JP2001026544A - 脂溶性抗腫瘍薬のリポソーム製剤 - Google Patents

脂溶性抗腫瘍薬のリポソーム製剤

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JP2001026544A
JP2001026544A JP2000136600A JP2000136600A JP2001026544A JP 2001026544 A JP2001026544 A JP 2001026544A JP 2000136600 A JP2000136600 A JP 2000136600A JP 2000136600 A JP2000136600 A JP 2000136600A JP 2001026544 A JP2001026544 A JP 2001026544A
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liposome
mol
polyethylene glycol
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JP2000136600A
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English (en)
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Yuji Kasuya
裕司 粕谷
Junichi Okada
純一 岡田
Kenji Hanaoka
健司 花岡
Shinichi Kurakata
慎一 蔵方
Akira Matsuda
彰 松田
Takuma Sasaki
琢磨 佐々木
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Sankyo Co Ltd
Original Assignee
Sankyo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】腫瘍組織への薬物移行性が高く、腫瘍組織での
滞留性も高く、かつ、実用に供し得る抗腫瘍剤提供。 【解決手段】1−(2−C−シアノ−2−デオキシ−β
−D−アラビノ−ペントフラノシル)−N4−パルミト
イルシトシン含有リポソーム製剤。特に、リポソームを
構成する脂質成分であるポリエチレングリコール類で化
学修飾された脂質が、N−モノメトキシポリエチレング
リコールサクシニルホスファチジルエタノールアミン
類、N−モノメトキシポリエチレングリコール(2−ク
ロロ−1,3,5−トリアジン−4,6−ジイル)サク
シニルホスファチジルエタノールアミン類、N−モノメ
トキシポリエチレングリコールカルボニルホスファチジ
ルエタノールアミン類又はN−モノメトキシポリエチレ
ングリコールエチレンホスファチジルエタノールアミン
類である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた抗腫瘍活性
を有する、1−(2’−シアノ−2’−デオキシ−β−
D−アラビノ−ペントフラノシル)−N4−パルミトイ
ルシトシン含有リポソーム製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】1−(2’−シアノ−2’−デオキシ−
β−D−アラビノ−ペントフラノシル)シトシン(1-
(2'-cyano-2'-deoxy-β-D-arabino-pentofuranosyl)cyt
osine。以下、CNDACとする。)及びその誘導体
は、優れた抗腫瘍活性を有する(特開平4−23518
2号及び特開平5−194497号参照)。
【0003】また、その誘導体の一つである1−(2’
−シアノ−2’−デオキシ−β−D−アラビノ−ペント
フラノシル)−N4−パルミトイルシトシン(1-(2'-cya
no-2'-deoxy-β-D-arabino-pentofuranosyl)-N4-palmit
oylcytosine。以下、PAL-CNDACとする。)は、CNDA
CのN4位がパルミトイル化された脂溶性の薬物である
(特開平5−194497号参照)。
【0004】PAL-CNDACは、経口投与により優れた抗腫
瘍活性を示すものの、さらに優れた抗腫瘍活性を有し、
経口以外の投与を可能とする製剤が求められていた。
【0005】一般に、PAL-CNDACのような脂溶性の薬物
は、水溶性が極めて低いため、静脈内投与を可能とする
ためには、その注射剤等中に水溶性界面活性剤や有機溶
媒等の添加物を大量に使用する必要があり、毒性が懸念
される。
【0006】ところで、抗腫瘍薬の腫瘍組織への薬物移
行性や腫瘍組織での滞留性を向上させることにより、よ
り優れた抗腫瘍活性を得、かつ、副作用を軽減する目的
で、抗腫瘍薬をリポソーム製剤とする製剤的工夫は、一
般に行なわれている。
【0007】しかしながら、一般に、脂溶性の薬物の場
合、リポソーム製剤に包含可能な薬物は、全脂質モル数
に対し、3mol%程度が限界であり(Moriら、Pharm.
Res. 10、507-514(1993)参照。)、治療上必要な量
が投与できなかったり、リポソームへの薬物の保持特性
が十分ではなく、薬物の活性を増強したり、副作用を軽
減することは困難であると考えられる。
【0008】本発明者等は、リポソームを構成する脂質
及びその組成比につき、鋭意研究した結果、特定の脂質
を有する場合、特に、それら特定の脂質が特定の組成比
でリポソームを構成する場合、一般に、少量しか封入で
きないと考えられる脂溶性の高い薬物である、PAL-CNDA
Cを、高量保持することができ、また、当該リポソーム
製剤は、腫瘍組織への薬物移行性が高く、腫瘍組織での
滞留性も高く、かつ、実用に供し得る安定性を有するリ
ポソーム製剤とし得ることを見出し、本発明を完成し
た。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、腫瘍組織へ
の薬物移行性が高く、腫瘍組織での滞留性も高く、か
つ、実用に供し得るPAL-CNDAC含有リポソーム製剤を提
供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、<1>1−
(2’−シアノ−2’−デオキシ−β−D−アラビノ−
ペントフラノシル)−N4−パルミトイルシトシン含有
リポソーム製剤、<2>リポソームを構成する脂質成分
として、ポリエチレングリコール類で化学修飾された脂
質又はホスファチジルコリン類を含有することを特徴と
する、<1>に記載のリポソーム製剤、<3>リポソー
ムを構成する脂質成分であるポリエチレングリコール類
で化学修飾された脂質が、N−モノメトキシポリエチレ
ングリコールサクシニルホスファチジルエタノールアミ
ン類、N−モノメトキシポリエチレングリコール(2−
クロロ−1,3,5−トリアジン−4,6−ジイル)サ
クシニルホスファチジルエタノールアミン類、N−モノ
メトキシポリエチレングリコールカルボニルホスファチ
ジルエタノールアミン類又はN−モノメトキシポリエチ
レングリコールエチレンホスファチジルエタノールアミ
ン類であることを特徴とする、<2>に記載のリポソー
ム製剤、<4>リポソームを構成する脂質成分であるポ
リエチレングリコール類で化学修飾された脂質が、N−
モノメトキシポリエチレングリコールサクシニルホスフ
ァチジルエタノールアミン類又はN−モノメトキシポリ
エチレングリコールカルボニルホスファチジルエタノー
ルアミン類であることを特徴とする、<2>に記載のリ
ポソーム製剤、<5>リポソームを構成する脂質成分で
あるホスファチジルコリン類が、ジミリストイルホスフ
ァチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン
又はジステアロイルホスファチジルコリンのいずれかで
あることを特徴とする、<2>に記載のリポソーム製
剤、<6>リポソームを構成する脂質成分であるホスフ
ァチジルコリン類が、ジパルミトイルホスファチジルコ
リン又はジステアロイルホスファチジルコリンのいずれ
かであることを特徴とする、<2>又は<5>に記載の
リポソーム製剤、<7>リポソームを構成する脂質成分
として、さらに、ステロール類を含有することを特徴と
する、<2>乃至<6>のいずれか1つに記載のリポソ
ーム製剤、<8>リポソームを構成する脂質成分である
ステロール類が、コレステロールであることを特徴とす
る、<7>に記載のリポソーム製剤、<9>リポソーム
を構成する脂質成分として、さらに、ホスファチジルグ
リセロール類を含有することを特徴とする、<2>乃至
<8>のいずれか1つに記載のリポソーム製剤、<10
>リポソームを構成する脂質成分であるホスファチジル
グリセロール類が、ジミリストイルホスファチジルグリ
セロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール
又はジステアロイルホスファチジルグリセロールである
ことを特徴とする、<9>に記載のリポソーム製剤、<
11>リポソームを構成する脂質成分であるホスファチ
ジルグリセロール類が、ジパルミトイルホスファチジル
グリセロール又はジステアロイルホスファチジルグリセ
ロールであることを特徴とする、<9>又は<10>に
記載のリポソーム製剤、<12>リポソームを構成する
脂質成分として、さらに、カチオン性脂質を含有するこ
とを特徴とする、<2>乃至<11>のいずれか1つに
記載のリポソーム製剤、<13>リポソームを構成する
脂質成分であるカチオン性脂質が、N−α−トリメチル
アンモニオアセチルジドデシル−D−グルタメートクロ
ライドであることを特徴とする、<12>に記載のリポ
ソーム製剤、<14>リポソームの体積平均粒子径が、
25nm乃至400nmであることを特徴とする、<2
>乃至<13>のいずれか1つに記載のリポソーム製
剤、<15>リポソームの体積平均粒子径が、50nm
乃至200nmであることを特徴とする、<2>乃至<
14>のいずれか1つに記載のリポソーム製剤、<16
>リポソームを構成する脂質成分が、(1)1−(2’
−シアノ−2’−デオキシ−β−D−アラビノ−ペント
フラノシル)−N4−パルミトイルシトシン、(2)モ
ノメトキシポリエチレングリコールサクシニルジステア
ロイルホスファチジルエタノールアミン類又はN−モノ
メトキシポリエチレングリコールカルボニルホスファチ
ジルエタノールアミン類、及び、(3)ホスファチジル
コリン類である、<1>乃至<15>のいずれか1つに
記載のリポソーム製剤、<17>リポソームを構成する
総脂質量に対して、(1)1−(2’−シアノ−2’−
デオキシ−β−D−アラビノ−ペントフラノシル)−N
4−パルミトイルシトシンの組成比が、3mol%乃至
65mol%であり、(2)モノメトキシポリエチレン
グリコールサクシニルジステアロイルホスファチジルエ
タノールアミン類又はN−モノメトキシポリエチレング
リコールカルボニルホスファチジルエタノールアミン類
の組成比が、0.5mol%乃至10mol%であり、
(3)ホスファチジルコリン類の組成比が、30mol
%乃至95mol%である、<16>に記載のリポソー
ム製剤、<18>リポソームを構成する脂質成分が、
(1)1−(2’−シアノ−2’−デオキシ−β−D−
アラビノ−ペントフラノシル)−N4−パルミトイルシ
トシン、(2)モノメトキシポリエチレングリコールサ
クシニルジステアロイルホスファチジルエタノールアミ
ン類又はN−モノメトキシポリエチレングリコールカル
