JP2001014714A - 光学素子および光ディスク装置 - Google Patents

光学素子および光ディスク装置

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JP2001014714A
JP2001014714A JP11181667A JP18166799A JP2001014714A JP 2001014714 A JP2001014714 A JP 2001014714A JP 11181667 A JP11181667 A JP 11181667A JP 18166799 A JP18166799 A JP 18166799A JP 2001014714 A JP2001014714 A JP 2001014714A
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light
optical
objective lens
wavelength
optical element
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Junichi Asada
潤一 麻田
Yoichi Saito
陽一 斉藤
Kenji Nagashima
賢治 長島
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可動子の重量増加が少なく、消費電力の増加
を抑制することができ、各素子間の位置合わせが不要
で、組立が容易な光ディスク装置を提供する。 【解決手段】 本発明にかかる光ディスク装置において
は、対物レンズ8を駆動するアクチュエータの可動子1
4に、対物レンズ8と一体化された光学素子41が搭載
されている。この光学素子41には、2枚のガラス基板
の間に、複屈折性材料からなる回折格子43と光学厚み
が4分の5波長膜45とが挟持されてなる偏光ホログラ
ム部が設けられている。そして、一方のガラス基板に
は、波長λ1の光と波長λ2の光とに対して、それぞれ開
口面積を異ならせる開口制限膜48が設けられている。
また、他方のガラス基板には、各段の高さ(深さ)がそ
れぞれλ1/(ng−1)である複数の同心円状の段差構
造50が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスクに信号
を記録し、または光ディスクの信号を再生する光ディス
ク装置と、これに用いられる光学素子とに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】光ディスクに信号を記録し、または光デ
ィスクに記録されている信号を再生する光ディスク装置
は従来より知られている。図3は、かかる従来の光ディ
スク装置の一例を示す模式図である。以下、図3を参照
しつつ従来の光ディスク装置の基本構造および機能を説
明する。
【0003】図3に示すように、この従来の光ディスク
装置には、それぞれ互いに異なる波長のレーザー光を放
射する2つの半導体レーザー光源101(波長λ1)お
よび半導体レーザー光源102(波長λ2)が設けられ
ている。ここで、半導体レーザー光源101から放射さ
れた波長λ1(例えば、DVD等の場合は、λ1=660
nm)のレーザー光121は、まず偏光性ホログラム素
子103を透過(通過)する。この偏光性ホログラム素
子103は、ニオブ酸リチウムなどの異方性材料からな
る基板に、深さdの格子を形成し、その溝部(格子溝)
に等方性の物質(屈折率n1)を充填することにより製
作されたものである。
【0004】一般に、溝部を通る光と溝部間を通る光と
の間の位相差をφとすれば、光の偏光性ホログラム素子
透過率はcos2(φ/2)であらわされる。ここで、
格子溝に平行な偏光と垂直な偏光とに対する基板の屈折
率をそれぞれn1およびn2とすれば、格子溝に平行な偏
光については、φ=0となるので、その偏光性ホログラ
ム素子透過率は1となる。一方、格子溝に垂直な偏光に
ついては、φ=2π(n1−n2)d/λとなるので、φ
=πとなるように深さdを設定すれば、その偏光性ホロ
グラム素子透過率は0となり、偏光性ホログラム素子1
03に入射された光は完全に回折されることになる。
【0005】したがって、レーザー光源101から放射
