JP2001001168A - 金属ハニカムの製造方法 - Google Patents

金属ハニカムの製造方法

Info

Publication number
JP2001001168A
JP2001001168A JP17803599A JP17803599A JP2001001168A JP 2001001168 A JP2001001168 A JP 2001001168A JP 17803599 A JP17803599 A JP 17803599A JP 17803599 A JP17803599 A JP 17803599A JP 2001001168 A JP2001001168 A JP 2001001168A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
release agent
solvent
base material
binder
diffusion bonding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP17803599A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3839187B2 (ja
Inventor
Katsunori Matsuoka
克憲 松岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Aircraft Industry Co Ltd
Original Assignee
Showa Aircraft Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Aircraft Industry Co Ltd filed Critical Showa Aircraft Industry Co Ltd
Priority to JP17803599A priority Critical patent/JP3839187B2/ja
Publication of JP2001001168A publication Critical patent/JP2001001168A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3839187B2 publication Critical patent/JP3839187B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Pressure Welding/Diffusion-Bonding (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 第1に、拡散接合時における離型剤の塗布厚
を極めて薄くすることができ、ハニカムコアの目飛び発
生が回避され、第2に、もって拡散接合時の加圧を低
圧,低荷重で行え、コスト面に優れ全体サイズが大きな
ハニカムコアも製造可能となり、第3に、更に離型剤の
塗布作業中に、溶剤が乾燥,揮発,蒸発することがな
く、事後の溶剤の乾燥,揮発,蒸発時に、離型剤の塗布
膜に気泡,亀裂,破損等の欠陥発生もない、金属ハニカ
ムの製造方法を提案する。 【解決手段】 展張方式の金属ハニカムの製造方法にお
いて、母材2に条線状に地肌5を残しつつ塗布される離
型剤1が、含有率5重量%以上で60重量%以下の粒径
5μm以下のセラミックス粉末と、バインダーと、含有
率30重量%以上で94重量%以下の溶剤と、を含有し
てなる。溶剤は、沸点が100℃以上で300℃以下で
あると共に、沸点が異なる2種類以上の混合溶剤よりな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属ハニカムの製
造方法に関する。すなわち、ステンレスやアルミニウム
合金を母材とした中空柱状のセルの平面的集合体よりな
る、金属ハニカムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】まず、技術的背景について詳述する。セ
ル壁にて区画形成された中空柱状のセルの平面的集合体
よりなるハニカムコアは、重量比強度に優れるのを始め
種々の優れた特性を備えており、各種の構造材として広
く用いられている。ハニカムコアの母材としては、用途
に応じ、金属,プラスチック,紙等が用いられるが、金
属としては、ステンレスやアルミニウム合金が代表的で
ある。周知のごとく、ステンレスは、耐熱性,高温強
度,耐酸化性,耐食性,加工性、等々に優れるという基
本性能を備えている。又、マグネシウムMgを含有した
アルミニウム合金も、耐熱性,高温強度,耐食性,加工
性、等々に優れるという基本性能を得えており、特に、
A6951に代表される熱処理型の6000系合金や非
熱処理型の5000系合金は、特に強度面に優れてい
る。もって、箔状のステンレスやアルミニウム合金を母
材としたハニカムコアは、ハニカムコアとしての特性と
共に、母材の優れた基本性能に鑑み、例えば航空機用や
鉄道車輌用の構造材,構造部品として使用されると共
に、その他多くの分野において多岐にわたる用途に使用
されている。
【0003】次に、ハニカムコアの製造方法としては、
展張方式とコルゲート方式が一般的である。まず展張方
式では、箔状の母材に条線状に接着剤やろう材を塗布し
た後、多数枚を半ピッチずつずれた位置関係で重積し、
次に、加圧,加熱して母材間を条線状に接着やろう付け
してから、重積方向に引張力を加えて展張することによ
り、ハニカムコアを製造していた。これに対しコルゲー
ト方式では、箔状の母材を波板にコルゲート成形した
後、成形された多数枚の波板を、半ピッチずつずらせ谷
部と頂部とを合わせる位置関係で重積すると共に、相互
間を接着剤やろう材(含.スポット溶接)にて、条線状
に接着やろう付けすることにより、ハニカムコアを製造
していた。
【0004】ハニカムコアの製造方法では、このよう
に、展張方式およびコルゲート方式共に、条線状の接合
対象部(ノード部)の接合に、接着剤やろう材が一般的
に用いられ、接着やろう付けが行われていた。しかしな
がら、まず接着による場合は、次の難点が指摘されてい
た。すなわち、接着剤は耐熱温度が低く(一般的には3
00℃以下)、接合強度も弱い。そこで、前述したステ
ンレスやアルミニウム合金を母材としたハニカムコアの
製造に際し、接着剤を用いて接着を行うと、製造された
ハニカムコアについて、母材の優れた基本性能が生かさ
れなくなり、耐熱性,高温強度等に難点が生じ、用途が
大きく限定されていた。
【0005】他方、ろう付けによる場合も、次の難点が
指摘されていた。すなわち、ステンレスのろう付けには
ニッケル基ろう材、アルミニウム合金のろう付けにはア
ルミニウム基ろう材が用いられている。そして、ステン
レスやアルミニウム合金を母材としたハニカムコアの製
造に際し、ニッケル基ろう材等のろう材を用いてろう付
けを行うと、例えば1000℃前後でろう付けが行われ
るので、ある程度の耐熱性,高温強度は期待できるもの
の、それ以上の温度では溶融してしまう。もって、製造
されたハニカムコアについて、母材の優れた基本性能が
生かされなくなることが多々あり(例えば1000℃以
上でろう付けが溶融してしまう)、耐熱性,高温強度に
限界が生じ、用途が限定されることになる。又、ろう付
けにより製造されたハニカムコアは、母材たるステンレ
スやアルミニウム合金間に、これらとは組成が異なる異
種金属たるろう材が介在していることに起因して、耐酸
化性,耐食性等に問題が生じることがあり、この面から
も、母材の優れた基本性能が生かされず、用途が限定さ
れていた。更に、アルミニウム合金のハニカムコアの製
造に用いられるろう材は、粉末状やペースト状ではなく
予め板状とされたブレージングシートの形態で使用され
ることが多いが、100μm未満の肉厚(箔厚)のブレ
ージングシートを圧延して得ることは困難であり、実際
上、100μm以上の肉厚のものが用いられていた。し
かしながら、このような肉厚のブレージングシートは、
その肉厚分だけ重量が重く、もって、製造された(ステ
ンレスやアルミニウム合金を母材とした)ハニカムコア
について、その重量比強度に優れるという特性が生かさ
れず、この面から用途が限定されることがあった。
【0006】母材としてステンレスやアルミニウム合金
を用いると共に、接着剤やろう材を用いて、ハニカムコ
アを製造すると、このように、ハニカムコアの特性や母
材の基本性能等が生かされず、用途が限定されることが
多々あった。すなわち、展張方式やコルゲート方式によ
る従来の金属ハニカムの製造方法にあっては、接着やろ
う付けを行うことに起因した限界が存していた。技術的
背景については、以上の通り。
【0007】さて、このような技術的背景のもと、接着
やろう付けに代え拡散接合を利用した、金属ハニカムの
製造方法が開発されつつある。すなわち、ステンレスや
アルミニウム合金を用いた母材について、その条線状の
接合対象部(ノード部)を接合する際、接着剤やろう材
を一切用いず、拡散接合にて直接的に接合し、もってハ
ニカムコアを製造する、金属ハニカムの製造方法が最近
開発されつつある。この拡散接合による金属ハニカムの
製造方法によると、母材間が同一組成にて直接接合さ
れ、接着剤やろう材が一切介在しないので、製造された
ハニカムコアは、母材たるステンレスやアルミニウム合
金の基本性能がそのまま生かされ、耐熱性,高温強度,
耐酸化性,耐食性等々に優れると共に、重量比強度に優
れるというハニカムコアの特性も生かされる。
【0008】ところで、この最近開発されつつある拡散
接合による金属ハニカムの製造方法は、展張方式に適用
され、コルゲート方式には適用されない。すなわち拡散
接合を行うためには、母材間を、加熱すると共に高圧に
て加圧することが必須的に必要である。展張方式では、
重積された平坦な平板,箔状の母材を上下から加圧する
ので、母材はその圧力に容易に耐えることができる。こ
れに対しコルゲート方式では、箔状の母材を波板にコル
ゲート成形してから重積し、このような波板を拡散接合
のために上下から加圧することになるが、これでは、波
板たる母材がこの圧力に耐えることができない。なお一
般的に、展張方式はコルゲート方式に比べ、大きな全体
サイズのハニカムコアの製造が容易であり、しかも製造
コスト面に優れていることが知られている。
【0009】さて、この最近開発された拡散接合を利用
した製造方法により、ステンレスやアルミニウム合金を
母材とし展張方式によりハニカムコアを製造する際は、
離型剤が必須的に使用される。すなわち、この金属ハニ
