JP2001030092A - 真空ろう付用アルミニウム合金ブレージングシート - Google Patents

真空ろう付用アルミニウム合金ブレージングシート

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JP2001030092A
JP2001030092A JP20396199A JP20396199A JP2001030092A JP 2001030092 A JP2001030092 A JP 2001030092A JP 20396199 A JP20396199 A JP 20396199A JP 20396199 A JP20396199 A JP 20396199A JP 2001030092 A JP2001030092 A JP 2001030092A
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Takenobu Doko
武宜 土公
Tomonori Yamada
知礼 山田
Yoshiaki Ogiwara
吉章 荻原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄肉化しても、ブレージングシート自体及び
このブレージングシートを使用した熱交換器等が優れた
外部耐食性を示す真空ろう付用ブレージングシートを提
供する。 【解決手段】 0.5wt%以上2wt%未満のMn、
0.1wt%以上1wt%未満のCuを含有したアルミ
ニウム合金を芯材とし、その片面に0.5wt%以上2
wt%未満のMn、0.05wt%未満のSnを含有し
たアルミニウム合金を中間層として30μm以上100
μm以下被覆し、中間層を有する側の面に0.001w
t%以上0.05wt%未満のSnを含有したAl−S
i−Mg系合金ろう材層を60μm以上100μm以下
の厚さで被覆し、中間層を有しない側の面にAl−Si
−Mg系合金層を60μm以上100μm以下の厚さで
被覆した厚さ0.45mm以下の真空ろう付用アルミニ
ウム合金製ブレージングシート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車および各種産
業用熱交換器を真空ろう付法により組み立て接合する際
に使用するブレージングシートに関するものであり、特
にプレス成形してタンク部および冷媒通路を構成する熱
交換器等に使用された場合、優れた耐食性を有するブレ
ージングシートに関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム合金製の複雑な構造体を製
造する場合、ろう付法は有効な手段であり、特にフラッ
クスを必要としない真空ろう付法は公害の心配がないこ
とから盛んに行われている。真空ろう付はアルミニウム
合金を芯材とし、その片面または両面にアルミニウム合
金ろう材を皮材としてクラッドしたブレージングシート
を用いて各種形状に成形し、これらの部材を所定の構造
体例えば熱交換器に組み立て、これを真空中で加熱して
ろう付を行う方法である。こうした真空ろう付により製
造されるものとしては、自動車用のアルミニウム合金製
熱交換器でオイルクーラー、インタークーラー、カーエ
アコン用のエバポレータ等の積層型構造で中空構造を有
するものを代表的なものとして上げることができる。図
1は積層型エバポレータの斜視図である。図1はエバポ
レータを示し、このエバポレータは冷媒通路を形成する
ようプレス成形したブレージングシートからなるタンク
プレート(1)を積層し、その間にコルゲート加工した
フィン材(2)を配設し、真空ろう付けで接合される。
図中3はサイドプレートであり、4は冷媒の入口管、5
は冷媒の出口管である。またAは熱交換器のタンク部で
冷媒通路の外側に相当する側、Bは熱交換器のタンク部
で冷媒通路の内側に相当する側、Cは図2に模式的に示
した部分を示す。通常、タンクプレート(1)にはJI
S3003(Al−0.15wt%Cu−1.1wt%
Mn)やJIS3005(Al−1.1wt%Mn−
