JP2001019522A - 抗菌剤添加人工大理石およびその製造方法 - Google Patents

抗菌剤添加人工大理石およびその製造方法

Info

Publication number
JP2001019522A
JP2001019522A JP11182271A JP18227199A JP2001019522A JP 2001019522 A JP2001019522 A JP 2001019522A JP 11182271 A JP11182271 A JP 11182271A JP 18227199 A JP18227199 A JP 18227199A JP 2001019522 A JP2001019522 A JP 2001019522A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibacterial agent
artificial marble
organic silicon
silicon compound
inorganic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11182271A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaaki Yonemura
正明 米村
Shigeki Kawase
茂樹 河瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP11182271A priority Critical patent/JP2001019522A/ja
Publication of JP2001019522A publication Critical patent/JP2001019522A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Materials Applied To Surfaces To Minimize Adherence Of Mist Or Water (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は無機系抗菌剤添加人工大理石の製造
方法、およびその製品に関し、無機系抗菌剤の抗菌性能
を維持する期間を延ばし長寿命化することを課題とする
ものである。 【解決手段】 無機系抗菌剤添加人工大理石を製造する
方法として、人工大理石の原料樹脂に有機珪素化合物を
樹脂に分散させた後、もしくは同時に無機系抗菌剤を添
加分散することによって材料を作成し、これを成形して
無機系抗菌剤添加人工大理石とする。これにより、無機
系抗菌剤粒子の表面を有機珪素化合物が覆うため抗菌成
分の無機系抗菌剤粒子からの溶出を制御でき、抗菌性能
の長寿命化がはかれるという効果がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は抗菌性能を有すると
ともに、耐汚染性に優れた人工大理石の製造方法であっ
て、洗面台やキッチンの天板、風呂の浴槽や洗い場を構
成する人工大理石に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、人工大理石に樹脂成分より小さい
表面自由エネルギーを有する添加剤を加えるものとして
は特開平11−130504号公報に記載されているよ
うなものがある。特開平11−130504号公報では
樹脂成分、無機充填剤、表面自由エネルギーが樹脂成分
より小さい物質の添加剤を含むものであって、表面自由
エネルギーの小さい添加剤として有機珪素化合物を用
い、さらに抗菌剤を含むアクリル系や不飽和ポリエステ
ル系の人工大理石成形体を開示している。そして、実施
例においては不飽和ポリエステルとスチレンの混合樹脂
に水酸化アルミニウム、硬化剤として過酸化ベンゾイ
ル、ジメチルアニリン、有機珪素化合物添加剤としてア
クリル変性オルガノポリシロキサン、抗菌剤として銀ゼ
オライト、TBZを混合攪拌し脱気の後、注型成形して
不飽和ポリエステル系人工大理石を得る、あるいはメタ
クリレートシラップに水酸化アルミニウム、硬化剤であ
るターシャリーブチルパーオキシマレイン酸等、有機珪
素化合物添加剤としてアクリル変性オルガノポリシロキ
