JP2001038274A - 超微粒子材料平坦化成膜方法 - Google Patents

超微粒子材料平坦化成膜方法

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JP2001038274A JP2000150341A JP2000150341A JP2001038274A JP 2001038274 A JP2001038274 A JP 2001038274A JP 2000150341 A JP2000150341 A JP 2000150341A JP 2000150341 A JP2000150341 A JP 2000150341A JP 2001038274 A JP2001038274 A JP 2001038274A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】膜内の超微粒子材料の接合が充分で、組織が緻
密であり、表面が平滑であり、かつ密度の均一な膜を製
造することができる超微粒子材料成膜装置を提供するこ
と 【解決手段】超微粒子材料7を基板3上に供給して形成
した前記超微粒子材料の堆積物から前記超微粒子材料の
膜2を形成する超微粒子材料成膜方法において、前記基
板上に供給された前記超微粒子材料の堆積物2aの表面
を平坦にする平坦化工程を一回以上加えて前記膜を形成
する

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はセラミックス材料や金
属材料などの100μm以下の超微粒子材料を基板上に
供給して成膜する技術に関するものである。このような
超微粒子材料膜の成膜技術は機能性セラミックス薄膜や
金属薄膜を基板上に製造する分野において使用される。
【0002】
【従来の技術】超微粒子材料製の膜を製造する技術の一
つとして、超微粒子材料を搬送ガスと混合して、ノズル
より基板上に吹き付け、膜を形成する超微粒子膜成膜法
が知られている。
【0003】
【解決すべき課題】しかるに、この従来の超微粒子膜成
膜法においては、表面の不平滑性、不平坦性、密度の不
均一性などの問題があった。例えば、従来の超微粒子膜
成膜法においては、使用する超微粒子材料中に吹き付け
によっては成膜することのできない物理的性状(1μm
以上の大きな粒径、加速不足の微粒子材料など)の不良
粒子が混入して、これが吹き付けによって基板上の超微
粒子材料の堆積物にも混入するという問題があった。
【0004】すなわち膜の堆積途中に噴射される超微粒
子材料中に粒径が大きく十分な速度を持っていない粒子
31(不良粒子31)が含まれていると、図9(a)に
模式的に示し、かつ図10(a)に断面を顕微鏡写真で
示すように、粒径が大きい不良粒子31が成長途中の堆
積物32の表面に沈着し、これがマスクとなって、その
後この沈着した不良粒子31の表面には堆積は起こら
ず、洗浄後には図9a及び図10bに示すように、膜3
3が欠けたように形成されない窪み部分34が発生して
しまう。また、図11の膜表面の顕微鏡写真に示すよう
に、膜の表面も非常に荒れたものとなり、その後の堆積
にも悪影響を及ぼす。また、不良粒子は堆積物32中で
浮いた状態になるので、組織が緻密にならず、後続の吹
き付けられた超微粒子材料によって堆積物の表面が侵食
され、やはり図9(b)に示すように、膜33が欠けた
ように形成されない窪み部分34が発生してしまい、膜
の表面も荒れたものとなり、その後の堆積にも悪影響を
及ぼす。またこのことは、形成された膜の微細構造にも
悪影響を及ぼし、一般に均質に制御された膜の微細組織
が重要となる電子セラミクス材料などに本手法を適用す
る場合、優れた電気特性を期待できないなどの問題点が
あった。
【0005】この他、実際の成膜を行うと、ノズルから
噴射される微粒子の量を均一・一定にすることは困難
で、膜厚が場所によってばらつくなどの問題があり、均
質な膜厚制御や表面粗さの制御が困難であり、したがっ
て、特性の均一な良質の膜を形成する際に大きな傷害と
なる。またこのような膜厚の不均一さや表面の荒れは、
