JP2001030066A - Al合金製熱交換器およびその製造方法 - Google Patents
Al合金製熱交換器およびその製造方法Info
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Abstract
ことができる耐エロージョン特性に優れた熱交換器、お
よびその様な熱交換器を製造する為の有用な方法を提供
する。 【解決手段】 Al合金芯材の両面若しくは片面に中間
層を介して若しくは介さずにAl−Si系ろう材または
Al−Si−Mg系ろう材を積層したAl合金ブレージ
ングシート製チューブ材と、Al合金製フィン材が、前
記ろう材を介してろう付けされてなる熱交換器におい
て、前記チューブ材のろう付け前のろう材の芯材側界面
から深さ70μmの位置におけるろう付け後のSi濃度
[Si]70が下記(1)式で規定される値以下である。 [Si]70=芯材中に元々含まれているSi濃度+0.
4%(質量%)…(1)
Description
器および該熱交換器の製造方法に関するものであり、特
にチューブ材とフィン材をろう付けされて構成される熱
交換器におけるエロージョンを抑制した熱交換器、およ
びこの様な熱交換器を製造する為の有用な方法に関する
ものである。
のエバポレーターは、Al合金ブレージングシートを成
形加工したチューブ材とAl合金からなるフィン材とか
ら構成され、両者が真空ろう付け等によってろう付けさ
れて組み立てられている。そして、前記Al合金ブレー
ジングシートとしては、従来からJISA3003等の
Al合金を芯材とし、これにAl−Si系のろう材また
はAl−Si−Mg系ろう材(以下、Al−Si系ろう
材で代表させることがある)をクラッドしたものが使用
されている。
は、そのろう付け工程において、ろう付け炉内温度の均
一化の為に、Al−Si系ろう材の固相線温度付近で数
分間一旦保持し(以下、これを「中間保持」ということが
ある)、その後ろう材を溶融してろう付けを行なう為
に、ろう材の液相線温度〜(液相線温度+15℃)程度
の温度域(ろう付け温度)に加熱、数分間保持すること
が行われている。尚、上記中間保としては、例えば「三
菱重工技報」(Vol.24,No.5)では、858
K(565℃)で5分間の保持が行われている(第52
8頁の図)。また、上記中間保持に至るまでに比較的低
温にて一旦加熱保持して、その後段階的に中間保持温度
まで昇温することも行われている。
器の軽量化ひいてはAl合金ブレージングシートの薄肉
化が求められている。Al合金ブレージングシートを薄
肉化した場合には、熱交換器の耐食性を維持する為にエ
ロージョンを許容腐食深さよりも少なく抑える必要があ
る。ろう付けの際にAlブレーイングシートのろう材が
芯材を侵食し、芯材厚さを減少させる現象を「エロージ
ョン」と呼ぶが、このエロージョンの程度が大きい場合
には、共晶部が優先腐食経路となるので、腐食が助長す
ることが知られている。こうしたことから、特に薄肉化
したAl合金ブレージングシートを用いて熱交換器を構
成した場合には、エロージョンをできるだけ抑制するこ
と(以下、耐エロージョン特性と呼ぶことがある)が要
求される。
術として、例えば特開平2−153048号には、ろう
付けの際に芯材の再結晶を完了させるべく、サブグレイ
ンの残留を防止するという観点から、ブレージングシー
トに予め加工率5〜15%程度の冷間加工を施し、その
後145〜195℃の温度範囲で焼鈍する技術が提案さ
れている。
でない冷間加工や焼鈍工程を製造工程として追加するこ
とになり、製造工程が煩雑になると共に製造コスト高を
招くことになる。
金ブレージングシートとして、Al合金ろう材とAl合
金芯材の間にはエロージョン防止層としてのAl合金中
間層を介在させたものも知られいるが、こういたブレー
ジングシートを用いても耐エロージョン特性の改善には
限度がある。
の下でなされたものであって、その目的は、余分な製造
工程を追加することなく製造することができる耐エロー
ジョン特性に優れた熱交換器、およびその様な熱交換器
を製造する為の有用な方法を提供することにある。
発明の熱交換器とは、Al合金芯材の両面若しくは片面
