JP2001019733A - バインダー組成物、不燃性成形体、不燃性シート及び不燃性ハニカム構造材 - Google Patents

バインダー組成物、不燃性成形体、不燃性シート及び不燃性ハニカム構造材

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JP2001019733A
JP2001019733A JP11195129A JP19512999A JP2001019733A JP 2001019733 A JP2001019733 A JP 2001019733A JP 11195129 A JP11195129 A JP 11195129A JP 19512999 A JP19512999 A JP 19512999A JP 2001019733 A JP2001019733 A JP 2001019733A
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JP
Japan
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water
polyisocyanate
soluble silicate
affinity
combustible
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JP11195129A
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English (en)
Inventor
Kyoichi Fujimoto
恭一 藤本
Kozo Hayashi
宏三 林
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Tokiwa Electric Co Ltd
Original Assignee
Tokiwa Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水溶性ケイ酸塩とポリイソシアネートとを混
合するための有機溶剤を不要とする。 【解決手段】 無機物としての水溶性ケイ酸塩と、有機
物としての水親和性ポリイソシアネートと、両者を溶解
または分散する溶媒または分散媒としての水とを必須成
分としたバインダ組成物。水溶性ケイ酸塩としては、主
に水ガラスが使用される。水親和性ポリイソシアネート
しては、ポリイソシアネートしては、親水性基を導入し
たポリイソシアネート、または、ジイソシアネート単量
体のビウレット体及び/またはウレトジオン体からなる
ポリイソシアネートを好適に使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性を有する接
着剤、塗料、シーリング材等のバインダ、または不燃性
成形体の成形バインダ等としての用途に適するバインダ
組成物に関するものであり、特に、無機物である水ガラ
ス等の水溶性ケイ酸塩と有機物であるポリイソシアネー
トとを複合してなるバインダ組成物に関するものであ
る。また、本発明は、このバインダ組成物を使用した不
燃性成形体、不燃性シート及び不燃性ハニカム構造材に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、水ガラスは、耐熱性を有する良好
な無機質結合剤として知られている。この水ガラスは、
ケイ酸(SiO2 )とアルカリ金属(Na、K、Li
等)とからなるアルカリ金属ケイ酸塩の濃厚水溶液であ
る。水ガラスは、空気中の炭酸ガスを吸収し、または硬
化剤により、ゲル状ケイ酸が析出してガラス状となり、
強い結合力を発揮する。そこで、水ガラスは、人造石、
ガラス、陶磁器等の接合用の接着剤、或いは、耐火塗料
等のバインダ成分として用いられている。
【0003】水ガラスを接着剤、塗料等のバインダ成分
として使用する従来の例として、例えば、特公昭53−
1754号公報、特開昭53−119932号公報に掲
載の技術を挙げることができる。
【0004】このように、水ガラス、特に、ケイ酸ナト
リウム水溶液で形成された水ガラスは、安価であり、ま
た、常温でも硬化でき、しかも、硬化後の被膜は、耐熱
性を有する等の利点がある。ところが、水ガラスは無機
質であるため、硬化後の被膜は脆くて可撓性に乏しく、
衝撃によってクラックが入り易い。
【0005】そこで、本発明者等は、先の出願におい
て、水ガラスと、有機物のうち、特に、無機物との複合
に適用可能性のあるポリイソシアネートとを混合してな
る安価で可撓性を有するバインダ組成物(接着剤)を提
案した(特開平5−17722号)。
【0006】このバインダ組成物は、水ガラスと、ポリ
イソシアネートと、有機溶剤とを必須成分とする。ここ
で、通常のポリイソシアネートは水溶液中に安定して分
散しないため、このバインダ組成物では、有機溶剤を水
ガラスとポリイソシアネートとを安定して混合するため
の混合安定剤として使用している。このバインダ組成物
によれば、有機溶剤を介して水ガラスとポリイソシアネ
ートとの分散混合が可能となり、有機溶剤の揮散によ
り、ポリイソシアネートが水ガラス中の水(H2O)と
反応して硬化すると共に二酸化炭素(CO2 )を発生す
る。一方、水ガラスは、この二酸化炭素を一部吸収して
硬化する。そのため、このバインダ組成物は、安価で可
撓性を有する接着剤または塗料等のバインダ成分として
使用することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、環境
保護の必要性、作業における労働安全性の確保、製造コ
ストの低減等の理由により、揮発性有機溶剤を使用する
製造プロセスが見直されている。このため、接着剤等に
おいても、有機溶剤を使用しない水分散系(水性)のも
のが注目されてきている。よって、上記のように無機物
と有機物を複合した接着剤等においても、有機溶剤を不
要とすることができれば、非常に好ましい結果が得られ
る。
【0008】そこで、本発明は、無機物としての水溶性
ケイ酸塩と、有機物としてのポリイソシアネートと、溶
媒または分散媒としての水とを必須成分とすると共に、
その混合のための有機溶剤を不要としたバインダ組成
物、及び、かかるバインダ組成物を使用した不燃性成形
体、不燃性シート及び不燃性ハニカム構造材の提供を課
題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係るバ
インダ組成物は、水溶性ケイ酸塩と、水親和性ポリイソ
シアネートと、前記水溶性ケイ酸塩及び前記水親和性ポ
リイソシアネートを溶解または分散する溶媒または分散
媒としての水とを必須成分とする。
【0010】上記バインダ組成物は、通常は、水溶性ケ
イ酸塩を溶媒としての水に溶解したケイ酸塩水溶液(一
般式:xM2 O・ySiO2 ・zH2 O)と、水親和性
ポリイソシアネートとに分けて別個に保管する2液型の
ものである。かかるケイ酸塩水溶液と水親和性ポリイソ
シアネートとは、使用時に混合するが、このとき、水親
和性ポリイソシアネートは、水に対して親和であり、乳
化剤なしで容易に溶解または安定に分散(乳化)する。
よって、水親和性ポリイソシアネートは、ケイ酸塩水溶
液中に溶解または安定に分散し、均一に混合する。そし
て、水親和性ポリイソシアネートは、ケイ酸塩水溶液中
の水(H2 O)と反応して硬化すると共に、二酸化炭素
(CO2 )を発生する。ほぼ同時に、水溶性ケイ酸塩
は、このCO2 を一部吸収し、ゲル状ケイ酸を析出して
硬化する。このように、ケイ酸塩水溶液と水親和性ポリ
イソシアネートとが反応して硬化し、接着力等の結合力
を発現する。
【0011】このとき、このバインダ組成物は、無機物
である水溶性ケイ酸塩と有機物である水親和性ポリイソ
シアネートとの溶解性または分散性が良く、それらの複
合度合が良好であるため、その硬化物(硬化体)は、硬
化水溶性ケイ酸塩と硬化水親和性ポリイソシアネートと
の均質性に優れたものとなる。
【0012】一方、請求項1の発明に係るバインダ組成
物を、塗料、シーリング材(充填材)等のある程度の膜
厚または体積を有する硬化体の製造に使用した場合、水
親和性ポリソシアネートが発生したCO2 の一部が微細
な気泡として硬化体中に残り、その硬化体を多孔化し
て、軽量化及び柔軟性(可撓性)向上等の有用性を発揮
する。また、CO2 の発生により硬化体の膨脹が起こ
り、それによって硬化体自体の収縮を防止する。
【0013】請求項2の発明に係るバインダ組成物は、