本手法を光学薄膜に適用する場合、大きな問題になって
いた。
【0006】このようなことから、膜内の超微粒子材料
の接合が充分で、組織が緻密であり表面が平滑であり、
密度の均一な膜を製造することができる超微粒子材料の
成膜技術の開発が望まれている。
【0007】この発明は上記の如き事情に鑑みてなされ
たものであって、膜内の超微粒子材料の接合が充分で、
組織が緻密であり、特に表面が平滑であり、かつ密度の
均一な膜を製造することができる超微粒子材料成膜装置
を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この目的に対応してこの
発明の超微粒子材料平坦化成膜方法は、超微粒子材料を
基板上に供給して形成した前記超微粒子材料の堆積物か
ら前記超微粒子材料の膜を形成する超微粒子材料成膜方
法であって、前記基板上に供給された前記超微粒子材料
の堆積物の表面を平坦にする平坦化工程を一回以上加え
て前記膜を形成することを特徴としている。
【0009】またこの発明の超微粒子材料平坦化成膜装
置は、超微粒子材料を基板上に供給して形成した前記超
微粒子材料の堆積物から前記超微粒子の膜を形成する超
微粒子材料成膜装置であって、前記基板上に供給された
前記超微粒子材料の堆積物の表層部分を均し若しくは掻
き取る付着粒子除去装置、前記堆積物の表層部分を研削
若しくは研磨する膜面加工装置及び前記堆積物を押圧す
る押圧装置の少なくとも一方を備えることを特徴として
いる。
【0010】またこの発明の超微粒子材料平坦化成膜方
法は、超微粒子材料を基板上に供給して形成した前記超
微粒子材料の堆積膜から前記超微粒子材料の膜を形成す
る超微粒子材料成膜方法であって、前記形成された堆積
物表面を平坦化する前記平坦化行程として、前記堆積膜
に対して研磨、研削作用のある平坦化用の微粒子を前記
超微粒子材料の堆積膜表面に斜めの入射角度で吹き付け
て前記堆積膜の表面を平坦にする平坦化工程を一回以上
加えて前記膜を形成することを特徴としている。
【0011】またこの発明の超微粒子材料平坦化成膜装
置は、超微粒子材料を基板上に供給して形成した前記超
微粒子材料の堆積膜から前記超微粒子材料の膜を形成す
る超微粒子成膜装置であって、前記堆積膜に対して研
磨、研削作用のある平坦化用の微粒子を前記超微粒子材
料の堆積膜表面に斜めの入射角度で入射するように構成
したことを特徴としている。
【0012】
【実施の態様】以下この発明の詳細を一実施例を示す図
面について説明する。
【0013】図1において、1は超微粒子材料平坦化成
膜装置である。超微粒子材料平坦化成膜装置1はチャン
バー10内に基板3と超微粒子材料供給装置の一例とし
てノズル4とを配設している。基板3は形成された膜を
支持するためのものである。さらに堆積膜2aを平坦化
するための平坦化装置15として付着粒子除去装置5と
膜面加工装置6を基板の移動経路に沿って配設してい
る。チャンバー10としては内部が減圧可能な真空チャ
ンバーを使用することができる。チャンバー10として
真空チャンバーを使用した場合の真空度は10〜200
torr程度、好ましくは100torr程度である。
【0014】ノズル4は超微粒子材料を基板3上に供給
して堆積させて堆積膜2aを形成するものである。基板
3は基板駆動装置(図示せず)に取り付けられ、基板駆
動装置に駆動されてチャンバー内で変位可能である。ノ
ズル4もチャンバー内で変位可能に構成してもよい。超
微粒子材料の基板3上への供給は、搬送ガスとノズル4
を用いて噴射するものの他に、超微粒子材料の種類や他
の条件に応じて微振動を与えてスリットから超微粒子材
料を流出させるなど、噴射以外の方法によってもよい。
【0015】付着粒子除去装置5は基板3上に供給され
て形成された超微粒子材料7の堆積膜2aの表面を掻い
て表面をならし表面から突出している径の大きい超微粒
子材料や或いは膜面の表面に浮き出している超微粒子材
料等の不良粒子を掻き出して除去するものである。付着
粒子除去装置5は付着粒子除去ブレード8とギャップ制
御機構11とを備えている。付着粒子除去ブレード8は