カムの製造方法では、まず箔状の母材に対し、離型剤
が、条線状に地肌を残しつつ塗布される。つまり、箔状
の母材たるステンレスやアルミニウム合金を、地肌間に
て条線状に直接的に拡散接合するに先立ち、このような
拡散接合対象部以外の非接合部について、予め離型剤を
塗布して覆っておき、拡散接合されないようにしておく
ことが必要となる。離型剤の塗布は、印刷方式や塗装方
式により行われる。しかる後、このような母材を半ピッ
チずつずらして重積してから、加圧,加熱することによ
り、拡散接合対象部たる露出,接触した地肌間にて、条
線状に拡散接合が行われる。それから、重積方向に引張
力を加え、離型剤にて覆われていた非接合部を展張する
ことにより、母材をセル壁としたハニカムコアが製造さ
れる。拡散接合を利用した展張方式による金属ハニカム
の製造方法では、このように、離型剤が必須的に使用さ
れていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この最近開
発された金属ハニカムの製造方法にあっては、従来、次
の問題が指摘されていた。まず第1に、この製造方法に
おいて離型剤は、可能な限り薄く塗布される必要があ
る。すなわち上述したように、母材の離型剤が塗布され
なかった条線状の地肌間が、拡散接合対象部となって露
出,接触,拡散接合されるので、横に隣接する離型剤
は、なるべく薄く塗布されていなければならない(後述
する図3も参照)。もしも、予め塗布されていた離型剤
の拡散接合時における塗布厚が、厚過ぎると、母材間の
接触度・密着性が不足して、母材間が条線状に確実に拡
散接合されず、もって、接合強度が不足したり未接合箇
所が発生し、展張して製造されたハニカムコアに目飛び
が生じてしまう。つまり、条線状に確実に拡散接合され
ていない母材に引張力を加えて展張すると、製造された
ハニカムコアについて、各セル間がセル壁にて確実に区
画されていない、いわゆる目飛び箇所が発生し、ハニカ
ムコアの品質上重大な欠陥が生じることになる。
【0011】そして、この種従来例の金属ハニカムの製
造方法にあっては、このような目飛び発生が指摘され、
問題となっていた。すなわち離型剤は、離型効果を発揮
すべく離型粉末を含有しているので、従来、塗布厚20
μm以下で塗布することは、困難とされていた。そこ
で、セルサイズが大きなハニカムコアの場合は、目飛び
発生は比較的少ないが、セルサイズが小さいハニカムコ
アの場合は、目飛び発生が顕著となっていた。特に、セ
ルサイズが10mm以下のハニカムコアの場合は、離型
剤の塗布厚は20μm以下にする必要があり、セルサイ
ズが5mm以下のハニカムコアの場合は、離型剤の塗布
厚は15μm以下にする必要があるとされている。これ
に対し、従来の離型剤は、どんなに薄く塗っても、塗布
厚30μm程度が一般的に制御可能な限界値であり、塗
布厚20μm以下での塗布が困難とされており、目飛び
発生が指摘されていた。このように第1に、目飛び発生
が問題となっていた。
【0012】第2に、この種従来例の金属ハニカムの製
造方法において、このような目飛び発生を回避するため
には、極めて高圧,高荷重が必要とされていた。すなわ
ち、セルサイズが10mm以下そして5mm以下等、セ
ルサイズが小さいハニカムコアを製造する際、離型剤の
塗布厚が30μm程度と厚い場合は、拡散接合のための
真空炉内での加圧を極めて高圧で行うと、例えば1Kg
/mm以上の高荷重にて母材を上下から加圧すると、
目飛び発生は回避される。つまり、母材間の接触度・密
着性の不足を高圧の付与にて補い、もって接合強度を向
上させ未接合箇所を解消させることにより、目飛びの回
避は可能である。
【0013】しかしながら一般的な真空炉、例えばろう
付け等に用いられている従来の真空炉では、このような
高圧,高荷重の付与は困難であり、真空炉に平面プレス
を内蔵させるか、静水圧プレス(HIP)が必要とな
る。そして、これらの装置・設備を真空炉と共に使用す
ると、非常に高価となると共に大型化が困難となり、も
って、イニシャルコストやランニングコストがかさむと
共に、全体サイズが大きなハニカムコアの製造が困難化
する。このように、目飛び回避のためには、コスト面に
問題が生じると共に、大きな全体サイズのハニカムコア
の製造が困難化する、という問題が指摘されていた。こ
のように第2に、コスト面や全体サイズ面にも問題が指
摘されていた。
【0014】第3に、この種従来例の金属ハニカムの製
造方法において用いられる離型剤は、前述した離型効果
を発揮する離型粉末と共に、離型粉末の塗布を可能にし
て母材に固定するバインダーと、バインダーを液化した
り希釈する溶剤と、を含有してなるものが多い。そし
て、このような離型剤を、前述により母材に対して塗布
する際、塗布作業中に、離型剤中に含まれていた溶剤が
乾燥,揮発,蒸発してしまい、作業性が悪いという問題
が指摘されていた。つまり、この種の離型剤において用
いられる溶剤は、1種類のものよりなると共に、その沸
点が100℃以下と低いので、使用と同時に乾燥,揮
発,蒸発してしまうことが多々あり、溶剤としての機能
を全うできず、離型剤全体も使用しずらいという問題が
あった。又、母材に塗布された離型剤は、事後、次の工
程において乾燥され、もって離型剤中の溶剤が、揮発,
蒸発により消失せしめられる。そしてその際、離型剤の
塗布膜内から溶剤が一度に一気に揮発,蒸発するので、
例えば離型粉末が飛散して斑が発生し、離型剤の塗布膜
に細かい多数の気泡,亀裂,破損等の欠陥が発生するこ
とがあった。そして、このような気泡,亀裂,破損等の
欠陥に起因して、離型剤の塗布膜が母材から剥離,脱落
し、離型剤としての機能を全うできなくなることがあ
り、製造されたハニカムコアの品質に重大な欠陥が生じ
ることがあった。このように第3に、作業性や、離型剤
塗布膜への欠陥発生等の問題も指摘されていた。
【0015】本発明は、このような実情に鑑み、この最
近開発された拡散接合による展張方式の金属ハニカムの
製造方法における、この種従来例の課題を解決すべくな
されたものであって、請求項1では、粒径が5μm以下
と小さく含有率も60重量%以下に設定したセラミック
ス粉末と、バインダーとを含有した離型剤を採用したこ
とにより、更に請求項2では、このようなセラミックス
粉末とバインダーと、含有率を30重量%以上に設定し
た溶剤と、を含有した離型剤を採用したことにより、第
1に、拡散接合時における離型剤の塗布厚を、極めて薄
くすることができ、目飛び発生が回避され、第2に、も
って拡散接合時の加圧を、低圧,低荷重のもとで行える
ようになる、金属ハニカムの製造方法を提案することを
目的とする。更に請求項3では、上述したところに加
え、沸点が100℃以上で300℃以下であると共に沸
点が異なる2種類以上の混合溶剤を用いた、離型剤を採
用したことにより、上述に加え第3に、離型剤の塗布作
業中に、溶剤が乾燥,揮発,蒸発してしまうことが防止
され、かつ事後の溶剤の乾燥,揮発,蒸発時に、離型剤
の塗布膜に気泡,亀裂,破損等の欠陥が発生することも
抑えられる、金属ハニカムの製造方法を提案することを
目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
る本発明の技術的手段は、次のとおりである。まず、請
求項1については次のとおり。すなわち、この請求項1
の金属ハニカムの製造方法では、まず、箔状のステンレ
スや、マグネシウムを含有した箔状のアルミニウム合金
を、母材とし、該母材に離型剤を条線状に地肌を残しつ
つ塗布する。次に、複数枚の該母材を、該離型剤間に条
線状に残されて露出した地肌が半ピッチずつずれた位置
関係で、重積してから、加圧,加熱することにより、該
母材間を、接触した該地肌間にて条線状に拡散接合させ
る。それから、重積方向に引張力を加えて展張すること
により、該母材をセル壁とし、該セル壁にて区画形成さ
れた中空柱状の多数のセルの平面的集合体たるハニカム
コアを得る。そして、このような金属ハニカムの製造方
法において、該離型剤として、5重量%以上で60重量
%以下であると共に粒径が5μm以下のセラミックス粉
末と、バインダーと、を含有してなるものが用いられて
いること、を特徴とする。
【0017】次に、請求項2については次のとおり。す
なわち、この請求項2の金属ハニカムの製造方法は、請
求項1に記載した金属ハニカムの製造方法において、該
離型剤が、該セラミックス粉末と、溶剤に可溶な該バイ
ンダーと、30重量%以上で94重量%以下の該溶剤
と、を含有してなること、を特徴とする。請求項3につ
いては次のとおり。すなわち、この請求項3の金属ハニ
カムの製造方法は、請求項2に記載した金属ハニカムの
製造方法において、該離型剤が、該セラミックス粉末
と、該バインダーと、沸点が100℃以上で300℃以
下であると共に相互に沸点が異なる2種類以上のものが
混合された該溶剤と、を含有してなること、を特徴とす
る。
【0018】本発明の金属ハニカムの製造方法は、この
ようになっているので、次のようになる。まず、箔状の
母材たるステンレスやアルミニウム合金は、条線状に地
肌を残しつつ離型剤が塗布された後、半ピッチずつずら
して重積され、加圧,加熱により条線状に拡散接合され
る。なお、母材がアルミニウム合金の場合は、まず、含
有されたマグネシウムが蒸気化して、地肌表面の酸化皮
膜を破壊,分散せしめ、もってアルミニウムが地肌表面
に露出し、拡散接合が可能となる。しかる後、重積,拡
散接合された母材を展張することにより、母材をセル壁
とし、セル壁にて区画形成されたセルの平面的集合体た
る、ハニカムコアが製造される。
【0019】さて、この金属ハニカムの製造方法におい
て、離型剤は、粒径が5μm以下と小さく含有率も60
重量%以下に設定したセラミックス粉末と、バインダー
とを、含有してなる。そこで、拡散接合当初の加圧,加
熱により、離型剤中のバインダーは、熱分解するか炭化
して灰となり、灰はセラミックス粉末間の隙間に、事実
上無視できる程度に圧縮,充填される。もって離型剤
は、塗布厚が塗布当時に比し大きく減少し、18μm以
下程度まで薄くすることができる。請求項2では、この
ような離型剤に、更に、含有率30重量%以上の溶剤を
含有してなり、この溶剤は、事後の乾燥により揮発,蒸
発,消失せしめられる。もって離型剤は、塗布厚が塗布
当時に比し大きく減少し、上述したバインダーの熱分解
や炭化と合わせ、13μm以下程度まで薄くすることが
できる。このように離型剤は、拡散接合時には、極めて
薄い塗布厚となっている。そこで、重積された母材は、
離型剤間に条線状に露出した地肌間が、確実に、接触,
当接,密着して拡散接合される。
