JP2001025799A - 汚泥処理方法及び汚泥処理システム - Google Patents

汚泥処理方法及び汚泥処理システム

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JP2001025799A
JP2001025799A JP11201778A JP20177899A JP2001025799A JP 2001025799 A JP2001025799 A JP 2001025799A JP 11201778 A JP11201778 A JP 11201778A JP 20177899 A JP20177899 A JP 20177899A JP 2001025799 A JP2001025799 A JP 2001025799A
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treatment
enzyme
tank
cellulase
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JP11201778A
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Shojiro Osumi
省二郎 大隅
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Osaka Gas Co Ltd
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Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 汚泥を処理する際に、前記脱水汚泥の含水率
及び汚泥自体の発生量を減少させると共に、前記脱水汚
泥を加熱を伴った減量処理を施す際に必要なエネルギー
を低減させる汚泥処理方法を提供する。 【解決手段】 有機性汚水1を生物処理することによっ
て発生する汚泥6を脱水して得た脱水汚泥を、加熱を伴
って減量処理する汚泥処理方法において、前記汚泥6
を、細胞壁成分又は細胞膜成分を分解する少なくとも1
種以上の酵素8で処理して、前記加熱を伴って減量処理
する汚泥処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機性汚水を生物
処理することによって発生する汚泥を脱水して得た脱水
汚泥を、加熱を伴って減量処理する汚泥処理方法及びこ
れを用いた汚泥処理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、下水等の有機性汚水を活性汚泥法
で生物処理することによって生じる汚泥は、埋め立て処
分されていた。しかし、昨今、埋め立て用地の逼迫が問
題となっているため、最終生成物を減量する汚泥処理方
法が検討されている。
【0003】例えば、前記汚泥の減量処理方法として
は、加熱を伴った減量処理方法、即ち、前記汚泥を、焼
却処理或いは乾燥処理を施した後に埋め立てる方法、或
いは、溶融炉で溶融する方法が提案されている。焼却処
理を施す場合は、前記汚泥を生物処理槽から汚泥沈降槽
に移送して、重力沈降によって固液分離し、固形分4%
程度の濃縮汚泥を得る。そして、これを汚泥脱水槽に投
入して、遠心分離又は膜分離法を用いて脱水し、固形分
20%程度の脱水汚泥を得て、これを焼却炉で焼却して
いた。又、乾燥処理を施す場合、前記脱水汚泥を加熱乾
燥することによって、固形分60%程度の乾燥汚泥が得
られていた。尚、溶融処理を施す際、含水率が高いと前
記溶融炉の運転に支障をきたす虞があるので、投入する
汚泥の含水率は低く抑える必要があった。そのため、前
記溶融炉には、前記濃縮汚泥を乾燥処理又は焼却処理し
て得られる乾燥汚泥又は焼却灰を投入していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
