JP2001020455A - 補強コンクリート構造 - Google Patents

補強コンクリート構造

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JP2001020455A
JP2001020455A JP11196919A JP19691999A JP2001020455A JP 2001020455 A JP2001020455 A JP 2001020455A JP 11196919 A JP11196919 A JP 11196919A JP 19691999 A JP19691999 A JP 19691999A JP 2001020455 A JP2001020455 A JP 2001020455A
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JP
Japan
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polyacetal fiber
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polyacetal
fiber
reinforcing
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JP11196919A
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English (en)
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Tsutomu Iiboshi
力 飯星
Shinichi Abe
信一 阿部
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、軽量で且つ常温で加工出来、傷に
より強度低下しないポリアセタール繊維を補強材として
コンクリート部材内に埋設することで施工が容易で且つ
高い強度を得ることが出来る補強コンクリート構造を提
供することを可能にすることを目的としている。 【解決手段】 コンクリート部材1の軸方向補強材とし
て異形鉄筋や丸鋼等の主筋2を配置し、コンクリート部
材1の軸方向と直交する方向の補強材として引張弾性率
が20GPa以上150GPa以下で且つ平均外径が
0.4mm以上100mm以下のポリアセタール繊維3を主
筋2に巻回して配置し、該主筋2及びポリアセタール繊
維3をコンクリート部材1内部に一体的に埋設して構成
したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土木、建築構造物
等に使用されるコンクリート部材としての補強コンクリ
ート構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、土木、建築構造物等に使用される
コンクリート部材としての補強コンクリート構造として
は、コンクリート部材の軸方向補強材として異形鉄筋や
丸鋼等からなる主筋を配置し、該コンクリート部材の軸
方向と直交する方向の補強材(以下、単に「横補強材」
という)として前記主筋の配置、形状、寸法に合わせて
主に最外部主筋の外側に接するように異形鉄筋や丸鋼を
工場や施工現場において折り曲げ加工したものを配置し
てコンクリートを打設し、コンクリート部材の内部に埋
設するものが一般である。
【0003】例えば、図7に示すように、図示しないコ
ンクリート部材の軸方向(紙面垂直方向)に配置された
複数の主筋51の角隅部に配置された主筋51aを囲い込む
ように横補強材となる帯筋52が配置され、該帯筋52の両
端部52aは直線状から角隅部に配置された主筋51aを中
心に夫々135度程度折り曲げて該主筋51aを挟み込む
ように加工されていた。
【0004】そして、施工の際にはコンクリート部材の
軸方向に主筋51を配置し、該主筋51の位置に合わせて帯
筋52を所定の位置に配置して針金等の番線により主筋51
と結束して固定した後、図示しない型枠内にコンクリー
トを打設して主筋51及び帯筋52をコンクリート部材内に
埋設するものである。
【0005】また、鉄骨鉄筋コンクリート部材において
も鉄骨を建てた後、前述と同様に主筋51、帯筋52を配置
してコンクリートを打設していた。
【0006】また、鉄筋以外の補強材としては、炭素繊
維やアラミド繊維等のストランド(撚り線を更に幾本か
撚り合わせたもの)を熱可塑性樹脂と結合させた結合材
