JP2006321207A - 積層体 - Google Patents

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JP2006321207A JP2005148772A JP2005148772A JP2006321207A JP 2006321207 A JP2006321207 A JP 2006321207A JP 2005148772 A JP2005148772 A JP 2005148772A JP 2005148772 A JP2005148772 A JP 2005148772A JP 2006321207 A JP2006321207 A JP 2006321207A
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Kiyoharu Kitamura
清晴 北村
Munetoshi Tomita
宗利 冨田
Hiroyuki Nakajima
寛幸 中島
Mitsunori Ueda
光則 上田
Tomoyuki Yamamoto
友之 山本
Manabu Nagano
学 永野
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Abstract

【課題】吸放湿性および透湿性を兼ね備えた積層体、当該積層体を含んでなる壁紙、ならびに当該壁紙を含んでなる内壁構造体の提供。
【解決手段】吸放湿層(A)と透湿性粘着層(B)を含んでなる積層体であって、該吸放湿層(A)が、(a)PVA系樹脂、または(b)PVA系樹脂もしくはEVOH系樹脂と、アクリル酸重合体およびポリビニルピロリドンからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂との樹脂組成物を含んでなり、該透湿性粘着層(B)が、(B1)アクリル酸C4−12アルキルエステル75.0〜98.9重量%、(B2)N−ビニルピロリドン1.0〜10.0重量%、(B3)カルボキシル基含有不飽和単量体0.1〜5.0重量%および(B4)その他の共重合可能な不飽和単量体0〜10.0重量%からなり、かつ透湿度が100g/m・24hr以上である樹脂を含んでなる積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、吸放湿性および透湿性を兼ね備えた積層体に関する。さらに詳しくは、本発明は、壁内の結露防止および室内の調湿が可能な壁紙に特に有用な積層体に関する。
従来、外気と室内の温度差により内壁材と外壁材との間(壁内)または内装材の表面に結露を生じることがしばしば見受けられ、その結果としてカビが生じることがあり、非衛生的であるとともに、見た目にもよくないものであった。そのため、従来からカビを防止する手立てとして、結露を防止する種々の工夫がなされてきた。
その具体的な手段としては、例えば、透湿性であるが水分は通過しない膜またはシートを用いて湿気を室外へ除去する方法、高吸水性高分子または吸水性高分子を用いて、湿気を吸水することによって、結露を防止する方法などが知られていた。
このような機能を持たせた建築用材料としては、壁紙(シートを含む)、室内用塗料、壁材、内装パネル、壁構造、天井材などが挙げられる。
例えば、特許文献1では、ポリビニルアルコール(以下、「PVA」と略することもある)フィルムと不織布を使用した透湿性シートを壁内の通気層と断熱材との間に使用している。又、該透湿性シートを断熱材と内壁との間に使用する場合もある。このような構造にすることにより、夏場においては、高湿度の外気を室内に向けて透過させ、壁内に湿気が滞留しないことを目指している。
しかしながら、特許文献1には壁紙について言及されておらず、透湿性のない壁紙を使用すると、湿気が滞留してしまい、壁内の結露が防止できないという課題があった。
また、吸放湿性層またはシートとしては、ビニルアルコール・アクリル酸共重合体(特許文献2)、ビニルアルコール・弗化ビニル共重合体の塗料エマルジョン(特許文献3)、金属イオンをコロイド状態で包含したPVAを付着させた壁材(特許文献4)、PVAやエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(以下、「EVOH」と略することもある)層を有する化粧シート(特許文献5)、PVAとアクリル酸の水溶性塩系重合体の特定比率からなる樹脂組成物からなるシート(特許文献6)などが知られているが、それらの吸放湿性は不充分であった。又、これらの文献には壁内の結露に関しては言及されておらず、未解決であった。
特開2002−172739号公報 特開平03−142241号公報 特開平07−118599号公報 特開平03−275731号公報 特開2000−272054号公報 特開平03−189123号公報
本発明は、壁内の結露防止および室内の調湿が可能な壁紙に特に有用な積層体を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、鋭意研究の結果、吸放湿層(A)と透湿性粘着層(B)を含んでなる積層体であって、該吸放湿層(A)が、(a)ポリビニルアルコール系樹脂、または(b)ポリビニルアルコール系樹脂もしくはエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物系樹脂と、アクリル酸重合体およびポリビニルピロリドンからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂との樹脂組成物を含んでなり、該透湿性粘着層(B)が、(B1)アクリル酸C4−12アルキルエステル75.0〜98.9重量%、(B2)N−ビニルピロリドン1.0〜10.0重量%、(B3)カルボキシル基含有不飽和単量体0.1〜5.0重量%および(B4)その他の共重合可能な不飽和単量体0〜10.0重量%からなり、かつ透湿度が100g/m・24hr以上である樹脂を含んでなる積層体を提供することによって、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕吸放湿層(A)と透湿性粘着層(B)を含んでなる積層体であって、
該吸放湿層(A)が、
(a)ポリビニルアルコール系樹脂、または
(b)ポリビニルアルコール系樹脂もしくはエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物系樹脂と、アクリル酸重合体およびポリビニルピロリドンからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂との樹脂組成物を含んでなり、
該透湿性粘着層(B)が、
(B1)アクリル酸C4−12アルキルエステル75.0〜98.9重量%、
(B2)N−ビニルピロリドン1.0〜10.0重量%、
(B3)カルボキシル基含有不飽和単量体0.1〜5.0重量%および
(B4)その他の共重合可能な不飽和単量体0〜10.0重量%からなり、かつ透湿度が100g/m・24hr以上である樹脂を含んでなる、積層体;
〔2〕吸放湿層(A)と透湿性粘着層(B)との間に、ポリビニルアルコール系樹脂またはエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物系樹脂を含んでなる透湿層(C)をさらに含んでなる、上記〔1〕に記載の積層体;
〔3〕透湿層(C)が、少なくとも縦軸方向に延伸したフィルムである、上記〔2〕に記載の積層体;
〔4〕吸放湿層(A)側の表面に、表面層(D)をさらに含んでなる、上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の積層体;
〔5〕上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の積層体を含んでなる、壁紙;および
〔6〕上記〔5〕に記載の壁紙と、内壁材とを透湿性粘着層(B)を介して貼り合わせてなる、内壁構造体。
