JP2001019438A - 多孔質ガラス母材原料液の気化装置 - Google Patents

多孔質ガラス母材原料液の気化装置

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JP2001019438A JP18485199A JP18485199A JP2001019438A JP 2001019438 A JP2001019438 A JP 2001019438A JP 18485199 A JP18485199 A JP 18485199A JP 18485199 A JP18485199 A JP 18485199A JP 2001019438 A JP2001019438 A JP 2001019438A
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寛 津村
Tadakatsu Shimada
忠克 島田
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Hideo Hirasawa
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Abstract

(57)【要約】 【課題】多孔質ガラス母材の原料液を気化させて酸水素
バーナに供給する際に、気化した原料とキャリアガスと
の組成比を一定に維持し、原料液の純度を低下させるこ
となく長期間継続使用が可能な気化装置を提供する。 【解決手段】気化装置は、原料液体供給源、キャリアガ
ス供給源11、および気体供給先21に各々連結する密
閉系のタンク5を備えた多孔質ガラス母材原料液の気化
装置であって、タンク5内の原料液体4を加熱する加熱
源8と、原料液体4を検温する温度センサ9と、温度セ
ンサ9の検温温度により加熱源8へのエネルギー供給量
を増減する制御回路10、およびタンクの内圧を計測す
る圧力計16と、キャリアガス供給源11からタンク5
に至る途中に配置される流量調整弁14と、圧力計16
の計測内圧により流量調整弁14を開閉する制御回路1
5、を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバーの原
材となる多孔質ガラス母材の製造の際に用いられる、多
孔質ガラス母材原料液を気化させる装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】光ファイバは、多孔質ガラス母材を原材
としており、これを焼結、延伸、線引きして得られるも
のである。多孔質ガラス母材は、テトラクロロシランや
テトラクロロゲルマニウムを気化して水素火炎バーナに
供給し、水素火炎中で加水分解して生成したガラス微粒
子が堆積したものである。
【0003】原料液のテトラクロロシランやテトラクロ
ロゲルマニウムを気化させるために、常圧で沸点以上に
加熱する原料液蒸発装置が、特公昭63−20772号
公報に開示されている。原料液蒸発装置を継続使用する
と、原料液が長期間高温に晒されるため、自己分解、不
純物として存在する極少量の水による部分加水分解、ゲ
ル化、不純物結晶の析出等を誘発し、原料液の純度の低
下を引き起こしていた。
【0004】また、減圧下、低温で加熱しつつ、アルゴ
ンや酸素などのキャリアガスを原料液中でバブリングさ
せ、平衡蒸気圧の分圧を有する気化原料とするバブラー
と呼ばれる装置も用いられている。バブラーでは、気化
原料の水素火炎バーナへの供給量の変動によりバブラー
内部の圧力が変化したり、長期間継続使用により水素火
炎バーナへの供給管、フィルター、バルブの目詰まり等
を起こして圧力が増加してしまう。そのため、原料液の
平衡蒸気圧が変動し気化原料とキャリアガスとの組成比
が一定とならず、均質にガラス微粒子が堆積しないとい
う問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記の課題を
解決するためなされたもので、多孔質ガラス母材の原料
液を気化させて酸水素バーナに供給する際に、気化原料
とキャリアガスとの組成比を一定に維持し、原料液の純
度を低下させることなく長期間継続使用が可能な気化装
置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めになされた本発明の多孔質ガラス母材原料液の気化装
置は、実施例に対応する図面を参照して説明すると以下
のとおりである。
【0007】気化装置は、図1に示すとおり、原料液体
供給源、キャリアガス供給源11、および気体供給先2
1、22に各々連結する密閉系のタンク5を備えた多孔
質ガラス母材原料液の気化装置であって、タンク5内の
原料液体4を加熱する加熱源8と、原料液体4を検温す
る温度センサ9と、温度センサ9の検温温度により加熱
源8へのエネルギー供給量を増減する制御回路10、お
よびタンク5の内圧を計測する圧力計16と、キャリア
ガス供給源11からタンク5に至る途中に配置される流
量調整弁14と、圧力計16の計測内圧により流量調整
弁14を開閉する制御回路15、を有している。
【0008】気体供給先が複数の水素火炎バーナ21、
22であってもよい。気体供給先21、22への経路途
