JP2001031592A - キチン・キトサンによるハロゲン含有医薬の副作用防止方法及びそのための配合剤 - Google Patents

キチン・キトサンによるハロゲン含有医薬の副作用防止方法及びそのための配合剤

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JP2001031592A
JP2001031592A JP11203762A JP20376299A JP2001031592A JP 2001031592 A JP2001031592 A JP 2001031592A JP 11203762 A JP11203762 A JP 11203762A JP 20376299 A JP20376299 A JP 20376299A JP 2001031592 A JP2001031592 A JP 2001031592A
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Hiromichi Okuda
拓道 奥田
Yoshiyuki Kimura
善行 木村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 適当なmodulatorと併用することに
より、ハロゲン含有医薬の経口投与によって発生する副
作用を防止する方法及びそのための配合剤を提供する。 【解決手段】 ハロゲン含有医薬とキチン・キトサンを
併用投与する際に、少なくともキチン・キトサンを溶腸
形態であるカプセル剤として患者に経口投与し、ハロゲ
ン含有医薬の、例えばクロルメチンの経口投与による副
作用である骨髄障害、すなわち白血球減少、及び悪心、
嘔吐、食欲不振、頭痛の発現を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハロゲン含有医薬
とキチン・キトサンの併用治療方法に関し、詳細には、
ハロゲン含有医薬の経口投与法におけるキチン・キトサ
ンの併用によるハロゲン含有医薬の副作用防止方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来から、分子構造中にハロゲンを含有
する医薬は、降圧利尿剤、動脈硬化治療剤、消化器官用
剤及び抗悪性腫瘍剤として使用されてきた。このような
降圧利尿剤としては、塩酸クロニジン(化学組成、2−
(2,6−ジクロロフェニルアミノ)−2−イミダゾリ
ン塩酸塩)、クロルメドリン(〔3−(クロロマーキュ
リ)−2−メトキシプロピル)尿素、ヒドロクロロチア
ジド(6−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,2,
4−ベンゾチアジアジン−7−スルホンアミド−1,1
−ジオキシド)、フルメチアジド(6−(トリフルオロ
メチル)−2H−1,2,4−ベンゾチアジジン−7−
スルホンアミド−1,1−ジオキシド)、メフルシド
(4−クロロ−N’−メチル−N’−(2−メチル−テ
トラヒドロフルフリル)−1,3−ベンゼンジスホンア
ミド)、トリクロルメチアジド(3−ジクロロメチル−
6−クロロ−7−スルファモイル−3,4−ジヒドロ−
1,2,4−ベンゾチアジン−1,1−ジオキシド、チ
クロペンチアジド(6−クロロ−3−シクロペンチルメ
チル−3,4−ジヒドロ−7−スルファモイル−(2
H)−1,2,4−ベンゾチアジジン−1,1−ジオキ
シド)、チクロチアジド(6−クロロ−3−シクロペン
チルメチル−3,4−ジヒドロ−7−スルファモイル−
(2H)−1,2,4−ベンゾチアジアジン−1,1−
ジオキシド)、ベンツチアジド(3−〔(ベンジルチ
オ)メチル〕−6−クロロ−1,2,4−ベンゾチアジ
ン−7−スルホンアミド−1,1−ジオキシド)、ベン
チルヒドロクロロチアジド(3−ベンジルヒドロクロロ
チアジド)が挙げられる。
【0003】動脈硬化治療剤としては、トリパラノール
(1−〔p−(2−ジエチルアミノエトキシ)フェニ