本発明の積層体は、優れた吸放湿性を有する層と、優れた透湿性を有する層を含んでなるので、吸放湿層側の湿度を一定に保つことができ、かつ、透湿層側が高湿度環境下にある場合、湿気を吸放湿層側に透過させることができる。従って、本発明の積層体を含んでなる壁紙および内壁構造体は、一定の湿度に調湿された常に快適な室内環境を保つことができ、かつ、工法、地域の気候、季節にかかわらず、壁内の結露の発生を防止することができる。さらに、内壁材を高湿度環境下に曝すことも防ぐことができるので、高湿度環境下における内壁材(内壁ボードなど)の反りや、カビの発生、ダニの発生、腐敗などを防止することもできる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の積層体は、吸放湿層(A)と透湿性粘着層(B)を含んでなる積層体であって、該吸放湿層(A)が、(a)PVA系樹脂、または(b)PVA系樹脂もしくはEVOH系樹脂と、アクリル酸重合体およびポリビニルピロリドンからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂との樹脂組成物を含んでなり、該透湿性粘着層(B)が、(B1)アクリル酸C4−12アルキルエステル75.0〜98.9重量%、(B2)N−ビニルピロリドン1.0〜10.0重量%、(B3)カルボキシル基含有不飽和単量体0.1〜5.0重量%および(B4)その他の共重合可能な不飽和単量体0〜10.0重量%からなり、かつ透湿度が100g/m・24hr以上である樹脂を含んでなるものである。
(吸放湿層(A)の説明)
上記吸放湿層(A)の(a)または(b)に用いるPVA系樹脂は、特に限定されないが、ビニルエステル系化合物を重合して得られたポリビニルエステル系重合体をケン化して得られるものが好ましい。
かかるビニルエステル系化合物としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、バーサティック酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニルなどが単独または併用で用いられるが、実用上は酢酸ビニルが好適である。
該PVA系樹脂の平均重合度(JIS K6726に準拠)は、特に限定されないが、300〜4500が好ましく、さらに好ましくは500〜4000、特に好ましくは1000〜3500である。平均重合度がこの範囲内であれば、樹脂層としたときに適度な強度を付与することができる。また、該PVA系樹脂水溶液を調整する際に、水溶液の粘度を適度に保つことができ、フィルムまたはシート(以下、「フィルム」と総称する)に成形する際や後記表面層(D)などに塗布する際に、作業性が良好になる。また、水溶液の保存安定性も良好となる。
該PVA系樹脂のケン化度は、特に限定されないが、70〜99.9モル%が好ましく、さらに好ましくは80〜99.9モル%、特に好ましくは85〜99.9モル%である。該PVA系樹脂のケン化度がこの範囲内にあれば、後記アクリル酸重合体およびポリビニルピロリドンからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂に配合する際に相溶性が良好となる。また、該PVA系樹脂を水溶液としたときの粘度を適度に保持することができ、フィルムに成形する際や後記表面層(D)などに塗布する際の作業性が良好となる。さらに、水溶液の保存安定性も良好となる。
また、本発明で用いるPVA系樹脂は、その特性を損なわない範囲で他の単量体と共重合していてもよく、かかる単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセンなどのオレフィン類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸などの不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノまたはジアルキルエステルなど;アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのニトリル類;ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド類;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸などのオレフィンスルホン酸あるいはその塩;アルキルビニルエーテル類;N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドなどのアンモニウム塩;ジメチルアリルビニルケトン;N−ビニルピロリドン;塩化ビニル;塩化ビニリデン;ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル;ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレートなどのポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート;ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミドなどのポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド;ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステルなどのポリオキシアルキレンエステル化合物;ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテルなどのポリオキシアルキレンビニルエーテル化合物;ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミンなどのポリオキシアルキレンオレフィンアミン化合物などが挙げられる。また、酢酸ビニルの重合時に連鎖移動剤、例えばメルカプト基を有する化合物を共存させて重合した後にケン化してもかまわない。さらに、PVA系樹脂に官能基を有する化合物を後反応で付加して変性(例えば、アセト酢酸エステル化、エステル化、アセタール化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化、オキシアルキレン化、アシル化、ウレタン化など)させた後変性PVA系樹脂も用いることができる。
上記吸放湿層(A)の樹脂組成物(b)に用いるEVOH系樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化によって得られるものであれば特に限定されない。該エチレン−酢酸ビニル共重合体は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合などにより製造でき、又、該エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化も公知の方法で行うことができる。
該EVOH系樹脂のエチレン含有率は、特に限定されないが、10〜70モル%が好ましく、さらに好ましくは20〜60モル%、特に好ましくは25〜55モル%である。エチレン含有率が10モル%未満であると、製膜時の溶融成形性が低下するおそれがある。一方、エチレン含有率が70モル%を超えると、高湿度下での透湿度が低下するおそれがある。
該EVOH系樹脂の酢酸ビニル成分のケン化度は、特に限定されないが、85モル%以上(さらには90モル%以上、特には95モル%以上)のものが好ましい。ケン化度が85モル%以上であることにより、熱安定性、耐湿性などに優れるので好ましい。
該EVOH系樹脂のメルトインデックス(MI)としては、特に限定されないが、0.1〜100g/10分(210℃、荷重2160g)が好ましく、より好ましくは1〜50g/10分である。MIが0.1g/10分以上であることにより、製膜成形時に押出機内が低トルク状態となって押出加工が容易になり、一方、100g/10分以下であることにより、製膜性や加熱延伸成形時の外観性が低下しないので好ましい。
該EVOH系樹脂には、本発明の効果を阻害しない範囲で共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合していてもよく、かかる単量体としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどのオレフィン類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸などの不飽和酸類またはその塩あるいはモノ−またはジ−C1−18アルキルエステル類;アクリルアミド、N−C1−18アルキル−アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩;アクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその酸塩またはその4級塩などのアクリルアミド類;メタクリルアミド、N−C1−18アルキル−メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその酸塩またはその4級塩などのメタクリルアミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルアミド類;アクリルニトリル、メタクリルニトリルなどのシアン化ビニル類;C1−18アルキル−ビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;トリメトキシビニルシランなどのビニルシラン類;酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコールなどのアリル化合物類;トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド;アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられる。又、該EVOH系樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化など、後変性されても差し支えない。
