JP2001008713A - 面ファスナ雌材用不織布およびその製造方法 - Google Patents

面ファスナ雌材用不織布およびその製造方法

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JP2001008713A JP2000124258A JP2000124258A JP2001008713A JP 2001008713 A JP2001008713 A JP 2001008713A JP 2000124258 A JP2000124258 A JP 2000124258A JP 2000124258 A JP2000124258 A JP 2000124258A JP 2001008713 A JP2001008713 A JP 2001008713A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 使い捨て製品に適した面ファスナ雌材におい
て、係合強力に優れ、かつ柔軟性をも有する雌材を提供
する。 【解決手段】 実質的に熱による影響を受けていない長
繊維不織ウエブAと、散点状の部分的熱融着部を有する
熱融着長繊維不織布Bとが積層され、三次元的に交絡し
て一体化しており、不織布B表面には、主として不織ウ
エブAを構成する長繊維が多数のループを形成している
面ファスナ雌材用不織布である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はおむつ、手術着等の
使い捨て用途に使用する簡便な面ファスナ雌材に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、面ファスナは、ループあるい
はアーチ形の係合部を有する雌材と、雌材係合部と係合
するきのこ状あるいは鋸状の突起物を有する雄材とから
形成され、衣類、日用品、内装材、産業資材を始め様々
な分野に使用されている。
【0003】最近になり、その使用の簡便さから使い捨
て用途にも、使い捨て用途に必要十分なファスナ特性を
有する面ファスナの使用が増えてきている。この使い捨
ての用途においては、それほど高い耐久性や、非常に強
い係合強力を必要としないため、例えば特開平6−33
359号公報にシワ部を有する長繊維不織布からなる面
ファスナ用雌材や、また特開平7−2646号公報には
ポリプロピレン系樹脂を含有した長繊維ウェブを温度差
を有した一対の熱圧接ロールで圧接した面ファスナ用雌
材がまた、特開平7−171011号公報にはウェブを
ニードルパンチして片面に多数のループを形成させ、他
面を接着性物質で固着する面ファスナ雌材が、特開平9
−317号公報には、片面にループを形成させ、他面の
構成繊維を融着固化させたりするする面ファスナ雌材が
提案されている。
【0004】また、さらに最近では、面ファスナ雌材は
他機材との接合だけでなく、不織布の持つ、通気性、柔
軟性を活かした布帛としての機能と、雌材としての接合
機能との両方を持たせようという使い捨て商品が求めら
れている。すなわち、雌材用不織布は、適度な接合強力
を有するのみでなく、肌に直接接して使用しても肌触り
がよく、且つ、肌を傷つけないという布帛としての要求
と、接合部分の繰り返し脱着においてもファスナ材不織
布が容易に伸びたり、切れたりしないファスナ雌材とし
ての要求が高まってきている。
【0005】しかし、上記した面ファスナ雌材では、例
えば特開平6−33359号公報のシワ部を有する長繊
維不織布からなる面ファスナ用雌材や、特開平7−26
462号公報のポリプロピレン系樹脂を含有した長繊維
ウェブを熱圧接した面ファスナ用雌材では必要な係合強
力を得ることが出来ないという根本的な欠点を有してい
た。
【0006】また、これら係合強力を向上させる手段と
して、特開平7−171011号公報のウェブをニード
ルパンチして片面にループを形成させ、他面を接着性物
質で固着させた面ファスナや、特開平9−317号公報
の片面にループを形成させ、他面の構成繊維を融着固化
させたりするする面ファスナ雌材では、十分な接合強力
と繰り返しの脱着においても変形しない形態保持性を有
しているが、粗硬感があるため肌に接したときに肌触り
が悪く、肌を傷つける恐れや、通気性が低いために皮膚
障害を引き起こすという欠点を有しているため、直接肌
に接するような布帛として用いるには問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
上記のような欠点を解消し、適度な係合強力と柔軟性を
有し、且つ、係合部分の繰り返し脱着においても面ファ
スナ雌材不織布が容易に伸びたり、切れたりしない形態
安定性と容易に毛羽立たないという実用性に優れた面フ
ァスナ雌材であって、肌に直接接して使用しても肌触り
がよく、肌を傷つけない装着の快適性を具備する布帛と
しても使用可能な面ファスナ雌材用不織布を提供するこ
とを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、ファスナ使用
時に、粗硬感を与えず、必要十分なファスナ特性を有
し、更には繰返しの着脱への耐久性を併せ持つ、使い捨
て用途に適した面ファスナが出来ないかと検討した結
果、特定の形態を有する2種の熱可塑性合成長繊維不織
布を積層し、三次元的に交絡させることにより上述の要
求を達成することが出来ること、さらに、概積層不織布
の少なくとも一部を熱融着させることで、特定の圧接
部、非圧接部の形態をなすことにより、より上述の要求
を満足する、極めて優れた面ファスナ雌材用不織布を得
