JP2001009554A - 中空ラックバー成形装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡易に量産できる中空ラックバー成形装置 【解決手段】 円周の一部に平面部が形成された異形部
を有する管体素材の該平面部に歯形を形成させる中空ラ
ックバー成形装置において、異形部の円周部を保持する
保持金型６と平面部に当接させる歯形を設けた歯形金型
７と、管体素材保持手段とマンドレル圧入手段２０とを
備え、管体素材保持手段により保持金型６を移動して保
持金型６と歯形金型７との間で異形部外周を保持し、マ
ンドレル圧入手段２０により異形部内周にマンドレルを
圧入し、歯形金型７の歯形に異形部の肉を盛り上げてラ
ック歯形を形成する。マンドレル切換え手段を備え、径
の異なるマンドレル８１〜８８を順次圧入してラック歯
形を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、中空にして軽量化
された、例えば自動車のステアリング機構に使用される
中空ラックバーの成形装置にかかるものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、自動車のステアリング機構に使用
されるラックバーは中実の棒鋼の外面に歯形を形成され
たものが使用されていた。しかし、自動車の軽量化の要
請により中空のラックバーが要請され、その簡易な製造
方法として特許第１６３８５５３号の製造方法が開示さ
れている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記特許発
明を簡易に具現化し、安価な中空ラックバーを製造する
成形装置を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の中空ラックバー成形装置は、円周の一部に平
面部が形成された異形部を有する管体素材の該異形部の
平面部外周に歯形金型の歯形を当接させてその内周にマ
ンドレルを圧入し、前記平面部の肉を盛り上げて該平面
部外周に歯形を形成させる中空ラックバー成形装置にお
いて、前記異形部の円周部外周を保持する保持金型と前
記平面部に当接させる歯形を設けた歯形金型と、該保持
金型と歯形金型との間で前記異形部を保持固定する管体
素材保持手段と、前記異形部内周にマンドレルを圧入お
よび抜脱するマンドレル圧入手段とを備えたことを特徴
とするものである。

【０００５】即ち、本発明の中空ラックバー成形装置
は、図５に示すように円周の一部に平面部４を形成させ
た異形部を有する管体素材３の平面部４にラック歯形５
を形成させた中空ラックバーを成形するものである。こ
のため、図４に示すような一次加工により円周の一部に
平面部４を形成させた異形部を有する管体素材（以下ワ
ークという）３を、まずその異形部の平面部外周が図７
に示す歯形金型７の歯形７ａに当接するようにして挿入
し、金型保持手段により歯形金型７と保持金型６との間
で固定して保持する。そして、圧入手段により図６に示
すように異形部内周内径よりやや大きい外径のマンドレ
ル８を異形部内周に圧入する。これにより、ワークの平
面部の内面が押圧され、この部分の肉が盛り上がって歯
形金型の歯形に食い込み、平面部外周に所定の歯形５が
形成されるものである。

【０００６】また本発明の中空ラックバー成形装置の前
記マンドレル圧入手段には、少なくとも２本以上のマン
ドレルが保持され、かつ該マンドレルを順次切換えて圧
入するマンドレル切換え手段を備えることが望ましい。

【０００７】上記のマンドレルによる成形の際に、一度
に大きな加工率を与えるとワークに焼付きや亀裂などが
生ずるので、１回の加工には適切な加工率を与える必要
がある。そこで本発明の装置は、２本以上のマンドレル
を保持するマンドレル切換え手段を設けて、この切換え
手段により順次径の異なるマンドレルを切換えて圧入す
ることにより、適正な加工率をかけながら成形するもの
である。

【０００８】このマンドレル切換え手段は、円周上の位
置に複数のマンドレルを垂直に固定して回転可能に支持
された円板と、該円板を割出し回転する割出し手段と、
所定位置で該円板の回転を固定する固定手段とを備える
ことが、作業中にマンドレルの切換えを簡易に行うため
に望ましい。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明を図示の一実施形態
について具体的に説明する。図１は本発明第１実施形態
の中空ラックバーの成形装置の正面図、図２は図１の側
面図、図３はマンドレル切換え手段の概念図、図４は中
空ラックバーの加工前素材鋼管（１次成形体、以下ワー
クという）の斜視図、図５はラック歯形成形後の中空ラ
ックバーの斜視図、図６はラック歯形の成形方法を説明
する図、図７はラック歯形成形用金型とワークの断面を
示す図である。

