては、噴射パターン4−1と4−2とが互い
に半分ずつ重複している。なお、各噴射パターン4−
1、4−2、4−3、・・・の散布領域を2重に重複さ
せる代わりに、スプレーノズル列の列方向と直交する水
平方向から見てそれぞれの散布領域間に隙間がないよう
に、互いの散布領域が接するようにしても良いが、重複
させる方が好ましい。
【0022】一方、スプレーバー2の奥に配置されたス
プレーバー5に取り付けられた複数のスプレーノズル6
−1、6−2、6−3、・・・から噴射される液体材料
の噴射パターン7−1、7−2、7−3、・・・につい
て見ると、スプレーノズル6−1、6−2、6−3、・
・・の噴射確度αは、スプレーノズル3−1、3−
2、3−3、・・・の噴射角度αとは異なっており、
α>αであるので、噴射パターン7−1、7−2、
7−3・・・は、散布面8と接する位置、即ち、散布領
域において、隣接する噴射パターンの散布領域と2/3
ずつ重複しており、スプレーノズル6−1、6−2、6
−3、・・・によって、3重に重複した散布が行われる
ことが分かる。例えば、ハッチングを施した部分Yにお
いては、噴射パターン7−1と7−2と7−3とが重複
している。このように、特定のスプレーノズル列におけ
るスプレーノズルの噴射角度を変えることによって、ス
プレーバー上の同じ位置に等間隔で複数のスプレーノズ
ルを配置しながら、一方は2重、他方は3重と、変化に
富んだ液体材料の散布を実現することが可能となる。な
お、各噴射パターン7−1、7−2、7−3、・・・の
散布領域を3重に重複させる代わりに、スプレーノズル
列の列方向と直交する水平方向から見てそれぞれの散布
領域間に隙間がないように、互いの散布領域が接するよ
うにしても良いことは、噴射パターン4−1、4−2、
4−3、・・・の場合と同様であるが、重複させる方が
好ましい。
【0023】図2は、図1を上からみた平面図であって
同じものには同じ符号を付してある。図2から明らかな
ように、フラット形のスプレーノズル3−1、3−2、
3−3、・・・は、スプレーノズル列の列方向と噴射パ
ターンのフラット面とが角度βとなるようにスプレーバ
ー2に取り付けられており、一方、同じくフラット形の
スプレーノズル6−1、6−2、6−3、・・・も、ス
プレーノズル列の列方向と噴射パターンのフラット面と
が角度βとなるようにスプレーバー5に取り付けられて
いる。図示の例においては、スプレーノズル3−1、3
−2、3−3、・・・取付角度とスプレーノズル6−
1、6−2、6−3、・・・の取付角度はともにβであ
って同じであるが、異なっていても良い。Lはスプレー
ノズル列間の距離である。
【0024】図2の例において、例えば散布面8上のA
点は、本発明の路面用液体散布装置1が図示しない作業
車等に搭載されて散布面8上を移動するにつれて、噴射
パターン4−2、4−1による液体材料の2重散布を受
け、続いて、噴射パターン7−3、7−2、7−1によ
る液体材料の3重散布を受け、合計、5重の散布を受け
ることになる。また、図1及び図2から明らかなよう
に、噴射パターン4−1、4−2、4−3、・・・の散
布面8上での散布領域の端部、イ、ロ、ハ、ニ、・・・
と、噴射パターン7−1、7−2、7−3、・・・の散
布面8上での散布領域の端部、a、b、c、d、・・・
とが、スプレーノズル列の列方向と直交する水平方向か
ら見て、互いにずれており、散布領域の端部における散
布量の不均一性が、たとえあったとしても、分散される
ようになっている。
【0025】スプレーノズル列の取付高さHには、散布
が良好に行われる限り特に制限はないが、通常、散布面
8上に種々の凹凸や敷設物等がある場合のことを想定し
て、少なくとも10cm以上、好ましくは15cm以
上、更に好ましくは20cm以上あるようにするのが良
い。また、Hが余りに大き過ぎると噴射パターンが風等
によって乱されたり、噴射された液体材料が霧状になっ
て空中に散逸したりしてしまう恐れがあるので、最大で
も50cm以下とするのが好ましい。
【0026】スプレーノズル列間の距離Lにも特に制限
はないが、余りに近すぎると、隣接するスプレーノズル
列間で噴射パターンがぶつかり合い、均一な散布に支障
が生じるので、最低でもLは20cm程度とするのが望
ましく、一方、Lが余りに大きすぎると装置が大きなも
のとなってしまうので、150cmまでとするのが好ま