されたレーザー光121の偏光方向と偏光性ホログラム
素子103の格子溝の方位とを好ましく設定することに
より、レーザー光121を回折させずに偏光性ホログラ
ム素子103を透過させることができる。かくして、こ
の光ディスク装置では、レーザー光121が回折せずに
偏光性ホログラム素子103を透過するよう、レーザー
光121の偏光方向と偏光性ホログラム素子103の格
子溝の方位とが好ましく設定されている。
【0006】偏光性ホログラム素子103を透過した光
122は、4分の1波長板104により、直線偏光(S
波)から円偏光の光123に変換される。そして、この
光123はプリズム105の表面で反射された後、コリ
メートレンズ106を透過して平行光124となる。こ
の平行光124は、立ち上げミラー107で反射された
後、アクチュエータの可動子114に搭載された対物レ
ンズ108に入射される。この後、平行光124は、光
ディスクの信号面109に入射される。ここで、平行光
124は、信号面109で反射されて光125となる。
【0007】この光125は、往路とほぼ同一の光路を
逆方向に進み、4分の1波長板104により直線偏光
(P波)の光126に変換される。この光126は偏光
性ホログラム素子103を透過(通過)するが、その
際、偏光ホログラム素子103の偏光依存性により、入
射光軸を対称軸とする+1次回折光127と−1次回折
光128とに回折・分岐させられる。そして、これらの
回折光127、128は、それぞれ、レーザー光源10
1に隣接して配置された光検出器110上の検出面に入
射され、これにより制御信号および再生信号が生成され
る。
【0008】他方、もう1つの半導体レーザー光源10
2から放射された波長λ2(例えば、CD等の場合は、
λ2=790nm)のレーザー光129は、まずホログ
ラム素子111に入射される。そして、レーザー光12
9は、このホログラム素子111により3つのビーム
(+1次回折光、−1次回折光および0次光)に回折・
分岐させられた後、プリズム105の光入射面に設けら
れたアパーチャ112により開口制限されてプリズム1
05を透過し、さらにコリメートレンズ106を経て収
束性の光130となる。この収束性の光130は立ち上
げミラー107で反射された後、対物レンズ108によ
り、前記の半導体レーザー光源101を用いる場合とは
異なる基材厚を有する光ディスクの信号面115に入射
される。
【0009】ここで、上記のホログラム素子111で発
生した各回折光は、それぞれ信号面115に3つのスポ
ットとして入射(配置)され、いわゆる3ビームトラッ
キング法による、トラッキング制御信号および再生信号
の検出に用いられる。そして、光130は、信号面11
5で反射されて光131となり、対物レンズ108に入
射される。対物レンズ108は、波長λ1の光に対して
は基材厚0.6mmのディスク、波長λ2の光に対しては
基材厚1.2mmのディスクについて、それぞれ開口
(NA)および光学系を最適設計することにより、収差
が最小となるような形状設計がなされている。波長λ2
の光については、アパーチャ112により最適となるよ
うに開口が制限されている。そして、対物レンズ108
を透過した光131は、立ち上げミラー107とコリメ
ートレンズ106とプリズム105とを経て、ホログラ
ム素子111に入射される。ここで、光131は、ホロ
グラム素子111によって回折された後、検出器116
の検出面に入射され、これにより信号検出が行われる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の光ディスク装置においては、以下のような問
題(1)〜(3)がある。 (1)第1に、かかる従来の光ディスク装置では、1つ
の対物レンズで2つの光源からの光に対してそれぞれ最
適な開口(NA)とするために、CD等の再生に用いる
790nmの波長の光に対して開口を制限するアパーチ
ャが必要とされるが、例えば図3に示すようなアパーチ
ャが固定されている構造では、対物レンズが光ディスク
のトラック方向にシフトしたときに開口に非対称性が生
じるので、収差(主として球面収差、コマ収差)が増大
して信号品質が著しく劣化するといった問題がある。
【0011】図4は、790nmのレーザー光が、例え
ば図3に示すような固定されたアパーチャを透過して対
