JP2001009978A - 吸放湿性を有する化粧材及びその製造方法 - Google Patents

吸放湿性を有する化粧材及びその製造方法

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JP2001009978A
JP2001009978A JP11183317A JP18331799A JP2001009978A JP 2001009978 A JP2001009978 A JP 2001009978A JP 11183317 A JP11183317 A JP 11183317A JP 18331799 A JP18331799 A JP 18331799A JP 2001009978 A JP2001009978 A JP 2001009978A
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moisture absorbing
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸放湿性を化粧材に付与する為の吸放湿性樹
脂層を水性エマルションの乾燥固化物として、安定的に
形成する。 【解決手段】 少なくとも吸放湿性樹脂層1からなる吸
放湿性の化粧材Dを、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
アクリル樹脂、及びポリオレフィン樹脂から選ばれる1
種又は2種以上の樹脂を分散質とする水性エマルション
中に、無機系多孔質物質の粒子からなる吸放湿材料a、
及び湿潤剤を配合して水性エマルション組成物とした
後、該水性エマルション組成物を塗工し、その乾燥固化
物を吸放湿性樹脂層として形成する。吸放湿性樹脂層は
基材2上に形成しても良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、壁材等として建築
物や乗物等の内装用に好適な、吸放湿性を有する化粧材
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、壁紙等の内装用途の化粧材の
代表的なものとして、紙又は不織布の基材上に塩化ビニ
ル樹脂層を形成した構成のものが使用されている。しか
し、塩化ビニル樹脂を使用すると、廃棄時に焼却すると
塩素系ガスを発生するため環境問題について問題視され
るため、アクリル樹脂等の塩素を含まない樹脂を使用し
て、水性エマルション樹脂層を形成したものが使用され
て来ている。
【0003】ところが、上記の如き従来の塩化ビニル樹
脂層や水性エマルション樹脂層を形成した化粧材は、い
ずれも吸放湿性に乏しく、外気温度の上昇、外気湿度の
上昇に伴い、建築物の内部の湿度が上昇し、不快指数が
上がるのみならず、壁面に結露が発生する等の問題があ
った。一方、昔から壁材等に使用されて来た、壁土、木
材(特に桐材)等では、それ自体が吸放湿性を有するの
で、建築物内の湿度変化を少なくできる調湿機能を有し
ていた。
【0004】この様なことから、特開昭54−1444
21号公報、特開平11−58625号公報等に記載の
発明の如く、化粧材の樹脂層中に活性白土等の無機系多
孔質物質等の吸放湿材料を添加して吸放湿性樹脂層とし
た、吸放湿性を有する化粧材が提案された。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この様に、化粧材に吸
放湿性を付与する場合、周囲の湿度変化により吸湿と放
湿を繰り返す吸放湿材料として、無機系多孔質物質が用
いられているが、これら材料を水性エマルション中に分
散して、安定的に樹脂層を形成するのが困難であった。
それは、無機系多孔質物質では、均一分散が出来なかっ
たり、増粘してしまう等の問題点があり、これを解消す
る方法として水での希釈があるが、水で希釈すると塗膜
の乾燥性が悪くなる等の問題点があるからである。
【0006】そこで、本発明の課題は、吸放湿性を化粧
材に付与する為の吸放湿性樹脂層を無機系多孔質物質を
含む水性エマルションの乾燥固化物として形成する場合
でも、安定的に問題無く吸放湿性樹脂層を形成できる、
吸放湿性を有する化粧材の製造方法を提供することであ
る。また、塩化ビニル樹脂を使用せず環境対応にもな
る、吸放湿性を有する化粧材の製造方法を提供すること
である。また、この様にして得られる、吸放湿性を化粧
材を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の吸放湿性を有する化粧材は、少なくとも吸