によるFRP(Fiber reinforced plastic)ロッド(繊
維プラスチック補強筋)が使用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
従来例において、横補強材として予め曲げ加工された鉄
筋からなる帯筋52は重量物であり、運搬や施工時には作
業者に多大な労力を強いるものであった。
【0008】特に柱や梁、スラブ等の接合部においては
2または3以上の方向から主筋51が交差して配置される
ため、該主筋51の間に的確に鉄筋からなる帯筋52を配置
することは困難であり、作業者に多大な労力と高度の技
能が要求されるため工期が長くかかり、コスト高を招く
ものであった。
【0009】また、炭素繊維やアラミド繊維によるFR
Pは、鉄筋に比べて軽量ではあるが、常温で硬化する熱
可塑性樹脂と結合させた結合材であるため鉄筋のように
ベンダ等の曲げ工具を用いて現場で容易に曲げ加工する
ことが出来ないという問題がある。
【0010】これ等に用いられている高強度繊維は製造
上の制約から0.01mm以下の線径しかなく、それ等を
束ねただけでは、その強度はFRPとした場合の70%
〜15%であるため熱可塑性樹脂と結合させてFRPと
して使用される。
【0011】FRP補強材の曲げ加工は、その熱可塑性
を利用して曲げ加工部の樹脂が軟化する温度で加熱しな
がら所定の寸法に曲げ加工しなければならないため加工
に手間がかかり、現場での曲げ加工が困難であるという
問題があった。
【0012】また、これ等のFRPは、傷付き易く、外
傷により強度低下や破断を起こすため現場での取り扱い
に細心の注意を払わなければならず、施工管理が煩わし
く、施工能率が低下するという問題があった。
【0013】本発明は前記課題を解決するものであり、
その目的とするところは、軽量で且つ常温で加工出来、
傷により強度低下しないポリアセタール繊維を補強材と
してコンクリート部材内に埋設することで施工が容易で
且つ高い強度を得ることが出来る補強コンクリート構造
を提供せんとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の本発明に係る補強コンクリート構造は、土木、建築構
造物等に使用されるコンクリート部材としての補強コン
クリート構造において、引張弾性率が20GPa以上1
50GPa以下で且つ平均外径が0.4mm以上100mm
以下のポリアセタール繊維を補強材として前記コンクリ
ート部材内に埋設したことを特徴とする。
【0015】本発明は、上述の如く構成したので、引張
弾性率が20GPa以上150GPa以下で且つ平均外
径が0.4mm以上100mm以下のポリアセタール繊維を
補強材としてコンクリート部材内に埋設したことで高い
強度を得ることが出来、軽量で且つ常温で加工出来、傷
により強度低下しないポリアセタール繊維を補強材とし
て採用したことで施工が容易である。
【0016】また、前記コンクリート部材の軸方向補強
材として該コンクリート部材内に鉄筋を埋設し、前記コ
ンクリート部材の軸方向と直交する方向の補強材として
該コンクリート部材内に前記ポリアセタール繊維を埋設
すれば好ましい。
【0017】また、前記コンクリート部材の軸方向補強
材として該コンクリート部材内に鉄筋を埋設し、前記コ
ンクリート部材の軸方向と直交する方向の補強材として
該コンクリート部材内に鉄筋と前記ポリアセタール繊維
とを埋設すれば更に好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】図により本発明に係る補強コンク
リート構造の一実施形態を具体的に説明する。図1は本
発明に係る補強コンクリート構造の第1実施形態の構成
を示す横断面説明図、図2は本発明に係る補強コンクリ
ート構造の第1実施形態の構成を示す模式縦断面図、図
3(a)〜(c)は主筋に対するポリアセタール繊維の
端部の結束の一例を示す模式斜視図、図4(a)は第1
実施形態において主筋に対するポリアセタール繊維の中
間部の結束の他の例を示す模式縦断面図、図4(b)は
第1実施形態において主筋に対するポリアセタール繊維
の中間部の結束の他の例を示す模式斜視図、図5
(a),(b)は第1実施形態において所望の主筋に対
してポリアセタール繊維を掛け渡した様子を示す模式縦
断面図である。
【0019】先ず、図1〜図5を用いて本発明に係る補
強コンクリート構造の第1実施形態の構成について説明
する。図1において、1は土木、建築構造物等に使用さ
れるコンクリート部材であり、該コンクリート部材1の
