JP2001037935A - 野球用バット及びその製造方法 - Google Patents

野球用バット及びその製造方法

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JP2001037935A
JP2001037935A JP11220036A JP22003699A JP2001037935A JP 2001037935 A JP2001037935 A JP 2001037935A JP 11220036 A JP11220036 A JP 11220036A JP 22003699 A JP22003699 A JP 22003699A JP 2001037935 A JP2001037935 A JP 2001037935A
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bat
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baseball bat
baseball
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Kazuhiko Niitome
和彦 新留
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Mizuno Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間に亘って振動吸収性能が持続でき、軽
量で品質に優れ、しかも製造に手間を要しない野球用バ
ットの製造方法を提供する。 【解決手段】 常温にて固形状態の振動吸収部材7をバ
ット本体8のグリップエンド部9側に形成した開孔11
内に挿入させた後、加熱して、前記振動吸収部材7をバ
ット本体8の中空部10の内面6に軟化流動せしめる。
その後、冷却して前記振動吸収部材7の流動性を失わ
せ、中空部10の内面6に確実に粘着させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、野球、ソフトボー
ルに使用されるバット(以下、野球用バットと称する)
及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の野球用バットとしては、
木製、金属製、繊維強化樹脂製等種々のものが知られて
いるが、一般に、繊維強化樹脂製の野球用バットにおい
ては、繊維強化樹脂製の中空管状構造を有する外殻の内
部に、ポリウレタン樹脂等からなる発泡芯材を配置させ
た中実構造を有するものや、前記のような発泡芯材を有
さない外殻の内部が空洞となった中空構造を有するもの
などが公知となっている。なかでも、中空構造の野球用
バットは、その内部が空洞となっている分、重量を軽減
することができるため、野球用バットの軽量化の流れが
一段と加速されてきている近年では主流な構成となりつ
つある。
【0003】ところで、一般に、野球用バットでボール
を打った時に生じる振動は、野球用バットの打球部から
グリップ部を介してプレーヤーの手に伝播されるもので
あるが、上記のような中空構造の野球用バットでは、硬
質の外殻層のみからなる中空管状構造となっていること
から、中実構造の野球用バットに比して振動減衰性に劣
るといった問題があり、打球時に生じる振動や衝撃が減
衰されずにそのままプレーヤーの手に伝播され易く、そ
の結果、プレーヤーに不快感を与えるばかりか、スポー
ツ障害を引き起こす原因の一つともなる恐れがあった。
このような問題は、前記のような繊維強化樹脂製の野球
用バットにあるのみならず、金属製の野球用バットにお
いても同様な問題点を有するものである。そのために、
従来よりこのような中空構造を有する野球用バットの振
動や衝撃を抑制するために様々な工夫が試みられてい
る。
【0004】例えば、特開平4−343865号では、
図10に示すように、エポキシ樹脂に、微小中空球体、
発泡剤、硬化剤および硬化促進剤等を混合して得られる
エポキシ樹脂組成物をバット本体21の中空部22の内
部に投入し、これを前記中空部22の内部で発泡させる
ことによって、バット本体21の内壁に均一に発泡硬化
された発泡硬化物23を形成する方法が提案され公知と
なっている。
【0005】又、特開平4−303477号では、図1
1に示すように、バット本体24内に水溶性の高粘性ア
スファルト25を注入し、前記バット本体24を回転さ
せながら加熱し水分を蒸発させることにより、バット本
体24の内面26に高粘性アスファルト層を塗着成形す
