JP2001002586A - 重粒子線療法用薬剤 - Google Patents

重粒子線療法用薬剤

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JP2001002586A
JP2001002586A JP11173872A JP17387299A JP2001002586A JP 2001002586 A JP2001002586 A JP 2001002586A JP 11173872 A JP11173872 A JP 11173872A JP 17387299 A JP17387299 A JP 17387299A JP 2001002586 A JP2001002586 A JP 2001002586A
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vpf
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antagonist
monoclonal antibody
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JP11173872A
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Katsuji Tougemoto
勝司 垰本
Makoto Asano
誠 浅野
Hideo Suzuki
日出夫 鈴木
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Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重粒子線療法との併用療法において、併用さ
れて優れた効果を発揮する化学薬剤を求めること。 【解決手段】 VEGF/VPFアンタゴニスト、特に
抗VEGF/VPFモノクローナル抗体からなる薬剤を
重粒子線療法用薬剤とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重粒子線療法、す
なわち、重粒子線を腫瘍に照射して治療するという重粒
子線抗腫瘍治療方法において、該方法の長所を伸ばし、
短所を補うために行われる併用療法において用いられる
化学療法剤、すなわち重粒子線療法用薬剤に関するもの
であり、製薬技術の属するものである。
【0002】
【従来の技術】腫瘍の治療方法として放射線療法は、手
術療法や化学療法とともに、重要な手段であり、特に重
粒子線療法は、体内で速度が小さくなり止まる寸前で最
大の電離を起すため病巣に高線量を集中させることがで
き、また、病巣が重要器官に接していても選択的照射が
可能で、比較的安全に治癒線量が照射できるという特長
を有している。さらに、照射をうけた細胞の放射線障害
は回復し難く、細胞周期の受け難いため、細胞致死効果
が大きく、放射線抵抗性といわれる難治性の腫瘍に対し
ても有効性が期待できるという優れた特長を有するもの
である。ちなみに、最近発表された臨床試験の例では、
頭頚部腫瘍で80〜85%、肺腫瘍で76〜80%、肝
腫瘍で86〜90%、子宮腫瘍で65%、前立腺腫瘍で
100%といわれている(1999-3-15 日本経済新聞)。
一方、放射線療法、手術療法および化学剤療法のいずれ
も、現在ある限界があり、また、いずれの療法の腫瘍に
対する攻略面に相違があるため、それらの療法の長所を
伸ばし、短所を補う意味で併用療法がおこなわれてい
る。放射線療法に併用される薬剤に求められる効果とし
ては、両者が別々の効果を示し、全体としては両方の効
果を加えたものとなる相加効果、それぞれの効果の和以
上の効果が得られる相乗効果および薬剤のみでは有効で
ないが放射線と併用すれば、放射線の効果を増す増感効
果である。これらの具体例としては、例えば、増感効果
を示すものとしては2-ニトロイミダゾール誘導体が挙げ
られ(特開平9−25268)、相乗効果をしめすもの
としてアンギオスタチン(Nature, Vol. 394, p287-291,
1998)等が挙げられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、上記の
様に優れた特長を有する重粒子線療法において、その長
