JP2001011600A - 成膜装置及び方法 - Google Patents

成膜装置及び方法

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JP2001011600A
JP2001011600A JP11187287A JP18728799A JP2001011600A JP 2001011600 A JP2001011600 A JP 2001011600A JP 11187287 A JP11187287 A JP 11187287A JP 18728799 A JP18728799 A JP 18728799A JP 2001011600 A JP2001011600 A JP 2001011600A
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film
chamber
carbon
film forming
pressure
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Hiroshi Yamamoto
浩 山本
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Komatsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高硬度且つ平滑な非晶質炭素膜を成膜する。 【解決手段】 成膜装置が備える成膜用チャンバ1は、
2種類の部屋3、5を有する。1つの部屋3は、その雰
囲気が比較的高圧であって、炭素成膜材料であるカーボ
ンをスパッタしてカーボン粒子を発生させるための高圧
スパッタ室であり、もう1つの部屋5は、比較的低圧で
あって、高圧スパッタ室3で発生したカーボン粒子をワ
ークピース4表面に成膜するための低圧成膜室である。
高圧スパッタ室3内は、カーボン電極7a、7b間に発
生するアーク放電9を絞り込んで非常に微細なカーボン
粒子を発生させることができるような気圧に設定されて
おり、アーク放電9によってプラズマ13が発生する。
低圧成膜室5内は、オリフィス33によってプラズマジ
ェット35化されたプラズマ13の範囲を広くし、且
つ、プラズマジェット35中のカーボン粒子と他の気体
分子が衝突・結合するのを極力防いでカーボン粒子の活
性を維持できるような気圧に設定されている。低圧成膜
室5では、プラズマジェット35がワークピース4に吹
き付けられることにより非晶質炭素膜が成膜される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、成膜装置に関し、特に、
被処理物(ワークピース)に硬質の非晶質炭素膜を成膜す
るための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】種々の装置や工具等において、例えばド
リルチップや磁気ヘッドなどの摩耗が生じ易い部品に
は、それを防止するために硬質の非晶質炭素膜で表面が
コーティングされているものがある。硬質非晶質炭素膜
の形成(成膜)方法としては、成膜材料に炭化水素ガスを
使用するプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)
法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】形成される炭素膜に
は、摩耗防止のための高い硬度性と、摺動部に使用され
る場合に摺動性を妨げないような平滑さ(すなわち高精
度の膜質)が要求される。
【0004】上記プラズマCVD法によれば、非常に微
細な気体分子で成膜するため、容易に成膜面を平滑にす
ることができる。しかし、形成される炭素膜内には必ず
水素が混入してしまうため、硬度の高い炭素膜を形成す
ることは困難である。
【0005】一方で、特開昭63−210267に記載
の成膜方法がある。この成膜方法は、真空の容器内に、
炭素成膜材料であるグラファイトのターゲットとそれに
対向する対向電極を配置し、ターゲットと対向電極間に
高周波電圧を印加してアーク放電を生じさせることによ