軸方向(図1の左右方向)の補強材として異形鉄筋や丸
鋼からなる複数の主筋2が配置され、横補強材としてポ
リオキシメチレン線状体等のポリアセタール繊維3が主
筋2に沿って複数の主筋2の角隅部に配置された主筋2
aを囲い込むように巻回されて配置され、図示しない型
枠内にコンクリートを打設して主筋2及びポリアセター
ル繊維3をコンクリート部材1内に一体的に埋設して固
化させる。
【0020】図1及び図2に示すように、ポリアセター
ル繊維3は主筋2に沿って複数の主筋2の角隅部に配置
された主筋2aを囲い込むように巻回されて配置され、
その可撓性及び変形残留性から主筋2同士が複数の異な
る方向から伸びて交差して配置される柱梁やスラブ等の
接合部であって複雑に入り組む主筋2にも容易に巻き付
けて配置出来る。
【0021】その際、ポリアセタール繊維3は主筋2の
節と節との間に引っ掛けるように配置すれば主筋2相互
の位置ずれを防止することが出来る。また、打設するコ
ンクリートの流動性を確保するためにポリアセタール繊
維3の配置間隔はコンクリートの粗骨材の最大外形寸法
以上とすることが望ましい。
【0022】細径のポリアセタール繊維3を用いる場合
は、同一位置に複数回だけ周回させて隣設されるポリア
セタール繊維3とのピッチを所定寸法だけ確保すると良
い。ポリアセタール繊維3は図1に示すように螺旋状に
連続的に主筋2に巻き付けて配置しても良いし、1周
回、或いは複数周回毎に切断されたものを主筋2に巻き
付けて結束しても良い。
【0023】ポリアセタール繊維3の主筋2に対する結
束方法としては、例えば、図3(a)〜(c)に示すよ
うにポリアセタール繊維3の端部3aを主筋2に結束す
る方法がある。即ち、図3(a)に示すように、ポリア
セタール繊維3の端部3aを主筋2に周回させた後、該
端部3aをポリアセタール繊維3の張架された直線部3
bに螺旋状に巻回して捻じることでも良いし、図3
(b)に示すようにポリアセタール繊維3の端部3aを
主筋2に結びつけても良いし、図3(c)に示すように
ポリアセタール繊維3の端部3aを主筋2に周回させた
状態で該端部3aの周回部に針金等の番線4を掛けて結
束しても良い。
【0024】また、ポリアセタール繊維3の中間部を主
筋2に結束する他の方法としては、図4(a),(b)
に示すように、各主筋2にポリアセタール繊維3を1周
回、或いは複数周回ずつ巻回させながら全体の主筋2に
巻回しても良い。この場合、各主筋2とポリアセタール
繊維3とがより強固に固定されるため好ましい。
【0025】また、図5(a),(b)に示すように、
必要に応じてポリアセタール繊維3を所望の主筋2との
間に掛け渡して配置することも容易に出来る。
【0026】ポリアセタール繊維3は、例えば、特開昭
60-183122号公報に開示された方法により高強度、高弾
性率のポリアセタール繊維3を製造することが出来る。
この技術はポリアセタール未延伸体を成形した後、これ
を熱媒中で連続的に加熱、加圧しながら10倍以上に延
伸する方法である。引張弾性率は大きい方が補強効果は
高いが、コンクリートの弾性率との関係及び施工能率等
を考慮すると、20GPa〜150GPaの引張弾性率
を有することが好ましい。
【0027】ポリアセタール繊維3の場合、延伸比と引
張弾性率及び引張強度は、ある程度の相関関係がある。
即ち、ポリアセタール繊維3の引張弾性率20GPaは
引張強度1.7GPa程度に相当し、引張弾性率40G
Paは引張強度2.3GPa程度に相当する。従って、
ポリアセタール繊維3の場合、高引張弾性率であれば高
引張強度でもある。
【0028】また、ポリアセタール繊維3の場合、延伸
比と破断伸度も、ある程度相関関係がある。即ち、ポリ
アセタール繊維3の引張弾性率20GPaは破断伸度1
0%程度に相当し、引張弾性率40GPaは破断伸度8
%程度に相当し、引張弾性率100GPaは破断伸度3
%程度に相当する。
【0029】ポリアセタール繊維3の延伸比をあまり高
くすると、引張弾性率が大きくなり、初期の補強効果は
向上するが、破断伸度が低くなり、補強した際の変形性
能が低くなってしまう。
【0030】従って、ポリアセタール繊維3の引張弾性
率は20GPa以上150GPa以下であれば好まし
く、更に好ましくは、ポリアセタール繊維3の引張弾性
率が30GPa以上120GPa以下である。特に好ま
しくは、ポリアセタール繊維3の引張弾性率が40GP
a以上100GPa以下である。
【0031】ポリアセタール繊維3の引張弾性率を20
GPa以上150GPa以下で構成した場合、極めて伸