所を伸ばし、短所を補うべく、化学剤療法との併用を検
討し、併用して優れた効果を発揮する薬剤を求めること
を目的として鋭意研究を行った結果、本発明を完成させ
たのである。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、V
EGF/VPFアンタゴニストからなる重粒子線療法用
薬剤、また、該VEGF/VPFアンタゴニストが抗V
EGF/VPFモノクローナル抗体である前記重粒子線
療法用薬剤、さらには、抗VEGF/VPFモノクロー
ナル抗体がVEGF/VPFのアミノ酸配列の一部であ
る下記配列1〜3の少なくとも1つと反応する抗体であ
る前記重粒子線療法用薬剤に関するものである。 1.KPSCVPLMR 2.SFLQHNKCECRP 3.KCECRPKKDRAR
【0005】
【発明の実施の形態】本発明におけるVEGF/VPF
アンタゴニストとは、血管透過性因子(VPF)[血管内皮
細胞増殖因子(VEGF)とも呼称されており、本明細書で
「VEGF/VPF」と総称する]の作用を阻害する機
能を有するものを意味するものである。VEGF/VP
Fは、直接的に血管内皮細胞に作用し、血管新生すなわ
ち毛細血管内皮細胞の増殖、移動および組織への浸潤と
いう現象を誘発し、胎児の生長、創傷治癒、癌細胞の増
殖などの生理または病理的現象において重要な作用を果
たしているものである。また、VEGF/VPFは、マ
ウス、ラット、モルモット、ウシ及びヒトの正常又は腫
瘍細胞株で分泌されており、組織別では脳、下垂体、腎
臓、卵巣に存在することが明らかにされており[Ferrar
a, N.等、Endocrine Reviews 13: 18(1992)]、ヒトVE
GF/VPF遺伝子についてはそのcDNAがすでに単離さ
れて塩基配列が決定され、アミノ酸配列も推定されてい
る。この遺伝子からアミノ酸残基数の異なる4種類の蛋
白(アミノ酸残基数121個、165個、189個、2
06個の4種類)が作られ、それらの中で121個のア
ミノ酸残基数のもの(VEGF121)と165個のアミ
ノ酸残基数のもの(VEGF165)が成熟蛋白であると
言われている[Ferrara, N.等、Endocrine Reviews 13:
18(1992)]。VEGF121はVEGF165のカルボキシル
末端側の44個のアミノ酸が欠失したものであるが、V
EGF121とVEGF165の間に、血管内皮細胞に対する
作用の違いがあるかどうかについては明らかにされてい
ない。
【0006】血管新生阻害物質として知られているもの
としては、例えば、プロタミン(Taylor, S. et al., N
ature, 297, 307, 1982)、ヘパリンとコーチゾンの併用
剤(Folkman, J. et al., Science, 221, 71, 1983)、
プレドニゾロン・アセテート(Robin, J. B., Arch. Op
thalmol., 103, 284, 1985)、硫酸化多糖(特開昭63-1
19500号公報)、ハービマイシンA(特開平63-295509号
公報)、フマギリン(特開平1-279828号公報)、インタ
ーフェロンβ(国際公開第WO/29092号公報)等が知られ
ており、直接的にVEGF/VPFについては、その血
管新生作用が抗VEGF/VPF抗体によって阻止され
ることが示唆されている(特表平8−502514号公
報)。さらにVEGF/VPFアンタゴニストとして
は、VEGF/VPFの作用を阻害する機能を有するも
のであれば如何なる形態のものでもよく、VEGF/V
PFに作用する抗体の一部分、VEGF/VPFの作用
を阻害する不活性なVEGF/VPF、またはその一部
分、VEGF/VPFの受容体の機能を損なう、例え
ば、血管透過性因子受容体に対する抗体またはその一部
分、さらには、VEGF/VPFの産生そのものを抑制
する薬剤等も挙げることができる。代表的なVEGF/
VPFアンタゴニストとしては、抗VEGF/VPFモ
ノクローナル抗体が挙げられ、VEGF/VPFに作用
する抗体としては、アミノ酸残基数121個、165
個、189個又は206個の4種類のVEGF/VPF
サブタイプの何れに対する抗体であってもよい。特に、