かかるEVOHは、熱安定性や接着性を付与する目的で、金属(例、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属など)、ホウ酸、リン酸などを含有させても良い。その場合には、直径が0.1〜10μm程度の細孔が均一に分布したミクロポーラスな内部構造をもつものがかかる物質を均一に含有させ得る点で好ましく、通常EVOHの溶液(水/アルコール混合溶媒など)を凝固浴中に押し出すときに、EVOH溶液の濃度(20〜80重量%)、押出温度(45〜70℃)、溶媒の種類(水/アルコール混合重量比=80/20〜5/95など)、凝固浴の温度(1〜20℃)、滞留時間(0.25〜30時間)、凝固浴中でのEVOH量(0.02〜2重量%)などを任意に調節することで、該構造のEVOHを得ることが可能となる。さらには含水率20〜80重量%のものが、上記の化合物などを均一にかつ迅速に含有させることができて好ましい。また、かかる物質の含有量の調整にあたっては、特に限定されないが、前述の水溶液との接触処理において、かかる物質の水溶液濃度、接触処理時間、接触処理温度、接触処理時の撹拌速度や処理されるEVOHの含水率などをコントロールすることで可能である。
上記金属のうち、アルカリ金属としてはナトリウム、カリウムなどが挙げられ、アルカリ土類金属としてはカルシウム、マグネシウムなどが挙げられ、遷移金属としてはマンガン、銅、コバルト、亜鉛などが挙げられるが、中でもナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、亜鉛などの遷移金属が好ましい。これらの金属は、酢酸やステアリン酸などの脂肪酸や、ホウ酸、リン酸などの無機酸などの金属塩としてEVOH系樹脂に含有させることができる。
また、EVOH系樹脂に含有させるリン酸としては、リン酸水素塩やリン酸の他、上記金属のリン酸塩を用いることができる。
EVOH系樹脂にホウ素を含有させるためのホウ素化合物としては、ホウ酸、ホウ酸カルシウム、ホウ酸コバルト、ホウ酸亜鉛(四ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛など)、ホウ酸アルミニウム・カリウム、ホウ酸アンモニウム(メタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウムなど)、ホウ酸カドミウム(オルトホウ酸カドミウム、四ホウ酸カドミウムなど)、ホウ酸カリウム(メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、五ホウ酸カリウム、六ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウムなど)、ホウ酸銀(メタホウ酸銀、四ホウ酸銀など)、ホウ酸銅(ホウ酸第二銅、メタホウ酸銅、四ホウ酸銅など)、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウムなど)、ホウ酸鉛(メタホウ酸鉛、六ホウ酸鉛など)、ホウ酸ニッケル(オルトホウ酸ニッケル、二ホウ酸ニッケル、四ホウ酸ニッケル、八ホウ酸ニッケルなど)、ホウ酸バリウム(オルトホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、二ホウ酸バリウム、四ホウ酸バリウムなど)、ホウ酸ビスマス、ホウ酸マグネシウム(オルトホウ酸マグネシウム、二ホウ酸マグネシウム、メタホウ酸マグネシウム、四ホウ酸三マグネシウム、四ホウ酸五マグネシウムなど)、ホウ酸マンガン(ホウ酸第一マンガン、メタホウ酸マンガン、四ホウ酸マンガンなど)、ホウ酸リチウム(メタホウ酸リチウム、四ホウ酸リチウム、五ホウ酸リチウムなど)などの他、ホウ砂、カーナイト、インヨーアイト、コトウ石、スイアン石、ザイベリ石などのホウ酸塩鉱物などが挙げられ、好適にはホウ酸、ホウ砂、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウムなど)を用いることができる。
該吸放湿層(A)に用いるアクリル酸重合体としては、特に限定されず、アクリル酸単独の重合体や、アクリル酸と本発明の目的を阻害しない範囲で共重合可能なモノマー(例えば、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチルなどのアクリル酸エステル類、ギ酸ビニル、酢酸ビニルなどのビニルエステル類、スチレン、p−スチレンスルホン酸、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどの炭素数2〜30のオレフィン類、マレイン酸、スルホン酸を有するビニルエステル類など)を共重合させたアクリル酸共重合体が挙げられる。また、その重合体に含まれるカルボキシル基の全てまたは一部を部分的に中和した塩型になっているものも本発明でいうアクリル酸重合体に含まれる。該塩としては、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩など)、アミン塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
該アクリル酸重合体が塩型である場合、その中和度は特に限定されないが、80%以下が好ましく、さらに好ましくは20〜70%、特に好ましくは30〜70%である。中和度が80%以下であれば、PVA系樹脂と混合する際に、混合水溶液が相分離することを防ぐことができる。
該吸放湿層(A)に用いるポリビニルピロリドンとしては、特に限定されず、公知のものが使用できる。また、本発明の目的を阻害しない範囲で、ビニル系化合物(例えば、酢酸ビニル;α−オレフィン;エチレン性不飽和カルボン酸またはその塩、アルキルエステル、無水物、ニトリルもしくはアミド;エチレン性不飽和スルホン酸;ビニルエーテル;酢酸ビニル以外のビニルエステル;塩化ビニル;スチレンなど)などとの共重合体を用いても構わない。
該吸放湿層(A)が、PVA系樹脂もしくはEVOH系樹脂(X)と、アクリル酸重合体およびポリビニルピロリドンからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂(Y)との樹脂組成物を含んでなる場合、配合重量比率(X/Y)は、特に限定されないが、95/5〜5/95が好ましく、さらに好ましくは90/10〜10/90、特に好ましくは80/20〜20/80である。配合比率が95/5〜5/95の範囲内にある場合、本発明の効果を充分に得ることができる。
該吸放湿層(A)には、発明の効果を損なわない範囲で、可塑剤や、その他の高分子化合物、無機化合物、有機化合物などを添加してもよい。可塑剤としては、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられ、これらは単独で使用しても2種以上併用してもよい。
また、該吸放湿層(A)は、発明の効果を損なわない範囲で、上記樹脂成分の他に、必要に応じてフェノール系、アミン系などの抗酸化剤、リン酸エステル類などの安定剤、着色料、香料、増量剤、消泡剤、剥離剤、紫外線吸収剤、無機粉体、界面活性剤、難燃化剤、発泡剤などの通常の添加剤を適宜配合しても差し支えない。又、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどのPVA系樹脂以外の他の水溶性樹脂を混合してもよい。
(透湿性粘着層(B)の説明)
上記透湿性粘着層(B)に用いる樹脂は、(B1)アクリル酸C4−12アルキルエステル75.0〜98.9重量%、(B2)N−ビニルピロリドン1.0〜10.0重量%、(B3)カルボキシル基含有不飽和単量体0.1〜5.0重量%および(B4)その他の共重合可能な不飽和単量体0〜10.0重量%からなり、かつ所定の透湿度を有する樹脂であり、当該樹脂は適度な粘着性を有する。