に中間層を介して若しくは介さずにAl−Si系ろう材
またはAl−Si−Mg系ろう材を積層したAl合金ブ
レージングシート製チューブ材と、Al合金製フィン材
が、前記ろう材を介してろう付けされてなる熱交換器に
おいて、前記チューブ材のろう付け前のろう材の芯材側
界面から芯材側深さ70μmの位置におけるろう付け後
のSi濃度[Si]70が、下記(1)式で規定される値
以下である点に要旨を有するものである。 [Si]70=芯材中に元々含まれているSi濃度+0.4%(質量%)…(1)
Al合金芯材にAl−Si系ろう材材やAl−Si−M
g系ろう材を直接クラッドしたものに限らず、Al合金
ろう材とAl合金芯材の間にAl合金中間層を介在させ
たものも含まれるものであり、この場合のろう材の芯材
側界面とはろう材/中間層の界面となる。
発明方法とは、Al合金芯材の両面若しくは片面に中間
層を介して若しくは介さずにAl−Si系ろう材材また
はAl−Si−Mg系ろう材を積層したAl合金ブレー
ジングシート製チューブ材と、Al合金製フィン材が、
前記ろう材を介してろう付けされてなる熱交換器を製造
するに当たり、前記ろう付けに際して、Al−Si系ろ
う材材またはAl−Si−Mg系ろう材の固相線温度ま
での加熱は、前記チューブ材のろう付け前のろう材の芯
材側界面から芯材側深さ20μmの位置におけるSi濃
度[Si]20が、下記(2)式で規定される値以下とな
る条件で行ない、その後、ろう付け温度を前記Al−S
i系ろう材またはAl−Si−Mg系ろう材の液相線温
度〜(液相線温度+15℃)として、このろう付け温度
に至るまでは10分以内で加熱を行なう点に要旨を有す
るものである。 [Si]20=芯材中に元々含まれているSi濃度+0.7%(質量%)…(2)
の熱処理方法としては、上記の様な熱交換器を製造する
に当たり、(1)ろう付けに際して、前記チューブ材が
Al−Si系ろう材またはAl−Si−Mg系ろう材の
(固相線温度−80℃)〜(固相線温度−10℃)の温
度域にある時間を1〜60分として加熱した後、(固相
線温度−10℃)を超えて(液相線温度〜液相線温度+
15℃)の範囲のろう付け温度に至るまでは10分以内
で加熱を行なうか、或は(2)前記ろう付けに際して、
前記チューブ材がAl−Si系ろう材またはAl−Si
−Mg系ろう材の(固相線温度−10℃)超〜固相線温
度の温度域にある時間を5分未満として加熱した後、固
相線温度を超えて(液相線温度〜液相線温度+15℃)
の範囲のろう付け温度に至るまでは10分以内で加熱を
行なう、等の構成が挙げられる。
Al合金ブレージングシートは、例えばエバポレータで
は芯材の肉厚が0.4mm程度であり、また現状のろう
付け方法(熱処理パターン)によるエロージョン深さ
は、ろう付け前のろう材の芯材側界面から100μm程
度になっている。この様に比較的厚肉のブレージングシ
ートでは、上記の程度のエロージョンが生じてもそれほ
ど問題になることはなかった。しかしながら、近年のブ
レージングシートへの薄肉化(例えば、芯材の肉厚で
0.25mm程度)の要求が高まるにつれて、エロージ
ョン深さが100μm程度であっても腐食が助長される
ことになる。こうしたことから、近年の薄肉化に対応す
るためには、エロージョン深さ(ろう付け前のろう材の
芯材側界面からの深さ、以下同じ)は70μm以下に抑
制することが必要になる。
だけ抑制する為に、様々な角度から検討を重ねてきた。
その結果、ろう材が溶融する前若しくは後のSiの芯材
(または中間層)への拡散状況がエロージョンの生成に
影響を及ぼしていることを明らかにし、ろう付け前若し
くは後の芯材(または中間層)のろう材界面からの所定
深さにおけるSi濃度を適切に制御すれば良いとの着想
が得られた。
を進めた結果、Al合金ブレージングシート製チューブ
材の、ろう付け前のろう材の芯材側界面から深さ70μ
mの位置におけるろう付け後のSi濃度[Si]70が前
記(1)式で規定される値以下(好ましくは、芯材中に
元々含まれているSi濃度+0.4%以下)となる様に
した熱交換器では、上記目的が見事に達成されることを
見出し、本発明を完成した。
における拡散Si濃度プロファイルの一例を示すグラフ
であり、横軸の「距離」は、ろう付け前におけるろう材