ボニルホスファチジルエタノールアミン類、及び、
(3)ステロール類である、<1>乃至<15>のいず
れか1つに記載のリポソーム製剤、<19>リポソーム
を構成する総脂質量に対して、(1)1−(2’−シア
ノ−2’−デオキシ−β−D−アラビノ−ペントフラノ
シル)−N4−パルミトイルシトシンの組成比が、25
mol%乃至50mol%であり、(2)モノメトキシ
ポリエチレングリコールサクシニルジステアロイルホス
ファチジルエタノールアミン類又はN−モノメトキシポ
リエチレングリコールカルボニルホスファチジルエタノ
ールアミン類の組成比が、0.5mol%乃至10mo
l%であり、(3)ステロール類の組成比が、40mo
l%乃至70mol%である、<18>に記載のリポソ
ーム製剤、<20>リポソームを構成する脂質成分が、
(1)1−(2’−シアノ−2’−デオキシ−β−D−
アラビノ−ペントフラノシル)−N4−パルミトイルシ
トシン、(2)モノメトキシポリエチレングリコールサ
クシニルジステアロイルホスファチジルエタノールアミ
ン類又はN−モノメトキシポリエチレングリコールカル
ボニルホスファチジルエタノールアミン類、(3)ホス
ファチジルコリン類、及び、(4)ステロール類であ
る、<1>乃至<15>のいずれか1つに記載のリポソ
ーム製剤、<21>リポソームを構成する総脂質量に対
して、(1)1−(2’−シアノ−2’−デオキシ−β
−D−アラビノ−ペントフラノシル)−N4−パルミト
イルシトシンの組成比が、3mol%乃至50mol%
であり、(2)モノメトキシポリエチレングリコールサ
クシニルジステアロイルホスファチジルエタノールアミ
ン類又はN−モノメトキシポリエチレングリコールカル
ボニルホスファチジルエタノールアミン類の組成比が、
0.5mol%乃至10mol%であり、(3)ホスフ
ァチジルコリン類の組成比が、10mol%乃至70m
ol%であり、(4)ステロール類の組成比が、10m
ol%乃至60mol%である、<20>に記載のリポ
ソーム製剤、<22>リポソームを構成する脂質成分
が、(1)1−(2’−シアノ−2’−デオキシ−β−
D−アラビノ−ペントフラノシル)−N4−パルミトイ
ルシトシン、(2)ホスファチジルコリン類、(3)ス
テロール類、(4)ホスファチジルグリセロール類であ
る、<1>乃至<15>のいずれか1つに記載のリポソ
ーム製剤、<23>リポソームを構成する総脂質量に対
して、(1)1−(2’−シアノ−2’−デオキシ−β
−D−アラビノ−ペントフラノシル)−N4−パルミト
イルシトシンの組成比が、3mol%乃至50mol%
であり、(2)ホスファチジルコリン類の組成比が、1
0mol%乃至70mol%であり、(3)ステロール
類の組成比が、10mol%乃至60mol%であり、
(4)ホスファチジルグリセロール類の組成比が、1m
ol%乃至10mol%である、<22>に記載のリポ
ソーム製剤、<24>リポソームを構成する脂質成分
が、(1)1−(2’−シアノ−2’−デオキシ−β−
D−アラビノ−ペントフラノシル)−N4−パルミトイ
ルシトシン、(2)ホスファチジルコリン類、(3)モ
ノメトキシポリエチレングリコールサクシニルジステア
ロイルホスファチジルエタノールアミン類又はN−モノ
メトキシポリエチレングリコールカルボニルホスファチ
ジルエタノールアミン類、(4)ホスファチジルグリセ
ロール類である、<1>乃至<15>のいずれか1つに
記載のリポソーム製剤、<25>リポソームを構成する
総脂質量に対して、(1)1−(2’−シアノ−2’−
デオキシ−β−D−アラビノ−ペントフラノシル)−N
4−パルミトイルシトシンの組成比が、3mol%乃至
50mol%であり、(2)ホスファチジルコリン類の
組成比が、10mol%乃至70mol%であり、
(3)モノメトキシポリエチレングリコールサクシニル
ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン類又は
N−モノメトキシポリエチレングリコールカルボニルホ
スファチジルエタノールアミン類の組成比が、0.5m
ol%乃至10mol%であり、(4)ホスファチジル
グリセロール類の組成比が、1mol%乃至10mol
%である、<24>に記載のリポソーム製剤、<26>
リポソームを構成する脂質成分が、(1)1−(2’−
シアノ−2’−デオキシ−β−D−アラビノ−ペントフ
ラノシル)−N4−パルミトイルシトシン、(2)ホス
ファチジルコリン類、(3)ステロール類、(4)モノ
メトキシポリエチレングリコールサクシニルジステアロ
イルホスファチジルエタノールアミン類又はN−モノメ
トキシポリエチレングリコールカルボニルホスファチジ
ルエタノールアミン類、(5)ホスファチジルグリセロ
ール類である、<1>乃至<15>のいずれか1つに記
載のリポソーム製剤、<27>リポソームを構成する総
脂質量に対して、(1)1−(2’−シアノ−2’−デ
オキシ−β−D−アラビノ−ペントフラノシル)−N4
−パルミトイルシトシンの組成比が、3mol%乃至5
0mol%であり、(2)ホスファチジルコリン類の組
成比が、10mol%乃至70mol%であり、(3)
ステロール類の組成比が、10mol%乃至60mol
%であり、(4)モノメトキシポリエチレングリコール
サクシニルジステアロイルホスファチジルエタノールア
ミン類又はN−モノメトキシポリエチレングリコールカ
ルボニルホスファチジルエタノールアミン類の組成比
が、0.5mol%乃至10mol%であり、(5)ホ
スファチジルグリセロール類の組成比が、1mol%乃
至10mol%である、<26>に記載のリポソーム製
剤である。
【0011】通常、「リポソーム」とは、膜状に集合し
た脂質及び内部の水相から構成される閉鎖小胞を意味す
るが(D.D.Lasic、「liposomes: from basic to applic
ations」、Elsevier Science Publishers、pp.1-171(1
993)参照。)、本発明においては、特に内水相を有し
ているか否かに関わらず、脂質が集合化した微粒子全体
を意味する。
【0012】本発明の「リポソーム製剤」は、好適に
は、1−(2’−シアノ−2’−デオキシ−β−D−ア
ラビノ−ペントフラノシル)−N4−パルミトイルシト
シンを、リポソームを構成する総脂質量(PAL-CNDACも
含む)に対し、下限として3mol%、(好適には、下
限として25mol%)、上限として65mol%(好
適には、上限として50mol%)含有する。
【0013】本発明の「リポソーム製剤」は、好適に
は、「ポリエチレングリコール類で化学修飾された脂
質」、「ホスファチジルコリン類」、「ホスファチジル
グリセロール類」、「ステロール類」又は「カチオン性
脂質」を含有する。
【0014】上記「ポリエチレングリコール類で化学修
飾された脂質」とは、種々の分子量を有するポリエチレ
ングリコール類と脂質とが、共有結合している脂質を意
味し、好適には、その脂質は、ホスファチジルエタノー
ルアミン類であり、例えば、一般式
【0015】
【化1】 (式中、nは、10乃至100を示し、−NH−PEは
ホスファチジルアミンを示す。)で表されるN−モノメ
トキシポリエチレングリコールサクシニルホスファチジ
ルエタノールアミン類、一般式
【0016】
【化2】 (式中、nは、10乃至100を示し、−NH−PEは
ホスファチジルアミンを示す。)で表されるN−モノメ
トキシポリエチレングリコール(2−クロロ−1,3,
5−トリアジン−4,6−ジイル)サクシニルホスファ
チジルエタノールアミン類、一般式
【0017】
【化3】 (式中、nは、10乃至100を示し、−NH−PEは
ホスファチジルアミンを示す。)で表されるN−モノメ
トキシポリエチレングリコールカルボニルホスファチジ
ルエタノールアミン類又は一般式
【0018】
【化4】 (式中、nは、10乃至100を示し、−NH−PEは
ホスファチジルアミンを示す。)で表されるN−モノメ
トキシポリエチレングリコールエチレンホスファチジル
エタノールアミン類であり、さらに好適には、N−モノ
メトキシポリエチレングリコールエチレンホスファチジ
ルエタノールアミン類又はN−モノメトキシポリエチレ
ングリコールカルボニルホスファチジルエタノールアミ
ン類であり、より好適には、ポリエチレングリコール部
分の分子量が約1000乃至約10000のN−モノメ
トキシポリエチレングリコールエチレンホスファチジル
エタノールアミン類又はN−モノメトキシポリエチレン
グリコールカルボニルホスファチジルエタノールアミン
類である(D.D.Lasic、「Liposomes: from basic toapp
lications」、Elsevier Science Publishers、pp.294-2
96(1993))。
【0019】また、N−モノメトキシポリエチレングリ
コールエチレンホスファチジルエタノールアミン類又は
N−モノメトキシポリエチレングリコールカルボニルホ
スファチジルエタノールアミン類は、リポソームを構成
する総脂質量(PAL-CNDACも含む)に対して、好適に
は、0.5乃至10mol%、リポソームに含有され
る。
【0020】上記「ホスファチジルコリン類」として
は、例えば、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジミ
リストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホス
ファチジルコリン又はジステアロイルホスファチジルコ
リン等があげられ、好適には、ジミリストイルホスファ
チジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン又
はジステアロイルホスファチジルコリンである。
【0021】また、該ホスファチジルコリン類は、リポ
ソームを構成する総脂質量(PAL-CNDACも含む)に対し
て、好適には、下限として10mol%、(好適には、
下限として30mol%)、上限として95mol%
(好適には、上限として70mol%)、リポソームに
含有される。
【0022】上記「ホスファチジルグリセロール類」と
しては、例えば、ジラウロイルホスファチジルグリセロ
ール、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジ
パルミトイルホスファチジルグリセロール又はジステア
ロイルホスファチジルグリセロール等があげられ、好適
には、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジ
パルミトイルホスファチジルグリセロール又はジステア
ロイルホスファチジルグリセロールである。
【0023】また、該ホスファチジルグリセロール類
は、リポソームを構成する総脂質量(PAL-CNDACも含
む)に対して、好適には、1乃至10mol%、リポソ
ームに含有される。
【0024】上記「ステロール類」としては、例えば、
コレステロール、コレステロールヘミサクシネート、3
β−[N−(N’,N’−ジメチルアミノエタン)カル
バモイル]コレステロール、エルゴステロール、ラノス
テロール等があげられ、好適には、コレステロールであ
る。
【0025】また、該ステロール類は、リポソームを構
成する総脂質量(PAL-CNDACも含む)に対して、好適に
は、下限として10mol%、(好適には、下限として
40mol%)、上限として70mol%(好適には、