水溶性ケイ酸塩と、親水性基を導入したポリイソシアネ
ートと、前記水溶性ケイ酸塩及び前記ポリイソシアネー
トを溶解または分散する溶媒または分散媒としての水と
を必須成分とする。
【0014】上記バインダ組成物は、通常は、水溶性ケ
イ酸塩を溶媒としての水に溶解したケイ酸塩水溶液と、
前記ポリイソシアネートとに分けて別個に保管する2液
型のものである。かかるケイ酸塩水溶液とポリイソシア
ネートとは、使用時に混合するが、このとき、ポリイソ
シアネートは、親水性基を導入したものであり、水に対
して容易に溶解または乳化剤なしで安定に分散する。よ
って、このポリイソシアネートは、ケイ酸塩水溶液中に
溶解または安定に分散し、均一に混合する。そして、ポ
リイソシアネートは、ケイ酸塩水溶液中のH2 Oと反応
して硬化すると共に、CO2 を発生する。ほぼ同時に、
水溶性ケイ酸塩は、このCO2 を一部吸収し、ゲル状ケ
イ酸を析出して硬化する。このように、水溶性ケイ酸塩
とポリイソシアネートとが反応して硬化し、接着力等の
結合力を発現する。
【0015】このとき、このバインダ組成物は、無機物
である水溶性ケイ酸塩と有機物であるポリイソシアネー
トとの溶解性または分散性が良く、それらの複合度合が
良好であるため、その硬化物は、硬化水溶性ケイ酸塩と
硬化ポリイソシアネートとの均質性に優れたものとな
る。
【0016】一方、請求項2の発明に係るバインダ組成
物を、塗料、シーリング材(充填材)等のある程度の膜
厚または体積を有する硬化体の製造に使用した場合、ポ
リソシアネートが発生したCO2 の一部が微細な気泡と
して硬化体中に残り、その硬化体を多孔化して、軽量化
及び柔軟性向上等の有用性を発揮する。また、CO2
発生により硬化体の膨脹が起こり、それによって硬化体
自体の収縮を防止する。
【0017】請求項3の発明に係るバインダ組成物は、
水溶性ケイ酸塩と、ジイソシアネート単量体のビウレッ
ト体及び/またはウレトジオン体からなるポリイソシア
ネートと、前記水溶性ケイ酸塩及び前記ポリイソシアネ
ートを溶解または分散する溶媒または分散媒としての水
とを必須成分とする。
【0018】上記バインダ組成物は、通常は、水溶性ケ
イ酸塩を溶媒としての水に溶解したケイ酸塩水溶液と、
前記ポリイソシアネートとに分けて別個に保管する2液
型のものである。かかるケイ酸塩水溶液とポリイソシア
ネートとは、使用時に混合するが、このとき、ポリイソ
シアネートは、ジイソシアネート単量体のビウレット体
及び/またはウレトジオン体からなり、低分子量である
ため、分子運動が活発となり、水に対して容易に溶解ま
たは乳化剤なしで安定に分散する。よって、このポリイ
ソシアネートは、ケイ酸塩水溶液中に溶解または安定に
分散し、均一に混合する。そして、ポリイソシアネート
は、ケイ酸塩水溶液中のH2 Oと反応して硬化すると共
に、CO2 発生する。ほぼ同時に、水溶性ケイ酸塩は、
このCO 2 を一部吸収し、ゲル状ケイ酸を析出して硬化
する。このように、水溶性ケイ酸塩とポリイソシアネー
トとが反応して硬化し、接着力等の結合力を発現する。
【0019】このとき、このバインダ組成物は、無機物
である水溶性ケイ酸塩と有機物であるポリイソシアネー
トとの溶解性または分散性が良く、それらの複合度合が
良好であるため、その硬化物は、硬化水溶性ケイ酸塩と
硬化ポリイソシアネートとの均質性に優れたものとな
る。
【0020】一方、請求項3の発明に係るバインダ組成
物を、塗料、シーリング材(充填材)等のある程度の膜
厚または体積を有する硬化体の製造に使用した場合、ポ
リソシアネートが発生したCO2 の一部が微細な気泡と
して硬化体中に残り、その硬化体を多孔化して、軽量化
及び柔軟性向上等の有用性を発揮する。また、CO2
発生により硬化体の膨脹が起こり、それによって硬化体
自体の収縮を防止する。
【0021】請求項4の発明に係るバインダ組成物は、
請求項1乃至3の何れかの構成において、更に、フィラ
ーとしてアラミド繊維及び/またはセピオライトを添加
したものである。
【0022】ここで、アラミド繊維は、有機繊維にもか
かわらず、高い耐熱性、強度、弾性、引張り強さ等の諸
特性を有する。また、含水ケイ酸マグネシウム鉱物であ
るセピオライトは、その水酸基によって凝固性または固
結性に優れ、かつ、水とのなじみもよく、水中に容易に
分散するといった諸特性を有する。したがって、これら
の特性に応じた物性をバインダ組成物の硬化物に付与す
ることができる。
【0023】請求項5の発明に係るバインダ組成物は、
請求項1乃至4の何れかの構成において、前記水親和性
ポリイソシアネートと水溶性ケイ酸塩との固形分比率
は、前記水親和性ポリイソシアネート/水溶性ケイ酸塩
を25乃至75パーセントの範囲内としたものであるか
ら、クラックが入ることなく、不燃性、難燃性の成形体
が得られる。
【0024】請求項6の発明に係る不燃性成形体は、水
溶性ケイ酸塩と、水親和性ポリイソシアネートと、前記
水溶性ケイ酸塩及び前記水親和性ポリイソシアネートを
溶解または分散する溶媒または分散媒としての水とを必
須成分とするバインダー組成物を調整し、前記バインダ
ー組成物を粒状の骨材の表面にまぶして塗布し、前記バ
インダー組成物を塗布した骨材をプレス成形して前記バ
インダ組成物により結合してなるものである。
【0025】前記粒状の骨材としては、球状及び/また
はチップ状のものがある。球状の骨材としては、発泡ス
チロールビーズ、ガラスビーズ、セラミックビーズ等の
球状粒子を例示することができる。また、不燃性成形体
としては、建材用不燃ボード等の板材を例示することが
できる。
【0026】この発明では、成形バインダは、その硬化
後も柔軟性(可撓性)を有するため、球状の骨材を接着
した場合でも、不燃性成形体の保形性が良好となる。ま
た、CO2 の発生により硬化体の膨脹が起こり、それに
よって硬化体自体の収縮を防止する。そして、成形バイ
ンダーを粒状の骨材の表面にまぶして塗布し、成形バイ
ンダーを塗布した骨材をプレス成形して前記成形バイン
ダにより結合するという、いわゆる乾式法により不燃性
成形体を製造することができる。
【0027】請求項7の発明に係る不燃性成形体は、請
求項6の構成において、前記水親和性ポリイソシアネー
トと水溶性ケイ酸塩との固形分比率は、前記水親和性ポ
リイソシアネート/水溶性ケイ酸塩を40パーセント以
下としたものであるから、良好な不燃性の特性が得られ
る。
【0028】請求項8の発明に係る不燃性シートは、水
溶性ケイ酸塩と、水親和性ポリイソシアネートと、前記
水溶性ケイ酸塩及び前記水親和性ポリイソシアネートを
溶解または分散する溶媒または分散媒としての水とを必
須成分とする組成物を、無機物を主成分とする不燃性シ
ートの表面にコーティングしてなるものである。
【0029】ここで、不燃性シートを形成する無機物と
しては、セピオライト、ブルーサイト(水酸化マグネシ
ウム鉱物)、水酸化アルミニウム等を好適に使用するこ
とができる。また、「不燃性シート」の範疇には、単な
る板状(ボード状)のもの以外にも、板状の不燃性シー
トを所望形状に付形した各種成形体または構造体を含
む。かかる成形体または構造体としては、例えば、多数
のセルを有する不燃性ハニカム構造材がある。この不燃
性ハニカム構造材の場合、その外表面及び/またはセル
の表面に前記組成物をコーティングする。
【0030】この発明では、前記組成物が、その硬化後
も柔軟性(可撓性)を有する。よって、不燃性シート表
面のコーティングは、柔軟性を有して所望の形状に湾曲
または屈曲することができる。
【0031】請求項9の発明に係る不燃性シートは、請
求項8の何れかの構成において、前記水親和性ポリイソ
シアネートと水溶性ケイ酸塩との固形分比率は、前記水
親和性ポリイソシアネート/水溶性ケイ酸塩を40パー
セント以下としたものであるから、良好な不燃性の特性
が得られる。
【0032】請求項10の発明に係る不燃性ハニカム構
造材は、無機物を主成分とする不燃性シートから多数の
セルを有するハニカム構造材本体を形成し、水溶性ケイ
酸塩と、水親和性ポリイソシアネートと、前記水溶性ケ
イ酸塩及び前記水親和性ポリイソシアネートを溶解また
は分散する溶媒または分散媒としての水と、骨材及び/
またはフィラーとを必須成分とする組成物を、前記ハニ
カム構造材本体のセルの少なくとも一部に充填し、乾燥
固化してなるものである。
【0033】したがって、この不燃性ハニカム構造材
は、ハニカム構造材本体のみならず、セル内のコア(充
填材)も適度の柔軟性(可撓性)を有する。