サン、抗菌剤として銀ゼオライト、TBZを混合攪拌し
脱気の後、注型成形してアクリル系人工大理石を得るこ
とが記載されている。
【0003】そして上記注型成形された人工大理石成形
体の表面に滲み出した有機珪素化合物の作用で撥水性お
よび耐汚染性が改善され、さらに抗菌剤の添加によって
汚れを餌とする細菌の増殖も抑制できるものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の人工大理石成形体では、添加した表面自由エネルギー
の小さい有機系珪素化合物の滲み出しによって人工大理
石成形体表面に未反応の有機珪素化合物が残ったり、成
形体の表面が荒れたりする現象に加えて、添加した抗菌
剤の抗菌性能が不安定になるという課題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するため不飽和ポリエステル樹脂原料、アクリル樹脂原
料にあらかじめ有機珪素化合物であるシリコーンオイル
や、オルガノアルコキシシランを添加分散させた後、あ
るいはこれら有機珪素化合物を添加と同時に無機系抗菌
剤を添加、分散させて注型成形、プレス成形などによっ
て成形された人工大理石、およびその製造方法を与える
ものである。
【0006】本発明によれば、有機珪素化合物のうち、
オルガノアルコキシシランがシリコーンオイルと、樹脂
成分、無機充填剤との親和性を高める結果、シリコーン
オイルが人工大理石表面に未反応のまま遊離して残った
り、人工大理石表面に荒れを生じるなどの現象を解決す
ることが出来る。また、有機珪素化合物を添加した後、
あるいは同時に抗菌剤を添加することによって抗菌剤粒
子表面では有機珪素化合物が選択的に吸着、反応して、
抗菌剤表面が有機珪素化合物で被覆された状態となり、
抗菌性を持った金属イオンや金属化合物イオンの人工大
理石表面に付着した菌を含む汚水への溶出が制御され、
安定して長期にわたる抗菌性能を維持させることができ
る。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1もしくは請求項
5にかかる抗菌剤添加人工大理石の製造方法、および該
製造方法により得られる抗菌材添加人工大理石は、無機
系抗菌剤と、有機珪素化合物を含有する人工大理石にお
いて、有機珪素化合物を樹脂に分散させた後、無機系抗
菌剤を添加分散させる、または有機珪素化合物と無機系
抗菌剤を同時に添加分散させて人工大理石を成形したも
ので、この方法によって有機珪素化合物が無機系抗菌剤
粒子の表面を覆うことによって無機系抗菌剤の有効成分
である金属、金属イオン、金属化合物などが人工大理石
上に滞留した汚水の中に一度に大量に溶出することを抑
制、制御して無機系抗菌剤の寿命を延ばし、安定した抗
菌性能を保つことができる抗菌剤添加人工大理石を提供
できるものである。
【0008】本発明の請求項2もしくは請求項6にかか
る抗菌剤添加人工大理石の製造方法および該製造方法に
よって得られる抗菌剤添加人工大理石の無機系抗菌剤
は、銀、銅、亜鉛などの金属、金属イオン、金属化合物
の一種もしくは数種を、酸化珪素、酸化アルミニウム、
ジルコニウム化合物などを基本組成に有する無機化合物
に担持、もしくは包接させたものであって、特にシリ
カ、シリカゲル、ゼオライトなどはとくに有機珪素化合
物による吸着、反応によって被覆されやすく、これによ
って抗菌成分の溶出が制御され、無機系抗菌剤の寿命の
長期化が図れ、安定した抗菌性能を保つことができるも
のである。
【0009】本発明の請求項3もしくは請求項7にかか
る抗菌剤添加人工大理石の製造方法および該製造方法に
よって得られる抗菌剤添加人工大理石の有機珪素化合物
は、にシリコーンオイルでジメチルシリコーンオイル、
メチルハイドロジェンシリコーンオイルもしくはエポキ
シ変性、メタクリル変性等のシリコーンオイルであっ
て、これらシリコーンオイルが無機系抗菌剤粒子の表面
に吸着されて無機系抗菌剤粒子を覆うこと、さらに、人
工大理石表面では無機系抗菌剤粒子の周囲で撥水性を発
現するため、抗菌剤からの抗菌成分の溶出を抑制すると
共に、抗菌剤への水の接触をも制限することができるの
で、無機系抗菌剤の寿命の長期化が図れ、安定した抗菌
性能を保つことができる。
【0010】本発明の請求項4もしくは請求項8にかか