ル〕−1−(p−トリル)−2−(p−クロロフェニ
ル)エタノール)、クロフィブレート(エチル−α−
(p−クロロフェノキシ)イソブチラート、シンフィブ
ラート(1,3−プロピル−ビス−(2−p−クロロフ
ェノキシ−2−メチルプロパノエート)、アルフィブラ
ート(ビス〔2−クロロフェノキシ)−2−メチルプロ
ピオネート〕ヒドロキシアルミニウムが挙げられる。
【0004】消化器官用剤としては、キノホルム(5−
クロロ−7−ヨード−8−キノリノール)、クロルキナ
ルドール(5,7−ジクロロ−8−ヒドロキシキナルジ
ン)、キノヨジン(7−ヨード−8−ヒドロキシキノリ
ン−5−スルホン酸)が挙げられるが、スモン病との関
連によりわが国では用いられていない。
【0005】抗悪性腫瘍剤としては、クロルメチン
(2,2’−ジクロロ−N−メチルジエチルアミン塩酸
塩)、ナイトロジェンマスタード−N−オキシド(メチ
ル−ビス(β−クロロエチル)アミン−N−オキシド塩
酸塩)、シクロホスファミド(N,N−ビス−(β−ク
ロロエチル)−N,O−プロピレン−リン酸エステルジ
アミド、クロラムブチル、マンノムスチン(1,6−ビ
ス〔(2−クロロエチル)アミノ〕−1,6−ジデオキ
シ−d−マンニトール−2−塩酸塩)、ジブロモマンニ
トール(1,6−ジブロモ−1,6−ジオキシ−d−マ
ンニトール)、メルファラン(p−ジ(2−クロロエチ
ル)−アミノ−L−フェニルアラニン)、ウラムスチン
(5−〔ビス(2−クロロエチル)アミノ〕ウラシ
ル)、カルムスチン(1,3−ビス(2−クロロエチ
ル)−1−ニトロソ尿素)、ロムスチン(1−(2−ク
ロロエチル)−3−シクロヘキシル−1−ニトロソ尿
素)、イフォスファミド(N−(2−クロロエチル)−
N’−(2−クロロエチル)−N’,O−プロピレンリ
ン酸エステルジアミド)、ピポブロマン(1,4−ビス
(3−ブロモプロピオニル)ピペラジン)、フルオロウ
ラシル(5−フルオロウラシル)、1−(2−テトラヒ
ドロフリル)−5−フルオロウラシルが挙げられる。
【0006】一方、キチン・キトサンも試験管内試験で
NK(リンパ球の癌細胞を殺す作用)やLAK(YAC
−1癌細胞を殺す作用)活性に対する増強効果があるこ
とが知られている(奥田拓道著:キチン・キトサン 基
礎と薬理、85−86頁、(1998)、薬局新聞社
刊)。
【0007】しかして、キチン・キトサンは、キチンと
キトサンの混合物である。キチンは、N−アセチル−β
−D−グルコサミン残基が5000以上も1→4結合し
た分子量100万以上の多糖である。このキチンは、カ
ニ、エビなどの甲殻類、オキアミの皮殻、カブトムシ、
バッタなどの昆虫類の甲皮、ハマグリ、カキなどの貝
類、イカの骨、菌類の細胞壁など生物中に存在する多糖
で、生物界で年間1000億トンつくられていると推測
されている。
【0008】現在のところ、カニやエビの甲殻からキチ
ン・キトサンが単離されている。カニやエビの甲殻に約
5%塩酸溶液を加えると、甲殻に含まれるCaCO
がCaClとCOに変わり、炭酸ガスが発生す
る。このようにして脱灰した甲殻を約5%水酸化ナトリ
ウム中に浸すと、タンパク質が溶け出す。残った不溶物
がキチンである。このキチンに40〜45%水酸化ナト
リウム溶液を加え80〜120℃で処理すると、下記の
化学構造式で示すように、キチンのアミノ基に結合した
アセチル基がはずれてキトサンに変わる。カニ、エビの
甲殻からの収量は15〜30%である。
【0009】
【化1】
【0010】しかし、このような処理で調製したキトサ
ンも100%の純度ではなく、通常10〜20%のキチ
ンを含んでいる。キチンには、毒性はないといわれてい
る。また、キトサンもブドウ糖や砂糖の毒性に比べて著
しく低いとされている。ブドウ糖や砂糖の致死量は犬で
8〜12g/kgといわれるが、平野教授は、マウスに
キトサンを体重1kg当たり18g経口投与しても何ら
毒性は認められなかったと報告している(平野茂博、
「別冊フードケミカル」I、pp.1−4(198