硬質ゴムや金属板でできていて、ノズル4の近傍に位置
し、基板3との相対運動を利用してノズル4から基板3
上に供給された超微粒子材料の堆積膜2aの表面部分を
掻きならして不良粒子の沈着粒子や付着粒子を掻き出し
て除去して表面掻き取り膜2bを形成する。付着粒子除
去ブレード8による堆積膜2aの表面部分の掻き取り量
は付着粒子除去ブレード8と基板3との隙間の間隔を調
整することによってなされ、その調整はギャップ制御機
構11を動作させて付着粒子除去ブレード8を駆動して
行う。
【0016】付着粒子除去ブレード8によって表面を所
要量だけ掻き取られて形成された表面掻き取り膜2bは
次に膜面加工装置6によって加工を受ける。膜面加工装
置6は研削・研磨ローラー12とギャップ制御機構13
とを備えている。研削・研磨ローラー12は研磨用のブ
ラシや研磨材で形成したローラーで構成されていて、こ
れを基板の走査速度に応じて回転させながら表面掻き取
り膜2bの表面に接触させ、形成された表面掻き取り膜
2bを研磨、研削することで膜厚の制御を行い完成した
膜2を得る。このとき、光学式変位計やエアーマイクロ
変位計などの変位計14などを用いて研磨前、研磨後の
膜厚を測定し、これに応じて、堆積膜2aや表面掻き取
り膜2bの表面と研削・研磨ローラー12や付着粒子除
去ブレード8との隙間(ギャップ)を制御する。このと
きのギャップや押しつけ圧の調整は、ギャップ制御機構
11、13を用いて行う。
【0017】なお、上記した実施例は、基板3に供給さ
れた超微粒子材料7の堆積膜2aに対して付着粒子除去
装置5による表面掻き取り膜2bを形成する加工と、次
に膜面加工装置6による完成した膜2を得る加工との2
つの加工を併用したものであるが、膜2と同じものが一
加工で得られる場合は付着粒子除去装置5による加工と
膜面加工装置6による加工のいずれか一方だけで済ませ
ることもできる。
【0018】また、成膜中に膜面を研磨、研削すること
により発生する粉塵を積極的に除去するために、膜面の
研磨、研削部位に近接して、ガスジェットを噴射するた
めにノズルを設けたり、或いは粉塵吸引機構を設けた構
成にしてもよい。
【0019】また、超微粒子材料として金属超微粒子材
料を用いる場合は、脆性材料であるセラミックスの場合
よりも、膜の緻密化に注意を払う必要があることから、
ローラーを用いて堆積膜2aの表面を押しつけ、金属の
塑性変形を利用して、膜表面の平坦化を図ることが有利
な場合もある。この場合に使用するローラーは研削・研
磨ローラー12に代替して設置される。
【0020】基板上に供給された超微粒子材料の堆積物
の表層部分を均し若しくは掻き取り、研削若しくは研磨
しまたは押圧する平坦化工程は、超微粒子材料供給装置
から超微粒子材料が基板上に1回供給されて単層構造の
堆積膜2aが形成される毎にその単層構造の堆積膜に対
して加えられ、そのような超微粒子材料の1回の供給に
よる単層構造の堆積膜の形成と、その単層構造の堆積膜
に対して加えられる平坦化工程との組合せを複数回繰返
すものであってもよいし、また、超微粒子材料供給装置
から超微粒子材料が複数回供給されて多層構造の堆積膜
2aが形成された後にその多層構造の堆積膜2aに対し
て加えられるのであってもよい。
【0021】前者の単層構造の堆積膜の形成毎に平坦化
工程を加える場合には、完成した膜を内部まで緻密化さ
せるのに有利である。
【0022】以上説明した実施例では、超微粒子膜は基
板上に堆積された堆積膜2aに対して均し若しくは掻き
取り、研削若しくは研磨し、または押圧する等の平坦化
工程を加えているが、これ以外に原料である超微粒子材
料あるいは堆積中の膜表面に、イオンビームやプラズマ
などを、照射し、超微粒子材料あるいは堆積中の膜表面
を活性化することで、堆積膜を構成する超微粒子材料同
士あるいは膜表面とを低温で接合させて、成膜する成膜
法(平成10年特許願第208998号参照)の場合や
堆積膜に機械的衝撃力を負荷して超微粒子材料を粉砕し
て堆積膜を構成する超微粒子材料を接合させて成膜する
成膜法(平成11年特許出願117328号参照)の場
合もこの発明を適用し図2に示すようなプラズマイオン