る抗菌剤添加人工大理石の製造方法および該製造方法に
よって得られる抗菌剤添加人工大理石は、有機珪素化合
物にオルガノアルコキシシランを用いているので、オル
ガノアルコキシシランのアルコキシ基が無機物表面と反
応しやすく、そのため無機系抗菌剤粒子表面に結合して
表面を覆う結果、抗菌剤からの抗菌成分の溶出が制御さ
れるので、無機系抗菌剤の寿命の長期化が図れ、安定し
た抗菌性能を保つことができる。
【0011】本発明の請求項9にかかる抗菌剤添加人工
大理石の製造方法および該製造方法によって得られる抗
菌剤添加人工大理石は、有機珪素化合物にシリコーンオ
イル、かつオルガノアルコキシシランをともに用いるこ
とで、オルガノアルコキシシランのアルコキシ基が無機
系抗菌剤粒子表面に結合して表面を覆うために、抗菌剤
からの抗菌成分の溶出を抑制して抗菌剤の寿命を延ばす
ことが可能となる。さらに、抗菌剤周辺の樹脂部分には
シリコーンオイルが結合などによって含まれており、こ
の撥水性によって人工大理石表面での汚水の濡れ性が抑
えられるために更に無機系抗菌剤からの抗菌性分の溶出
が抑えられ、より一層抗菌剤の長寿命化を図ることがで
きる。また、オルガノアルコキシシランは人工大理石の
充填材である水酸化アルミニウム粒子、炭酸カルシウム
粒子、ガラスフリット、チョップドガラス繊維などの表
面にも結合してその表面を覆うと共にシリコーンオイル
に対する親和性を高めるので、成形時の人工大理石表面
へのシリコーンオイルの滲み出しを抑えることができ、
人工大理石成形体表面にシリコーンオイルが溜まった
り、表面が荒れるなどの欠点を改善することができる。
【0012】本発明における樹脂は不飽和ポリエステル
樹脂、アクリル樹脂、アクリル変性不飽和ポリエステル
樹脂、ビニルエステル系樹脂などであって、有機系充填
材にはスチレン、アクリルなど、無機充填材には水酸化
アルミニウム、炭酸カルシウム、タルク、ガラスフリッ
トなどを使用できるがこれに限定されるものではない。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0014】(実施例1)スチレンに溶解した不飽和ポ
リエステル樹脂原料100重量部に有機充填材のポリス
チレンのスチレン溶液25重量部に無機系充填材の水酸
化アルミニウム300重量部、硬化剤としてターシャリ
ーブチルパーオキシベンゾエート2重量部、内部離型剤
としてステアリン酸亜鉛4重量部をニーダーに添加して
これに有機珪素化合物であるメタクリル反応性シリコー
ンオイル6重量部、およびオルガノアルコキシシランで
あるγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン3
重量部を添加し、15分間混練する。その後、無機系抗
菌剤(シリカゲルに銀化合物を担持したもの)8重量部
をニーダーに添加してさらに45分間混練し、次に12
mmにチョップしたガラス繊維15重量部を添加してさら
に20分間混練して得られたBMCを押出し機を通して
定重量のBMCとする。得られたBMCをプレス機によっ
て加熱しつつプレス成形して抗菌剤添加人工大理石成形
体Aを得た。
【0015】(実施例2)実施例1同等の配合で、不飽
和ポリエステル樹脂原料、有機充填材、無機充填材、硬
化剤、内部離型剤をニーダーに添加し、さらに有機珪素
化合物のメタクリル反応性シリコーンオイルとγ−メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン、無機系抗菌剤
を同時に添加したのちニーダーにて1時間混練し、ガラ
ス繊維を添加してさらに20分間混練を続けてBMCを
作成し、実施例1と同様にして抗菌剤添加人工大理石成
形体Bを得た。
【0016】(実施例3)実施例1同等の配合で、不飽
和ポリエステル樹脂原料、有機充填材、無機充填材、硬
化剤、内部離型剤をニーダーに添加し、さらに有機珪素
化合物のメタクリル反応性シリコーンオイル、無機系抗
菌剤を同時に添加したのちニーダーにて1時間混練し、
ガラス繊維を添加してさらに20分間混練を続けてBM
Cを作成し、実施例1と同様にして抗菌剤添加人工大理
石成形体Cを得た。
【0017】(実施例4)実施例1同等の配合で、不飽
和ポリエステル樹脂原料、有機充填材、無機充填材、硬