【００１０】図１および２において、ベースフレーム１
１に４本の柱１２が垂直に固設され、柱１２の上部はタ
イプレート１３に固定されている。タイプレート１３に
は油圧シリンダ１４が垂直に固定され、図示しない油圧
源からパイプ１４ａを介して油圧が付加され、プランジ
ャ１５が油圧により上下して、柱１２にガイドされて上
下移動可能に支持された上サドル１６を上下駆動する。

【００１１】ベースフレーム１１上のアンビル１７に歯
形金型７が固定される。図７に示すようにラック歯形７
ｃを有する歯形部７ａとこれを挟む台部７ｂとが一体に
され歯形金型７が形成されている。保持金型６はワーク
１の異形部の円周部を嵌入する溝６ａを有し、上サドル
１６に固定される。ワーク１をその平面外周を歯形７ｃ
に当接させて歯形金型７に挿入してプランジャ１５を下
降することにより、上サドル１６に固定された保持金型
６の溝６ａと歯形金型７の歯形７ｃとの間でワークの異
形部外周が保持固定されるワーク保持手段（管体素材保
持手段）が構成されている。

【００１２】図１のベースフレーム１１上の右側には、
マンドレル圧入手段２０が設けられている。マンドレル
圧入手段２０は、ベースフレーム１１に直立して設けら
れたプレート４１に油圧シリンダ２１が水平に固定さ
れ、図示しない油圧源からパイプ２１ａを介して油圧が
付加され、プランジャ２２が油圧により水平に往復移動
するようになっている。プレート４１とベースフレーム
１１の左側に直立して設けられたプレート４２とは４本
のタイバー４３により連結されている。

【００１３】プランジャ２２に端板２３が固着され、こ
の端板２３のプランジャ２２の中心から距離Ｒの位置に
設けられたピン２４に円板２５の中心が回転自在に軸支
されている。円板２５にはピン２４を中心として半径Ｒ
の円周上に等間隔に８本のマンドレル８１〜８８が板面
に垂直に保持され、円板が回転したとき各マンドレル８
１〜８８の軸心がプランジャ２２の中心と一致するよう
になっている。

【００１４】８本のマンドレル８１〜８８は、それぞれ
異形部に圧入する外径が異なり、小径の第１マンドレル
８１から順次大径の第８マンドレル８８に切換えて圧入
することにより、ラック歯形に順次肉を盛り上げていく
ことができる。

【００１５】図３にマンドレル切換え手段の構成を示
す。図に示すように、円板２５の外周面の８か所にラチ
ェット歯形２６が等間隔に切り欠いて設けられ、またス
トッパー溝２７が同様に８か所に切り欠いて設けられて
いる。揺動アーム３１の一端がピン２４を軸として揺動
可能に支持され、揺動アーム３１の他端にはラチェット
爪３２の一端がピン３３により揺動可能に軸支され、ラ
チェット爪３２の他端の爪歯先３２ａが円板２５の外周
面に圧接するようにバネ３４により揺動付勢されてい
る。揺動アーム３１は、端板２３に固定されたエアシリ
ンダ３５の往復動によりピン３５ａを介して往復揺動さ
れ、揺動により爪歯先３２ａが円板２５の外周面に圧接
して滑動したり、ラチェット歯溝２６に係合したりする
ようにされている。

【００１６】また、円板２５には、外周面の８か所に等
間隔に切り欠かれたストッパー溝２７と、円周８等分の
位置を検知するための検知点２８とが設けられている。

【００１７】これにより、揺動アーム３１がエアシリン
ダ３５により図３の反時計方向に揺動されると、爪歯先
３２ａがラチェット歯溝２６に係合して円板２５を図の
反時計方向に回転させる。円板２５が所定位置まで回転
されると、センサ３６が検知点２８を検知して端板２３
に固定されたエアシリンダ３７を駆動し、その先端のス
トッパー３８をストッパー溝２７に嵌入させて円板２５
を所定位置に固定する。このとき、円板に保持されたい
ずれかのマンドレルがプランジャ２２の中心に位置する
ようになっている。このストッパー機構を円板２５の円
周の２か所以上に設けると一層固定が確実に行われる。