ビーム発生装置35をも備える超微粒子材料平坦化成膜
装置1aを用いて、超微粒子材料あるいは堆積中の膜表
面に、イオンビームやプラズマなどを照射して形成され
た膜、あるいは、超微粒子材料に静電界やガス搬送によ
り超微粒子材料を加速して基板上の超微粒子材料に吹き
付けて衝突させるか、高速回転するブラシやローラー或
いは高速に上下動する圧針や爆発力を利用した高速に移
動するピストンなどを用いてまたは超音波を作用させて
機械的衝撃力を負荷して超微粒子材料を低温接合させて
形成された膜に対して、均し若しくは掻き取り、研削若
しくは研磨または押圧する工程を加えてもよく、または
基板上の堆積膜、掻き取り膜、もしくは研削、研磨され
た膜に対して、機械的衝撃力負荷装置16を使用して機
械的衝撃力を負荷して堆積膜を構成する超微粒子材料を
粉砕して接合させて膜を完成させてもよい。この機械衝
撃力の負荷は、静電界やガス搬送により超微粒子材料を
加速して前記基板上の超微粒子材料に吹き付けて衝突さ
せるか、高速回転する高強度のブラシやローラー或いは
高速に上下運動する圧針や爆発の圧縮力を利用した高速
に移動するピストンなどを用いてまたは超音波を作用さ
せて前記基板上の前記堆積膜に機械的衝撃力を加える。
堆積膜に機械的衝撃力を負荷して超微粒子材料を粉砕し
て堆積膜を構成する超微粒子材料を接合させる場合は、
超微粒子材料に加える機械的衝撃力に応じて、使用する
超微粒子材料を上述の機械的衝撃力で粉砕が容易に起こ
るように前記超微粒子材料を処理してもよい。その処理
は原料超微粒子材料の仮焼き温度を変えて調整するか、
数十nm程度の粒径に調整された超微粒子材料を加熱
し、粒径で数50nm〜1μm程度の2次粒子に凝集さ
せるか、或いは使用する超微粒子材料に粉砕が容易に生
じるように長時間ボールミル、ジェットミル、振動ミ
ル、遊星ミル、ビーズミルなどの壊砕機或いは粉砕機に
かけてクラックなどを予め形成しておく。
【0023】こうしてこの発明ではノズルから供給され
た堆積膜に対して表面を均し若しくは掻き取り、研削若
しくは研磨または押圧して不良粒子を除去し、平滑にす
る。さらに、堆積膜を押圧して膜2を形成する場合は堆
積膜2aや表面掻き取り膜2bを、または表面掻き取り
膜2bに研削や研磨加工を加えた後に、押圧装置を使用
して押圧する。押圧装置の一例としては図1に示す研削
・研磨ローラー12に替えて、ローラーの円周面を鏡面
に仕上げた押圧ローラーを使用する。
【0024】図3に示すものは、この発明の他の実施例
に係る超微粒子材料平坦化成膜装置1bである。超微粒
子材料平坦化成膜装置1bは平坦化装置15として吹き
付け装置21を使用する点で先の第1の実施例における
超微粒子材料平坦化成膜装置1と異なっている。吹き付
け装置21は平坦化用の微粒子22を堆積膜2aに噴射
して堆積膜2aの表面を研磨、研削して平坦化し平坦化
膜2cを得るものである。平坦化用の微粒子22は堆積
膜2aに対して研磨、研削作用のある微粒子材料であ
る。平坦化用の微粒子22は超微粒子材料7と一緒に混
合状態で基板3に吹き付けられ、または平坦化用の微粒
子22は吹き付け装置21を使用してノズル4による超
微粒子材料7とは別に吹き付けられる。図3に示すもの
は超微粒子材料7と平坦化用の微粒子22が別に吹き付
けられる例である。吹き付け装置21は図1に示す第1
の実施例における超微粒子材料平坦化成膜装置1におけ
る付着粒子除去装置5、膜面加工装置6に代替して、ま
たは付着粒子除去装置5、膜面加工装置6と併用して用
いるものである。吹き付け装置21としてはノズルや静
電加速銃を用いることができる。吹き付け装置21は平
坦化用の微粒子22を図4に示すように、噴射の中心軸
23が基板3の表面の垂線24に対して−60度から−
5度、または+5度から+60度の入射角度αの範囲に
あるように斜めに入射するように配置される。このとき
使用する吹き付け装置21の一例を図8aに示す。また
は図7(a)に示すように吹き付け装置21から噴射さ
れる平坦化用の微粒子22の流れは吹き付け装置21か
らの流れの中心の周りに−60度から−5度または+5