ることができることを究明し、本発明に至ったものであ
る。
【0009】すなわち、本発明は、実質的に熱処理が施
されていない長繊維不織ウエブAと散点状の部分的熱融
着部を有する熱融着長繊維不織布Bとが積層され、前記
不織ウエブAの構成長繊維と前記不織布Bを構成する繊
維とが三次元的に交絡して一体化しており、不織布B表
面には、主として不織ウエブAを構成する長繊維が多数
のループを形成していることを特徴とする面ファスナ雌
材用不織布を要旨とするものである。
【0010】また、本発明は、長繊維不織ウエブAと、
散点状の部分的熱融着部を有する熱融着長繊維不織布B
とが積層され、前記不織ウエブAの構成長繊維と前記不
織布Bを構成する繊維とが三次元的に交絡して一体化し
ており、不織布B表面には、主として不織ウエブAを構
成する長繊維が多数のループを形成しており、長繊維不
織布Bおよび長繊維不織ウエブAの全面には、ネット状
熱圧接部を有し、ネット状熱圧接部に囲まれてなる個々
の非熱圧接部の面積が5mm2以上、ネット状熱圧接部
の面積率が10〜60%であり、長繊維不織ウエブAの
非熱圧接部は、実質的に熱による影響を受けていないこ
とを特徴とする面ファスナ雌材用不織布を要旨とするも
のである。
【0011】さらに、本発明は、熱処理を施していない
長繊維不織ウエブAと散点状の部分的熱融着部を有する
熱融着長繊維不織布Bとを積層し、不織布ウエブA層側
よりニードルパンチ処理することにより、不織ウエブA
と不織布Bとを三次元的に交絡して一体化するととも
に、不織布B表面に、主として不織ウエブAを構成する
長繊維からなる多数のループを形成することを特徴とす
る面ファスナ雌材用不織布の製造方法を要旨とするもの
である。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明について詳細に説明
する。本発明の面ファスナ雌材用不織布は、実質的に熱
処理が施されてなく、熱による影響を受けていない長繊
維不織ウエブAと散点状の部分的熱融着部を有する熱融
着長繊維不織布Bとが積層され、不織ウエブAの構成長
繊維が前記不織布Bに三次元的に交絡して一体化してい
る。
【0013】長繊維不織ウエブAは、構成繊維同士が三
次元的に交絡することによって形態が保持されており、
構成繊維は、熱による軟化または溶融等がなく、実質的
に熱処理が施されていない状態であって、柔軟性に富ん
でいる。
【0014】長繊維不織ウエブAの構成繊維は、雄材と
主として係合するループを形成する繊維となるため、係
合強力等の面よりポリエチレンテレフタレート単一から
なる繊維またはポリエチレンテレフタレートを芯成分と
した芯鞘複合型繊維であることが好ましい。芯鞘複合型
とする場合は、鞘成分として共重合ポリエステルやポリ
ブチレンテレフタレート等のポリエステル系やナイロン
6、ナイロン66等のポリアミド系、ポリエチレンやポ
リプロピレン等のオレフィン系等を用いればよく、特に
限定されるものではない。
【0015】長繊維不織ウエブAの構成繊維の単糸繊度
は、1〜11デシテックス(以下、dtexと称す。)
であることが好ましく、より好ましくは1〜9dtex
である。
【0016】単糸繊度が1dtex未満の場合、雄材を
係合するループとなる繊維の強力が弱すぎるため、雄材
を雌材に係合した後、剥離時にループを形成する繊維が
容易に切断され、係合強力、繰り返し使用における耐久
性が著しく低下する。また、ニードルパンチにより、ル
ープを形成する場合には、ニードル針の貫入による摩耗
等により、繊維が破壊され易く、雌材として十分な係合
強力を有するループを形成できにくい。
【0017】一方、11dtexを超えると、繊維の強
力は十分であるが、係合部となるループの数が相対的に
減少し、また、ループの剛性が大きくなるために、雄材
の係合部と係合しにくくなって係合力に差が生じる係合
斑が生じることになる。
【0018】長繊維不織ウエブAの目付は、10g/m
2以上であることが好ましく、より好ましくは20g/
2以上である。10g/m2未満であると、雄材と係合
するループの数が相対的に減少する傾向となるため好ま
しくない。目付の上限は、適宜選択すればよいが、コス
トや柔軟性の点から100g/m2程度であればよい。
【0019】長繊維不織布Bは、散点状の部分的熱融着
部を有する。長繊維不織布Bが散点状の部分的熱融着部
を有することによって、雌材不織布の強力を担ってい
る。また、熱融着部により不織布Bの構成繊維が固定さ
れており、これらの繊維が、長繊維不織布Bを突き抜け
て不織布B表面に存在する不織ウエブAの構成繊維から
なるループを固定し、ループの伸びや抜けを防ぎ、形態
安定性を向上させている。ここで、部分的熱融着部を散
点状に設けるのは、不織布強力と柔軟性とを併せ持つた
めであり、部分熱融着部を例えば連続線状に設けると強
力は向上するが、柔軟性が極端に劣り、目的とする柔軟
性と強力の両方を併せ持つ雌材を得ることができないた
めである。
【0020】この熱融着部を設ける方法としては、一対
の加熱されたエンボスロールまたは加熱されたエンボス
ロールとフラットロールからなるエンボス装置に通布す
ることにより、エンボスロールの凸部に当接する部分の
構成繊維を融着させて繊維同士を固定する方法、部分的
に穴が設けられた板やネットを当てて、その上から熱風
処理を施し、熱風が当たる部分の構成繊維を融着させて
繊維同士を固定する方法、一対のエンボスロールまたは
エンボスロールとフラットロールからなる超音波融着装
置に通布することにより、エンボスロールの凸部に当接
する部分の構成繊維を融着させて繊維同士を固定する方