り、ターゲットをスパッタし、それによってカーボン粒
子を発生させてそれを基板表面上に成膜するという、反
応性スパッタリングの方法である。この方法によれば、
炭素膜内に水素が混入することを避けることができる。
【0006】しかし、真空という非常に低圧な容器内で
は、電圧印加によるアーク放電の柱(アーク柱)を絞り込
むことができず、よって、ターゲットにおけるアーク到
達ポイント(アークスポット)を小さくすることができな
い。そのため、アークスポットにおける温度が、発生す
るカーボン粒子の全てを微細にできるほどの高い温度に
ならず、比較的大きなカーボン粒子を発生させてしまう
ことがある。そのため、形成される炭素膜表面が粗くな
ってしまい、精細な膜質を提供することができないでい
る。このことは、その炭素膜が或る装置の摺動部分に用
いられる場合に、その摺動性を妨げる原因となり、装置
自体の機能を低下させる原因にもつながる。
【0007】従って、本発明の目的は、高硬度且つ平滑
な非晶質炭素膜を成膜することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の観点に従う成膜
装置は、ワークピース表面に所定材料の膜を成膜するこ
とを行なうためのチャンバを有し、そのチャンバは、第
1の部屋と第2の部屋とを備える。第1の部屋は、不活
性ガスが導入され、比較的高圧の気圧を有し、陽極と陰
極を含み少なくとも陽極が成膜材料で構成されているペ
アの電極間に電圧を印加させてアーク放電を発生させ、
このアーク放電により陽極から成膜材料粒子を発生さ
せ、且つ、アーク放電により成膜材料粒子を含むプラズ
マガスを発生させて、そのプラズマガスを第2の部屋に
送るための部屋である。第2の部屋は、気体を排気する
ための排気ポンプを有する排気装置を備えており、比較
的低圧の気圧を有し、第1の部屋からのプラズマガスに
含まれる成膜材料粒子をワークピース表面に付着させて
成膜するための部屋である。成膜材料は炭素であり、成
膜される膜は非晶質炭素膜である。
【0009】上述した成膜装置によれば、カーボン粒子
の生成と成膜という2つの工程にそれぞれ適した条件に
設定された2種類の部屋が用意されている。すなわち、
微細なカーボン粒子を生成するためにアーク放電9の絞
り込みが要求されるスパッタ用の部屋は比較的高圧に設
定し、そのカーボン粒子を他の気体分子との衝突・結合
を極力防いで活性に維持することが要求される成膜用の
部屋は比較的低圧に設定する。このように、上記成膜装
置は、各工程で要求される条件をそれぞれ満足できるよ
うな構成になっているので、良質な膜質を持った非晶質
炭素膜の成膜が約束される。
【0010】好適な実施形態では、第1の部屋と第2の
部屋との境界にオリフィス又はノズルを備える。このオ
リフィス又はノズルは、プラズマガスを第1の部屋から
第2の部屋へ噴出させる。更に好適には、オリフィス又
はノズルにおける最小開口径は、不活性ガスの導入量
と、排気ポンプの排気容量と、第1及び第2の部屋にお
けるそれぞれの気圧の大きさとの、少なくとも1つ以上
に基づいて設定される。
【0011】好適な実施形態では、成膜装置は、比較的
高圧の圧力値を調節することにより、アーク放電の陽極
上でのアークスポットの大きさを変える手段を備える。
【0012】好適な実施形態では、成膜装置は、不活性
ガスに別のガスを混入させ、別のガスの量を調節するこ
とで、膜の材質を調整する手段を有する。例えば、成膜
材料が炭素である場合に、成膜装置は、不活性ガスに、
水素、炭化水素、窒素、又は窒素を含む化合物のいずれ
かを混入させ、それの量を調節することで、非晶質炭素
膜の硬度を調整する手段を備える。
【0013】好適な実施形態では、成膜装置には、陽極
の消耗度に応じて陽極を陰極方向に送る電極送り装置が
備えられる。この電極送り装置は、電極間における電圧
の値をモニターし、その値が、常に一定の値であるよう
に陽極を送る。
【0014】好適な実施形態では、ワークピースにはバ
イアス電圧が印加される。
【0015】好適な実施形態では、排気装置は、比較的
低圧の圧力値をモニターし、その圧力値を所定の値に維
持する。
【0016】好適な実施形態では、成膜装置は、ワーク