る方法や、図12に示すように、バット本体24を回転
させながら、高温溶融状態の高粘性アスファルト27を
噴射ノズル28からバット本体24の内面26に向けて
噴射することにより、バット本体24の内面26に高粘
性アスファルト層を塗着成形する方法等が提案されてい
る。
【0006】その他、野球用バットの振動吸収を目的と
するものではないが、特開平1−110380号では、
図14に示すように、中空部31を有するバット本体3
2の内壁33に、溶剤型又は、水系の粘着剤或いは、ホ
ットメルト系の粘着剤34を付設するものも提案されて
いる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の方法によって得られる野球用バットにおいて
は、以下のような欠点を有するものであった。
【0008】即ち、特開平4−343865号に提案さ
れるように、エポキシ樹脂組成物をバット本体21の中
空部22の内部に投入し、これを前記中空部22の内部
で発泡せしめ、バット本体21の内壁に均一に発泡硬化
された発泡硬化物23を形成するものにあっては、前記
発泡硬化物23として、剛性の高いエポキシ樹脂が主体
材料として使用されているため、これを発泡せしめるこ
とによってある程度の柔らかさを発現させてはいるが、
打球時のバットの撓りや変形に追隋できるような十分な
柔軟性を持たせることが難しく、繰り返しの使用によっ
て、前記発泡硬化物23が割裂したり、バット本体21
の内壁から剥がれ落ちたりし、振動吸収性能を長期に亘
って持続させることが出来ないといった問題がある他、
一旦剥がれ落ちてしまった発泡硬化物23は、当初配置
されていた部位に固定し直すことができないため、野球
用バット自体のバランスが狂ってしまうと共に、剥がれ
落ちた発泡硬化物23がバット本体21の中空部22の
内部で動き回って異音が発生してしまうといった問題が
あった。又、このようなバットを製造するにあたって
は、エポキシ樹脂組成物をバット本体21の内壁に沿っ
て均一な状態で発泡硬化せしめるために、前記エポキシ
樹脂組成物を注入した後のバット本体21を水平に保持
した状態で回転させながら加熱発泡成形しなければなら
ず、工程に手間を要するばかりか、その際の発泡硬化時
間も0.5〜4時間程度必要であるなど、工程に時間も
要するといった問題があった。
【0009】又、特開平4−303477号に提案され
るように、バット本体24の内面26に高粘性アスファ
ルト層を塗着成形するものにあっては、前記高粘性アス
ファルト層自体が柔軟性に富む材質からなるものである
ため、打球時の衝撃によっても前記高粘性アスファルト
層自体が割裂したり、バット本体24の内壁から剥がれ
落ちたりするといった問題はないものの、夏期の炎天下
で使用される時など、野球用バットが高温状態下に晒さ
れた時に、前記高粘性アスファルト層が溶融してバット
本体24の中空部内で流動してしまい(だれてしま
い)、良好な振動吸収性能が得られないといった問題が
ある他、野球用バット自体のバランスも変わってしまう
といった問題があった。そのため、このような高温状態
下に晒された時の前記高粘性アスファルト層のだれを防
止するために、図13に示すように、前記高粘性アスフ
ァルト層29の表面全体を覆うようにだれ防止用の塗膜
30或いは、弾性発泡材からなるコアの配設が必要とな
るが、この分の重量が必然的に嵩んでしまい、近年の野
球用バットの軽量化の流れに逆行してしまうといった欠
点があった。
【0010】又、前記高粘性アスファルト層29をバッ
ト本体24の内面に塗着せしめるにあたって、水溶性の
高粘性アスファルト25をバット本体24に注入する方
法では、水分を完全に蒸発させるまでに非常に時間がか
かるとともに、前記高粘性アスファルト25をバット本
体24の内面26に均一な厚みで塗着せしめるために、
前記バット本体24を前記高粘性アスファルト25がバ
ット本体24の内面26に確実に粘着されるまで回転さ
せ続けなければならず、製造に手間を要するといった問
題があった。又、高温溶融状態とした高粘性アスファル
ト27を噴射ノズル28からバット本体24の内面26
に向けて直接噴射する方法では、高圧で噴射される材料
をバット本体24の内面26に均一な厚み分布で塗着せ
しめることが難しく、更に、噴射ノズル28より噴射さ
れる材料は、噴射後すぐに外気で冷やされて固まってし
まうため、後工程でバット本体24を加熱して再度前記
材料を溶融させて、均一な厚み分布となるように馴染ま
せなければならず、製造に手間がかかるものであった。
【0011】また更に、特開平1−110380号に提