【0020】更に請求項3にあっては、離型剤の溶剤
は、沸点が100℃以上で300℃以下であると共に、
それぞれの沸点が異なる2種類以上のものが混合されて
なる。そこで、この離型剤中の溶剤は、塗布時に、乾
燥,揮発,蒸発してしまうことがないと共に、その後の
乾燥により、簡単容易に揮発,蒸発,消失する。そし
て、この揮発,蒸発は、広い温度範囲のもと、段階的に
徐々に緩慢なスピードで行われ、離型剤の塗布膜に、気
泡,亀裂,破損等の欠陥が発生することも抑えられる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下本発明を、図面に示す発明の
実施の形態に基づいて、詳細に説明する。図1,図2,
図3,図4は、本発明の実施の形態の説明に供する。そ
して、図1は斜視説明図であり、(1)図は準備された
母材を、(2)図は離型剤を塗布した状態を、(3)図
は重積する状態を、(4)図は拡散接合した状態を、
(5)図はスライスする状態を、それぞれ示す。図2は
斜視説明図であり、(1)図は展張した状態を、(2)
図はトリミングした状態を、(3)図は得られたハニカ
ムコアの要部を、それぞれ示す。図3は正面拡大図であ
り、(1)図は離型剤を塗布した状態を、(2)図は拡
散接合時の状態を示す。図4は要部の正面説明図であ
り、(1)図は、ステンレス製の母材間が拡散接合され
る前の状態を、(2)図は、同母材間が拡散接合された
後の状態を、(3)図は、アルミニウム合金製の母材間
が拡散接合される前の状態を、(4)図は、同母材間が
拡散接合される直前の状態を、(5)図は、同母材間が
拡散接合された後の状態を、それぞれ示す。
【0022】まず、離型剤1について説明する。本発明
に係る金属ハニカムの製造方法では、次のような離型剤
1が採用されている。この離型剤1は、母材2たる箔状
のステンレスや、マグネシウムを含有した箔状のアルミ
ニウム合金を拡散接合する際に、非接合部3を設定すべ
く、予め塗布して使用される(図1を参照)。そして、
この離型剤1は、セラミックス粉末とバインダーとを、
必須的に含有してなり、更に溶剤,その他が、適宜必要
に応じて含有せしめられる。 (離型剤1=セラミックス粉末+バインダー+溶剤+そ
の他)
【0023】まず、離型剤1のセラミックス粉末につい
て述べる。セラミックス粉末は、離型粉末として用いら
れ、母材2たるステンレスやアルミニウム合金と反応性
が少なく、母材2間の離型効果に優れたものが選択使用
される。つまり、母材2たるステンレス相互間やアルミ
ニウム合金相互間の拡散接合を防止すべく使用される。
例えば、母材2のステンレスを構成する鉄Fe,クロム
Cr,ニッケルNi,炭素C等の元素の化合物の中では、
クロム酸化物Crが熱力学的に安定しているが、
セラミックスは、それよりも熱力学的に安定している。
つまり、拡散接合のための加圧,加熱により、その酸化
物の酸素がクロムCrと反応して、クロム酸化物Cr
となるようなことはない。アルミニウム合金を母材2
とした場合も、上述に準じセラミックスは熱力学的に安
定しているが、特に、アルミニウム合金を母材2とした
場合の拡散接合は、500℃から600℃と比較的低い
温度の加熱により行われるので、より安定するようにな
る。このようなセラミックスとして、具体的には、ボロ
ン窒化物BN,イットリア安定化ジルコニアY-
ZrO,マグネシア安定化ジルコニアMgO-ZrO
アルミナAl,マグネシアMgO,カルシアCa
O,シリカSiO,セリアCe,イットリアY
,トリアThO等が、適宜選択使用される。その
中でも、元素周期表の3A族元素の酸化物,希土類元素
の酸化物が、代表的に用いられる。
【0024】この離型剤1では、このようなセラミック
スを粉末化したセラミックス粉末が使用される。そし
て、このセラミックス粉末は、5重量%以上で60重量
%以下であると共に、粒径が5μm以下のものが用いら
れる。まず、このセラミックス粉末の粒径は5μm以下
であり、もしも5μmを越えると、その粒径の大きさが
支障となって離型剤1を薄く塗布できなくなる。又、セ
ラミックス粉末は、離型剤1中に最低5重量%以上の割
合で含有されており、もしも含有率が5重量%未満だ
と、離型剤1としての離型効果が不足する。更にセラミ
ックス粉末は、離型剤1中に最高60重量%以下の割合
で含有されており、もしも含有率が60重量%を越える
と、セラミックス粉末が多過ぎて、離型剤1としての液
状化,ペースト状化が困難化すると共に、離型剤1とし
て薄く塗布できなくなる。この離型剤1は、このような
セラミックス粉末を、必須的に含有している。
【0025】次に、離型剤1のバインダーについて述べ
る。バインダーは、上述したセラミックス粉末を離型剤
1として塗布可能とするため、そして離型剤1として塗
布された後に、セラミックス粉末が母材2から剥離,脱
落しないよう接着固定すべく、糊として用いられる。こ
のバインダーとしては、有機系の一般的に広く用いられ
ている接着剤,塗料,インク等が使用される。すなわ
ち、エポキシ系,フェノール系,アクリル系,ポリイミ
ド系,ポリビニル系の樹脂や、紫外線(UV)硬化型樹
脂等を用いた、一般的な接着剤,塗料,インクが、適宜
選択使用される。
【0026】そして、エポキシ系,フェノール系,アク
リル系,ポリイミド系等の樹脂は、そのままでも使用可
能であるが、溶剤に可溶なので、粘度を調整すべく通常
は、溶剤で溶解,希釈して使用される。特に、この金属
ハニカムの製造方法では、あまり大きな接着固定力が必
要とされないため、溶剤で溶解,希釈して用いられる。
ポリビニル系の樹脂、例えばポリビニルアセタール,ポ
リビニルアルコールPVA,PVALや,ポリビニルホ
ルマールPVF,ポリビニルエタノール,ポリビニルプ
ロパノール,ポリビニルブチラールPVB,ポリビニル
ベンザール,ポリ酢酸ビニルPVAC,ポリビニルエー
テル(ポリビニルメチルエーテル,ポリビニルエチルエ
ーテル,ポリビニルイソプチルエーテル)等は、溶剤に
可溶であり、通常は溶剤に溶解,希釈して使用される。
これらのポリビニル系の樹脂は、熱分解が比較的容易で
あり、拡散接合時の加熱により容易に熱分解,蒸発する
ため、この金属ハニカムの製造方法に特に適している。
紫外線(UV)硬化型樹脂は、1種類以上のエステルア
クリルレート,ウレタンアクリルレート,エポキシアク
リルレート,メラミンアクリルレート,アクリル樹脂ア
クリルレートなどの光重合性プレポリマー(オリゴマ
ー)に、光重合性希釈剤であるモノマーと光重合開始剤
を加えたもので、通常は溶剤に溶解,希釈せずに用いる
が、溶剤に可溶なものもあり、その場合は溶剤に溶解,
希釈して用いても良い。
【0027】この離型剤1では、このようなバインダー
が使用される。そして、このバインダーは、離型剤1中
に1重量%以上で、95重量%未満の割合で含有され
る。つまり、バインダーとしての機能を発揮するため、
最低1重量%以上必須的に含有されると共に、最高95
重量%未満(前述したセラミックス粉末の含有率5重量
%以上に対応)含有される。又、次に述べるように、溶
剤が、離型剤1中に含有率30重量%以上で94重量%
以下の割合で必須的に含有される場合、バインダーの含
有率は、1重量%以上で40重量%以下とされる。この
場合は更に、セラミックス粉末とバインダーの含有率の
合計を、70重量%未満に設定する。この離型剤1は、
このようなバインダーを、必須的に含有している。
【0028】次に、離型剤1の溶剤について述べる。溶
剤は、上述したバインダーを、必要に応じ溶かして液状
化したり薄めるために、つまり溶解,希釈するために、
そのバインダーに適したものが用いられる。すなわち溶
剤は、バインダーが紫外線(UV)硬化型樹脂のように
液状化しているものの場合は、使用しなくてもよいが、
バインダーが粉末状をなす場合は、離型剤1として塗布
可能な粘度を得べく必須的に使用される。又、このよう
なバインダーの状態にかかわらず、バインダーの粘度を
調整する目的や、単にバインダーの希釈のみを目的とし
て、適宜使用される。この溶剤としては、脂肪族系の例
えばアセトン等、ケトン系の例えばイソホロン,N-メ
チル2-ピロリドンNMP等、芳香族系の例えばキシレ
ン,シクロヘキサン等、各種アルコール類の例えばエタ
ノール,メタノール,エチレングリコール,デカノー
ル、等が適宜選択使用される。勿論、水もこの溶剤とし
て使用可能である。
【0029】この離型剤1では、このような溶剤が、必
要に応じ適宜使用される。そして、この溶剤は、通常
は、離型剤1中に0重量%以上で94重量%以下(前述
したセラミックス粉末の含有率5重量%以下とバインダ
ーの1重量%以上に対応)含有される。勿論、溶剤が使
用される場合、バインダーは、その溶剤に可溶なものが
選択使用される。又、このような溶剤として、2種類以
上のものを混合した混合溶剤を用いることも可能であ
る。
【0030】なお第1に、離型剤1の塗布厚T(図3を
参照)を一段と極薄化する目的のため、離型剤1中に溶
剤を多量に含有せしめる構成が考えられる。この場合、
溶剤は、離型剤1中に30重量%以上で94重量%以
下、含有されるが、最低でも30重量%以上含有される
ことが必要であり、もしも含有率30重量%未満だと、
より一層の極薄化をめざす上記目的が達成困難となる。
すなわち、この場合の離型剤1は、5重量%以上で60
重量%以下のセラミックス粉末と、溶剤に可溶な1重量
%以上で40重量%以下のバインダーと、30重量%以
上で94重量%以下の溶剤と、を含有してなる。なお、
セラミックス粉末とバインダーとの合計含有率は、70
重量%未満に設定される(溶剤の30重量%以上に対
応)。このように第1に、溶剤を多量に含有せしめる構
成が考えられる。
【0031】なお第2に、離型剤1塗布時の溶剤の乾
燥,揮発,蒸発防止と、事後の乾燥時の揮発,蒸発スピ
ードの緩慢化の目的のため、溶剤として、沸点が100
℃以上で300℃以下であると共に、相互に沸点が異な
る2種類以上が混合された混合溶剤、を用いる構成が考
えられる。この場合の離型剤1も、前述と同様に、5重
量%以上で60重量%以下のセラミックス粉末と、この
2種類以上の溶剤に可溶な1重量%以上で40重量%以
下のバインダーと、30重量%以上で94重量%以下の
溶剤と、を含有してなる。セラミックス粉末とバインダ
ーとの合計含有率は、70重量%未満に設定される。
【0032】この場合、沸点(VP)が100℃から3
00℃と高沸点の溶剤としては、ケトン系では、例えば
イソホロン(VP≒215℃),N-メチル-2-ピロリ
ドンNMP(VP≒204℃)等、芳香族系では、例え
ばシクロヘキサン(VP≒156℃)等、アルコール類