び性能が高い。例えば、引張弾性率が40GPaのポリ
アセタール繊維3では破断伸び率が8%以上であり、炭
素繊維やアラミド繊維が2%以下であることと比較して
も優れた伸び性能を有するものである。
【0032】ポリアセタール繊維3の繊維外径は平均外
径0.4mm以上100mm以下が好ましい。ポリアセター
ル繊維3で細径のものは主筋2に対する巻回数が増加す
るため施工性が低く、太径のものは高度な製造技術が要
求されるため生産性が低くなる。従って、施工性及びポ
リアセタール繊維3の生産性を考慮すると、ポリアセタ
ール繊維3の繊維外径は平均外径0.5mm以上30mm以
下がより好ましい。
【0033】また、ポリアセタール繊維3はモノフィラ
メント状であるため、それ自体に腰があり高倍率延伸が
可能であるため比較的簡単に線状体の引張弾性率を高く
することが出来る。そして、細径のものを用いる場合に
は複数のポリアセタール繊維3を束ねて耐アルカリ性を
有するEVA(Ethylene-vinylacetate copolymer)等の
素材をコーティングして使用しても良い。
【0034】本実施形態のポリアセタール繊維3の平均
外径は0.4mm以上100mm以下で構成されるが、炭素
繊維やアラミド繊維と比較して太径のものを製造するこ
とが可能であるので、それ自体で極めて高強度を有する
ものである。
【0035】従って、従来例のFRPのように熱可塑性
樹脂と結合させずとも強度低下がなく、このために常温
での加工が可能で鉄筋やFRPのように予め工場等で加
工する必要がなく、現場で曲げ加工や切断等が容易に出
来るので設計変更等に柔軟に対応出来る。また、残留変
形が生じる塑性加工が出来るので加工した形が残り易く
施工性が良い。
【0036】また、ポリアセタール繊維3は可撓性が高
く、どのような形状にでも容易に曲げることが出来るの
で、図5(a),(b)に示したように中子筋等の自由
な形状に現場で常温で加工出来、例えば、10Φ以下の
径の主筋2にポリアセタール繊維3を周回させたり、図
3(a),(b)に示したようにポリアセタール繊維3
の端部3aを捻じって該ポリアセタール繊維3や主筋2
に容易に結束して固定することが出来る。
【0037】また、コンクリート打設時にコンクリート
に混練された骨材がポリアセタール繊維3に接触して傷
を付ける場合もあるが、ポリアセタール繊維3は耐摩耗
性及び傷に対する抵抗性である耐カット性に優れている
ためポリアセタール繊維3の耐力が低下したり、破断す
る虞がない。また、現場での保管や取り扱いが容易であ
るので従来例のFRPと比較して施工管理が容易であ
る。
【0038】また、補強材として吸水性の高い繊維を使
用した場合、コンクリート打設後に該繊維が吸水して水
セメント比等のコンクリートの配合設計に影響を与える
虞があるが、ポリアセタール繊維3は吸水率が極めて低
いため殆ど吸水性を示さず、水セメント比等のコンクリ
ートの配合設計に影響を与えることがなく、所期のコン
クリートの性能が発揮される。
【0039】また、ポリアセタール繊維3は電気的絶縁
性を有するので、落雷時等にも迷走電流が発生する虞が
なく、構造物内に設置される電気器具等に悪影響を及ぼ
す虞がない。
【0040】また、ポリアセタール繊維3は耐錆性や耐
アルカリ性も高いので、コンクリート部材1内に補強材
として埋設された場合、十分な耐久性を有する。また、
耐油性、耐有機溶剤性に優れているので、コンクリート
溝やU字溝等の排水、廃液ピットとして使用される場合
でも腐食に対して安全である。
【0041】また、ポリアセタール繊維3は、その比重
が鉄の1/5以下であるため軽量であり、単位断面積当
たりの引張強度が高いため必要な補強効果を得るための
補強材の断面積が小さくて済むので体積も小さくて済
み、占有空間も小さく出来るため多重に設けて補強強度
を増加させることも可能である。
【0042】また、常温で容易に加工出来得るため、従
来例のFRPのように工場等で予め加工する必要がない
ので施工性が良い上、設計変更に柔軟に対応出来る。
【0043】また、常温で可撓性を有するのでボビンに
巻き付ける等してコンパクトな荷姿で運搬等が可能であ
るため大型トラックを用いずとも小型トラックや小型バ
ンでの輸送が可能であり、施工現場での荷揚げや小分け
等も軽量のためクレーンを必要としないのでコストを大
幅に削減することが出来る。
【0044】また、ポリアセタール繊維3は補強材とし
て鉄骨鉄筋コンクリート部材にも適用可能であり、柱、
梁、基礎、スラブ、壁等の部位のコンクリート部材に適
宜使用出来る。特に施工スペースが十分でない箇所や接