案されるように、中空部31を有するバット本体32の
内壁33に、溶剤型又は、水系の粘着剤或いは、ホット
メルト系の粘着剤34を付設するものにあっては、前記
粘着剤34自体の持つ弾性によってある程度の振動吸収
効果が期待できるものの、溶剤型の粘着剤を用いる場
合、揮発した溶媒が人体や環境に悪影響を与えるといっ
た問題が有り、又、水系の粘着剤にあっては、上記特開
平4−303477号に提案される野球用バットと同様
に材料をバット本体内に注入する際の作業性が悪いとい
った問題があった。更に、ホットメルト系の粘着剤にあ
っては、夏期の炎天下で使用される時或いは、車中に保
管されている時などのように、野球用バットが高温状態
下に晒される際に、前記粘着剤がバット本体32の中空
部31内で軟化流動し、前記粘着剤34が中空部31の
内部で部分的に偏って配置されてしまうといった問題が
あり、当初期待できた振動吸収効果にばらつきが生じて
しまうばかりか、野球用バット自体のバランスも狂って
しまう恐れがあった。
【0012】そこで本発明は、これら上記従来の問題点
に鑑み、長期間に亘って振動吸収性能が持続でき、軽量
で品質に優れ、しかも製造に手間を要しない野球用バッ
ト及びその製造方法を提供することを目的とするもので
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、以下のような構成及び方法とした。即
ち、本発明の請求項1は、内部が空洞となった中空管状
構造を有するバット本体の内面所定個所に、振動吸収部
材を固着させた野球用バットであって、該振動吸収部材
は、加熱することで軟化流動する特性を有し、且つ常温
では流動せず前記バット本体の内面に確実に固着するこ
とのできる粘着性を保持した材料から構成されているこ
とを特徴とする野球用バットである。
【0014】そして、請求項2は、請求項1に係る野球
用バットにおいて、前記振動吸収部材が、80℃〜18
0℃に軟化流動点を有する熱可塑性材料から構成されて
いることを特徴とするものであり、請求項3は、請求項
1又は、2に係る野球用バットにおいて、前記振動吸収
部材が、100℃〜250℃の高温状態において10,
000cps以下の粘度を有することを特徴とするもの
である。
【0015】又、本発明の請求項4は、加熱することで
軟化流動する特性を有し、且つ常温では流動せずバット
本体の内面に確実に固着することのできる粘着性を保持
した材料を振動吸収部材として用い、(1)前記振動吸
収部材を常温にて、前記バット本体の中空部内に連通す
る開孔内に挿入する工程と、(2)前記バット本体を加
熱し、前記開孔内に挿入された振動吸収部材を軟化さ
せ、前記中空部の内面に沿って流動させる工程と、
(3)その後、冷却し、前記振動吸収部材をバット本体
の内面に固着せしめる工程、とからなることを特徴とす
る野球用バットの製造方法である。
【0016】そして、請求項5は、前記請求項4に係る
野球用バットの製造方法であって、前記バット本体の開
孔を上向きにした状態で加熱を行い、前記開孔内に挿入
された振動吸収部材をバット本体の中空部の内面に沿っ
て流動せしめることを特徴とするものである。
【0017】更に、請求項6は、前記請求項4又は、5
記載の野球用バットの製造方法であって、前記開孔は、
前記バット本体の打球部側の先端部或いは、グリップエ
ンド部に設けられていることを特徴とするものである。
【0018】又、請求項7は、前記請求項4、5又は、
6記載の野球用バットの製造方法において、前記振動吸
収部材が、80℃〜180℃に軟化流動点を有する熱可
塑性材料からなることを特徴とするものであり、請求項
8は、前記請求項4、5、6又は、7記載の野球用バッ
トの製造方法において、前記振動吸収部材が、100℃
〜250℃の高温状態に加熱することにより10,00
0cps以下の粘度を有するものであることを特徴とす
るものである。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に、図面と共に詳記する好適
な実施例により本発明を説明する。即ち、図1は、本実
施例の野球用バットの正面図を示し、図2は、図1のa
−a線部における切断端面図を示し、図3は、図1のb
−b線部における切断端面図を示し、図4乃至図5は、
本実施例の野球用バットの製造方法を説明する説明図を
示す。
【0020】即ち、本実施例の野球用バット1は、図1
乃至図3に示すように、打球部2と、テーパー部3とグ
リップ部4とが繊維強化樹脂製の外殻5からなる中空管
状構造を有しており、前記外殻5の内面6には、加熱す