化剤、内部離型剤をニーダーに添加し、さらに有機珪素
化合物のγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、無機系抗菌剤を同時に添加したのちニーダーにて1
時間混練し、ガラス繊維を添加してさらに20分間混練
を続けてBMCを作成し、実施例1と同様にして抗菌剤
添加人工大理石成形体Dを得た。
【0018】(実施例5)実施例1同等の配合で、不飽
和ポリエステル樹脂原料、有機充填材、無機充填材、硬
化剤、内部離型剤をニーダーに添加し、さらに有機珪素
化合物のメチルハイドロジェンポリシロキサン5重量部
とγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2重
量部、および実施例1と同じ無機系抗菌剤8重量部を同
時に添加したのちニーダーにて1時間混練し、ガラス繊
維を添加してさらに20分間混練を続けてBMCを作成
し、実施例1と同様にして抗菌剤添加人工大理石成形体
Eを得た。
【0019】(実施例6)実施例5同等の配合で、不飽
和ポリエステル樹脂原料、有機充填材、無機充填材、硬
化剤、内部離型剤をニーダーに添加し、さらに有機珪素
化合物のメチルハイドロジェンポリシロキサン、γ−メ
タクリロキシプロピルトリメトキシシラン、無機系抗菌
剤(シリカ・アルミナ組成のゼオライトに銀イオンを包
接させたもの)8重量部を添加したのちニーダーにて1
時間混練し、ガラス繊維を添加してさらに20分間混練
を続けてBMCを作成し、実施例1と同様にして抗菌剤
添加人工大理石成形体Fを得た。
【0020】(比較例1)実施例1同等の配合で、不飽
和ポリエステル樹脂原料、有機充填材、無機充填材、硬
化剤、内部離型剤をニーダーに添加し、ここに無機系抗
菌剤を添加してニーダーにて20分間混練したのち、有
機珪素化合物のメタクリル反応性シリコーンオイルとγ
−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを添加し
て40分間混練を続け、次いでガラス繊維を添加してさ
らに20分間混練を続けてBMCを作成し、実施例1と
同様にして抗菌剤添加人工大理石成形体比較例1を得
た。
【0021】(比較例2)実施例1同等の配合で、不飽
和ポリエステル樹脂原料、有機充填材、無機充填材、硬
化剤、内部離型剤をニーダーに添加して1時間混練し、
ガラス繊維を添加してさらに20分間混練を続けてBM
Cを作成し、実施例1と同様にして抗菌剤無添加の人工
大理石成形体比較例2(ブランク)を得た。
【0022】各実施例、比較例で作成した抗菌剤添加人
工大理石成形体および抗菌剤無添加の人工大理石成形体
につき、抗菌性能、抗菌剤寿命を次の方法で行なった。
抗菌性能の評価試験は前記各成形体から一辺5cmのサン
プルを切り出し、大腸菌、黄色ぶどう球菌についてフィ
ルム密着法によって行なった。その結果を(表1)に示
す。また、抗菌剤の寿命評価は前記各成形体から切り出
した一辺5cmのサンプルを40℃の温水に72時間浸漬
した後、フィルム密着法による抗菌性能評価を行ない、
抗菌性能低下の状態によって評価を行なった。その結果
を表2に示す。また、人工大理石成形体への有機珪素化
合物添加によって人工大理石成形体表面の撥水性が影響
を受けるが、これら各実施例、比較例の撥水性を接触角
測定装置(協和界面科学製、CA−DT型)を用いて測
定し、その結果を(表3)に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】(表1)から明らかなように、初期の抗菌
性能は比較例2(ブランク)では大腸菌、黄色ぶどう球
菌ともに106個/mLであるのに対して実施例の人工大
理石成形体A〜Fおよび比較例1はすべて10個/mL以
下を示し、初期において抗菌剤添加人工大理石成形体は
有効に抗菌性能を発揮していた。
【0027】一方、(表2)の抗菌剤寿命評価の結果で
は、大腸菌、黄色ぶどう球菌ともに実施例の人工大理石
成形体A〜Fでは102〜104個/mLの抗菌性能を示
し、比較例2(ブランク)の抗菌性能より102個/mL
以上の減少が観られ、まだ十分な抗菌性能を維持してい
ることがわかる。また、有機珪素化合物を分散させた後
無機系抗菌剤を添加したA、および有機珪素化合物と同