放湿性樹脂層からなり、該吸放湿性樹脂層が、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、及びポリオレフ
ィン樹脂から選ばれる1種又は2種以上の樹脂からなる
樹脂層中に、界面活性剤からなる湿潤剤と無機系多孔質
物質の粒子からなる吸放湿材料とを含有してなる構成と
した。
【0008】この様に、吸放湿性樹脂層を特定樹脂から
なる樹脂層中に、界面活性剤からなる湿潤剤と無機系多
孔質物質の粒子からなる吸放湿材料とを含有させる事
で、吸放湿効果が良好で外界の温湿度に伴う室内の湿度
の変動幅を少なくできる。しかも、水性エマルションの
乾燥固化を用いて製造するにあたり、吸放湿性樹脂層の
形成に用いる水性エマルション組成物には、湿潤剤を添
加して用いるので、吸放湿材料の添加によって増粘する
事なく、安定的に塗工形成できる。
【0009】また、本発明の吸放湿性を有する化粧材の
製造方法は、少なくとも吸放湿性樹脂層からなる吸放湿
性を有する化粧材の製造方法において、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、アクリル樹脂、及びポリオレフィン樹
脂から選ばれる1種又は2種以上の樹脂を分散質とする
水性エマルション中に、無機系多孔質物質からなる吸放
湿材料、及び湿潤剤を配合して水性エマルション組成物
とした後、該水性エマルション組成物を塗工し、その乾
燥固化物を吸放湿性樹脂層とする様にした。
【0010】この様に、吸放湿材料として使用する無機
系多孔質物質を、水性エマルション中に配合して水性エ
マルション組成物とする際に、分散剤として湿潤剤を添
加することにより、湿潤剤はその分子構造骨格によって
吸放湿材料の表面を効果的に被覆するので、水を添加す
ることなく粘度上昇を抑制させることができ、塗膜形成
時の生産安定性が向上する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の吸放湿性を有する
化粧材及びその製造方法について、実施の形態を説明す
る。
【0012】先ず、図1〜図3は、本発明の吸放湿性を
有する化粧材を例示する断面図であり、図4は、吸放湿
性樹脂層の形成に用いる水性エマルション組成物の増粘
改善効果を比較したグラフであり、図5は、調湿性能を
比較したグラフである。
【0013】吸放湿性を有する化粧材:先ず、本発明の
吸放湿性を有する化粧材の構成について、図1〜図3を
用いて、説明しておく。本発明の吸放湿性を有する化粧
材としては、少なくとも吸放湿性樹脂層1を有し、該吸
放湿性樹脂層1は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ア
クリル樹脂、及びポリオレフィン樹脂から選ばれる1種
又は2種以上の樹脂中に、無機系多孔質物質からなる吸
放湿材料aと界面活性剤からなる湿潤剤を含有した層で
あれば、いずれの構成でも良い。例えば、図1の如く、
吸放湿性樹脂層1のみの構成の化粧材Dや、図2の如
く、吸放湿性樹脂層1が基材2に積層された構成の化粧
材Dや、図3の如く、吸放湿性樹脂層1が空洞3を有す
る細胞状発泡体から構成される化粧材D等である。な
お、図3の化粧材Dは、吸放湿性樹脂層1が基材2に積
層された構成でもある。また、図示はしないが、吸放湿
性樹脂層1の裏面、基材の表面、基材の裏面等に耐水層
を設けたり、吸放湿性樹脂層の表面、裏側等に、印刷絵
柄等の装飾層を設けた構成でも良い。
【0014】吸放湿性を有する化粧材の製造方法:そし
て上記の如き化粧材が製造できる、本発明の吸放湿性を
有する化粧材の製造方法では、吸放湿性樹脂層を、次の
様な特定樹脂を分散質とする水性エマルションに、無機
系多孔質物質からなる吸放湿性材料、及び湿潤剤を配合
して得られる水性エマルション組成物から形成する。
【0015】〔分散質/樹脂成分〕樹脂成分は、吸放湿
性樹脂層1に於いては吸放湿材料aを分散保持し、該吸
放湿性樹脂層を乾燥固化物として形成する為の水性エマ
ルション組成物に於いては分散質となる。本発明ではこ
の樹脂成分として、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ア
クリル樹脂、及びポリオレフィン樹脂から選ばれる1種
又は2種以上の樹脂を使用する。この様に、本発明では
塩化ビニル樹脂を使用しないので、該樹脂による焼却時
の塩素系ガス発生が無く、吸放湿性を有する化粧材を環
境対応の化粧材として製造できる。