上限として60mol%)、リポソームに含有される。
【0026】上記「カチオン性脂質」としては、例え
ば、N−[1−(2、3−ジオレイルオキシ)プロピ
ル]−N、N、N−トリメチルアンモニウムクロライ
ド、N−α−トリメチルアンモニオアセチルジドデシル
−D−グルタメートクロライド等があげられ、好適に
は、N−α−トリメチルアンモニオアセチルジドデシル
−D−グルタメートクロライドである。
【0027】本発明のリポソーム製剤には、上記「非イ
オン化性高分子で修飾された脂質」、「ホスファチジル
コリン類」、「ホスファチジルグリセロール類」、「コ
レステロール類」及び「カチオン性脂質」の他、通常、
リポソーム製剤に使用し得る脂質を含有していてもよ
く、例えば、ジラウロイルホスファチジルイノシトー
ル、ジミリストイルホスファチジルイノシトール、ジパ
ルミトイルホスファチジルイノシトール又はジステアロ
イルホスファチジルイノシトールのようなホスファチジ
ルイノシトール類;ジラウロイルホスファチジルセリ
ン、ジミリストイルホスファチジルセリン、ジパルミト
イルホスファチジルセリン又はジステアロイルホスファ
チジルセリンのようなホスファチジルセリン類;ジラウ
ロイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイ
ルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホ
スファチジルエタノールアミン又はジステアロイルホス
ファチジルエタノールアミンのようなホスファチジルエ
タノールアミン類等のグリセロリン脂質:ジガラクトシ
ルジラウロイルグリセリド、ジガラクトシルジミリスト
イルグリセリド、ジガラクトシルジパルミトイルグリセ
リド、ジガラクトシルジステアロイルグリセリドのよう
なジガラクトシルジグリセリド類;ガラクトシルジラウ
ロイルグリセリド、ガラクトシルジミリストイルグリセ
リド、ガラクトシルジパルミトイルグリセリド、ガラク
トシルジステアロイルグリセリドのようなガラクトシル
ジグリセリド類等のグリセロ糖脂質:セラミドシリアチ
ン、スフィンゴミエリン等のスフィンゴリン脂質:セレ
ブロシド、ガングリオシド等のスフィンゴ糖脂質:のス
テロール類:テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミ
ン、ステアリルアミン等の長鎖アルキルアミン類:ミリ
スチン酸ヒドラジド、パルミチン酸ヒドラジド、ステア
リン酸ヒドラジド等の長鎖脂肪酸ヒドラジド類等を挙げ
ることができる。
【0028】前述した、ホスファチジルコリン類、ホス
ファチジルグリセロール類、ホスファチジルイノシトー
ル類、ホスファチジルセリン類、ホスファチジルエタノ
ールアミン類、ジガラクトシルジグリセリド類、ガラク
トシルジグリセリド類、スフィンゴミエリン類、セレブ
ロシド類、ガングリオシド類、N−モノメトキシポリエ
チレングリコールサクシニルホスファチジルエタノール
アミン類、N−モノメトキシポリエチレングリコール
(2−クロロ−1,3,5−トリアジン−4,6−ジイ
ル)サクシニルホスファチジルエタノールアミン類、N
−モノメトキシポリエチレングリコールカルボニルホス
ファチジルエタノールアミン類、N−モノメトキシポリ
エチレングリコールエチレンホスファチジルエタノール
アミン類は、それぞれ二本の飽和又は不飽和の炭素鎖を
有するものがあるが、その鎖の炭素数としては、10乃
至18が好適であり、さらに好適には、14、16又は
18のものであり、最も好適には、16又は18であ
る。
【0029】本発明において、リポソームの体積平均粒
子径としては、静脈投与後の血中滞留性及び/又は腫瘍
組織への集積性が高い、25乃至400nmが好まし
く、さらに好ましくは、50乃至200nmであり(A.
L.Klibanovら、Biochim. Biophys. Acta 1062, 142-148
(1991)/D.D.Lasic、「Liposomes: from basic to ap
plications」、Elsevier Science Publishers、pp.261-
471(1993)参照。)、また、リポソームの体積平均粒
子径は、動的光散乱法等の原理に基づき求めることがで
きる( D.D.Lasic、「Liposomes: from basic to appli
cations」、Elsevier Science Publishers、pp.1-171
(1993)参照)。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明のPAL-CNDAC含有リポソー
ム製剤は、当業者に周知の方法に従い、製造することが
でき、また、その体積平均粒子径を調節することもでき
る。すなわち、上記脂質及び水相を使用し、薄膜法、逆
相蒸発法、エタノール注入法、エーテル注入法、脱水−
再水和法等により、リポソームを製造することができ、
超音波照射法、凍結融解後の超音波照射法、エクストル
ージョン法、フレンチプレス法、ホモジナイゼーション
法等の方法により、体積平均粒子径を調節することがで
きる(D.D.Lasic、「Liposomes: from basic to applic
ations」、Elsevier Science Publishers、pp.1-171(1
993)参照。)。ここで、「水相」とは、リポソーム内
部を構成する水溶液を意味し、本技術分野において、通
常使用されるものであれば、特に制限はないが、塩化ナ
トリウム水溶液、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液等の緩衝
液、グルコース水溶液、トレハロース等の糖水溶液及び
これらの混合水溶液が好適である。
【0031】一般に、生体内に投与されたリポソームの
構造を安定に保つため、リポソームの製造に使用される
内水相を構成する水相は、リポソーム外、すなわち、体
液に対して等張に近く、リポソーム内外にかかる浸透圧
が小さいことが望ましい。
【0032】本発明のリポソーム製剤を製造するのに使
用する上記「脂質」は、市販のものを使用することがで
き、また、卵黄レシチン及び大豆レシチン等のように、
通常、種々の炭素数及び/又は不飽和度を有する脂質が
混合した状態で入手できるものも、これらを単一成分に
分離精製することなく使用することができる。
【0033】本発明のリポソーム製剤においては、必要
に応じて、抗酸化作用等を目的として、α−トコフェロ
ール等の抗酸化剤を添加することもできる。
【0034】本発明のリポソーム製剤をヒトに投与する
場合、配合時の組成から計算されるリポソームを構成す
る脂質の濃度を1乃至300mMとなるよう、各種水溶
液を用いて希釈するか、又は、遠心分離法により濃縮し
て使用する。希釈に使用する水溶液としては、通常、使
用されるものであれば、特に限定はないが、例えば、リ
ン酸緩衝液、グルコース、トレハロース等の糖水溶液、
塩化ナトリウム等の塩水溶液、生理食塩水等を挙げるこ
とができ、通常、最終液量が、1乃至100mlの場合
には、静脈内注射により、100ml乃至1000ml
の場合には、静脈内点滴により投与する。
【0035】本発明のリポソーム製剤の保存安定性、す
なわち、リポソーム自体の物理的安定性並びに包含した
薬物及びリポソームを形成する脂質の化学的安定性は、
使用された脂質等によって変化することがあるので、一
般に、冷蔵庫中などの冷所において保存するか、又は、
通常の用時溶解型の注射製剤等と同様、文献(D.D.Lasi
c、「Liposomes: from basic to applications」、Else
vier Science Publishers、pp.529-532(1993)参
照。)に記載の方法で凍結乾燥し、その状態で保存する
のがよい。凍結乾燥製剤の場合には、用時に蒸留水等を
加えることによって、所望の注射製剤を再構成すること
ができる。
【0036】以下に、実施例及び試験例をあげて、本発
明をさらに詳細に説明する。但し、本発明は、これら実
施例に限定されるものではない。
【0037】なお、下記の実施例及び試験例で使用した
脂質は、コレステロール以外のものは、日本油脂(株)
より購入して使用し、また、コレステロールは、東京化
成工業(株)より購入し、当業者に周知の方法に従い、
熱エタノールより再結晶して使用した。さらにまた、PA
L-CNDACの分子量は、490.65であり、その製造方
法は、特開平5−194497号に記載された方法に従
って行った。
【0038】
【実施例】(実施例1)PAL-CNDACを包含したリポソー
ムの製造 ジステアロイルホスファチジルコリン(distearoylphos
phatidylcholine。以下、DSPCとする。)、ジパル
ミトイルホスファチジルコリン(dipalmitoylphosphati
dylcholine。以下、DPPCとする。)、ジミリストイ
ルホスファチジルコリン(dimirystoylphosphatidylcho
line。以下、DMPCとする。)、ジラウロイルホスフ
ァチジルコリン(dilauroylphosphatidylcholine。以
下、DLPCとする。)、卵黄レシチン(egg yolk pho
sphatidylcholine。以下、EPCとする。)、コレステ
ロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロール
(distearoylphosphatidylglycerol。以下、DSPGと
する。)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール
(dipalmitoylphosphatidylglycerol。以下、DPPG
とする。)、ジミリストイルホスファチジルグリセロー
ル(dimirystoylphosphatidylglycerol。以下、DMP
Gとする。)、ジラウロイルホスファチジルグリセロー
ル(dilauroylphosphatidylglycerol。以下、DLPG
とする。)、ポリエチレングリコール部分の分子量が約
2000のN−モノメトキシポリエチレングリコールサ
クシニル−ジステアロイルホスファチジルエタノールア
ミン(N-monomethoxypoly(ethyleneglycol)succinyl- d
istearoylphosphatidylethanolamine。以下、PEG2
000−SS−DSPEとする。)、ポリエチレングリ
コール部分の分子量が約5000のN−モノメトキシポ
リエチレングリコールカルボニル−ジステアロイルホス
ファチジルエタノールアミン(N-monomethoxypoly(ethy
leneglycol)carbonyldistearoylphosphatidylethanolam
ine。以下、PEG5000−SC−DSPEとす
る。)及び/又はN−α−トリメチルアンモニオアセチ
ルジドデシル−D−グルタメートクロライド(N-α−tr
imethylammonioacetyldodecyl-D-glutamate chloride。
以下、TMAGとする。)並びにPAL-CNDACを脂質成分
とし、5重量%グルコース水溶液又は10重量%トレハ
ロース水溶液及びpH4の0.1M酢酸緩衝液(0.1
M酢酸水溶液と0.1M酢酸ナトリウム水溶液を5:1
の体積比で混合することによって調製した。)の混合液
(体積比9:1で混合)を水相として、Banghamら(J.
