JP2001025181A - ステータコア材料及びそれを搭載したモータ - Google Patents

ステータコア材料及びそれを搭載したモータ

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JP2001025181A
JP2001025181A JP11195621A JP19562199A JP2001025181A JP 2001025181 A JP2001025181 A JP 2001025181A JP 11195621 A JP11195621 A JP 11195621A JP 19562199 A JP19562199 A JP 19562199A JP 2001025181 A JP2001025181 A JP 2001025181A
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JP
Japan
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stator core
steel sheet
thickness
motor
magnetic
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JP11195621A
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English (en)
Inventor
Akihiko Wakitani
明彦 脇谷
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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  • Soft Magnetic Materials (AREA)
  • Iron Core Of Rotating Electric Machines (AREA)
  • Manufacture Of Motors, Generators (AREA)
  • Permanent Magnet Type Synchronous Machine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 情報機器に使用されるモータにおいて、ステ
ータコア材料を改善し、モータの高効率化、省電力化を
実現することを目的とする。 【解決手段】 鋼板が積層されて形成されるステータコ
ア1はブラケット9に支持され、ロータマグネット3が
ヨーク4の内周に設置される構成において、少なくとも
ステータコア1の一部は、Feを主成分として重量%で
Si:2〜7%を含有し、かつ、ステータコア1を形成
する鋼板の板厚が0.1〜0.2mmであり望ましくは
0.15mmであるステータコア材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として情報機器
関連の駆動装置に用いられるモータに係わるもので、詳
しくは、そのステータコア材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、OA分野の機器の省電力化、省資
源化及び地球環境との共生というスローガンに伴い、機
器を駆動するために用いるモータに高効率、省電力、省
エネルギーが強く要求されており、この要求に応える技
術として、ステータコアに使用する電磁鋼板が生じる鉄
損を減じることが検討されている。
【0003】この電磁鋼板は、例えば特開昭57−20
2868号公報に開示されているように、モータのコア
を形成する積層板として用いられ、0.35〜1.00
mmの厚さを有する珪化された鉄板である。
【0004】図8に従来のステータコア材料を搭載する
モータの一例を示す。電磁鋼板を複数枚積層して形成さ
れるステータコア1を有し、コイル2をステータコア1
に巻回して励磁状態で磁界を発生するステータコイルを
形成する。ステータコア1の外周端面に対向するように
マグネット3を有し、ロータマグネット3の外周にはヨ
ーク4を有している。ステータコイルを励磁させて磁界
を発生させることにより、電磁相互作用によりロータマ
グネット3が回転力を得てモータのロータが回転する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、近年のOA機
器の高速化、高機能化に伴い、機器に搭載されるモータ
が高速回転化しており、モータの高速回転化に伴いステ
ータコアに積層される電磁鋼板内部に生じる渦電流損が
増加するという問題を有していた。
【0006】一般に、電磁鋼板が生じる渦電流損は(式
1)で表すことができる。
【0007】 We=k1×t2×f2×Bm2/ρ (W/kg) …(式1) ここで、We:渦電流損 k1:定数 t:電磁鋼板の板厚 f:交番磁界の周波数 Bm:最大磁束密度 ρ:固有抵抗 である。 (式1)から、モータの回転数が高速回転するほど、交
番磁界の周波数:fが増加していき渦電流損、すなわち
モータの鉄損が大きくなり、モータの効率が悪化してい
くという課題を有していた。
【0008】そこで、ステータコアを形成する電磁鋼板
の渦電流損を低減する一つの方法が、特開平9−140
075号公報に開示されている。その実施例を図9に引
用する。
【0009】これは、ステータコア1を形成する電磁鋼
板5の板厚をt=0.05〜0.1mmとし、各電磁鋼
板を接着剤6にて積層固着することにより形成してい
る。そして、電磁鋼板5の板厚を薄肉化することによ
り、モータの渦電流損を低減するものとしている。
【0010】しかしこれは、積層する電磁鋼板5を接着
剤6により固着するものとしている。ステータコア1を
形成する電磁鋼板は、金型により所定の形状にプレス加
工されて積層される。このプレス加工される過程におい
て、電磁鋼板の加工部位に内部歪みを生じてしまう。こ
の内部歪みを電磁鋼板内に蓄積してしまうと、この内部
歪みの部位を磁束が通り難くなってしまうことにより最
大磁束密度が上昇してしまい、渦電流損が結果的に上が
ってしまう。このステータコア1の内部歪みを除去する
ために通常焼鈍処理を行うが、この焼鈍処理は700〜
800℃にて実施するので、電磁鋼板5を固着している
接着剤6の耐熱性がもたない。つまり、接着剤6の耐熱
性不足のために、ステータコア1の加工による材料劣化
を回復するための焼鈍処理をできないという問題を生じ
ていた。
【0011】また、製造工程にて電磁鋼板を冷間圧延す
る際に、熱間圧延したコイルを冷間圧延する訳である
が、連続圧延するためにコイルの切れ端を繋いでおり、
その繋ぎは溶接にて行っている。そこで電磁鋼板が0.