では、例えばエチレングリコール(VP≒197℃),
ジェチレングリコール(VP≒244℃),トリエチレ
ングリコール(VP≒287℃),デカノール(VP≒
230℃),トリデカノール(VP≒253℃)、等が
代表的であり、適宜選択使用される。勿論、水も使用可
能である。沸点が100℃未満の溶剤では、塗布時の乾
燥,揮発,蒸発防止の上記目的が達成困難となり、30
0℃を越える溶剤では、事後の乾燥,揮発,蒸発に高温
を要し面倒となり、拡散接合との絡みでも好ましくな
い。そして、このように沸点が100℃以上で300℃
以下である高沸点の溶剤について、2種類以上のものが
選択,混合される。その際、それぞれの溶剤の沸点が2
0℃以上異なるものを選択することが、乾燥時の揮発,
蒸発スピードの緩慢化の上記目的上、特に好ましい。こ
のように第2に、高沸点の混合溶剤を用いる構成も考え
られる。この離型剤1は、このような溶剤を、適宜又は
必須的に含有してなる。
【0033】離型剤1は、上述したようなセラミックス
粉末と、バインダーと、必要に応じ溶剤と、を含有して
なる。組合わせの1例としては、セラミックス粉末+ポ
リビニルアルコールPVA+水や、セラミックス粉末+
ポリビニルブチラールPVB+イソホロン+シクロヘキ
サン、等がある。なお、この離型剤1については、更に
必要に応じ適宜、分散剤や消泡材が含有せしめられる。
分散剤は、離型剤1中のセラミックス粉末が相互に結合
固化しないように混入され、消泡材は、離型剤1塗布時
の泡立ちを防止すべく混入される。このような分散剤や
消泡材としては、例えばメタノール等の有機溶剤が代表
的である。又、この分散剤や消泡材は、離型剤1中に0
重量%以上で10重量%以下の割合で、含有される。
【0034】さて離型剤1は、上述したようにセラミッ
クス粉末,バインダー,必要に応じ溶剤,更に分散剤,
消泡材等を、前述した所定の含有率に基づき、配合,調
合してなる。 (離型剤1=セラミックス粉末+バインダー+溶剤+そ
の他) すなわち、必要に応じ溶剤で溶解,希釈されたバインダ
ー中に、セラミックス粉末を混合,分散させることによ
り、この離型剤1は配合,調合される。その際、次に述
べる塗布方式に応じ、その塗布方式に最適な粘度を得る
ため必要な場合は、セラミックス粉末や溶剤の含有率が
調整され、もって離型剤1としての粘度が調整される。
いずれにしても離型剤1は、ある程度の粘性を備えた液
状、又はペースト状をなすが、エマルジョン化していて
も良い。
【0035】ここで、離型剤1の塗布方式について述べ
ておく。離型剤1の母材2への塗布は、塗装方式や印刷
方式にて行われる。塗装方式は、予め条線状の拡散接合
対象部4を、それぞれマスキングしておいてから、スプ
レーや浸漬・ディッピング等にて、離型剤1を非接合部
3に対して塗布した後、マスキングを除去することによ
り、行われる(図1を参照)。印刷方式としては、スク
リーン印刷等の孔版印刷や、転写ロール印刷等の凹版印
刷や、凸版印刷等が、利用される。スクリーン印刷は、
母材2を所定長さに切断した後に行うのに適している
が、勿論、ロール・ツー・ロールにて行うこと(切断前
の帯状の母材2を、ロール間にて流しつつ印刷するこ
と)も可能であり、転写ロール印刷は、ロール・ツー・
ロールの印刷に適している。このような塗装方式や印刷
方式等の塗布方式により、離型剤1が母材2に対し、条
線状に地肌5を残しつつ、塗布される(図1を参照)。
そして、母材2に対する離型剤1の塗布厚T(図3を参
照)は、いずれの塗布方式によっても、実際上は、塗布
時において30μm程度が一般的に制御可能な限界値で
あるが、理論上、拡散接合時において離型効果の面から
は最低0.5μm程度は必要である。離型剤1の塗布
は、このように行われる。離型剤1は、以上説明したよ
うになっている。
【0036】本発明に係る金属ハニカムの製造方法で
は、このような離型剤1が採用されている。この離型剤
1は、所定のセラミックス粉末,バインダー,溶剤等を
含有してなり、塗装方式や印刷方式にて塗布される。次
に、このような離型剤1を用いた、金属ハニカムの製造
方法について、製造工程の順に説明する。すなわち、こ
の金属ハニカムの製造方法では、準備工程,塗布工
程,乾燥工程,重積工程,接合工程,展張工
程、等を順に辿る展張方式により、ハニカムコアHが製
造される。
【0037】まず、準備工程について述べる。この製
造方法では、まず、図1の(1)図に示したように、母
材2が準備される。この母材2は、ハニカムコアHの製
造に供されることに鑑み、肉厚が200μm以下の薄い
箔状をなすステンレス、又はマグネシウムを含有したア
ルミニウム合金よりなる。ステンレスは、周知のごとく
鉄Feに10%以上のクロムCrを加えてなり、更に多く
の場合、ニッケルNi,炭素C,その他を添加してな
り、耐熱性,高温強度,耐酸化性,耐食性,加工性、等
々に優れている。マグネシウムMgを含有したアルミニ
ウム合金も、耐熱性,高温強度,耐食性,加工性、等々
に優れており、A6951に代表される6000系合金
や5000系合金は、特に強度面に優れていることが知
られている。そして、このようなステンレスやアルミニ
ウム合金よりなる箔状の母材2は、帯状に圧延された
後、必要に応じ脱脂その他により洗浄されてから、一定
幅や一定長さ毎に切断される。一定長さへの切断は、図
示例によらず、次に述べる塗布工程や乾燥工程の後
に、行うようにしてもよい。なお、母材2たるアルミニ
ウム合金の地肌5表面は、通常、酸化皮膜6(図4の
(3)図を参照)にて覆われており、洗浄してもすぐに
酸化されて酸化皮膜6が形成される。この酸化皮膜6
は、アルミナAlとして知られている。準備工
程では、このような母材2が準備される。
【0038】次に、塗布工程について述べる。この製
造方法では、図1の(2)図や図3の(1)図に示した
ように、次に離型剤1が塗布される。すなわち、上述し
た準備工程で準備された母材2に対し、離型剤1が、
条線状に地肌5を残しつつ塗布される。離型剤1は、前
に詳述した構成よりなり、各種の塗布方式にて30μm
程度の塗布厚Tにて、塗布される。そして離型剤1は、
母材2に対し、拡散接合対象部4(ノード部)となる地
肌5を、一定幅とピッチの条線状に残すように間隔を存
しつつ、一定幅とピッチで幅方向に塗布され、このよう
に離型剤1が塗布された部分が、母材2の非接合部3と
なる。図示例では、母材2の片面(表面)に対しての
み、離型剤1が一定幅とピッチで塗布され、このような
母材2が、以下に述べるように重積,接合,展張される
ことになる。なお、このような図示例によらず、母材2
の両面(表面と裏面)に対して、離型剤1が一定幅とピ
ッチで塗布される場合もあり、この場合は、このように
両面に離型剤1が塗布された母材2と、離型剤1が両面
共に塗布されないままの母材2とが、順次交互に重積さ
れた後、接合,展張されることになる。塗布工程で
は、このように離型剤1の塗布が行われる。
【0039】次に、乾燥工程について述べる。この製
造方法では、塗布工程で離型剤1が塗布された母材2
は、次に乾燥される。すなわち、離型剤1が塗布された
母材2は、直ちに、常温温度から300℃以下程度に設
定された乾燥炉へと搬入され、熱風等により乾燥され
る。そして、このような乾燥により、塗布された離型剤
1中に含有されていた溶剤が、揮発,蒸発,消失せしめ
られると共に、離型剤1が母材2にしっかりと固定され
る。なお、離型剤1中に溶剤を含有しない場合、このよ
うな乾燥工程は不要である。乾燥工程では、このよ
うに母材2が乾燥される。
【0040】次に、重積工程について述べる。この製
造方法では、図1の(3)図に示したように、母材2の
重積が行われる(図3の(2)図も参照)。すなわち、
上述した塗布工程で離型剤1が塗布された後、乾燥
工程で離型剤1が乾燥された母材2は、次に複数枚が、
離型剤1間に条線状に残されて露出した地肌5が半ピッ
チずつずれた位置関係で、重積される。例えば、400
枚程度の母材2が、上下にブロック状に重積され、その
際、図示例では片面について条線状に残された地肌5
が、上下の各母材2間で、左右に互いに半ピッチずつず
れた位置関係で、位置決めされる。重積工程では、こ
のように母材2が重積される。
【0041】次に、接合工程について述べる。この製
造方法では、図1の(4)図や図3の(2)図に示した
ように、次に、母材2間の拡散接合が行われる。すなわ
ち、上述した重積工程でブロック状に重積された母材
2間を、加圧,加熱することにより、接触した地肌5間
にて条線状に拡散接合する。このような拡散接合につい
て、更に詳述する。重積されたブロック状の母材2は、
適当な治具に拘束されると共に必要な荷重が加えられ、
真空炉等に搬入されて所定の温度と時間にて加熱され、
もって条線状に固相のまま拡散接合される。
【0042】まず、この固相拡散接合は、次のa.温
度,b.荷重,c.雰囲気,d.時間、等の条件下で行
われる。これらの各条件は、母材2の具体的な構成内容
・材質や、他の条件との兼合いによって変化するが、一
応次のように設定されることが多い。まず、a.温度条
件は、母材2がステンレスの場合は、800℃から12
00℃程度に設定され、母材2がアルミニウム合金の場
合は、500℃から600℃程度に設定され、もって重
積された母材2が加熱される。 b.荷重条件は、母材2がステンレスの場合もアルミニ
ウム合金の場合も、0.1g/mmから10g/mm
程度に設定され、もって重積された母材2が加圧され
る。 c.雰囲気条件は、真空雰囲気が代表的であり、もって
この固相拡散接合は、重積された母材2を真空炉中に搬
入して行われることが多い。他に、還元雰囲気,不活性
ガス雰囲気,アルゴンAr等を加えた減圧雰囲気等のも
とでも可能であり、これらの場合には、それぞれの専用
炉が用いられる。 d.時間条件は、5分間から10時間程度に設定され、
もって重積された母材2が、この設定時間、真空炉中等
で加熱,加圧される。
【0043】このようなa.温度,b.荷重,c.雰囲
気,d.時間、等の条件下で、固相拡散接合が実施され
る。もって、母材2の非接合部3を設定する離型剤1間
の条線状に露出した地肌5が、各々拡散接合対象部4と
して接触,当接,密着される。図示例では、重積されて
それぞれ上下に対向する母材2について、下側の母材2
表面の条線状に露出した地肌5と、上側の母材2裏面の
離型剤1が塗布されずに全面的に露出した地肌5との間
が、拡散接対象部4となって接触,当接,密着される。
そして、このような地肌5の拡散接合対象部4間で、母
材2のステンレスやアルミニウム合金を構成する金属元