Mol. Biol., 8, 660-668(1964)参照。)の方法に従
い、リポソームの粗分散液を得た。
【0039】すなわち、表1に示す所定量の種々の脂質
を25mLナス型フラスコに測りとり、総脂質量100
μmol当たり5mLのクロロホルムを加えて、40℃
で加温溶解した。エバポレーターを使用し、40℃で、
10乃至550mmHgの減圧下、クロロホルムを留去
することにより、該ナス型フラスコ内壁に脂質の薄層を
形成させた。この脂質の薄層に、リポソーム分散液が所
定の体積となるように水相を加え、ボルテックスミキサ
ーを使用して振とうすることにより、リポソームの粗分
散液を得た。こうして得られたリポソームを、以下、PA
L-CNDACリポソームという。
【0040】下記表1中、PC及びPGとは、それぞ
れ、ホスファチジルコリン類及びホスファチジルグリセ
ロール類を意味し、数字の括弧内に、これらのアシル鎖
をS(ステアロイル)、P(パルミトイル)及びM(ミ
リストイル)の略号で示した。但し、PCとして、卵黄
レシチンを使用した場合には、括弧内にEの略号を示し
た。
【0041】処方例1乃至16、40及び41において
は、水相として5重量%グルコース水溶液を使用し、総
脂質濃度を55乃至110mMとした。また、処方例1
7乃至39においては、水相として10重量%トレハロ
ース及びpH4の0.1M酢酸緩衝液の混合液(体積比
9:1)を使用し、総脂質濃度を100乃至110mM
とした。
【0042】
【表1】 リポソーム分散液1mLあたりの脂質成分の処方量(μmol) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 処方例 PC コレステロール PG PEG2000-SS-DSPE PAL-CNDAC −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 15.0(P) 20.0 12.5(P) 2.5 5.1 2 15.0(E) 20.0 12.5(L) 2.5 5.1 3 15.0(P) 20.0 12.5(P) 2.5 10.2 4 15.0(P) 20.0 12.5(P) 2.5 15.3 5 32.5(M) 0 15.0(M) 2.5 5.1 6 15.0(P) 20.0 15.0(P) 0 5.1 7 15.0(M) 20.0 15.0(M) 0 5.1 8 15.0(L) 20.0 15.0(L) 0 5.1 9 15.0(E) 20.0 15.0(L) 0 5.1 10 35.0(E) 0 12.5(L) 2.5 5.1 11 35.0(P) 0 15.0(P) 0 5.1 12 35.0(M) 0 15.0(M) 0 5.1 13 35.0(L) 0 15.0(L) 0 5.1 14 35.0(E) 0 15.0(L) 0 5.1 15 7.5(P) 20.0 22.5(P) 0 5.1 16 27.5(P) 0 22.5(P) 0 5.1 17 0(-) 47.5 0(-) 5.0 47.5 18 10.0(P) 42.5 0(-) 5.0 42.5 19 20.0(P) 37.5 0(-) 5.0 37.5 20 31.7(S) 31.7 0(-) 5.0 31.7 21 31.7(P) 31.7 0(-) 5.0 31.7 22 55.0(S) 40.0 0(-) 5.0 10.2 23 55.0(P) 40.0 0(-) 5.0 10.2 24 55.0(M) 40.0 0(-) 5.0 10.2 25 55.0(S) 40.0 4.0(S) 1.0 10.2 26 55.0(S) 40.0 5.0(S) 0 10.2 27 31.7(P) 23.4 0(-) 5.0 40.0 28 31.7(P) 13.3 0(-) 5.0 50.0 29 31.7(P) 0 0(-) 5.0 63.3 30 31.7(P) 31.7 2.0(P) 3.0 31.7 31 31.7(P) 31.7 4.0(P) 1.0 31.7 32 31.7(P) 31.7 5.0(P) 0 31.7 33 55.0(P) 0 0(-) 5.0 40.0 34 47.5(P) 0 0(-) 5.0 47.5 35 47.5(S) 0 0(-) 5.0 47.5 36 40.0(P) 0 0(-) 5.0 55.0 37 31.7(P) 0 0(-) 5.0 63.3 38 47.5(P) 0 2.0(P) 3.0 47.5 39 47.5(P) 0 4.0(P) 1.0 47.5 40 47.5(P) 0 5.0(P) 0 47.5 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 処方例 PC コレステロール TMAG PEG2000-SS-DSPE PAL-CNDAC −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 41 50.0(P) 40.0 5.0 5.0 10.2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 処方例 PC コレステロール PEG5000-SC-DSPE PAL-CNDAC −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 42 55.0(S) 40.0 5.0 10.2 43 50.0(S) 40.0 10.0 10.2 44 31.7(S) 31.7 5.0 31.7 45 30.0(S) 30.0 10.0 30.0 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− リポソームの平均体積粒子径の調節は、エクストルージ
ョン法又は超音波照射法により行なった。すなわち、エ
クストルージョン法においては、孔径50乃至200n
mのポリカーボネート製メンブランフィルタ(野村マイ
クロサイエンス社)を装着したエクストルーダ(Liposo
fast-Basic、AVESTIN社製)を用い、PAL-CNDACリポソー
ムの粗分散液を該メンブランを通過させる(以下、所定
サイズの孔径のポリカーボネート製メンブランフィルタ
を装着したエクストルーダを用いたリポソームのメンブ
ラン通過を、所定サイズのエクストルージョンとい
う。)ことにより行った。また、超音波照射法において
は、超音波破砕装置(Model 7600、セイコー電子
工業(株)社製。)使用し、出力25Wで1乃至60分
間、PAL-CNDACリポソームの粗分散液に超音波を照射す
ることにより行った。
【0043】粒子径調節後のリポソームの体積平均粒子
径を表2に示す。いずれの製造例においても析出物の生
成は認められなかった。また、これらのリポソーム分散
液はいずれも均一な半澄明の乳濁液であり、25℃にお
いて、少なくとも1日間は外観上の変化は認められず、
安定な分散液であった。
【0044】リポソームの粒子径は、以下のようにして
測定した。すなわち、粒子径調節を行なった後のPAL-CN
DACリポソームの分散液を150mM塩化ナトリウム水
溶液で希釈することにより、脂質濃度を約0.1mMと
し、粒子径測定機(Nicomp Particle Sizer Model 37
0、Nicomp Particle Sizing Systems社製)を使用して
体積平均粒子径(volume-weighted diameter。以下、D
vとする。)を測定した。こうして求められたDvの値を
表2に示す。いずれのリポソームも、平均粒子径が十分
に小さく、静脈内投与が可能な粒子径となった。なお、
50nmのエクストルージョンを行なった処方例1乃至
16の試料については、粒子径を測定しなかったが、超
音波照射によるサイズ調節法を採用した他の試料と澄明
性等の外観上の相違はなく、200nmのエクストルー
ジョンを行なった試料よりは高い澄明性を有していた。
これらの観察より、50nmのエクストルージョンを行
なった場合には、少なくとも超音波照射法で得られた6
0nm乃至200nmと同程度の体積平均粒子径を有し
ていることが明らかである。
【0045】下記表2中、脂質成分の処方欄の数字は表
1の処方例番号を示し、サイズ調節法欄の番号は各々の
サイズ調節法を表す(1は超音波照射法、2はエクスト
ルージョン(200nm)、3はエクストルージョン
(100nm)、4はエクストルージョン(50n
m))。
【0046】
【表2】 PAL-CNDACリポソームの体積平均粒子径 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 製造例 脂質成分の処方 粒子径調節法 Dv(nm) 平均±SD) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 1 4 (測定せず。) 2 2 4 (測定せず。) 3 3 2 195.6±103.2 4 3 3 187.3± 63.7 5 3 4 (測定せず。) 6 4 4 (測定せず。) 7 5 4 (測定せず。) 8 6 4 (測定せず。) 9 7 4 (測定せず。) 10 8 4 (測定せず。) 11 9 4 (測定せず。) 12 10 4 (測定せず。) 13 11 4 (測定せず。) 14 12 4 (測定せず。) 15 13 4 (測定せず。) 16 14 4 (測定せず。) 17 15 4 (測定せず。) 18 16 4 (測定せず。) 19 17 1 195.6±103.2 20 18 1 148.9± 66.0 21 19 1 134.6± 47.4 22 20 1 135.7± 52.3 23 21 1 136.0± 38.9 24 22 1 100.9± 46.4 25 22 2 228.3±109.0 26 23 1 98.1± 37.4 27 23 2 189.4± 74.0 28 24 1 94.1± 32.4 29 24 2 196.7± 85.6 30 25 1 101.7± 34.3 31 26 1 62.5± 29.1 32 27 1 136.0± 38.9 33 28 1 109.2± 43.0 34 29 1 127.5± 78.8 35 30 1 132.3± 34.9 36 31 1 140.6± 64.3 37 32 1 132.4± 48.5 38 33 1 122.2± 59.6 39 34 1 102.4± 27.0 40 35 1 88.4± 45.0 41 36 1 98.4± 35.8 42 37 1 94.8± 31.1 43 38 1 100.1± 41.7 44 39 1 100.6± 53.1 45 40 1 115.1± 45.5 46 41 1 65.9± 20.7 47 42 1 127.5± 39.5 48 43 1 101.1± 31.5 49 44 1 107.0± 28.2 50 45 1 85.5± 32.1 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (比較例1)中性界面活性剤によるPAL-CNDACの可溶化 医薬品添加物として、静脈内投与可能な中性界面活性剤
及び有機溶媒である、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
60及びジメチルスルホキシドを使用し、PAL-CNDACの
水溶液中での溶解性改善を試みた。
【0047】まず、表3の比較製造例1及び2に示すよ
うに、可溶化液の最終体積1mLあたり、10又は6.