【0016】上記エチレン−酢酸ビニル共重合体として
は、その酢酸ビニル部分を鹸化した樹脂も使用する事が
できる。鹸化の度合いにより、親水性を調整できる。
【0017】また、上記アクリル樹脂としては、例え
ば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アク
リル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)ア
クリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−
(メタ)アクリル酸ブチル−(メタ)アクリル酸−2−
ヒドロキシエチル共重合体、(メタ)アクリル酸メチル
−(メタ)アクリル酸ブチル−(メタ)アクリル酸−2
−ヒドロキシエチル−スチレン共重合体等のアクリル系
樹脂〔ここで、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメ
タクリルの意味で用いる。〕を使用すれば良い。なお、
吸放湿性樹脂層を水性エマルションから形成する場合に
は、分子中に親水性基として水酸基を有する(メタ)ア
クリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸
−2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル等の単量体
や、分子中に親水性基としてカルボキシル基を有する
(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の単量体
を適宜共重合して、親水性としたアクリル樹脂を使用す
ると良い。
【0018】また、上記ポリオレフィン樹脂としては、
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プ
ロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重
合体等のポリオレフィン樹脂を使用すれば良い。なお、
吸放湿性樹脂層を水性エマルションから形成する場合に
は、分子中に親水性基として水酸基を有する(メタ)ア
クリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸
−2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル等の単量体
や、分子中に親水性基としてカルボキシル基を有する
(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の単量体
を適宜共重合して、親水性としたポリオレフィン樹脂を
使用すると良い。
【0019】これらの樹脂のうち、樹脂それ自体に或る
程度吸放湿性があり、しかも無機系多孔質物質との馴染
みが良く、且つその分散性が良好で添加量を増やせる事
等の理由から、エチレン−酢酸ビニル共重合体(含むそ
の鹸化物)を使用するのが好ましい。また、エチレン−
酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂との混合系等も好ま
しい。この様な混合系により塗工適性や皮膜強度等を調
整できる。
【0020】なお、上述の如き特定樹脂を分散質とする
水性エマルションは、該分散質を分散させる為にポリビ
ニルアルコール等の公知の分散剤等を含有する。
【0021】〔吸放湿性材料〕吸放湿性材料aとして
は、本発明では、多孔質の無機物からなる無機系多孔質
物質の粒子を用いる。無機系多孔質物質は比表面積が大
きことにより、良好な吸放湿性が得られる。そして、吸
放湿性樹脂層中に分散保持された無機系多孔質物質が、
湿度変化に応じて吸湿と放湿を可逆的に繰り返す事で、
化粧材の吸放湿性樹脂層に可逆的な吸放湿性を付与する
ことになる。
【0022】この様な無機系多孔質物質としては、活性
白土、酸性白土、セピオライト、珪藻土、トバモライ
ト、エトリンガイト、ゼオライト等の粘土鉱物、或いは
帆立貝の貝殻の粉末等を用いることができる。無機系多
孔質物質としては、吸放湿性能の点から、活性白土、セ
ピオライトが好ましく、また水性エマルション組成物中
での分散安定状態を考えた場合、活性白土がより好まし
い。これら吸放湿材料の平均粒径は塗工適性及び吸放湿
性能の点で0.1〜100μm、樹脂分に対する添加量
は10〜50重量部程度である。また、活性白土の平均
細孔径は吸放湿性能の点から、10〜60Å程度の物を
選ぶ。