法等が挙げられる。
【0021】長繊維不織布Bが有する散点状の部分的熱
融着部1個の面積は、0.04〜2mm2、熱融着率
は、2〜50%であることが好ましい。熱融着率が2%
未満であると、熱融着部を有する効果が十分でなく、雄
材との繰り返し着脱に耐えられず、ループが脱落しやす
く、毛羽が発生しやすい。これを防ぐ目的で、不織布B
側表面にネット状の熱圧接部を施した場合、強固に圧接
しなければループの脱落、毛羽の発生を防ぐことができ
ないため、得られる雌材は柔軟性に劣り、粗硬感がある
ものとなる。一方、熱融着部の面積が2mm2を超え、
熱融着率が50%を超えると、不織布Bの強力が大きく
なるので得られる雌材の形態安定性は十分なものとな
る、ペーパーライク感が発生し、柔軟性が低下する。
【0022】長繊維不織布Bの目付は、10〜130g
/m2であることが好ましい。目付が130g/m2を超
えると、必然的に面ファスナ雌材全体の目付が増加する
ため、雌材が粗硬感を有する傾向となり、また、コスト
が高くなるため好ましくない。一方、雌材用不織布全体
の目付を低下せしめるために、不織ウエブAの目付のみ
を低下させることは、雄材との係合を司るループの数を
減らすことにつながり、必要十分な係合力が得られなく
なってしまうため好ましくない。
【0023】また、目付が10g/m2未満であると、
雄材との繰り返し着脱による雌材の形態安定性の保持と
いう不織布Bの最も重要な役割を果たすに十分な強力を
有しないため、実用に供しえない傾向となる。
【0024】長繊維不織布Bの厚みは400μm以下で
あることが好ましい。厚みが400μmを超えると、曲
げに対する追従性などが低下し、粗硬感やゴワゴワ感を
生ずる原因となるばかりでなく、不織布B表面に存在す
る不織ウエブAを構成する長繊維からなるループの高さ
が低くなるため、すなわち雄材との係合に寄与する部位
の長さが短くなる傾向となるため、雄材との係合強力を
低下させる要因となる。
【0025】長繊維不織布Bの構成繊維は、ポリエステ
ル系、ポリアミド系およびオレフィン系等特に限定され
るものではないが、雌材用不織布の形態安定性を保持す
る役割をする部分であることから、ポリエチレンテレフ
タレート単一からなる繊維またはポリエチレンテレフタ
レートを芯成分とし、芯成分より低い融点を有する共重
合ポリエステル、ポリプロピレンやポリエチレン等を鞘
成分とした芯鞘型複合繊維が好ましく用いられる。
【0026】また、不織ウエブAと不織布Bを構成する
繊維間では、繊維表面を形成している重合体相互間に相
溶性があることが、雄材との繰り返し着脱におけるルー
プの抜け落ちを防止する上でより好ましい。不織ウエブ
Aと不織布Bとの構成繊維表面を形成している重合体相
互が相溶性を有すると、すなわち、不織ウエブAの構成
繊維からなるループと、このループを押さえ、固定して
なる不織布Bの構成繊維とが相溶性を有すると、互いに
滑りが生じにくいため、不織布Bのループをより効果的
に固定でき、ループの抜け落ちを防止できるのである。
【0027】ループ繊維の抜け落ちが多いと、抜けた繊
維が、雄側のフック内に詰まっていくため、フックの性
能を低下させて係合耐久性が劣るものになると同時に、
雌材表面が毛羽立ち、繰り返しの使用により著しく品位
が低下する原因となる。
【0028】長繊維不織ウエブAと長繊維不織布Bと
は、三次元的に交絡して一体化している。この交絡は、
一般的に知られる機械的交絡法を用いればよいが、本発
明においては、一方の層が熱融着不織布であること、ま
た同時に熱融着不織布Bを突き抜けてループの形成する
ことが好ましいため、ニードルパンチ法が好ましく用い
られる。
【0029】本発明の面ファスナ雌材用不織布は、不織
布B表面には、主として不織ウエブAを構成する長繊維
が多数のループを形成しており、これは、不織ウエブA
を構成する繊維が不織布Bを突き抜けて不織布B表面に
形成されているものである。この不織布B表面に形成さ
れた多数のループが係合部となって雄材と係合する。不
織ウエブAの構成繊維が不織布Bを突き抜けて不織布B
表面にループとして存在していることにより、ループ
は、構成繊維同士が部分熱融着部にて固定されてなる不
織布Bによって、より強固に固定されることになり、雄
材との繰り返し着脱において、ループの伸びや抜けを防
止できる形態安定性に優れた雌材となる。
【0030】また、多数のループを有する不織布B側の
全面および長繊維不織ウエブAの全面に、熱圧接部を形
成させることにより、好ましくは、ネット状の熱圧接部
を形成させることにより、雄材との繰り返し脱着におい
てもループが容易に伸びたり、切れたりせず、また、雌
材用不織布自体も伸びたりせず、形態安定性が良好で容
易に毛羽立たないという効果を更に向上させることがで
きる。
【0031】ネット状の熱圧接部とは、非熱圧接部の周
囲がすべて連続した熱圧接部に囲まれている。すなわ
ち、個々の非熱圧接部は連続していないで、熱圧接部に
より区切られている。ネット状熱圧接部を形成させるこ
とにより、雄材と雌材との繰り返し脱着において、雄材
と係合するループがネット状熱圧接部によって、より強
固に固定され、より効果的にループの伸びや雌材の形態
を保持することができる。
【0032】また、雌材用不織布自体も、表裏共、熱圧
接部を有することにより形態安定性が向上するため、例
えば、本発明の雌材用不織布を面ファスナとして用いる
と同時に布帛としても機能する用途、例えば、手術着等
の布帛として用い、胴回り等に雄材を付けて着脱できる
ようにする用途や、おむつカバーやおむつ等の布帛、特