時に無機系抗菌剤を添加して分散させたBの抗菌剤寿命
評価では、(表2)に示したようにほぼ同じ値であっ
て、両者の方法による差は生じていないことがわかっ
た。
【0028】一方、無機系抗菌剤をはじめに添加して混
練した後に有機珪素化合物を添加混練して得られる比較
例1の人工大理石成形体では、102個/mL以上の減少
が得られず、すでに無機系抗菌剤の寿命が尽きているこ
とを示している。これは、無機系抗菌剤に含まれる抗菌
成分が寿命試験中に水中に溶出した結果、その後に行わ
れる抗菌性能評価試験のときには抗菌成分の溶出量が不
足するためである。
【0029】すなわち、比較例1では無機系抗菌剤をは
じめに添加して混練するので無機系抗菌材粒子の表面に
は不飽和ポリエステル樹脂やスチレンが吸着されて樹脂
皮膜を構成しており、後で添加される有機珪素化合物の
無機系抗菌剤表面への吸着、反応を阻害しているため、
有機珪素化合物による抗菌成分の溶出量の制御がなされ
ていないためである。
【0030】一方、有機珪素化合物の添加と同時もしく
は添加の後で無機系抗菌剤を添加した場合、無機系抗菌
剤の表面には有機珪素化合物が多く吸着、反応して無機
系抗菌剤粒子を覆うため、各実施例の如く抗菌剤添加人
工大理石表面で汚水に対して抗菌成分の溶出が制御さ
れ、それによって抗菌材の長寿命化が達成できるのであ
る。
【0031】また、(表2)においてCは有機珪素化合
物に反応性シリコーンオイルのみを用いたものである
が、この場合、表3に観られるように接触角で100°
を超える値となっている。従って、無機系抗菌剤表面に
一部反応性シリコーンオイルが吸着され無機系抗菌剤へ
の水の接触を制限することで抗菌成分の溶出を制御する
ことに加え、この撥水性によって人工大理石表面の濡れ
性が悪く無機系抗菌剤から抗菌成分が溶出することを制
限しているのである。
【0032】また、(表2)においてDは有機珪素化合
物としてオルガノアルコキシシランのみを用いたもので
あり抗菌性能は大腸菌、黄色ぶどう球菌ともに比較例2
に対し103個/mL以上の減少を示し、無機系抗菌剤の
長寿命化は達成されている。しかし、表3に観られるよ
うに接触角は比較例2と同等の値であって、撥水性は観
られなかった。したがって、オルガノアルコキシシラン
は無機系抗菌剤の表面をみずから覆うことによって抗菌
成分の溶出を制限し、無機系抗菌剤の長寿命化を達成し
ているのである。
【0033】また、(表2)においてA、B、E、Fは
反応性シリコーンオイル、オルガノアルコキシシラン両
方を含むもので、それぞれの効果によって単独で用いた
C、Dよりも長寿命化がなされている。
【0034】さらに、(表3)においてCが接触角で1
00°を超える値となっているが、人工大理石表面にシ
リコーンオイルがわずかに溜まった部分が見受けられ、
また、表面の荒れを生じやすいものであった。一方、有
機珪素化合物の両者を含むものではこれらの現象が全く
観察されなかったことから、シリコーンオイルの、樹
脂、各種添加剤との親和性が向上がオルガノアルコキシ
シランの添加によって図れるので上記欠点が解消される
ことがわかる。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項1に
かかる抗菌剤添加人工大理石の製造方法もしくは請求項
5に係る抗菌剤添加人工大理石は、無機系抗菌剤と、有
機珪素化合物を含有する人工大理石において、有機珪素
化合物を樹脂に分散させた後、無機系抗菌剤を添加分散
させる、または有機珪素化合物と無機系抗菌剤を同時に
添加分散させて人工大理石を成形したもので、この方法
により有機珪素化合物が無機系抗菌剤粒子の表面を覆う
ことによって無機系抗菌剤の有効成分である金属、金属
イオン、金属化合物などが人工大理石上に滞留した汚水
の中に短期間のうちに溶出することを抑制して無機系抗
菌剤の長寿命化、抗菌性能の安定化をはかることが可能
となった。
【0036】本発明の請求項2もしくは請求項6にかか
る抗菌剤添加人工大理石の製造方法、もしくは抗菌剤添
加人工大理石の無機系抗菌剤は、金属、金属イオン、金
属化合物を抗菌成分とし、担体として酸化珪素、酸化ア
ルミニウム、ジルコニウム化合物などを基本組成に有す
るシリカ、シリカゲル、ゼオライトなどの無機化合物を