(B1)で用いるアクリル酸C4−12アルキルエステルとしては、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸ラウリルなどを挙げることができ、好適にはアクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルが用いられる。
(B3)で用いるカルボキシル基含有不飽和単量体としては、エチレン性不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸など)、エチレン性不飽和カルボン酸モノエステル(マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステルなど)、エチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル(マレイン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステルなど)、エチレン性不飽和カルボン酸無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸など)、(メタ)アクリル酸などの単量体およびその塩などを挙げることができ、好適には(メタ)アクリル酸が用いられる。
(B4)で用いるその他の共重合可能な不飽和単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニルなどのビニルエステル類、スチレン、p−スチレンスルホン酸、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどの炭素数2〜30のオレフィン類、マレイン酸、スルホン酸を有するビニルエステル類、(メタ)アクリル酸C1−3アルキルエステル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有アクリル酸アルキルエステル類、アクリロニトリルなどの不飽和シアン化合物、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの窒素原子含有モノマー、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのアルキレンオキサイド含有モノマーなどを挙げることができる。
かかる(B1)〜(B4)の含有量(共重合割合)は、(B1)が75.0〜98.9重量%、(B2)が1.0〜10.0重量%、(B3)が0.1〜5.0重量%および(B4)が0〜10.0重量%である。(B1)が75.0重量%未満では粘着力が不充分となり、逆に98.9重量部を超えると透湿性が不充分となって本発明の目的が達成できない。また、(B2)が1.0重量%未満では透湿性が不充分となり、逆に10.0重量%を超えると粘着力が不充分となって本発明の目的が達成できない。(B3)が0.1重量%未満では架橋性反応基の量が少なく、凝集力不足となり、逆に5.0重量%を超えるとタックが低下して不適当である。(B4)が10.0重量%を超えると粘着力が不充分となって不適当である。
本発明の積層体が所望の透湿性を達成するためには、上記透湿性粘着層(B)の透湿度は、100g/m・24hr以上(好ましくは200g/m・24hr以上、より好ましくは300g/m・24hr以上)である。
かかる透湿度に調整する手段は特に制限されないが、例えば(B2)、(B3)および(B4)の中の親水性基含有不飽和単量体(好ましくは水酸基、アミノ基、アルキレンオキサイドを含有する不飽和単量体など)の量比を調整し共重合するなどの方法により調整することができる。
なお、上記透湿度とは、JIS法(JIS L1099;A−2法)に準じて得られた値である。具体的には、透湿度測定用カップに蒸留水を入れ、試験片の裏面(粘着剤面)を水側に向けてカップの口と貼り合わせ、40℃×50%RHの恒温・恒湿装置中にて1時間放置後、質量(a)を量る。恒温・恒湿装置中の同じ位置に再び置き、さらに1時間放置し、質量(a)を量る。得られた質量(a)および(a)の数値より、次式(1)を用いて透湿度を求める。

A2=10×(a−a)×24/SA2 (1)

ここでPA2は透湿度(g/m・24hr)、(a−a)は試験片の1時間当たりの質量変化量(mg/hr)、SA2は透湿面積(cm)を表す。
該透湿性粘着層(B)の粘着性は特に限定されず、例えば、本発明の積層体を含んでなる壁紙と内壁材とを該透湿性粘着層(B)を介して貼り合わせて内壁構造体を形成するのに十分な接着力を有していればよい。当該接着力は該透湿性粘着層(B)の組成、内壁材の材質などによっても変動するが、具体的には、例えば、5〜35N/25mmの範囲内であることが好ましく、10〜30N/25mmの範囲内であることがより好ましい。
該透湿性粘着層(B)は、上記樹脂成分(B1)〜(B4)の他に、必要に応じて、その透湿性を損なわない範囲で、公知のロジン系樹脂、変性ロジン樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、石油系樹脂およびクマロン樹脂ならびにこれらの水添物などの粘着付与剤;公知の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、酸化防止剤などの耐候性付与剤;可塑剤;軟化剤;炭酸カルシウム、シリカ、タルクなどの無機系充填剤;有機系充填剤;顔料;染料などの各種添加剤を1つまたは複数含むことができる。
(積層体の製造方法)
本発明の積層体は、上記吸放湿層(A)と透湿性粘着層(B)を含んでなる。該積層体を製造する方法としては特に限定されないが、例えば、吸放湿層(A)のフィルムを製造しておき、該フィルムに透湿性粘着層(B)を積層する方法、透湿性粘着層(B)に、吸放湿層(A)組成の水溶液を塗工し、乾燥する方法などが挙げられる。
該吸放湿層(A)のフィルムを製造する方法は、特に限定されず、公知の製膜方法を使用することができるが、通常、押出法または流延法が採用される。すなわち、上記樹脂成分に必要に応じて水、溶剤、可塑剤(多価アルコールなど)、架橋剤(多価エポキシ化合物、ジアルデヒド、メチロールメラミンなど)、フィラー、着色剤、安定剤、機能性薬剤などを配合した後、ダイまたはノズルから空気中にまたは凝固浴中に吐出させるか、あるいはドラム、エンドレスベルトなどの金属面上に流延し、必要に応じて乾燥する。典型的には、上記樹脂成分の水溶液(通常、樹脂濃度5〜50重量%)に必要に応じて他の添加剤を配合し、ダイまたはノズルから吐出させるか、あるいはドラム、エンドレスベルトなどの金属面上に流延した後、乾燥する。
本発明においては、吸放湿性の点で、吸放湿層(A)は未延伸フィルムであることが好ましい。しかしながら、得られた吸放湿層(A)の未延伸フィルムは、必要に応じて延伸または熱固定することもできる。延伸または熱固定を行うことで、吸放湿層(A)の機械的強度、耐水性、寸法安定性を向上させることができる。
延伸の方法は特に限定されず、一軸延伸、二軸延伸などの種々の方法を用いることができる。
該吸放湿層(A)のフィルムに透湿性粘着層(B)を積層する方法は、特に限定されず、公知の積層方法を使用することができる。例えば、透湿性粘着層(B)を構成する上記樹脂成分の溶液を吸放湿層(A)のフィルムに塗布し乾燥する方法や吸放湿層(A)のフィルムと透湿性粘着層(B)のフィルムを貼り合わせる方法などがある。
かくして得られる積層体(A/B)において、各層の厚みは、特に限定されないが、好ましくはA/B=5〜500μm/1〜200μmであり、より好ましくは10〜200μm/10〜100μmである。
吸放湿層(A)の厚みを5μm以上とすることにより、十分な吸放湿性能を付与することができ、かつ、均一性および強度が十分で破れが生じにくい。また、吸放湿層(A)の厚みを500μm以下とすることにより、補強材シートを積層して得られるシートとしての透湿性が保持され、作業性が良好となり、かつコストを低減できる。
又、透湿性粘着層(B)の厚みを1μm以上とすることにより、高粘度での塗工条件となるので、溶剤の使用量を減らすことができる。そのため、製造環境や使用環境への影響が低減される。また、十分な接着力を付与することができ、壁などへの貼付が容易になる。また、透湿性粘着層(B)の厚みを200μm以下とすることにより、塗布後の乾燥時間が短縮され、コストを低減できる。
(透湿層(C)の説明)