汚泥処理方法によれば、前記脱水汚泥の総量が多く、
又、含水率が高いために、前記脱水汚泥を乾燥・焼却・
溶融するために多大なエネルギーを要するという問題点
があった。
【0005】従って、本発明の目的は、前記汚泥を処理
する際に、前記脱水汚泥の含水率及び汚泥自体の発生量
を減少させると共に、前記脱水汚泥を加熱を伴った減量
処理を施す際に必要なエネルギーを低減させる汚泥処理
方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
の本発明の汚泥処理方法の特徴手段は、有機性汚水を生
物処理することによって発生する汚泥を脱水して得た脱
水汚泥を、加熱を伴って減量処理する汚泥処理方法にお
いて、前記汚泥を、細胞壁成分又は細胞膜成分を分解す
る少なくとも1種以上の酵素で処理した後に、加熱を伴
って減量処理する点にあり、更に、前記汚泥を濃縮した
後に、前記酵素で処理することが好ましく、更に、前記
酵素がセルラーゼであることが好ましく、更に、前記酵
素処理を、トリコデルマ ビリデ(Trichoder
ma viride)菌体を添加することによって行な
うことが好ましく、更に、前記酵素処理を60℃〜70
℃で行なうことが好ましく、更に、前記酵素処理の反応
時間が3時間以上であることが好ましく、更に、前記セ
ルラーゼの添加量が、前記汚泥に含まれる固形物1kg
当たり72,000IU以上であることが好ましい。
又、この目的を達成するための本発明に係る汚泥処理シ
ステムの特徴構成は、有機性汚水を生物処理する生物処
理槽、前記生物処理槽で発生した汚泥を脱水する汚泥脱
水槽、前記汚泥脱水槽で発生した脱水汚泥を加熱を伴っ
て減量処理する減量処理設備を備えた汚泥処理システム
であって、前記生物処理槽と前記汚泥脱水槽との間に、
細胞壁成分又は細胞膜成分を分解する少なくとも1種以
上の酵素を供給する酵素供給設備を設けた点にあり、更
に、前記酵素がセルラーゼであることが好ましい。そし
て、これらの作用効果は、以下の通りである。
【0007】発明者は、前記汚泥中には、多量に微生物
(菌体)が存在しており、この菌体内に封じ込められた
水分は、前記菌体を構成する細胞膜及び細胞壁が障壁と
なって、機械的な脱水処理によっては容易に取り除けな
いという知見を得た。そこで、前記脱水処理工程におけ
る効率化を図る上で、前記細胞壁及び細胞膜を破壊し
て、前記菌体内に封じ込められた成分を菌体外へ放出さ
せることが重要であるという認識の下に鋭意研究を重
ね、本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、有機性汚水を生物処理することによ
って発生する汚泥を脱水して得た脱水汚泥(このような
脱水汚泥は通常、濃縮工程を経た後に脱水処理して得ら
れる)を、加熱を伴って減量処理する汚泥処理方法にあ
って、前記汚泥を、細胞壁成分又は細胞膜成分を分解す
る少なくとも1種以上の酵素で処理することによって、
例えば、前記酵素を生物処理と脱水処理の間に添加した
り、酵素処理を行なう為の水槽を設けるなどして、前記
汚泥を構成する菌体の細胞壁又は細胞膜を分解すると、
菌体内外で気液流通可能な間隙が生じるために、前記菌
体内に封じ込められていた成分(大部分は水分である
が、タンパク質、脂質、糖質等の成分も含む)を前記菌
体外へ放出することが可能となる。又、前記細胞壁及び
細胞膜も分解が進めば、部分的に可溶性成分にまで分解
される。そして、これらの成分は、脱水処理を施すこと
によって液相に移行するので、前記脱水汚泥の含水率を
低下させることができると共に、前記脱水汚泥に含まれ
る固形成分の量についても減少させることができる。更
に、前記脱水汚泥を熱処理する場合にも、前記細胞壁又
は細胞膜に生じた間隙を通じて気液交換が容易となるこ