05〜0.1mmという非常に薄肉の場合、製造工程に
て溶接が困難であるという問題を生じると共に、圧延す
る際に板厚が薄肉のため張力の管理が非常に困難であ
り、圧延方向及び幅方向の板厚のバラツキが大きくなる
可能性があって、実用性及び量産性におとることがある
という問題を生じていた。
【0012】本発明はこのような従来の課題を解決する
ものであり、モータの高速回転化に伴う鉄損の増加を最
小限に抑え、モータの高効率を実現するステータコア材
料及びそれを搭載したモータを実現することを目的とす
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明のステータコア材料は、少なくともステータコア
の一部が、Fe(鉄)を主成分として重量%でSi(珪
素):2〜7%を含有し、かつ、ステータコアを形成す
る電磁鋼板の板厚が0.1〜0.2mmであり、望まし
くは0.15mmであるものである。
【0014】また、電磁鋼板の板厚が0.1〜0.2m
mであり望ましくは0.15mmであるものをプレス加
工してステータコアを形成した後、焼鈍を行うものであ
る。
【0015】また、電磁鋼板の板厚が鋼板の結晶粒径よ
り厚く、板厚が0.1〜0.2mmであり、望ましくは
0.15mmであるものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら説明する。
【0017】(実施の形態1)本発明の第1の実施例に
係わるステータコア材料及びそれを搭載したモータを図
1〜6に示す。
【0018】図1において、シャフト7はヨーク4を支
持しており、ヨーク4の内周部にはロータマグネット3
が設けられている。シャフト7はスリーブ8に挿入さ
れ、スリーブ8はブラケット9に固定されている。ステ
ータコア1は板厚が0.15mmである電磁鋼板が積層
されたもので形成されており、その材料はFeを主成分
として重量%でSi:2〜7%を含有したものである。
ステータコア1にはコイル2が巻回されており、ブラケ
ット9がステータコア1をロータマグネット3の内周面
に対向する位置にて支持するように構成する。
【0019】このように構成されたモータは、モータ通
電時にステータコイルの励磁により磁界を発生させて、
電磁相互作用によりロータマグネット3が回転力を得て
モータのロータが回転する。
【0020】ステータコア1を形成する電磁鋼板に含有
したSiは、電磁鋼板の鉄損を下げるために必須の元素
であり、2〜7%の範囲に限定したのは下記の理由によ
る。
【0021】図2に電磁鋼板の鉄損:W15/50とモ
ータ電流値比の関係を示したグラフを示す。なお、W1
5/50とはJIS規格(例えばJIS C 255
2)に記載されており、交番磁界周波数:50Hz,最
大磁束密度:1.5(T)に対する鉄損のことである。
この図2は実験結果を示すグラフであり、図1に示すモ
ータと同一形状からなる従来のモータ(相違点はステー
タコア材料)を製造し、それぞれのモータ特性を評価し
た。図2の鉄損が3.5(W/kg)のところが従来品
であり、従来品の電流値を100%として、電磁鋼板の
鉄損を変えた場合のモータ電流値特性を評価した。この
図2より、モータ電流値を低減する、すなわちモータ効
率を上げるためには、電磁鋼板の鉄損が少なくとも3
(W/kg)以下の必要があることがわかる。また、図
3はSi量を変化させた時の鉄損:W15/50を示す
グラフである。この図3より、W15/50が3(W/
kg)以下になるためには、電磁鋼板にSiが2%以上
含有されることが必要であることがわかる。
【0022】一方、情報機器関連に使用されるモータの
印加磁界は5000A/mくらいであり、図2でモータ
電流値比を実験評価する際に使用した電磁鋼板の500
0A/mにおける磁束密度(B50)は、それぞれ1.