本発明の積層体は、吸放湿層(A)と透湿性粘着層(B)との間に、PVA系樹脂またはEVOH系樹脂を含んでなる透湿層(C)をさらに含むことができる。この場合、吸放湿層(A)と透湿性粘着層(B)を含んでなる積層体の上記性能に加えて、高湿度下では透湿性が高く、低湿度下では透湿性が低いという性能をさらに付与できる。
該透湿層(C)に用いるPVA系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、上記吸放湿層(A)で用いるPVA系樹脂が挙げられる。好ましくは、平均重合度が500〜4500、さらに好ましくは1000〜4500であり、かつケン化度が90〜99.9モル%、さらに好ましくは95〜99.9モル%であるPVA系樹脂が挙げられる。かかる平均重合度を500以上とすることにより、透湿層(C)がフィルム強度などの機械的物性に優れ、一方、平均重合度を4500以下とすることにより、透湿層(C)のフィルムへの製膜性が良好となる。また、ケン化度を90モル%以上とすることにより、透湿層(C)に良好な耐水性を付与することができる。
透湿層(C)に用いるPVA系樹脂フィルムは、ドラム、エンドレスベルトなどの金属面上にPVA系樹脂溶液を流延してフィルムを形成する方法、あるいは押出機による溶融押出により製造される。
透湿層(C)の製造に用いる製膜用の原液として、通常はPVA系樹脂濃度が15〜60重量%、好ましくは20〜50重量%のPVA系樹脂−水の組成物を調製する。
当該組成物は、必要に応じてエチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどの多価アルコール類の可塑剤やフェノール系、アミン系などの抗酸化剤、リン酸エステル類などの安定剤、着色料、香料、増量剤、消泡剤、剥離剤、紫外線吸収剤、無機粉体、界面活性剤などの通常の添加剤を適宜配合しても差し支えない。又、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどのPVA系樹脂以外の他の水溶性樹脂を混合してもよい。
上記で調製したPVA系樹脂−水の組成物の調製は製膜機(押出機)に連動させるか、あるいは当該組成物を一旦ペレット化、フレーク化した後、製膜機に供給して押出製膜する。尚、PVA系樹脂−水の組成物の調製と製膜操作を同一の押出機を用いて行うこともできるが、長さ/直径比(L/D)を大きくしたり、多軸押出機を使用したり、ギアポンプを利用するなど、均一な混和と製膜安定性に留意する必要がある。
PVA系樹脂フィルムの製膜法については、特に限定されないが、上記原液を押出機に供給して溶融混練した後、Tダイ法、インフレーション法により押出製膜し、乾燥する方法が好ましい。
押出機内での溶融混練温度は55〜140℃が好ましく、さらには55〜130℃が好ましい。かかる温度が55℃未満ではフィルム肌の不良を招き、140℃を越えると発泡現象を招くおそれがある。製膜後のフィルムは乾燥され製品化される。かかる乾燥については、70〜110℃、好ましくは80〜100℃で行うことが好ましい。
該透湿層(C)に用いるEVOH系樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化によって得られるものであれば特に限定されない。該エチレン−酢酸ビニル共重合体は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合などにより製造できる。又、該エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化も公知の方法で行うことができる。
該EVOH系樹脂のエチレン含有率は、特に限定されないが、10〜70モル%が好ましく、さらに好ましくは20〜60モル%、特に好ましくは25〜55モル%である。エチレン含有率が10モル%未満であると、製膜時の溶融成形性が低下するおそれがある。一方、エチレン含有率が70モル%を超えると、高湿度下での透湿度が低下するおそれがある。
該EVOH系樹脂の酢酸ビニル成分のケン化度は、特に限定されないが、85モル%以上(さらには90モル%以上、特には95モル%以上)のものが好ましい。ケン化度が85モル%以上であることにより、熱安定性、耐湿性などに優れるので好ましい。
該EVOH系樹脂のメルトインデックス(MI)としては、特に限定されないが、0.1〜100g/10分(210℃、荷重2160g)が好ましく、より好ましくは1〜50g/10分である。MIが0.1g/10分以上であることにより、製膜成形時に押出機内が低トルク状態となって押出加工が容易になり、一方、100g/10分以下であることにより、製膜性や加熱延伸成形時の外観性が低下しないので好ましい。
該EVOH系樹脂には、本発明の効果を阻害しない範囲で共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合していてもよく、かかる単量体としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどのオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸などの不飽和酸類またはその塩あるいはモノ−またはジ−C1−18アルキルエステル類;アクリルアミド、N−C1−18アルキル−アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩;アクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその酸塩またはその4級塩などのアクリルアミド類;メタクリルアミド、N−C1−18アルキル−メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその酸塩またはその4級塩などのメタクリルアミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルアミド類;アクリルニトリル、メタクリルニトリルなどのシアン化ビニル類;C1−18アルキル−ビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;トリメトキシビニルシランなどのビニルシラン類;酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコールなどのアリル化合物類;トリメチル(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロリド;アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられる。又、該EVOH系樹脂は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化など、後変性されても差し支えない。
かかるEVOHは、熱安定性や接着性を付与する目的で、金属(例、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属など)、ホウ酸、リン酸などを含有させても良い。その場合には、直径が0.1〜10μm程度の細孔が均一に分布したミクロポーラスな内部構造をもつものがかかる物質を均一に含有させ得る点で好ましく、通常EVOHの溶液(水/アルコール混合溶媒など)を凝固浴中に押し出すときに、EVOH溶液の濃度(20〜80重量%)、押出温度(45〜70℃)、溶媒の種類(水/アルコール混合重量比=80/20〜5/95など)、凝固浴の温度(1〜20℃)、滞留時間(0.25〜30時間)、凝固浴中でのEVOH量(0.02〜2重量%)などを任意に調節することで、該構造のEVOHを得ることが可能となる。さらには含水率20〜80重量%のものが、上記の化合物などを均一にかつ迅速に含有させることができて好ましい。また、かかる物質の含有量の調整にあたっては、特に限定されないが、前述の水溶液との接触処理において、かかる物質の水溶液濃度、接触処理時間、接触処理温度、接触処理時の撹拌速度や処理されるEVOHの含水率などをコントロールすることで可能である。
上記金属のうち、アルカリ金属としてはナトリウム、カリウムなどが挙げられ、アルカリ土類金属としてはカルシウム、マグネシウムなどが挙げられ、遷移金属としてはマンガン、銅、コバルト、亜鉛などが挙げられるが、中でもナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、亜鉛などの遷移金属が好ましい。これらの金属は、酢酸やステアリン酸などの脂肪酸や、ホウ酸、リン酸などの無機酸などの金属塩としてEVOH系樹脂に含有させることができる。