用いるもので、これらはとくに有機珪素化合物によって
被覆されやすいものであり、無機系抗菌剤の長寿命化、
抗菌性能の安定化をはかることに有効である。
【0037】本発明の請求項3もしくは請求項5にかか
る抗菌剤添加人工大理石の製造方法、もしくは抗菌剤添
加人工大理石は、有機珪素化合物がシリコーンオイル
で、このシリコーンオイルが無機系抗菌剤粒子に吸着さ
れて表面を覆うこと、さらに、その周囲で撥水性を発現
することにより、無機系抗菌剤の汚水への接触を制限す
るので抗菌成分の溶出が制御され、無機系抗菌剤の寿命
の長期化を図ることができる。
【0038】本発明の請求項4もしくは請求項8にかか
る抗菌剤添加人工大理石の製造方法、もしくは抗菌剤添
加人工大理石は、有機珪素化合物に無機物表面と結合し
やすいオルガノアルコキシシランを用いることで、無機
系抗菌剤粒子表面に結合して表面を覆う結果、抗菌剤か
らの抗菌成分の溶出を抑制するもので無機系抗菌剤の長
寿命化、抗菌性能の安定化をはかることが可能となっ
た。
【0039】本発明の請求項9にかかる抗菌剤添加人工
大理石の製造方法、もしくは抗菌剤添加人工大理石は、
有機珪素化合物にシリコーンオイル、かつオルガノアル
コキシシランをともに用いることで、シリコーンオイル
やオルガノアルコキシシランが無機系抗菌剤粒子表面に
吸着あるいは結合して表面を覆うために抗菌剤からの抗
菌成分の溶出を制限して抗菌剤の寿命を延ばすことが可
能となった。さらに、抗菌剤周辺の樹脂部分にはシリコ
ーンオイルが含まれており、この撥水性によって人工大
理石表面での汚水の濡れ性が抑えられるので更に無機系
抗菌剤からの抗菌性分の溶出が抑えられ、より一層抗菌
剤の長寿命化を図ることができる。また、オルガノアル
コキシシランは人工大理石の無機系充填材の表面にも結
合してその表面を覆うと共にシリコーンオイルに対する
親和性を高めるので、成形時の人工大理石表面へのシリ
コーンオイルのブリードを抑える結果、人工大理石成形
体表面にシリコーンオイルが溜まったり、表面が荒れる
などの欠点を改善することが可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 3/08 C08K 3/08 3/10 3/10 5/541 C08L 83/04 C08L 83/04 C09K 3/18 104 C09K 3/18 104 C08K 5/54 // C04B 103:67 Fターム(参考) 4G012 MA00 PB03 PB05 PB14 PC01 PC11 4H011 AA02 AA03 BA01 BB18 BC16 BC19 DA01 DC05 DC11 DD07 DH02 DH07 DH08 DH27 DH28 4H020 BA32 4J002 BG001 CD201 CF211 CP042 DA077 DA107 DE146 DE236 DL006 EX018 FB077 FD016 FD187 FD202 FD208 GL02

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機系抗菌剤と、有機珪素化合物を含有す
    る人工大理石において、有機珪素化合物を樹脂に分散さ
    せた後、無機系抗菌剤を添加分散させる、または有機珪
    素化合物と無機系抗菌剤を同時に添加分散させて成形し
    たことを特徴とする抗菌剤添加人工大理石の製造方法。
  2. 【請求項2】無機系抗菌剤は銀、銅、亜鉛などの金属、
    金属イオン、金属化合物の一種もしくは数種を、酸化珪
    素、酸化アルミニウム、ジルコニウム化合物などを基本
    組成に有する無機化合物に担持、もしくは包接させたも
    のである請求項1記載の抗菌剤添加人工大理石の製造方
    法。
  3. 【請求項3】有機珪素化合物はシリコーンオイルでジメ
    チルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコー
    ンオイルもしくはエポキシ変性、メタクリル変性等のシ
    リコーンオイルである請求項1または2記載の抗菌剤添
    加人工大理石の製造方法。
  4. 【請求項4】有機珪素化合物はシリコーンモノマーであ
    ってオルガノアルコキシシランである請求項1ないし3