に腰回り部の布帛として使用し、一部に雄材を取りつけ
て、雌材(布帛)に固定するベルト等としてする用途に
おいて、雄雌材との繰り返し脱着および人の呼吸や動き
等により不織布(雌材)に付加されるせん断方向の力に
よる不織布(布帛)の変形や、不織布形態の崩壊を防止
することができる。
【0033】このような熱圧接部を有していないと、雄
材との繰り返し脱着において、雄材を剥離する際に、ル
ープの一部が雌材基部から外れ毛羽状に発生した場合、
連鎖的に非圧接部を構成している繊維までもがズルズル
と抜け落ちやすくなる。熱圧接部が連続したネット状形
態であることにより、よりこのような効果を向上させる
ことができる。
【0034】ネット状熱圧接部に囲まれてなる一つの非
熱圧接部の面積は5mm2以上、ネット状熱圧接部の面
積率は10〜60%であることが好ましい。非圧接部の
外周近傍(すなわち、熱圧接部との境界付近に存在する
非圧接部の繊維)においては、熱圧接処理による熱の影
響を受けているため、圧接された状態に近い形態となっ
ていることが多く、非熱圧接部の面積が5mm2未満で
あると、相対的に雄材と係合する非圧接部の面積率が小
さくなることから、十分な係合を得られない傾向とな
る。逆に、非熱圧接部の面積が大きすぎると、ネット状
熱圧接部を設ける効果が薄れ、ループが抜けやすくなる
ので、一つの非熱圧接部の面積の上限は、350mm2
程度であることが好ましい。
【0035】ネット状熱圧接部の面積率が60%を超え
ると、雄材との係合に寄与できる部分が小さくなり十分
な係合を得られない傾向となり、一方、10%未満であ
ると、熱圧接部を設ける効果が期待できない傾向とな
る。
【0036】ネット状熱圧接部の形状は、特に限定する
ものではなく、例えば、図2に示すごとく6角形のハニ
カム状や、図3に示すごとく碁盤目状等が挙げられる。
【0037】ネット状熱圧接部と非熱圧接部との高低差
は1mm以上であることが好ましい。高低差が小さい
と、係合時に雄材を雌材に押し付けたとき、圧接部分の
厚みがネックとなり十分に雄材フックが雌材のループ空
間に入り込めず、十分な係合強力が得られにくくなるた
め、高低差を1mm以上に設定することにより、雄材の
フックが容易に非圧接部内へ入りやすくなるため、雄材
との係合性が良好となる。
【0038】また、本発明の面ファスナ用雌材用不織布
全体にバインダー樹脂を含浸してもよい。特に長繊維不
織ウエブAと長繊維不織布Bが共に単一成分であった
り、不織ウエブAを構成する長繊維表面の重合体と不織
布Bを構成する長繊維表面の重合体とが、相溶性がない
場合には、繊維の抜け落ち防止や形態安定性を高めるの
に有効である。
【0039】使用するバインダー樹脂としては、アクリ
ル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メ
タクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸
ブチル、アクリロニトリル、スチレン等のモノマーを二
種以上組み合わせて所望のモル比で共重合した共重合体
やこの共重合体が架橋剤によって架橋されている架橋型
のバインダー樹脂等、一般の合成樹脂を用いればよい
が、オムツ等のように肌に直接触れるような用途に雌材
を用いる場合等もあるので、用途に合わせた選択が必要
である。
【0040】バインダー樹脂の付着量としては、質量比
で1〜15重量%が好ましく、特には1〜10質量%が
より好ましい。バインダー樹脂の役割は、不織布の形態
安定性向上とループ繊維の抜け落ち防止であるため、付
着量が1質量%未満であると、少なすぎて役割を果たせ
ず、一方、15質量%を超えると、雌材用不織布が非常
に粗硬なものとなり、柔軟性を有するという本発明の課
題を解決することが出来ないものとなってしまう。
【0041】面ファスナ雌材用不織布全体の目付は、2
0〜150g/m2であることが好ましい。雌材用不織
布の目付が20g/m2未満であると、布帛としての十
分な強力が得られず、繰り返しのファスニングにより容
易に雌材用不織布が変形しやすい。一方、150g/m
2を超えると、ファスニング性能や雌材用不織布の形態
安定性は十分であるが、通気性に劣るものとなり、ムレ
等の皮膚への影響上好ましくない。また、コスト的にも
大きくなりすぎる結果となり、使い捨て用途などには不
経済となってしまう。
【0042】本発明の面ファスナ雌材用不織布の通気度
は、80cc/秒・cm2以上であることが好ましく、
より好ましくは、80〜250cc/秒・cm2であ
る。通気度が80cc/秒・cm2未満であると、通気
度が不足するため、面ファスナ雌材用不織布を直接肌に
触れるような用途に用いた場合、ムレや発汗の妨げとな
り、皮膚障害などを引き起こす原因となりやすい。
【0043】図1は、本発明の面ファスナ雌材用不織布
の一例を示す概略断面図である。図1において、面ファ
スナ雌材用不織布(1)は、長繊維不織ウエブA(2)
と、散点状の部分的熱融着部を有する熱融着長繊維不織
布B(3)とが積層され、三次元的に交絡して一体化し
ており、不織布B表面には、主として不織ウエブAを構
成する長繊維が多数のループ(4)を形成しており、長
繊維不織布Bおよび長繊維不織ウエブAの全面には、ネ
ット状熱圧接部(5)を有し、長繊維不織ウエブAの非
熱圧接部(6)は、実質的に熱による影響を受けていな
い。また、hは、非熱圧接部(6)と熱圧接部(7)と
の高低差である。
【0044】次に、本発明の面ファスナ雌材用不織布の
好ましい製造方法について説明する。まず、長繊維群が
集積されてなる長繊維ウエブを、従来公知の方法、例え