7)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の降圧
利尿剤には、口渇、めまい、悪心、食欲不振、便秘、嘔
吐、下痢、下腹部痛などの胃腸障害、高尿酸血症、高血
糖症、電解質失調、血小板減少症、白血球減少症などの
血液障害、肝機能の悪化、発疹等の過敏症状、口内炎、
脱力感などの副作用があらわれることが多かった。
【0012】また、動脈硬化治療剤には、脱毛、白毛、
白内障、肝障害、精力減退、悪心、下痢、食欲不振、胃
部不快感、皮膚発赤、めまいなどの副作用があらわれる
ことが多かった。
【0013】更に、抗悪性腫瘍剤には、骨髄障害、悪
心、嘔吐、食欲不振、頭痛、白血球減少、出血傾向、下
痢、倦怠感、リンパ球減少、脱毛、肝機能低下、めま
い、不眠、血小板減少、栓球減少、発疹、口膣粘膜の潰
瘍、かゆみ、血管痛、口内炎等の強い副作用があらわれ
ることが多かった。
【0014】上記のような、ハロゲン含有医薬が前記の
ような種々の副作用をあらわすのは、腸壁より前記ハロ
ゲン含有医薬が急速に吸収されて、その血中濃度が高く
なるためであろうと考えられる。
【0015】そして、医薬に徐方性を付与する手段とし
て、マイクロカプセル化、顆粒化、錠剤化、カプセル封
入等の手段が既に講じられ、副作用の比較的少ない医薬
ではそれなりの効果をあげてきた。しかしながら、副作
用の激しい医薬ではこの手段だけでは十分でなく、例え
ば副作用の強い抗癌剤では、適当なmodulator
を配合しなければ副作用が抑えられないことが、5−フ
ルオロウラシルについて報告されている(白坂哲彦等、
癌と化学療法、26巻、4号、456−466頁(19
99))。
【0016】本発明は、このような従来の欠点に鑑みて
なされたもので、その目的は適当なmodulator
を配合することにより、ハロゲン含有医薬の経口投与に
よって発生する副作用を防止する方法を提供することで
ある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、ハロゲン
含有医薬の経口投与によっても依然発生する副作用を防
止する法について鋭意研究を行い、キチン・キトサンと
併用することにより、上記したような降圧利尿剤、動脈
硬化治療剤、抗悪性腫瘍剤等のハロゲン含有医薬投与に
よる種々の副作用防止が効果的に達成できることを見出
して本発明を完成するに至った。
【0018】すなわち、本発明によれば、下記のキトサ
ンによるハロゲン含有医薬の副作用防止方法及びそのた
めの配合剤が提供されて、本発明の上記目的が達成され
た。
【0019】(1) ハロゲン含有医薬とキチン・キト
サンを併用して経口投与する治療方法であって、少なく
ともキチン・キトサンを溶腸形態で投与することを特徴
とするハロゲン含有医薬の副作用防止方法。 (2) 前記溶腸形態がカプセル剤である前記(1)記
載の方法。 (3) 前記カプセル剤が硬カプセル剤又は軟カプセル
剤のいずれかである前記(1)又は(2)記載の方法。 (4) 前記カプセル剤が二重カプセル剤であって、内
部カプセル剤にハロゲン含有医薬を、内部カプセル剤を
包囲する外部カブセル剤にキチン・キトサンを充填する
前記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。 (5) 前記カプセル剤が2室分画方式カプセル剤であ
って、各区画にハロゲン含有医薬又はキチン・キトサン
をそれぞれ別個に充填する前記(1)〜(3)のいずれ
かに記載の方法。 (6) 前記溶腸形態が錠剤である前記(1)記載の方
法。 (7) 前記溶腸形態がレジネートである前記(1)記
載の方法。 (8) ハロゲン含有医薬とキチン・キトサンを同時投
与する前記(1)記載の方法。 (9) キチン・キトサン経口投与後ハロゲン含有医薬
を経口投与する前記(1)記載の方法。 (10) キチン・キトサンをハロゲン含有医薬に対し
重量比で3倍〜3000倍併用する前記(1)記載の方