【００１８】円板２５が停止して固定されるとエアシリ
ンダ３５により揺動アーム３１は図３の時計方向に揺動
され、爪歯先３２ａが円板２５の外周を滑って元位置に
戻り、円板２５の次のラチェット歯溝２６に係合して停
止して待機するようになっている。

【００１９】上記動作を繰り返して、前述したように順
次マンドレルを切換えて、プランジャ２２により異形部
内周に圧入し、ラック歯形を形成させる。

【００２０】本実施形態では、図１の左側のプレート４
２に当て板１８が設けられ、ワーク１の加工中の推力を
支持するようになっているが、前記のマンドレル圧入手
段２０と同一機構を左側にも対称に設けて、マンドレル
を用いて加工推力を支持するようにしてもよい。また、
本実施形態では円板２５に保持するマンドレル数を８本
としたが、これより多くてもあるいは少なくてもよい。

【００２１】以下、上記構成の本発明の成形装置の動作
について説明するが、動作を説明する前に、再度図４〜
７を用いて中空ラックバーの加工方法について説明す
る。図４に示すような円周の一部に平面部４を有する断
面形状の異形部が成形されたワーク（１次成形体）１
を、図７に示すようにその平面部４が歯形金型７のラッ
ク歯形７ｃに当接するようにして挿入し、ワークを歯形
金型７と保持金型６との間に挟んで固定する。この状態
で、図６に示すように平面部４の内径より大きい外径の
マンドレル８をワーク（１次成形体）１の内部に圧入す
る。すると、マンドレル８の先端傾斜部８ａにより平面
部４の肉が押し上げられ、その外周部の肉が歯形金型７
のラック歯形７ｃに食い込んで平面部４の外周に図５に
示すようなラック歯形５が形成される。

【００２２】次に成形装置１０の動作について図１およ
び２を用いて説明する。待機状態では、保持金型６を固
定した上サドル１６は図の上に引き上げられた状態にあ
り、マンドレル圧入手段２０の円板２５は左側に引っ込
んだ状態にある。円板２５に装着された８本のマンドレ
ル８１〜８８は、前述のようにそれぞれ順に加工面の外
径が大きくされており、これを順に圧入することにより
ワーク１の平面部４の内周を順次拡大加工するようにな
っている。待機位置では、一番小径の第１マンドレル８
１がプランジャ２２の中心になるようにして、円板のス
トッパー溝２７にストッパー２８が係合されて円板２５
が固定されている。

【００２３】ワーク１は、図示しない１次成形におい
て、所定の径の鋼管３に図４に示すような円周の一部に
平面部４を有する断面形状の異形部が形成される。この
ワーク１を、平面部４がラック歯形７ｃに当接するよう
にして成形装置１０のアンビル１７に固定された歯形金
型７の上に挿入し、ワークの一端を当て板１８に当接さ
せて位置決めをする。ついで、油圧シリンダ１４に油圧
を加えて上サドル１６を下降させると、上サドル１６に
固定された保持金型６の半円溝６ａにワーク１の異形部
円周部が嵌入して、歯形金型７と保持金型６によりワー
ク１が保持固定される。この状態で、油圧シリンダ２１
に油圧を加えてプランジャ１５を押し出すと、円板２５
に保持された第１マンドレル８１がワーク１の異形部内
周に圧入される。これにより前述のようにマンドレルの
先端部８ａにより平面部４の肉が押し上げられ、この肉
が歯形金型７のラック歯形７ｃに食い込んで平面部４の
外周にラック歯形５が形成される。

【００２４】第１マンドレル８１の圧入が終了すると、
プランジャ２２により第１マンドレル８１が引き戻され
て第１工程が終了する。第１工程が終了して第１マンド
レル８１が所定位置に引き戻されると、圧入手段２０の
マンドレル切換え手段の前記動作により、円板２５が回
転し第２マンドレル８２がプランジャ２２の中心に位置
されて固定される。

【００２５】以後、前述の第１マンドレルの圧入の動作
と同様にして、順次第８マンドレル８８まで圧入して第
８工程まで終了すると歯形成形が完了する。ここで、保
持金型６を上昇させてワーク１を取り出して成形作業が
終了する。