また、EVOH系樹脂に含有させるリン酸としては、リン酸水素塩やリン酸の他、上記金属のリン酸塩を用いることができる。
EVOH系樹脂にホウ素を含有させるためのホウ素化合物としては、ホウ酸、ホウ酸カルシウム、ホウ酸コバルト、ホウ酸亜鉛(四ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛など)、ホウ酸アルミニウム・カリウム、ホウ酸アンモニウム(メタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウムなど)、ホウ酸カドミウム(オルトホウ酸カドミウム、四ホウ酸カドミウムなど)、ホウ酸カリウム(メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、五ホウ酸カリウム、六ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウムなど)、ホウ酸銀(メタホウ酸銀、四ホウ酸銀など)、ホウ酸銅(ホウ酸第二銅、メタホウ酸銅、四ホウ酸銅など)、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウムなど)、ホウ酸鉛(メタホウ酸鉛、六ホウ酸鉛など)、ホウ酸ニッケル(オルトホウ酸ニッケル、二ホウ酸ニッケル、四ホウ酸ニッケル、八ホウ酸ニッケルなど)、ホウ酸バリウム(オルトホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、二ホウ酸バリウム、四ホウ酸バリウムなど)、ホウ酸ビスマス、ホウ酸マグネシウム(オルトホウ酸マグネシウム、二ホウ酸マグネシウム、メタホウ酸マグネシウム、四ホウ酸三マグネシウム、四ホウ酸五マグネシウムなど)、ホウ酸マンガン(ホウ酸第一マンガン、メタホウ酸マンガン、四ホウ酸マンガンなど)、ホウ酸リチウム(メタホウ酸リチウム、四ホウ酸リチウム、五ホウ酸リチウムなど)などの他、ホウ砂、カーナイト、インヨーアイト、コトウ石、スイアン石、ザイベリ石などのホウ酸塩鉱物などが挙げられ、好適にはホウ酸、ホウ砂、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウムなど)を用いることができる。
さらに、該透湿層(C)には、必要に応じてエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどの多価アルコール類の可塑剤やフェノール系、アミン系などの抗酸化剤、リン酸エステル類などの安定剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、抗菌剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、充填材(例えば無機フィラーなど)、発泡剤、難燃化剤、着色料、香料、増量剤、消泡剤、剥離剤、紫外線吸収剤、無機粉体、界面活性剤などの通常の添加剤を適宜配合しても差し支えない。又、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどのPVA系樹脂またはEVOH系樹脂以外の他の樹脂を混合してもよい。例えば、透湿性を阻害しない範囲でナイロンや、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)などを混合することにより、柔軟性や施工性を付与することができる。
本発明では、透湿層(C)は、少なくとも縦軸方向(長手方向)に延伸したフィルムであることが好ましい。具体的には、透湿層(C)に用いるPVA系樹脂またはEVOH系樹脂フィルムの縦軸方向の延伸倍率が少なくとも2.0倍以上であることが好ましく、2.5倍以上、特には3倍以上がより好ましい。かかる縦軸方向への延伸においては、縦軸方向の延伸倍率は、特に限定されないが、2.0〜5.0倍が好ましく、3.0〜4.5倍であることがより好ましい。該縦軸方向の延伸倍率を2.0〜5.0倍とすることにより、延伸による物性向上が得やすく、かつ、フィルムが縦軸方向へ裂けるのを防ぐことができる。
あるいは、透湿層(C)に二軸延伸を施し、耐水性、可撓性、機械的強度などの物性を付与することもできる。かかる延伸については、延伸倍率は特に限定されないが、縦軸方向の延伸倍率が2.0〜5.0倍、横軸方向(幅方向)の延伸倍率が2.0〜5.0倍であることが好ましく、より好ましくは縦軸方向の延伸倍率が3.0〜4.5倍、横軸方向の延伸倍率が3.0〜5.0倍である。該縦軸方向の延伸倍率を2.0〜5.0倍とすることにより、延伸による物性向上が得やすく、かつ、フィルムが縦軸方向へ裂けるのを防ぐことができる。又、横軸方向の延伸倍率を2.0〜5.0倍とすることにより、延伸による物性向上が得やすく、かつ、フィルムが横軸方向に破断するのを防ぐことができる。
かかる二軸延伸を行うに当たっては、上記PVA系樹脂またはEVOH系樹脂フィルムの含水率を予め5〜30重量%、好ましくは20〜30重量%に調整しておくことが好ましく、当該調整方法としては、例えば、上記で得られた乾燥前のPVA系樹脂またはEVOH系樹脂フィルムを引き続き乾燥して含水率を調整したり、含水率5重量%未満のPVA系樹脂またはEVOH系樹脂フィルムを水に浸漬あるいは調湿などを施して含水率を調整したりする方法などがある。含水率を上記範囲内に調整しておくことにより、延伸工程において縦軸および横軸方向への延伸倍率を充分に高めることができる。
かかる二軸延伸は、好ましくは逐次二軸延伸で行う。逐次二軸延伸を行う場合、縦軸方向の延伸および横軸方向の延伸の順番は特に限定されず、いずれの延伸を先に行ってもよい。
さらに、二軸延伸を施した後は、熱固定を行うことが好ましく、かかる熱固定の温度は、PVA系樹脂またはEVOH系樹脂の融点ないし融点より40℃低い温度までの範囲から選択することが好ましい。熱固定温度をこの範囲内とすることにより、寸法安定性を向上させることができ、収縮率を抑えることができ、かつ、熱固定中のフィルムの厚みの変動を低減することができる。PVA系樹脂またはEVOH系樹脂が酢酸ビニル単独重合体のケン化物である場合の熱固定温度は、例えば160〜230℃である。又、熱固定時間は1〜30秒間であることが好ましく、より好ましくは5〜10秒間である。
また、透湿層(C)には、本発明で必要とされる特性を有する限り、市販のPVA系樹脂フィルムまたは市販のEVOH系樹脂フィルムを用いることもできる。このような市販のPVA系樹脂フィルムとしては、例えば、ボブロン(商品名:日本合成化学工業株式会社製)などが例示でき、このような市販のEVOH系樹脂フィルムとしては、例えば、「ボブロンSE」(商品名:日本合成化学工業株式会社製)などが例示できるが、これらに限定されるものではない。
得られた透湿層(C)は、膜厚8〜50μm、好ましくは10〜40μmで積層される。
吸放湿層(A)と透湿性粘着層(B)との間に透湿層(C)をさらに含んでなる積層体(A/C/B)を製造する方法としては特に限定されないが、例えば、(i)吸放湿層(A)のフィルムと透湿層(C)のフィルムを貼り合わせて積層体(A/C)とし、該積層体の透湿層(C)側の表面に透湿性粘着層(B)を積層する方法、(ii)透湿層(C)のフィルムに透湿性粘着層(B)を積層して積層体(C/B)としたのち、該積層体の透湿層(C)側の表面に吸放湿層(A)のシートを貼り合わせる方法、(iii)同時に(A)、(C)および(B)の三層を貼り合わせる方法などが挙げられる。
吸放湿層(A)のフィルムおよび透湿層(C)のフィルムの製造方法については、上記した通りである。これらのフィルムを貼り合わせる方法としては、特に限定されないが、例えば、(A)または(C)のいずれか一方または全部に、水系接着剤を浸漬法、塗布法、噴霧法などの周知の手段で塗工した後、両者を貼り合わせ乾燥すればよい。接着剤の塗布量は固形分換算で0.01〜5g/m2程度が適当である。さらにまた、ホットメルト剤の押出ラミネート法、スプレー法、押出ポーラスコート法、ホットメルト剤の粉体散布・熱固着法、縫製、ドット接着、全面接着、超音波接着、熱融着、などの方法が挙げられる。
また、透湿性粘着層(B)は、公知の粘着シートやテープの作成と同様な手法で積層することが出来る。塗工方法としては、例えば、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、コンマコーター、ダイコーターなどを使用でき、また、基材へ直接、粘着剤を塗布、乾燥する方法(直接法)、およびシリコーン系樹脂、フッ素系樹脂などの剥離剤層を設けている剥離シート上へ一旦、粘着剤を塗布、乾燥し、次いで基材と貼り合わせる方法(転写法)のいずれも可能である。