【0034】更に、請求項5、請求項7、請求項9、請
求項11では、前記水親和性ポリイソシアネートと水溶
性ケイ酸塩との固形分比率は、前記水親和性ポリイソシ
アネート/水溶性ケイ酸塩を25パーセント以上とした
ものであり、実用化できる収縮率となる。
【0035】請求項11の発明に係るバインダ組成物
は、請求項1乃至4の何れかの構成において、前記水親
和性ポリイソシアネートと水溶性ケイ酸塩との固形分比
率は、前記水親和性ポリイソシアネート/水溶性ケイ酸
塩を25乃至75パーセントの範囲内としたものである
から、クラックが入ることなく、不燃性、難燃性のハニ
カム構造材が得られる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を説
明する。
【0037】本実施の形態のバインダ組成物は、無機物
としての水溶性ケイ酸塩と、有機物としての水親和性ポ
リイソシアネートと、両者を溶解または分散する溶媒ま
たは分散媒としての水とを必須成分とする。そして、こ
のバインダ組成物は、通常は、水溶性ケイ酸塩を溶媒と
しての水に溶解したケイ酸塩水溶液と、水親和性ポリイ
ソシアネートとに分けて別個に保管する2液型のもので
ある。
【0038】ケイ酸塩水溶液としては、主に水ガラスが
使用される。水ガラスは、一般式M 2 O・nSiO2
表わされるアルカリ金属ケイ酸塩を主成分とする粘性の
ある水溶液であり、硬化してガラス質のシリケートポリ
マーを形成する。式中Mはアルカリ金属を示し、通常
は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)またはカリ
ウム(K)である。また、式中nはM2 OとSiO2
のモル比を示し、一般に1.6〜4.5である。アルカ
リ金属の種類は接着性と関係し、一般に、接着強さはN
a>K>Liの順に小さくなり、耐水性はLi>K>N
aの順に小さくなる。なお、アルカリ金属ケイ酸塩のア
ルカリ金属としてセシウム(Cs)を使用することもで
きる。また、ケイ酸塩水溶液として、上記以外に、一般
式(R4 N)2 O・nSiO2 で表わされるケイ酸第4
級アンモニウム塩の水溶液を使用することも可能であ
る。
【0039】水ガラスとしては、特にその種類を限定す
る必要はないが、最も安価で、またJIS規格品として
容易に入手可能なケイ酸ナトリウム水溶液を使用するこ
とが一般には望ましい。かかるケイ酸ナトリウム水溶液
として、例えば、ケイ酸ソーダJIS3号(固形分約3
8.5重量%のケイ酸ナトリウム水溶液)を使用するこ
とができる。また、ケイ酸ナトリウム水溶液にケイ酸リ
チウム水溶液を混合して使用することもでき、この場
合、硬化後の耐水親和性をより高めることができる。更
に、上記の水ガラスに加えて、同様の無機ポリマーを形
成するリン酸塩やシリカゾルを併用してもよい。
【0040】前記水親和性ポリイソシアネートとして
は、水に溶解または安定に分散(乳化)する限りにおい
て、その種類を限定するものではないが、親水性基を導
入したポリイソシアネート、または、ジイソシアネート
単量体のビウレット体及び/またはウレトジオン体から
なるポリイソシアネートを使用することができる。前記
ジイソシアネート単量体としては、トリレンジイソシア
ネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシ
アネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(X
DI)、メタキシリレンジイソシアネート(MXDI)
等の芳香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシ
アネート(HDI)等の脂肪族ジイソシアネート、イソ
ホロンジイソシアネート(IPDI)、水添MDI等の
脂環族ジイソシアネートを例示することができる。な
お、前記ジイソシアネート単量体のビウレット体及び/
またはウレトジオン体は、かかるジイソシアネート単量
体を二量体化して、不揮発性化し、かつ、毒性を低くし
たものである。
【0041】また、前記水親和性ポリイソシアネートと
しては、脂肪族系ポリイソシアネートを使用することが
好ましい。この脂肪族系ポリイソシアネートは、ポリイ
ソシアネートの中では比較的水に対する反応性が低いた
め、そのポリイソシアネートの骨格のまま、或いは、骨
格中に親水性基を導入することにより、水親和性を示
す。かかる脂肪族系ポリイソシアネートしては、親水性
基を導入した脂肪族系ポリイソシアネートの他に、2官
能基で低分子量(例えば、分子量約300以下)の脂肪
族ポリイソシアネートを好適に使用することができる。
特に、前記低分子量の脂肪族系ポリイソシアネートとし
ては、粘度1500mPa・s (25℃)以下のHDI(ヘ
キサメチレンジイソシアネート)で、水親和性の各種ビ
ウレット体及び/またはウレトジオン体を好適に使用す
ることができる。更に好ましくは、固形分100%で粘
度約200mPa・s 以下のHDI系イソシアネートで、か
つ、2官能基のウレトジオン体を使用することができ
る。
【0042】上記親水性を導入した脂肪族系ポリイソシ
アネートとしては、住友バイエルウレタン株式会社製の
商品名「Bayhydur3100」(バイヒジュール
3100)を例示することができる。このポリイソシア
ネートは、親水性基を導入しているため、ケイ酸塩水溶
液に対して容易に溶解または乳化剤なしで安定に分散
し、均一に混合可能である。また、上記2官能基で低分
子量の脂肪族系ポリイソシアネートとしては、住友バイ
エルウレタン株式会社製の商品名「DesmodurN
3400」(デスモジュールN3400)を例示するこ
とができる。このポリイソシアネートは、2官能基で低
分子量のHDIの2量体(ウレトジオン体)であり、か
つ、固形分100%で粘度170mPa・s 前後(90〜2
50mPa・s(23℃))と低粘度である。よって、この
ポリイソシアネートは、ケイ酸塩水溶液に対して容易に
溶解または乳化剤なしで安定に分散し、均一に混合可能
である。なお、上記水親和性ポリイソシアネートとして
は、上記例示のもの以外にも、混合液のポットライフ、
作業性、生成皮膜の状態等を考慮して適宜別の水親和性
ポリイソシアネートを選択して使用することができる。
【0043】更に、本実施の形態のバインダ組成物に
は、水溶性ケイ酸塩及び水親和性ポリイソシアネートに
加え、硬化物(硬化体)の改質を目的として、各種のフ
ィラーを適宜混合してもよい。かかるフィラーとして
は、例えば、アラミド繊維またはセピオライトを使用す
ることができる。或いは、アラミド繊維及びセピオライ
トの両者を添加してもよい。前記アラミド繊維として
は、例えば、繊維長5〜30μmのグラフト状のものを
使用することができる。フィラーとしてアラミド繊維を
添加した場合は、硬化体の強度を増大し、被膜クラック
等を防止する点で効果的である。また、前記セピオライ
トとしては、繊維長約4μmのものを使用することがで
きる。フィラーとしてセピオライトを使用した場合は、
凝固性を高め、ポリイソシアネートとの反応を促進する
点で効果的である。
【0044】次に、上記成分を使用した本実施の形態に
係るバインダ組成物の製造について説明する。
【0045】まず、本実施の形態のバインダ組成物は、
通常(使用前)は、水溶性ケイ酸塩を溶媒としての水に
溶解したケイ酸塩水溶液と、水親和性ポリイソシアネー
トとに分けて別個に保管する2液型のものである。
【0046】かかるケイ酸塩水溶液と水親和性ポリイソ
シアネートとは、使用時に混合するが、このとき、水親
和性ポリイソシアネートは、水親和性を示す。即ち、水
親和性ポリイソシアネートとして前記親水性基を導入し
たポリイソシアネートを使用した場合、このポリイソシ
アネートは、親水性基により水に対して容易に溶解また
は乳化剤なしで安定に分散する。よって、このポリイソ
シアネートは、ケイ酸塩水溶液中に溶解または安定に分
散し、均一に混合する。また、水親和性ポリイソシアネ
ートとして前記ジイソシアネート単量体のビウレット体
及び/またはウレトジオン体からなるポリイソシアネー
トを使用した場合、このポリイソシアネートは、低分子
量であり、分子運動が活発であるため、水に対して容易
に溶解または乳化剤なしで安定に分散する。よって、こ
のポリイソシアネートは、ケイ酸塩水溶液中に溶解また
は安定に分散し、均一に混合する。
【0047】特に、水親和性ポリイソシアネートして、
バイヒジュール3100等の親水性基を導入した脂肪族