該抗VEGF/VPFモノクローナル抗体が、VEGF
/VPFのアミノ酸配列の一部である下記配列1〜3: 1.KPSCVPLMR 2.SFLQHNKCECRP 3.KCECRPKKDRAR の少なくとも1つと反応する抗体がであることが好まし
い。
【0007】上記の抗VEGF/VPF抗体としては、
マウス抗体等もあげられるが、ヒトへの投与において副
作用を軽減するための処理を行ったものも使用すること
ができる。例えば、マウスモノクローナル抗体をポリエ
チレングリコールのような物質で化学修飾を行い、抗原
性を軽減させたもの、また、マウスモノクローナル抗体
の可変領域を残して他の部分をヒトの抗体に変換させた
マウス・ヒトキメラ抗体や、マウスモノクローナル抗体
の抗原との結合領域であるCDR領域を残して他の領域
をヒト抗体に抗原との結合力を保持させたまま置き換え
たヒト化抗体も使用することができる。さらに、これら
を酵素的に切断して低分子化した抗体も使用することが
できる。該キメラ抗体またはヒト化抗体としては、Ig
Gタイプ又はIgAタイプ等があげられ、該IgGのイソ
タイプとしては、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG
4があげられる。
【0008】重粒子線療法は、炭素イオン等を高速に加
速し、腫瘍病巣に照射して治療する方法であり、従来の
ガンマ線やエックス線を利用した治療方法に比べ、腫瘍
細胞に対する殺傷が高く、病巣に的を絞って照射するこ
とができ、正常な細胞への影響力を最小に抑えることが
できる方法である。重粒子線療法は、局所進行性で、増
殖が遅く、放射線抵抗性の腫瘍、たとえば唾液腺腫瘍、
副鼻腔腫瘍、頭頚部腫瘍、前立腺癌、骨・軟部組織肉
腫、子宮肉腫、悪性黒色腫に対して最も効果的であり、
重要臓器に接する腫瘍、たとえばブドウ膜黒色腫、下垂
体腺腫、髄膜腫、動静脈奇形、聴神経鞘腫、軟骨肉腫、
脊索腫などに対しても有効なものである。重粒子線の照
射装置としては、体内深部に存在する腫瘍を治療するた
めには、体内飛程が30cm程度必要であり、そのために
は約5,000MeVという高エネルギーの粒子線をつく
らなければならないため、サイクロトロンやシンクロト
ロンという高エネルギー粒子線加速器が用いられる。治
療のための重粒子線照射は、最大耐量と最大許容量に基
ずき、副作用と抗腫瘍効果を考慮して決められ、腫瘍の
位置の正確な把握、照射方向、治療門数、各門の線量等
を慎重に検討して行われる。因みに、頭頚部組織におけ
る耐容線量は、1回線量3.6〜4.0GyEを4週間で
16回照射したとき、総線量57.6〜62.0GyEで
あり、速中子線治療で用いられている線量とほぼ等価で
ある(辻井、金井、Biotherapy 13(3):240-259, March,
1999)。
【0009】本発明の重粒子線療法用薬剤を投与する場
合、投与する対象は特に限定されない。例えば、局所又
は全身投与することができ、投与する方法としては経口
又は非経口でもよく、経口投与には舌下投与を包含す
る。非経口投与には注射例えば皮下、筋肉、血管内、腹
腔内又は胸腔内などへの注射、点滴、座剤等を含む。
又、その投与量および有効成分の割合は動物か人間かに
よって、又年齢、投与経路、投与回数により異なり、広
範囲に変えることができる。この場合VEGF/VPF
アンタゴニストの有効量と適切な希釈剤および薬学的に
使用し得る担体の組成物として投与される有効量は0.
1〜100mg/kg体重/日であり1日1回から数回に分け
て毎日又は数日に1回又は1〜2週間に1回投与され
る。VEGF/VPFアンタゴニストは、一般に重粒子
線照射の後に投与されるが、照射前に投与してもよい。
本発明の重粒子線療法用薬剤を非経口投与する場合に
は、安定剤・緩衝剤・保存剤・膨張化剤等の添加剤を含
有し通常単位投与量アンプル若しくは多投与量容器又は
チューブの状態で提供される。たとえば、注射用製剤
は、精製されたVEGF/VPFアンタゴニストを溶
剤、たとえば、生理食塩水、緩衝液などに溶解し、それ
に、吸着防止剤、たとえば、Tween80、ゼラチ
ン、ヒト血清アルブミン(HSA)などを加えたもので
あり、または、使用前に溶解再構成するために凍結乾燥
したものであってもよい。凍結乾燥のための賦形剤とし