度から+60度の広がりをもつように末広状に構成され
る。このとき使用する吹き付け装置21の一例を図8a
に示す。
【0025】平坦化用の微粒子22と超微粒子材料7と
は同じ組成にすれば形成される膜2に不純物が混入する
のを避けることができる。また平坦化用の微粒子22は
超微粒子材料7よりも粒径が大きいことが望ましく、さ
らに平坦化用の微粒子22は超微粒子材料7よりも硬度
が高い場合は研削、研磨効果を高めることができる。
【0026】このような装置を使用して超微粒子材料膜
の平坦化は次のようにしてなされる。この発明は、超微
粒子材料が基板上に衝突することにより、その場で超微
粒子が相互に再結合を起こし低温で厚膜形成する成膜法
で、上記超微粒子材料の堆積膜の表面を平坦化処理する
ことにより緻密で均質性や透明性などに優れた膜を得る
ものである。この時、微粒子材料の堆積膜を平坦化する
行程として、研磨・研削作用のある平坦化用の微粒子を
前記堆積膜表面に斜めから吹き付けることで研磨、研削
し、平坦かつ滑らかな表面を得て、その後、その表面に
新たな超微粒子を堆積させ同じ行程を繰り返すことで膜
厚を増加させていく。さらに、前記研磨、研削作用のあ
る平坦化用の微粒子の組成を成膜に用いる前記超微粒子
材料の組成と一致させておけば、不純物の混入を排除す
ることが可能となる。
【0027】吹き付け方の一例としては図5に示すよう
に、ノズル4と吹き付け装置21を別々に使用し、超微
粒子材料7をノズル4を通して、かつ平坦化用の微粒子
22を吹き付け装置21を通して基板3上の同一点に吹
き付ける。
【0028】この場合の前記研磨、研削作用のある平坦
化用の微粒子22の前記堆積膜2a表面への吹き付け角
度は、もし、0度(前記基板表面に対して直角)の場合
は、研削作用はあるものの前記堆積膜への衝撃作用の方
が強く、形成された膜にダメージを与えやすく、さらに
削られる場所も空間的に不均一かつ不連続になるため、
平坦かつ滑らかな表面を得ることはできない。これに対
して、前記研磨、研削作用のある平坦化用の微粒子が基
板表面に対して斜めから吹き付けられるときは、前記堆
積膜への衝撃作用は小さくなり、代わりに前記堆積膜へ
の研磨、研削作用は大きくなり、前記堆積膜表面は空間
的に一様に研磨、研削されるため、平坦かつ滑らかな表
面を得ることができる。しかしながら、前記研磨、研削
作用のある平坦化用の微粒子の前記堆積膜表面への吹き
付け角度が大きくなり過ぎると、研磨、研削作用は著し
く低下する。
【0029】従って、前記研磨、研削作用のある平坦化
用の微粒子の前記堆積膜表面への吹き付け角度は、上記
研磨、研削効果の度合いと前記堆積膜表面へのダメージ
を考慮すると、最適な吹き付け角度は使用する前記超微
粒子材料と前記研磨、研削作用のある平坦化用の微粒子
の材質に依存するが、基板への入射角度でおおよそ−6
0度から−5度または+5度から+60度の人射角度範
囲にあることが望ましい。ここで、前記研磨、研削作用
のある平坦化用の微粒子の前記堆積膜表面への吹き付け
は、前記研暦、研削作用のある微粒子をガスと混合して
ノズルから噴射させるか、帯電させて静電的に加速して
吹き付ければよい。
【0030】但し、上記図5に示す実施例のように、超
微粒子材料7と平坦化用の微粒子22を基板3上の同じ
場所に吹き付けると、堆積膜2aを形成するための超微
粒子材料7の流れが平坦化用の微粒子22の流れに乱さ
れ、他の条件によっては安定した成膜が行えない場合が
ある。そこで図6に示すように、超微粒子材料7と平坦
化用の微粒子22とで基板3上での吹き付け位置にオフ
セットを与えるか或いはバルブ25、26と切り替えバ
ルブ制御装置27を用いて、超微粒子材料7と平坦化用
の微粒子22の流れを空間的或いは時間的に分離するこ
とで、相互の影響を無くし、超微粒子材料7による堆積
膜2aの形成と平坦化用の微粒子22による平坦化作用
をそれぞれ完全に行わせる。
【0031】さらに、前記研磨、研削作用のある平坦化
用の微粒子はノズルや静電加速銃によってビーム状にし
て基板に吹き付けられるが、前記ノズルや静電加速銃の