物レンズにより集光される場合における、レンズシフト
(対物レンズのシフト量)と収差の発生量との関係を示
すグラフである。図4から明らかなとおり、レンズシフ
トの増加に伴って収差が増大している。
【0012】また、図5は、アパーチャを対物レンズと
一体化してアクチュエータの可動子に搭載した場合にお
ける、レンズシフトと収差の発生量との関係を示すグラ
フである。図5から明らかなとおり、レンズシフトが増
加しても収差はほとんど増加しない。すなわち、レンズ
シフトが生じても、開口に非対称性が生じないので、収
差の発生量が有効に抑制される。したがって、アパーチ
ャを対物レンズと一体化して、アクチュエータの可動子
に搭載して駆動するのが有利であるといえる。
【0013】(2)第2に、凹凸形状のランド/グルー
ブ構造を有するDVD等の高密度ディスクの記録・再生
においては、凹凸構造による光の回折を利用したプッシ
ュプル方式のトラッキング検出手法が用いられるが、こ
のような検出手法では、レンズシフトが発生した場合、
制御信号にDCオフセットが発生するといった問題があ
る。
【0014】このDCオフセットは、トラックセンター
に対するスポット位置の制御を行う際の誤差要因となる
が、高密度のディスクではトラック間ピッチが狭いの
で、位置誤差のマージンは極めて少ない。この位置誤差
すなわちオフトラツク量は、図3に示すような従来の光
ディスク装置においては、レンズシフトにより、対物レ
ンズとホログラム素子との間に相対位置のずれが発生す
ると、ホログラム素子により分割された各光の光量のば
らつきがその分大きくなる。このため、ホログラム素子
は、対物レンズと一体的に駆動するのが好ましいといえ
る。
【0015】(3)第3に、一般に対物レンズおよびコ
リメートレンズは屈折率分散を有しているので、レーザ
ー光源の波長がシフトすると、収差(すなわち色収差)
が発生するといった問題がある。このため、対物レンズ
と信号面との相対位置の誤差(デフォーカス)に対する
マージンを確保する上で、色収差を低減することが重要
である。
【0016】図6(a)、(b)は、それぞれ、上記問
題を解決するために提案された、従来の色収差補正板
(特開平6−82725号公報参照)の断面図および平
面図である。図6(a)、(b)に示すように、色収差
補正板160は、屈折率nのガラス板に、各段の深さt
がλ/(n−1)である同心円状の段差構造150が形
成されてなるものである。このような段差構造150を
有する色収差補正板160においては、該色収差補正板
160を透過する光は、段差部では位相が2πだけずれ
るが、波動的には同一波面を形成する。一方、波長がず
れると、波面に段差が発生するが、段差が同心円上に形
成されているので、色収差補正板160は色収差による
デフォーカスをキャンセルする収差補正板として機能す
る。また、このような色収差補正板160を対物レンズ
と組み合わせた場合、組み合わせレンズによる色収差補
正に比べて、色収差補正板160が薄板で構成される分
だけ、軽量化される。
【0017】以上、従来の光ディスク装置における光学
ヘッドの特性上の問題点をいくつか列挙したが、これら
の問題点を全て解決するには、上記の各素子(アパーチ
ャ、ホログラム素子、色収差補正板)を全て可動子に搭
載する必要がある。しかしながら、これらの素子を可動
子に搭載した場合、可動子の重量が非常に大きくなり、
アクチュエータのバランスがとりにくくなるといった問
題が生じる。
【0018】また、重量の大きい分だけ可動子を駆動す
るのに必要なエネルギーが増加するので、消費電力が大
きくなるといった問題が生じる。さらに、可動子に搭載
される各素子が全てレンズ中心(光軸中心)に対して正
確に位置合わせされていなければならないので、高精度
な組立工程が必要となり、量産性が悪くなってしまうと
いった問題も生じる。
【0019】本発明は、上記従来の問題を解決するため
になされたものであって、可動子の重量増加が少なくて
済み、消費電力増加を抑制することができ、各素子間の
位置合わせおよび組み立てが容易である、高性能の光デ
ィスク装置ないしはその光学素子を提供することを解決
すべき課題とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた本発明にかかる光学素子は、(a)波長λ