の芯材側界面(ろう材/芯材界面またはろう材/中間層
界面)を基準(0μm)としたときの心材若しくは中間
層の芯材側深さを意味する。また、「Si濃度」は、ろ
う付け後の合計Si濃度から、芯材に元々含まれている
Si濃度を除いた値(拡散Si濃度:質量%)を意味す
る。
置を、「ろう付け前」としたのは、ろう付け後ではその
界面がろう材の拡散によって消失してしまうからであ
る。即ち、本発明の熱交換器においては、ろう付け前に
おけるろう材の芯材側界面からの芯材側深さ(距離)が
70μmの位置において、ろう付け後のSi濃度が、芯
材中に元々含まれているSi濃度からの増加量(拡散
量)が0.4質量%以下となる様にすればエロージョン
が希望する程度に抑制され、熱交換器の腐食が低減でき
たのである。
与しているという指摘は、従来にもなされたことがあっ
たが(例えば、「アルミニウムの組織と性質」軽金属学
会発行、p254、図39)、上記の様に具体的にSi
拡散とエロージョンの関係が明らかにされたことはこれ
までになかったのである。
る。上記の様な熱交換器を製造するためには、ろう付け
に際して、Al−Si系ろう材の固相線温度までの加熱
を、前記チューブ材のろう付け前のろう材の芯材側界面
から深さ20μmの位置におけるSi濃度[Si]20が
前記(2)式で規定される値以下(好ましくは、芯材中
に元々含まれているSi濃度+0.5%以下)となる条
件で行なう必要がある。これは、次の様な理由からであ
る。
じることのできる許容エロージョン深さは、前述の如く
70μmであるが、これをろう付け工程を終えた段階で
満足させる為には、ろう材が溶融するまでに(即ち、固
相線温度までの加熱の段階で)Siの拡散をこの程度に
抑える必要があることを、本発明者らが数多くの実験の
結果から明らかにしたのである。
くは中間層における拡散Si濃度プロファイルの一例を
示すグラフであり、横軸の「距離」および縦軸の「Si
濃度」の夫々の意味は前記図1と同じである。本発明の
製造方法においては、ろう材が溶融するまでの芯材若し
くは中間層の拡散Si濃度プロファイルにおいて、ろう
材の芯材側界面からの芯材側深さ(距離)が20μmの
位置において、芯材中に元々含まれているSi濃度から
の増加量(拡散量)が0.7質量%以下となるという条
件を満足させれば、最終的に(ろう付け後に)、「ろう
付け前におけるろう材の芯材側界面からの芯材側深さ
(距離)70μmの位置におけるろう付け後のSi濃度
[Si]70が前記(1)式で規定される値以下」である
という要件を満足し得たのである。
ついては、種々の手段・手法が考えられるが(例えば、
昇温速度の制御、中間保持温度・時間の制御、或はこれ
らの組み合わせ等)、本発明者らが検討したところによ
れば、ろう付けに際して、下記(1)または(2)の要
件を満足させれば良いことを見出した。 (1)チューブ材がAl−Si系ろう材の(固相線温度
−80℃)〜(固相線温度−10℃)の温度域にある時
間を1〜60分として加熱した後、(固相線温度−10
℃)を超えて(液相線温度〜液相線温度+15℃)の範
囲のろう付け温度に至るまでは10分以内で加熱を行な
う。 (2)チューブ材がAl−Si系ろう材の(固相線温度
−10℃)超〜固相線温度の温度域にある時間を5分未
満として加熱した後、固相線温度を超えて(液相線温度
〜液相線温度+15℃)の範囲のろう付け温度に至るま
では10分以内で加熱を行なう。
保持温度・時間を規定したものであるが、この中間保持
条件に至るまでに比較的低温にて一旦加熱保持して、そ
の後段階的に本発明で規定する中間保持温度まで昇温す
る様にしても良く(後記図5参照)、こうした熱処理パ
ターンで処理することも本発明の技術的範囲に含まれる
ものである。
て説明する。まず、上記(1)の熱処理方法において、
第1段階の熱処理の温度範囲を(固相線温度−80℃)
〜(固相線温度−10℃)としたのは、ろう付け性と耐
エロージョン性を両立させる為である。ろう付け性の観
点からすれば、中間保持温度はできるだけ高い方が望ま
しいが、エロージョンを抑制という観点からすれば低い
方が好ましい。即ち、このときの熱処理温度が(固相線
温度−80℃)未満では良好なろう付け性が達成され