【0023】なお、壁紙等の内装材では、通常、難燃性
を付与する目的で無機系の難燃付与剤として、水酸化マ
グネシウム、水酸化アルミニウム、体質顔料等を使用す
るが、これらでは、無機系多孔質物質に比べて比表面積
が小さく、良好な吸放湿性は得られない。
【0024】〔湿潤剤〕湿潤剤は、界面活性剤のうち特
に濡れ作用の効果が大きい界面活性剤である。性能的に
は、親水基を分子の中央近くに有するものが優れてい
る。親水基としては、例えば、スルホン酸基、硫酸基等
である。この様な、湿潤剤としては、例えば、第二高級
アルコール硫酸エステル塩、第二高級アルコールエトキ
シサルフェート、スルホコハク酸エステル塩(例えば、
「エアロゾルOT」)、アルキルナフタレンスルホン酸
塩等が挙げられる。湿潤剤の添加量は、吸放湿材料10
0重量部に対して、0.1〜1重量部程度である。
【0025】なお、湿潤剤には、アニオン系、カチオン
系、ノニオン系等があり、上記ではアニオン系を例示し
たが、使用する吸放湿材料が例えば活性白土の様にその
表面がナトリウム、カルシウム等の金属イオンを有する
場合は、吸放湿材料と湿潤剤との相互作用の面で、湿潤
剤としてはアニオン系のものが好ましい。
【0026】〔その他の任意成分〕なお、本発明で使用
する水性エマルション組成物には、必要に応じて、水酸
化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の難燃剤、1
0,10’−オキシビスフェノキシアルシン等の防黴
剤、銀イオン担持ゼオライト等の抗菌剤、染料或いは顔
料等の着色剤、有機アミノ化合物等のホルムアルデヒド
捕捉剤、熱安定剤、可塑剤、体質顔料、或いは後述する
発泡剤等の添加剤を添加しても良い。
【0027】〔吸放湿性樹脂層の形成法〕製造する化粧
材が吸放湿性樹脂層のみの単層構成の場合(図1参
照)、或いは後で基材に積層する為に予め吸放湿性樹脂
層のみを成膜形成する場合には、上述した組成物(水性
エマルション組成物)を塗料として、離型紙等の離型性
支持体シートの上に塗工して、塗膜中の分散媒を蒸発乾
燥させる事で、塗膜を固化させて膜状(シート状)の乾
燥固化物とした後、離型性支持体シートから乾燥固化物
を剥離すれば、目的とする吸放湿性樹脂層、或いは該吸
放湿性樹脂層からなる化粧材が得られる。なお、前記離
型紙等の離型性支持体シートとしては、シリコーン樹
脂、ワックス等の離型剤を紙や樹脂シートに施した公知
のものを使用すれば良い。或いは、キャスティング法で
成膜しても良い。
【0028】また、製造する化粧材が基材上に吸放湿性
樹脂層を有する複層構成の場合(図2、図3参照)は、
上述した水性エマルション組成物を塗料として、基材上
に塗工して、塗膜中の分散媒を蒸発乾燥させることで、
塗膜固化させて乾燥固化物とし吸放湿性樹脂層を形成す
れば化粧材が得られる。或いは、前記の様な方法で予め
製膜しておいた吸放湿性樹脂層のシートを、公知の接着
剤や熱融着で基材に接着積層しても良い。
【0029】(細胞状発泡体からなる吸放湿性樹脂層)
なお、形成する吸放湿性樹脂層1は、図1及び図2で示
す如く内部に空洞を含まない非発泡体でもよいが、図3
で示す化粧材Dの如く、内部に多数の空洞3を有する細
胞状発泡体としても良い。特に、細胞状発泡体で表面に
開口する空洞を多数有するものは、層内部と層外部との
通気性が良好であり、したがって、吸放湿性がより向上
する。すなわち、このような細胞状発泡体では吸放湿材
料と外気との接触が効率良く行われる為である。
【0030】表面に開口する空洞とは、吸放湿性樹脂層
の内部から吸放湿性樹脂層の表面にまで連通する空洞の
ことである。また、複数の空洞同士が互いに連通してい
て、更に、連通する空洞が吸放湿性樹脂層の表面から吸
放湿性樹脂層の内部にまで分布していると、吸放湿効果
が良好であるので好ましい。また、吸放湿性樹脂層の表
側表面から裏側表面にまで空洞が連通していてもよい。
この場合、特に基材が紙等の吸放湿性素材の場合には、
基材と外気との吸放湿も利用できる。もちろん、表面に
開口する空洞とともに、表面に開口してない空洞が併存
していてもよい。
【0031】空洞本体の直径は、通常10〜1000μ
m程度の範囲である。空洞本体が吸放湿性樹脂層の表面
に直接に開口するか、或いは通路によって吸放湿性樹脂
層表面に繋がった形になっていてもよい。該通路の直径
も空洞本体の直径と同程度の範囲である。また、空洞本
体の形状は、球、回転楕円体、多面体、その他各種形状
でよい。空洞本体及び通路の壁面は吸放湿性樹脂層を構