ることで軟化流動する特性を有し、且つ常温では流動せ
ず前記外殻5の内面6に確実に固着することのできる粘
着性を保持した振動吸収部材7が、約0.5mmの略均
一な厚みで塗着せしめられた構成を有している。
【0021】前記振動吸収部材7は、80℃〜180℃
に軟化流動点を有する熱可塑性材料から構成されるもの
であって、常温より高い温度、即ち、80℃以上に加熱
することによって、容易に軟化流動するような粘度とな
り、野球用バット1の中空部の内面の隅々まで容易に注
入させることが可能で、一方常温では、流動性を失うも
ののボール打撃時に衝撃が加わった際においても、前記
振動吸収部材7が外殻5の内面6に確実に固着すること
の出来る粘着性を保持する特性を有するものである。具
体的には、100℃〜250℃に加熱した状態での粘度
が10,000cps以下であり、且つ常温(夏期の炎
天下のもとで使用されることや、高温状態となる車中に
保管されることも勘案して80℃以下)では、流動しな
い粘度となる特性を有する材料が用いられる。
【0022】このような特性を満たす振動吸収部材とし
ては、以下の材料からなる混合物を用いる。即ち、エラ
ストマーとして、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン
ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンブロック共重合
体、スチレン・イソプレンブロック共重合体、ポリイソ
ブチレン、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、再生ゴ
ム等、又、粘着付与剤樹脂として、ロジン、エステルガ
ム、エステルガムH、ポリテルペン樹脂、C5系石油樹
脂、C9系石油樹脂、DCPD系石油樹脂、スチレン系
樹脂、アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹
脂等、軟化剤として、各種可塑剤、ポリブテン、液状粘
着付与剤樹脂、ポリイソブチレン低重合物、ポリビニル
イソブチルエーテル低重合物、ラノリン、解重合ゴム、
プロセスオイル、加硫オイル等、充填剤として、亜鉛
華、酸化チタン、シリカ、水酸化アルミニウム、炭酸カ
ルシウム、硫酸バリウム、澱粉、クレー、タルク等、老
化防止剤として、2.6ジーターシャリブチル−4−メ
チルフェノール、2.5ジーターシャリブチルハイドロ
キノン、メルカブトベンゾイミダゾール、1.1ビスシ
クロヘキサン、フェニールベーターナフチルアミン等、
更に、安定剤、着色剤等を構成成分とし、種々選択組み
合わせたゴム系粘着材料等が挙げられる。
【0023】このような振動吸収部材7を野球用バット
1の外殻5の内面に塗着せしめるには、先ず、図4に示
すように、予め硬化成形された、繊維強化樹脂製のバッ
ト本体8のグリップエンド部9に、前記バット本体1の
中空部10内に連通する開孔11を形成する。次に、常
温にて固形状態の前記振動吸収部材7を前記開孔11内
に挿入できる程度の大きさに裁断し、これを前記開孔1
1内に約5〜10g程度挿入させる。その後、図5に示
すように、前記バット本体8を、前記開孔11を設けた
グリップエンド部9側を上にした状態で、約130℃に
加熱された高温炉の中に入れて加熱し、前記開孔11内
に挿入された振動吸収部材7を軟化させて、前記バット
本体8の中空部10の内面に沿って流動せしめる。その
際、前記グリップエンド部9側で軟化し液状となった振
動吸収部材7は、自重により中空部10の内面6を伝わ
りながら下方に流動していき、中空部10の内面に均一
な振動吸収部材7の膜を作りながら、バット本体8の打
球部2側の先端部12の内面に達する。そして、その
後、前記バット本体8を高温炉の中から取り出して、常
温まで冷却することで、前記振動吸収部材7の流動性を
失わせ、前記中空部10の内面6に振動吸収部材7を確
実に粘着せしめる手段が講じられる。尚、上記の方法に
おいて、振動吸収部材7を中空部10内に流動させるた
めの開孔11は、グリップエンド部9側に設けることに
限定されず、図6乃至図7に示すように、前記開孔11
を打球部2側の先端部12側に設け、振動吸収部材7を
前記開孔11より、グリップエンド部9側に流動せしめ
るようにする方法であっても良いことは勿論である。
【0024】前記振動吸収部材7の中空部10内への投
入量は、概ね5g〜30g、好ましくは5g〜10g程
度が妥当である。5gより少ないと、所望とする振動吸
収の効果が期待できず、又、30gを超えると野球用バ