0.4wt%Mg)等の3000系合金を芯材とし、そ
の片面、または両面にJIS4004(Al−10wt
%Si−1.5wt%Mg)、JIS4104(Al−
10wt%Si−1.5wt%Mg−0.1wt%B
i)合金等のろう材をクラッド率10〜15%でクラッ
ドした板厚0.6〜1.2mmのアルミニウム合金製ブ
レージングシートが用いられる。また、フィン材(2)
としてはJIS1000系、3000系等のアルミニウ
ム材またはアルミニウム合金材が板厚0.08〜0.3
mmで使用されている。真空ろう付けは10−5〜10
−4torr台の真空中で約600℃に加熱して行われ
る。真空ろう付けではブレージングシートのろう材中に
添加されたMgが400℃付近から徐々に蒸発し始め、
炉内酸化性ガスをHO+Mg→MgO+H、O
2Mg→2MgOの反応に従うゲッター作用で除去する
とともに蒸発時にろう材表面の酸化皮膜の破壊作用を行
いろう付けを可能にする。
【0003】自動車の軽量化に伴い、これらの熱交換器
の材料板厚の薄肉化が要求される一方で、自動車の使用
環境はさまざまであることから、耐食性のあるブレージ
ングシートの開発が要求されている。そのためアルミニ
ウム合金中で耐食性に寄与する元素であるCuやZn等
が耐食性に及ぼす影響について調べられている。特にC
uの添加は、アルミニウムの電位を貴にするため、耐食
性を向上する目的でブレージングシートの芯材に添加さ
れる。しかし、芯材中に添加したCuは、ろう付加熱時
に溶融したろう材層中に拡散し、ろう付加熱後にろう材
が凝固する際に共晶部に排出、濃化される。そのため、
芯材にCuが多いブレージングシートほど、ろう材が再
凝固した層の腐食は早く進行する。したがって、ブレー
ジングシートの芯材への耐食性向上のためのCu等の添
加量には限界がある。従来、ろう付加熱時のろう材元素
の芯材への拡散防止、もしくは芯材元素のろう材層への
拡散の防止の目的で芯材とろう材層との間に中間層を設
けた4層のブレージングシートや5層のブレージングシ
ートが検討されている。その中でも、熱交換器の(ドロ
ンカップタイプのエバポレータ等)の外部(外側)耐食
性を高めた真空ろう付用の4層構造のブレージングシー
トとして特開平9−296243号や特開平10−36
932号が提案されている。これらの提案では、熱交換
器の外部耐食性を向上させるために、ろう付加熱時のろ
う材元素の芯材への拡散、芯材元素(Cu等)のろう材
層への拡散の防止のための中間層をろう材層と芯材との
間に設け、さらに、この中間層材の合金組成、厚さ、ク
ラッド率を適正化したものである。
【0004】しかしながら、これらのブレージングシー
トは厚さが0.5mm程度の厚さまでは耐食性に優れて
いるが、それ以下の厚さのブレージングシートでは十分
な耐食性を発揮できない。すなわち、ブレージングシー
トが厚い場合の腐食では、腐食が中間層を過ぎて芯材に
到達しても最終的な貫通までに時間を要することから、
板厚が厚いブレージングシートでは30μm程度以上の
厚さの中間層を設ければ、中間層の厚さが薄くて拡散防
止層として十分に寄与していなくても、一定の耐食性を
確保できる。しかし、ブレージングシートが薄い場合に
は、上記と逆の理由で、中間層厚さが薄いと耐食性を確
保できない。また、ブレージングシートが0.5mm程
度より薄い場合でも、中間層が120μm程度以上あれ
ば、中間層域付近で腐食の進行が停滞するために、耐食
性に優れたブレージングシートとすることができる。し
かし、薄い板厚のブレージングシートで中間層厚さが厚
いということは、ブレージングシート全体に占める中間
層の割合が大きくなっていることであり、工業的にブレ
ージングシートを製造する合わせ圧延工程では中間層の
割合が大きくなると、合わせ時に圧着されていない部分
が生じたり、クラッド率が場所によってばらついて目標
の中間層厚さを確保できない部分が生じるために、生産
性が低下し、薄肉の上記ブレージングシートは工業的な
材料として不適である。また、上記の特開平9−296