成する樹脂で構成される。
【0032】細胞状発泡体を形成する方法としては、前
記した樹脂中に、すなわち水性エマルション組成物中
に、発泡剤を添加してこれを加熱し発泡させる方法が代
表的である。発泡剤としては次の(1)〜(3)に挙げ
るもの等を使用できる。 (1)ポリアクリロニトリル、塩化ビニリデン樹脂、塩
化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体等の樹脂の中
空球体中に、ブタン、ヘキサン、ペンタン等の揮発・熱
膨張性物質を内包させたマイクロカプセル型発泡剤。 (2)アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニト
リル、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラ
ジド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミ
ン、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、ソジウム
ボロンハイドライド等の熱分解型発泡剤。必要に応じ
て、さらに、鉛、亜鉛、カルシウム、錫等の金属石鹸、
二塩基性硫酸鉛、三塩基性鉛、亜鉛華等の発泡促進剤を
添加する。 (3)上記(1)と(2)の混合体。
【0033】発泡剤の添加量は樹脂100重量部に対し
て通常1〜10重量部程度である。熱分解型の発泡剤を
多めに添加したり、樹脂中の界面活性剤量を多くする事
によって表面に開口する空洞を作ることができる。
【0034】また、吸放湿性樹脂層中の吸放湿材料の外
気との接触効率を上げる発泡以外の方法としては、予め
前記の方法で製膜した非発泡の吸放湿性樹脂層を1軸又
は2軸延伸する方法もある。延伸により吸放湿性樹脂中
の吸放湿材料の周囲に剪断応力によりボイドが生じ(概
念図の図3ほど極端ではないものの)、図3に近い構造
を生じるからである。
【0035】なお、吸放湿性樹脂層の厚さは、該層内の
空洞の有無に拘らず、いずれの場合も吸放湿性樹脂層の
厚みは通常50〜300μm程度である。
【0036】〔基材〕基材2は吸放湿性樹脂層1の支持
体となるものでもあり、その形状はシート状、板状等、
特に限定は無い。材料も特に限定されず用途に応じたも
のを用いれば良い。例えば、木材単板、木材合板、パー
ティクルボード、木質繊維板(MDF等)等の木材、
鉄、銅、アルミニウム等の金属、塩化ビニル樹脂、アク
リル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、
ABS樹脂、フェノール樹脂等の樹脂、硝子、陶磁器等
のセラミックス、石膏、珪酸カルシウム、セメント等の
非陶磁器窯業系材料、紙、布帛、不織布等がある。
【0037】特に、化粧材をシート(化粧シート)、な
かでも壁紙等として用いる場合は、基材として坪量が2
0〜120g/m2 程度の上質紙、薄葉紙、壁紙用裏打
紙、和紙等の紙、或いは硝子繊維、石綿、ポリエステル
繊維、ビニロン繊維等の繊維からなる織布又は不織布を
用いるのが好ましい。紙の場合、水酸化アルミニウム粉
末等の難燃剤を添加することもできる。
【0038】〔防湿・防水層〕基材として紙、木材等の
吸放湿性や透水性のあるものを使用する場合は、吸放湿
性樹脂層で吸着された水分が基材を通ってその裏面(例
えば壁の内部)に浸透することもある。そして、場合に
よっては、裏面に浸透した水分のために裏面のものが湿
気を帯びたり、反りを生じたり、或いは黴や錆を生じる
等の不都合を生じることがある。そこでこの現象を防止
する必要があるときは、吸放湿性樹脂層の裏面(基材
側)、基材の表面(吸放湿性樹脂層側)、基材の裏面、
のいずれか1箇所以上(2箇所では例えば表裏両面な
ど)に、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフ
ィン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン、アルミニウム蒸着ポ
リエチレンテレフタレート、シリカ蒸着ポリエチレンテ
レフタレート、酸化マグネシウム蒸着ポリエチレンテレ
フタレート、等からなる防湿・防水層を形成しておくこ
とが好ましい。図6に基材2の裏面にこの種の防湿・防
水層4を形成した化粧材Dの一例を示す。防湿・防水層
4の厚さは30〜100μm程度であり、熱融着や、2
液硬化型ウレタン樹脂等の接着剤によって貼り合わせた
り、或いは熔融押出し法(エクストルージョンコート