系ポリイソシアネート、または、デスモジュールN34
00等の2官能基の低分子量(粘度約200mPa・s 以
下)の脂肪族系ポリイソシアネートを使用した場合、上
記効果が顕著となる。
【0048】そして、上記のように2液を混合すると、
前記水親和性ポリイソシアネートは、その−NCO基が
ケイ酸塩水溶液中の水(H2 O)と反応して尿素結合
し、硬化すると共に、二酸化炭素(CO2 )を発生す
る。
【0049】
【化1】2N=C=O+HO- → −HN−C=O=N
H+CO2
【0050】一方、ほぼ同時に、水溶性ケイ酸塩は、水
親和性ポリイソシアネートが発生したCO2を一部吸収
して反応し、ゲル状ケイ酸を析出して硬化する。
【0051】
【化2】Na2 O・SiO2 ・(nm+x)H2 O+CO2
→ Na2 CO3 ・x H2 O+n (SiO2 ・m H2
O)
【0052】このように、水溶性ケイ酸塩と水親和性ポ
リイソシアネートとは、共存反応によりほぼ同時に硬化
し、接着力等の結合力を発現する。このとき、本実施の
形態のバインダ組成物は、無機物である水溶性ケイ酸塩
と有機物であるポリイソシアネートとの溶解性または分
散性が良く、それらの複合度合が良好であるため、その
硬化物は、硬化水溶性ケイ酸塩と硬化ポリイソシアネー
トとの均質性に優れたものとなる。
【0053】一方、本実施の形態のバインダ組成物を、
塗料、シーリング材(充填材)等のある程度の膜厚また
は体積を有する硬化体の製造に使用した場合、ポリソシ
アネートが発生したCO2 の一部が微細な気泡として硬
化体中に残り、その硬化体を多孔化して、軽量化及び柔
軟性向上等の有用性を発揮する。また、CO2 の発生に
より硬化体の膨脹が起こり、それによって硬化体自体の
収縮を防止する。
【0054】なお、本実施の形態のバインダ組成物にお
いて、ケイ酸塩水溶液と水親和性ポリイソシアネートと
は任意の割合で配合(混合)することができるが、一般
的には、水溶性ケイ酸塩の固形分100重量部に対し、
水親和性ポリイソシアネートを固形分で10〜200重
量部、好ましくは、25〜100重量部の割合で混合す
る。なお、ケイ酸塩水溶液は、溶媒または分散媒として
の水をポリイソシアネートと反応するのに充分な量確保
できるよう、通常は、固形分40%程度以下のものを使
用する。
【0055】上記のように、ケイ酸塩水溶液としてケイ
酸ナトリウム水溶液(3号水ガラス)等の代表的なケイ
酸塩水溶液を使用し、水親和性ポリイソシアネートとし
てバイヒジュール3100またはデスモジュールN34
00等の代表的な水親和性ポリイソシアネートを使用し
た場合、混合後、常温下に約30分間乾燥させると反応
する。即ち、バインダ組成物として十分なポットライフ
を確保することができ、混合後の作業性を損なうことが
ない。無論、ケイ酸塩水溶液及び水親和性ポリイソシア
ネートとしてその他のものを使用した場合も、同様のポ
ットライフを確保することができる。
【0056】ここで、水親和性ポリイソシアネートが発
生するCO2 がケイ酸塩水溶液と反応する前に発散して
ピンホールを過剰に形成することを防止するため、ま
た、ポットライフの調整のため、水親和性ポリイソシア
ネートの種類または混合量等を適宜変更調整してもよ
い。即ち、水親和性ポリイソシアネートの種類及び配合
比は、作業性等を考慮して最適な条件を選択すればよ
い。
【0057】常温硬化においては、これらの条件を選択
することによって、5分間〜1時間の乾燥時間の調整が
可能である。なお、水親和性ポリイソシアネートの混合
量が少量の場合には、水親和性ポリイソシアネートの有
する可撓性が乏しくなり、本実施のバインダ組成物を塗
料等の硬化体に使用した場合に、その硬化体(被膜)に
クラックを発生することがあるので注意を要する。
【0058】上記のバインダ組成物を使用して塗料等の
硬化体(被膜)を形成する場合、その硬化体は、条件に
応じて所望の膜厚とすることができ、かつ、クラックの
発生がないため厚膜が可能である。また、その物性とし
ては、例えば、雰囲気温度200度での連続使用に耐え
(耐熱性)、十分な耐水性及び金属または紙等への高い
接着性を有する。
【0059】このように、上記実施の形態のバインダ組
成物は、水溶性ケイ酸塩と、水親和性ポリイソシアネー
トと、前記水溶性ケイ酸塩及び水親和性ポリイソシアネ
ートを溶解または分散する溶媒または分散媒としての水
とを必須成分とする。したがって、水を溶媒または分散
媒として水溶性ケイ酸塩及び水親和性ポリイソシアネー
トを混合する(ケイ酸塩水溶液に水親和性ポリイソシア
ネートを混合する)と、水親和性ポリイソシアネートが
ケイ酸塩水溶液中に溶解または安定に分散する。そのた
め、ケイ酸塩水溶液と水親和性ポリイソシアネートとを
容易に均一に混合することができる。また、混合後は、
ケイ酸塩水溶液と水親和性ポリイソシアネートとが反応
して硬化し、接着力等の結合力を発現する。
【0060】このとき、その硬化物(硬化体)は、硬化
水溶性ケイ酸塩と硬化水親和性ポリイソシアネートとの
均質性に優れたものとなる。一方、反応に際して発生し
たCO2 の一部が微細な気泡として硬化体中に残り、そ
の硬化体を多孔化して、軽量化及び柔軟性(可撓性)向
上等の有用性を発揮する。また、CO2 の発生により硬
化体の膨脹が起こり、それによって硬化体自体の収縮を
防止する。そして、無機物としての水溶性ケイ酸塩と、
有機物としての水親和性ポリイソシアネートと、溶媒ま
たは分散媒としての水を必須成分とするため、安価に製
造でき、かつ、耐熱性等の無機物に固有の効果に加え
て、柔軟性または可撓性等の有機物に固有の効果を発揮
することができる。その結果、本実施の形態のバインダ
組成物は、接着剤、塗料(コーティング組成物)、シー
リング材等のバインダまたは不燃性成形体の成形バイン
ダ等として好適に使用することができる。
【0061】本実施の形態のバインダ組成物を塗料等に
具体化した場合、その塗料が硬化してできる皮膜は、無
機物であるケイ酸塩により十分な耐熱性(約200℃)
を有すると共に、有機物であるポリイソシアネートによ
り十分な可撓性または柔軟性を有することができ、クラ
ック等の発生を防止することができる。なお、ケイ酸塩
としてケイ酸ナトリウムを使用した場合、製造が特に安
価となり、しかも、塗料等の硬化体は約200〜300
度の耐熱性を有する。
【0062】また、本実施の形態のバインダ組成物は、
有機溶剤を介在することなく2液を直接混合して使用に
供することができる。即ち、水溶性ケイ酸塩とポリイソ
シアネートとを混合するために従来は不可欠であった有
機溶剤を不要とすることができ、有機溶剤の使用に伴う
各種の不具合を除去することができる。よって、有機溶
剤の使用に伴う不具合(揮発による弊害等)を除去する
ことができる。例えば、2液混合及び塗布等の現場作業
において、有機溶剤の揮発による異臭をなくし、作業の
安全性を向上する等の効果を発揮することができる。ま
た、本実施の形態のバインダ組成物を建築材料に使用し
た場合、ブリード臭をなくすことができ、居住環境を向
上することができる。更に、2液混合時に、水親和性ポ
リイソシアネートがケイ酸塩水溶液と均一に混合するた
め、2液の分離による硬化障害を防止することができ、
同時に、その反応を均一とすることができる。
【0063】更に、アラミド繊維またはセピオライト等
のフィラーを添加した場合は、各種フィラーの特性に応
じた物性を、バインダ組成物を使用した塗料等の硬化物
に付与することができる。即ち、アラミド繊維は、有機
繊維にもかかわらず、高い耐熱性、強度、弾性、引張り
強さ等の諸特性を有する。また、含水ケイ酸マグネシウ
ム鉱物であるセピオライトは、その水酸基によって凝固
性または固結性に優れ、かつ、水とのなじみもよく、水
中に容易に分散するといった諸特性を有する。よって、
フィラーとしてアラミド繊維を添加した場合は、耐熱
性、強度等の諸特性を損なうことなく、硬化体の皮膜ク
ラック等を防止することができる。また、フィラーとし
てセピオライトを使用した場合は、ケイ酸塩水溶液中に
容易に分散することができ、かつ、その水酸基によりイ
ソシアネートとの反応を促進することができる。
【0064】ところで、本発明のバインダ組成物の具体
的な用途としては、耐熱難燃型で厚膜タイプの常温硬化
塗料、接着剤、シーリング材等のバインダ、或いは、セ
ラミックス等の各種骨材の成形バインダ等を挙げること
ができる。
【0065】本実施の形態のバインダ組成物に炭酸カル
シウム等のフィラー等を適宜添加して接着剤として具体