ピースを回転させる手段を備える。
【0017】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施形態に係
る成膜装置の全体的な構成を示す。
【0018】この成膜装置が備える成膜用チャンバ1
は、内部空間を水平に仕切る仕切り板2を有し、それに
よって上下に分かれた2つの部屋3、5を構成する。下
の部屋3は、その雰囲気が比較的高圧(例えば数10〜
760Torr)であって、炭素成膜材料である固体カ
ーボンをスパッタしてカーボン粒子を生成するための
「高圧スパッタ室」である。一方、上の部屋5は、その
雰囲気が比較的低圧(例えば10の−3乗〜数10To
rr)であって、高圧スパッタ室3で生成されたカーボ
ン粒子をワークピース4表面に成膜するための「低圧成
膜室」である。
【0019】高圧スパッタ室3には、固体カーボンで構
成された2つの電極7a、7b(以下、7aをカーボン
陽極、7bをカーボン陰極、7a、7bを総称してカー
ボン電極という)が互いに対向した状態で備えられてい
る。高圧スパッタ室3では、これらカーボン電極7a、
7b間に直流電圧を印加してカーボン電極7a、7bの
先端間にアーク放電9を発生させ、これによりターゲッ
トとなるカーボン陽極7aをスパッタしてカーボン粒子
を発生させる。この高圧スパッタ室3内では、ガス導入
パイプ11を通じて不活性ガス(例えばアルゴン)が導入
され、アーク放電9によりプラズマ13が発生する。不
活性ガスボンベ17からのガス流量を不活性ガスマスフ
ローコントローラ19で調節することで、不活性ガスの
導入量が調節される。なお、不活性ガスには、水素ガス
を混入させて、形成する炭素膜の硬度を調節することが
できる。水素ボンベ21からの水素流量を水素マスフロ
ーコントローラ23で調節することで、水素ガスの混入
量が調節される。硬度調節の目的のために、水素ガスの
代わりに炭化水素ガスを用いることもできる。
【0020】カーボン電極7a、7bは、その先端間に
一定の距離(例えば1mm)のギャップを有しており、ア
ーク放電9の発生による温度上昇を抑えるため水冷式の
冷却機能を備えた水冷電極ホルダ15a、15bに取付
けられている。カーボン電極7a、7bは、定電流電源
(例えば15A)であるDCアーク用電源27に接続され
ており、この電源27により、カーボン電極7a、7b
間に必要な放電電圧が印加されて定電流のアーク放電9
が発生する。
【0021】図2に、カーボン電極7a、7b先端部の
様子を示す。
【0022】カーボン陽極7aは、発生するアーク放電
9により、すなわちカーボン陰極7bから飛んで来る熱
電子が先端部分に衝突することにより、熱電子の衝突点
(以下、アークスポットという)25が高温に熱されて蒸
気化しカーボン粒子を発生する。アーク放電9は、高圧
スパッタ室3内の気圧を特定の値(例えば200Tor
r)にすることで、細く絞り込むことができる。これに
より、熱電子の衝突点を凝集させてアークスポット25
を非常に小さく、故に高温にすることが可能になる。こ
のため、スパッタによって発生するカーボン粒子を非常
に微細にすることができ、よって、低圧成膜室5内で形
成される炭素膜を平滑に(すなわち膜質を高精細に)する
ことができる。
【0023】このようにしてカーボン陽極7aはスパッ
タされていくが、それに伴って、カーボン陽極7aは消
耗していく。すなわち、カーボン電極間7a、7b間の
距離は、スパッタに伴って広がっていく。これを補償す
るため、図1に示す成膜装置は、カーボン陽極7aの消
耗度に応じてカーボン陽極7aをカーボン陰極7bに向
けて送る機構を備える。
【0024】すなわち、図1に示す成膜装置には、カー
ボン陽極7aとDCアーク用電源27との間に、カーボ
ン電極7aをカーボン陰極7bに向けて送る電極位置移
動用リニアステージ(以下、電極移動ステージ)29と、
電極移動ステージ29のカーボン陽極7aの送り量を制
御するステージ用コントローラ31とが備えられてい
る。ステージ用コントローラ31は、カーボン電極7
a、7b間の電圧値(つまり、定電流のアーク放電9の
電圧降下)をモニターし、その電圧値が常に上記所定の