中に気体供給量制御弁18、19を有していることが好
ましい。気体供給先21、22での所望量を適宜供給す
るために、気体供給量制御弁18、19へ繋がった流量
制御装置を有していてもよい。
【0009】この気化装置を用いると、加熱源8へのエ
ネルギー供給量を増減することにより原料液体4の温度
を一定に維持し、流量調整弁14を開閉することにより
タンク5の内圧を一定に維持することができる。そのた
め原料液体4の平衡蒸気圧が一定となり、気化原料とキ
ャリアガスとの組成比が変動しない。水素火炎バーナ2
1、22へ一定の組成比の気化原料を供給することがで
きる。原料液体4の温度と、タンク5の内圧とは任意に
設定することができる。
【0010】本発明の多孔質ガラス母材の製造方法は、
前記気化装置を用いて気化した多孔質ガラス母材原料が
火炎中で加水分解されて生成したガラス微粒子を、堆積
させるものである。気化原料の組成比が一定なので、ガ
ラス微粒子は均質である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を詳細に説
明する。図1には、本発明を適用する多孔質ガラス母材
原料液の気化装置の実施例のブロック図が示されてい
る。
【0012】図1に示すように、多孔質ガラス母材原料
液の気化装置は、外界と遮断され内容物が遺漏しないよ
うに気密となっているタンク5を有している。タンク5
は、キャリアガス供給源であるアルゴンガスボンベ11
に繋がったガス導入管12が底近傍まで挿入されてい
る。ガス導入管12の途中に、加圧エアー源を駆動源と
する流量調整弁14が配置されている。タンク5の圧力
計16は比例積分微分制御(PID制御)回路15の入
力に接続されている。このPID制御回路15は流量調
整弁14に接続している。
【0013】タンク5の外周には加熱源である電熱ヒー
タ8が配置されている。タンク5の内部に熱伝対からな
る温度センサ9が挿入されている。温度センサ9はPI
D制御回路10の入力に接続されている。このPID制
御回路10は電源から電熱ヒータ8への電流回路上のサ
イリスタ7に接続されている。
【0014】テトラクロロシラン供給源に繋がった原料
液供給管2がタンク5に挿入されている。原料液供給管
2には原料液供給量調整弁3が配置されている。タンク
5の上方に気体供給管17が接続されている。気体供給
管17は分岐され複数の酸水素火炎バーナ21、22へ
繋がっている。気体供給管17の経路途中には気体供給
量制御弁18、19が配置されている。
【0015】なお、タンク5、ガス導入管12、原料液
供給管2、気体供給管17がステンレス製であると耐久
性に優れているため好ましい。
【0016】多孔質ガラス母材原料液の気化装置は、以
下のように使用される。原料液供給量調整弁3を開放
し、液体のテトラクロロシランをタンク5に充填する。
水素と酸素とを酸水素火炎バーナ21、22に流し点火
する。アルゴンガスボンベ11の元栓を開放し、アルゴ
ンガスをテトラクロロシラン4液中でバブリングする。
電源に通電された電熱ヒータ8からの熱によりテトラク
ロロシランは気化する。気体供給量制御弁18、19を
開く。すると気化したテトラクロロシランとアルゴンガ
スとは、気体供給管17を経て、気体供給量制御弁1
8、19により所望量に調整されて、バーナ21、22
へ流される。
【0017】消費された液体のテトラクロロシラン4を
補充するために、原料液供給量調整弁3により調整され
た量のテトラクロロシランが、テトラクロロシラン供給
源からタンク5へ注入される。
【0018】圧力計16の計測内圧値はPID制御回路
15に入力される。計測内圧値が所定圧力より高いと、
PID制御回路15が流量調整弁14での流量を下げる
信号を出し、加圧エアー源の圧力によりアルゴンガスの
流量調整弁14を絞る。すると気化したテトラクロロシ
ランのバーナ21への吸引によりタンク5内の内圧は低
下する。一方、計測内圧値が所定圧力より低いと、PI
D制御回路15が流量調整弁14での流量を上げる信号
を出し、流量調整弁4を緩める。すると導入されたアル
ゴンガスによりタンク5内の内圧は上昇する。この繰り
返しによりタンク5内の内圧は常に所定圧力に維持され
る。
【0019】温度センサ9の検温値はPID制御回路1
0に入力される。検温値が所定温度より高いと、PID
制御回路15が電源から電熱ヒータ8への電力量を下げ
る信号を出し、サイリスタ7により電熱ヒータ8への供
給電力量を低下させる。するとテトラクロロシランの気
化熱により温度は低下する。一方、検温値が所定温度よ
り低いと、PID制御回路15が、電源から電熱ヒータ
8への電力量を上げる信号を出し、サイリスタ7により
電熱ヒータ8への供給電力量を上昇させる。すると電熱
ヒータ8からの供給熱量が増加し温度は上昇する。この
繰り返しによりテトラクロロシラン4の液温は常に所定
温度に維持される。
【0020】タンク5の内圧とテトラクロロシラン4の
液温が一定であると、テトラクロロシラン4の平衡蒸気
圧も常時一定となる。そのため気化したテトラクロロシ
ランとアルゴンガスとは分圧が変動せず組成比が一定と
なる。酸水素火炎バーナ21、22に供給された気化し
たテトラクロロシランを火炎中で加水分解させると均質