合部等の複雑な配置が要求される箇所に好適である。
【0045】上記構成によれば、引張弾性率が20GP
a以上150GPa以下で且つ平均外径が0.4mm以上
100mm以下のポリアセタール繊維3を補強材としてコ
ンクリート部材1内に埋設したことで高い強度を得るこ
とが出来、軽量で且つ常温で加工出来、傷により強度低
下しないポリアセタール繊維3を補強材として採用した
ことで施工が容易である。
【0046】次に図6を用いて本発明に係る補強コンク
リート構造の第2実施形態の構成について説明する。図
6は本発明に係る補強コンクリート構造の第2実施形態
の構成を示す模式横断面図である。尚、前記第1実施形
態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省
略する。
【0047】前記第1実施形態では、コンクリート部材
1の軸方向と直交する方向の補強材(横補強材)とし
て、ポリアセタール繊維3のみを用いて構成した場合の
一例であったが、本実施形態では、図6に示すように、
コンクリート部材1の軸方向と直交する方向の補強材
(横補強材)として異形鉄筋や丸鋼からなる帯筋11とポ
リアセタール繊維3とを併用したものである。
【0048】図6において、コンクリート部材1の軸方
向(図6の左右方向)に配置された主筋2の形状、配置
に応じて該主筋2の接合部以外の部位で該主筋2を取り
囲むように予め工場等で折り曲げ加工された帯筋11が主
筋2に沿って所定の間隔を持って配置され、図示しない
針金等の番線により主筋2に結束されて固定される。こ
れにより主筋2と帯筋11の位置が固定されて、コンクリ
ート打設時にも主筋2及び帯筋11の位置がずれることが
ない。
【0049】その後、前記第1実施形態と同様に帯筋11
間及び主筋2同士が交差して配置される柱梁やスラブ等
の接合部にポリアセタール繊維3を主筋2に沿って巻き
付けて配置する。その際、ポリアセタール繊維3は主筋
2の節と節との間に引っ掛けるように配置すれば主筋2
同士の位置がずれることがない。
【0050】そして、図示しない型枠内にコンクリート
を打設してコンクリート部材1内に主筋2、帯筋11及び
ポリアセタール繊維3を一体的に埋設して固化させる。
補強材となる帯筋11は図7に示して且つ前述した従来例
と略同様に構成されるが、本実施形態では、配筋の困難
な接合部内にポリアセタール繊維3を配置し、帯筋11を
配筋し易い部分のみに使用することによって全体の施工
性が向上する。
【0051】また、前記第1実施形態のように補強材を
ポリアセタール繊維3のみで構成した場合よりも主筋2
の位置をより強固に保持することが出来るのでより好ま
しい。他の構成は前記第1実施形態と同様に構成され、
同様な効果を得るものである。
【0052】<実施例>以下に上記補強コンクリート構
造の具体例について説明する。例えば、断面が600mm
×600mmの柱部材からなるコンクリート部材1で、従
来工法において直径が10mmの異形鉄筋からなる帯筋11
をコンクリート部材1の軸方向(主筋2の方向)に100
mmピッチで配置する設計とされている場合、上記補強コ
ンクリート構造によれば、帯筋11とポリアセタール繊維
3の強度比較換算により同じ帯筋11をコンクリート部材
1の軸方向(主筋2の方向)に1000mmピッチで配置す
ると共に平均直径0.45mmのポリアセタール繊維3を
コンクリート部材1の軸方向(主筋2の方向)に22mmピ
ッチで同一位置に4周回ずつ巻回する設計とすることに
より上記従来工法と略同等の横補強効果を得ることが出
来る。
【0053】この場合、図6に示すように、1本のポリ
アセタール繊維3を用いて連続的に主筋2に巻回して配
置することによりポリアセタール繊維3の端部3aの数
を減らして施工性の向上を図ることが出来るものであ
る。尚、ポリアセタール繊維3の端部3aは図3(a)
〜(c)に示したように主筋2に結束して固定してい
る。
【0054】<耐カット性能実験>ポリアセタール繊維
3の傷に対する抵抗性(耐カット性)を調べるために以
下の実験を行った。ポリアセタール繊維3の表面に傷を
付けるためにガラスビーズを吹き付けるドライホーニン
グ処理をした後、引張耐力を測定した。また、比較のた
めに炭素繊維及びアラミド繊維を用いたFRPロッドに
ついても同様の実験を行った。
【0055】ポリアセタール繊維3は平均線径0.45
mmのモノフィラメント、炭素繊維及びアラミド繊維は線
径0.01mm以下の繊維ストランドの熱可塑性樹脂によ
るFRPを用いた。繊維及びFRPロッドの幅は約1.