ては例えばマンニトール、ブドウ糖などの糖アルコール
や糖類を使用することができる。同様に、点眼液、点眼
軟膏、乳化剤等の形態としたり、滞留を延長させるため
にリポソームやマイクロスフェアーにして使用すること
も出来る。また経口投与する場合はそれに適用される錠
剤・顆粒剤・細粒剤・散剤・カプセル剤等は通常それら
の組成物中に製剤上一般に使用される結合剤・包含剤・
賦形剤・滑沢剤・崩壊剤・湿潤剤のような添加剤を含有
する。又、経口用液体製剤としては内用水剤・懸濁剤・
乳剤・シロップ剤等いずれでの状態であってもよく、
又、使用する際に再溶解させる乾燥生成物であっても良
い。更にその組成物は添加剤・保存剤の何れを含有して
も良い。
【0010】VEGF/VPFアンタゴニストとしての
抗VEGF/VPFモノクローナル抗体の調製方法は以
下のとうりである。 〇 モノクローナル抗体の製造 各モノクローナル抗体は動物をVEGF/VPFで免疫
し、その脾細胞を取り出しこれをミエローマ細胞と融合
して得たハイブリドーマ細胞を培養することにより製造
することができる。このハイブリドーマの製造は例えば
KohlerとMilsteinの方法[Nature,256:495(1975)]等によ
り行うことができる。 (1)抗体産生細胞の調製 免疫用動物にはマウス、ラット、ウサギ等の齧歯類が用
いられる。ミエローマ細胞としてはマウスまたはラット
由来の細胞が用いられる。そして免疫動物1匹に対して
VEGF/VPF10〜100μgの量を抗原として2
〜4週間の間隔で少なくとも計2〜3回の免疫を行う。
動物の飼育及び脾細胞の採取は常法に従って行われる。
尚、免疫の際には抗原に例えばグルタチオン-S-トラン
スフェラーゼ等を融合させて得られた蛋白質又はキーホ
ールリンペットヘモシアニン等を結合させて得られた複
合蛋白質を抗原として用いることもできる。 (2)ミエローマ細胞の調製 ミエローマ細胞としてはマウスミエローマSp2/O-Ag14(S
p2)、P3/NSI/1-Ag4-1(NS-1)、P3×63-Ag.8.U・1(P3U1)等
が挙げられる。これらの細胞の継代培養は常法に従って
行われる。 (3)細胞融合 脾細胞とミエローマ細胞とを1:1〜10:1の割合で
混合してポリエチレングリコールと混合するか電気パル
ス処理することにより細胞融合を行うことができる。 (4)ハイブリドーマの選択 融合細胞(ハイブリドーマ)の選択はヒポキサンチン
(10-3〜10-5M)、アミノプテリン(10-6〜10-7
M)、チミジン(10-5〜10-6M)を含む培地を用いて
培養して生育してくる細胞をハイブリドーマとすること
により行われる。 (5)ハイブリドーマの培養 ハイブリドーマのクローン化は限界希釈法により少なく
とも2回繰り返して行う。ハイブリドーマを通常の動物
細胞と同様にして培養すれば培地中に本発明のモノクロ
ーナル抗体が産生される。又、ハイブリドーマ細胞をマ
ウス腹腔内に移植して増殖させることにより腹水中に本
発明のモノクローナル抗体を蓄積させることもできる。 (6)モノクローナル抗体の採取及び精製 ハイブリドーマ細胞の培養液中又は腹水中に蓄積したモ
ノクローナル抗体は従来から用いられている硫安分画
法、PEG分画法、イオン交換クロマトグラフィー及び
ゲル濾過クロマトグラフィーを用いる方法で精製され
る。又、プロテインAやプロテインG等のアフィニティ
ークロマトグラフィーによる方法も利用できる。モノク
ローナル抗体の選別には酵素免疫測定法、ウエスタンブ
ロッティング法等が用いられる。又、モノクローナル抗
体のアイソタイプの決定はモノクローナル抗体の酵素免
疫測定法又はオクタロニー法等によって行うことができ
る。
【0011】
【実施例】〇 抗VEGF/VPFモノクローナル抗体
MV833の調製 (1)抗VEGF/VPFモノクローナル抗体を産生す
るハイブリドーマの作製 単離したヒトVEGF/VPFのcDNAにて形質転換
した酵母の培養液よりヒトVEGF/VPFを精製し
(特開平7−31496号参照)、キーホールリンペット
ヘモシアニン(KLH)とグルタルアルデヒドを用いて複
合体を作製し、得られた蛋白を抗原として常法に従って
マウスモノクローナル抗体を作製した。即ち、KLH-
VEGF/VPFで免疫したマウスの脾細胞とマウスミ