65(T),1.66(T),1.66(T)である。
すなわちモータの電磁鋼板に流れる磁束の磁束密度が飽
和しないためには、少なくとも飽和磁束密度が1.7
(T)以上でないといけないことがわかる。図4に電磁
鋼板のSi量を変化させた時の飽和磁束密度を示す。こ
の図4より、飽和磁束密度を1.7(T)以上確保する
ためにはSi量を7%以下にしないといけないことがわ
かる。
【0023】上記理由により、電磁鋼板に含有されるS
i量を2〜7%に限定した。
【0024】また、電磁鋼板の板厚を0.1〜0.2m
mに限定し、望ましくは0.15mmとしたのは下記の
理由による。
【0025】鉄損はヒステリシス損と渦電流損から成
り、渦電流損は(式1)で表され、ヒステリシス損は
(式2)で表される。
【0026】 Wh=k2×t×f×Bm1.6 (W/kg) …(式2) ここで、Wh:ヒステリシス損 k2:定数 t:電磁鋼板の板厚 f:交番磁界の周波数 Bm:最大磁束密度 である。 (式1)、(式2)より、電磁鋼板の板厚を無限小にす
るほど鉄損が0に近づくことが容易に予想されるが、実
際には電磁鋼板の特性及びモータの製造上の問題などに
より、鋼板の板厚にも最適ポイントが存在する。
【0027】電磁鋼板を製造する過程において、熱延板
を冷間圧延している。鋼板を薄くするために圧延工程に
おける最終圧延の圧下率が大きいと、鋼板における結晶
の磁化容易方向が悪くなり、鋼板の磁気特性を悪化させ
るおそれがあると考えられる。つまり、鋼板の板厚を
0.15mmを超えて更に薄肉化しようとすると、鋼板
の結晶方位が磁気特性を悪化させる方向に向き、ヒステ
リシス損を増加させるおそれがある。したがって、鋼板
の板厚を0.1〜0.2mmにすることにより渦電流損
は低減していく一方、0.15mmより更に板厚を薄肉
化していくと磁気特性に対する磁化容易方向の向きが悪
くなりヒステリシス損が大きくなる傾向となるので、板
厚が0.15mmより薄くなると全体の鉄損は増加傾向
に転ずると考えられ、0.15mmが板厚として望まし
い。なお、圧下率とは鋼板の圧延前後での板厚の薄肉化
の割合である。また、磁化容易方向とは、鉄の単結晶は
磁化されやすい方向をもっており、一番磁化されやすい
方向を磁化容易方向と呼んでいる。
【0028】また、鋼板の板厚を薄肉化するほど、鋼板
の表面状態が影響を及ぼしてくる。つまり、鋼板を薄く
するほどステータコアを形成する鋼板の積み枚数が増え
てステータコアにおける鋼板の表面積が多くなり、鋼板
表面を通る磁束が多くなる。そして、鋼板表面に凹凸が
有ると磁束が通り難く、鋼板表面が鏡面状態に近いほど
磁束が通りやすくなる。実際、電磁鋼板の表面を鏡面状
態近くに仕上げることは量産性及び実用性から困難であ
ると考えられる。したがって、鋼板の板厚を0.1〜
0.2mmにすることにより渦電流損は低減していく一
方、0.15mmより更に板厚を薄肉化していくと鋼板
の表面状態が影響を及ぼすようになりヒステリシス損が
大きくなる傾向を示すので、全体の鉄損は増加傾向に転
ずると考えられ、0.15mmが板厚として望ましい。
【0029】また、板厚を0.1mmより薄くした場
合、プレス加工して打ち抜いた電磁鋼板にソリ、カエリ
など機械的歪みが大きくなり、電磁鋼板を積層してステ
ータコアを形成した時の占積率が低下する。この占積率
の低下により、鋼板の単位断面積当たりの磁束密度が上
昇して鉄損が増加するため、鋼板の板厚は0.1mmよ
り厚いことが望ましい。
【0030】上記理由により、電磁鋼板の板厚を0.1
〜0.2mmの範囲に限定し、0.15mmが板厚とし
て望ましい。なお、0.15mmの板厚の許容差につい
て考えると、JIS規格(JIS C 2552記載)
の寸法許容差では、0.35mmの板厚が±10%の許
容差となっている。それ以下の板厚に対しての規格はな
いが、板厚が薄くなるとその許容差は量産技術を考慮す
ると拡げざるを得なくなり、実質的には±15%程度の
許容差が必要であると考えられる。
【0031】※実験結果 本発明の効果を実証するため、上記した実施例(図1に
示す)のモータと、同一形状からなる従来のモータ(相
違点はステータコア材料)を製造し、それぞれのモータ
特性を評価した。そして、その結果を図5、図6に示
す。図5はモータ回転数に伴う電流値特性であり、図6
はモータ回転数5000rpmにおける電磁鋼板の板厚
に伴う電流値特性である。従来品は鋼板の板厚が0.3
5mmであり、本発明品は板厚が0.1mm,0.15