とから、従来と比較して短時間で含水率を低下させるこ
とができ、これによって、前記脱水汚泥を熱処理する為
に必要なエネルギーの消費量を低減することができる。
又、前記細胞壁又は細胞膜を破壊する手段として酵素反
応を利用すると、温和な条件で反応を進行させることが
できるので、この点でも、エネルギー消費が激しい物理
的手段(例えば、加圧、加熱、超音波処理等)のみ用い
た場合と比較して、エネルギー消費を抑制することがで
きる。このようにして、本発明に係る汚泥処理方法を用
いると、前記脱水汚泥の含水率及び汚泥自体の発生量を
減少させると共に、前記脱水汚泥に加熱を伴った減量処
理を施す際に必要なエネルギーを低減させることができ
る。
【0009】ここで、前記酵素処理に先立って、前記汚
泥を濃縮して濃縮汚泥とし、これを前記酵素で処理する
と、酵素処理段階における液量を減らすことができる。
すると、前記酵素の添加量を減らすことができると共
に、酵素処理に要するエネルギーを削減することができ
る。
【0010】更に、前記酵素として、前記細胞壁の主要
構成成分であるセルロースを分解する酵素(セルラー
ゼ)を用いると、前記細胞壁を分解して気液流通可能な
間隙を形成しやすいので好適である。
【0011】又、前記酵素処理の際に用いる酵素の供給
源について考えると、精製酵素は高価であるので、コス
トを削減する為に、セルラーゼ生産菌であるトリコデル
マビリデ(Trichoderma viride)菌
体を添加することが好ましい。尚、前記トリコデルマ
ビリデ菌体は、生菌であっても、死菌体であっても、前
記酵素の供給源として利用可能であればかまわない。
【0012】更に、酵素反応は、その酵素が失活しない
程度の温度範囲内では、高温で行なうほど活性が上昇す
るものであるので、高温で行なうことが好ましく、本発
明においては、後述する実験結果からも明らかなよう
に、60℃〜70℃で前記酵素処理を行なうことが好ま
しい。
【0013】更に、後述する実験結果から明らかなよう
に、前記酵素処理の反応時間を3時間以上とすることに
よって、前記酵素の触媒作用が十分に発揮されるため
に、従来の汚泥処理方法と比較して、大幅に汚泥重量及
び含水率を減少させることができる。ここで、実際上の
効率的な運転状況を考えると、前記酵素処理時間は最大
24時間程度で抑えることが好ましい。
【0014】更に、後述する実験結果から明らかなよう
に、前記セルラーゼの添加量が、前記汚泥に含まれる固
形物1kg当たり72,000IU以上であると、従来
の汚泥処理方法と比較して、大幅に汚泥重量及び含水率
を減少させることができる。ここで、前記セルラーゼの
添加量は、多ければ多いほど処理の進行上好ましいが、
固形物1kg当たり480,000IU以上添加しても
著しい効果を得ることはできず、実用上の上限は上記値
である。
【0015】そして、生物処理槽で有機性汚水を生物処
理し、汚泥脱水槽において前記生物処理槽で発生した汚
泥を脱水し、減量処理設備において前記汚泥脱水槽で発
生した脱水汚泥に対して加熱を伴った減量処理を施す汚
泥処理システムにあって、前記生物処理槽と前記汚泥脱
水槽との間に、細胞壁成分又は細胞膜成分を分解する少
なくとも1種以上の酵素を供給する酵素供給設備を設け
ることによって、汚泥に対して酵素処理を施すことがで
きる。前記酵素処理を施された脱水汚泥は、従来と比較
して、汚泥重量並びに含水率が低下し、又、前記汚泥を
構成する菌体の細胞壁及び細胞膜に気液流通可能な間隙
を生じさせ易いので、短時間で乾燥させることができ
る。従って、本発明に係る汚泥処理システムにおいて
は、従来の汚泥処理システムと比較して、前記脱水汚泥
の含水率及び汚泥自体の発生量を減少させることができ
ると共に、前記脱水汚泥を加熱を伴った減量処理を施す
際に必要なエネルギーを低減させることができる。
【0016】又、前記酵素として、前記細胞壁の主要構