ず、また(固相線温度−10℃)を超えると、芯材若し
くは中間層でのSi拡散が過度に進行して最終的に優れ
た耐エロージョン特性が発揮されなくなる。
としたのは、ろう付け性を確保する為である。また、こ
の中間保持時間の上限を60分としたのは、工業的に長
時間保持することはろう付け炉の操業上コスト高となる
からである。
線温度−10℃)を超えて(液相線温度〜液相線温度+
15℃)の範囲のろう付け温度に至るまでは10分以内
で加熱を行なうものであるが、これはろう材の溶け別れ
を防止する為である。即ち、この温度域ではろう材が固
液2相状態となるので、保持時間が長いと液相部分のみ
が流動し、固相部分が残留してしまうことになる。
は、まずチューブ材がAl−Si系ろう材の(固相線温
度−10℃)〜固相線温度の温度域にある時間を5分未
満として加熱するものであるが、この条件はろう材溶融
前のSiの過剰拡散を防止する為である。即ち、上記温
度域を5分以上加熱すると、ろう材溶融前のSiの過剰
拡散が生じて、「ろう材の芯材側界面からの芯材側深さ
20μmの位置におけるSi濃度[Si]20が前記
(2)式で規定される値以下である」という条件を満足
できなくなる。
超えて(液相線温度〜液相線温度+15℃)の範囲のろ
う付け温度に至るまでは10分以内で加熱を行なうもの
であるが、これは上記(1)の方法において(固相線温
度−10℃)を超えて液相線温度〜(液相線温度+15
℃)の範囲のろう付け温度に至るまでを10分以内で加
熱を行なのと同様に趣旨であり、この熱処理条件によっ
てろう材の溶け別れを防止するのである。
段階の熱処理時間をできるだけ短くするという観点から
すれば、中間保持を行なわずに(即ち、第1段階の加熱
時間を0分とする)直ちにろう付け温度に保持してもエ
ロージョンは抑制できるものと考えられる。従来の概念
では温度を高くすれば、耐エロージョン性は悪くなると
漠然と考えられていたのであるが、ろう材が溶融するま
での芯材へのSiの拡散深さがエロージョンを支配して
いるという知見に基づいて検討したところ、中間保持を
行なわずにいきなりろう付け温度に保持してもエロージ
ョンが抑制できることを確認した。
を確保するという観点からして、その後のろう付け温度
[液相線温度〜(液相線温度+15℃)]での保持時間
は1分以上とすることが好ましい。また、上記(1),
(2)のいずれの熱処理方法において、中間保持を行な
う場合においても、良好なろう付け性を確保する為に
は、ろう付け温度における保持時間を1分以上とするこ
とが好ましい。
材若しくは中間層へのSiの拡散深さがエロージョンを
支配しているという新しい知見に基づいてなされたもの
である。こうした現象が生じる理由については、その全
てを明らかにした訳ではないが、おそらく次の様な機構
によるものと考えられた。この機構を、図面を用いて説
明する。
Si系合金の二元系状態図である。この図から明らかな
様に、ろう材の固相線温度T0(同図ではAl−Si共
結晶温度に相当する)では、αAl中のSi固溶限は極
大値C1をとる。この固相線温度T0近傍で保持する
と、ろう材の芯材側界面付近の芯材(若しくは中間相)
のSi濃度はほぼ上記C1となり、芯材(若しくは中間
層)におけるSi濃度プロファイルは上記界面からの深
さが深くなるにつれて徐々に低濃度の呈する様になる
(前記図1および図2)。
で、固相線温度以下の温度域では中間保持温度が高いほ
どSi濃度プロファイルは高温側にシフトする。この様
に芯材側にSiの拡散侵入が起こった状態でろう付け温
度T1まで加熱すると[図3(a)]、C1からC2の
濃度を持つ領域は必然的に固液2相状態となり、これが
エロージョンの原因となる。従来のろう付けヒートパタ
ーンでは、図3(a)に示す様に、中間保持温度をろう
材の固相線温度T0付近で行なっていたのであるが、こ
うした状態で加熱すると芯材(若しくは中間層)へのS
iの拡散侵入が活発になってその部分のSi濃度が高く
なってしまう。これに対し、本発明方法では、中間保持
温度を従来より低く抑えるか、或は固相線温度T0付近
をできるだけ速やかに横切るようにしたので、Si濃度
プロファイルが低温側に移行し、エロージョンの発生が
抑制できたのである。