なガラス微粒子が形成されるので、均一に堆積した多孔
質ガラス母材23が得られる。
【0021】なお、制御回路10、15は、PID制御
回路であることが好ましいが、オンオフ制御回路であっ
てもよい。
【0022】本発明の多孔質ガラス母材原料液の気化装
置を用いて多孔質ガラス母材を試作した。内容量10L
のステンレス製タンク5に液体のテトラクロロシラン4
を充填する。アルゴンガスにより、タンク5内の圧力を
常時ゲージ圧で0.6kg/cm Gに調整する。テト
ラクロロシラン4の液温は常時40℃に調整する。気化
したテトラクロロシランとアルゴンガスとを13台の酸
水素火炎バーナに供給する。1本の多孔質ガラス母材は
1台のバーナを約40時間連続稼動する1バッチの工程
で製造される。1バッチの工程が終了するとそのバーナ
のバルブを閉鎖し稼動を停止する。次の多孔質ガラス母
材の製造開始時にバルブを開放しバーナを再稼動する。
バーナのいずれかを常に使用しながら、4000時間連
続して気化装置を稼動したところ、気化したテトラクロ
ロシランの全バーナへの単位時間当りの供給量は、稼動
しているバーナ台数の増減により、平均供給量に対し±
30%変動した。しかし気化したテトラクロロシランと
キャリアガスとはその組成比が変動せずに各バーナへ安
定して供給された。
【0023】なお、この気化装置は、テトラクロロシラ
ンやテトラクロロゲルマニウムの多孔質ガラス母材原料
液を気化させるものであるが、ハロゲン化アルキルシラ
ンやハロゲン化アルコキシシランを気化させるために用
いることもできる。また、多孔質ガラス母材を製造する
際に用いることが好ましいが、合成石英を製造する際に
用いることもできる。
【0024】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように本発明の多
孔質ガラス母材原料液の気化装置を用い、多孔質ガラス
母材を製造する際、複数の水素火炎バーナのうち、一部
の稼動を停止したり再稼動したときでも、タンク内の圧
力と、原料液の温度とを一定に維持することができる。
原料液の平衡蒸気圧が一定となり気化原料とキャリアガ
スとの組成比が常に一定に維持されるので、均質に多孔
質ガラス微粒子を堆積させて高品質な多孔質ガラス母材
を得ることができる。原料液を低い温度で気化させるこ
とができ原料液の自己分解等が抑制されるので、気化装
置を長期間継続して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する多孔質ガラス母材原料液の気
化装置の実施例を示すブロック図である。
【符号の説明】
2は原料液供給管、3は原料液供給量調整弁、4は液体
のテトラクロロシラン、5はタンク、7はサイリスタ、
8は電熱ヒータ、9は温度センサ、10はPID制御回
路、11はアルゴンガスボンベ、12はガス導入管、1
4は流量調整弁、15はPID制御回路、16は圧力
計、17は気体供給管、18・19は気体供給量制御
弁、21・22は酸水素バーナ、23は多孔質ガラス母
材である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小出 弘行 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越化 学工業株式会社精密機能材料研究所内 (72)発明者 平沢 秀夫 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越化 学工業株式会社精密機能材料研究所内 Fターム(参考) 3E072 AA01 DB03 GA30 4G014 AH12 4G021 EA00 EB22 EB26

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料液体供給源、キャリアガス供給
    源、および気体供給先に各々連結する密閉系のタンクを
    備えた多孔質ガラス母材原料液の気化装置であって、タ
    ンク内の原料液体を加熱する加熱源と、該原料液体を検
    温する温度センサと、該温度センサの検温温度により該
    加熱源へのエネルギー供給量を増減する制御回路、およ
    びタンクの内圧を計測する圧力計と、該キャリアガス供
    給源から該タンクに至る途中に配置される流量調整弁
    と、該圧力計の計測内圧により該流量調整弁を開閉する
    制御回路、を有する気化装置。
  2. 【請求項2】 該気体供給先が複数の水素火炎バーナ
    であることを特徴とする請求項1に記載の気化装置。
  3. 【請求項3】 気体供給先への経路途中に気体供給量
    制御弁を有することを特徴とする請求項1に記載の気化
    装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の気化
    装置を用いて気化した多孔質ガラス母材原料が火炎中で
    加水分解されて生成したガラス微粒子を、堆積させるこ
    とを特徴とする多孔質ガラス母材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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