化した場合は、例えば、断熱材、クロス、不燃紙等の各
種建築材料相互間の接着、または、炉材、セラミックス
等の各種部材の接着に好適である。また、本実施の形態
のバインダ組成物を使用した塗料は、厚膜が可能であ
り、かつ、各種フィラーを添加することにより多様な効
果を発揮することができる。例えば、上記配合に、ガラ
ス繊維、カーボン繊維、ロックウール等の補強材を加え
て、被膜強度を向上することができる。また、上記配合
に黒鉛等の導電性材料を混合して導電性を付与すること
ができる。更に、上記配合に亜鉛粉末を加えて防食性の
向上を計ることができる。即ち、各種フィラーを添加す
ることにより、各種用途に使用することができる。更
に、本実施の形態に多量のフィラー等を加えてシーリン
グ剤として具体化した場合も、耐熱性、可撓性、低収縮
性等において優れた硬化を発揮する。
【0066】ところで、上記実施の形態では、調整され
た組成物を適用後、常温で乾燥しているが、70度程度
の温度で強制的に乾燥させてもよい。この場合、硬化時
間を短縮することができる。但し、乾燥が急激である
と、反応により発生したCO2が水溶性ケイ酸塩と反応
する前に急激に揮散することによってピンホールが生じ
ることがあるので、外観性が重要視される皮膜を形成す
る場合には注意を要する。但し、上述したように、用途
によっては、発生したCO2 による微細気泡を活用し
て、有用性をより高めることができる。例えば、本実施
の形態のバインダ組成物に多量のフィラー等を加えて、
ハニカム構造材のセルにコアとして充填する等、シーリ
ング材または充填材等のある程度の体積乃至かさを有す
る硬化体としての用途に適用する場合、発生したCO2
により硬化体中に形成される微細な気泡が、充填コアの
多孔化に寄与し、全体の軽量化を図り、かつ、全体の可
撓性を向上する等の効果を発揮する。
【0067】
【実施例】[実施例1]次に、本実施の形態の実施例1
を説明する。
【0068】実施例1のバインダ組成物(コーティング
組成物)は、第1液を構成するケイ酸塩水溶液としての
水ガラスと、第2液を構成する水親和性ポリイソシアネ
ートとを含む。水ガラスとしてはケイ酸ソーダJIS3
号を使用した。また、水親和性ポリイソシアネートとし
ては、バイヒジュール3100(住友バイエルウレタン
株式会社製)を使用した。さらに、これらに加えて、フ
ィラーとして、アラミド繊維及びセピオライトを添加し
た。アラミド繊維としては繊維長5〜30μmのグラフ
ト状のもの(フィブリル化したもの)を使用した。ま
た、セピオライトとしては、エードプラスSP(水沢化
学工業株式会社製)を使用した。実施例1に係るバイン
ダ組成物の各組成及び成分の詳細を下記表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】上記各成分を用いて、第1液としてのケイ
酸塩水溶液(ケイ酸ソーダJIS3号)中に第2液とし
てのポリイソシアネート(バイヒジュール3100)を
混合し、更に、フィラーとしてのアラミド繊維及びセピ
オライト(エードプラスSP)を添加した。そして、こ
れらを攪拌して分散し、均一に混合して調整した。その
後、この混合液をスプレーガンのタンクに入れ、常温下
でスプレーガンから被塗物に向けて混合液を噴射し、被
塗物に混合液を塗布して塗膜を形成した。すると、常温
下、混合開始から約30分で、ケイ酸ナトリウムとポリ
イソシアネートとが共存反応し、その後ほぼ同時に硬化
して硬化塗膜(皮膜)となった。この硬化塗膜はケイ酸
ナトリウムとポリイソシアネートとによる無機・有機複
合型の皮膜である。
【0071】得られた皮膜は、例えば、以下に示すよう
な特性を示した。
【0072】(1)表面硬度が高く、かつ、柔軟性(可
撓性または屈曲性)を有する。
【0073】(2)耐水性に優れる。
【0074】(3)耐熱性に優れる(不燃性、難燃
性)。
【0075】(4)断熱性に優れる。
【0076】(5)耐候性に優れる。
【0077】(6)収縮率が低い。
【0078】[実施例2]次に、本実施の形態の実施例
2を説明する。
【0079】実施例2のバインダ組成物では、実施例1
と同様の成分を使用する一方、その配合比を変更した。
即ち、特に、ケイ酸塩水溶液(ケイ酸ソーダJIS3
号)に対するポリイソシアネート(バイヒジュール31
00)の配合比を実施例1の場合より少なくした。実施
例2に係るバインダ組成物の各組成及び成分の詳細を下
記表2に示す。
【0080】
【表2】
【0081】上記各成分を用いて、実施例1と同様にし
て、ケイ酸塩水溶液(ケイ酸ソーダJIS3号)、ポリ
イソシアネート(バイヒジュール3100)、アラミド
繊維及びセピオライト(エードプラスSP)を均一に混
合して調整した。その後、実施例1と同様にして、被塗
物に混合液を塗布し、ケイ酸ナトリウムとポリイソシア
ネートとによる無機・有機複合型の皮膜を形成した。
【0082】得られた皮膜は、実施例1の皮膜とほぼ同
様の特性を示した。ただ、ケイ酸塩水溶液に対するポリ
イソシアネートの配合比を実施例1の場合より少なくし
たため、実施例1と比較すると、無機物固有の特性であ
る硬度等が向上する一方、有機物固有の特性である柔軟
性等が実施例1の場合より低下した。即ち、実施例1
は、ケイ酸塩水溶液に対するポリイソシアネートの配合
比を実施例1の場合より多くしたため、実施例2と比較
すると、無機物固有の特性である硬度等が実施例2の場
合より低下する一方、有機物固有の特性である柔軟性等
が実施例1の場合より向上している。
【0083】しかし、実施例1及び実施例2のいずれの
バインダ組成物も、無機・有機複合型の皮膜として実用
的なものであり、上記各特性による優れた効果を発揮す
る。よって、実施例1及び実施例2のバインダ組成物
は、その皮膜が上記特性を発揮することから、例えば、
接着剤、塗料のバインダ等として好適に使用することが
できる。また、充填材、シーリング材のバインダ等に適
用した場合も、同様の優れた効果を発揮する。更に、セ
ラミックス等の骨材を使用した不燃性成形体の成形バイ
ンダとして使用した場合も、同様の優れた効果を発揮す
る。
【0084】[実施例3]以下、本実施の形態の実施例
3を説明する。
【0085】実施の形態3は、実施例1のバインダ組成
物を不燃性成形体の成形バインダとして具体化した。実
施例3では、まず、実施例1に従い、水溶性ケイ酸塩
と、水親和性ポリイソシアネートと、前記水溶性ケイ酸
塩及び水親和性ポリイソシアネートを溶解または分散す
る溶媒または分散媒としての水とを必須成分として、バ
インダー組成物(成形バインダ)を調整した。なお、必
要に応じて、このバインダー組成物に各種フィラーを添
加してもよい。次に、この成形バインダーを粒状の骨材
の表面にまぶして塗布し、成形バインダーを塗布した骨
材をプレス成形して前記成形バインダにより結合した。
これにより、所望形状の不燃性成形体が得られた。
【0086】前記骨材としては、発泡スチロール(EP
S)、ガラス、セラミック、ウレタン、木材、プラスチ
ック、金属等の球状及び/またはチップ状の骨材を例示
することができる。また、不燃性成形体としては、建材
用不燃ボード等の板材を例示することができる。
【0087】ここで、発泡スチロールビーズ、ガラスビ
ーズ、セラミックビーズ等の球状粒子を骨材として不燃
性成形体を成形する場合、粒子の接着面積が少ない。一
方、従来の無機バインダは硬化後の柔軟性がないため、
従来の無機バインダを使用してこれらの骨材を接着した
場合に、不燃性成形体の保形性が十分でなかった。その
結果、得られた不燃性成形体は、脆く、外力により壊れ
やすいという不具合があった。
【0088】これに対し、実施例3で調整した成形バイ
ンダは、その硬化後も柔軟性(可撓性)を有するため、
球状の骨材を接着した場合でも、不燃性成形体の保形性
が良好となる。その結果、得られた不燃性成形体は、強
度があり、外力により容易に壊れないいう優れた特性を
発揮する。また、この不燃性成形体は、燃焼しない、つ
まり、不燃性(不燃焼性)である。
【0089】また、一般に、成形体の成形方法として、
骨材等に成形バインダを混合してスラリー化し、そのス
ラリーを型内に流し込んで固化成形することにより、所
望形状の成形体を得る方法(湿式法)と、骨材に成形バ
インダをまぶして塗布し、それらをプレス成形して結合
することにより所望形状の不燃性成形体を製造する方法
(乾式法)とがある。しかし、従来の無機バインダが硬
化後の柔軟性に乏しいことから、従来は、湿式法でしか