成成分であるセルロースを分解する酵素(セルラーゼ)
を用いると、前記細胞壁を分解して気液流通可能な間隙
を形成しやすいので好適である。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、前記酵素処理のための酵
素処理槽を設けた有機性汚水処理施設を例にとして、本
発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、
本発明に係る汚泥処理方法を実施する為の有機性汚泥処
理施設の概略図である。前記有機性汚泥処理施設は、以
下に詳述する生物処理工程、濃縮工程、酵素処理工程、
脱水工程、乾燥工程、溶融工程を遂行する為の施設とし
て、夫々、生物処理槽2、汚泥沈降槽4、酵素処理槽
7、汚泥脱水槽10、乾燥機13、及び、溶融炉15を
備え、これらが記載順に連設されていると共に、前記汚
泥脱水槽10から前記生物処理槽2に液体(脱離水1
1)を返送可能に構成されている。前記有機性汚水処理
施設において、外部より流入した有機性汚水1は、以下
のような工程を経て処理され、最終的には、水分は処理
水5として、又、固形分は溶融スラグ16として排出さ
れる。
【0018】(1) 生物処理工程 本工程は、外部より生物処理槽2に流入する有機性汚水
1と、前記汚泥脱水槽10から出る前記脱離水11を、
活性汚泥法によって処理するものである。本工程で処理
された有機性汚水1はスラリ状になり、このスラリは、
流出スラリ3として汚泥沈降槽4へ全量移送される。 (2) 汚泥沈降工程 本工程は、汚泥沈降槽4に移送された前記流出スラリ3
を、重力沈降によって処理水5と濃縮汚泥6に分離する
工程である。前記処理水5は外部へ放出され、又、前記
濃縮汚泥6は回収され、後続する酵素処理槽7へ移送さ
れる。 (3) 酵素処理工程 本工程は、前記酵素処理槽7に移送された前記濃縮汚泥
6に、細胞壁成分又は細胞膜成分を分解する少なくとも
1種以上の酵素8を添加した後に一定時間留置すること
によって、前記濃縮汚泥6に含まれる微生物の菌体の細
胞壁又は細胞膜を破壊するものである。更に、前記酵素
8による細胞壁、細胞膜の分解を促進するために、機械
的撹拌もしくは曝気を行ない前記濃縮汚泥6と前記酵素
8とを混和したり、必要に応じて適当な温度(好ましく
は60〜70℃)に加温する場合もある。前記酵素8の
供給形態としては、精製酵素を前記酵素処理槽7に投入
しても良く、又、前記酵素を生産する菌(酵素生産菌)
を前記酵素処理槽7に直接投入して酵素処理を行なって
も良い。更に、前記酵素生産菌を安定して供給する為
に、前記酵素生産菌の培養装置を前記酵素処理槽7に連
設して、定期的に前記酵素生産菌を供給可能にしてあっ
ても良い。ここで、前記細胞壁成分又は細胞膜成分を分
解する酵素8は、適宜、前記活性汚泥を構成する微生物
の種類、コスト等を考慮して選択することができ、代表
的なものとしては、セルラーゼ、アミラーゼ、プロテア
ーゼ及びリパーゼを挙げることができる。上記4種の酵
素を生成する菌としては、以下のものが挙げられる。 セルラーゼ生産菌 トリコデルマ ビリデ(Trichoderma vi
ride) アスペルギルス ニガー(Aspergillus n
iger) アミラーゼ生産菌 バチルス アミロリケファシエンス (Bacillus amyloliquefacie
ns) バチルス ズブチリス(Bacillus subti
lis) プロテアーゼ生産菌 アスペルギルス オリゼ(Aspergillus o
ryzae) ストレプトマイセス グリセウス (Streptomyces griseus) バチルス ズブチリス(Bacillus subti
lis) リパーゼ生産菌 アスペルギルス ニガー(Aspergillus n
iger) リゾパス デレマー(Rhizopus delema