mm,0.2mmである。また電流値比は、5000r
pmにおける従来品の板厚が0.35mmの時の電流値
を100%として、電磁鋼板による電流値の低減効果を
パーセント表示している。図5、図6から明らかなよう
に、従来品と比較して0.1〜0.2mmの板厚にする
ことによりモータ効率が上がり、モータ回転数が高速化
するほどその差は大きくなることが確認された。また、
0.15mmの板厚が最も電流値が低くなり、モータの
高効率に効果があることが確認された。なお、本実験に
用いたステータコアの材料は、従来品、本発明品ともに
板厚が異なり、所定のSi含有量である電磁鋼板を用い
た。
【0032】(実施の形態2)本発明の第2の実施例に
係わるステータコア材料及びそれを搭載したモータを図
1、図7に示す。
【0033】図1において、シャフト7はヨーク4を支
持しており、ヨーク4の内周部にはロータマグネット3
が設けられている。シャフト7はスリーブ8に挿入さ
れ、スリーブ8はブラケット9に固定されている。ステ
ータコア1は板厚が0.15mmである電磁鋼板がプレ
ス加工により打ち抜かれた後積層されたものであり、そ
の材料はFeを主成分として重量%でSi:2〜7%を
含有したものである。ステータコア1はプレス加工後に
焼鈍処理を実施した後、コイル2が巻回される。ブラケ
ット9はステータコア1をロータマグネット3の内周面
に対向する位置にて支持するように構成する。
【0034】このように構成されたモータは、モータ通
電時にステータコイルの励磁により磁界を発生させて、
電磁相互作用によりロータマグネット3が回転力を得て
モータのロータが回転する。
【0035】上記した構成のステータコア1を製造する
本発明方法について説明する。所定の電磁鋼板をプレス
加工して打ち抜き、その打ち抜いた鋼板を積層させるこ
とによりステータコア1を製作する。しかし、プレス加
工時の打ち抜きの際に電磁鋼板の加工部位に内部歪みを
生じてしまい、この歪みによりステータコア1を通る磁
束の流れが悪くなり、磁気特性が悪化する。すなわちプ
レス加工による材料劣化が磁気特性を悪くする。
【0036】そこで、本発明では係るプレス加工後、ア
ルゴンや窒素などの不活性ガス雰囲気下、あるいは真空
中にてステータコア1の焼鈍を行う。焼鈍を行うことに
より、プレス加工により生じた内部歪みが除去され、材
料劣化を回復させることで磁束を通り易くして磁気特性
を良くする。焼鈍による電流値の低減効果は鋼板の板厚
と関係しており、図7に見られるように鋼板の板厚が
0.1〜0.35mmの場合は下記の理由にて板厚が薄
くなる程、電流値の低減効果が小さくなると考えられ
る。
【0037】鋼板の板厚とプレス加工により生じる内部
歪みは密接に関係しており、プレス加工によるせん断面
から略同じ位の寸法までステータコア1を形成する鋼板
中に内部歪みを蓄積すると考えられる。つまり、鋼板を
薄くするほど内部歪みを生じる領域が狭くなるため、プ
レス加工による材料劣化が少なくなり、厚手の鋼板と比
較すると薄手の鋼板は磁気特性が悪化しない。したがっ
て、鋼板が薄肉化するに伴い、焼鈍による電流値低減率
は低下すると考えられる。
【0038】また、焼鈍により電磁鋼板内部の結晶粒が
成長して結晶粒径が大きくなると考えられる。結晶粒が
大きくなり磁区幅が広くなることで渦電流損が増加する
傾向を示し、透磁率が良くなることでヒステリシス損が
小さくなる傾向になる。つまり、焼鈍を行うと、ヒステ
リシス損の低減効果は大きくなり、電磁鋼板を薄肉化す
ることによる渦電流損の低減効果は小さくなる傾向とな
る。したがって、板厚が厚い場合には焼鈍による電流値
の低減効果が大きく現れ、板厚が薄くなるに伴い焼鈍に
よる電流値の低減効果は小さくなると考えられる。
【0039】上記理由により鋼板の板厚が薄くなるほど
電流値の低減効果が小さくなると考えられるが、プレス
加工後焼鈍なしのステータコア材料と比較すると、図7
に示すように、プレス加工による内部歪みを除去するこ
とによる鉄損低減と、焼鈍による結晶粒径が大きくなる
ことによるヒステリシス損低減により、全体を通して、
明らかに焼鈍により鉄損を低減させることができる。そ
して、焼鈍により磁気特性が良化して、モータ効率を上
げることができる。
【0040】※実験結果 本発明の効果を実証するため、上記した実施例(図1に
示す)のモータと、同一形状からなる従来のモータ(相
違点はステータコア材料及びステータコア加工後焼鈍の