7mgのPAL-CNDACをジメチルスルホキシド50μLに
溶解しポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60を50mg
加え、40℃に加温溶解した。この溶液に40℃に加温
した150mM塩化ナトリウム水溶液を所定体積となる
ように加えることにより、最終PAL-CNDAC濃度が10又
は6.7mg/mLの可溶化液を得た。
【0048】しかし、これらの可溶化液は、25℃にお
いて、それぞれ少なくとも約10分及び30分後にはゲ
ル化し、30分及び60分後には析出物が生じた。PAL-
CNDACを含まない溶液(表3の比較製造例3)では、こ
のような析出物は生成しなかったことから、PAL-CNDAC
の可溶化液から生じた析出物はPAL-CNDACを含むと考え
られる。
【0049】このように、界面活性剤等を使用した一般
的な可溶化法によってもPAL-CNDACの静脈内投与を可能
とすることができるが、該可溶化液においては、PAL-CN
DACの可溶化状態を安定に保つのは、著しく困難である
ことがわかった。
【0050】
【表3】 PAL-CNDAC可溶化液1mLあたりの各成分の処方量 (150mM塩化ナトリウム水溶液を加えて所定体積とした。) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 比較 ジメチルスルホキシド HCO−60* PAL-CNDAC 製造例 (μL) (mg) (mg) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 50 50 10.0 2 50 50 6.7 3 50 50 0 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− *ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60 (試験例1)PAL-CNDACの回収率の決定 リポソームの分散液を生理食塩水で希釈し、製造時の処
方から計算される分散液中の総脂質濃度を0.5mMと
した。このリポソームの分散液100μLに、pH4の
酢酸緩衝液(0.83Mの酢酸と0.17Mの酢酸ナト
リウムからなる。)100μL及びメタノール800μ
Lを加え、ボルテックスミキサーを使用して10分間振
とうし、遠心分離(1000g×5min.)後の上清
を、表4に示す条件で逆相高速液体クロマトグラフィー
により分析し、7.2乃至8.0分で溶出されるPAL-CN
DACの濃度を測定した。
【0051】
【表4】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 測定機 LC−10A(島津製作所社製) カラム YMC−A312(YMC社製) カラム温度 40℃ 検出波長 247nm 移動相 アセトニトリルと蒸留水の混合液 (体積比:1/9) 流速 1mL/min. インジェクション体積 20μL −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− PAL-CNDACの回収率は、リポソームの製造時の処方から
計算される分散液中のPAL-CNDAC濃度に対する、分散液
中の実際のPAL-CNDACの濃度の割合として算出した。
【0052】こうして求められたPAL-CNDACの回収率
は、表5に示すように、いずれも高く、実施例1に示さ
れたPAL-CNDACのリポソーム化製剤について、粒子径調
節を含む製造工程における薬物の損失は十分に許容可能
な量であった。
【0053】なお、リポソーム分散液中の薬物濃度は、
サイズ調節後に超遠心分離等で濃縮すること等により、
さらに高められ、一般的には、総脂質濃度が300mM
程度まで濃縮可能である(D.D.Lasic、「Liposomes: f
rom basic to applications」、Elsevier Science Publ
ishers、p.68(1993)参照。)ことから、例えば、総脂
質濃度を100mMとした製造例19乃至45のリポソ
ーム化製剤では、3倍程度の濃縮が可能であり、PAL-CN
DAC濃度が84mg/mLの製剤が得られる。一方、電
解質や糖類の水溶液等を使用して希釈することにより、
薬物濃度を低下させることもできる。
【0054】
【表5】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 製造例 総脂質濃度 処方時 サイズ調節後 PAL-CNDAC濃度 PAL-CNDAC濃度 回収率 (mM) (mg/mL) (mg/mL) (%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 55 2.5 2.5 100 2 55 2.5 2.8 110 3 60 5.0 3.6 72 4 60 5.0 3.9 78 5 60 5.0 5.0 100 6 65 7.5 7.4 98 8 55 2.5 2.5 100 9 55 2.5 2.6 104 10 55 2.5 2.5 98 11 55 2.5 2.7 107 12 55 2.5 2.5 100 13 55 2.5 2.6 104 14 55 2.5 2.4 96 15 55 2.5 2.7 108 16 55 2.5 2.8 110 17 55 2.5 2.1 82 18 55 2.5 2.4 94 19 100 23.3 24.2 104 20 100 20.9 14.6 70 21 100 18.4 18.4 100 22 100 15.6 13.9 89 23 100 15.6 15.8 101 24 110 5.0 4.3 87 25 110 5.0 4.7 93 26 110 5.0 4.5 90 27 110 5.0 4.7 94 28 110 5.0 4.2 83 29 110 5.0 4.1 82 30 110 5.0 4.6 92 31 110 5.0 3.8 76 32 100 19.6 18.6 95 33 100 24.5 21.3 87 34 100 31.1 26.1 84 35 100 15.6 13.3 85 36 100 15.6 13.7 88 37 100 15.6 16.7 107 38 100 19.6 18.2 93 39 100 23.3 17.2 74 40 100 23.3 19.6 84 41 100 27.0 18.0 67 42 100 31.1 28.0 90 43 100 23.3 19.8 85 44 100 23.3 22.4 96 45 100 23.3 22.1 95 46 110 5.0 3.6 73 47 110 5.0 4.0 81 48 110 5.0 3.5 70 49 100 15.6 9.8 63 50 100 14.7 9.4 63 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (試験例2)各種のPAL-CNDAC製剤の静脈内投与の適否 PAL-CNDACの各種製剤をマウスに対して単回静脈内投与
し、静脈内投与の適否を調べた。
【0055】実施例1で製造したPAL-CNDACの各種のリ
ポソーム化製剤及び比較例1で製造したPAL-CNDACの可
溶化製剤を1.5倍間隔で適宜希釈し(リポソーム化製
剤の希釈液には、リポソーム製造時の水相を使用した。
可溶化製剤の希釈液には、150mM塩化ナトリウム水
溶液を使用した。)、体重20乃至30gの雌性CDF
1(日本チャールズリバー社より購入。)に対して、体
重1kg当たり20mL尾静脈より投与した。マウスの
生死を投与後1時間にわたり観察することにより、各種
製剤におけるPAL-CNDACの最大投与可能濃度、すなわ
ち、マウスが生存した薬物濃度のうち最も高い濃度を決
定した。最大投与可能濃度の決定に際しては、少なくと
も6匹のマウスに投与して再現性を調べ、1匹の死亡例
もないことを確認した。
【0056】最大耐量(Maximum Tolerated Dose。以
下、MTDという。)は次式:MTD(mg/kg)=
[投与体積(mL/kg)×最大投与可能濃度(mg/
mL)]/マウスの体重(kg)により算出した(投与
体積は、20mL/kgである。)。
【0057】このようにして得られた各種製剤のMTD
を表6に示す。いずれのリポソーム化製剤も200mg
/kgの投与が可能であり、200mg/kg以上のM
TDを有していた。これに対し、比較製造例1及び2の
可溶化製剤では、それぞれ100mg/kg及び150
mg/kgで死亡例があったことから、MTDはそれぞ
れ67mg/kg及び100mg/kgであり、明らか
にリポソーム製剤よりMTDが低かった。
【0058】
【表6】単回静脈内投与におけるPAL-CNDACの 各種製剤のMTD −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 製造例 MTD(mg/kg) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 19 ≧200 20 ≧200 21 ≧200 22 ≧500 23 ≧200 24 ≧203 25 ≧200 26 ≧235 27 ≧215 28 ≧217 29 ≧200 30 ≧200 32 ≧200 33 ≧200 34 ≧200 35 ≧200 36 ≧200 37 ≧200 38 ≧200 39 ≧200 40 ≧200 41 ≧200 42 ≧200 43 ≧200 44 ≧200 45 ≧200 46 ≧273 比較1(可溶化製剤) 67 比較2(可溶化製剤) 100 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 以上の結果より、本発明のリポソーム製剤は、界面活性
剤等を使用した可溶化製剤より安全に大量のPAL-CNDAC
の投与が可能であることが示された。 (試験例3)抗腫瘍活性 実施例1に示したPAL-CNDACの各種製剤又は該製剤と同
様にして新たに製造したPAL-CNDACの製剤(試験を行な
った製剤の薬物回収率及び体積平均粒子径を表7及び表
9に示す。)の抗腫瘍活性を調べた。投与スケジュール
は、3日おきの間歇4回投与とした。抗腫瘍活性は、腫
瘍増殖抑制効果及び延命率を尺度として評価した。
【0059】なお、試験例3(1)及び3(2)は、同
一の条件で、異なる日に行った実験である。
【0060】
【表7】 試験例3(1)で抗腫瘍活性を調べたPAL-CNDACの製剤 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 製造例 製造後の薬物回収率(%) 体積平均粒子径(nm) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 24 73 143.4± 37.5 比較1(可溶化製剤)100 − 比較4(懸濁液)* 100 − −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−* 比較製造例4の懸濁液は、表8に示す処方で製造した。