r) カンジダ シリンドラセ(Candida cylin
dracea) 尚、他の細胞壁成分又は細胞膜成分を分解する酵素を用
いて、前記濃縮汚泥を処理することも、前記乾燥汚泥の
含水率及び重量を減少させるのに有用である。更に、作
用対象の異なる数種の酵素を混合して用いることによっ
て、前記細胞壁及び細胞膜の分解反応を促進し、その結
果として、前記脱水汚泥の重量及び含水率を低減させる
ことができる。 (4) 汚泥脱水工程 本工程は、酵素処理槽7において酵素処理された酵素処
理汚泥9を前記汚泥脱水槽10に受け入れ、遠心分離
機、フィルタープレス等を用いて、脱水汚泥12と、脱
離水11に分離する工程である。分離された前記脱水汚
泥12は、後続する乾燥機13へ送られる。一方、前記
脱離水11は、前記菌体由来の可溶性成分等を含んでい
るので、再び前記生物処理槽2へ返送されて生物処理を
施される。ここで、前記脱離水11と共に、前記酵素8
を前記生物処理槽2に移送することによって、活性汚泥
に影響が出る場合には、前記酵素8の回収・失活処理を
施した後に、前記脱離水11を返送することもできる。 (5) 乾燥工程 本工程は、汚泥脱水槽10において脱水された脱水汚泥
12を、前記乾燥機13を用いて、乾燥処理する工程で
ある。前記乾燥処理の結果生じた乾燥汚泥14は、前記
脱水汚泥12と比較して容積、重量ともに減少している
ので、これを最終処分場に埋め立てても良く、又、更に
減量するために、以下に説明する溶融工程で溶融処理を
施しても良い。 (6)溶融工程 本工程は、前記乾燥汚泥14を溶融処理する工程であ
る。溶融炉15に投入された前記乾燥汚泥14は溶融し
た後にスラグ16として回収され、建築材料等に再利用
したり、最終処分場に埋め立てて処分する。
【0019】〔実験例〕下水処理施設の生物処理槽から
排出された活性汚泥を得て、これを自然沈降により濃縮
した濃縮汚泥(pH5.0〜6.2)を試料として、以
下の実験を行なった。尚、以下の実験例における操作手
順は、特に記載のない限り、図2に示す通りである。先
ず、300ml容三角フラスコに前記濃縮汚泥を20g
収容し(ステップS1)、前記三角フラスコ内に所定の
濃度、種類の酵素を添加した後に、所定の時間・温度
で、前記三角フラスコを振とうして酵素処理を行なった
(ステップS2)。そして、振とう後の汚泥を、孔径1
00μmの濾紙を用いて吸引濾過した後に(ステップS
3)、濾過後の汚泥、即ち、脱水汚泥の重量を測定した
(ステップS4)。更に、前記脱水汚泥の一定量を10
5℃又は180℃で乾燥させて(ステップS5)、乾燥
後の汚泥(乾燥汚泥)の含水率及び重量を測定する(ス
テップS6)。又、比較例として、酵素処理を施してい
ない前記濃縮汚泥を孔径100μmの濾紙で濾過した
後、実験例と同様に、脱水汚泥の重量、乾燥汚泥の含水
率及び重量を測定した。尚、本発明に係る実験例で使用
する5種類の酵素、即ち、セルラーゼ(商品名:セルラ
イザー)、アミラーゼA(商品名:スピターゼL)、ア
ミラーゼB(商品名:ビオテックスL3000)、プロ
テアーゼ(商品名:ビオプラーゼXL−416)、リパ
ーゼ(商品名:リリパーゼB−2)は、すべて長瀬産業
株式会社から販売されているものを用いた。
【0020】〔実験例1〕微生物の細胞壁を構成する代
表的な成分であるセルロースを分解する酵素(セルラー
ゼ)を用いて、前記濃縮汚泥を処理した。具体的には、
図2に示す操作に従って、前記濃縮汚泥に、力価1,6
00IU/gの前記セルラーゼ製剤を、固形成分(汚泥
を含水率0%まで乾燥させたときの残渣)1kg当たり
45g(72,000IU)添加し、65℃で3時間反
応させた。その結果、無処理の脱水汚泥では含水率が7
7.2%であったのに対し、セルラーゼで処理した脱水
汚泥では73.9%に低下した。又、セルラーゼで処理
することにより、前記脱水汚泥の重量が無処理の脱水汚