値になるよう電極移動ステージ29のカーボン陽極7a
の送り量を制御する(つまり、カーボン電極7a、7b
間のギャップを一定距離に制御する)。
【0025】上述した構成により、高圧スパッタ室3で
は、アーク放電9によるカーボン陽極7aのスパッタリ
ングが行なわれてカーボン粒子が発生すると共に、上記
プラズマ13が発生する。このプラズマ13には、蒸気
化したカーボン粒子やカーボン陽イオンが含まれてお
り、このプラズマ13を低圧成膜室5内へ吹き出させ
て、そこに含まれるカーボン粒子やカーボン陽イオンを
低圧成膜室5内のワークピース4表面に付着させること
により、ワークピース4表面に非晶質炭素膜を形成す
る。このため、この成膜装置には、プラズマ13を高圧
スパッタ室3から低圧成膜室5へ勢い良く且つ広範囲に
噴出させる機構が望まれる。
【0026】そこで、成膜装置は、仕切り板2の所定の
位置にオリフィス33を備える。このオリフィス33に
より、高圧スパッタ室3におけるプラズマ13が、低圧
成膜室5内へプラズマジェット35と化し勢い良く且つ
広範囲に噴出する。このように、カーボン粒子を含むプ
ラズマ13の範囲を拡大させて低圧成膜室5へ吹き出さ
せるので、カーボン粒子が低圧成膜室5に広範囲に拡散
し、ワークピース4が面積の大きなものであっても成膜
可能である。オリフィス33の開口部34における最小
開口径は、高圧スパッタ室3における不活性ガスの導入
量と、高圧スパッタ室3と低圧成膜室5のそれぞれにお
ける気圧の値と、低圧成膜室5内を真空にする真空ポン
プ37の容量などに基づいて設定される。なお、オリフ
ィス33に代えて、上記設定の最小開口径を持つノズル
を設けることもできる。そのノズルの形状によっては、
一層大きな効果が期待できる。
【0027】低圧成膜室5内では、室内下方にあるオリ
フィス33(又はノズル)の開口部34からプラズマジェ
ット35が上向きに噴出される。そして、低圧成膜室5
内のオリフィス33より上方に、ワークピースステージ
39が備えられ、ワークピースステージ39の下面にワ
ークピース4が取付けられている。このワークピース4
の表面には、プラズマジェット35が吹き付けられてカ
ーボン粒子が付着しそれによって非晶質炭素膜が成膜さ
れる。成膜させるためには、プラズマジェット35中の
カーボン粒子が活性状態のままワークピース4表面に到
達する必要がある。そこで、低圧成膜室5内の気圧は、
プラズマジェット35の吹き付け範囲を広くし、且つ、
プラズマジェット35中のカーボン粒子が他の気体分子
との衝突・結合を極力防いで活性に維持するような(つ
まり、オリフィス33からワークピース4までの距離が
カーボン粒子と他の気体分子との平均自由行程に匹敵す
るぐらい、又は、平均自由行程よりも短くなるような)
好適な気圧値(例えば3Torr)に設定する。この気圧
値の設定は、排気パイプ43から真空ポンプ37によっ
て排される気体の量を自動圧力調整バルブ45で調整す
ることにより行なう。自動圧力調整バルブ45は、バル
ブコントローラ47によって制御される。バルブコント
ローラ47は、室内の壁に取付けられ室内の気圧を観測
する圧力センサ49の観測値をモニターし、モニターし
た観測値に応じて自動圧力調整バルブ45を制御する。
バルブコントローラ47は、常に安定した成膜が行なわ
れるように圧力センサ49の観測値を常時モニターし、
上記設定された気圧値を維持するよう自動圧力調整バル
ブ45を制御する。
【0028】このような構成の低圧成膜室5内におい
て、より高硬度な膜質の炭素膜を成膜できるように、上
記ワークピースステージ39は、パルスバイアス電源4
1に接続されている。パルスバイアス電源41は、ワー
クピースステージ39に負のパルスバイアス電圧を印加
してワークピース4に負電荷を持たせる。こうすること
で、ワークピース4表面に、カーボン粒子だけでなくカ
ーボン陽イオンも付着させて炭素膜とすることができ、
これにより、その炭素膜の硬度を、パルスバイアス電圧
を印加しないときよりも高めることができる。また、パ
ルスバイアス電圧によりカーボンを強制的にワークピー
ス4表面に引きつけることにより、立体形状のワークピ