有無)を製造し、それぞれのモータ特性を評価した。そ
して、その結果を図7に示す。図7はステータコアを形
成する電磁鋼板の板厚と電流値特性であり、5000r
pmにおけるステータコアの焼鈍の有無にて電流値特性
を評価している。従来品は鋼板の板厚が0.35mmで
あり焼鈍はしておらず、本発明品は板厚が0.1mm,
0.15mm,0.2mmでありプレス加工後焼鈍をし
ている。また電流値比は、5000rpmにおける従来
品(板厚が0.35mmであり加工後焼鈍なし)の電流
値を100%として、電磁鋼板による電流値の低減効果
をパーセント表示している。図7から明らかなように、
加工後の電流値特性は、電磁鋼板の板厚が0.1〜0.
2mmであり、かつ、焼鈍を行う場合に従来品より電流
値が低減してモータ効率が上がることが確認されると共
に、板厚が0.15mmの鋼板を加工後焼鈍する時が最
も電流値が低くなることが確認された。なお、本実験に
用いたステータコアの材料は、従来品、本発明品ともに
板厚が異なり、所定のSi含有量である電磁鋼板を用い
ている。
【0041】(実施の形態3)本発明の第3の実施例に
係わるステータコア材料及びそれを搭載したモータを図
1に示す。
【0042】図1において、シャフト7はヨーク4を支
持しており、ヨーク4の内周部にはロータマグネット3
が設けられている。シャフト7はスリーブ8に挿入さ
れ、スリーブ8はブラケット9に固定されている。ステ
ータコア1は板厚が0.15mmである電磁鋼板が積層
されたもので形成されており、鋼板の結晶粒径は略0.
1〜0.15mmであり、その材料はFeを主成分とし
て重量%でSi:2〜7%を含有したものである。ステ
ータコア1にはコイル2が巻回されており、ブラケット
9がステータコア1をロータマグネット3の内周面に対
向する位置にて支持するように構成する。
【0043】このように構成されたモータは、モータ通
電時にステータコイルの励磁により磁界を発生させて、
電磁相互作用によりロータマグネット3が回転力を得て
モータのロータが回転する。
【0044】モータに頻繁に用いられる無方向性電磁鋼
板の結晶粒径は主に約0.1〜0.15mmくらいであ
る。この結晶粒径を大きくすると透磁率が良くなりヒス
テリシス損が低減するが、磁区幅が広くなるので渦電流
損が増加する傾向がある。一方、逆に結晶粒径を小さく
すると渦電流損が低減してヒステリシス損が増加する傾
向がある。電磁鋼板の板厚がこの結晶粒径に対して同等
あるいは厚い場合には板厚の薄肉化による渦電流損の低
減効果が現れるが、結晶粒径に対して板厚が薄い場合に
は、結晶粒径に対して板厚が厚い場合と比較して渦電流
が鋼板表面を回流する割合が増加し、全体の渦電流損は
増加すると考えられる。
【0045】一方、ヒステリシス損も、鋼板の結晶粒径
に対して板厚が薄くなると磁化プロセスにおける磁壁の
移動が阻害されて、ヒステリシス損が増加する。したが
って、鋼板の板厚を0.1〜0.2mmとして結晶粒径
と同等あるいは厚くする場合は鋼板の板厚を薄くするこ
とによる渦電流損の低減効果が現れてくるが、板厚が結
晶粒径より薄くなると渦電流損は上昇に転じ、かつ、ヒ
ステリシス損も上昇するので、全体の鉄損が増加する。
そして、結晶粒径と同等あるいは若干厚い0.15mm
が板厚として望ましい。
【0046】以上本発明の実施例を説明してきたが、本
発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の
主旨の範囲で様々な応用展開が可能である。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係るステー
タコア材料においては、Feを主成分としてSi:2〜
7重量%含有し、かつ、ステータコアを形成する電磁鋼
板の板厚が0.1〜0.2mmであり望ましくは0.1
5mmとしたことにより、近年のOA機器の省電力化、
省資源化、省エネルギの要求に応えることが可能とな
り、ステータコアに磁界が印加されたときの鉄損を最小
限に抑えて高効率,省電力なモータを実現できる。
【0048】また、このようなステータコア材料をプレ
ス加工した後に焼鈍処理を行うことにより、鋼板の内部
歪みを除去してプレス加工による材料劣化を回復させて
鉄損増加を抑え、かつ、製造コストを抑えた安価なモー
タの供給が実現できる。
【0049】また、鋼板がFeを主成分としてSi:2
〜7重量%含有し、かつ、鋼板の板厚が結晶粒径と同等
あるいは厚い0.1〜0.2mmであり望ましくは0.