法)等で塗工形成すれば良い。
【0039】〔その他の層〕本発明の製造方法では、必
要に応じて、吸放湿性を阻害しない範囲内で、吸放湿性
樹脂層の表側面(もし該吸放湿性樹脂層が透明なら裏側
面でも可)に装飾層を設けてもよい。装飾層としては公
知のもので良く、例えば公知のインキと印刷法によって
設けた絵柄印刷層、アルミニウム等の金属薄膜層等があ
る。但し、装飾層を吸放湿性樹脂層の表側面に設ける場
合は、全面ではなく部分的に設けることが好ましい。も
ちろん、吸放湿性樹脂層と基材との間等の吸放湿性樹脂
層の裏側に設け、且つ基材が例えば樹脂基材で、基材自
体による吸放湿性を期待しない場合には、全面に設けて
も化粧材表面からの吸放湿性を阻害する事は無い。ま
た、吸放湿性を阻害しない範囲内で、吸放湿性樹脂層の
内部に公知の染料或いは顔料を添加して着色することに
よって装飾効果を出すこともできる。或いは、吸放湿性
樹脂層の表面に凹凸模様をエンボス法等で形成したり、
さらに凹凸模様の凹部に着色インキをワイピング法によ
り充填し着色することもできる。
【0040】〔化粧材の用途〕本発明の化粧材は、直
接、或いは更に他の基材を介して、各種被着体表面に積
層して用いるが、その用途として、壁、床、天井等の建
築物の内装材が代表的であり、その他、自動車、電車、
船舶、航空機等の乗物の内装材、扉、襖、窓枠、手摺り
等の建具、箪笥等の家具、間仕切り、容器等にも利用さ
れる。
【0041】
【実施例】以下、本発明について、実施例及び比較例に
より更に説明する。
【0042】〔実施例1〕水性エマルションの分散質、
エチレン−酢酸ビニル共重合体(中央理化学工業(株)
製「BE−920」)100重量部に対して、湿潤剤と
して、第二高級アルコールエトキシサルフェート0.1
重量部、マイクロカプセル型発泡剤(松本油脂(株)製
「F−85」)5重量部を添加した後、吸放湿材料とす
る無機系多孔質物質として、平均粒径20μmで平均細
孔径25Åの活性白土(水澤化学(株)製「ガレオンア
ースV2R」)100重量部を添加して、分散して、水
性エマルション組成物とした。
【0043】上記の様にして得られた水性エマルション
組成物を、基材2として坪量130g/m2 の壁紙用裏
打紙の片面に、150μmの厚さで塗工した後、120
℃で1分間加熱して塗膜を固化して乾燥固化物とした。
その後、170℃で1分間加熱して塗膜の発泡を完了さ
せて細胞状発泡体として吸放湿性樹脂層1を形成して、
図3の如き構成の化粧材Dとして壁材シートを製造し
た。
【0044】〔実施例2〕実施例1において、湿潤剤の
添加量を0.3重量部に増やした他は、実施例1同様
に、壁材シートとして化粧材を製造した。
【0045】〔比較例1〕実施例1において、湿潤剤の
添加の代わりに、カチオン系界面活性剤からなる分散剤
としてポリカルボン酸1重量部の添加に変えた他は、実
施例1同様に、壁材シートとして化粧材を製造した。
【0046】〔比較例2〕実施例1において、吸放湿性
材料の添加を省略した他は、実施例1同様に、壁材シー
トとして化粧材を製造した。
【0047】〔経時的増粘に対する低減効果の評価〕経
時的な粘度上昇に対する低減効果として、実施例1、実
施例2、及び比較例1にて得られた各々の水性エマルシ
ョン組成物について、その流動性をフローメータで測定
して評価した。なお、このフローメータによる測定法で
は、流動性としてその測定値が7〜10cm程度以上を
示せば、通常は塗工可能となる。結果を表1及び図4の
グラフに示す。実施例1では5日経過後では流動性が5
cm、2日経過後では6.2cmまで低下するが、1日
経過後では9.5cmと良好であった。また、実施例2
では5日経過後でも流動性は10.5cmと良好であっ
た。しかしながら、湿潤剤の代わりに分散剤を用いた比
較例1では、流動性が1日経過後で既に5.9cmに低
下し、不良であった。これら結果より、湿潤剤を添加す
ることにより、水等を添加することなく、水性エマルシ
ョン組成物の粘度を低下させ(流動性を高く保持させ)
ることが出来、経時時にも塗膜を塗工形成できる状態を
維持していることが分かる。
【0048】
【表1】
【0049】〔吸放湿性能評価〕実施例及び比較例の各
壁材シートについて、以下の手法により調湿性能を比較
した。具体的には、内寸25cm×25cm×25cm
の立方体形状のアルミニウムケースの内壁面に、25c
m×25cmの大きさに切断した壁材シートの1枚を貼
り合わせ、初期設定温湿度(20℃、50%RH)に恒
量化した後、アルミニウムケースを密閉し、外気温度を