るSi濃度を超えた濃度(拡散Si濃度)で規定したの
は、芯材中に元々含まれているSiはAl或いはAl以
外の合金元素と化合物を形成しており、Al溶融時に拡
散侵入するSiと比べるとほとんど影響を与えないから
である。また、本発明で芯材として用いるAl合金とし
ては、前述したJISA3003の他JISA3004
等が使用されるのが一般的であり、これらのAl合金に
は少量のSiが含有されるものであるが、本発明で芯材
として用いるAl合金としてはこれらに限らず、Siを
実質的に含まないもの(即ち、芯材中に元々含まれるS
i濃度が0質量%のもの)を使用しても良い。
説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもの
ではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することは
いずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
1.2%Mn-0.1%Zn:残部Al)を溶製し、熱間加工によって薄
板とし、更に冷間圧延および焼鈍を施して芯材用Al合
金薄板を得た。一方、Al−10%Si−1.2%Mg
合金からなるろう材用薄板を準備し、これを上記芯材用
Al合金薄板の両面に積層してクラッド圧延し、焼鈍
後、冷間圧延および焼鈍を施して、Al合金芯材(厚
さ:420μm)の両面にAl−Si系合金ろう材(厚
さ:90μm×2)が積層されたブレージングシートを
得た。尚、冷間圧延後の焼鈍では、加工歪みを完全に除
去し、ブレージングシートが完全焼鈍材となる様にし
た。
ューブ材としてチューブ形状に成形加工し、またJIS
A3003合金をフィン材としてフィン形状に加工し
た。上記チューブ材とフィン材とを組み付け後、ろう付
けを行なった。ろう材の固相線温度および液相線温度
は、別途示差熱分析器で測定(10℃/分の昇温速度)
して求めた。その結果、ろう材の固相線温度は560
℃、液相線温度は590℃であった。
に示すヒートパターンで行なった。即ち、室温から中間
保持温度T2(℃)まで加熱し、その温度で時間t2
(分)保持後、ろう付け温度T3(℃)まで加熱し、そ
の温度で時間t3(分)保持してから急冷して真空ろう
付けを行なって熱交換器を製造した。ここで、ろう付け
時の昇温速度は10℃/分とした。
2,t3を変化させてろう付けを実施し、得られた熱交
換器のろう付け性および耐エロージョン性について調査
した。尚、ろう付け性は、ろう付け後のチューブにガス
で圧力をかけ、漏れが生じるか否かで評価した。また、
耐エロージョン性については、ろう材侵食深さとして
(ろう付け前の芯材厚さ−ろう付け後の残留芯材厚さ)
/2を測定し、これが70μmを超えているか否かによ
って評価した。これらの結果を、各試験における温度T
2,T3および時間t2,t3と共に、下記表1に示
す。
た試料で(ろう付け前)、ろう材の芯材側界面から芯材
側20μm深さの位置でSi濃度の分析をEPMAで行
なう一方、中間保持後ろう材固相線温度でろう付けした
(590℃×5分)製品についてろう付け性および耐エ
ロージョン性を調査した。またこの製品について、ろう
付け前のろう材の芯材側界面から芯材側70μm深さの
位置における、ろう付け後のSi濃度をEPMAで測定
した。このときのヒートパターンを図5に示す(図中、
T4,T5は中間保持温度、t4,t5は時間を示
す)。これらの結果を、中間保持の各段階の温度T4,
T5および時間t4,t5と共に、下記表2に示す。
尚、表2には、Si濃度として芯材中に元々含まれてい
るSi濃度を除いた拡散Si濃度を示した。
規定する要件を満足する実施例のものでは、ろう付け性
も良好であると共に、ろう材侵食深さも70μm以下に
低減されて優れた耐エロージョン特性が発揮されている
ことがわかる。また、本発明方法によれば、ろう付けま
での熱処理条件を適切に制御するだけで良いので、余分
な製造工程を追加することもない。
分な製造工程を追加することなく製造することができる
耐エロージョン特性に優れた熱交換器が得られた。
の一例を示すグラフである。
おける拡散Si濃度プロファイルの一例を示すグラフで
ある。