5mmで、1回のドライホーニング処理は約4m/minで
表裏夫々に対して行い、ドライホーニング処理回数を変
化させて引張耐力を測定した。尚、試験体数は各5体と
した。
【0056】試験結果は、各試験体におけるドライホー
ニング処理前の引張耐力を100%として、各試験体に
おけるドライホーニング処理後の引張耐力の割合を以下
の表1に百分率で示した。
【0057】
【表1】
【0058】上記表1において、炭素繊維は60回のド
ライホーニング処理によりドライホーニング処理前の引
張耐力の35%まで引張耐力が低下した。また、アラミ
ド繊維は60回のドライホーニング処理によりドライホ
ーニング処理前の引張耐力の61%まで引張耐力が低下
した。しかしながら、ポリアセタール繊維3は120回
のドライホーニング処理までは殆ど引張耐力が低下しな
かった。
【0059】
【発明の効果】本発明は、上述の如き構成と作用とを有
するので、引張弾性率が20GPa以上150GPa以
下で且つ平均外径が0.4mm以上100mm以下のポリア
セタール繊維を補強材としてコンクリート部材内に埋設
したことで高い強度を得ることが出来、軽量で且つ常温
で加工出来、傷により強度低下しないポリアセタール繊
維を補強材として採用したことで施工が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る補強コンクリート構造の第1実施
形態の構成を示す横断面説明図である。
【図2】本発明に係る補強コンクリート構造の第1実施
形態の構成を示す模式縦断面図である。
【図3】(a)〜(c)は主筋に対するポリアセタール
繊維の端部の結束の一例を示す模式斜視図である。
【図4】(a)は第1実施形態において主筋に対するポ
リアセタール繊維の中間部の結束の他の例を示す模式縦
断面図、(b)は第1実施形態において主筋に対するポ
リアセタール繊維の中間部の結束の他の例を示す模式斜
視図である。
【図5】(a),(b)は第1実施形態において所望の
主筋に対してポリアセタール繊維を掛け渡した様子を示
す模式縦断面図である。
【図6】本発明に係る補強コンクリート構造の第2実施
形態の構成を示す模式横断面図である。
【図7】従来例を説明する図である。
【符号の説明】
1…コンクリート部材 2,2a…主筋 3…ポリアセタール繊維 3a…端部 3b…直線部 4…番線 11…帯筋

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 土木、建築構造物等に使用されるコンク
    リート部材としての補強コンクリート構造において、 引張弾性率が20GPa以上150GPa以下で且つ平
    均外径が0.4mm以上100mm以下のポリアセタール繊
    維を補強材として前記コンクリート部材内に埋設したこ
    とを特徴とする補強コンクリート構造。
  2. 【請求項2】 前記コンクリート部材の軸方向補強材と
    して該コンクリート部材内に鉄筋を埋設し、前記コンク
    リート部材の軸方向と直交する方向の補強材として該コ
    ンクリート部材内に前記ポリアセタール繊維を埋設した
    ことを特徴とする請求項1に記載の補強コンクリート構
    造。
  3. 【請求項3】 前記コンクリート部材の軸方向補強材と
    して該コンクリート部材内に鉄筋を埋設し、前記コンク
    リート部材の軸方向と直交する方向の補強材として該コ
    ンクリート部材内に鉄筋と前記ポリアセタール繊維とを
    埋設したことを特徴とする請求項1に記載の補強コンク
    リート構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112858623A (zh) * 2021-01-04 2021-05-28 广西柳钢华创科技研发有限公司 判断带肋钢筋外形是否合理和加强带肋钢筋强度的方法
WO2023200004A1 (ja) * 2022-04-15 2023-10-19 株式会社I-deate&eng. 構造基材、構造部材、構造物及び構造部材の構築方法

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