不燃性成形体を製造することができなかった。湿式法の
場合、乾式法に比べて、不燃性成形体の比重が大きくな
り、また、乾燥のためのコストが上昇するという不具合
がある。
【0090】これに対し、実施例3で調整した成形バイ
ンダは、その硬化後も柔軟性(可撓性)を有するため、
成形性が良好となる。よって、この成形バインダを使用
することにより、上記のように、乾式法による不燃性成
形体の製造が可能となった。また、この不燃性成形体
は、軽量で乾燥のためのコストを削減でき、しかも、強
度もあり、高い断熱性及び耐火性を有するという優れた
特性を発揮する。
【0091】[実施例4]以下、本実施の形態の実施例
4を説明する。
【0092】実施例4は、実施例1のバインダ組成物を
不燃性シートの表面処理用のコーティング組成物として
具体化した。実施例4では、まず、実施例1に従い、水
溶性ケイ酸塩と、水親和性ポリイソシアネートと、前記
水溶性ケイ酸塩及び水親和性ポリイソシアネートを溶解
または分散する溶媒または分散媒としての水とを必須成
分として、バインダ組成物(コーティング組成物)を調
整した。なお、必要に応じて、このバインダー組成物に
各種フィラーを添加してもよい。次に、このコーティン
グ組成物を、無機物を主成分とする不燃性シートの表面
に、スプレー等により吹き付けて塗布した。なお、かか
るコーティング組成物は、不燃性シート表面に浸漬によ
り含浸してもよい。これにより、不燃性シート表面に無
機物・有機物の複合体であるコーティングが形成され
た。
【0093】ここで、不燃性シートを形成する無機物と
しては、セピオライト、ブルーサイト(水酸化マグネシ
ウム鉱物)、水酸化アルミニウム等を好適に使用するこ
とができる。また、この不燃性シートは、例えば、主成
分としてのセピオライトを抄造して形成することができ
る。なお、「不燃性シート」の範疇には、単なる板状
(ボード状)のもの以外にも、板状の不燃性シートを所
望形状に付形した各種成形体または構造体を含む。かか
る成形体または構造体としては、例えば、多数のセルを
有する不燃性ハニカム構造材がある。この不燃性ハニカ
ム構造材の場合、その外表面及び/またはセルの表面に
前記組成物をコーティングする。
【0094】実施例4では、前記コーティング組成物
が、その硬化後も柔軟性(可撓性)を有する。よって、
不燃性シート表面に形成したコーティングは、柔軟性を
有して所望の形状に湾曲または屈曲することができる。
その結果、このコーティング処理(表面処理)を施した
不燃性シートは、任意の形状に付形することができる。
更に、このコーティング処理を施した不燃性シートは、
不燃性で、耐火性、断熱性の高い複合シートとして使用
することができる。
【0095】[実施例5]以下、本実施の形態の実施例
5について説明する。
【0096】実施例5は、実施例1のバインダ組成物を
不燃性ハニカム構造材のセル充填用の組成物(充填材)
として具体化した。実施例5では、まず、無機物を主成
分とする不燃性シートから多数のセルを有するハニカム
構造材本体を形成した。このハニカム構造材本体は、実
施例4で述べたように、主成分としてのセピオライトを
抄造して不燃性シートを形成し、その不燃性シートをハ
ニカム状に構成して製造することができる。
【0097】また、実施例1に従い、水溶性ケイ酸塩
と、水親和性ポリイソシアネートと、前記水溶性ケイ酸
塩及び水親和性ポリイソシアネートを溶解または分散す
る溶媒または分散媒としての水とを必須成分として、バ
インダ組成物を調整した。更に、このバインダ組成物
に、必須成分として、骨材及び/またはフィラーとして
のシラスバルーンを加え、ハニカム構造材充填用組成物
を調整した。前記シラスバルーンは、前記バインダ組成
物100重量部に対して、20重量部加えた。次に、こ
の充填用組成物を、ハニカム構造材本体のセルの少なく
とも一部または全部に充填し、乾燥固化した。これによ
り、セル内にコアとしての充填材が充填された不燃性ハ
ニカム構造材を得ることができた。
【0098】この不燃性ハニカム構造材は、ハニカム構
造材本体のみならず、セル内のコア(充填材)も適度の
柔軟性(可撓性)を有する。その結果、伸縮、湾曲、屈
曲等によってもクラックを生じることがなく、また、折
り畳むことも可能である。更に、この不燃性ハニカム構
造材は、不燃性で、かつ、断熱性の高い芯材として使用
することができる。なお、この不燃性ハニカム構造材
は、その厚さ方向一側面または両側面に、更に、不燃性
シート等の不燃性の表層材を接合して不燃性ハニカム構
造体として具体化することもできる。
【0099】[具体的事例]水溶性アルカリケイ酸塩を
バインダーとする成形体等は、硬化乾燥時の収縮が商品
の問題点となるが、本発明はこれを水親和性ポリイソシ
アネートと反応させることで可能としたものである。
【0100】基本的な硬化原理は、水親和性ポリイソシ
アネートと水溶性アルカリケイ酸塩を直接混合すると、
水親和性ポリイソシアネートが水に接触し、尿素反応を
起こして凝固する。その際、炭酸ガスを放出するが、そ
れがケイ酸塩の金属イオンを固定して硬化体を形成する
ことになる。これによって得られる特徴は、乾燥時の収
縮率が非常に低いことにある。
【0101】発明者等の作成したサンプルは、フィラー
にシリカの発泡体を使用した固形分62%のスラリーを
固めて測定したものである。この特徴としては、水溶性
アルカリケイ酸塩を硼酸系触媒で硬化させた時の収縮率
が8.6%であるのに対して、同じ固形分の場合、この
タイプでは0%となり、収縮にともなうクラック等の問
題が解決できていた。タイルの表面に2mm塗布した様
子を見ると、アルカリケイ酸塩のみでは乾燥直後からク
ラックが発生するのに対して、このサンプルの場合はク
ラックの発生は見られない。したがって、水溶性ケイ酸
塩を塗布バインダーとして使用する際に十分に実用に耐
えるものである。
【0102】図1は本発明の一実施の形態の水親和性ポ
リイソシアネートの固形分比率(%)と体積膨脹率
(%)との特性図を示すものである。なお、この特性図
は、水親和性ポリイソシアネートと水溶性アルカリケイ
酸塩にフィラーを入れたものである。水親和性ポリイソ
シアネート/水溶性アルカリケイ酸塩の固形分比率が5
0%で体積膨脹が最良の±0となり、結果的に50%±
25%、即ち、水親和性ポリイソシアネート/水溶性ア
ルカリケイ酸塩の固形分比率が25〜75%が体積膨脹
率が少なく、実用に適することが分る。発明者等の実験
においても、50%±10%、即ち、水親和性ポリイソ
シアネート/水溶性アルカリケイ酸塩の固形分比率が4
0〜60%であれば、クラックの発生がなく、量産に対
しても歩留良く生産・製造されることが確認された。
【0103】このバインダーを利用した製品を不燃材と
して使用する場合には、図2に示す結果を得た。
【0104】図2は本発明の一実施の形態の水親和性ポ
リイソシアネートの固形分比率(%)と不燃性の関係を
示した特性図を示すものである。ここで、「不燃性試験
チャートH−1」は水親和性ポリイソシアネート/水溶
性アルカリケイ酸塩の固形分比率が0%、「不燃性試験
チャートH−2」は水親和性ポリイソシアネート/水溶
性アルカリケイ酸塩の固形分比率が25%、「不燃性試
験チャートH−3」は水親和性ポリイソシアネート/水
溶性アルカリケイ酸塩の固形分比率が50%である。
【0105】このバインダーを利用した製品を不燃材と
して使用する場合には、不燃性の基材試験によって合格
が得られる比率は、図2を見る限り、水親和性ポリイソ
シアネートが25%の固形分比率までである。しかし、
発明者の実験によれば、固形分比率が40%弱まで水親
和性ポリイソシアネートが25%の固形分比率と変化し
ないことが確認された。勿論、難燃性については、水親
和性ポリイソシアネート/水溶性アルカリケイ酸塩の固
形分比率が75%までであれば使用可能である。
【0106】材料としての不燃性か、接着剤や塗料のバ
インダーとして補助的な不燃性かによって相違するが、
このように、難燃材を使うことなく合格が得られるもの
となっている。ここで形成された皮膜は発泡体となって
おり、これは水親和性イソシアネートが水と反応した結
果の炭酸ガスの発生によるものであり、この発泡作用が
低収縮性に寄与していると推定される。
【0107】反応の過程としては、二成分の混合からゲ
ル化までに5分から10分程度を必要とし、炭酸ガスの
発生が始まるのは30分後からである。これはポリイソ
シアネートの種類と量によって変化するが、皮膜中に発