法。 (11) キチン・キトサンをハロゲン含有医薬に対し
重量比で12倍〜600倍併用する前記(1)記載の方
法。
【0020】(12) 前記(1)記載のハロゲン含有
医薬の副作用防止方法に使用するための溶腸形態に作製
されたハロゲン含有医薬とキチン・キトサンの配合剤。 (13) 前記溶腸形態のハロゲン含有医薬とキチン・
キトサンの配合剤がカプセル剤である前記(12)記載
の配合剤。 (14) 前記カプセル剤が硬カプセル剤又は軟カプセ
ル剤のいずれかである前記(12)又は(13)記載の
複合剤。 (15) 前記カプセル剤が内部カプセル剤がハロゲン
含有医薬充填カプセル剤で、内部カプセル剤を包囲する
外部カプセル剤がキチン・キトサン充填カプセル剤であ
る前記(12)〜(14)のいずれかに記載の配合剤。 (16) 前記カプセル剤が一方の区画にハロゲン含有
医薬が、他方の区画にキチン・キトサンがそれぞれ別個
に充填されている2室分画カプセル剤である前記(1
2)〜(14)のいずれかに記載の配合剤。 (17) 前記溶腸形態のハロゲン含有医薬とキチン・
キトサンの配合剤が錠剤である前記(12)記載の配合
剤。 (18) 前記溶腸形態のハロゲン含有医薬とキチン・
キトサンの配合剤がレジネートである前記(12)記載
の配合剤。 (19) 前記溶腸形態の配合剤中に、キチン・キトサ
ンをハロゲン含有医薬に対し重量比で3倍〜3000倍
添加する前記(12)記載の配合剤。 (20) 前記溶腸形態の配合剤中に、キチン・キトサ
ンをハロゲン含有医薬に対し、重量比で12倍〜600
倍添加する前記(12)記載の配合剤。 (21) 前記ハロゲン含有医薬及びキチン・キトサン
とも粉末である前記(12)〜(20)のいずれかに記
載の配合剤。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳しく説明する。本発明に用いられるハロゲン含有医
薬は、上記に説明した化学構造及び副作用を有するもの
であるが、その代表例として抗悪性腫瘍剤クロルメチン
について説明する。。
【0022】クロルメチンは、前記したように化学組成
が、2,2’−ジクロロ−N−メチルジエチルアミン塩
酸塩で、無臭で水に溶けやすい、吸湿性の白色針状晶の
物質である。そして、急性・慢性白血病、真性赤血球増
多症、ホジキン病、細網肉腫、肺癌の治療に有効な抗癌
剤である。
【0023】クロルメチンは、普通は水、生理食塩水又
はブドウ糖に溶解し、徐々に静脈注射により投与され
る。しかしながら、このような静脈注射法では、血中半
減期が長く、そのため骨髄障害、悪心、嘔吐、食欲不
振、頭痛などの副作用が強くあらわれるという欠点があ
った。
【0024】このような副作用を抑えながら制癌作用を
持続させるためには、クロルメチンを低濃度でより長く
血液中に存在させることが必要であることが容易に考え
られる。ところで、キチン・キトサンが食塩中の塩素と
結合して、糞中に排泄され、血清塩素が上昇しないた
め、血圧の上昇が阻止されることが知見された(奥田拓
道著、キチン・キトサン 基礎と薬理、18−35頁、
1994年6月20日、株式会社薬局新聞発行)。
【0025】そこで、本発明者等は、NaCl
と同様にその構造中にClを有するクロルメチンの
modulatorとしてのキチン・キトサンの可能性
について検討を行った。両者の間の相互作用は下記の化
学式に示す如く考えられる。
【0026】
【化2】
【0027】上記反応図式にクロルメチンの化学構造を
示したが、塩素は塩酸塩としてアミンに結合したままマ
イナスに荷電し、プラスに荷電しているキトサンがゆる
く結合する可能性がある。これはゆるい結合なので、食
塩の場合のように塩素単独のときの如く固く結合するこ
となく、糞中に排泄されることなく、せいぜい、クロル
メチンを腸管内に止めておく程度である。そしてこのこ
とが、クロルメチンを低濃度でより長く血液中に存在さ
せること、そして副作用を抑えながら制癌作用を持続さ
せることに連なると考えられる。