泥に比べて、27.2%減少した。このことから、セル
ラーゼ処理を施すことによって、前記脱水汚泥の含水率
及び一定量の濃縮汚泥から生じる脱水汚泥の重量が減少
することは明らかである。
【0021】〔実験例2〕前記濃縮汚泥を脱水前にセル
ラーゼを用いて処理するに当たって、その最適温度につ
いて検討した。具体的には、図2に示す操作に従って、
前記濃縮汚泥に前記セルラーゼ製剤を固形成分1kg当
たり45g添加し、30℃で1、2、3、5、24時間
反応させた。その結果、汚泥減少率は図3の通りになっ
た。図3によると、3時間までは反応時間が延びるに従
い脱水汚泥重量も減少するが、3時間以上反応時間を延
ばしても、脱水汚泥重量は3時間反応時とほとんど変化
しないことがわかる。このことから、濃縮汚泥に酵素を
添加して処理する場合の反応時間としては、3時間で十
分であることが分かった。但し、3時間以下の反応時間
で処理した場合でも、含水率の低下及び汚泥の減量化の
効果は認められた。尚、反応時間3〜25時間の間に前
記脱水汚泥重量が微増しているが、誤差の範囲であると
考えられる。この結果をもとに、特に記述がない限り、
以下の検討は、反応時間3時間で実施した。 〔実験例3〕他の細胞壁成分又は細胞膜成分を分解する
酵素についても、その作用を検討すべく、以下に記載の
5種類の分解酵素で前記濃縮汚泥を処理した。具体的に
は、図2に示す操作に従って、前記濃縮汚泥に、前記ア
ミラーゼ製剤A(力価15,000IU/g)、前記ア
ミラーゼ製剤B(同7,000IU/g)、前記セルラ
ーゼ製剤、前記プロテアーゼ製剤(同25,000IU
/g)、前記リパーゼ製剤(同100,000IU/
g)を固形成分1kg当たり60g添加し、30℃で3
時間反応させた。その結果、汚泥減少率及び前記脱水汚
泥の含水率は、それぞれ図4、図5の通りになった。
尚、前記汚泥減少率とは、酵素処理を施さなかった脱水
汚泥重量に対する酵素処理を施した脱水汚泥重量の比を
いう。図4から、汚泥減量化の効果は、最も大きい酵素
がセルラーゼで、以下リパーゼ、アミラーゼA、プロテ
アーゼ、アミラーゼBの順に小さくなることが分かる。
又、図5を見ると、脱水汚泥の含水率が最も低いのはセ
ルラーゼで処理した時で、リパーゼ、アミラーゼA、プ
ロテアーゼ、アミラーゼBの順に含水率が高くなる。こ
のことから、脱水の効率化という点で最も効果があるの
はセルラーゼであることが分かった。最も効果の大きい
セルラーゼで濃縮汚泥を前処理することにより、脱水汚
泥重量が約20%減量化し、含水率が無処理の場合より
約5%低下することが明らかとなった。但し、リパー
ゼ、アミラーゼ、プロテアーゼで処理した場合でも、酵
素処理を施さなかった場合と比べて含水率が低下し、
又、汚泥重量も減少しており、酵素処理に伴う減量化の
効果は認められた。
【0022】〔実験例4〕前記セルラーゼを用いて酵素
処理するに当たって、その最適温度について検討した。
具体的には、図2に示す操作に従って、前記濃縮汚泥に
前記セルラーゼ製剤を固形成分1kg当たり45g添加
し、30℃、50℃、60℃、65℃、70℃、80℃
で3時間反応させた。その結果、汚泥減少率及び含水率
は、それぞれ図6、図7の通りになった。図6から、6
0℃〜70℃の間で処理したとき、前記脱水汚泥減少率
が特に高くなることが分かる。又、図7から、50℃〜
70℃の間で処理したとき、前記脱水汚泥の含水率が特
に低くなることが分かる。以上のことから、セルラーゼ
で処理する際の最適温度は60℃〜70℃の間であると
決定した。但し、この範囲以外の温度で処理した場合で
も、酵素処理を施さなかった場合と比べて含水率が低下
し、又、汚泥重量も減少しており、酵素処理に伴う減量
化の効果は認められた。
【0023】〔実験例5〕前記セルラーゼの添加量と処
理効率の関係について調べる為に、図2に示す操作に従