243号や特開平10−36932号の4層構造のブレ
ージングシートでは、ろう材層や中間層にSnやZnを
添加することを提案している。ろう材にSn等を添加し
た場合、ろう材層は、中間層や芯材と比べて卑な電位と
なり、犠牲防食層として働いて外部耐食性を高める働き
を有する。そのために、中間層が薄い薄肉のブレージン
グシートでも、ろう材面から中間層面を通って芯材にと
いう順に進行する腐食に対する耐食性を確保できる。し
かし、次のような問題点がある。これを図1のCの部分
を拡大して示す図2の断面模式図で示す。図2におい
て、6は芯材7上にクラッドしたろう材層、8は中間層
であり、9はエバポレータの外側、10はエバポレータ
の冷媒側を示す。このような積層タイプの熱交換器にお
いてDの部分のように、ろう材層のみで外部表面から内
部冷媒まで構成されるろう付部分があり、ろう材層が犠
牲防食層として働くと、その部分が優先的に腐食し、熱
交換器として見た場合に極端に耐食性が低下する。ま
た、中間層にSn等添加してもろう付時の拡散によりろ
う材層に添加した場合と同じことが生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明は、
薄肉化しても、ブレージングシート自体及びこのブレー
ジングシートを使用した熱交換器等が優れた外部耐食性
を示す真空ろう付用ブレージングシートを提供すること
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、薄肉化しても
熱交換器の外部耐食性が低下しない真空ろう付用ブレー
ジングシートについてなされたものであり、さらに詳し
くは、合わせ圧延工程で容易に製造できる厚さの中間層
を有した4層構造のブレージングシートであるにも関わ
らず、ブレージングシートそのものおよび熱交換器のろ
う付部の外部耐食を高めたものである。すなわち、本発
明は、(1)0.5wt%以上2wt%未満のMn、
0.1wt%以上1wt%未満のCuを含有したアルミ
ニウム合金を芯材とし、その片面に0.5wt%以上2
wt%未満のMn、0.05wt%未満のSnを含有し
たアルミニウム合金を中間層として30μm以上100
μm以下被覆し、中間層を有する側の面に0.001w
t%以上0.05wt%未満のSnを含有したAl−S
i−Mg系合金ろう材層を60μm以上100μm以下
の厚さで被覆し、中間層を有しない側の面にAl−Si
−Mg系合金層を60μm以上100μm以下の厚さで
被覆したことを特徴とする厚さ0.45mm以下の真空
ろう付用アルミニウム合金製ブレージングシート、
(2)中間層のSn量を重量比で、ろう材層に含有した
Sn量の1.5倍以下とすることを特徴とする請求項1
の厚さ0.45mm以下の真空ろう付用アルミニウム合
金製ブレージングシートを提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。まず、本発明の芯材合金について説明する。Mn
は強度向上およびろう拡散防止のために真空ろう付用ブ
レージングシートの芯材に一般に添加される元素であ
る。ろう拡散した部分は優先的に腐食が進行するため薄
肉化したブレージングシートの場合できるだけろう拡散
を抑える必要がある。Mnはろう材から拡散するSiを
トラップすることでろう拡散性を向上させる。しかし、
その添加量が2wt%以上の場合、ろう付中に転位をト
ラップしてその転位に沿ったろうの拡散を引き起こすた
めにその上限は2wt%未満とする。また、0.5wt
%未満では上記拡散防止効果および強度向上効果が得ら
れない。Cuは耐食性向上のために、一般に添加される
元素である。0.1wt%以上1wt%未満添加する
が、下限値未満では耐食性向上効果が弱く、上限値以上
では粒界腐食を発生させやすくなり、ろう材の芯材への
拡散量も多くなるため耐食性を低下させる。したがっ
て、Cuの添加範囲は0.lwt%以上1wt%未満と
するが、0.15wt%〜0.5wt%とするのがより
好ましい。MnおよびCuが本発明を構成するための必