素について、原子が粒界面で拡散移動し、もって、ブロ
ック状に重積されていた各母材2間が、条線状に固相拡
散接合される。
【0044】図4の(1)図,(2)図には、母材2が
ステンレスよりなる場合について、このような固相拡散
接合の要部の進行状態が示されている。図4の(3)
図,(4)図,(5)図には、母材2がマグネシウムM
gを含有したアルミニウム合金よりなる場合について、
このような固相拡散接合の要部の進行状態が示されてい
る。すなわち、図4の(3)図に示したように、固相拡
散接合前において、アルミニウム合金よりなる母材2
は、地肌5表面が、酸化皮膜6にて強固に安定的に覆わ
れている。そして、図4の(4)図に示したように、固
相拡散接合のための加圧,加熱開始により、母材2たる
アルミニウム合金に含有されたマグネシウムMg(真空
中では400℃程度で簡単に蒸発することが知られてい
る)が、蒸発して酸化皮膜6を破壊,分散せしめる。も
って、図4の(5)図に示したように、母材2のアルミ
ニウム合金のアルミニウムが、無垢の状態で露出して、
所期の固相拡散接合が進行する。
【0045】なお、このような固相拡散接合に際し、離
型剤1に含有されたバインダーの熱分解を促進するた
め、そのバインダーの樹脂成分に対応した温度にて、一
旦保持するとよい。すなわち、固相拡散接合の初期段階
において、使用されたバインダーの樹脂成分の熱分解温
度にて、加熱温度をそのまま途中で一旦保持する。な
お、母材2がステンレスの場合は、例えば300℃から
600℃程度の熱分解温度のバインダーが使用され、母
材2がアルミニウム合金の場合は、例えば300℃から
400℃程度の熱分解温度のバインダーが使用されてい
る。そして、このように加熱途中の段階で、加熱温度を
一旦保持することにより、離型剤1中のバインダーが、
熱分解により揮発蒸発,消失する。そして事後、更に加
熱を進め、温度が上昇して前述した温度条件に達する
と、固相拡散接合が開始されることになる。このよう
に、固相拡散接合の開始前の初期段階で、離型剤1中の
バインダーの熱分解が行われると、事後の固相拡散接合
の開始時の雰囲気を、清浄に保つことができる利点があ
る。接合工程では、このように拡散接合が行われる。
【0046】次に、展張工程について述べる。この製
造方法では、次に、図1の(5)図に示したようにスラ
イスが行われた後、図2の(1)図に示したように展張
が行われる。すなわち、上述した接合工程で条線状に
拡散接合された、ブロック状に重積された母材2は、ま
ず、長さ方向に沿ってスライスされ、必要な大きさに切
断される。このスライスは、例えばウォータージェッ
ト,ワイヤー放電,バンドソー,切断砥石、等を利用し
た方式にて行われる。図中7は、そのスライス具であ
る。それから、このように必要な大きさにスライスされ
たブロック状の母材2は、重積方向Dに引張力を加え
て、展張される。すなわち、ブロック状に重積されると
共に条線状に拡散接合された母材2は、図面上では上下
の重積方向Dに沿って引張力が加えられて、展張され
る。もって各母材2は、条線状の拡散接合対象部4の縁
に沿って上下方向に折曲されると共に、拡散接合対象部
4以外の離型剤1にて覆われていた非接合部3が、伸長
を伴い広がるように上下に分離,離隔される。展張工
程では、このように展張が行われる。
【0047】この金属ハニカムの製造方法では、このよ
うな準備工程,塗布工程,乾燥工程,重積工
程,接合工程,展張工程、等を順に辿る展張方式に
より、ハニカムコアHが製造される。すなわち、上述し
た図2の(1)図の展張工程で展張されて得られたハニ
カムコアHは、図2の(2)図に示したように、外周部
がトリミングされ、必要な大きさに切断され整えられ
る。このトリミングは、前述したスライスに準じた方式
にて行われる。なお、製造されたハニカムコアHは、事
後、エアブローや水洗等にて洗浄され、残っていた離型
剤1のセラミックス粉末やバインダーの灰が、除去され
る。
【0048】このように製造されたハニカムコアHは、
図2の(2)図や(3)図に示したように、条線状に拡
散接合されたステンレス又はアルミニウム合金よりなる
母材を、セル壁8とし、セル壁8にて区画形成された中
空柱状の多数のセル9の平面的集合体よりなる。このハ
ニカムコアHは、このように、セル壁8の母材2とし
て、ステンレスやアルミニウム合金が用いられると共
に、セル壁8は、このような母材2が加熱,加圧による
拡散接合にて、条線状に接合されてなる。セル壁8そし
てセル9の断面形状は、図示の正六角形状のものが代表
的であるが、これによらず縦長や横長の六角形状,その
他の六角形状,台形状,略四角形状,その他各種形状の
ものも可能である。ハニカムコアHは、多くの場合、そ
の両開口端面たるセル端面に、それぞれ表面板が接合さ
れ、もってハニカムサンドイッチパネルとして、使用に
供される。そして、ハニカムコアHやそのハニカムサン
ドイッチパネルは、一般のものと同様に、重量比強度に
優れ、軽量であると共に高い剛性・強度を備えてなり、
更に整流効果に優れ,単位容積当たりの表面積が大であ
る等々の特性を備え、そのハニカムサンドイッチパネル
は、平面精度,保温性,遮音性等にも優れてなる。そし
て、このハニカムコアHは、更に、母材2たるステンレ
スやアルミニウム合金の基本性能を生かし、耐熱性,高
温強度,耐酸化性,耐食性,加工性等々にも優れてな
り、例えば航空機用や鉄道車輌用の構造材,構造部品と
しての用途、その他各種の用途に使用される。この金属
ハニカムの製造方法では、このようなハニカムコアHが
製造される。
【0049】本発明は、以上説明したように構成されて
いる。そこで、以下のようになる。この金属ハニカムの
製造方法では、まず、準備工程で準備された母材2た
るステンレスや、マグネシウムを含有したアルミニウム
合金は、肉厚が200μm以下の極薄の箔状をなし、
塗布工程で、条線状に地肌5を残しつつ離型剤1が塗布
され、乾燥工程の後、重積工程で、半ピッチずつず
らして複数枚が重積され、もって接合工程において、
真空炉中等で加圧,加熱することにより、拡散接合され
る(図1の(1)図,(2)図,(3)図,(4)図や
図3の(1)図,(2)図等を参照)。すなわち、母材
2の離型剤1間の条線状に露出した地肌5が、各々拡散
接合対象部4となって接触,当接,密着し、もって母材
2のステンレスやアルミニウム合金を構成する金属元素
について、原子が粒界面で拡散移動することにより、重
積された母材2間が拡散接合される(図4の(1)図,
(2)図等を参照)。なお、母材2がアルミニウム合金
の場合は、まず、含有されていたマグネシウムMgが蒸
気化して、アルミニウム合金の地肌5表面を覆っていた
酸化皮膜6を破壊,分散せしめることにより、アルミニ
ウムが無垢の状態で地肌5に露出し、上述した拡散接合
が可能となる(図4の(3)図,(4)図,(5)図等
を参照)。
【0050】しかる後、このように重積,拡散接合され
た母材2を、展張工程において、重積方向Dに引張力
を加えて展張することにより、母材2は、条線状の拡散
接合対象部4の縁に沿って折曲されると共に、離型剤1
にて覆われていた非接合部3が、分離,離隔される(図
2の(1)図を参照)。このようにして、ステンレスや
アルミニウム合金製の母材2をセル壁8とし、セル壁8
にて区画形成された中空柱状の多数のセル9の平面的集
合体たる、ハニカムコアHが製造される(図2の(2)
図,(3)図等を参照)。そして、この金属ハニカムの
製造方法では、次の第1,第2,第3のようになる。
【0051】第1に、この金属ハニカムの製造方法で
は、塗布工程にて塗布される離型剤1として、粒径が
5μm以下と小さくしかも含有率を60重量%以下に限
定したセラミックス粉末と、例えば含有率40重量%を
越えるバインダーとを、含有してなるものを採用してな
る(図1の(2)図,図3の(1)図等を参照)。そこ
で接合工程において、拡散接合のための当初の加熱
(母材2がステンレスの場合は800℃から1200℃
程度へ向けての加熱、母材2がアルミニウム合金の場合
は、500℃から600℃程度へ向けての加熱)によ
り、離型剤1中のバインダーは、拡散接合の初期段階に
おいて、ある部分は、熱分解により揮発,蒸発,消失
し、残りの部分は、炭化して灰となる。灰は、当然なが
ら全く強度がなく、体積的にもバインダー当時の半分以
下となり、しかも拡散接合のための加圧により、粒径5
μm以下のセラミックス粉末間の隙間に、事実上無視で
きる程度に圧縮,充填される(図1の(4)図,図3の
(2)図等を参照)。なお、母材2がステンレスの場合
は、加熱温度が高いので熱分解による消失が促進される
のに対し、母材2がアルミニウム合金の場合は、加熱温
度が低いので熱分解による消失が進まず、炭化した灰の
残存量が多くなる。
【0052】もって離型剤1は、セラミックス粉末を粒
径5μm以下で含有率60重量%以下に限定しておいた
ことと、このようなバインダーの熱分解や灰化により、
拡散接合の開始段階(母材2がステンレスの場合は80
0℃から1200℃に加熱温度が到達した段階、母材2
がアルミニウム合金の場合は500℃から600℃に加
熱温度が到達した段階)において、全体の塗布厚Tが、
例えば40%以上程度減少する(この場合、重量比と体
積比・塗布厚Tとは、概略対応すると考える)。つまり
離型剤1は、事前の塗布工程の塗布時(図1の(2)
図,図3の(1)図を参照)においては、セラミックス
粉末とバインダーとを中心に例えば30μm程度の塗布
厚Tであったとしても、接合工程における拡散接合開
始時(図1の(4)図,図3の(2)図を参照)には、
塗布厚Tを、セラミックス粉末のみを中心に18μm以
下程度まで、薄くすることができる。この金属ハニカム
の製造方法では、このように、離型剤1の塗布厚Tが極
薄化される(図2の(3)図に示したセルサイズSが1
0mm以下と小さいハニカムコアHの製造にも、十分対
応可能となる)。
【0053】更にこれに加え、塗布工程で塗布される
離型剤1として、上述した含有率60重量%以下のセラ
ミックス粉末と、溶剤に可溶なバインダーに加え、含有
率を30重量%以上で94重量%以下に設定した溶剤
を、含有したものを採用した場合は、次のように、塗布
厚Tが一段と極薄化される。すなわち、この溶剤は、
塗布工程後で接合工程前の乾燥工程において、乾燥
により、揮発,蒸発,消失せしめられる。もって離型剤
1は、全体の塗布厚Tが、例えば30%以上程度減少す
る(この場合も、重量比と体積比・塗布厚Tとは、概略
対応すると考える)。つまり離型剤1は、事前の塗布
工程の塗布時においては、セラミックス粉末とバインダ
ーと溶剤とにより、例えば30μm程度の塗布厚Tであ