って、濃縮汚泥にセルラーゼ製剤を固形成分1kg当た
り0g、30g(48,000IU)、45g(72,
000IU)、60g(96,000IU)、75g
(120,000IU)、150g(240,000I
U)、300g(480,000IU)、1500g
(2400,000IU)添加し、65℃で3時間反応
させた。その結果、汚泥減少率は図8の通りになった。
この図から、セルラーゼ添加量45g/kg固形成分ま
では添加量と共に脱水汚泥減少率が増加するが、それ以
上の添加量では、セルラーゼ添加量を増加させても脱水
汚泥減少率はほとんど変動しない。このことから、セル
ラーゼの最適添加量は、45g/kg固形成分と決定し
た。但し、これ以下の添加量で処理した場合でも、含水
率の低下及び汚泥の減量化の効果は認められた。
【0024】以上の結果より決定した最適条件をまとめ
ると、 ・ 最適酵素はセルラーゼ ・ 反応時間は3時間以上 ・ 最適温度は60℃〜70℃ ・ 酵素の添加量は45g/kg固形成分以上 となる。この条件で濃縮汚泥を処理し、脱水することを
30回繰り返した結果、脱水汚泥減少率は平均27.2
%(15.9〜39.2%)であった。又、同条件で汚
泥処理した場合の含水率は、平均73.9%(70.0
%〜79.7%)であり、一方、酵素処理を施さなかっ
た場合の含水率は、平均77.2%(72.3〜81.
0%)であった。つまり、最適条件で処理することによ
り、酵素処理を施さなかった場合と比べて、脱水汚泥重
量を約27%減量化し、含水率を約3%低下させること
ができた。
【0025】〔実験例6〕更に、酵素処理した汚泥を脱
水して得られた汚泥を、乾燥機において乾燥させるのに
必要なエネルギーを比較検討した。具体的には、図2に
示す手順に従って、前記濃縮汚泥に前記セルラーゼ製剤
を固形成分1kg当たり45g添加し、30℃で3時間
反応させ、反応後の汚泥を孔径100μmの濾紙で濾過
した。そして、濾紙上に残った汚泥を180℃で乾燥さ
せ、乾燥時間と汚泥含水率の関係を調べた。結果を図9
に示す。図9から、無処理の場合は、含水率を40%ま
で低下させるのに4.2分かかったのに対し、酵素処理
をした場合には3.4分しかかからなかった。一定温度
で乾燥させた場合に、乾燥に必要な時間は乾燥に必要な
エネルギーと等しいと考えられることから、酵素処理を
することにより、含水率40%まで乾燥させるのに必要
なエネルギーが約20%削減できることがわかった。
【0026】セルラーゼを使用した場合と従来の処理方
法とを比較すると、脱水汚泥の重量が約80%、乾燥汚
泥を得る為のエネルギー量が約80%にまで減少したこ
とから、単位重量の濃縮汚泥を乾燥汚泥まで処理する為
に必要なエネルギーは、全体として約33%削減するこ
とができた。又、同様にして求めた他の酵素によるエネ
ルギーの削減率は、アミラーゼAで17%、アミラーゼ
Bで14%、プロテアーゼで14%、リパーゼで19%
であった。このことから、前記濃縮汚泥を酵素処理する
ことによって、前記濃縮汚泥を乾燥汚泥まで処理する為
に必要なエネルギーを削減することができるのは明らか
であり、特に、セルラーゼが適していることが明らかと
なった。
【0027】〔別実施形態〕尚、本発明に係る実施形態
において、前記酵素処理を回分(バッチ)式で行なった
が、連続処理を施すことも可能である。又、前記乾燥機
13に代えて、焼却炉を設け、前記脱水汚泥12を焼却
処理して得られた焼却灰を、溶融処理しても良い。又、
前記酵素処理工程は、必ずしも、前記汚泥沈降槽4と前
記汚泥脱水槽10の間に前記酵素処理槽7を設けて行な
う必要はなく、前記汚泥脱水槽10に汚泥を導入する以
前に行なわれれば良い。従って、前記流出スラリ3や濃
縮汚泥6に前記酵素8を直接添加しても良く、又、前記
汚泥沈降槽4に前記酵素8を投入しても良い。ここで、
前記酵素処理槽7を設けて酵素処理を行なうとすれば、