おけるSiの拡散深さがエロージョンを支配している機
構について説明するための図である。
グラフである。
すグラフである。
Claims (4)
- 【請求項1】 Al合金芯材の両面若しくは片面に中間
層を介して若しくは介さずにAl−Si系ろう材または
Al−Si−Mg系ろう材を積層したAl合金ブレージ
ングシート製チューブ材と、Al合金製フィン材が、前
記ろう材を介してろう付けされてなる熱交換器におい
て、前記チューブ材のろう付け前のろう材の芯材側界面
から芯材側深さ70μmの位置におけるろう付け後のS
i濃度[Si]70が、下記(1)式で規定される値以下
であることを特徴とする熱交換器。 [Si]70=芯材中に元々含まれているSi濃度+0.4%(質量%)…(1) - 【請求項2】 Al合金芯材の両面若しくは片面に中間
層を介して若しくは介さずにAl−Si系ろう材または
Al−Si−Mg系ろう材を積層したAl合金ブレージ
ングシート製チューブ材と、Al合金製フィン材が、前
記ろう材を介してろう付けされてなる熱交換器を製造す
るに当たり、前記ろう付けに際して、Al−Si系ろう
材またはAl−Si−Mg系ろう材の固相線温度までの
加熱は、前記チューブ材のろう付け前のろう材の芯材側
界面から芯材側深さ20μmの位置におけるSi濃度
[Si]20が、下記(2)式で規定される値以下となる
条件で行ない、その後、ろう付け温度を前記Al−Si
系合金ろう材またはAl−Si−Mg系ろう材の液相線
温度〜(液相線温度+15℃)として、このろう付け温
度に至るまでは10分以内で加熱を行なうことを特徴と
する熱交換器の製造方法。 [Si]20=芯材中に元々含まれているSi濃度+0.7%(質量%)…(2) - 【請求項3】 Al合金芯材の両面若しくは片面に中間
層を介して若しくは介さずにAl−Si系ろう材または
Al−Si−Mg系ろう材を積層したAl合金ブレージ
ングシート製チューブ材と、Al合金製フィン材が、前
記ろう材を介してろう付けされてなる熱交換器を製造す
るに当たり、前記ろう付けに際して、前記チューブ材が
Al−Si系合金ろう材またはAl−Si−Mg系ろう
材の(固相線温度−80℃)〜(固相線温度−10℃)
の温度域にある時間を1〜60分として加熱した後、
(固相線温度−10℃)を超えて液相線温度〜(液相線
温度+15℃)の範囲のろう付け温度に至るまでは10
分以内で加熱を行なうことを特徴とする熱交換器の製造
方法。 - 【請求項4】 Al合金芯材の両面若しくは片面に中間
層を介して若しくは介さずにAl−Si系ろう材または
Al−Si−Mg系ろう材を積層したAl合金ブレージ
ングシート製チューブ材と、Al合金製フィン材が、前
記ろう材を介してろう付けされてなる熱交換器を製造す
るに当たり、前記ろう付けに際して、前記チューブ材が
Al−Si系ろう材またはAl−Si−Mg系ろう材の
(固相線温度−10℃)超〜固相線温度の温度域にある
時間を5分未満として加熱した後、固相線温度を超えて
液相線温度〜(液相線温度+15℃)の範囲のろう付け
温度に至るまでは10分以内で加熱を行なうことを特徴
とする熱交換器の製造方法。
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---|---|---|---|
JP20819599A JP2001030066A (ja) | 1999-07-22 | 1999-07-22 | Al合金製熱交換器およびその製造方法 |
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JP20819599A JP2001030066A (ja) | 1999-07-22 | 1999-07-22 | Al合金製熱交換器およびその製造方法 |
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JP20819599A Pending JP2001030066A (ja) | 1999-07-22 | 1999-07-22 | Al合金製熱交換器およびその製造方法 |
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