【0028】本発明で使用するキチン・キトサンは、経
口投与する際に胃の中の塩素により無駄に消費されるこ
とを防止するために溶腸形態にする必要がある。この溶
腸形態にしたキチン・キトサンとしては、カプセル剤、
錠剤及びレジネートが挙げられる。更にカプセル剤とし
ては、処方箋による硬カプセル剤と、製薬工場であらか
じめ製造される軟カプセル剤の両方を包含する。
【0029】また、カプセルの形状もcapとbody
からなる単純なカプセル、小形の内部カプセルにクロル
メチンを充填し、これをキチン・キトサンを充填した大
形の外部カプセル中に小形内部カプセルを図3に示すよ
うに包囲するように形成すれば、先ずキチン・キトサン
が腸内で溶解し、その後クロルメチンが溶解するので、
クロルメチンを腸管内に止めておくために好都合であ
る。しかしながら、図4に示すように、カプセルbod
yを適宜隔壁により2分し、各区画にクロルメチンとキ
チン・キトサンを別個に充填するように形成してもよ
い。なお、単純なカプセル内に適切な重量比でクロルメ
チンとキチン・キトサンを配合充填することや、後者の
みをカプセルに入れ前者をそのまま、又はオブラートで
包む等して同時又は適宜時間差を設けて、好ましくはク
ロルメチンを後から経口投与するなど、患者の好みに合
わせて投与することは何等限定を受けることなく実施で
きる。
【0030】錠剤としては、圧縮錠剤及び湿性錠剤のい
ずれでもよく、要は剤皮をかけることにより溶腸形態に
できるものであれば、何等の制限なく使用できる。ま
た、徐放製剤を形成するものとして、薬物とイオン交換
樹脂を結合したもので、腸液中のアルカリで徐々にイオ
ン交換が行われて、薬物を放出し、その徐放出性を利用
して持続性製剤に応用されるものであれば、何等の制限
なく使用できる。
【0031】本発明においては、キチン・キトサンをク
ロルメチンに対し重量比で3倍〜3000倍配合併用す
ることが好ましく、12倍〜600倍配合併用すること
が更に好ましい。キチン・キトサンのクロルメチンに対
する重量比が3倍以下では、クロルメチンを腸管内に止
めておくこと、ひいてはクロルメチンを低濃度でより長
く血液中に存在させる能力が低下して、クロルメチンの
副作用を防止する観点からは好ましくない。一方、30
00倍以上では、副作用防止の点に限定するならば、無
駄になるキチン・キトサンの量が増加するだけで好まし
くない。但し、高血圧症、高脂血症、食欲増進、肥満対
策、肩こり・腰痛の改善などの健康食品としての効果も
併せ望むならば、この限りではない。
【0032】本発明で使用するクロルメチン及びキチン
・キトサンの形状は特に限定されないが、カプセル剤、
錠剤等の徐放性の持続製剤にして使用するためには、両
者とも粉末であることが便利で好都合である。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例により何等限定されるも
のではない。また実施例及び比較例を通じてパーセント
は格別の指示なき限り、すべて重量表示による。
【0034】試験材料:キチン・キトサンは、富士バイ
オ(株)の製品を使用したが、キトサンは塩酸塩に転換
されて、固有粘度が約113cPであった。粘度法によ
る平均分子量は約500〜700キロダルトンで、アセ
チル化度は14%であった。以後簡単化のために単にキ
トサンと略記するが、正確にはキトサン86%とキチン
14%からなるものである。クロルメチンは、米国Me
rk Sharp社の製品Mustargen hyd
rochlorideを使用した。
【0035】実施例1 顆粒剤 クロルメチン50部、キトサン600部、乳糖600
部、結晶セルロース330部及びヒドロキシプロピルセ
ルロース20部をよく混和し、ロール型圧縮機を使用し
て圧縮し、破砕して、16〜60メッシュに篩分し、顆
粒とした。
【0036】実施例2 錠剤 クロルメチン30部、キトサン360部、結晶乳糖12
0部、結晶セルロース147部及びステアリン酸マグネ