ば、スパンボンド法等により作成する。すなわち、溶融
紡糸法によって長繊維群を引き取りながら、この長繊維
群を移動する捕集コンベア上に堆積させることによって
集積する。具体的には、熱可塑性重合体を通常の紡糸口
金より溶融紡出し、紡出された糸条を冷却した後、エア
ーサッカーにて牽引細化し、次いで公知の方法で開繊さ
せた後、移動堆積装置上に長繊維不織ウエブとして堆積
させる。
【0045】エアーサッカーにて牽引する際の引取速度
は、例えば3000〜6000m/分程度とするのが好
ましい。3000m/分未満であると、長繊維の分子配
向が十分に増大しないため、得られる長繊維の引張強力
が不十分となる傾向となり、その結果、得られる雌材用
不織布は、雄材との接合後、剥離の際に容易に伸びやす
く、また、形態安定性に劣る傾向となる。一方、600
0m/分を超えると、溶融紡糸時の製糸性が低下する傾
向となる。上記の方法で、堆積させて得た長繊維不織ウ
エブを長繊維不織ウエブAとして用いる。
【0046】一方、長繊維不織ウエブに散点状の部分的
熱融着部を設けて、長繊維不織布Bを作成する。この熱
融着部を設ける方法としては、一対の加熱されたエンボ
スロールまたは加熱されたエンボスロールとフラットロ
ールからなるエンボス装置に通布することにより、エン
ボスロールの凸部に当接する部分の構成繊維を融着させ
て繊維同士を固定する方法、部分的に穴が設けられた板
やネットを当てて、その上から熱風処理を施し、熱風が
当たる部分の構成繊維を融着させて繊維同士を固定する
方法、一対のエンボスロールまたはエンボスロールとフ
ラットロールからなる超音波融着装置に通布することに
より、エンボスロールの凸部に当接する部分の構成繊維
を融着させて繊維同士を固定する方法等が挙げられる。
【0047】エンボスロールの凸部の先端面の面積、配
設密度によって、また、熱風処理の場合は熱風が通る板
の穴やネットの目合いの大きさ、配設密度によって、長
繊維不織布Bが有する部分的熱融着部の形態が決定され
る。したがって、凸部の形態、板の穴やネットの構成
も、前述した長繊維不織布Bが有する熱融着部の形態条
件と同様に、凸部の先端面の面積および板の穴面積、ネ
ットの開孔面積が、0.04〜2mm2、ロール表面積
(凸部を無視した状態での表面)に対する凸部の先端面
の総面積比率、板の表面積(穴を無視した状態での表
面)に対する穴の総面積比率、ネットの表面積(開孔を
無視した状態での表面)に対する開孔の総面積比率が、
2〜50%であることが好ましい。
【0048】エンボス装置を用いる場合は、ロールの加
熱温度は、長繊維を構成する熱可塑性重合体の融点未満
の温度とし、好ましくは、融点未満〜融点より60℃低
い温度の範囲に設定することが好ましい。長繊維が低融
点重合体と高融点重合体とからなる複合繊維である場合
は、低融点重合体の融点を基準とし、低融点重合体の融
点未満〜融点より60℃低い温度の範囲とすることが好
ましい。ロールの加熱温度が融点以上であると、凸部に
当接する部分の軟化または溶融した重合体がロールに付
着し、生産性が著しく低下することになる。融点より6
0℃を超えて低い温度であると、ロール間の線圧にもよ
るが、熱圧接点の熱融着が不十分となり、目的とする不
織布の機械的強力が得られにくい。ロール間の線圧とし
ては、処理を行う不織ウエブの目付により適宜選択すれ
ばよいが、98〜980N/cm 2の範囲とすることが
好ましい。処理速度については、圧接温度およびロール
線圧にもよるが、5〜50m/分とするのがよい。
【0049】熱風処理を行う場合の処理温度は、長繊維
を構成する熱可塑性重合体の融点以上の温度とし、好ま
しくは融点〜融点より20℃高い温度の範囲に設定する
ことが好ましい。長繊維が低融点重合体と高融点重合体
とからなる複合繊維である場合は、低融点重合体の融点
を基準として行う。
【0050】次に、得られた熱処理を施していない長繊
維不織ウエブAと散点状の部分的熱融着部を有する熱癒
着長繊維不織布Bとを積層し、不織ウエブA側よりニー
ドルパンチ処理することにより、不織ウエブAと不織布
Bとを三次元的に交絡して一体化するとともに、不織布
B表面に、主として不織ウエブAを構成する長繊維から
なる多数のループを形成させる。
【0051】長繊維不織ウエブAの構成繊維は、熱処理
が施されていないため、繊維同士が単に集積された状態
であって固定されていない。そこで、不織ウエブAと長
繊維不織布Bとを積層した積層体において、不織ウエブ
A側よりニードルパンチを施すことにより、ニードル針
は、自由度の高い不織ウエブAの構成繊維を引っ掛け
る。ニードル針に引っ掛かった不織ウエブAの構成繊維
は、不織布B内を突き抜けて不織布B表面へループを形
成することになる。このとき、不織布Bの構成繊維は、
部分的熱融着によって固定されているために、ニードル
針に引っ掛かりにくいのである。
【0052】また、このニードルパンチ処理により、不
織ウエブAの構成繊維が不織布Bに交絡し、不織ウエブ
Aの構成繊維同士もまた形状繊維同士が交絡することで
全体として一体化する。
【0053】ニードルパンチの針密度は、使用するニー
ドル針の種類や針深度によって適宜設定されるが、一般
的に20〜100回/cm2であるのが好ましい。針密
度が20回/cm2未満であると、層間の交絡の程度が
低く十分に一体化できない傾向となる。また、不織布B
表面に形成させるループの数が少なくなる。一方、針密
度が100回/cm2を超えると、層間の交絡は強くな
るが、ニードル針による長繊維の損傷が激しく、繊維自
体が著しく強力の低いものとなってしまうため、雌材用