ット1の重量やバランスに悪影響を与えてしまうといっ
た問題を有する。
【0025】尚、上記実施例においては、振動吸収部材
7を野球用バット1の外殻5の内面6全体に略均一な厚
みで塗着せしめた例を説明したが、本発明はこれに限定
されず、振動吸収部材7の投入量、粘度等を適宜調整す
ることによって、例えば、図8に示すように、打球部2
側の先端部12の内面に塗着される振動吸収部材7の厚
みを他の部位よりも厚く形成することで、その分の重量
を野球用バット1の先端部12側に集中させ、十分な振
動吸収特性を発現させつつ、ハードヒッターに適したト
ップバランス設計の野球用バット1を得ることができる
他、図9に示すように、グリップエンド部9側の内面に
塗着される振動吸収部材7の厚みを他の部位よりも厚く
形成して、その分の重量を野球用バット1のグリップエ
ンド部9側に集中させることにより、初心者や非力なヒ
ッターに適したトップライト設計の野球用バット1を得
ることも可能である。
【0026】
【実施例】振動吸収部材7として、スチレン−イソプレ
ン−スチレン共重合体よりなる合成ゴム系の粘着材料
(日本フーラー(株)製JM−6004−C)を用意し
た。これは、130℃に加熱することで5,000cp
s程度の粘度となって流動性を有し、且つ常温では流動
性が失われるが野球用バット1の内面6に確実に固着す
ることのできる粘着性を保持し続ける特性を有する。
【0027】本実施例では、先ず、この振動吸収部材7
を、常温において、図4に示すように、中空管状構造を
有する繊維強化樹脂製のバット本体8のグリップエンド
部9側に設けられた開孔11内に10g挿入し、その
後、図5に示すように、前記バット本体8を前記開孔1
1が上向きとなる状態で130℃に加熱された高温炉の
中に放置し、前記開孔11内の振動吸収部材7を中空部
10の内面6に軟化流動せしめ、約0.5mmの略均一
な厚みを有する樹脂膜を設けた。その後、前記バット本
体8を冷却して、前記振動吸収部材7をバット本体8の
内面6に固着せしめた。このように冷却された後の振動
吸収部材7は、流動することなくバット本体8の内面6
に確実に粘着されていた。
【0028】上記本実施例の野球用バット1の振動減衰
特性を測定した結果、比較例として用意した振動吸収部
材7を配置しない野球用バットに比して、約10%の振
動減衰性能の向上が図れた。又、この本実施例の野球用
バット1を、実際に夏期の炎天下のもとでプレーヤーに
長期間に亘って使用させたり、高温の車中の中に長時間
放置するなどした後、前記野球用バットの内部を観察し
たところ、振動吸収部材は、野球用バットの外殻から剥
がれ落ちたり、だれたりすることなく、当初の状態が保
持されており、しかも、振動減衰性能の低下も見られな
かった。
【0029】
【発明の効果】以上のように、本発明の野球用バットに
固着される振動吸収部材は、加熱することで軟化して液
状となり、野球用バットの内面の隅々にまで行き渡って
薄肉の膜を形成していき、且つ、常温では流動性を有さ
ず、いつまでも粘着性を保持し、野球用バットの内面に
確実に固着し続ける特性を有するため、打球時の衝撃等
で剥がれ落ちたりすることなく、長期間に亘って振動吸
収性能を持続されることができる。特に、本発明では、
前記振動吸収部材の軟化流動点が、80℃〜180℃に
あるため、夏期の炎天下での使用や高温の車中に保管さ
れる場合等のように過酷な使用条件下においても、前記
材料が軟化してだれを生じるようなことがなく、従来の
野球用バットのように、だれを防止するために前記振動
吸収部材の表面に再度塗膜や発泡材からなるコアを配置
するなど余分な重量をバットに付加する必要がなく効率
的な振動吸収が行えるといった効果を奏するものであ
る。
【0030】また更に、本発明では、上記のような特性
を有する振動吸収部材を野球用バットの中空部の内面に
固着せしめるにあたり、前記振動吸収部材を常温にて、
前記バット本体の中空部内に連通する開孔内に挿入させ
る工程と、前記バット本体を前記開孔が上向きとなる状
態で加熱することによって、前記開孔内に挿入された振
動吸収部材を軟化させ、前記中空部の内面に沿って下方
に流動させる工程と、その後、冷却し、前記振動吸収部
材をバット本体の内面に固着せしめる工程とからなる方
法を採用するものであることから、加熱により軟化して
液状となった前記振動吸収部材はバット本体の中空部の
内面に沿って流動していき、均一な厚み分布を有するよ
うに塗着される。従って、従来の方法のように振動吸収
部材の注入後にバット本体を回転させながら加熱して、
中空部の内面に振動吸収部材を馴染ませるといった面倒