須の元素であるが、以下の元素は本発明の効果とは別に
一般的に添加されたり、不純物元素として含有されるも
のである。Mgは強度向上を主目的として添加される場
合がある。その場合上限は0.5wt%とする。上限値
を越えるとろう付中に芯材へのろう拡散量が増えるため
である。Ti、Cr、Zrは鋳造時の組織微細化、強度
向上、耐食性向上等を目的として添加する場合がある。
その際の上限は0.3wt%とする。0.3wt%を越
えると粗大な晶出物を鋳造時に生じ、逆に耐食性や成形
性を害するためである。SiおよびFeは工業的なアル
ミニウム合金中に不純物として含有される元素であり、
それぞれ上限を0.6wt%とするが、0.2wt%以
下とすることがろう拡散の防止と耐食性向上のために望
ましい。Znを添加する場合は、0.4wt%以下とす
る。0.4wt%を越えると本発明で芯材にCuを添加
している効果を阻害するためである。
【0008】以上が芯材に使用する合金であるが、次に
中間層には使用する合金について説明する。中間層の合
金には0.5wt%以上2wt%未満のMn、0.05
wt%未満のSnを含有したアルミニウム合金を使用す
る。Mnは強度向上およびろう拡散防止のために添加す
る。ろう拡散した部分は優先的に腐食が進行するため、
中間層部分でろう拡散を防止しないと、本発明では中間
層の厚さが薄いため、腐食がすぐに芯材まで進行し、中
間層が耐食性向上の効果を有しなくなる。その添加量が
2wt%以上の場合、ろう付中に転位をトラップしてそ
の転位に沿ったろうの拡散を引き起こすためにその上限
は2wt%未満とする。また、0.5wt%未満では上
記拡散防止効果および強度向上効果が得られない。Sn
は合金の腐食の進行を面状にする働きを有する。後述す
るように、本発明ではろう材にもSnを添加するが、ろ
う材層および中間層領域での腐食の進行を面状にするこ
とで、芯材に腐食が到達するまでの時間を長くして耐食
性を向上するものである(詳細はろう材及びろう材層の
説明の際に後述する)。しかし、Snはアルミニウム合
金の電位を卑にする働きを有する。そのため、Snが
0.05wt%以上となると、中間層に沿って腐食が進
行しろう付部の耐食性が低下する。したがって、中間層
に添加するSnは0.05wt%未満とする。下限は制
限はなく、ろう材中のSn含有量が多い場合は中間層の
Sn量の下限は0%でもよいが、通常は0.001%以
上添加すると、確実に効果を発揮できる。中間層のSn
量はろう材層のSn量(ろう材のSn量については後述
する)のl.5倍以下とすることを特に推奨する。ろう
付加熱後に中間層のSn量がろう材層のSn量以下とす
ることが、本発明では望ましいためであり、l.5倍以
下であれば、ろう付中に拡散が生じるためにろう材層と
中間層とのSn量はほぼ等しくなる。1.5倍を越える
と、腐食が中間層に到達した際、ろう材層と中間層との
界面に沿って腐食が進んで、ろう付部の耐食性が低下す
るためである。MnおよびSnが本発明を構成するため
の中間層の必須の元素であるが、以下の元素は本発明の
効果とは別に一般的に添加されたり、不純物元素として
含有されるものである。
【0009】Mgは強度向上を主目的として添加される
場合がある。その場合上限は0.5wt%とする。上限
値を越えるとろう付中に芯材へのろう拡散量が増えるた
めである。Ti、Cr、Zrは鋳造時の組織微細化、強
度向上、耐食性向上等を目的として添加する場合があ
る。その際の上限は0.3wt%とする。0.3wt%
を越えると粗大な晶出物を鋳造時に生じ、逆に耐食性や
成形性を害するためである。SiおよびFeは工業的な
アルミニウム合金中に不純物として含有される元素であ
り、それぞれ上限を0.6wt%とするが、0.2wt
%以下とすることがろう拡散の防止と耐食性向上のため
に望ましい。Znを添加する場合は、0.3wt%以下
とする。0.3wt%を越えると電位的な影響を中間層
に及ぼし、本発明の効果を阻害するためである。Znは
0.05%未満に規制することが望ましい。Cuは0.