しい。なお、図1および図2においてはスプレーノズル
列は2本しかないが、スプレーノズル列の数は2本に限
るものではなく、3本以上としても良いことは勿論であ
る。
【0027】図3は、本発明の路面用液体散布装置の他
の例を示す図であって、1本のスプレーバー2の径を太
くして、そこに噴射角度の異なる2種類のスプレーノズ
ル3−1、3−2、3−3、・・・と、6−1、6−
2、6−3、・・・とを配置したものである。スプレー
ノズル3−1、3−2、3−3、・・・と、6−1、6
−2、6−3、・・・とで、取付角度βは同じであって
も異なっていても良い。また、図3の例においては、ス
プレーノズル3−1、3−2、3−3、・・・と、6−
1、6−2、6−3、・・・とは、スプレーバー2上で
の取付位置と取付間隔とが一致しているが、取付間隔を
同じに保ったまま取付位置をずらしても良いし、取付間
隔と取付位置の双方を異ならせても良い。スプレーバー
2の径が許容するならば、3列以上のスプレーノズル列
を1本のスプレーバー2上に配置しても良い。
【0028】図4は、本発明の路面用液体散布装置の更
に他の例を示す図であって、1本のスプレーバー2に、
噴射角度の異なる2種類のスプレーノズル3−1、3−
2、3−3、・・・と、6−1、6−2、6−3、・・
・とを交互に配置したものである。スプレーノズル3−
1、3−2、3−3、・・・と、6−1、6−2、6−
3、・・・とで、取付角度βは同じであっても異なって
いても良い。図3及び図4に示すように、複数のスプレ
ーノズル列によって1本のスプレーバーを共用すること
によって、配管系が簡単になると共に省スペースが図れ
るという利点がある。なお、以上のような場合にも、ス
プレーノズル3−1、3−2、3−3、・・・からの噴
射パターン4−1、4−2、4−3、・・・の散布面8
上での散布領域の端部と、スプレーノズル6−1、6−
2、6−3、・・・からの噴射パターン7−1、7−
2、7−3、・・・の散布面8上での散布領域の端部と
は、スプレーノズル列の列方向と直交する水平方向から
見て、互いにずれているのが望ましい。
【0029】本発明の路面用液体散布装置によって散布
される液体材料には特に制限はなく、アスファルトやア
スファルト乳剤などの瀝青材料、水、樹脂、その他エマ
ルジョン、化学薬品、液体肥料、凍結防止剤、乾燥防止
液等、通常路面に散布されることのある液体材料ならば
いずれにも適用可能である。また、これらの液体材料と
ともに、これらの液体材料の分解速度や硬化速度、浸透
速度等を遅速したり、耐久性の増強や粘度の増減を図っ
たり、使用する液体材料の材状を補強するためなどの目
的で種々の添加剤や補助剤を散布する場合には、本発明
の路面用液体散布装置を構成する複数のスプレーノズル
列のうちの1本又は複数本を、それら添加剤や補助剤の
散布に使用しても良いし、別途、添加剤や補助剤用の散
布装置を設けて、本発明の路面用液体散布装置の近傍に
設置しても良い。
【0030】図5は、本発明の路面用液体散布装置の更
に他の例を示す図であって、スプレーバー2とスプレー
バー5とが、接続部材9、9を介して直列に接続されて
いる例である。このように複数のスプレーノズル列を構
成する複数のスプレーバーを直列に接続することによっ
て、それぞれのスプレーバーにポンプからの配管を施す
必要がなくなり、配管系がシンプルになるという利点が
ある。なお、以上の図3〜図5に述べたような例におい
て、液体材料を送出するポンプの送出圧力や送出量を、
それぞれのスプレーノズルから所定量の液体材料を噴射
するのに要する値に調節することは言うまでもない。
【0031】図6は、図1及び図2に示す本発明の路面
用液体散布装置1を作業車に搭載した場合の一例を示す
図であって、これまでのものと同じものには同じ符号を
付してある。図6において、10は本発明の路面用液体
散布装置を搭載した作業車であって、作業車10には、
取付高さは同じであるが、スプレーノズルの噴射角度の
異なる2本のスプレーバー2及び5が取り付けられてお
り、この2本のスプレーバー2及び5に取り付けられた
複数のスプレーノズルによって液体材料を合計5重に散
布することができるようになっている。
【0032】11は、同じ出願人による特願平11−1
45614号明細書に記載されている骨材ビンであっ
て、内部に一時貯蔵した骨材を可調整の量及び幅で路面
上に散布することができる装置である。骨材ビン11に