【００２６】以上述べたように本発明の成形装置は、金
型の移動によるワークの保持固定やマンドレルの圧入
が、自動で連続的にできるので、中空ラックバーの量産
が可能になる。また、一回の加工率を適正にしたマンド
レルの圧入が連続的に複数回できるので、材料にクラッ
クが生じたりマンドレルのかじりや焼付きによる内部表
面に傷が生ずることが防止でき、欠陥のない中空ラック
バーが安価に提供できる。

【００２７】なお、本実施形態では、保持金型と歯形金
型とでワークを保持固定するワーク保持手段（管体素材
保持手段）及びマンドレル圧入手段として油圧プレスを
使用したが、スクリュープレスにしてもよい。

【００２８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の中空ラッ
クバー成形装置によれば、安価に中空ラックバーの量産
ができるので、材料の節約による省資源を達成でき、ま
た自動車などの軽量化に寄与して省エネルギに貢献でき
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施形態の中空ラックバー成形装置の正
面図である。

【図２】図１の側面図である。

【図３】本発明実施形態の中空ラックバー成形装置の割
出し手段の説明図である。

【図４】本発明実施形態の中空ラックバーの１次成形体
の斜視図である。

【図５】本発明実施形態の中空ラックバー成形体の斜視
図である。

【図６】本発明実施形態の中空ラックバーの成形方法を
説明する図である。

【図７】本発明実施形態の中空ラックバーの成形用金型
の断面図である。

【符号の説明】

１ ワーク（１次成形体）、２ 中空ラックバー、３
鋼管（管体）、４ 平面部、５ ラック歯形、６ 保持
金型、６ａ 半円溝、７ 歯形金型、７ａ 歯形部、７
ｂ 台部、７ｃ ラック歯形、８ マンドレル、８ａ
傾斜部、１０成形装置、１１ ベースフレーム、１２
支柱、１３ タイプレート、１４ 油圧シリンダ、１５
プランジャ、１６ 上サドル、１７ アンビル、１８
当板、２０ マンドレル圧入手段、２１ 油圧シリン
ダ、２２ プランジャ、２３ 端板、２４ ピン、２５
円板、２６ ラチェット歯溝、２７ ストッパー溝、
２８ 検知点、３１ 揺動アーム、３２ ラチェット
爪、３２ａ 爪歯先、３３ピン、３４ ばね、３５ エ
アシリンダ、３６センサ、３７ エアシリンダ、３８
ストッパ、８１〜８８ 第１〜第８マンドレル

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 友信 神奈川県横浜市金沢区福浦２丁目15番地の 12 株式会社チューブフォーミング内 Ｆターム(参考） 3C025 CC00 4E087 AA10 BA18 CA13 CA17 CA19 CA33 CB11 DA05 DB15 DB22 EA11 EB03 EC02 EC22 EC38 EC41 EC46 ED31 FA29 HA06 HA38 HA82 HB01

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 円周の一部に平面部が形成された異形部
   を有する管体素材の該異形部の平面部外周に歯形金型の
   歯形を当接させてその内周にマンドレルを圧入し、前記
   平面部の肉を盛り上げて該平面部外周に歯形を形成させ
   る中空ラックバー成形装置において、前記異形部の円周
   部外周を保持する保持金型と前記平面部に当接させる歯
   形を設けた歯形金型と、該保持金型と歯形金型との間で
   前記異形部を保持固定する管体素材保持手段と、前記異
   形部内周にマンドレルを圧入および抜脱するマンドレル
   圧入手段とを備えたことを特徴とする中空ラックバー成
   形装置。
2. 【請求項２】 前記マンドレル圧入手段には、少なくと
   も２本以上のマンドレルが保持され、かつ該マンドレル
   を順次切換えて圧入するマンドレル切換え手段を備えた
   ことを特徴とする請求項１に記載の中空ラックバー成形
   装置。
3. 【請求項３】 前記マンドレル切換え手段は、円周上の
   位置に複数のマンドレルを垂直に保持して回転可能に支
   持された円板と、該円板を割出し回転する割出し手段
   と、所定位置で該円板の回転を固定する固定手段とを備
   えたことを特徴とする請求項２に記載の中空ラックバー
   成形装置。