シウム3部をV型混合機で混合した後、打錠し、1錠3
00mgの錠剤を得た。
【0037】実施例3 カプセル剤 クロルメチン10部とキトサン120部を乳鉢中で良く
混和し、直径3mm、長さ14mmのカプセルに充填し
てカプセル剤を得た。
【0038】実施例4 溶出試験 上記で得た製剤について、リン酸緩衝液(pH8.0)
を使用し、溶出液900ml、37℃、パドル回転数1
00rpmの条件下に溶出試験を行い、溶出挙動を観察
した。
【0039】結果及び考察 図1から、3種類のクロルメチンに対して12部のキト
サンを配合した製剤とも、溶出開始までの時間は異なる
が、いずれもクロルメチンが溶出していることがわか
る。しかも、カプセル剤が溶出開始時間が長いだけでな
く、溶出速度もゆっくりしていることがわかる。更に、
小腸下部から大腸にわたるpHの高い部位で、クロルメ
チンを溶出させることが可能であることがわかる。な
お、クロルメチンの針状結晶を粉砕したものは、前記リ
ン酸緩衝液に極めて迅速容易に溶解した。
【0040】実施例5 キトサン配合倍率による溶出速度の変化 上記実施例4において、同一キトサン配合倍率での比較
試験において、カプセル剤がクロルメチンの溶出速度の
抑制に最も効果的であることがわかったので、クロルメ
チンに対するキトサンの重量比を12倍、50倍、10
0倍、200倍、400倍及び600倍に変化させて、
実施例4と同一の条件で溶出試験を繰り返し、溶出挙動
を観察した。
【0041】結果及び考察 上記各倍率のカプセル剤のリン酸緩衝液中における湧出
挙動は図2に示す通りであり、キトサンの配合倍率を大
きくするにつれて、溶出開始までの時間を長くすると共
に、クロルメチンの溶出速度も順次低下することができ
る。すなわち、キトサンの配合倍率を変えることによ
り、小腸から大腸における所望時間の経過後にクロルメ
チンを溶出することができると共に、血中濃度を低下さ
せることができる。
【0042】上記の実施例は、抗悪性腫瘍剤であるクロ
ルメチンを例にとって説明したが、キトサンは他のハロ
ゲン含有医薬とも、ハロゲンの電離度の強弱による多少
の相違はあるものの、イオン結合という共通の結合方式
により、かなりゆるく又は少しゆるく結合するので、同
様の溶出抑制効果があらわれることは、当業者にとって
容易に推定できることである。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、キチン・キトサンとハ
ロゲン含有医薬とのイオン結合がゆるく行われるので、
溶出速度を低下させ、ひいてはハロゲン含有医薬の血中
への吸収速度を低下させることにより、ハロゲン含有医
薬の副作用防止剤として可能性を有し、しかも血液中の
ハロゲン含有医薬の濃度を低くするので、患部細胞には
取り込まれるが、正常細胞には取り込まれにくくなるだ
けでなく、より長い時間ハロゲン含有医薬が存在するこ
とで、患部細胞に対する作用が強くなる可能性も期待で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】クロルメチンの溶出挙動に及ぼす試験製剤の形
態の影響を示すグラフである。
【図2】クロルメチンの溶出挙動に及ぼすキチン・キト
サンの配合倍率(重量比)の影響を示すグラフである。
【図3】二重カプセルの断面略図である。
【図4】2室分画方式カプセルの断面略図で、(a)は
両端キャップ方式、(b)は1端キャップ方式カプセル
を示す。
【符号の説明】 1 可動式中間隔壁板 11 顆粒剤 12 錠剤 13 カプセル剤 14 キトサンの配合倍率12倍 22 キトサンの配合倍率50倍 23 キトサンの配合倍率100倍 24 キトサンの配合倍率200倍 25 キトサンの配合倍率400倍 26 キトサンの配合倍率600倍

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハロゲン含有医薬とキチン・キトサンを
    併用して経口投与する治療方法であって、少なくともキ