な工程が不要で製造に手間がかからず、しかも、前記振
動吸収部材は、冷却後直ぐに流動性を失ってバット本体
の中空部の内面に確実に固着することから、工程に時間
がかからず、成形サイクルを短縮することができるもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の野球用バットの正面図。
【図2】図1のa−a線部における切断端面図。
【図3】図1のb−b線部における切断端面図。
【図4】本実施例の野球用バットの製造工程を示す説明
図。
【図5】本実施例の野球用バットの製造工程を示す説明
図。
【図6】その他の実施例を示す説明図。
【図7】その他の実施例を示す説明図。
【図8】その他の実施例を示す説明図。
【図9】その他の実施例を示す説明図。
【図10】従来の野球用バットの説明図。
【図11】従来の野球用バットの説明図。
【図12】従来の野球用バットの説明図。
【図13】従来の野球用バットの説明図。
【図14】従来の野球用バットの説明図。
【符号の説明】
1 野球用バット 2 打球部 3 テーパー部 4 グリップ部 5 外殻 6 内面 7 振動吸収部材 8 バット本体 9 グリップエンド部 10 中空部 11 開孔 12 先端部 21 バット本体 22 中空部 23 発泡硬化物 24 バット本体 25 高粘性アスファルト 26 内面 27 高粘性アスファルト 28 噴射ノズル 29 高粘性アスファルト層 30 塗膜 31 中空部 32 バット本体 33 内壁 34 粘着剤

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部が空洞となった中空管状構造を有す
    るバット本体の内面所定個所に、振動吸収部材を固着さ
    せた野球用バットであって、該振動吸収部材は、加熱す
    ることで軟化流動する特性を有し、且つ常温では流動せ
    ず前記バット本体の内面に確実に固着することのできる
    粘着性を保持した材料から構成されていることを特徴と
    する野球用バット。
  2. 【請求項2】 前記振動吸収部材は、80℃〜180℃
    に軟化流動点を有する熱可塑性材料から構成されている
    ことを特徴とする請求項1記載の野球用バット。
  3. 【請求項3】 前記振動吸収部材は、100℃〜250
    ℃の高温状態において10,000cps以下の粘度を
    有することを特徴とする請求項1又は、2記載の野球用
    バット。
  4. 【請求項4】 加熱することで軟化流動する特性を有
    し、且つ常温では流動せずバット本体の内面に確実に固
    着することのできる粘着性を保持した材料を振動吸収部
    材として用い、(1)前記振動吸収部材を常温にて、前
    記バット本体の中空部内に連通する開孔内に挿入する工
    程と、(2)前記バット本体を加熱し、前記開孔内に挿
    入された振動吸収部材を軟化させ、前記中空部の内面に
    沿って流動させる工程と、(3)その後、冷却し、前記
    振動吸収部材をバット本体の内面に固着せしめる工程、
    とからなることを特徴とする野球用バットの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記バット本体の開孔を上向きにした状
    態で加熱を行い、前記開孔内に挿入された振動吸収部材
    をバット本体の中空部の内面に沿って流動せしめること
    を特徴とする請求項4記載の野球用バットの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記開孔は、前記バット本体の打球部側
    の先端部或いは、グリップエンド部に設けられているこ
    とを特徴とする請求項4又は、5記載の野球用バットの
    製造方法。
  7. 【請求項7】 前記振動吸収部材は、80℃〜180℃
    に軟化流動点を有する熱可塑性材料からなることを特徴
    とする請求項4、5又は、6記載の野球用バットの製造
    方法。
  8. 【請求項8】 前記振動吸収部材は、100℃〜250
    ℃の高温状態に加熱することにより10,000cps
    以下の粘度を有するものであることを特徴とする請求項
    4、5、6又は、7記載の野球用バットの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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