【0061】
【表8】 経口投与したPAL-CNDACの懸濁液1mLあたりの処方 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 製造例 ジメチルアセトアミド 中性界面活性剤* PAL-CNDAC (μL) (mg) (mg) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 比較4 50 約100 5 比較5 50 約100 7.5 比較6 50 約100 2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 製造後の懸濁液1mL当たり2乃至7.5mgのPAL-CND
ACをジメチルアセトアミド50μLに溶解し、10w/
w%の中性界面活性剤(Emulphor EL-620。ローヌプー
ラン・ジャパン(株)社製)を含む150mM塩化ナト
リウム水溶液を加えて所定体積とした。
【0062】
【表9】 試験例3(2)で抗腫瘍活性を調べたPAL-CNDACの製剤 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 製造例 製造後の薬物回収率(%) 体積平均粒子径(nm) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 24 93 100.9± 46.4 27 90 189.4± 74.0 比較5(懸濁液) 100 − −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 5乃至6週齢の雌性CDF1マウスの皮下にマウス結腸
ガンcolon26を移植し、腫瘍組織を生着し増殖さ
せた。移植後第7日目に、1群6匹に無作為に群分けを
し、初回投与を行なった。静脈内投与用の各種製剤は、
試験例2と同様に体積20mL/kgを静脈内投与し
た。
【0063】また、比較として調べた経口懸濁製剤は、
20mL/kgの体積を投与した。同様にして、移植後
第10、13、16日目に、それぞれ同一の製剤を同体
積投与し、合計4回投与した。
【0064】この投与スケジュールにおけるMTDにつ
いても、試験例2と同様にして求めた。但し、最大投与
可能濃度は、移植第20日目の時点において、薬物の副
作用による死亡例がなく、かつ、移植第7日目に対する
体重減少率が平均で20%以下である最大の製剤中薬物
濃度とした。
【0065】移植第7日目、すなわち、初回投与当日及
び第20日目に皮膚上から腫瘍組織の長径及び短径を測
定し、腫瘍体積を次式:腫瘍体積(mm3)=長径(m
m)×短径2(mm2)/2により算出した。相対腫瘍体
積は、初回投与当日の腫瘍体積を1とした腫瘍体積の相
対値として算出した。この値が小さいほど腫瘍増殖抑制
効果が強いことを意味する。ここでは、移植第20日目
における相対腫瘍体積を腫瘍増殖抑制効果の尺度として
算出した。
【0066】また、各種製剤を投与した後、マウスを飼
育し各マウスの生存日数を求めた。各治療群の延命率
は、次式:(a−b)/b×100(%)により算出し
た。ここで、a及びbはそれぞれ治療群及び無治療群に
おける生存日数の中間値を意味する。
【0067】各製剤のMTD付近における抗腫瘍活性の
評価結果を表10乃至表11に示す。
【0068】
【表10】 試験例3(1)の抗腫瘍活性の試験結果 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 製造例 腫瘍移植第20日目における 延命率(%) (投与量) 相対腫瘍体積 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 無治療群 20.25* 0 24 ( 44mg/kg、MTD) 0.56 90 比較1(可溶化製剤) ( 67mg/kg、MTD)14.53 21 比較4(懸濁液の経口投与) (100mg/kg、MTD) 1.03 60 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−* 無治療群では、腫瘍移植後第20日以前に6匹中3匹が死亡したため、生存し た3匹のマウスについて腫瘍体積の測定を行ない相対腫瘍体積を算出した。
【0069】
【表11】 試験例3(2)の抗腫瘍活性の試験結果 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 製造例 腫瘍移植第20日目における 延命率(%) (投与量) 相対腫瘍体積 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 無治療群 17.69* 0 24 ( 44mg/kg、MTD) 0.93 93 27 ( 44mg/kg、MTD) 0.42 105 比較5(懸濁液の経口投与) (150mg/kg、MTD) 3.01 61 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−* 無治療群では、腫瘍移植後第20日以前に6匹中2匹が死亡したため、生存し た4匹のマウスについて腫瘍体積の測定を行ない相対腫瘍体積を算出した。
【0070】以下、各種製剤間の比較は、MTDにおけ
る抗腫瘍活性で行なった。
【0071】表10の試験例3(1)に示すように、ポ
リオキシエチレン硬化ヒマシ油60及びジメチルスルホ
キシドを使用し、PAL-CNDACを可溶化した製剤(比較製
造例1)を静脈内投与した場合には、該薬物の懸濁液
(比較製造例4)を経口投与した場合に比べて、相対腫
瘍体積が増大し延命率は減少した。従って、経口投与時
の優れた抗腫瘍活性に匹敵する抗腫瘍活性は該可溶化製
剤の静脈内投与では得ることができず、PAL-CNDACの静
脈内投与は経口投与に比べて、不利な投与経路であるこ
とがわかった。
【0072】これに対し、表10に示すように、本発明
のリポソーム製剤を静脈内投与した場合には、可溶化製
剤を静脈内投与と比較して高い抗腫瘍活性が得られた。
また、本発明のリポソームは、表11の試験例3(2)
に示すように、静脈内投与で、懸濁液の経口投与に比
し、顕著に優れた抗腫瘍活性を有していた。
【0073】
【試験例4】抗腫瘍活性 実施例1に示したPAL-CNDACの各種製剤又は該製剤と同
様にして新たに製造したPAL-CNDACの製剤(試験を行っ
た製剤の薬物回収率および体積平均粒子径を表12及び
表14に示す。)の、試験例3で用いたものと異なる癌
種における抗腫瘍活性を調べた。投与スケジュールは、
試験例4(1)ではリポソームの静脈内投与及び懸濁液
の経口投与とも単回投与とし、試験例4の(2)では懸
濁液は連続5日投与後2日休薬、リポソーム製剤は7日
おきというように、各種製剤に好適と考えられる投与ス
ケジュールで6週間の投与を行った。
【0074】
【表12】 試験例4(1)で抗腫瘍活性を調べたPAL-CNDACの製剤 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 製造例 製造後の薬物回収率(%) 体積平均粒子径(nm) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 22 82 109.5±43.0 比較7(懸濁液)* 100 − −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− *比較製造例7の懸濁液は、表13に示す方法で製造した。
【0075】
【表13】 経口投与したPAL-CNDACの懸濁液1mlあたりの処方 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 製造例 カルボキシメチルセルロース* PAL-CNDAC (mg) (mg) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 比較7 約5 100 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− *製造後の懸濁液1mLあたり100mgのPAL-CNDACに0.5重量%カルボキシ メチルセルロース溶液を加えて所定体積とした。
【0076】
【表14】 試験例4(2)で抗腫瘍活性を調べたPAL-CNDACの製剤 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 製造例 製造後の薬物回収率(%) 体積平均粒子径(nm) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 22 90 106.3±39.4 比較6(懸濁液) 100 − −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 5乃至6週齢の雌性CDF1マウスの皮下にマウス繊維
肉腫MethAを移植し、腫瘍組織を生着し増殖させ
た。移植第7日目に、1群6匹になるように無作為に群
分けをし、試験例4(1)では単回投与、試験例4
(2)では初回の投与を行った。静脈内投与用製剤は、
試験例2及び3と同様に20mL/kgの体積を静脈内
投与した。
【0077】また、比較用として調べた経口懸濁製剤
は、試験例4(1)では20mL/kgを、試験例4
(2)では10mL/kgを投与した。
【0078】試験例4におけるMTDについても、試験
例2及び3と同様にして求めた。但し、最大投与可能濃
度は、試験例4(1)の単回投与では薬物の副作用が最
大になる投与6日後(移植第13日後)において、薬物
の副作用による死亡例がなく、かつ、移植第7日目に対
する体重減少率が平均で20%以下である最大の製剤中
薬物濃度とした。また、試験例4(2)の各製剤に好適
な投与スケジュールにおいては、最終投与3日後(移植
第45日目)まで薬物の副作用による死亡例がなく、か
つ移植第7日目に対する体重減少率が平均で20%以下
である最大の薬物濃度とした。
【0079】試験例4(1)では、移植第7日目、すな
わち、初回投与当日及び第20日、試験例4(2)で
は、移植第7日目、すなわち、初回投与当日及び第21
日目、第31日目に皮膚上から腫瘍組織の長径及び短径
を測定し、試験例3と同様に相対腫瘍体積を算出した。
試験例4(1)では移植第20日目、試験例4(2)で
は移植第21日目及び第31日目における相対腫瘍体積
を腫瘍増殖抑制効果の尺度として算出した。
【0080】各種製剤を投与した後、マウスを飼育し、
試験例3同様に延命率を算出した。
【0081】各製剤のMTD付近における抗腫瘍活性の
評価結果を表15及び表16に示す。
【0082】