ったとしても、この乾燥工程における溶剤の消失によ
る30%以上程度の減少と、上述した接合工程の初期
段階におけるバインダーの熱分解や炭化による塗布厚の
40%以上程度の減少と合わせることにより、接合工
程における拡散接合開始時には、塗布厚Tを13μm以
下程度まで薄くすることができる。このように、離型剤
1の塗布厚Tが、更に一段と極薄化される(図2の
(3)図に示したセルサイズSが5mm以下と極めて小
さいハニカムコアHの製造にも、十分対応可能とな
る)。
【0054】このように第1に、離型剤1は、接合工
程における拡散接合開始時には、極めて薄い塗布厚Tと
なっている。そこで、重積された母材2は、このような
左右の離型剤1間に条線状に露出した上下の地肌5間
が、加圧,加熱により、左右の離型剤1の塗布厚Tに邪
魔されることなく、確実に接触,当接,密着するように
なる(図3の(2)図,図4の(2)図,図4の(5)
図等を参照)。従って、重積された母材2は、相互間が
条線状に確実に拡散接合される。つまり接合工程にお
いて、離型剤1の塗布厚Tが支障となって、母材2の拡
散接合対象部4たる地肌5間が、ぴったりと接触,当
接,密着せず、もって接合強度が不足したり未接合箇所
が発生したりすることは、確実に回避される。これらの
点は、セルサイズS(図2の(3)図を参照)が10m
m以下更には5mm以下等、セルサイズSが小さなハニ
カムコアHを製造する際、特に顕著となる。
【0055】第2に、このように接合工程において、
重積された母材2間は、離型剤1の(18μm以下更に
は13μm以下程度の)塗布厚Tが邪魔となることもな
く、相互間が条線状に確実に拡散接合される。そこで、
拡散接合時の加圧を、比較的低圧,低荷重のもとにて、
行えるようになる。すなわち、母材2の肉厚が200μ
m以下である一般的前提のもと、前述したように0.1
g/mmから10g/mm程度の低荷重により、ブ
ロック状に重積された母材2を加圧することにより、母
材2は確実に拡散接合される。これに対し、もしも離型
剤1の塗布厚Tが30μm程度のままの場合において、
このような離型剤1の塗布厚Tに邪魔されることなく、
母材2の地肌5間の確実な接触,当接,密着そして確実
な拡散接合を実現するためには、1Kg/mm 程度の
高荷重にて加圧することが、接合工程において必要と
なる。これらの第2の点は、セルサイズSが10mm以
下更には5mm以下と小さなハニカムコアHを製造する
際、特に顕著となる。
【0056】第3に、更に、塗布工程で塗布される離
型剤1として、前述した含有率60重量%以上のセラミ
ックス粉末と、バインダーと、含有率30重量%以上の
溶剤と、を含有すると共に、このような溶剤として、沸
点が100℃以上で300℃以下と高沸点であると共
に、それぞれの沸点が異なる2種類以上が混合されたも
のを採用した場合は、次のようになる。まず塗布工程
において、母材2へ離型剤1を塗布する作業を行ってい
る間に、塗布される離型剤1中に含まれていた溶剤が、
100℃未満の温度下で、つまり塗布作業が行われる温
度環境下において、乾燥,揮発,蒸発してしまうような
ことはない。しかも、この溶剤は、沸点が300℃以下
なので、その後の乾燥工程における乾燥により、簡単
容易に揮発,蒸発,消失せしめられる。
【0057】又、このような乾燥工程での乾燥,揮
発,蒸発に際し、この離型剤1中の溶剤は、100℃か
ら300℃の範囲内において沸点が異なる2種類以上の
ものが混合されてなるので、揮発,蒸発の温度範囲が広
い。つまり乾燥工程において、乾燥による離型剤1中
の溶剤の揮発,蒸発は、段階的つまり徐々に緩慢なスピ
ードのもとに行われ、母材2に塗布された離型剤1の塗
布膜中から(図3の(1)図等を参照)、一度に一気に
揮発,蒸発してしまうようなことはない。もって、溶剤
の一度の一気の揮発,蒸発に起因して、例えばセラミッ
クス粉末が飛散して斑が発生し、離型剤1の塗布膜に、
細かい多数の気泡,亀裂,破損等の欠陥が発生すること
も抑えられる。もって、乾燥工程や事後の重積工
程,接合工程等において、塗布された離型剤1が母材
2から剥離,脱落することもなくなる。勿論、このよう
な第3の点は、前述した第1の塗布厚Tの極薄化と、前
述した第2の拡散接合の低圧,低荷重による実施と共
に、実現される。
【0058】
【発明の効果】本発明に係る金属ハニカムの製造方法
は、以上説明したように、請求項1では、粒径が5μm
以下と小さく含有率も60重量%以下に設定したセラミ
ックス粉末と、バインダーと、を含有した離型剤を採用
してなる。更に請求項2では、このようなセラミックス
粉末とバインダーと、含有率を30重量%以上に設定し
た溶剤と、を含有した離型剤を採用してなる。そこで、
次の第1,第2の効果を発揮する。
【0059】第1に、拡散接合時における離型剤の塗布
厚を、極めて薄くすることができ、目飛び発生が回避さ
れる。すなわち、この金属ハニカムの製造方法では、拡
散接合時当初の加圧,加熱により、離型剤中のバインダ
ーは、熱分解するか炭化して灰となり、灰はセラミック
ス粉末間の隙間に、圧縮,充填される。そこで離型剤
は、セラミックス粉末を粒径5μm以下で含有率を60
重量%以下に設定しておいたことにより、全体の塗布厚
が大きく減少し、拡散接合時の塗布厚を容易に、18μ
m以下程度まで薄くすることができる。更に請求項2で
は、離型剤中の含有率30重量%以上の溶剤は、乾燥に
より揮発,蒸発,消失する。そこで離型剤は、全体の塗
布厚が上述に加え更に大きく減少し、拡散接合時の塗布
厚を容易に、13μm以下程度まで薄くすることができ
る。
【0060】このように、この金属ハニカムの製造方法
にあっては、離型剤が極めて薄い塗布厚となって、拡散
接合される。そこで、母材間が条線状に確実に拡散接合
されるようになり、前述したこの種従来例のように、離
型剤の塗布厚が30μm程度と厚過ぎることに起因し
て、接合強度が不足したり未接合箇所が発生することは
防止される。従って、展張して製造されたハニカムコア
について、前述したこの種従来例のように、各セル間が
セル壁にて確実に区画されていない、いわゆる目飛び箇
所の発生は回避されるようになり、ハニカムコアの品質
が向上する。特に、セルサイズが10mm以下のハニカ
ムコア(離型剤の塗布厚の目標値は20μm以下)、更
には5μm以下のハニカムコア(離型剤の塗布厚の目標
値は15μm以下)等、セルサイズが小さなハニカムコ
アでも、目飛びの発生が回避されつつ、製造されるよう
になる。又、離型剤の塗布時において、その塗布厚を極
力薄くすべく配慮する必要がなくなるので、塗布方式と
して各種の塗装方式,印刷方式を、適宜自由に選択可能
となり、離型剤の塗布作業が簡単容易化される。
【0061】第2に、もって拡散接合時の加圧を、低
圧,低荷重のもとで、行えるようになる。すなわち、前
述したこの種従来例のように、特にセルサイズが小さな
ハニカムコアの製造に際し、目飛び発生を回避すべく、
拡散接合のための真空炉等内での加圧を、例えば1Kg
/mm以上の高荷重により、極めて高圧のもとに行う
必要はなくなる。つまり、真空炉等に平面プレスを内蔵
させたり、静水圧プレス(HIP)を行う必要はなくな
る。このように、この金属ハニカムの製造方法にあって
は、従来よりの一般的な真空炉等を使用し、低圧,低荷
重のもとでも、確実に拡散接合が行えるようになる。そ
こでその分、装置・設備のコスト面に優れ、イニシャル
コストやランニングコストが低減されると共に、真空炉
等の大型化も容易であり、全体サイズが大きなハニカム
コアも容易に製造可能となる。
【0062】更に請求項3では、前述したところに加
え、沸点が100℃以上で300℃以下と高沸点である
と共に、それぞれの沸点が異なる2種類以上の混合溶剤
を用いた、離型剤を採用したことにより、上述に加え次
の第3の効果を発揮する。
【0063】第3に、離型剤の塗布作業中に溶剤が乾
燥,揮発,蒸発することはなく、事後の溶剤の乾燥,揮
発,蒸発時に、離型剤の塗布膜に気泡,亀裂,破損等の
欠陥が発生することもない。まず、この金属ハニカムの
製造方法では、溶剤の沸点が100℃以上の離型剤を用
いてなるので離型剤の塗布時に、前述したこの種従来例
のように、溶剤が乾燥,揮発,蒸発してしまうことは防
止され、離型剤が使用しやすく作業性が向上する。しか
も、この溶剤は沸点が300℃以下なので、その後の乾
燥により、簡単容易に揮発,蒸発,消失し、この面から
も作業性が向上する。
【0064】更に、この溶剤は、沸点が異なる2種類以
上の混合溶剤よりなるので、揮発,蒸発は徐々に行わ
れ、前述したこの種従来例のように、塗布された離型剤
の塗布膜中から、溶剤が、乾燥により一度に一気に揮
発,蒸発してしまうことはなくなる。もって、離型剤の
塗布膜に、細かい多数の気泡,亀裂,破損等の欠陥が発
生することは抑えられ、前述したこの種従来例のよう
に、離型剤が母材から剥離,脱落することもなくなり、
離型剤としての機能が全うされ、製造されたハニカムコ
アの品質が向上する。このように、この種従来例に存し
た課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果
は、顕著にして大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る金属ハニカムの製造方法につい
て、発明の実施の形態の説明に供する斜視説明図であ
り、(1)図は、準備された母材を、(2)図は、離型
剤を塗布した状態を、(3)図は、重積する状態を、
(4)図は、拡散接合した状態を、(5)図は、スライ
スする状態を、それぞれ示す。
【図2】同発明の実施の形態の説明に供する斜視説明図
であり、(1)図は、展張した状態を、(2)図は、ト
リミングした状態を、(3)図は、得られたハニカムコ
アの要部を、それぞれ示す。
【図3】同発明の実施の形態の説明に供する正面拡大図
であり、(1)図は、離型剤を塗布した状態を、(2)
図は、拡散接合時の状態を示す。
【図4】同発明の実施の形態の説明に供する要部の正面
説明図であり、(1)図は、ステンレス製の母材間が拡
散接合される前の状態を、(2)図は、同母材間が拡散
接合された後の状態を、(3)図は、アルミニウム合金
製の母材間が拡散接合される前の状態を、(4)図は、
同母材間が拡散接合される直前の状態を、(5)図は、
同母材間が拡散接合された後の状態を示す。
【符号の説明】
1 離型剤 2 母材 3 非接合部 4 拡散接合対象部 5 地肌 6 酸化皮膜 7 スライス具 8 セル壁 9 セル D 重積方向 H ハニカムコア Mg マグネシウム S セルサイズ T 塗布厚