    チン・キトサンを溶腸形態で投与することを特徴とする
    ハロゲン含有医薬の副作用防止方法。
  2. 【請求項2】 前記溶腸形態がカプセル剤である請求項
    1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記カプセル剤が硬カプセル剤又は軟カ
    プセル剤のいずれかである請求項1又は2記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記カプセル剤が二重カプセル剤であっ
    て、内部カプセル剤にハロゲン含有医薬を、内部カプセ
    ル剤を包囲する外部カプセル剤にキチン・キトサンを充
    填する請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記カプセル剤が2室分画方式カプセル
    剤であって、各区画にハロゲン含有医薬又はキチン・キ
    トサンをそれぞれ別個に充填する請求項1〜3のいずれ
    か1項記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記溶腸形態が錠剤である請求項1記載
    の方法。
  7. 【請求項7】 前記溶腸形態がレジネートである請求項
    1記載の方法。
  8. 【請求項8】 ハロゲン含有医薬とキチン・キトサンを
    同時投与する請求項1記載の方法。
  9. 【請求項9】 キチン・キトサン経口投与後ハロゲン含
    有医薬を経口投与する請求項1記載の方法。
  10. 【請求項10】 キチン・キトサンをハロゲン含有医薬
    に対し重量比で3倍〜3000倍併用する請求項1記載
    の方法。
  11. 【請求項11】 キチン・キトサンをハロゲン含有医薬
    に対し重量比で12倍〜600倍併用する請求項1記載
    の方法。
  12. 【請求項12】 請求項1記載のハロゲン含有医薬の副
    作用防止法に使用するための溶腸形態に作製されたハロ
    ゲン含有医薬とキチン・キトサンの配合剤。
  13. 【請求項13】 前記溶腸形態のハロゲン含有医薬とキ
    チン・キトサンの配合剤がカプセル剤である請求項12
    記載の配合剤。
  14. 【請求項14】 前記カプセル剤が硬カプセル剤又は軟
    カプセル剤のいずれかであ請求項12又は13記載の複
    合剤。
  15. 【請求項15】 前記カプセル剤が内部カプセル剤がハ
    ロゲン含有医薬充填カプセル剤で、内部カプセル剤を包
    囲する外部カプセル剤がキチン・キトサン充填カプセル
    剤である請求項12〜14のいずれか1項記載の配合
    剤。
  16. 【請求項16】 前記カプセル剤が一方の区画にハロゲ
    ン含有医薬が他方の区画にキチン・キトサンがそれぞれ
    別個に充填されている2室分画カプセル剤である請求項
    12〜14のいずれか1項記載の配合剤。
  17. 【請求項17】 前記溶腸形態のハロゲン含有医薬とキ
    チン・キトサンの配合剤が錠剤である請求項12記載の
    配合剤。
  18. 【請求項18】 前記溶腸形態のハロゲン含有医薬とキ
    チン・キトサンの配合剤がレジネートである請求項12
    記載の配合剤。
  19. 【請求項19】 前記溶腸形態の配合剤中に、キチン・
    キトサンをハロゲン含有医薬に対し重量比で3倍〜30
    00倍添加する請求項12記載の配合剤。
  20. 【請求項20】 前記溶腸形態の配合剤中に、キチン・
    キトサンをハロゲン含有医薬に対し重量比12倍〜60
    0倍添加する請求項12記載の配合剤。
  21. 【請求項21】 前記ハロゲン含有医薬及びキチン・キ
    トサンとも粉末である請求項12〜20のいずれか1項
    記載の配合剤。
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