20℃で0.5時間、30℃で2時間、20℃で2時
間、10℃で2時間の順に変化させる操作を1サイクル
として、1サイクル強の操作を行い、アルミニウムケー
ス内の湿度変化を測定した。
【0050】得られた結果を図5に示す。図5のグラフ
の如く、実施例1、実施例2、及び比較例1は、湿度変
化は略同じでその調湿効果には殆ど差異は無かった。そ
して、これらは、吸放湿材料を使用しない比較例2に比
べて、いずれも湿度調整効果を有し、しかも湿潤剤添加
による吸放湿性能の低下は見られなかった。
【0051】
【発明の効果】本発明の吸放湿性を有する化粧材は、
吸放湿効果が良好で外界の温湿度に伴う室内の湿度の変
動幅を少なくできる。しかも、水性エマルションの乾燥
固化を用いて製造するにあたり、吸放湿性樹脂層の形成
に用いる水性エマルション組成物には、湿潤剤を添加し
て用いるので、吸放湿材料の添加によって増粘する事な
く、安定的に塗工形成できる。また、本発明の吸放湿
性を有する化粧材の製造方法によれば、吸放湿効果が良
好で外界の温湿度に伴う室内の湿度の変動幅を少なくで
きる化粧材を製造できる。しかも、吸放湿性樹脂層の形
成に用いる水性エマルション組成物には、湿潤剤を添加
して用いるので、吸放湿材料の添加によって増粘する事
なく、安定的に塗工形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧材の一形態を例示する断面図。
【図2】本発明の化粧材の別の形態(基材付き)を例示
する断面図。
【図3】本発明の化粧材の別の形態(細胞状発泡体)を
例示する断面図。
【図4】増粘改善効果を比較したグラフ。
【図5】調湿性能を比較したグラフ。
【図6】本発明の化粧材の別の形態(基材裏面に防湿・
防水層付き)を例示する断面図。
【符号の説明】
1 吸放湿性樹脂層 2 基材 3 空洞 4 防湿・防水層 a 吸放湿材料 D 化粧材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B32B 33/00 B32B 33/00 C09D 123/00 C09D 123/00 131/04 131/04 S 133/00 133/00 E04B 1/64 E04B 1/64 D Fターム(参考) 2E001 DB03 FA06 GA12 GA42 HD11 HF04 JA06 4D012 CA01 CB03 CD10 CG01 CK06 4F100 AA00A AC00 AH04 AH04H AK03A AK25A AK62A AK66A AK68A AT00B BA01 BA02 BA03 BA07 CA01 CA18A CA30A DG10 DJ10A EH462 EJ02 EJ42 EJ862 GB08 GB33 JD15 JD15A JD16 JD16A JM01A 4J038 CB021 CB051 CB061 CB071 CB081 CB101 CB141 CF031 CG141 CH031 CH051 GA02 GA03 GA06 HA156 HA506 HA526 JC09 JC13 KA09 KA20 KA22 MA08 MA10 NA25 NA27 PB05 PB07

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも吸放湿性樹脂層からなり、該
    吸放湿性樹脂層が、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ア
    クリル樹脂、及びポリオレフィン樹脂から選ばれる1種
    又は2種以上の樹脂からなる樹脂層中に、界面活性剤か
    らなる湿潤剤と無機系多孔質物質の粒子からなる吸放湿
    材料とを含有してなる、化粧材。
  2. 【請求項2】 少なくとも吸放湿性樹脂層からなる吸放
    湿性を有する化粧材の製造方法において、 エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、及びポ
    リオレフィン樹脂から選ばれる1種又は2種以上の樹脂
    を分散質とする水性エマルション中に、無機系多孔質物
    質の粒子からなる吸放湿材料、及び湿潤剤を配合して水
    性エマルション組成物とした後、該水性エマルション組
    成物を塗工し、その乾燥固化物を吸放湿性樹脂層とす
    る、化粧材の製造方法。
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