不織布の機械的強力が劣る傾向となる。
【0054】ニードルパンチを施した後、ネット状のエ
ンボス模様を有するエンボスロールとフラットロールか
らなるエンボス装置に、ループを有する不織布Bがエン
ボスロールに当接するように通布する。または、一対の
ネット状のエンボス模様を有するエンボスロールからな
り、エンボスロールの凸部が互いに当接するエンボス装
置に通布する。エンボスロールの凸部が形成するネット
状模様により、雌材不織布に付与されるネット状熱圧接
部が決定されるので、一個の凹部の面積は5mm2
上、ロール表面積(凸部を無視した状態での表面)に対
する凸部の総面積率は10〜60%とすることが好まし
い。
【0055】このエンボス処理の際、エンボスロールと
フラットロールとからなるエンボス装置を用いる場合、
フラットロールに全面が接する不織ウエブAにおいて、
エンボスロールの凸部に相当しエンボスロール側より圧
力が加わる部分(熱圧接部)以外の非熱圧接部が、熱に
よる影響を受けないようにするため、フラットロールの
加熱温度を考慮する。例えば、不織ウエブAの構成繊維
がポリエチレンテレフタレート(融点255℃前後)で
ある場合は、フラットロールの加熱温度を160〜18
0℃程度とし、ポリエチレン(融点130℃前後)であ
る場合は、フラットロールの加熱温度を90℃程度とす
る。一方、不織布Bに接するエンボスロールは、不織布
Bの構成繊維がポリエチレンテレフタレート(融点25
5℃前後)である場合は、加熱温度を230〜240℃
程度とし、ポリエチレン(融点130℃前後)である場
合は、加熱温度を120℃程度とする。不織ウエブAに
当接するフラットロールの加熱温度を低温とするのは、
非熱圧接部における不織ウエブAの構成繊維に、熱の影
響を受けないようにして、雌材用不織布の柔軟性を担う
ためである。フラットロールの加熱温度が上記温度を超
える高い温度であると、不織ウエブA全面が熱により溶
融して繊維同士が融着してしまい、得られる雌材用不織
布は、非常に硬化したものとなってしまうため、本発明
の目的とするものが得られない。
【0056】エンボスロールの凸部の高さ(彫刻の深
さ)については、1mm以上とすることが好ましく、よ
り好ましくは、2mm以上である。エンボスロールの凸
部の高さによって、ネット状熱圧接部と非熱圧接部との
高低差が決定される。凸部の高さが低くなると、凹部内
の係合を司るループを潰すことになり、すなわち、凹部
内のループがエンボスロールの熱の影響を受けて溶融接
着したり、潰されたりし、雄材との係合性が劣る傾向と
なる。凸部の高さの上限は特に設定しないが、エンボス
ロールの摩耗や彫刻のためのコストを考慮して3mm程
度であればよい。
【0057】次に、雌材の形態安定性をより向上させる
目的で、前述したバインダー樹脂を付着させることが好
ましく、付着方法としては、公知のディッピング法、泡
含浸法、スプレー法等を採用すればよい。
【0058】図5は、本発明の面ファスナ雌材用不織布
の製造方法の一例を示す概略図である。熱処理を施して
いない長繊維不織ウエブA(2)と散点状の部分的熱融
着部を有する熱融着長繊維不織布B(3)とを積層し、
不織布ウエブA側よりニードルパンチ機(7)によりニ
ードルパンチ処理することにより、不織ウエブAと不織
布Bとを三次元的に交絡して一体化するとともに、不織
布B表面に、主として不織ウエブAを構成する長繊維か
らなる多数のループを形成させる。次いで、ニードルパ
ンチ処理後、エンボスロール(8)とフラットロール
(9)からなるエンボス装置に、多数のループを有する
不織布B側(3)がエンボスロール(8)に当接するよ
うに通布して面ファスナ雌材用不織布(1)を得る。
【0059】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。しかしながら、本発明は以下の実施例に限定される
ものではない。以下の実施例において各特性値は次のよ
うにして求めた。 (1)単糸繊度(dtex) 吸引装置により牽引細化した繊維について電子顕微鏡を
用いて、密度補正を行いもとめた。
【0060】(2)熱圧接部と非熱圧接部の高低差(m
m) サンプル断面の写真撮影を行い、ループの平均高さと熱
圧接部厚みを実測し、ループの平均高さを非熱圧接部の
高さとし、その差を求め高低差とした。
【0061】(3)圧縮剛軟度(cN) 不織布をMD方向(機械的方向)5cm×CD方向(機
械的方向に直交する方向)10cmの長方形に切り出
し、サンプルの短辺と短辺を合わせて、中央部をテープ
で張り合わせ、円筒状のサンプルを作成する。サンプル
を平板上に立て、MD方向軸に垂直な別の平板で押しつ
ぶした時に平板に掛かる最大強力を株式会社東洋ボール
ドウイン製テンシロンRTM−500で圧縮速度50m
m/分で測定し、MD方向圧縮剛軟度とした。切り出し
サンプルの向きを変え、同様な手法でCD方向圧縮剛軟
度を求めた。MD、CD方向各々n=5で測定し、全平
均値をもって圧縮剛軟度とし、柔軟性の指標とした。こ
の値については小さいほど柔軟性が優れており、196
cN以下であることが好ましく、より好ましくは147
cN以下である方が望ましい。
【0062】(4)CD方向降伏点強度(N) 面ファスナ不織布より、MD方向5cm×CD方向30
cmの長方形に試験片を切り出し、前記テンシロンに
て、チャック間20cm、引張速度20cm/分にて測
定を実施し、得られた結果のN=5の平均値とし、この
値をもって形態安定性の指標とした。この値については
16.7N以上であることが好ましく、さらには19.