15mmとしたことにより、板厚を薄肉化する際に渦電
流損及びヒステリシス損が増加に転じることを防ぐこと
を可能とし、その結果としてステータコアに磁界が印加
されたときの鉄損を最小限に抑えて高効率、省電力なモ
ータを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるステータコア材料を搭載したモ
ータの断面図
【図2】本発明に係わる鉄損と電流値比の特性図
【図3】本発明に係わるSi含有量と鉄損の特性図
【図4】本発明に係わるSi含有量と飽和磁束密度の特
性図
【図5】本発明の効果を実証した特性図
【図6】本発明の効果を実証した特性図
【図7】本発明の効果を実証した特性図
【図8】従来のステータコア材料を搭載したモータの断
面図
【図9】従来のステータコアを示す外観図
【符号の説明】
1 ステータコア 2 コイル 3 ロータマグネット 4 ヨーク 5 電磁鋼板 6 接着剤 7 シャフト 8 スリーブ 9 ブラケット t 板厚
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H02K 21/22 H01F 1/16 A

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板を複数枚積層して形成されるステー
    タコアを有し、コイルを前記ステータコアに巻回して励
    磁状態で磁界を発生するステータコイルを有し、前記ス
    テータコイルの磁界との電磁相互作用により回転力を得
    るロータマグネットを備えたロータを有するモータにお
    いて、少なくとも前記ステータコアの一部が、Feを主
    成分として重量%でSi:2〜7%を含有し、かつ、前
    記鋼板の板厚が0.1〜0.2mmであり望ましくは
    0.15mmである電磁鋼板で形成されるステータコア
    を有することを特徴とするモータ。
  2. 【請求項2】 鋼板を複数枚積層して形成されるステー
    タコアを有し、コイルを前記ステータコアに巻回して励
    磁状態で磁界を発生するステータコイルを有し、前記ス
    テータコイルの磁界との電磁相互作用により回転力を得
    るロータマグネットを備えたロータを有するモータにお
    いて、少なくとも前記ステータコアの一部が、Feを主
    成分として重量%でSi:2〜7%を含有し、かつ、前
    記ステータコアは前記鋼板の板厚が0.1〜0.2mm
    であり望ましくは0.15mmである電磁鋼板をプレス
    加工して形成され、次いで焼鈍を行うことを特徴とする
    モータ。
  3. 【請求項3】 鋼板を複数枚積層して形成されるステー
    タコアを有し、コイルを前記ステータコアに巻回して励
    磁状態で磁界を発生するステータコイルを有し、前記ス
    テータコイルの磁界との電磁相互作用により回転力を得
    るロータマグネットを備えたロータを有するモータにお
    いて、少なくとも前記ステータコアの一部が、Feを主
    成分として重量%でSi:2〜7%を含有し、かつ、前
    記ステータコアは前記鋼板の板厚が前記鋼板の結晶粒径
    より厚いことを特徴とするモータ。
  4. 【請求項4】 鋼板の板厚が0.1〜0.2mmであ
    り、望ましくは0.15mmであることを特徴とする請
    求項3記載のモータ。
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