エローマ細胞(Sp2)をポリエチレングリコール存在下で
細胞融合させた。得られたハイブリドーマは限界希釈法
によりクローニングした。VEGF/VPFとクローン
化したハイブリドーマの培養上清の反応性を酵素免疫測
定法により調べ、VEGF/VPFと反応するモノクロ
ーナル抗体を産生するハイブリドーマを選択した。又、
このハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体をM
V833と命名した。なお、得られたモノクローナル抗体
を産生するハイブリドーマは通商産業省工業技術院生命
工学工業技術研究所にFERM BP−5669として
寄託されている。
【0012】(2)抗VEGF/VPFモノクローナル
抗体の調製 選択したハイブリドーマをヌードマウスの腹腔内に移植
し、モノクローナル抗体を大量に含む腹水を採取した。
この腹水中からプロテインGアフィニティーカラム(M
AbTrapGII、ファルマシア社製)を用いてモノクロー
ナル抗体を精製した。又、抗体のクラスを抗マウス免疫
グロブリンサブクラス特異的抗体を用いた酵素免疫測定
法により調べた結果、MV833抗体のクラスはIgG1で
あった。又、下記の方法で測定したVEGF121及びV
EGF165に対する解離定数は以下の通りであり本発明
のモノクローナル抗体はVEGF/VPFに対して強い
親和性を有することがわかる。 ○ 5.70×10-11M±0.35×10-11M(VEG
F121) ○ 1.10×10-10M±0.11×10-10M(VEG
F165) 解離定数の測定方法 モノクローナル抗体を0.1M塩化ナトリウムを含む2
5mM炭酸緩衝液(pH=9.0)で2μg/mlに調製し、取り
外し可能な有穴プレートに100μlずつ添加し4℃で
一晩放置する。次に穴から溶液を除き1%BSA-PB
Sを300μlずつ添加し37℃で4時間放置する。1
%BSA-PBSを取り除いた後0.1%BSA-PBS
で調製したVEGFと125I標識VEGF(125I標識V
EGF121はVEGF121をクロラミンT法により標識、
125I標識VEGF165はアマシャム社より購入)反応混
液を穴あたり200μl添加して一晩放置する。この反
応混液中のVEGF濃度はVEGF121が0〜1ng/穴,
VEGF165が0〜10ng/穴、125I標識VEGFが1
×104cpm/穴(125I標識VEGF121;66.7pg/穴、1
25I標識VEGF165;116pg/穴)とする。穴から反
応混液を取り除き0.1%BSA-PBSで6回洗浄した
後、穴を1個ずつ切り離して分析用チューブに入れガン
マーカウンターにてカウントし、その結果より作成した
散布図から解離定数を求める。又、下記の方法で測定し
た本発明のモノクローナル抗体の等電点はpI=5.2〜
5.5であった。現時点で報告のある他のIgG1タイプ
の抗VEGF/VPFモノクローナル抗体の等電点は我
々の報告しているMV101がpI=7.0〜7.5でありジ
ェネンテック社のA4.6.1がpI=4.2〜5.2[Kim,
K.J. et.al. Growth Factors,7:53(1992)]であり本発明
の物質はいずれの物質とも異なる物質である。 等電点の測定方法 モノクローナル抗体の等電点電気泳動は市販の等電点電
気泳動用アガロースゲル(和科盛社)を使用し同社の等電
点電気泳動層にて泳動した。泳動は等電力出力可能なパ
ワーサプライ(バイオラド社)により3Wで30分間泳動
した。泳動後ゲルは銀染色キット(バイオラド社)にて蛋
白染色した。モノクローナル抗体の等電点は同時に泳動
した等電点マーカー蛋白の泳動度より抗体の等電点を求
めた。
【0013】(3)VEGF/VPF中のモノクローナ
ル抗体の反応部位の同定 (3-1) VEGF/VPFのアミノ酸配列の一部分に相当
するペプチドの作製 ヒトVEGF121のアミノ配列の連続した12個のアミ
ノ酸を1つのペプチドとして全配列を網羅する67種の
ペプチドを考案し、各ペプチドをマルチピンペプチド合
成法[Maeji,N,J, et.al. J.Immunol.method,134:23(199
0)]により合成した。まず96穴アッセイプレート用ピ
ンブロックのピンの先端に導入された9-フルオレニルメ