6N以上であることが好ましい。
【0063】(5)係合剥離強力(N/cm) JIS L3416の面ファスナの試験方法に準じて行
った。サンプル片を幅25mm、長さ100mmとし、
同大きさのYKK製マッシュルームテープ(雄側)と重
ね合わせ、端部50mm長が係合するよう、24.5N
の鉄製のローラーを二往復転圧して係合した。これを上
記テンシロンを用い、つかみ間隔10cm、引張速度3
0cm/分で剥離した。強力値は剥離するときに示す極
大値6点と極小値6点の平均から求め、さらにn=5の
平均を強力値とした。
【0064】(6)係合剥離強力測定後の毛羽立性 係合剥離強力測定後の雌材表面を目視にて観察し、ルー
プが切れたり、外れて発生した毛羽の状態を下の5段階
にて評価した。 5;極めて良好 4;良好 3;ふつう 2;やや不良 1;不良
【0065】(7)通気度(cc/秒・cm2) JIS L1096により測定した。
【0066】(8)5%伸長時せん断方向強度(N) 面ファスナ雌材用不織布より、せん断方向とする方向3
0cm×せん断方向に直交する方向5cmの長方形に試
験片を切り出し、株式会社東洋ボールドウィン製テンシ
ロンRTM−500にて、チャック間10cm、引張速
度20cm/分にて測定を実施し、得られた結果のN=
5の平均値を求め、5%伸長時せん断方向強度(N)と
した。せん断方向とする方向としては、MD方向、CD
方向の両方向について測定した。
【0067】実施例1 融点255℃のポリエチレンテレフタレートを、溶融温
度285℃で口金より溶融紡出した。紡糸速度5000
m/分でエアーサッカーにて繊維の単糸繊度が3デニー
ルになるよう引き取り、延伸後の繊維をネット上に、単
位面積(m2)当たりの質量が35gのウエブになるよ
うに捕集した。得られたウエブを一対のエンボッシング
ロールからなるエンボス装置に通し、ロール温度230
℃とし、熱融着部の面積が0.4mm2、熱融着率10
%の散点状の熱融着部を有し、厚みが250μmの不織
布を得た。
【0068】得られたウエブと熱融着部を有する不織布
とを積層し、針の進入側がウエブ側になるように、ニー
ドルパンチング機械(針:フォスター社製、クラウンバ
ーブニードル)にて針密度50回/cm2、針深9mm
でニードルパンチ処理を行い、交絡一体化させると同時
に、熱融着部を有する不織布表面にループを形成させ
た。
【0069】得られた積層不織布を図2に示すごとき2
30℃に加熱したハニカム状エンボスロール(エンボス
部の高さ1.5mm)と200℃に加熱したフラットロ
ールからなる一対のエンボス装置にて、ループ側がエン
ボスロール側になるように圧接した。そのとき、非熱圧
接部の面積100mm2、熱圧接部の面積率は24%で
あった。
【0070】次いで、アクリル系樹脂(株式会社大日本
インキ化学工業製)を固形分付着量で6質量%になるよ
うに含浸した後、乾燥を行って本発明の面ファスナ用雌
材を得た。
【0071】実施例2 実施例1で用いたポリエチレンテレフタレートを芯成
分、融点125℃の高密度ポリエチレンを鞘成分とし、
複合比が質量比で1/1である芯鞘型複合繊維を紡出
し、エアーサッカーにて単糸繊度4デニールになるよう
引き取り、延伸後の繊維をネット上に、単位面積
(m2)当りの質量が30gのウエブになるように捕集
した。
【0072】得られたウエブを実施例1で用いたエンボ
ス装置に通し、ロール温度120℃で、散点状の熱融着
部を有し、厚みが200μmの不織布を得た。
【0073】次いで、得られた芯鞘型複合繊維からなる
ウエブと得られた熱融着部を有する不織布とを積層し、
実施例1と同様にしてニードリングを行った。
【0074】得られた積層不織布を図3に示すごとき1
20℃に加熱した碁盤目状エンボスロール(エンボス部
の高さ1.5mm)と90℃に加熱したフラットロール
からなるエンボス装置にて、ループ側がエンボスロール
側になるように圧接し、本発明の面ファスナ用雌材を得
た。
【0075】実施例3 実施例2において、表1に示す非圧接部面積、圧接部面
積率となる碁盤目状エンボスロールを用いた以外は、実
施例2と同様にして本発明の面ファスナ雌材用不織布を
得た。
【0076】実施例4 実施例2において、ニードリング後の圧接の際、図4に
示すごとき、非圧接部分が点在せず連続している圧接模
様となる織目状エンボスロールとフラットロールからな
るエンボス装置を用いた以外は実施例2と同様にして、
面ファスナ雌材用不織布を得た。
【0077】実施例5 実施例2において、散点状の熱融着部を有する不織布と
して、目付55g/m 2、厚み450μmのものを用い
た以外は、実施例2と同様にして、面ファスナ雌材用不
織布を得た。
【0078】実施例6 実施例2において、表1に示す非圧接部面積、圧接部面
積率となる碁盤目状エンボスロールを用いた以外は、実
施例2と同様にして、面ファスナ雌材用不織布を得た。
【0079】実施例7 実施例2において、ニードリング後の熱圧接処理を施さ
なかった以外は、実施例2と同様にして、面ファスナ雌
材用不織布を得た。
【0080】実施例8 実施例2において、表1に示す非圧接部面積、圧接部面
積率で、エンボス部高さ2.5mmの碁盤目状エンボス
ロールを用いた以外は、実施例2と同様にして、面ファ
スナ雌材用不織布を得た。
【0081】比較例1 実施例2において、ニードリング後の熱圧接処理の際、
フラットロールの加熱温度を130℃とし、非ループ面
を全面熱融着させた以外は、実施例2と同様にして面フ
ァスナ雌材用不織布を得た。
【0082】得られた面ファスナ用不織布の特性値と試
験結果を表1に示す。
【0083】
【表1】
【0084】表1から明らかなように、実施例1〜3、
8の面ファスナ雌材用不織布は、必要十分な係合強力を
有し、柔軟性、形態安定性、通気性共に優れたものであ
った。
【0085】実施例4の面ファスナ雌材用不織布は、織