    のいずれか1項記載の抗菌剤添加人工大理石の製造方
    法。
  5. 【請求項5】無機系抗菌剤と、有機珪素化合物を含有す
    る人工大理石において、有機珪素化合物を樹脂に分散さ
    せた後、無機系抗菌剤を添加分散させる、または有機珪
    素化合物と無機系抗菌剤を同時に添加分散させて成形す
    る製造方法で製造した抗菌剤添加人工大理石。
  6. 【請求項6】無機系抗菌剤と、有機珪素化合物を含有す
    る人工大理石において、有機珪素化合物を樹脂に分散さ
    せた後、無機系抗菌剤を添加分散させる、または有機珪
    素化合物と無機系抗菌剤を同時に添加分散させて成形す
    る製造方法で製造し、かつ無機系抗菌剤は銀、銅、亜鉛
    などの金属、金属イオン、金属化合物の一種もしくは数
    種を、酸化珪素、酸化アルミニウム、ジルコニウム化合
    物などを基本組成に有する無機化合物に担持、もしくは
    包接させたものである請求項5記載の抗菌剤添加人工大
    理石。
  7. 【請求項7】無機系抗菌剤と、有機珪素化合物を含有す
    る人工大理石において、有機珪素化合物を樹脂に分散さ
    せた後、無機系抗菌剤を添加分散させる、または有機珪
    素化合物と無機系抗菌剤を同時に添加分散させて成形す
    る製造方法で製造し、かつ有機珪素化合物はシリコーン
    オイルでジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジ
    ェンシリコーンオイルもしくはエポキシ変性、メタクリ
    ル変性等のシリコーンオイルである請求項5または6記
    載の抗菌剤添加人工大理石。
  8. 【請求項8】無機系抗菌剤と、有機珪素化合物を含有す
    る人工大理石において、有機珪素化合物を樹脂に分散さ
    せた後、無機系抗菌剤を添加分散させる、または有機珪
    素化合物と無機系抗菌剤を同時に添加分散させて成形す
    る製造方法で製造し、かつ有機珪素化合物はシリコーン
    モノマーであってオルガノアルコキシシランである請求
    項5または6記載の抗菌剤添加人工大理石。
  9. 【請求項9】無機系抗菌剤と、有機珪素化合物を含有す
    る人工大理石において、有機珪素化合物を樹脂に分散さ
    せた後、無機系抗菌剤を添加分散させる、または有機珪
    素化合物と無機系抗菌剤を同時に添加分散させて成形す
    る製造方法で製造し、かつ無機系抗菌剤は銀、銅、亜鉛
    などの金属、金属イオン、金属化合物の一種もしくは数
    種を、酸化珪素、酸化アルミニウム、ジルコニウム化合
    物などを基本組成に有する無機化合物に担持、もしくは
    包接させたものであって、かつ有機珪素化合物はシリコ
    ーンオイルでジメチルシリコーンオイル、メチルハイド
    ロジェンシリコーンオイルもしくはエポキシ変性、メタ
    クリル変性等のシリコーンオイルおよびオルガノアルコ
    キシシランである抗菌剤添加人工大理石。
JP11182271A 1999-06-28 1999-06-28 抗菌剤添加人工大理石およびその製造方法 Pending JP2001019522A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11182271A JP2001019522A (ja) 1999-06-28 1999-06-28 抗菌剤添加人工大理石およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11182271A JP2001019522A (ja) 1999-06-28 1999-06-28 抗菌剤添加人工大理石およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001019522A true JP2001019522A (ja) 2001-01-23

Family

ID=16115356