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 箔状のステンレスや、マグネシウムを含
    有した箔状のアルミニウム合金を、母材とし、該母材に
    離型剤を条線状に地肌を残しつつ塗布した後、 複数枚の該母材を、該離型剤間に条線状に残されて露出
    した地肌が半ピッチずつずれた位置関係で、重積してか
    ら、加圧,加熱することにより、該母材間を、接触した
    該地肌間にて条線状に拡散接合させた後、 重積方向に引張力を加えて展張することにより、該母材
    をセル壁とし、該セル壁にて区画形成された中空柱状の
    多数のセルの平面的集合体たるハニカムコアを得る、金
    属ハニカムの製造方法において、 該離型剤として、5重量%以上で60重量%以下である
    と共に粒径が5μm以下のセラミックス粉末と、バイン
    ダーと、を含有してなるものが用いられていること、を
    特徴とする金属ハニカムの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載した金属ハニカムの製造
    方法において、該離型剤は、該セラミックス粉末と、溶
    剤に可溶な該バインダーと、30重量%以上で94重量
    %以下の該溶剤と、を含有してなること、を特徴とする
    金属ハニカムの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載した金属ハニカムの製造
    方法において、該離型剤は、該セラミックス粉末と、該
    バインダーと、沸点が100℃以上で300℃以下であ
    ると共に相互に沸点が異なる2種類以上のものが混合さ
    れた該溶剤と、を含有してなること、を特徴とする金属
    ハニカムの製造方法。
JP17803599A 1999-06-24 1999-06-24 金属ハニカムの製造方法 Expired - Lifetime JP3839187B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17803599A JP3839187B2 (ja) 1999-06-24 1999-06-24 金属ハニカムの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17803599A JP3839187B2 (ja) 1999-06-24 1999-06-24 金属ハニカムの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001001168A true JP2001001168A (ja) 2001-01-09
JP3839187B2 JP3839187B2 (ja) 2006-11-01