生した気泡がケイ酸塩の縮合反応により潰れるのが1時
間程度後からである。発泡したバインダー中のセルは、
フィラーの添加による支えがあれば収縮によっての潰れ
が少なくなる。しかし、フィラーのない場合はセルの潰
れが発生する。その場合の収縮は13%であり大きなも
のとなる。しかし、同様の水溶性ケイ酸塩の単体の20
%よりは少ないものとなっている。
【0108】このようにして得られた成形物は無機物の
不燃性を得ながら低収縮による商品となる。サンプルと
してのタイル表面への塗装品は、特徴の低収縮であるこ
とを利用したものである。材料はセピオライトをフィラ
ーとして吸水性表面として仕上げたものである。
【0109】本発明の実施品としての商品は、壁塗り剤
のバインダー、隙間充填剤バインダー、成形体のバイン
ダー、不燃接着剤のバインダーとなる。
【0110】
【発明の効果】請求項1の発明に係るバインダ組成物
は、水溶性ケイ酸塩と、水親和性ポリイソシアネート
と、前記水溶性ケイ酸塩及び水親和性ポリイソシアネー
トを溶解または安定に分散する溶媒または分散媒として
の水とを必須成分とする。したがって、ケイ酸塩水溶液
と水親和性ポリイソシアネートとの混合時に、水親和性
ポリイソシアネートが、ケイ酸塩水溶液中に溶解または
安定に分散し、両者が均一に混合して反応硬化し、接着
力等の結合力を発現する。
【0111】このとき、その硬化物(硬化体)は、硬化
水溶性ケイ酸塩と硬化水親和性ポリイソシアネートとの
均質性に優れたものとなる。一方、反応に際して発生し
たCO2 の一部が微細な気泡として硬化体中に残り、そ
の硬化体を多孔化して、軽量化及び柔軟性(可撓性)向
上等の有用性を発揮する。また、無機物としての水溶性
ケイ酸塩と、有機物としての水親和性ポリイソシアネー
トと、溶媒または分散媒としての水を必須成分とするた
め、安価に製造でき、かつ、耐熱性等の無機物に固有の
効果に加えて、柔軟性または可撓性等の有機物に固有の
効果を発揮することができる。その結果、請求項1の発
明のバインダ組成物は、接着剤、塗料(コーティング組
成物)、シーリング材等のバインダまたは不燃性成形体
の成形バインダ等として好適に使用することができる。
【0112】また、請求項1の発明のバインダ組成物
は、有機溶剤を介在することなく2液を直接混合して使
用に供することができる。即ち、水溶性ケイ酸塩とポリ
イソシアネートとを混合するために従来は不可欠であっ
た有機溶剤を不要とすることができ、有機溶剤の使用に
伴う各種の不具合を除去することができる。
【0113】請求項2の発明に係るバインダ組成物は、
水溶性ケイ酸塩と、親水性基を導入したポリイソシアネ
ートと、前記水溶性ケイ酸塩及び前記ポリイソシアネー
トを溶解または分散する溶媒または分散媒としての水と
を必須成分とする。したがって、ケイ酸塩水溶液とポリ
イソシアネートとの混合時に、親水性基を導入したポリ
イソシアネートが、ケイ酸塩水溶液中に溶解または安定
に分散し、両者が均一に混合して反応硬化し、接着力等
の結合力を発現する。
【0114】このとき、その硬化物(硬化体)は、硬化
水溶性ケイ酸塩と硬化ポリイソシアネートとの均質性に
優れたものとなる。一方、反応に際して発生したCO2
の一部が微細な気泡として硬化体中に残り、その硬化体
を多孔化して、軽量化及び柔軟性(可撓性)向上等の有
用性を発揮する。また、無機物としての水溶性ケイ酸塩
と、有機物としてのポリイソシアネートと、溶媒または
分散媒としての水を必須成分とするため、安価に製造で
き、かつ、耐熱性等の無機物に固有の効果に加えて、柔
軟性または可撓性等の有機物に固有の効果を発揮するこ
とができる。その結果、請求項2の発明のバインダ組成
物は、接着剤、塗料(コーティング組成物)、シーリン
グ材等のバインダまたは不燃性成形体の成形バインダ等
として好適に使用することができる。
【0115】また、請求項2の発明のバインダ組成物
は、有機溶剤を介在することなく2液を直接混合して使
用に供することができる。即ち、水溶性ケイ酸塩とポリ
イソシアネートとを混合するために従来は不可欠であっ
た有機溶剤を不要とすることができ、有機溶剤の使用に
伴う各種の不具合を除去することができる。
【0116】請求項3の発明に係るバインダ組成物は、
水溶性ケイ酸塩と、ジイソシアネート単量体のビウレッ
ト体及び/またはウレトジオン体からなるポリイソシア
ネートと、前記水溶性ケイ酸塩及び前記ポリイソシアネ
ートを溶解または分散する溶媒または分散媒としての水
とを必須成分とする。したがって、ケイ酸塩水溶液とポ
リイソシアネートとの混合時に、ジイソシアネート単量
体のビウレット体及び/またはウレトジオン体からなる
ポリイソシアネートが、ケイ酸塩水溶液中に溶解または
安定に分散し、両者が均一に混合して反応硬化し、接着
力等の結合力を発現する。
【0117】このとき、その硬化物(硬化体)は、硬化
水溶性ケイ酸塩と硬化ポリイソシアネートとの均質性に
優れたものとなる。一方、反応に際して発生したCO2
の一部が微細な気泡として硬化体中に残り、その硬化
体を多孔化して、軽量化及び柔軟性(可撓性)向上等の
有用性を発揮する。また、無機物としての水溶性ケイ酸
塩と、有機物としてのポリイソシアネートと、溶媒また
は分散媒としての水を必須成分とするため、安価に製造
でき、かつ、耐熱性等の無機物に固有の効果に加えて、
柔軟性または可撓性等の有機物に固有の効果を発揮する
ことができる。その結果、請求項3の発明のバインダ組
成物は、接着剤、塗料(コーティング組成物)、シーリ
ング材等のバインダまたは不燃性成形体の成形バインダ
等として好適に使用することができる。
【0118】また、請求項3の発明のバインダ組成物
は、有機溶剤を介在することなく2液を直接混合して使
用に供することができる。即ち、水溶性ケイ酸塩とポリ
イソシアネートとを混合するために従来は不可欠であっ
た有機溶剤を不要とすることができ、有機溶剤の使用に
伴う各種の不具合を除去することができる。
【0119】請求項4の発明に係るバインダ組成物は、
請求項1乃至3の何れかの構成において、更に、フィラ
ーとしてアラミド繊維及び/またはセピオライトを添加
したものである。したがって、請求項1乃至3のいずれ
かの効果に加え、フィラーとしてアラミド繊維を添加し
た場合は、耐熱性、強度等の諸特性を損なうことなく、
硬化体のクラック等を防止することができる。また、フ
ィラーとしてセピオライトを使用した場合は、ケイ酸塩
水溶液中に容易に分散することができ、かつ、その水酸
機によりイソシアネートとの反応を促進することができ
る。
【0120】請求項5の発明に係るバインダ組成物の前
記水親和性ポリイソシアネートと水溶性ケイ酸塩との固
形分比率は、前記水親和性ポリイソシアネート/水溶性
ケイ酸塩を25乃至75パーセントの範囲内としたもの
であるから、請求項1乃至4の何れかの硬化に加えて、
クラックが入ることなく、不燃性、難燃性の成形体が得
られる。
【0121】請求項6の発明に係る不燃性成形体は、水
溶性ケイ酸塩と、水親和性ポリイソシアネートと、前記
水溶性ケイ酸塩及び前記水親和性ポリイソシアネートを
溶解または分散する溶媒または分散媒としての水とを必
須成分とするバインダー組成物を調整し、前記バインダ
ー組成物を粒状の骨材の表面にまぶして塗布し、前記バ
インダー組成物を塗布した骨材をプレス成形して前記バ
インダ組成物により結合してなるものである。
【0122】したがって、成形バインダが、その硬化後
も柔軟性を有し、球状の骨材を接着した場合でも、不燃
性成形体の保形性が良好となる。その結果、得られた不
燃性成形体は、強度があり、外力により容易に壊れない
いう優れた特性を発揮する。更に、この不燃性成形体
は、燃焼しない、つまり、不燃性(不燃焼性)である。
また、いわゆる乾式法により不燃性成形体を製造するこ
とができる。この不燃性成形体は、軽量で乾燥のための
コストを削減でき、しかも、強度もあり、高い断熱性及
び耐火性を有するという優れた特性を発揮する。
【0123】請求項7の発明に係る不燃性成形体の前記
水親和性ポリイソシアネートと水溶性ケイ酸塩との固形
分比率は、前記水親和性ポリイソシアネート/水溶性ケ
イ酸塩を40パーセント以下としたものであるから、請
求項6に記載の効果に加えて、良好な不燃性の特性が得
られる。
【0124】請求項8の発明に係る不燃性シートは、水
溶性ケイ酸塩と、水親和性ポリイソシアネートと、前記
水溶性ケイ酸塩及び前記水親和性ポリイソシアネートを
溶解または分散する溶媒または分散媒としての水とを必