【表15】 試験例4(1)の抗腫瘍活性の試験結果 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 製造例 腫瘍移植第20日目における 延命率(%) (投与量) 相対腫瘍体積 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 無治療群 8.22 0 22 3.39 3.9 (300mg/kg、MTD) 比較7(懸濁液の経口投与) 6.6 2.6 (2000mg/kg、MTD) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0083】
【表16】 試験例4(2)の抗腫瘍活性の試験結果 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 製造例 相対腫瘍体積 延命率(%) (投与量) −−−−−−−−−−− 腫瘍移植 腫瘍移植 第21日目 第31日目 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 無治療群 11.82 −* 0 22 3.24 7.26 48 (225mg/kg、MTD) 比較6(懸濁液の経口投与) ( 20mg/kg、MTD) 6.78 18.64 19 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− *無治療群では、腫瘍移植第31日目以前に6匹すべてが死亡した。
【0084】各種製剤間の比較は、MTDにおける抗腫
瘍活性で行った。
【0085】マウス繊維肉腫MethAにおいても、製
造例22のリポソーム製剤を静脈内投与した場合には、
懸濁液の経口投与に比し、優れた抗腫瘍活性を有するこ
とが判明した。 (試験例5)各種のPAL-CNDAC製剤投与後の腫瘍中PAL-C
NDAC濃度 リポソーム化によるPAL-CNDACの腫瘍集積性及び滞留性
の変化を調べるため、PAL-CNDACの各種製剤を投与した
後の腫瘍中PAL-CNDAC濃度を測定した。表17及び表1
8に示すように、投与経路については、抗腫瘍活性評価
時と同様に、リポソーム化製剤及び可溶化製剤は静脈内
投与、懸濁液は経口投与とした。
【0086】6週齢のCDF1マウスの皮下にマウス結
腸ガンcolon26又はマウス繊維肉腫MethAを移植
し、10乃至14日後に、表17及び表18に示す製剤
を単回投与した。PAL-CNDACの投与量は、colon2
6担癌マウスに対しては試験例3で、MethA担癌マ
ウスに対しては試験例4(1)で決定したMTDに近い
量とした。
【0087】
【表17】 Colon26腫瘍内PAL-CNDAC濃度を調べたPAL-CNDACの製剤の投与経路及び投与量 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 製造例 投与経路 投与量(mg/kg) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 24* 静脈内 20 27* 静脈内 44 比較1(可溶化液) 静脈内 44 比較4(懸濁液) 経口 100 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−* 製造後の薬物回収率及び体積平均粒子径は、表9に示した。
【0088】
【表18】 MethA腫瘍内PAL-CNDAC濃度を調べたPAL-CNDACの製剤の投与経路及び投与量 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 製造例 投与経路 投与量(mg/kg) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 22* 静脈内 300 比較7(懸濁液) 経口 2000 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−* 製造後の薬物回収率及び体積平均粒子径は、表19に示した。
【0089】
【表19】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 製造例 製造後の薬物回収率(%) 体積平均粒子径(nm) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 22 103 101.8±41.5 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− Colon26担癌マウスは、各製剤を投与して、5、
24、48及び72時間後、MethA担癌マウスは各
製剤を投与して24時間後に、脱血死させ、腫瘍組織を
摘出し、その重量を測定した。この腫瘍組織に0.5乃
至3mLの150mL塩化ナトリウム水溶液を加え、ホ
モジナイゼーションした。
【0090】試験例1と同様にして、測定した各ホモジ
ネート中のPAL-CNDAC濃度、及び、腫瘍組織と添加した
塩化ナトリウム水溶液との重量比から算出した希釈度か
ら腫瘍組織中のPAL-CNDAC濃度を求めた。
【0091】その結果、マウス結腸ガンcolon26
担癌マウスでは、図1に示すように、リポソーム製剤投
与後には、PAL-CNDACが48時間乃至72時間まで検出
された。これに対し、可溶化製剤の静脈内投与及び懸濁
液の経口投与後には、PAL-CNDACを検出することはでき
なかった。また、マウス繊維肉腫MethA担癌マウス
においても、表20に示すように、各種製剤投与24時
間後において、リポソーム製剤投与後には、腫瘍からPA
L-CNDACが検出されたが、懸濁液の経口投与後には、検
出することは出来なかった。
【0092】
【表20】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 製造例 投与24時間後の腫瘍(MethA)中 (投与量) PAL-CNDAC濃度 (μg/mL) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 22 7.81±1.82 (300mg/kg) 比較7(懸濁液の経口投与) < 0.1 (2000mg/kg) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− このように、リポソーム化によってPAL-CNDACの腫瘍組
織への蓄積効率が高まることが示された。
【0093】本発明により、全脂質量に対するPAL-CNDA
Cの組成比が高いリポソームを製造することができ、毒
性の強い中性の水溶性界面活性剤を使用することなく、
PAL-CNDACの静脈内投与を可能とすることができた。
【0094】また、PAL-CNDACの腫瘍組織への集積性及
び該組織での滞留性を高め、経口投与と同等又はそれ以
上の抗腫瘍活性を有するリポソーム製剤を製造すること
ができた。
【0095】
【発明の効果】本発明のPAL-CNDACのリポソーム製剤
は、PAL-CNDACの安全な静脈内投与、腫瘍組織へのター
ゲッティング、腫瘍組織での滞留性付与、及び、抗腫瘍
活性の増強を可能とする製剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】PAL-CNDACのリポソーム製剤投与後の腫瘍(C
olon26)中PAL-CNDAC濃度の経時変化を示す。 (図中、□、製造例27(44mg/kg);○、製造
例24(20mg/kg))の懸濁液の経口投与(10
0mg/kg)及び比較例1の可溶化製剤(44mg/
kg)の静脈内投与後、5、24及び48時間において
は、腫瘍中にPAL-CNDACは検出されなかった(検出限界
0.1μg/mL)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 47/30 A61K 47/30 A61P 35/00 A61P 35/00 (72)発明者 花岡 健司 東京都品川区広町1丁目2番58号 三共株 式会社内 (72)発明者 蔵方 慎一 東京都品川区広町1丁目2番58号 三共株 式会社内 (72)発明者 松田 彰 北海道札幌市北区北24条西12丁目1−7− 501 (72)発明者 佐々木 琢磨 石川県金沢市平和町3−18−15 平和宿舎 (C)−57−11 Fターム(参考) 4C076 AA19 BB01 BB13 CC27 DD48 DD51 DD63 DD70 EE48 EE51 FF32 FF34 FF63 FF70 4C086 EA17 MA24 NA03 NA13 ZB26

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1−(2’−シアノ−2’−デオキシ−β
    −D−アラビノ−ペントフラノシル)−N4−パルミト
    イルシトシン含有リポソーム製剤。
  2. 【請求項2】リポソームを構成する脂質成分として、ポ
    リエチレングリコール類で化学修飾された脂質又はホス
    ファチジルコリン類を含有することを特徴とする、請求
    項1に記載のリポソーム製剤。
  3. 【請求項3】リポソームを構成する脂質成分であるポリ
    エチレングリコール類で化学修飾された脂質が、N−モ
    ノメトキシポリエチレングリコールサクシニルホスファ
    チジルエタノールアミン類、N−モノメトキシポリエチ
    レングリコール(2−クロロ−1,3,5−トリアジン
    −4,6−ジイル)サクシニルホスファチジルエタノー
    ルアミン類、N−モノメトキシポリエチレングリコール
    カルボニルホスファチジルエタノールアミン類又はN−
    モノメトキシポリエチレングリコールエチレンホスファ
    チジルエタノールアミン類であることを特徴とする、請
    求項2に記載のリポソーム製剤。
  4. 【請求項4】リポソームを構成する脂質成分であるポリ
    エチレングリコール類で化学修飾された脂質が、N−モ
    ノメトキシポリエチレングリコールサクシニルホスファ
    チジルエタノールアミン類又はN−モノメトキシポリエ
    チレングリコールカルボニルホスファチジルエタノール
    アミン類であることを特徴とする、請求項2に記載のリ
    ポソーム製剤。
  5. 【請求項5】リポソームを構成する脂質成分であるホス
    ファチジルコリン類が、ジミリストイルホスファチジル
    コリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン又はジス
    テアロイルホスファチジルコリンのいずれかであること
    を特徴とする、請求項2に記載のリポソーム製剤。
  6. 【請求項6】リポソームを構成する脂質成分であるホス
    ファチジルコリン類が、ジパルミトイルホスファチジル
    コリン又はジステアロイルホスファチジルコリンのいず