噴射条件を調製することで図7aに示すように前記研
磨、研削作用のある平坦化用の微粒子の流れが、前記ノ
ズルや静電加速銃からの流れの中心軸の周りに−60度
から−5度または+5度から+60度の広がりを持って
末広状に吹き付けられても同様の効果が得られる。
【0032】この図7aに示す拡散状の吹き付けは、平
坦化用の微粒子22についてだけ行ってもよいが、平坦
化用の微粒子22と超微粒子材料7を混合して形成した
混合粒子材料について行ってもよい。この場合はノズル
4を使用した超微粒子材料7単独の吹き付けは省略する
ことができる。混合粒子材料を構成するときは、前述の
ように平坦化用の微粒子22は超微粒子材料7より粒径
が大きい方が研削、研磨作用に有効であるので、この場
合は、図7bに示すように混合粒子材料はその粒径分布
パターン中に平坦化用の微粒子22が形成する粒径ピー
クと超微粒子材料7が形成する粒径ピークの2つのピー
クを持つことになる。
【0033】また、前記研磨、研削作用のある平坦化用
の微粒子は、成膜に用いる前記超微粒子材料と混合し、
同一のノズルや静電加速銃から基板または、前記堆積膜
表面に噴射すると簡便に平坦かつ滑らかな膜を得ること
ができるが、超微粒子脆性材料を成膜する場合は、先行
特許(特願平11−117328号)にもあるように、
前記超微粒子材料を粉砕するに足るだけの機械的衝撃力
が必要になる。従って、成膜に用いる前記超微粒子材料
を吹き付ける装置(ノズルや静電加速銃)と前記研磨、
研削作用のある平坦化用の微粒子を吹き付ける装置(ノ
ズルや静電加速ん)を別々に配置し、成膜に用いる超微
粒子材料に応じて、各々の吹き付け装置から噴射される
成膜用の前記超微粒子材料と研磨、研削作用のある平坦
化用の微粒子をビーム状にし基板に対する入射角度や噴
射濃度、噴射時間、タイミングなどを調整すれば、より
高い成膜速度でより平坦かつ滑らかな膜を形成できる。
【0034】
【発明の効果】以上の説明から明らかな通り、この発明
によれば、膜内の超微粒子材料の接合が充分で組織が緻
密であり、表面が平滑であり、密度の均一な膜を製造す
ることができる超微粒子材料の成膜技術を得ることがで
きる。また、この発明において金属材料超微粒子膜を上
記のように押圧して形成した場合は、このような平坦化
は、例えば本手法で圧電材料であるPZTと電極材料で
ある白金、銀などの金属材料を交互に積層し、駆動電圧
の低い、積層型圧電アクチュエータなどを構成する場合
には重要な意義をもつ技術である。こうして膜の表面が
平坦に形成されると、膜の光学特性も改善され、例えば
TiO2では、膜は光学的に透明になる。
【0035】この方法によれば、成膜のための前記超微
粒子材料の供給量が安定化しない場合でも、研磨、研削
行程により一回の形成膜厚が精密に規定できるため、こ
の操作の繰り返し回数で諸望の膜厚を大面積にわたり均
一かつ精密に制御することが可能となる。
【0036】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の超微粒子材料平坦化成膜装置を示す
構成説明図
【図2】この発明の他の実施例に係る超微粒子材料平坦
化成膜装置を示す構成説明図
【図3】この発明の他の実施例に係る超微粒子材料平坦
化成膜装置を示す構成説明図
【図4】平坦化用の微粒子の入射角度を示す説明図
【図5】超微粒子材料と平坦化用の微粒子の吹き付け装
置を示す説明図
【図6】超微粒子材料と平坦化用の微粒子の吹き付け装
置を示す説明図
【図7】超微粒子材料と平坦化用の微粒子の吹き付け装
置を示す説明図
【図8】吹き付け装置を示す縦断説明図
【図9】膜面の縦断面を示す説明図
【図10】膜面を示す顕微鏡写真
【図11】従来の膜面を示す顕微鏡写真
【符号の説明】