ース4の表面への良好な成膜も可能となる。
【0029】ワークピースステージ39は、ワークピー
ス4との接合面の略中央を中心に、ワークピース4を同
心円状に回転させるようすることもできる。これによ
り、ワークピース4に成膜される膜厚を精度良く均一に
することができる。
【0030】以上が、成膜装置の構成及び機能である。
この成膜装置の成膜用チャンバ1内の構成には、いくつ
かの変形例が考えられる。以下、それらの変形例につい
て説明する。
【0031】図3は、第1の変形例に係る成膜用チャン
バ51の構成を示す。同図において、図1に示した成膜
用チャンバ1の構成要素と同じ要素には同一の参照番号
を付してあり、これは、以下の図面についても同様であ
る。以下、変更点(特徴)のみを説明する。
【0032】この成膜用チャンバ51の特徴は、ワーク
ピース4を、ワークピースステージ39の上面に取付け
たところにある。
【0033】オリフィス33の開口部34周辺には、上
記カーボン粒子が付着して蓄積し、それが粒径の大きい
カーボン片となって剥離して低圧成膜室5内へ飛んで来
るおそれがある。図1に示した成膜用チャンバ1では、
ワークピース4がオリフィス33の開口部34と対向し
て設置されるため、上記カーボン片がプラズマジェット
35に含まれてワークピース4に到達して付着してしま
い、形成される炭素膜の膜質を低下させてしまう心配が
ある。
【0034】そこで、成膜用チャンバ51内を、図3に
示すような構成にすることにより、ワークピース4が直
接的にオリフィス33の開口部34と対向しない、換言
すれば、ワークピース4とオリフィス33との間にワー
クピースステージ39がつい立となってプラズマジェッ
ト35のワークピース4への直接の吹き付けを防止する
ので、プラズマジェット35に含まれたカーボン片がワ
ークピース4に到達し付着してしまう心配をなくすこと
ができる。
【0035】図4は、第2の変形例に係る成膜用チャン
バ53の構成を示す。
【0036】この成膜用チャンバ53の特徴は、アーク
放電9によるスパッタが行なわれる高圧スパッタ室3
を、チャンバ53内の仕切り板2の上側に設けて、成膜
が行なわれる低圧成膜室5を、仕切り番の下側に設けた
構成にある。要するに、図3に示した成膜用チャンバ1
を上下逆の配置としたものである。
【0037】このような構成にしても、図3を参照して
説明した実施形態における効果と略同様の効果を得るこ
とができる。
【0038】上述した実施形態又は各変形例における成
膜装置によれば、カーボン粒子の生成と成膜という2つ
の工程にそれぞれ適した条件に設定された2種類の部屋
が用意されている。すなわち、微細なカーボン粒子を生
成するためにアーク放電9の絞り込みが要求されるスパ
ッタ用の部屋は比較的高圧に設定し、そのカーボン粒子
を他の気体分子との衝突・結合を極力防いで活性に維持
することが要求される成膜用の部屋は比較的低圧に設定
する。このように、上記成膜装置は、各工程で要求され
る条件をそれぞれ満足できるような構成になっているの
で、良質な膜質を持った非晶質炭素膜の成膜が約束され
る。
【0039】このような成膜装置では、例えば次に説明
するような手順で非晶質炭素膜の成膜が行なわれる。図
1を参照して非晶質炭素膜の成膜手順を説明する。
【0040】まず、低圧成膜室5内のワークピースステ
ージ39にワークピース4を取付ける。次に、真空ポン
プ37により、低圧成膜室5内を例えば10の−5乗T
orr程度の真空度になるまで排気する。次に、高圧ス
パッタ室3内に、不活性ガスマスフローコントローラ1
9により不活性ガスを例えば500sccm導入し、高
圧スパッタ室3内の気圧を、上記アーク放電9を好適に
絞り込めるような値(例えば200Torr)にする。同
時に、バルブコントローラ47は、圧力センサ49の観
測値(つまり低圧成膜室5内の気圧)が上記好適な気圧値
(例えば3Torr)になるように、自動圧力調整バルブ
45を制御する。また、高圧スパッタ室3において、ス
テージ用コントローラ31により電極移動ステージ29
を制御し、カーボン電極7a、7b間の距離を所定の値
(例えば1mm)に調整する。次に、DCアーク用電源2