かくして得られる積層体(A/C/B)において、透湿層(C)(延伸フィルムの場合も含む)の厚みは、特に限定されないが、好ましくは8〜50μmであり、より好ましくは10〜40μmである。C層の厚みが8μm未満であると、フィルムとしての強度が得がたいとともに、一定の厚みを保持しての製造が難しくなるおそれがある。一方、50μmを超えるとフィルムが硬くなりすぎて使いにくいとともに、必要な透湿性が得がたくなるおそれがある。
また、該積層体全体の厚みは、特に限定されないが、好ましくは100〜500μmであり、より好ましくは150〜400μmである。該厚みが100μm未満であると、破れが生じやすくなるおそれがあり、一方、500μmを超えると重ね合わせ部分の気密性の確保が困難になることにより、高気密性住宅の実現に適さないおそれがある。
(表面層(D)の説明)
本発明の積層体は、吸放湿層(A)側の表面に、表面層(D)をさらに含むことができる。すなわち、層構造がD/A/BまたはD/A/C/Bの積層体とすることができる。
該表面層(D)としては、特に限定されず、壁紙などの表面材料として使用される公知の有機または無機材料をシート状に成形したものを使用できるが、好ましくは、化粧紙、織物、不織布(例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、湿式不織布、乾式パルプ不織布、フラッシュ紡糸不織布など)、合成繊維紙、および樹脂含浸された織物、編物、不織布、発泡シートなどの樹脂含浸繊維体などの透湿性に優れた材料から構成されるシートが挙げられる。かかるシートは公知の方法により製造することができ、市販されている。例えばスパンボンド不織布としては、デュポン社製の「ザーバン(登録商標)」、「タイベック(登録商標)」などを例示できるが、これに限定されるものではない。
該表面層(D)を吸放湿層(A)の表面に積層する方法としては、特に限定されず、(i)予め表面層(D)のシートに吸放湿層(A)を積層しておく方法、(ii)予め表面層(D)のシートと吸放湿層(A)のフィルムを貼り合わせておく方法、(iii)A/BまたはA/C/Bの積層体を製造したのち、表面層(D)のシートをA層表面で貼り合わせる方法などが挙げられる。
該表面層(D)のシートに吸放湿層(A)を積層する方法としては、特に限定されず、例えば、上記した透湿性粘着層(B)を積層する方法と同様の方法、PVA系樹脂による接着、熱融着などが挙げられる。好ましくは、PVA系樹脂による接着、熱融着が挙げられる。
又、表面層(D)のシートと、吸放湿層(A)のフィルムまたは積層体を貼り合わせる方法は特に限定されず、例えば、上記の吸放湿層(A)のフィルムと透湿層(C)のフィルムを貼り合わせる方法として例示した方法などが挙げられる。好ましくは、PVA系樹脂による接着、熱融着が挙げられる。
かくして得られる積層体において、表面層(D)の厚みは、特に限定されないが、好ましくは1〜500μmであり、より好ましくは5〜300μmである。厚みが1μm未満であると、風合いが得られなくなるおそれがあり、一方、500μmを超えると施工性が低下したり、吸放湿性が充分に得られなくなるおそれがある。
本発明の積層体は、その特性を失わない限り、上記の各層に加えて、必要に応じて、印刷層、接着層、保護層などをさらに含むことができる。
本発明の積層体は、優れた吸放湿性を有する吸放湿層(A)と、優れた透湿性を有する層(透湿性粘着層(B)および透湿層(C))を含んでなるので、吸放湿層(A)の吸放湿性により吸放湿層(A)側の湿度を一定に保つことができ、かつ、透湿性粘着層(B)および透湿層(C)側が高湿度環境下にある場合、透湿性粘着層(B)および透湿層(C)の透湿性により湿気を吸放湿層(A)側に透過させることができる。したがって、本発明の積層体を壁紙として吸放湿層(A)側が室内側になるように内壁に貼り付けて使用した場合、冬場のように屋外側の湿度が低く、室内側の湿度が高いときには、吸放湿層(A)の吸放湿作用によって、室内の湿度が一定に保たれ、かつ、壁内への湿気の侵入が防止されるので、壁内の結露の発生を防止することができ、かつ、壁表面の結露を防止することが出来る。一方、夏場のように屋外側の湿度が非常に高く、室内側の湿度が低いときには、透湿性粘着層(B)および透湿層(C)の透湿作用により湿気が吸放湿層(A)側に透過され、エアコンなどにより除湿される。これにより、壁内に湿気が滞留することを防ぐことができるので、壁内の結露の発生を防止することができる。すなわち、本発明の積層体を壁紙および内壁構造体に用いたときには、一定の湿度に調湿された常に快適な室内環境を保つことができ、かつ、工法、地域の気候、季節にかかわらず、壁内の結露の発生を防止することができる。さらに、内壁材を高湿度環境下に曝すことも防ぐことができるので、高湿度環境下における内壁材(内壁ボードなど)の反りや、カビの発生、ダニの発生、腐敗などを防止することもできる。
本発明の内壁構造体は、上記積層体を含んでなる壁紙と、内壁材とを透湿性粘着層(B)を介して貼り合わせてなるものである。ここでいう内壁材は、家屋や住宅の内外を隔てる壁や建物内の間仕切り用壁などの壁構造において室内側に配されるものであり、例えば、内壁用ボード(例えば、合板、繊維板、木削板、セメント板、PC板(パルプセメント板)、珪酸カルシウム板(珪カル板)、石こうボード、ロックウールボード、硬質発泡ウレタン板、硬質発泡スチレン板、高密度グラスウール板など)、断熱材層(例えば、グラスウール、ロックウール、ポリウレタンフォーム、高密度ロックウール、硬質発泡スチレン板、硬質発泡ウレタン板、低密度グラスウールなど)などから構成されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
尚、以下の例中、「%」、「部」とあるのは、特に断りのない限り重量基準を意味する。
(製造例)
吸放湿層(A)の製造
PVA(平均重合度2300、ケン化度98.0モル%)の8%水溶液をドラム上に流延、95℃で乾燥した後、150℃で1分間、熱処理を行い膜厚50μmの吸放湿性シートA1を作製した。
また(アクリル酸−アクリル酸ナトリウム)共重合体(一方社油脂工業株式会社製「Vicol VL」、50%塩タイプ)およびポリビニルピロリドン(BASF社製「ルビスコールK30」)の各8%水溶液をそれぞれ調整した。各々の水溶液を、上記PVAの8%水溶液と、70/30の割合で充分に混合した。この混合液をドラム上に流延、95℃で乾燥し、膜厚50μmの吸放湿性シートA2およびA3をそれぞれ作製した。乾燥後の該シートの組成は、PVA/(アクリル酸−アクリル酸ナトリウム)共重合体=70/30(A2)、PVA/ポリビニルピロリドン=70/30(A3)であった。
さらに、以下の要領でシート(A4)を作製した。
含水率28%のEVOH[エチレン組成32モル%、ケン化度99.8モル%]と(アクリル酸−アクリル酸ナトリウム)共重合体とを83.3/40の割合で混合し、ホッパーに投入し、T−ダイを取り付けた二軸押出機(L・d=42の30mmφ)により厚さ60μmのフィルムを得た。尚、ホッパー下直後の温度設定ゾーンを50℃、中間部の温度設定を98℃、押出機出口およびT−ダイの設定温度を90℃に設定した。押し出された直後のフィルムの含水率は25%であった。このフィルムを95℃で乾燥することによりシートA4を作製した。乾燥後の該シートの組成はEVOH/(アクリル酸−アクリル酸ナトリウム)共重合体=60/40であった。
透湿性粘着層(B)の製造
2−エチルヘキシルアクリレート30部、n−ブチルアクリレート63部、N−ビニルピロリドン5部、アクリル酸2部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.6部、トルエン30部および酢酸エチル45部をコンデンサー、撹拌機および温度計付きのフラスコに仕込み、90℃に加温して重合させ、2時間後と4時間後にトルエン20部およびAIBN0.25部をそれぞれ追加しながら、計7時間重合させた。その後、トルエン10部および酢酸エチル25部を加えて濃度を調整し、樹脂分40%、粘度5000cps/25℃のアクリル系共重合体の樹脂溶液を得た。さらに上記の樹脂溶液100部(樹脂分40%の酢酸エチル−トルエン溶液)に架橋剤としてトリレンジイソシアネート付加物(日本ポリウレタン工業株式会社製の「コロネートL」)0.1部を添加して透湿性粘着剤B1を製造した。
透湿性粘着層(B)の透湿度の測定
該透湿性粘着剤B1を乾燥後膜厚が40μmとなるように離型紙上に塗布して、100℃で3分乾燥後、不織布に転写し粘着シートを得た。かかる粘着シートについて40℃で3日間エージングしたものの透湿度をJIS L1099に記載の方法で測定した結果、550g/m2・24hrであった。