1a 超微粒子材料平坦化成膜装置 1b 超微粒子材料平坦化成膜装置 2 膜 2a 堆積膜 2b 表面掻き取り膜 2c 平坦化膜 3 基板 4 ノズル 5 付着粒子除去装置 6 膜面加工装置 7 超微粒子材料 8 付着粒子除去ブレード 10 チャンバー 11 ギャップ制御機構 12 研削・研磨ローラー 13 ギャップ制御機構 14 変位計 15 平坦化装置 16 機械的衝撃負荷装置 21 吹き付け装置 22 平坦化用の微粒子 23 噴射の中心 25 バルブ 26 バルブ 27 切り替えバルブ制御装置 31 不良粒子 32 堆積物 33 膜 34 窪み部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B05D 3/00 B05D 3/00 F 3/12 3/12

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超微粒子材料を基板上に供給して形成し
    た前記超微粒子材料の堆積膜から前記超微粒子材料の膜
    を形成する超微粒子材料成膜方法であって、前記基板上
    に供給された前記超微粒子材料の堆積膜の表面を平坦に
    する平坦化工程を一回以上加えて前記膜を形成すること
    を特徴とする超微粒子材料平坦化成膜方法。
  2. 【請求項2】 前記超微粒子材料はセラミック超微粒子
    材料または金属超微粒子材料であることを特徴とする請
    求項1記載の超微粒子材料平坦化成膜方法。
  3. 【請求項3】 前記平坦化工程は前記基板上に供給され
    た前記超微粒子材料の堆積膜の表層部分を均し若しくは
    掻き取りまたは研削若しくは研磨するものであることを
    特徴とする請求項1記載の超微粒子材料平坦化成膜方
    法。
  4. 【請求項4】 前記平坦化工程は前記基板上に供給され
    た前記超微粒子材料の堆積膜を押圧するものであること
    を特徴とする請求項1記載の超微粒子材料平坦化成膜方
    法。
  5. 【請求項5】 前記堆積膜は基板上に供給した超微粒子
    材料に機械的衝撃力を負荷して粉砕して前記超微粒子材
    料を接合させたものまたは前記機械的衝撃力を負荷する
    前のものであることを特徴とする請求項1記載の超微粒
    子材料平坦化成膜方法。
  6. 【請求項6】 前記機械衝撃力の負荷は、静電界やガス
    搬送により超微粒子材料を加速して前記基板上の超微粒
    子材料に吹き付けて衝突させるか、高速回転する高強度
    のブラシやローラー或いは高速に上下運動する圧針や爆
    発の圧縮力を利用した高速に移動するピストンなどを用
    いてまたは超音波を作用させて前記基板上の前記堆積膜
    に機械的衝撃力を加えることを特徴とする請求項5記載
    の超微粒子材料平坦化成膜方法。
  7. 【請求項7】 前記超微粒子材料に加える機械的衝撃力
    に応じて、使用する超微粒子材料の機械的強度または脆
    性破壊強度を上述の機械的衝撃力で粉砕が容易に起こる
    ように、前記超微粒子材料を処理することを特徴とする
    請求項5記載の超微粒子材料平坦化成膜方法。
  8. 【請求項8】 前記処理は原料超微粒子材料の仮焼き温
    度を変えて調整するか、数十nm程度の粒径に調整され
    た微細な超微粒子材料を加熱し、粒径で50nm〜1μ
    m程度の2次粒子に凝集させるか、或いは使用する超微
    粒子材料に粉砕が容易に生じるように長時間ボールミ
    ル、ジェットミル、振動ミル、遊星ミル、ビーズミルな
    どの壊砕機或いは粉砕機にかけてクラックなどを予め形
    成しておくことを特徴とする請求項7記載の超微粒子材
    料平坦化成膜方法。
  9. 【請求項9】 前記堆積膜は基板上に供給した超微粒子
    材料にイオンビームやプラズマなどを照射したものであ
    ることを特徴とする請求項1記載の超微粒子材料平坦化
    成膜方法。
  10. 【請求項10】 超微粒子材料を基板上に供給して形成
    した前記超微粒子材料の堆積膜から前記超微粒子材料の
    膜を形成する超微粒子材料成膜装置であって、前記基板
    上に供給された前記超微粒子材料の堆積膜の表層部分を
    均し若しくは掻き取る付着粒子除去装置、前記堆積膜の
    表層部分を研削若しくは研磨する膜面加工装置及び前記
    堆積膜を押圧する押圧装置のうちの少なくとも一を備え