1の光と、λ1よりも長い波長λ2の光とを透過させる光
学素子であって、(b)2枚のガラス基板の間に、複屈
折性材料からなる回折格子と、Nを任意の自然数とすれ
ば、光学厚みが(N+1/4)・λ1である波長膜とが
挟持されてなる偏光性ホログラム部(偏光性ホログラム
素子)と、(c)前記ガラス基板のいずれか一方に付設
され、波長λ1の光と波長λ2の光とに対して、それぞれ
開口面積を異ならせる薄膜構造(開口制限)とが設けら
れていることを特徴とするものである。
【0021】上記光学素子においては、2枚のガラス基
板のうち、薄膜構造が付設されていない方のガラス基板
に、該ガラス基板の屈折率をngとすれば各段の高さが
それぞれλ1/(ng−1)である複数の同心円状の段差
構造が設けられているのが好ましい。
【0022】また、上記光学素子においては、波長λ1
の光と波長λ2の光とが、N1およびN2を任意の自然数
とすれば(N1+1/4)・λ1=N2・λ2の関係を満た
すようになっているのがより好ましい。
【0023】さらに、上記光学素子においては、光学厚
みが(N+1/4)・λ1である上記波長膜に代えて、
光学厚みが(N+1/5)・λ1である波長膜が設けら
れていてもよい。
【0024】本発明の第2の態様にかかる光ディスク装
置は、(a)波長が異なる2つのレーザー光源と、各レ
ーザー光源から放射された光をコリメートするコリメー
トレンズと、コリメートされた光(ビーム)を光ディス
クに集光させる対物レンズと、対物レンズの位置を微小
に(ないしは、精密に)制御するアクチュエータと、光
ディスクで反射した光を検出する光検出器とが設けられ
ている光ディスク装置であって、(b)本発明にかかる
上記光学素子のいずれか1つが、対物レンズと組み合わ
せて(あるいは、一体化して)アクチュエータに搭載さ
れていることを特徴とするものである。
【0025】かくして、本発明にかかる光学素子ないし
は光ディスク装置においては、可動子の重量増加が少な
くて済むので、その制御が容易となり、かつ消費電力の
増加が抑制される。また、各素子間の位置合わせは不要
であり、その組立も容易である。さらに、上記各条件を
満たすことにより、光ヘッドの性能を高めることができ
る。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を具体
的に説明する。まず、本発明にかかる光ディスク装置を
説明する。図2は、本発明にかかる光学素子を用いた光
ディスク装置の構成を示す模式図である。この図2に示
す光ディスク装置は、図3に示す従来の光ディスクと多
くの共通点を有している。すなわち、図2に示す光ディ
スク装置において、本発明にかかる特徴部分以外の部分
の構造及びその機能については、基本的には、図3に示
す従来の光ディスクについての説明が当てはまるので、
説明の重複を避けるため、その詳細な説明は省略する。
なお、図2及び図3に示す両光ディスク装置において、
参照番号の下2桁の値が等しい部材同士(例えば、図2
中の半導体レーザー光源1と、図3中の半導体レーザー
光源101)は、一部に例外はあるが、基本的には同一
構造であり、同一の機能を有するものである。
【0027】図2に示すように、この光ディスク装置に
おいては、半導体レーザー光源1から放射された波長6
60nmのレーザー光21は、プリズム5の表面で反射
された後、コリメートレンズ6を経て平行光24とな
る。この平行光24は、立ち上げミラー7で反射された
後、それぞれアクチュエータの可動子14に搭載され
た、後で詳説する本発明にかかる光学素子41と対物レ
ンズ8とを経て光ディスクの信号面9に入射される。な
お、光学素子41は、対物レンズ8と組み合わせてない
しは一体化して、アクチュエータの可動子14に搭載さ
れている。
【0028】ここで、平行光24は、光学素子41を透
過する際に、該光学素子41中の4分の5波長膜45
(ないしは、5分の6波長膜)により直線偏光から円偏
光に変換される。そして、光ディスクの信号面9に入射
された平行光24は信号面9で反射されて光31とな
る。この光31は、往路とほぼ同一の光路を逆方向に進
む。その際、光31は往路と直交する方向の直線偏光に
変換されて光学素子41中の回折格子43に入射され、