前記汚泥沈降槽4と前記汚泥脱水槽10との間に限られ
ず、前記生物処理槽2と前記汚泥沈降槽4との間に設け
ても良い。更に、夫々の処理段階、特に酵素処理の最適
化の為に、汚泥のpHを調整しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための有機性汚水処理施設の
概略図
【図2】実験例の実験操作手順を表わすフローチャート
【図3】セルラーゼ処理時間と脱水汚泥重量の関係を表
わすグラフ
【図4】酵素処理に伴う脱水汚泥の減少率の変化を表わ
すグラフ
【図5】酵素処理に伴う脱水汚泥の含水率の変化を表わ
すグラフ
【図6】セルラーゼ処理温度と脱水汚泥の減少率の関係
を表わすグラフ
【図7】セルラーゼ処理温度と脱水汚泥の含水率の関係
を表わすグラフ
【図8】セルラーゼ添加量と脱水汚泥の減少率の関係を
表わすグラフ
【図9】脱水汚泥乾燥時における含水率の変化を表わす
グラフ
【符号の説明】
1 有機性汚水 2 生物処理槽 3 流出スラリ 4 汚泥沈降槽 5 処理水 6 濃縮汚泥 7 酵素処理槽 8 酵素 9 酵素処理汚泥 10 汚泥脱水槽 11 脱離水 12 脱水汚泥 13 乾燥機 14 乾燥汚泥 15 溶融炉 16 スラグ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機性汚水を生物処理することによって
    発生する汚泥を脱水して得た脱水汚泥を、加熱を伴って
    減量処理する汚泥処理方法において、 前記汚泥を、細胞壁成分又は細胞膜成分を分解する少な
    くとも1種以上の酵素で処理した後に、加熱を伴って減
    量処理する汚泥処理方法。
  2. 【請求項2】 前記汚泥を濃縮した後に、前記酵素で処
    理する請求項1記載の汚泥処理方法。
  3. 【請求項3】 前記酵素がセルラーゼである請求項1又
    は2記載の汚泥処理方法。
  4. 【請求項4】 前記酵素処理を、トリコデルマ ビリデ
    (Trichoderma viride)菌体を添加
    することによって行なう請求項1記載の汚泥処理方法。
  5. 【請求項5】 前記酵素処理を60℃〜70℃で行なう
    請求項1から4記載の汚泥処理方法。
  6. 【請求項6】 前記酵素処理の反応時間が3時間以上で
    ある請求項1から5記載の汚泥処理方法。
  7. 【請求項7】 前記セルラーゼの添加量が、前記汚泥に
    含まれる固形成分1kg当たり72,000IU以上で
    ある請求項3記載の汚泥処理方法。
  8. 【請求項8】 有機性汚水を生物処理する生物処理槽、
    前記生物処理槽で発生した汚泥を脱水する汚泥脱水槽、
    前記汚泥脱水槽で発生した脱水汚泥を加熱を伴って減量
    処理する減量処理設備を備えた汚泥処理システムであっ
    て、 前記生物処理槽と前記汚泥脱水槽との間に、細胞壁成分
    又は細胞膜成分を分解する少なくとも1種以上の酵素を
    供給する酵素供給設備を設けた汚泥処理システム。
  9. 【請求項9】 前記酵素がセルラーゼである請求項8記
    載の汚泥処理システム。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005526595A (ja) * 2002-03-08 2005-09-08 ソシエート ダメナゲメント アーバイン エト ルーラル 菌糸体手段による浄化施設の汚泥の処理方法
WO2006084943A1 (en) * 2005-02-08 2006-08-17 Oy Dgt Direct Granulation Technology Ab Method for treating biomass
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