7により、カーボン電極7a、7b間に電圧をかけ一定
の電流値(例えば15A)のアーク放電9を発生させてス
パッタを行なう。このとき、ステージ用コントローラ3
1は、アーク放電電圧をモニターし、アーク放電電圧が
常に一定の値であるように、換言すれば、カーボン電極
7a、7b間の距離が常に上記所定の値であるように電
極移動ステージ29を制御して、カーボン陽極7aを、
対向するカーボン陰極7bに向けて送る。
【0041】上記アーク放電9の発生及びスパッタによ
り、カーボン粒子やカーボン陽イオンを含むプラズマ1
3が発生する。このプラズマ13は、オリフィス33の
開口部34を通じて、プラズマジェット35となって低
圧成膜室5内のワークピース4に吹き付けられる。
【0042】この手順によれば、ワークピース4表面に
形成される非晶質炭素膜のビッカース硬度は、約300
0Hvになる。
【0043】上述した手順において、パルスバイアス電
源41により、ワークピース4に負のパルスバイアス電
圧を印加することもできる。そのパルスバイアス電圧
は、例えば、−2kVで、周期100μsec、周波数
2kHzである。この場合、ワークピース4表面に形成
される非晶質炭素膜のビッカース硬度は、パルスバイア
ス電圧を印加しない場合よりも高硬度な約5000Hv
になる。
【0044】また、上述した手順において、不活性ガス
を導入する際に、水素マスフローコントローラ23によ
り水素を混入させることもできる。混入させる水素の量
は、例えば、20sccmである。この場合、ワークピ
ース4表面に形成される非晶質炭素膜のビッカース硬度
は、不活性ガスだけの場合よりも低くなり約2000H
vになる。この値は、混入させる水素の量により調整す
ることが可能である。
【0045】以上、本発明の好適な幾つかの実施形態を
説明したが、これらは本発明の説明のための例示であっ
て、本発明の範囲をこれらの実施例にのみ限定する趣旨
ではない。本発明は、他の種々の形態でも実施すること
が可能である。例えば、成膜用チャンバ1内に設ける部
屋数は2つに限らず、種々の用途に応じて室内の気圧を
設定し、それに応じて部屋を設けるようにすることもで
きる。また、上述した実施形態では、アーク電圧を常に
モニターすることでカーボン陽極7aの自動送りの制御
を行ったが、別の実施形態として、熱電子放出現象によ
りカーボン陽極7aが非常に高温となっている位置、す
なわちアークスポット25の位置を感知する熱センサー
を利用してカーボン陽極7aの自動送りの制御を行うこ
ともできる。この場合、熱センサーは、感知するアーク
スポット25の位置がカーボン陰極7bから遠ざかって
いると判断したら、カーボン陽極7aが消耗されている
ということなので、電極移動ステージ29によりカーボ
ン陽極7aをカーボン陰極7bの方向へ送らせる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る成膜装置の全体的な
構成を示すブロック図。
【図2】カーボン電極7a、7b先端部の様子を示す
図。
【図3】第1の変形例に係る成膜用チャンバ51の構成
を示すブロック図。
【図4】第2の変形例に係る成膜用チャンバ51の構成
を示すブロック図。
【符号の説明】
1 成膜用チャンバ 2 仕切り板 3 高圧スパッタ室 4 ワークピース 5 低圧成膜室 7a カーボン陽極 7b カーボン陰極 9 アーク放電 13 プラズマ 33 オリフィス 35 プラズマジェット

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワークピース表面に所定材料の膜を成膜
    することを行なうためのチャンバを有し、前記チャンバ
    は、第1の部屋と第2の部屋とを備え、 前記第1の部屋は、不活性ガスが導入され、比較的高圧
    の気圧を有し、陽極と陰極を含み少なくとも陽極が成膜
    材料で構成されているペアの電極間に電圧を印加させて
    アーク放電を発生させて、このアーク放電により前記陽
    極から成膜材料粒子を発生させ、且つ、前記アーク放電
    により前記成膜材料粒子を含むプラズマガスを発生させ