05wt%以下とする。芯材のCuの拡散防止層として
の役割を中間層は有しているために、中間層にCuが添
加されると、拡散防止の意味をなさないためである。そ
のため、Cuは本来添加しないことが望ましいが、本発
明の中間層は薄いために、芯材からろう材層へのCuの
拡散を完全には防止できないため、0.05wt%以下
であれば発明に影響を与えない。このアルミニウム合金
中間層は、芯材の一方すなわち熱交換器のタンク部およ
び冷媒通路の外側に相当する面に設け、さらにその上に
ろう材層がクラッドされる。なお、芯材の他方の面には
直接ろう材層がクラッドされる。このようにタンク部お
よび冷媒通路の外側に相当する面に中間層を設ける理由
は、外側の方が腐食環境が苛酷となるためである。
【0010】本発明で中間層の厚さは30μm以上10
0μm以下とする。中間層が薄いとろう付加熱時に芯材
のCuが中間層を通り抜けてろう材層まで拡散するが、
30μm未満では拡散量が多すぎるためである。ろう材
層に達したCuはろうが凝固する際に共晶部に排出、濃
化し耐食性を低下させる。本発明ではブレージングシー
トを薄肉化することで中間層が薄くなった場合に生じる
耐食性低下を課題としているが、本発明の効果の限界が
30μmであり、30μm未満では耐食性を確保できな
い。100μmを上限と定めたのは、中間層の厚さを厚
くすればするだけ、合わせ圧延工程が難しくなり、ブレ
ージングシートの生産性が低下することと、従来の中間
層を設けるタイプのブレージングシートでは薄肉化した
際に外部耐食性が不十分な厚さのためである。すなわ
ち、中間層が150μm程度確保できれば、外部耐食性
を確保することは可能であり、本発明を用いる必要がな
いためである。
【0011】本発明では中間層を介してクラッドしたろ
う材層については、0.001wt%以上0.05wt
%未満のSnを含有したAl‐Si‐Mg系合金ろう材
を用いるのが好ましい。Snは腐食の進行を面状にする
働きを有する。本発明では中間層が薄いために、芯材中
のCuは中間層を越えてろう材層中にまで拡散する。C
uが含有された合金は腐食がピット状に進行する性状が
あるが、これを面状にすることで、芯材に腐食が到達す
るまでの時間を長くして耐食性を向上するものである。
最もSnの働きで重要な点は、ろう材層中のSnは、中
間層を経て芯材へ拡散する際の拡散経路は粒界である
(中間層のSnがろう材や芯材に拡散する際も経路は粒
界)。粒界は同時に芯材のCuがろう材層に向かって拡
散する経路である。すなわち、ろう付後に粒界のCu濃
度は他のマトリックス部より大きくなり、耐食性を低下
する原因となるのだが、その領域にSnを共存させるこ
とで耐食性を向上させるのである。Sn量が0.001
wt%未満では上記効果が認められず、0.05wt%
を越えると、ろう材層中のSnは、0.05wt%を越
えるとろう材層の電位を卑にするために、ろう付部の耐
食性が低下し、ろう材部に沿った腐食が発生する。ま
た、ここでAl−Mg‐Si系合金ろう材とは、400
4(Al‐10wt%Si−1.5%Mg合金)、41
04(Al−10wt%Si−1.2wt%Mg−0.
1wt%Bi)等の通常真空ろう付に使用されているろ
う材合金のことであるが、上記の条件を満たす限り、そ
の種類に限定はない。
【0012】中間層と反対の面のろう材層については、
上記に示したような、一般の真空ろう付に使用されてい
る通常のAl−Mg−Si系合金ろう材を使用すればよ
いが製造の都合で中間層を介してクラッドするろう材と
同じものでも構わない。いずれの側のものも、ろう材層
の厚さは60μm以上100μm以下とするのが好まし
い。100μmを越えると合わせ圧延の歩留まりが低下
し、60μm未満ではろう付性が低下するためである。
本発明のブレージングシートの板厚はブレージングシー
トの用途などで適宜決まるが、特に0.45mm以下の
ブレージングシートにおいて、耐食性を向上する効果が
顕著に発揮できる。板厚は芯材の厚さを適宜変化させる
ことにより、所望の厚さとすることができる。本発明の
ブレージングシートの製造方法自体は従来からのブレー
ジングシートを製造する方法に従って容易に製造するこ
とができる。すなわち、芯材、中間層、ろう材層の所定
のアルミニウム合金材を溶解鋳造し、中間層およびろう
材層は所定の厚さに圧延し、これらを合わせ熱間圧延に
よりクラッド材とし、さらに冷間圧延(必要により焼
鈍)により所定の板厚にする。
【0013】
【実施例】実施例 以下に実施例により本発明を具体的に説明する。表1に
示す組成のアルミニウム合金を、芯材、中間層材、ろう
材層用の合金として準備した。中間層材およびろう材層
は、鋳造後、面削、均質化処理、熱間圧延により所定の