トキシカルボニル(Fmoc)-β-アラニンからピペリジン
によりFmoc基を除去した後、ジシクロヘキシカルボジ
イミドとヒドロキシベンゾトリアゾール存在下でFmoc-
アミノ酸を縮合させた。N,N-ジメチルホルムアミドで洗
浄後、再びジシクロヘキシカルボジイミドとヒドロキシ
ベンゾトリアゾール存在下でFmoc-アミノ酸を縮合さ
せ、この操作を繰り返すことにより目的のペプチドを合
成した。縮合反応終了後、無水酢酸でアセチル化を行
い、さらにトリフルオロ酢酸で側鎖保護基を除去した。
ピン上で合成したペプチドはピンを中性溶液中に浸すこ
とにより切り出した。合成したペプチドの定量はオルト
フタルアルデヒドを用いてアミノ基を定量することによ
り行った。合成した67種のペプチドのアミノ酸配列を
表1に示した。数字はペプチド識別番号を示す。
【0014】
【表1】
【0015】(3-2) MV833抗体と反応するペプチドの
同定 以上のようにして合成した67種のペプチドはヒトVE
GF121の全領域に対応するものである。したがって6
7種のペプチドとMV833抗体との反応性を調べること
によりMV833抗体がVEGF/VPFのどの部位に反
応しているかを明らかにすることができる。そこで酵素
免疫測定法により67種のペプチドとMV833抗体との
反応性を調べた。96穴NOSプレート(コースター社
製)に67種の20μMペプチド溶液を入れ室温で2時
間放置した。0.1%BSA-PBSでプレートの穴を3
回洗浄した後、2%BSA-PBSを入れ室温で1時間
放置した。2%BSA-PBSを除いた後、MV833(1
%BSA-PBS溶液)を入れ室温で1時間放置した。
0.1%BSA-PBSで6回洗浄後ペルオキシダーゼ標
識したヒツジ抗マウスIgG(アマシャム社)(0.1%B
SA-PBS溶液)を入れ室温で1時間放置した。0.1
%BSA-PBSで6回洗浄後8.3mg/mlオルトフェニ
レンジアミン2塩酸塩および0.01%過酸化水素を含
む0.2Mトリス−クエン酸緩衝液(pH=5.2)を入れて
発色させた。反応は2規定硫酸を加えて停止させた後、
吸光度(OD490/650)を測定した。なお、反応性
の測定には、上記のような酵素免疫測定法の他、オクタ
ロニー法、ウエスタンブロッティング法等を用いてもよ
い。MV833抗体は67種類のペプチドの中でペプチド
識別番号31、32、33、60、63の5つのペプチ
ドに強く反応した。ペプチド識別番号31〜33のペプ
チドにはKPSCVPLMRという配列が共通に含まれ
ていることより、この領域ではMV833抗体はKPSC
VPLMRというアミノ酸配列部分と反応していると考
えられる。したがって、MV833抗体はVEGF/VP
FのKPSCVPLMR配列とSFLQHNKCECR
P配列とKCECRPKKDRAR配列とに反応してい
ることが予想される。抗体はタンパク質の表面に露出し
ている部分を認識すると考えられるため、この2種類の
アミノ酸配列部分はVEGF/VPFの表面に露出して
いる部分であると言える。又、モノクローナル抗体は抗
原決定基が単一であると言われているが、高次構造をと
っている蛋白質などの高分子物質が抗原の場合は抗体が
立体的に抗原を認識し、蛋白質の一次構造レベルで抗体
の反応性を調べた時に二箇所以上の不連続なアミノ酸配
列に反応することがある。MV833抗体がVEGF/V
PF中の二箇所のアミノ酸配列部分に反応したことよ
り、本抗体は二箇所のアミノ酸配列部分を立体的に同時
に認識していると考えられる。微量タンパク質やウイル
スの研究を行う場合現在ではその遺伝子のクローニング
を行い、その塩基配列よりタンパク質のアミノ酸配列が
予想できる。このアミノ酸配列をもとにして親水性の高
い部位を探索し、その部位の合成ペプチドに対するポリ
クローナル抗体やモノクローナル抗体を作製して免疫学
的解析に用いている。親水性の高い部位の探索にはHoop
&Woodsらの方法[Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:3824
(1981)]などを用いて解析しているが、あらゆるタンパ
ク質にあてはまるとは限らない。したがって本発明によ
りVEGF/VPFの表面に露出している部位の中で血
管新生等の阻害に重要である部分が明らかにされたこと