その偏光依存性により光31は、入射光軸を対称軸とす
る+1次回折光27と、−1次回折光28とに回折・分
岐される。そして、これらの回折光27、28は、それ
ぞれ、立ち上げミラー7とコリメートレンズ6とプリズ
ム5とを経て、半導体レーザー光源1に隣接して設けら
れた光検出器10上の検出面に入射される。
【0029】他方、もう1つの半導体レーザー光源2か
ら放射された波長780nmのレーザー光29は、ホロ
グラム素子11により3つのビーム(+1次回折光、−
1次回折光、0次)に回折・分岐させられた後、プリズ
ム5を透過し、さらにコリメートレンズ6を経て収束性
の光30となる。この収束性の光30は、立ち上げミラ
ー7で反射された後、本発明にかかる光学素子41のガ
ラス基板面に設けられた開口制限膜48(アパーチャ
膜)により開口が制限され、対物レンズ8を経て、異な
る基材厚を有する光ディスクの信号面15に入射され
る。
【0030】ここで、対物レンズ8は、波長660nm
のレーザー光に対しては基材厚0.6mm、波長780
nmのレーザー光に対しては基材厚1.2mmのディス
クについて、それぞれ開口および光学系を最適設計する
ことにより、その収差が最小となるように形状設計がな
されている。
【0031】収束性の光30は、信号面15で反射され
て光31となり、この光31は光学素子41を透過す
る。ここで、前記の4分の5波長膜45は、660nm
の波長のレーザー光に対応するように設定されており、
780nmの波長のレーザー光に対しては、ほぼ1波長
膜となる。このため、「直線偏光」→「円偏光」→「往
路と直交する直線偏光」といった変換が行われず、回折
格子43ないしは偏光性ホログラム部による回折は生じ
ない。光学素子41を透過した光31は、順に、立ち上
げミラー7とコリメートレンズ6とプリズム5とを経
て、ホログラム11に入射される。この後、光31は、
ホログラム素子11により回折され、検出器16の検出
面に入射される。
【0032】次に、前記の光ディスク装置で用いられて
いる、本発明にかかる光学素子41の構造及びその機能
を具体的に説明する。図1は、この光学素子41の断面
構造を示している。図1に示すように、この光学素子4
1においては、第1ガラス基板46上に、液晶等の複屈
折性材料(屈折率n1、n2)を用いて凹凸構造43が形
成されこの凹凸構造43が回折格子43とされている。
この凹凸構造43ないしは回折格子43の上に、等方性
の第1接着層44(屈折率n1)が設けられている。こ
こで、回折格子43の格子深さdを2(n1−n2)/λ
1とすることにより、波長λ1(例えば、660nm)に
ついて、格子溝に平行および垂直な偏光に対してそれぞ
れ、非回折(透過)及び完全回折となる偏光性のホログ
ラムが得られる。
【0033】この第1接着層44の上に、これと隣接し
て、複屈折性樹脂を用いて波長膜45(フィルム)が形
成されている。この波長膜45は、その屈折率と、厚み
と、偏光方向に対する複屈折の方位とを最適化すること
により、波長λ1の光に対して4分の5波長に相当する
光学厚みを有するように形成されている。つまり、波長
膜45は4分の5波長膜である。この光学厚みは、波長
λ2(例えば、790nm)の光に対しては、ほぼ1波
長に相当する。なお、両ガラス基板46、47間に、回
折格子43および波長膜45が挟持されてなる光学的組
立体は、偏光性ホログラム部をなす。
【0034】かくして、偏光性ホログラム部は、波長λ
1の光に対しては、直線偏光がそのまま透過し、反射面
で反射して、逆向きに入射したときには完全回折する。
他方、波長λ2の光に対しては、偏波面が変わらないの
で、この光は光学素子41を往復透過しても回折しな
い。なお、この効果は、一般的に、光学素子41を透過
する2種類の光の波長λ1およびλ2が、(N1+1/
4)・λ1=N2・λ2(N1、N2=1,2,3・・・
・)の関係を満たしていれば得られるものである。
【0035】また、波長膜45の上には、第2接着層5
1を介して第2ガラス基板47が配設されている。、こ
の第2ガラス基板47の上において、その周縁部付近に
は、波長λ1の光は透過させる一方、波長λ2の光は遮光
する開口制限膜48(色分離膜)が設けられている。さ
らに、第2ガラス基板47の上において、開口制限膜4