厚さとし、あらかじめ均質化処理および面削を行った芯
材鋳塊と組み合わせて、熱間圧延により厚さ4mmの4
層構造のクラッド材とした。続いて、冷間圧延、焼鈍を
施し、厚さ0.4mmのブレージングシートとした。得
られたブレージングシートの構成および熱間合わせ圧延
での歩留を表2に示す。得られたブレージングシートを
カップにプレス加工し、熱交換器のタンク部に相当する
ように図3の3段のカップを組み合わせ、ろう付加熱を
行い、耐食性評価用の試験片とした。図3において11
はカップ、12は最大孔食深さについての耐食性観察
部、13はろう付部の耐食性観察部をそれぞれ示す。ろ
う付は6.7×10−3Paの真空中で600℃にて3
分の加熱を行った。また、耐食試験はCASS試験に
て、試験開始後の500hおよび1000hで試験片を
取り出し、表面腐食生成物を除去して材料表面の腐食状
況を調査した。評価は光学顕微鏡による焦点深度法で最
大孔食深さを測定した。また、ろう付接合部について
は、腐食試験後の試験片の断面を研磨して調べた。結果
を表2に示す。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】本発明のブレージングシートは中間層を厚
くした製造歩留が悪い比較例と同等以上の耐食性を有し
ている。また、中間層や犠牲層に本発明の範囲を越えて
Snの添加を行った比較例ではろう付部の耐食性が劣っ
ており、Snの添加を行っていないものではブレージン
グシート表面からの耐食性が劣っている。
【0017】
【発明の効果】以上のように本発明では、生産性を低下
させない層数が従来と同じ4層材構成でブレージングシ
ートを薄肉化したにも関わらず、積層タイプの熱交換器
等に使用する際に苛酷な腐食環境にさらされる面の耐食
性を大幅に向上しており、工業上で顕著な効果を奏する
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は積層タイプエバポレータの一例を示す説
明図でその概略断面図である。
【図2】図2はろう材のみで冷媒通路から外面に至る部
分(図1のCの部分)のろう付後の断面模式図である。
【図3】図3は耐食試験を行った3段カップ(6個のカ
ップを組み合わせた)を示す模式図である。
【符号の説明】
1 積層タイプエバポレータ用の冷媒通路構成部材 2 フィン 3 サイドプレート 4 冷媒入口管 5 冷媒出口管 A 熱交換器のタンク部で冷媒通路の外側に相当する側 B 熱交換器のタンク部で冷媒通路の内側に相当する側 C 図2に模式的に示した部分 6 ろう材層 7 芯材 8 中間層 9 外側 10 冷媒側 11 カップ 12 耐食試験孔食観察部 13 耐食試験ろう付部観察部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.5wt%以上2wt%未満のMn、
    0.1wt%以上1wt%未満のCuを含有したアルミ
    ニウム合金を芯材とし、その片面に0.5wt%以上2
    wt%未満のMn、0.05wt%未満のSnを含有し
    たアルミニウム合金を中間層として30μm以上100
    μm以下被覆し、中間層を有する側の面に0.001w
    t%以上0.05wt%未満のSnを含有したAl−S
    i−Mg系合金ろう材層を60μm以上100μm以下
    の厚さで被覆し、中間層を有しない側の面にAl−Si
    −Mg系合金層を60μm以上100μm以下の厚さで
    被覆したことを特徴とする厚さ0.45mm以下の真空
    ろう付用アルミニウム合金製ブレージングシート。
  2. 【請求項2】 中間層のSn量を重量比で、ろう材層に
    含有したSn量の1.5倍以下とすることを特徴とする
    請求項1の厚さ0.45mm以下の真空ろう付用アルミ
    ニウム合金製ブレージングシート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009197300A (ja) * 2008-02-25 2009-09-03 Furukawa-Sky Aluminum Corp 真空ろう付用アルミニウム合金ブレージングシート
JP2019519671A (ja) * 2016-04-19 2019-07-11 ハイドロ アルミニウム ロールド プロダクツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングHydro Aluminium Rolled Products GmbH 腐食保護層を有するアルミニウム複合材料

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