により強い抗癌活性を有したVEGF/VPF抗体を容
易に作製できるようになり、また、本発明に採用された
方法は蛋白質の表面に露出している部位を明らかにする
方法としても適用できる。
【0016】(4) 抗VEGF/VPFモノクローナ
ル抗体MV833と重粒子線療法の併用試験 ヌードラット(Fisher 344/Jcl-r-nu、5週齢、雄)をネ
ンブタール麻酔し、定位脳手術装置に頭部を固定後、デ
ンタルドリルで右前頭部に小孔を開け、ヒト悪性グリオ
ーマ細胞株U−251MGを5×105個(5μl)をマイ
クロシリンジで定位的に右前頭葉内3.5〜4.0mmの深
さに移植した。創部を縫合して無菌動物室にて飼育し、
移植後1〜2週の間にMRIを撮影した。MRIは、
1.5Tの超伝導MRI装置で、ネンブタール麻酔後、
ラットを固定台に固定し、尾静脈から0.2mlのガドリ
ニウムを静注し、直径15cmの表面コイルを用いてT1
強調画像を冠状断で撮影した。MRIで腫瘍の着床を確
認した後、対象群はそのまま経過を観察し、治療群は移
植14〜20日の間に放射線医学研究所(千葉)の重粒子
線治療センター生物照射室で照射した。照射は、135
MeVまたは290MeVの炭素イオンで100KeVの
線源を用い、Spread Out Bragg Peakは6cmとした。ラ
ットは、ネンブタール麻酔し、照射部位がMRIで確認
した位置になるように直径1cmの穴のあいた4cmの厚さ
の真鍮のコリメーターまたは厚さ5mmのタングステン製
multileafコリメーターに固定して、照射台に取り付
け、照射の深さは脳表から6mmを後端として1回照射線
量は20Gyまたは30Gyとした。抗VEGF/VPF
モノクローナル抗体MV833は、照射後に500μg
を週2回、計6回腹腔内投与した。対照群、重粒子線照
射群および重粒子線照射と抗体併用群のそれぞれにおけ
る平均生存期間を表2に示す。
【0017】
【表2】
【0018】表2から、本発明に従って重粒子線照射と
抗体の投与を併用した群では、その他の群よりも平均生
存期間が有意に延長され、重粒子線照射療法と抗VEGF/V
PF抗体の投与の併用は、腫瘍治療に極めて有効であるこ
とが示された。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、すなわち、重粒子線照
射療法とVEGF/VPFアンタゴニストの投与を併用
することにより、平均生存期間を有意に延長することが
できる。したがって、本発明は、各種の癌の治療に有効
に利用され得るものである。
【0020】
【配列表】配列番号:1 配列の長さ:9 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直線状 配列の種類:タンパク質 起源: セルライン:
【0021】配列番号:2 配列の長さ:12 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直線状 配列の種類:タンパク質 起源: セルライン:
【0022】配列番号:3 配列の長さ:12 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直線状 配列の種類:タンパク質 起源: セルライン:

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 VEGF/VPFアンタゴニストからな
    る重粒子線療法用薬剤。
  2. 【請求項2】 VEGF/VPFアンタゴニストが抗V
    EGF/VPFモノクローナル抗体であることを特徴と
    する請求項1の重粒子線療法用薬剤。
  3. 【請求項3】 抗VEGF/VPFモノクローナル抗体
    がVEGF/VPFのアミノ酸配列の一部である下記配
    列1〜3の少なくとも1つと反応する抗体であることを
    特徴とする請求項2の重粒子線療法用薬剤。 1.KPSCVPLMR 2.SFLQHNKCECRP 3.KCECRPKKDRAR
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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