8が配置されていない部分には、開口制限膜48が配置
された領域Aと、開口制限膜48が配置されていない領
域Bとの間で、透過する光の位相差を合わせるための位
相調整膜49が形成されている。したがって、波長λ1
の光は領域A及び領域Bの両方とも透過することができ
るが、波長λ2の光は領域Bのみ透過できるだけであ
る。かくして、開口制限膜48は、位相調整膜49と相
俟って、波長λ2の光に対して開口を制限するアパーチ
ャとなる。。
【0036】さらに、第1ガラス基板46の、回折格子
43が形成された面と反対側の面には、あらかじめ同心
円状の段差構造50(階段構造)が形成されている。こ
の段差構造50は、従来の技術の欄で説明した従来の光
ディスク装置の場合と同様に、半導体レーザー光源1の
波長シフトに対する色収差を補正する機能を有する。な
お、波長λ2の光については、もともと略球面波となる
ため、この分を補正するように光学系を設定する必要が
ある。
【0037】このように、光学素子41は、第1ガラス
基板46と第2ガラス基板47との間に、両接着層4
4、51を用いて、波長膜45と回折格子43とが挟持
された構造(偏光性ホログラム部を備えた構造)とされ
ている。この場合、光学素子41は、半導体プロセスの
マスクアライメントの要領でもって、ウエハ単位で形成
することができる。このため、開口制限膜48(色分離
膜)と、回折格子43と、同心円状の段差構造50との
間での、中心の相対位置ずれは少ない。したがって、こ
の光学素子41は量産性に富む。
【0038】なお、本発明のもう1つの実施の形態とし
て、上記の4分の5波長膜43に代えて、5分の6波長
膜を用いてもよい。この場合は、波長λ1の光について
完全回折を禁止することにより、波長λ1の半導体レー
ザー光源1に戻る光をつくることができ、該半導体レー
ザー光源1ないしはそのレーザー光の安定性を高めるこ
とができる。すなわち、本発明にかかる光学素子41
は、より一般的には、光学厚みが(N1+1/5)・λ1
(N1=1、2、3...)の波長膜を用いた光学素子
であるといえる。
【0039】
【発明の効果】以上、本発明によれば、可動子の重量増
加が少なくてすみ、かつ消費電力の増加を抑制すること
ができる光ディスク装置ないしは光学素子が得られる。
また、光学素子中の各部材の位置合わせが不要となるの
で、その組み立てが非常に容易である。さらに、本発明
の上記条件を満たすことにより、光学ヘッドの性能を高
めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態を示す光学素子の縦断面
図である。
【図2】 図1に示す光学素子を用いた光ディスク装置
の構成を示す模式図である。
【図3】 従来の光ディスク装置の構成を示す模式図で
ある。
【図4】 固定式アパーチャを用いた光ディスク装置に
おける、レンズシフトと収差発生量との関係を示すグラ
フである。
【図5】 アパーチャを対物レンズと一体駆動するよう
にした光ディスク装置における、レンズシフトと収差発
生量との関係を示すグラフである。
【図6】 (a)および(b)は、それぞれ、色収差を
補正する手段として同心円状の段差構造を備えた光学素
子の断面図および平面図である。
【符号の説明】
1…半導体レーザー光源、2…半導体レーザー光源、5
…プリズム、6…コリメートレンズ、7…立ち上げミラ
ー、8…対物レンズ、9…光ディスクの信号面、10…
光検出器、11…ホログラム素子、14…可動子、15
…光ディスクの信号面、16…光検出器、21…波長λ
1のレーザー光、24…平行光、27…+1次回折光、
28…−1次回折光、29…波長λ2のレーザー光、3
0…収束性の光、31…光、41…光学素子、43…回
折格子(凹凸構造)、44…第1接着層、45…波長膜
(4分の5波長膜または5分の6波長膜)、46…第1
ガラス基板、47…第2ガラス基板、48…開口制限膜
(色分解膜)、49…位相調整膜、50…同心円状の段