は、骨材ホッパー13からベルトコンベア等の搬送手段
12によって骨材が随時搬送されてくる。このように作
業車10に本発明の路面用液体散布装置と骨材の散布装
置とをともに搭載する場合には、作業車10は、散布式
表面処理工法用の作業車として使用することが可能とな
る。その場合、液体材料としては、骨材を路面に結合す
る瀝青材料等の結合材を使用することとなる。
【0033】図6の作業車10においては、2本のスプ
レーバー2及び5で構成される液体材料の散布装置と骨
材の散布装置である骨材ビン11とが、ともに、作業車
の後輪14bよりも後方に設けられているので、散布さ
れた液体材料上を作業車のタイヤ等が踏むことがないと
いう特徴がある。このため、液体材料の散布面が作業車
のタイヤ等によって乱されたり、逆に作業車のタイヤが
液体材料によって汚れ、他の路面等を汚す恐れもない。
液体材料の散布装置と骨材の散布装置とは、図6に示さ
れた位置に限らず、両者ともに作業車の前輪14aより
も前に設置することもできるし、作業車の前輪14aと
後輪14bとの間に設けることもできる。いずれにして
も、液体材料を散布し、その上から骨材を散布するまで
は、作業車12のタイヤ等が液体材料の散布面上を踏む
ことがないので、液体材料の散布面が作業車のタイヤ等
によって乱されたり、逆に作業車のタイヤが液体材料に
よって汚れ、他の路面等を汚す恐れもない。
【0034】
【発明の効果】以上のように、本発明の路面用液体散布
装置によれば、直線状に配置されたそれぞれ複数のスプ
レーノズルからなる複数本のスプレーノズル列のうち、
少なくとも1本のスプレーノズル列におけるスプレーノ
ズルの噴射角度を他のスプレーノズル列におけるスプレ
ーノズルの噴射角度とは異ならせてあるので、全てのス
プレーノズル列に、特性に微妙な差異のある市販規格品
のスプレーノズルを使用する場合でも、個々のスプレー
ノズルの特性の差異は分散され、また、他のスプレーノ
ズルの有する不均一性と相殺されて、液体材料を均一に
散布することが容易となる。また、その際、隣接するス
プレーノズル間で、液体材料の散布領域を二重乃至は三
重以上に重複させることによって、個々のスプレーノズ
ルが有する散布量の場所的な不均一性はより一層打ち消
されて、極めて均一な散布が可能となる。
【0035】また、本発明の路面用液体散布装置によれ
ば、少なくとも1本のスプレーノズル列において、スプ
レーノズルからの液体材料の散布領域の端部位置が、ス
プレーノズル列の列方向と直交する水平方向から見て、
他のスプレーノズル列におけるスプレーノズルからの液
体材料の散布領域の端部位置とは、ずれた位置にくるよ
うに複数のスプレーノズルを配置する場合には、散布領
域端部の不均一さが分散され、散布の均一性を達成する
上で効果的である。
【0036】本発明の路面用液体散布装置は、作業車に
搭載され、路面上に液体材料を均一に散布する。本発明
の路面用液体散布装置を搭載した作業車は、作業車を進
行させながら均一な液体材料の散布が可能であり、特に
本発明の路面用液体散布装置とともに骨材の散布装置を
搭載する場合には、散布式表面処理工法用の作業車とし
てきわめて有用に使用することができる。本発明の路面
用液体材料散布装置並びに本発明の路面用液体材料散布
装置を搭載した作業車は、微粉入りの液体材料や、高粘
度液体材料等、種々の機能性液体材料の散布や、シール
コートやアーマーコートの構築、更には、散布式表面処
理工法のように、これまでにないレベルでの液体材料の
均一な散布が要求される各種工法の実現にきわめて優れ
た効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の路面用液体散布装置の一例を示す図
である。
【図2】 本発明の路面用液体散布装置の一例を示す平
面図である。
【図3】 本発明の路面用液体散布装置の他の例を示す
図である。
【図4】 本発明の路面用液体散布装置の更に他の例を
示す図である。
【図5】 本発明の路面用液体散布装置の更に他の例を
示す図である。
【図6】 本発明の路面用液体散布装置を搭載した作業
車の一例を示す図である。
【図7】 スプレーノズルからの散布量の位置的なばら
つきを示す図である。
【符号の説明】