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11182271A Pending JP2001019522A (ja) 1999-06-28 1999-06-28 抗菌剤添加人工大理石およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001019522A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007522263A (ja) * 2003-07-11 2007-08-09 コセンティノ,ソシエダッド アノニマ 天然石の外観を備える複合材料
JP2010531904A (ja) * 2007-07-04 2010-09-30 ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト 無機材料及び有機ポリマーからなる複合材料の製造
JP2018111683A (ja) * 2017-01-12 2018-07-19 Toto株式会社 樹脂成形体および水まわり部材

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007522263A (ja) * 2003-07-11 2007-08-09 コセンティノ,ソシエダッド アノニマ 天然石の外観を備える複合材料
JP2010531904A (ja) * 2007-07-04 2010-09-30 ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト 無機材料及び有機ポリマーからなる複合材料の製造
JP2018111683A (ja) * 2017-01-12 2018-07-19 Toto株式会社 樹脂成形体および水まわり部材

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4293806B2 (ja) 抗菌性付与用ガラス組成物、及びそれを用いた抗菌性高分子複合材料
US20160227785A1 (en) Bacteriostatic and fungistatic additive in masterbatch for application in plastics, and method for producing same
JP6987753B2 (ja) 抗菌相分離性ガラス/ポリマー複合物品及びその製造方法
EP1162182A1 (en) Cement-based joint body and joint material therefor
CN1412240A (zh) 抗菌型酚醛模塑料
JP2001019522A (ja) 抗菌剤添加人工大理石およびその製造方法
JP2002087842A (ja) 抗菌剤及び抗菌性人工大理石
JP4689019B2 (ja) 抗菌性付与用ガラス組成物、及びそれを用いた抗菌性高分子複合材料、抗菌性高分子複合材料成形体
MXPA06002233A (es) Polimero acrilico antimicrobiano.
JP2001019521A (ja) 抗菌剤添加人工大理石とその製造方法
WO2016152442A1 (ja) 抗菌性ガラス及びこれを用いた樹脂成形品
EP1035159B1 (en) Antibacterial, mildew resistant organopolysiloxane compositions
JP4764685B2 (ja) 抗菌剤、それを含む樹脂組成物及び成形材料
JPH11130504A (ja) 人工大理石成形体
JPH0689176B2 (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂組成物
JP2001010854A (ja) 人工大理石成形体
JP2977652B2 (ja) 歯刷子用抗菌性ポリエステル樹脂組成物
JP2000044408A (ja) 抗菌剤および抗菌性樹脂組成物ならびに抗菌性成形品
JP4037038B2 (ja) ガラス系抗菌剤
JP2002003261A (ja) 人工大理石成形体
JP2001233646A (ja) 人工大理石成形体
JP3389715B2 (ja) 抗菌性樹脂組成物
CN1189987A (zh) 抗微生物的工作手套
JPH07247205A (ja) 抗菌剤
JP2002322368A (ja) 防汚性樹脂およびその防汚性樹脂を有する成形体