須成分とする組成物を、無機物を主成分とする不燃性シ
ートの表面にコーティングしてなるものである。
【0125】ここで、不燃性シートを形成する無機物と
しては、セピオライト、ブルーサイト(水酸化マグネシ
ウム鉱物)、水酸化アルミニウム等を好適に使用するこ
とができる。また、「不燃性シート」の範疇には、単な
る板状(ボード状)のもの以外にも、板状の不燃性シー
トを所望形状に付形した各種成形体または構造体を含
む。かかる成形体または構造体としては、例えば、多数
のセルを有する不燃性ハニカム構造材がある。この不燃
性ハニカム構造材の場合、その外表面及び/またはセル
の表面に前記組成物をコーティングする。
【0126】したがって、不燃性シート表面のコーティ
ングが、柔軟性を有して所望の形状に湾曲または屈曲す
ることができる。その結果、このコーティング処理(表
面処理)を施した不燃性シートは、任意の形状に付形す
ることができる。更に、このコーティング処理を施した
不燃性シートは、不燃性で、耐火性、断熱性の高い複合
シートとして使用することができる。
【0127】請求項9の発明に係る不燃性シートの前記
水親和性ポリイソシアネートと水溶性ケイ酸塩との固形
分比率は、前記水親和性ポリイソシアネート/水溶性ケ
イ酸塩を40パーセント以下としたものであるから、請
求項8に記載の効果に加えて、良好な不燃性の特性が得
られる。
【0128】請求項10の発明に係る不燃性ハニカム構
造材は、無機物を主成分とする不燃性シートから多数の
セルを有するハニカム構造材本体を形成し、水溶性ケイ
酸塩と、水親和性ポリイソシアネートと、前記水溶性ケ
イ酸塩及び前記水親和性ポリイソシアネートを溶解また
は分散する溶媒または分散媒としての水と、骨材及び/
またはフィラーとを必須成分とする組成物を、前記ハニ
カム構造材本体のセルの少なくとも一部に充填し、乾燥
固化してなるものである。
【0129】したがって、この不燃性ハニカム構造材
は、ハニカム構造材本体のみならず、セル内のコア(充
填材)も適度の柔軟性(可撓性)を有する。その結果、
伸縮、湾曲、屈曲等によってもクラックを生じることが
なく、また、折り畳むことも可能である。更に、この不
燃性ハニカム構造材は、不燃性で、かつ、断熱性の高い
芯材として使用することができる。
【0130】請求項11の発明に係る不燃性ハニカム構
造材の前記水親和性ポリイソシアネートと水溶性ケイ酸
塩との固形分比率は、前記水親和性ポリイソシアネート
/水溶性ケイ酸塩を25乃至75パーセントの範囲内と
したものであるから、請求項10に記載の効果に加え
て、クラックが入ることなく、不燃性、難燃性のハニカ
ム構造材が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の一実施の形態の水親和性ポリ
イソシアネートの固形分比率(%)と体積膨脹率(%)
との特性図である。
【図2】 図2は本発明の一実施の形態の水親和性ポリ
イソシアネートの固形分比率(%)と不燃性の関係を示
した特性図である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA22B AA56A AB26A AC12A AF47A CA02 CB02 CB03 CC01 CD01 4J002 BC03Y CK02W CL06X DE078 DE148 DJ006 DL008 DL009 ER007 FA04X FA08Y FA089 GL00 4J034 BA02 CA01 CB01 CE01 DL01 HA01 HA07 HA15 RA07 RA08

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性ケイ酸塩と、 水親和性ポリイソシアネートと、 前記水溶性ケイ酸塩及び前記水親和性ポリイソシアネー
    トを溶解または分散する溶媒または分散媒としての水と
    を必須成分とすることを特徴とするバインダー組成物。
  2. 【請求項2】 水溶性ケイ酸塩と、 親水性基を導入したポリイソシアネートと、 前記水溶性ケイ酸塩及び前記ポリイソシアネートを溶解
    または分散する溶媒または分散媒としての水とを必須成
    分とすることを特徴とするバインダ組成物。
  3. 【請求項3】 水溶性ケイ酸塩と、 ジイソシアネート単量体のビウレット体及び/またはウ
    レトジオン体からなるポリイソシアネートと、 前記水溶性ケイ酸塩及び前記ポリイソシアネートを溶解
    または分散する溶媒または分散媒としての水とを必須成
    分とすることを特徴とするバインダ組成物。
  4. 【請求項4】 更に、フィラーとしてアラミド繊維及び
    /またはセピオライトを添加したことを特徴とする請求
    項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のバインダ組成
    物。
  5. 【請求項5】 前記水親和性ポリイソシアネートと水溶
    性ケイ酸塩との固形分比率は、前記水親和性ポリイソシ
    アネート/水溶性ケイ酸塩を25乃至75パーセントの
    範囲内としたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の
    いずれか1つに記載のバインダ組成物。
  6. 【請求項6】 水溶性ケイ酸塩と、水親和性ポリイソシ
    アネートと、前記水溶性ケイ酸塩及び前記水親和性ポリ
    イソシアネートを溶解または分散する溶媒または分散媒
    としての水とを必須成分とするバインダー組成物を調整
    し、 前記バインダー組成物を粒状の骨材の表面に塗布し、 前記バインダー組成物を塗布した骨材をプレス成形して
    前記バインダ組成物により結合してなることを特徴とす
    る不燃性成形体。
  7. 【請求項7】 前記水親和性ポリイソシアネートと水溶
    性ケイ酸塩との固形分比率は、前記水親和性ポリイソシ
    アネート/水溶性ケイ酸塩を40パーセント以下とした
    ことを特徴とする請求項6に記載の不燃性成形体。
  8. 【請求項8】 水溶性ケイ酸塩と、水親和性ポリイソシ
    アネートと、前記水溶性ケイ酸塩及び前記水親和性ポリ
    イソシアネートを溶解または分散する溶媒または分散媒
    としての水とを必須成分とする組成物を、無機物を主成
    分とする不燃性シートの表面にコーティングしてなるこ
    とを特徴とする不燃性シート。
  9. 【請求項9】 前記水親和性ポリイソシアネートと水溶
    性ケイ酸塩との固形分比率は、前記水親和性ポリイソシ
    アネート/水溶性ケイ酸塩を40パーセント以下とした
    ことを特徴とする請求項8に記載の不燃性シート。
  10. 【請求項10】 無機物を主成分とする不燃性シートか
    ら多数のセルを有するハニカム構造材本体を形成し、 水溶性ケイ酸塩と、水親和性ポリイソシアネートと、前
    記水溶性ケイ酸塩及び前記水親和性ポリイソシアネート
    を溶解または分散する溶媒または分散媒としての水と、
    骨材及び/またはフィラーとを必須成分とする組成物
    を、前記ハニカム構造材本体のセルの少なくとも一部に
    充填し、乾燥固化してなることを特徴とする不燃性ハニ
    カム構造材。
  11. 【請求項11】 前記水親和性ポリイソシアネートと水
    溶性ケイ酸塩との固形分比率は、前記水親和性ポリイソ
    シアネート/水溶性ケイ酸塩を25乃至75の範囲内と
    したことを特徴とする請求項10に記載の不燃性ハニカ
    ム構造材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7297299B2 (en) * 2003-11-19 2007-11-20 Corning Incorporated Composition and method for making ceramic filters
KR100860046B1 (ko) * 2007-04-27 2008-09-25 주식회사 경동세라텍 압축공법을 이용한 난연성 및 내화성이 우수한발포플라스틱 성형체와 그 제조방법
KR100881409B1 (ko) * 2007-04-19 2009-02-10 주식회사 경동세라텍 다단계 경화 메카니즘을 이용한 난연성 및 내화성이 우수한발포플라스틱 성형체

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