1 路面用液体散布装置 2、5 スプレーバー 3、6 スプレーノズル 4、7 噴射パターン 8 散布面 9 接続部材 10 作業車 11 骨材ビン 12 搬送手段 13 骨材ホッパー 14a、14b 作業車の前輪及び後輪 α 噴射角度 β 取付角度 H 取付高さ N 散布位置 P 散布量

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直線状に配置された複数個のスプレーノ
    ズルからなるスプレーノズル列を複数本備え、その複数
    本のスプレーノズル列のうち少なくとも1本のスプレー
    ノズル列におけるスプレーノズルの噴射角度が他のスプ
    レーノズル列におけるスプレーノズルの噴射角度とは異
    なっている路面用液体散布装置。
  2. 【請求項2】 スプレーノズル列が、スプレーバーとそ
    のスプレーバーに取り付けられた複数個のスプレーノズ
    ルとによって構成されている請求項1記載の路面用液体
    散布装置。
  3. 【請求項3】 2本以上のスプレーノズル列が1本のス
    プレーバーを共有している請求項1又は2記載の路面用
    液体散布装置。
  4. 【請求項4】 各スプレーノズル列を構成するスプレー
    バーが、2本以上のスプレーノズル列において直列に接
    続されている請求項1又は2記載の路面用液体散布装
    置。
  5. 【請求項5】 各スプレーノズル列を構成するスプレー
    ノズルが、フラット形の噴射パターンを有するスプレー
    ノズルであり、スプレーノズルから噴射されるフラット
    形の噴射パターンのフラット面がスプレーノズル列の列
    方向に対して0〜90度の取付角度βを持つように配置
    されている請求項1、2、3又は4記載の路面用液体散
    布装置。
  6. 【請求項6】 全てのスプレーノズル列の取付高さが同
    じである請求項1、2、3、4又は5記載の路面用液体
    散布装置。
  7. 【請求項7】 各スプレーノズル列において、隣接する
    各スプレーノズルからの液体材料の散布領域が、スプレ
    ーノズル列の列方向と直交する水平方向から見て互いに
    接しているか二重以上に重複するように複数のスプレー
    ノズルが配置されている請求項1、2、3、4、5又は
    6記載の路面用液体散布装置。
  8. 【請求項8】 少なくとも1本のスプレーノズル列にお
    ける隣接する各スプレーノズルからの液体材料の散布領
    域の重複数が、他のスプレーノズル列における散布領域
    の重複数とは異なっている請求項7記載の路面用液体散
    布装置。
  9. 【請求項9】 少なくとも1本のスプレーノズル列にお
    いて、スプレーノズルからの液体材料の散布領域の端部
    位置が、スプレーノズル列の列方向と直交する水平方向
    から見て、他のスプレーノズル列におけるスプレーノズ
    ルからの液体材料の散布領域の端部位置とは、ずれた位
    置にくるように、複数のスプレーノズルが配置されてい
    る請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の路面
    用液体散布装置。
  10. 【請求項10】 作業車に取り付けられている請求項
    1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の路面用液
    体散布装置。
  11. 【請求項11】 請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8又は9のいずれかに記載の路面用液体散布装置を備え
    ている作業車。
  12. 【請求項12】 骨材の散布装置を備えている請求項1
    1記載の作業車。
  13. 【請求項13】 散布式表面処理工法用作業車である請
    求項11又は12記載の作業車。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102383359A (zh) * 2011-08-24 2012-03-21 浙江美通筑路机械股份有限公司 一种变量型沥青喷洒杆
JP2021182932A (ja) * 2017-07-18 2021-12-02 有光工業株式会社 散布装置及び散布装置の散布方法

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