透湿層(C)
PVAフィルムとして、日本合成化学工業株式会社製「ボブロン」、EVOHフィルムとして、日本合成化学工業株式会社製「ボブロンSE」を使用した。
表面層(D)
市販の化粧紙(三島製紙社製「上質紙 錦」)、織物(大和紡績社製「ベンタイル」、不織布(デュポン社製「タイベック」)を使用した。
(実施例1〜7)
表面層(D)、吸放湿層(A)、透湿層(C)および透湿性粘着層(B)として以下の表1に示される材料をそれぞれ使用し、以下の方法で積層して、層構造がD/A/C/Bからなる調湿性壁紙1〜7を製造した。吸放湿層(A)(幅400mm、長さ1000mm)と透湿層(C)(幅400mm、長さ1000mm)を重ね合わせ、これらの層の間に、接着剤としてPVA(日本合成化学工業株式会社製「ゴーセノールNL−05」)の水溶液(濃度5%)を滴下した。これらの層を、天然ラバーで表面をコーティングした2つのロール(幅500mm、自重15kg)からなるニップロールに挟み、線圧力5kg重を加重した状態で速度0.5m/minにて接着剤を搾りながら貼り合わせた。
得られたA/Cの層構造を有する積層体の吸放湿層(A)の面と、表面層(D)(幅400mm、長さ1000mm)の面とを重ね合わせ、吸放湿層(A)と表面層(D)との間に、上記と同様のPVA接着剤を滴下した後、上記と同様にニップロールを用いて貼り合わせた。
こうして得られたD/A/Cの層構造を有する積層体の透湿層(C)の表面に透湿性粘着剤層(B)を積層した。離型性表面を有するポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製 ダイヤホイルMR)と離型性表面を有する離型紙(王子タック社製)によって挟まれた状態の透湿性粘着剤層(B)(幅400mm、長さ1000mm)の離型紙を剥離し、露出した粘着面の短辺に該積層体の透湿層(C)の短辺を合わせて固定した。これらの層を、この合わせた部分から、上記と同様のニップロールを用いて線圧力5kg重を加重した状態で速度0.5m/minにて接着剤を搾りながら順次巻き込ませて貼り合わせることにより、D/A/C/Bの層構造を有する調湿性壁紙を得た。
なお、この調湿性壁紙は、透湿性粘着剤層(B)の表面に離型性表面を有するPETフィルムを有しているが、当該PETフィルムは、後述する内壁構造体の作製の際、調湿性壁紙を内壁材の表面に貼り付ける直前に剥離される。
Figure 2006321207
(比較例1〜4)
以下の表2に示す材料を用い、実施例1〜7と同様の方法で積層して、壁紙8〜11を得た。
Figure 2006321207
なお、比較例で用いた粘着層(B’)は次の方法で製造した。
粘着層(B’)の製造
2−エチルヘキシルアクリレート30部、n−ブチルアクリレート68部、アクリル酸2部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.6部、トルエン30部および酢酸エチル45部をコンデンサー、撹拌機および温度計付きのフラスコに仕込み、90℃に加温して重合させ、2時間後と4時間後にトルエン20部およびAIBN0.25部をそれぞれ追加しながら、計7時間重合させた。その後、トルエン10部および酢酸エチル25部を加えて濃度を調整し、樹脂分40%、粘度5000cps/25℃のアクリル系共重合体の樹脂溶液を得た。さらに上記の樹脂溶液100部(樹脂分40%の酢酸エチル−トルエン溶液)に架橋剤としてトリレンジイソシアネート付加物(日本ポリウレタン工業株式会社製の「コロネートL」)0.1部を添加して粘着剤B’1を製造した。上記「透湿性粘着層(B)の透湿度の測定」で説明した方法と同様の方法でこの粘着剤B’1を用いて粘着シートを作成し、その透湿度を測定したところ、10g/m2・24hrであった。
(実施例8〜14および比較例6〜9)
上記調湿性壁紙1〜7および壁紙8〜11と、以下の表3に示される各材料を使用して、壁紙/内壁材からなる内壁構造体1〜11を以下に示す方法で作製した。
市販の基材(ベニヤ板または石膏ボード、厚さ5mm、幅500mm、長さ500mm)2枚を用意し、室内側と外壁側に区別した。室内側基材の内壁材の内側になる面に、建築用調湿性防水シートとしてデュポン社製「ザバーンBF」を固定し、その上にグラスウール(厚さ50mm)を固定した。一方、外壁側基材の内壁材の内側になる面に、建築用防水シートとしてデュポン社製「タイベック」を固定し、両基材の積層物を、20mmの空間を空けて固定した。さらにこれらの基材の周囲を粘着剤付アルミホイルで密閉することで、内壁材を得た。
上記調湿性壁紙1〜7の透湿性粘着層(B)および壁紙8〜11の透湿性粘着層(B)及び粘着層(B’)から離型性表面を有するPETフィルムを剥離し、この内壁材の基材の室内側(構造体外側)に、それぞれの粘着層を利用して隙間無く貼り合わせることにより、内壁構造体1〜11をそれぞれ得た。
得られた各内壁構造体の構成を表3に示す。
Figure 2006321207
(実験例1)上記内壁構造体1〜11について、夏型結露および冬型結露の発生を、以下の方法で観察した。
恒温恒湿装置を、恒温恒湿に保持できる実験室内に固定した。装置の扉を取り外し、外した扉の代わりに内壁構造体1を固定した。装置内部の気密性を保ち、開口部から空気および湿度が外気と交換されないようにするため、扉がある場合と同様に、内壁構造体の周囲の開口部をゴム製テープで密閉した。
(夏型結露の発生)
室内側として恒温恒湿実験室を温度20℃、相対湿度50%に設定し、外気側として恒温恒湿装置を温度40℃、相対湿度90%に設定した。内壁構造体の外壁側が恒温恒湿装置の内側に向くようにそれぞれ固定し、定常状態で48時間放置し、その後速やかに内壁構造体を分解して、室内側の基材の内側および外側の結露状態を観察した。
(冬型結露の発生)
室内側として恒温恒湿実験室を温度20℃、相対湿度80%に設定し、外気側として恒温恒湿装置を温度−5℃(湿度制御せず)に設定して、構造体の外壁側が恒温恒湿装置の内側に向くようにそれぞれ固定を行ってから定常状態で48時間放置し、その後速やかに構造体表面の壁紙上での結露の状態を観察した。
内壁構造体2〜11についても上記と同様に試験した。結果を表4に示す。
Figure 2006321207
本発明の積層体は、壁内結露防止、室内調湿可能な壁紙および該壁紙を用いた内壁構造体(内壁ボード、内壁パネル、内壁構造など)などに特に有用であるが、その他、空間の調湿が所望される家具内部、押し入れ、自動車室内、楽器・美術品などの保管器の内張りなどにも用いることができる。

Claims (6)

  1. 吸放湿層(A)と透湿性粘着層(B)を含んでなる積層体であって、
    該吸放湿層(A)が、
    (a)ポリビニルアルコール系樹脂、または
    (b)ポリビニルアルコール系樹脂もしくはエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物系樹脂と、アクリル酸重合体およびポリビニルピロリドンからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂との樹脂組成物を含んでなり、
    該透湿性粘着層(B)が、
    (B1)アクリル酸C4−12アルキルエステル75.0〜98.9重量%、
    (B2)N−ビニルピロリドン1.0〜10.0重量%、
    (B3)カルボキシル基含有不飽和単量体0.1〜5.0重量%および
    (B4)その他の共重合可能な不飽和単量体0〜10.0重量%からなり、かつ透湿度が100g/m・24hr以上である樹脂を含んでなる、積層体。
  2. 吸放湿層(A)と透湿性粘着層(B)との間に、ポリビニルアルコール系樹脂またはエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物系樹脂を含んでなる透湿層(C)をさらに含んでなる、請求項1に記載の積層体。
  3. 透湿層(C)が、少なくとも縦軸方向に延伸したフィルムである、請求項2に記載の積層体。
  4. 吸放湿層(A)側の表面に、表面層(D)をさらに含んでなる、請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の積層体を含んでなる、壁紙。
  6. 請求項5に記載の壁紙と、内壁材とを透湿性粘着層(B)を介して貼り合わせてなる、内壁構造体。
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