差構造、51…第2接着層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長島 賢治 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 2H049 AA12 AA44 AA50 AA57 AA63 AA68 BA02 BA06 BA42 BA45 CA01 CA05 CA07 CA09 CA12 CA15 CA20 5D119 AA01 AA38 BA01 EC47 FA08 JA31 JA44 JA46 JB02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 波長λ1の光と、λ1よりも長い波長λ2
    の光とを透過させる光学素子であって、 2枚のガラス基板の間に、複屈折性材料からなる回折格
    子と、Nを任意の自然数とすれば光学厚みが(N+1/
    4)・λ1である波長膜とが挟持されてなる偏光性ホロ
    グラム部と、 前記ガラス基板のいずれか一方に付設され、波長λ1
    光と波長λ2の光とに対して、それぞれ開口面積を異な
    らせる薄膜構造とが設けられていることを特徴とする光
    学素子。
  2. 【請求項2】 上記2枚のガラス基板のうち、上記薄膜
    構造が付設されていない方のガラス基板に、該ガラス基
    板の屈折率をngとすれば各段の高さがそれぞれλ1
    (ng−1)である複数の同心円状の段差構造が設けら
    れていることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  3. 【請求項3】 上記の波長λ1の光と波長λ2の光とが、
    1およびN2を任意の自然数とすれば(N1+1/4)
    ・λ1=N2・λ2の関係を満たすことを特徴とする請求
    項1または請求項2に記載の光学素子。
  4. 【請求項4】 光学厚みが(N+1/4)・λ1である
    上記波長膜に代えて、光学厚みが(N+1/5)・λ1
    である波長膜が設けられていることを特徴とする請求項
    1または請求項2に記載の光学素子。
  5. 【請求項5】 波長が異なる2つのレーザー光源と、各
    レーザー光源から放射された光をコリメートするコリメ
    ートレンズと、コリメートされた光を光ディスクに集光
    させる対物レンズと、対物レンズの位置を微小に制御す
    るアクチュエータと、光ディスクで反射した光を検出す
    る光検出器とが設けられている光ディスク装置であっ
    て、 請求項1に記載の光学素子が、上記対物レンズと組み合
    わせて上記アクチュエータに搭載されていることを特徴
    とする光ディスク装置。
  6. 【請求項6】 波長が異なる2つのレーザー光源と、各
    レーザー光源から放射された光をコリメートするコリメ
    ートレンズと、コリメートされた光を光ディスクに集光
    させる対物レンズと、対物レンズの位置を微小に制御す
    るアクチュエータと、光ディスクで反射した光を検出す
    る光検出器とが設けられている光ディスク装置であっ
    て、 請求項2に記載の光学素子が、上記対物レンズと組み合
    わせて上記アクチュエータに搭載されていることを特徴
    とする光ディスク装置。
  7. 【請求項7】 波長が異なる2つのレーザー光源と、各
    レーザー光源から放射された光をコリメートするコリメ
    ートレンズと、コリメートされた光を光ディスクに集光
    させる対物レンズと、対物レンズの位置を微小に制御す
    るアクチュエータと、光ディスクで反射した光を検出す
    る光検出器とが設けられている光ディスク装置であっ
    て、 請求項3に記載の光学素子が、上記対物レンズと組み合
    わせて上記アクチュエータに搭載されていることを特徴
    とする光ディスク装置。
  8. 【請求項8】 波長が異なる2つのレーザー光源と、各
    レーザー光源から放射された光をコリメートするコリメ
    ートレンズと、コリメートされた光を光ディスクに集光
    させる対物レンズと、対物レンズの位置を微小に制御す
    るアクチュエータと、光ディスクで反射した光を検出す
    る光検出器とが設けられている光ディスク装置であっ
    て、 請求項4に記載の光学素子が、上記対物レンズと組み合
    わせて上記アクチュエータに搭載されていることを特徴
    とする光ディスク装置。
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