    て、前記プラズマガスを前記第2の部屋に送るための部
    屋であり、 前記第2の部屋は、気体を排気するための排気ポンプを
    有する排気装置を備えており、比較的低圧の気圧を有
    し、前記第1の部屋からの前記プラズマガスに含まれる
    前記成膜材料粒子を前記ワークピース表面に付着させて
    成膜するための部屋である成膜装置。
  2. 【請求項2】 前記成膜材料は炭素であり、成膜される
    膜は非晶質炭素膜である請求項1記載の成膜装置。
  3. 【請求項3】 前記第1の部屋と前記第2の部屋との境
    界にオリフィス又はノズルを備え、前記オリフィス又は
    ノズルが、前記プラズマガスを前記第1の部屋から前記
    第2の部屋へ噴出させる請求項1記載の成膜装置。
  4. 【請求項4】 前記オリフィス又は前記ノズルにおける
    最小開口径は、前記不活性ガスの導入量と、前記排気ポ
    ンプの排気容量と、前記第1及び第2の部屋におけるそ
    れぞれの気圧の大きさとの、少なくとも1つ以上に基づ
    いて設定される請求項3記載の成膜装置。
  5. 【請求項5】 前記比較的高圧の圧力値を調節すること
    により、前記アーク放電の前記陽極上でのアークスポッ
    トの大きさを変える手段を備える請求項1記載の成膜装
    置。
  6. 【請求項6】 前記不活性ガスに別のガスを混入させ、
    前記別のガスの量を調節することで、前記膜の材質を調
    整する手段を有する請求項1記載の成膜装置。
  7. 【請求項7】 前記不活性ガスに、水素、炭化水素、窒
    素、又は窒素を含む化合物のいずれかを混入させ、それ
    の量を調節することで、前記非晶質炭素膜の硬度を調整
    する手段を有する請求項6記載の成膜装置。
  8. 【請求項8】 ワークピース表面に所定材料の膜を成膜
    することを行なうためのチャンバを有する成膜装置にお
    ける成膜方法において、前記チャンバは第1の部屋と第
    2の部屋とを有しており、 前記第1の部屋を比較的高圧の気圧に設定する過程と、 前記第2の部屋を比較的低圧の気圧に設定する過程と、 前記第1の部屋に不活性ガスを導入する過程と、 前記第1の部屋において、陽極と陰極を含み少なくとも
    陽極が成膜材料で構成されているペアの電極間に電圧を
    印加させてアーク放電を発生させて、このアーク放電に
    より、前記陽極から成膜材料粒子を発生させる過程と、 前記第1の部屋において、前記アーク放電により前記成
    膜材料粒子を含むプラズマガスを発生し、前記プラズマ
    ガスを前記第2の部屋に送る過程と、 前記第2の部屋において、前記第1の部屋からの前記プ
    ラズマガスを、前記ワークピース表面に付着させて成膜
    する過程とを有する成膜方法。
  9. 【請求項9】 前記成膜材料は炭素であり、前記成膜さ
    れる膜は非晶質炭素膜である請求項8記載の成膜方法。
  10. 【請求項10】 前記不活性ガスに別のガスを混入さ
    せ、前記別のガスの量を調節することで前記膜の材質を
    調整する過程を更に有する請求項8記載の成膜方法。
  11. 【請求項11】 前記不活性ガスに、水素、炭化水素、
    窒素、又は窒素を含む化合物のいずれかを混入させ、そ
    れの量を調節することで、前記非晶質炭素膜の硬度を調
    整する過程を更に有する請求項10記載の成膜方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012525495A (ja) * 2009-04-29 2012-10-22 テバ ドュンシッヒトテヒニク ゲーエムベーハー 高圧蒸発による高速コーティングのための方法及び装置
US9217195B2 (en) 2011-04-20 2015-12-22 Ntn Corporation Amorphous carbon film and method for forming same

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