Family

ID=16041457

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17803599A Expired - Lifetime JP3839187B2 (ja) 1999-06-24 1999-06-24 金属ハニカムの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3839187B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009172673A (ja) * 2008-01-28 2009-08-06 Niigata Univ 拡散接合を用いた金属ハニカムの製造方法
CN107335864A (zh) * 2017-06-29 2017-11-10 深圳市精品诚电子科技有限公司 一种黏胶塑胶结构及其加工方法
CN109175569A (zh) * 2018-11-08 2019-01-11 中国航空制造技术研究院 一种金属蜂窝芯体的制备方法
CN110449723A (zh) * 2019-08-30 2019-11-15 东莞市万连实业有限公司 不同厚度的铝箔软连接的一次性焊接成型方法
CN112388732A (zh) * 2020-10-23 2021-02-23 东莞艾塔极新材料科技有限公司 一种便于检测的模切方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009172673A (ja) * 2008-01-28 2009-08-06 Niigata Univ 拡散接合を用いた金属ハニカムの製造方法
CN107335864A (zh) * 2017-06-29 2017-11-10 深圳市精品诚电子科技有限公司 一种黏胶塑胶结构及其加工方法
CN109175569A (zh) * 2018-11-08 2019-01-11 中国航空制造技术研究院 一种金属蜂窝芯体的制备方法
CN110449723A (zh) * 2019-08-30 2019-11-15 东莞市万连实业有限公司 不同厚度的铝箔软连接的一次性焊接成型方法
CN110449723B (zh) * 2019-08-30 2021-08-27 东莞市万连实业有限公司 不同厚度的铝箔软连接的一次性焊接成型方法
CN112388732A (zh) * 2020-10-23 2021-02-23 东莞艾塔极新材料科技有限公司 一种便于检测的模切方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3839187B2 (ja) 2006-11-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11654516B2 (en) Aluminium multilayer brazing sheet for fluxfree brazing
JP5339214B2 (ja) 窒化珪素基板の製造方法および窒化珪素基板
JP2001001168A (ja) 金属ハニカムの製造方法
WO2022034810A1 (ja) 回路基板用積層体
JP2022166010A (ja) 接合基板の製造方法
JP6876569B2 (ja) 金属−炭素粒子複合材
CA2232647C (en) Method for joining members at ordinary temperature
TWI237835B (en) A method for manufacturing a multi-layered unit for a multi-layered electronic component
CN108291290B (zh) 金属与碳纤维的复合材料的制造方法
JP3993345B2 (ja) 金属ハニカムの製造方法
CN100557733C (zh) 印刷电路板的层叠方法和层叠陶瓷电子部件的制造方法
JP2000158257A (ja) チタンハニカムの製造方法
JP4635015B2 (ja) 金属ハニカムの製造方法
JP3798191B2 (ja) 金属ハニカムの製造方法
DE10032333A1 (de) Keramischer Grünkörper, Verfahren zur Herstellung eines derartigen Grünkörpers und Verfahren zur Herstellung eines Keramikkörpers mit dem Grünkörper
TWI314546B (ja)
KR20110013279A (ko) 적층 세라믹 부품 제조용 용제 조성물
JP2003197457A (ja) 金属膜の転写方法および内部電極を持つ電子部品の製造方法
JP3995843B2 (ja) チタンハニカムの製造方法
JPH11770A (ja) アルミハニカムおよびその製造方法
JP6125293B2 (ja) フラックス付ブレージングシートおよびフラックス付ブレージングシートの製造方法
JP2986531B2 (ja) 銅を接合した窒化アルミニウム基板の製造法
EP3023189B1 (en) Brazing sheet for surface joining
JP2514043B2 (ja) ハニカム構造体の製造方法
JP3402940B2 (ja) 窒化アルミニウム接合構造体

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050104

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051101

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060418

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060515

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060801

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060802

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 3839187

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100811

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110811

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110811

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120811

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120811

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130811

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term