    れかであることを特徴とする、請求項2又は5に記載の
    リポソーム製剤。
  7. 【請求項7】リポソームを構成する脂質成分として、さ
    らに、ステロール類を含有することを特徴とする、請求
    項2乃至6のいずれかの1に記載のリポソーム製剤。
  8. 【請求項8】リポソームを構成する脂質成分であるステ
    ロール類が、コレステロールであることを特徴とする、
    請求項7に記載のリポソーム製剤。
  9. 【請求項9】リポソームを構成する脂質成分として、さ
    らに、ホスファチジルグリセロール類を含有することを
    特徴とする、請求項2乃至8のいずれかの1に記載のリ
    ポソーム製剤。
  10. 【請求項10】リポソームを構成する脂質成分であるホ
    スファチジルグリセロール類が、ジミリストイルホスフ
    ァチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジル
    グリセロール又はジステアロイルホスファチジルグリセ
    ロールであることを特徴とする、請求項9に記載のリポ
    ソーム製剤。
  11. 【請求項11】リポソームを構成する脂質成分であるホ
    スファチジルグリセロール類が、ジパルミトイルホスフ
    ァチジルグリセロール又はジステアロイルホスファチジ
    ルグリセロールであることを特徴とする、請求項9又は
    10に記載のリポソーム製剤。
  12. 【請求項12】リポソームを構成する脂質成分として、
    さらに、カチオン性脂質を含有することを特徴とする、
    請求項2乃至11のいずれか1に記載のリポソーム製
    剤。
  13. 【請求項13】リポソームを構成する脂質成分であるカ
    チオン性脂質が、N−α−トリメチルアンモニオアセチ
    ルジドデシル−D−グルタメートクロライドであること
    を特徴とする、請求項12に記載のリポソーム製剤。
  14. 【請求項14】リポソームの体積平均粒子径が、25n
    m乃至400nmであることを特徴とする、請求項2乃
    至13のいずれか1に記載のリポソーム製剤。
  15. 【請求項15】リポソームの体積平均粒子径が、50n
    m乃至200nmであることを特徴とする、請求項2乃
    至14のいずれか1に記載のリポソーム製剤。
  16. 【請求項16】リポソームを構成する脂質成分が、
    (1)1−(2’−シアノ−2’−デオキシ−β−D−
    アラビノ−ペントフラノシル)−N4−パルミトイルシ
    トシン、(2)モノメトキシポリエチレングリコールサ
    クシニルジステアロイルホスファチジルエタノールアミ
    ン類又はN−モノメトキシポリエチレングリコールカル
    ボニルホスファチジルエタノールアミン類、及び、
    (3)ホスファチジルコリン類である、請求項1乃至1
    5のいずれか1に記載のリポソーム製剤。
  17. 【請求項17】リポソームを構成する総脂質量に対し
    て、(1)1−(2’−シアノ−2’−デオキシ−β−
    D−アラビノ−ペントフラノシル)−N4−パルミトイ
    ルシトシンの組成比が、3mol%乃至65mol%で
    あり、(2)モノメトキシポリエチレングリコールサク
    シニルジステアロイルホスファチジルエタノールアミン
    類又はN−モノメトキシポリエチレングリコールカルボ
    ニルホスファチジルエタノールアミン類の組成比が、
    0.5mol%乃至10mol%であり、(3)ホスフ
    ァチジルコリン類の組成比が、30mol%乃至95m
    ol%である、請求項16に記載のリポソーム製剤。
  18. 【請求項18】リポソームを構成する脂質成分が、
    (1)1−(2’−シアノ−2’−デオキシ−β−D−
    アラビノ−ペントフラノシル)−N4−パルミトイルシ
    トシン、(2)モノメトキシポリエチレングリコールサ
    クシニルジステアロイルホスファチジルエタノールアミ
    ン類又はN−モノメトキシポリエチレングリコールカル
    ボニルホスファチジルエタノールアミン類、及び、
    (3)ステロール類である、請求項1乃至15のいずれ
    か1に記載のリポソーム製剤。
  19. 【請求項19】リポソームを構成する総脂質量に対し
    て、(1)1−(2’−シアノ−2’−デオキシ−β−
    D−アラビノ−ペントフラノシル)−N4−パルミトイ
    ルシトシンの組成比が、25mol%乃至50mol%
    であり、(2)モノメトキシポリエチレングリコールサ
    クシニルジステアロイルホスファチジルエタノールアミ
    ン類又はN−モノメトキシポリエチレングリコールカル
    ボニルホスファチジルエタノールアミン類の組成比が、
    0.5mol%乃至10mol%であり、(3)ステロ
    ール類の組成比が、40mol%乃至70mol%であ
    る、請求項18に記載のリポソーム製剤。
  20. 【請求項20】リポソームを構成する脂質成分が、
    (1)1−(2’−シアノ−2’−デオキシ−β−D−
    アラビノ−ペントフラノシル)−N4−パルミトイルシ
    トシン、(2)モノメトキシポリエチレングリコールサ
    クシニルジステアロイルホスファチジルエタノールアミ
    ン類又はN−モノメトキシポリエチレングリコールカル
    ボニルホスファチジルエタノールアミン類、(3)ホス
    ファチジルコリン類、及び、(4)ステロール類であ
    る、請求項1乃至15のいずれか1に記載のリポソーム
    製剤。
  21. 【請求項21】リポソームを構成する総脂質量に対し
    て、(1)1−(2’−シアノ−2’−デオキシ−β−
    D−アラビノ−ペントフラノシル)−N4−パルミトイ
    ルシトシンの組成比が、3mol%乃至50mol%で
    あり、(2)モノメトキシポリエチレングリコールサク
    シニルジステアロイルホスファチジルエタノールアミン
    類又はN−モノメトキシポリエチレングリコールカルボ
    ニルホスファチジルエタノールアミン類の組成比が、
    0.5mol%乃至10mol%であり、(3)ホスフ
    ァチジルコリン類の組成比が、10mol%乃至70m
    ol%であり、(4)ステロール類の組成比が、10m
    ol%乃至60mol%である、請求項20に記載のリ
    ポソーム製剤。
  22. 【請求項22】リポソームを構成する脂質成分が、
    (1)1−(2’−シアノ−2’−デオキシ−β−D−
    アラビノ−ペントフラノシル)−N4−パルミトイルシ
    トシン、(2)ホスファチジルコリン類、(3)ステロ
    ール類、(4)ホスファチジルグリセロール類である、
    請求項1乃至15のいずれか1に記載のリポソーム製
    剤。
  23. 【請求項23】リポソームを構成する総脂質量に対し
    て、(1)1−(2’−シアノ−2’−デオキシ−β−
    D−アラビノ−ペントフラノシル)−N4−パルミトイ
    ルシトシンの組成比が、3mol%乃至50mol%で
    あり、(2)ホスファチジルコリン類の組成比が、10
    mol%乃至70mol%であり、(3)ステロール類
    の組成比が、10mol%乃至60mol%であり、
    (4)ホスファチジルグリセロール類の組成比が、1m
    ol%乃至10mol%である、請求項22に記載のリ
    ポソーム製剤。
  24. 【請求項24】リポソームを構成する脂質成分が、
    (1)1−(2’−シアノ−2’−デオキシ−β−D−
    アラビノ−ペントフラノシル)−N4−パルミトイルシ
    トシン、(2)ホスファチジルコリン類、(3)モノメ
    トキシポリエチレングリコールサクシニルジステアロイ
    ルホスファチジルエタノールアミン類又はN−モノメト
    キシポリエチレングリコールカルボニルホスファチジル
    エタノールアミン類、(4)ホスファチジルグリセロー
    ル類である、請求項1乃至15のいずれか1に記載のリ
    ポソーム製剤。
  25. 【請求項25】リポソームを構成する総脂質量に対し
    て、(1)1−(2’−シアノ−2’−デオキシ−β−
    D−アラビノ−ペントフラノシル)−N4−パルミトイ
    ルシトシンの組成比が、3mol%乃至50mol%で
    あり、(2)ホスファチジルコリン類の組成比が、10
    mol%乃至70mol%であり、(3)モノメトキシ
    ポリエチレングリコールサクシニルジステアロイルホス
    ファチジルエタノールアミン類又はN−モノメトキシポ
    リエチレングリコールカルボニルホスファチジルエタノ
    ールアミン類の組成比が、0.5mol%乃至10mo
    l%であり、(4)ホスファチジルグリセロール類の組
    成比が、1mol%乃至10mol%である、請求項2
    4に記載のリポソーム製剤。
  26. 【請求項26】リポソームを構成する脂質成分が、
    (1)1−(2’−シアノ−2’−デオキシ−β−D−
    アラビノ−ペントフラノシル)−N4−パルミトイルシ
    トシン、(2)ホスファチジルコリン類、(3)ステロ
    ール類、(4)モノメトキシポリエチレングリコールサ
    クシニルジステアロイルホスファチジルエタノールアミ
    ン類又はN−モノメトキシポリエチレングリコールカル
    ボニルホスファチジルエタノールアミン類、(5)ホス
    ファチジルグリセロール類である、請求項1乃至15の
    いずれか1に記載のリポソーム製剤。
  27. 【請求項27】リポソームを構成する総脂質量に対し
    て、(1)1−(2’−シアノ−2’−デオキシ−β−
    D−アラビノ−ペントフラノシル)−N4−パルミトイ
    ルシトシンの組成比が、3mol%乃至50mol%で
    あり、(2)ホスファチジルコリン類の組成比が、10
    mol%乃至70mol%であり、(3)ステロール類
    の組成比が、10mol%乃至60mol%であり、
    (4)モノメトキシポリエチレングリコールサクシニル
    ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン類又は
    N−モノメトキシポリエチレングリコールカルボニルホ
    スファチジルエタノールアミン類の組成比が、0.5m
    ol%乃至10mol%であり、(5)ホスファチジル
    グリセロール類の組成比が、1mol%乃至10mol
    %である、請求項26に記載のリポソーム製剤。
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