    ることを特徴とする超微粒子材料平坦化成膜装置。
  11. 【請求項11】 前記基板と前記付着粒子除去装置若し
    くは前記膜面加工装置とは相対変位可能に構成されてい
    ることを特徴とする請求項10記載の超微粒子材料平坦
    化成膜装置。
  12. 【請求項12】 前記堆積膜を形成する超微粒子材料に
    機械的衝撃力を負荷する機械的衝撃力負荷装置を備える
    ことを特徴とする請求項10記載の超微粒子材料平坦化
    成膜装置。
  13. 【請求項13】 前記堆積膜を形成する超微粒子材料に
    イオンビームまたはプラズマを照射する照射装置を備え
    ることを特徴とする請求項10記載の超微粒子材料平坦
    化成膜装置。
  14. 【請求項14】 超微粒子材料を基板上に供給して形成
    した前記超微粒子材料の堆積膜から前記超微粒子材料の
    膜を形成する超微粒子材料成膜方法であって、前記形成
    された堆積膜表面を平坦化する前記平坦化行程として、
    前記堆積膜に対して研磨、研削作用のある平坦化用の微
    粒子を前記超微粒子材料の堆積膜表面に斜めの入射角度
    で吹き付けて前記堆積膜の表面を平坦にする平坦化工程
    を一回以上加えて前記膜を形成することを特徴とする超
    微粒子材料平坦化成膜方法。
  15. 【請求項15】 前記平坦化用の微粒子を静電界やガス
    を用いて加速し前記超微粒子材料の堆積膜表面に吹き付
    けることを特徴とする請求項14記載の超微粒子材料平
    坦化成膜方法。
  16. 【請求項16】 前記平坦化用の微粒子の吹き付け流れ
    の前記基板への前記入射角度を−60度から−5度また
    は+5度から十60度にすることを特徴とする請求項1
    4記載の超微粒子材料平坦化成膜方法。
  17. 【請求項17】 前記平坦化用の微粒子が前記超微粒子
    材料と同一組成であることを特徴とする請求項14記載
    の超微粒子材料平坦化成膜方法。
  18. 【請求項18】 前記平坦化用の微粒子が前記超微粒子
    材料より粒径が大きい微粒子であることを特徴とする請
    求項14記載の超微粒子材料平坦化成膜方法。
  19. 【請求項19】 前記平坦化用の微粒子が前記超微粒子
    材料より硬度が高い微粒子であることを特徴とする請求
    項14記載の超微粒子平坦化成膜方法。
  20. 【請求項20】 前記超微粒子材料を基板上に供給して
    形成した前記超微粒子材料の堆積膜から前記超微粒子材
    料の膜を形成する超微粒子材料成膜装置であって、前記
    堆積膜に対して研磨、研削作用のある平坦化用の微粒子
    を前記超微粒子材料の堆積膜表面に斜めの入射角度で入
    射するように構成したことを特徴とする超微粒子材料平
    坦化成膜装置。
  21. 【請求項21】 前記超微粒子材料と前記超微粒子材料
    の堆積膜に対して研磨、研削作用のある平坦化用の微粒
    子を同時にまたは別々にノズルや静電加速銃その他の吹
    き付け装置から基板に噴射する機構を有し、前記吹き付
    け装置の噴射の中心軸が前記基板表面に対して、−60
    度から−5度または+5度から+60度の入射角度範囲
    に配置されていることを特徴とする請求項20記載の超
    微粒子材料平坦化成膜装置。
  22. 【請求項22】 前記超微粒子材料と前記超微粒子材料
    の堆積膜に対して研磨、研削作用のある平坦化用の微粒
    子を同時にあるいは別々にノズルや静電加速銃その他の
    吹き付け装置から基板に対し噴射し、前記吹き付け装置
    から噴射される前記超微粒子材料または平坦化の微粒子
    材料の流れが、前記吹き付け装置の噴射の中心軸のまわ
    りに入射角度−60度から−5度または+5度から+6
    0度の広がりをもつことを特徴とする請求項20記載の
    超微粒子材料平坦化成膜装置。
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