目状熱圧接部を有し、非熱圧接部が連続しているので、
実施例1〜3のものに比べると、係合剥離後に表面に毛
羽がやや見られたが、必要十分な係合強力を有し、柔軟
性に優れたものであった。
【0086】実施例5の面ファスナ雌材用不織布は、表
面に存在するループの高さがやや小さいものであった
が、あまり強力な係合力を必要としない用途では十分に
使用できる係合強力を有し、柔軟性、形態安定性に優れ
たものであった。
【0087】実施例6の面ファスナ雌材用不織布は、非
熱圧接部の面積がやや小さいものであったが、あまり強
力な係合力を必要としない用途では十分に使用できる係
合強力を有し、形態安定性に優れたものであった。
【0088】実施例7の面ファスナ雌材用不織布は、熱
圧接を施さなかったものであるが、あまり強力な係合力
を必要としない用途では十分に使用できる係合強力を有
し、形態安定性に優れたものであった。
【0089】比較例1では、非ループ面(不織ウエブA
側面)が、繊維同士が全面的に熱融着しているものであ
ったため、粗硬感を有して肌触りに劣り、本発明が目的
とするものではなかった。
【0090】
【発明の効果】本発明の面ファスナ用雌材によれば、ル
ープ生成に寄与し、かつ柔軟性に優れた不織ウエブAと
形態安定性に優れる不織布Bとを積層したものであり、
不織布Bがループを固定するため、適度な係合強力と係
合部分の繰り返し脱着においても面ファスナ雌材が容易
に伸びたり、切れたりしない形態安定性と容易に毛羽立
たないため、実用性に優れ、また、不織ウエブAは、全
面的に熱処理が施されていないため、粗硬感がなく肌触
りの良好で柔軟性に優れ、通気性に優れた面ファスナ雌
材を提供することができたものである。
【0091】このような本発明の面ファスナ雌材用不織
布は、雄材のフックと係合する雌材として使用すること
は、もちろんのこと、直接肌に接する用途、例えば、手
術着やおむつカバー、おむつ本体を構成する布帛として
用い、その布帛の一部に雄材を取り付けて雌材(布帛)
に固定するベルト等として用いても、ムレ感がなく、肌
を傷つけず、肌触りがよいため快適に着用することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の面ファスナ雌材用不織布の概略断面図
である。
【図2】本発明に用いるエンボスロールの一例を示す概
略図ある。
【図3】本発明に用いるエンボスロールの一例を示す概
略図ある。
【図4】本発明に用いるエンボスロールの一例を示す概
略図ある。
【図5】本発明の面ファスナ雌材用不織布の製造方法の
一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 面ファスナ雌材用不織布 2 長繊維不織ウエブA 3 散点状の部分的熱融着部を有する熱融着長繊維不織
布B 4 ループ 5 ネット状熱圧接部(エンボスロールの凸部) 6 非熱圧接部(エンボスロールの凹部) h 非熱圧接部(6)と熱圧接部(7)との高低差 7 ニードルパンチ機 8 エンボスロール 9 フラットロール

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に熱による影響を受けていない長
    繊維不織ウエブAと、散点状の部分的熱融着部を有する
    熱融着長繊維不織布Bとが積層され、不織ウエブAの構
    成長繊維が不織布Bに三次元的に交絡して一体化してお
    り、不織布B表面には、主として不織ウエブAを構成す
    る長繊維が多数のループを形成していることを特徴とす
    る面ファスナ雌材用不織布。
  2. 【請求項2】 長繊維不織ウエブAと、散点状の部分的
    熱融着部を有する熱融着長繊維不織布Bとが積層され、
    不織ウエブAの構成長繊維が前記不織布Bに三次元的に
    交絡して一体化しており、不織布B表面には、主として
    不織ウエブAを構成する長繊維が多数のループを形成し
    ており、長繊維不織布Bおよび長繊維不織ウエブAの全
    面には、ネット状熱圧接部を有し、ネット状熱圧接部に
    囲まれてなる個々の非熱圧接部の面積が5mm2以上、
    ネット状熱圧接部の面積率が10〜60%であり、長繊
    維不織ウエブAの非熱圧接部は、実質的に熱による影響
    を受けていないことを特徴とする面ファスナ雌材用不織
    布。
  3. 【請求項3】 ネット状熱圧接部と非熱圧接部との高低
    差が1mm以上であることを特徴とする請求項2記載の
    面ファスナ雌材用不織布。
  4. 【請求項4】 長繊維不織ウエブAおよび長繊維不織布
    Bを構成している長繊維がポリエチレンテレフタレート
    を芯成分とした芯鞘複合型長繊維であることを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれか1項に記載の面ファスナ雌材
    用不織布。
  5. 【請求項5】 熱処理を施していない長繊維不織ウエブ
    Aと散点状の部分的熱融着部を有する熱融着長繊維不織
    布Bとを積層し、不織布ウエブA側よりニードルパンチ
    処理することにより、不織ウエブAと不織布Bとを三次
    元的に交絡して一体化するとともに、不織布B表面に、
    主として不織ウエブAを構成する長繊維からなる多数の
    ループを形成することを特徴とする面ファスナ雌材用不
    織布の製造方法。
  6. 【請求項6】 ニードルパンチ処理後、ネット状のエン
    ボス模様を有するエンボスロールとフラットロールから
    なるエンボス装置に、多数のループを有する不織布B側
    がエンボスロールに当接するように通布することを特徴
    とする請求項5記載の面ファスナ雌材用不織布の製造方
    法。
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