JP2001001150A - プラズマ加工機における孔切断方法 - Google Patents

プラズマ加工機における孔切断方法

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JP2001001150A
JP2001001150A JP11178042A JP17804299A JP2001001150A JP 2001001150 A JP2001001150 A JP 2001001150A JP 11178042 A JP11178042 A JP 11178042A JP 17804299 A JP17804299 A JP 17804299A JP 2001001150 A JP2001001150 A JP 2001001150A
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cutting
cut
plasma
shape
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Tetsuya Kahata
哲也 加端
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Komatsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 凹凸段差の発生および切断加工精度の低下を
抑制し、所望の孔形状を安定して切断加工する。 【解決手段】 孔H(下加工用孔H)の略中心位置O
点でピアシングを行ない、このピアシング完了後プラズ
マトーチを切断高さにして下加工用孔Hの切断経路A
に向けて移動させ、下加工用孔Hの切断経路Aに達し
た時点で方向変換を行い下加工用孔Hを切断加工す
る。続いて、前記下加工用孔Hの切断加工がほぼ完了
した時点Bで孔Hの切断経路Cに向けて移動させ、孔H
の切断経路Cに達した時点Eで孔Hを切断加工する。孔
Hの切断後、プラズマアークを消滅させて、切断速度よ
り十分速い速度で逃げ経路に沿って略円弧状に移動させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加工ワークに所定
形状の孔を切断加工するプラズマ加工機における孔切断
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、プラズマ加工機を用いて、加工ワ
ークとプラズマトーチとの間に形成されるプラズマアー
クによりその加工ワークに所定形状を有する孔を切断加
工する際には、図7(a)に前記プラズマトーチの中心
位置の経路が示されるように、前記加工ワークに形成さ
れる孔の切断形状50内部の任意位置51にピアシング
を開始し、その後孔形状52の経路に向けて径方向に切
断し、その経路52上に到達した点53で孔形状の経路
52に切換えて切断加工を行う方法が用いられている。
【0003】また、図7(b)に示されるように前記孔
の切断形状50内部の任意位置51にピアシングを開始
し、そのピアシング位置51から孔形状の経路52に向
けて円弧を描くように切断し、その経路52上に到達し
た点53で孔形状の経路52に切換えて切断加工を行な
う方法もある。
【0004】さらに、図7(c)に示されるように、前
記孔の切断形状50の経路52上またはその経路52付
近でピアシングを行ない、そのまま切断加工を行なう方
法もある。この方法は、レーザ加工機を用いて切断加工
する際に多く用いられているが、切断幅の大きいプラズ
マアークを用いる切断加工には適していない。
【0005】前記いずれの方法においても所定形状を有
する孔の切断加工が終了した点で、プラズマトーチは円
弧を描くようにして切断された孔の内部へ逃げる経路5
4をとるようにされていることもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記図
7(a)および図7(b)に記載の切断加工方法におい
ては、ピアシング位置51から直線または円弧経路を経
て孔形状の経路52に切断移行する際に、プラズマトー
チによる切断速度が極低速となるために入熱量が増加
し、その結果酸化反応が促進され、燃焼範囲が広がって
しまう。このため、凹凸段差が発生し、孔の切断加工精
度が低下するという問題点がある。また、ピアシング位
置51から直線または円弧経路を切断する際に投入され
た熱量は、そのまま直線または円弧経路付近に蓄積さ
れ、孔形状の経路52上の熱分布に差が生じてしまう。
このため、燃焼反応のバラツキが生じて所望の孔形状よ
り大きく切断される部分が発生し、孔の切断加工精度が
低下するという問題点がある。
【0007】一方、前記図7(c)に記載の切断加工方
法においては、プラズマトーチの加減速による入熱量の
増加に伴う切断不良の影響は少ないが、ピアシングの吹
き上がりや盛り上がり、またピアス径が大きいこと、ピ
アス径のバラツキ等により孔の切断加工精度が落ちると
ともに、孔の切断経路上に凹凸段差が発生するという問
題点がある。
【0008】また、前記いずれの切断加工方法において
も、孔の切断加工が完了した加工ワークの裏面にはドロ
スが多く付着することになり、後工程で前記凹凸段差や
ドロスの除去作業に手間がかかるという問題点がある。
【0009】本発明は、このような問題点を解消するた
めになされたもので、凹凸段差の発生および切断加工精
度の低下を抑制し、所望の孔形状を安定して切断加工す
ることができるとともに、後工程の負担を軽減できるプ
ラズマ加工機における孔切断方法を提供することを目的
とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段および作用・効果】前述さ
れた目的を達成するために、本発明によるプラズマ加工
機における孔切断方法は、加工ワークとプラズマトーチ
との間に形成されるプラズマアークを用いて、前記加工
ワークに所定形状の孔を切断加工するプラズマ加工機に
おける孔切断方法において、前記所定形状の孔の切断形
状の内側に、下加工用孔をその外周の少なくとも一部分
とそれに対向する前記切断形状の一部分との間隔が予め
設定された間隔となるように切断加工し、続いてその下
加工用孔の経路に連続する切断経路で前記所定形状の孔
の切断加工を行うことを特徴とするものである。
【0011】第1発明においては、加工ワークに切断加
工する所定形状の孔の切断形状の内部にピアシングが行
なわれ、下加工用孔が切断加工される。この下加工用孔
は、前記孔の切断形状の内側に加工され、その外周の少
なくとも一部分とそれに対向する前記切断形状の一部分
との間隔が予め設定された間隔となるようにされてい
る。この下加工用孔の切断加工後、プラズマトーチを下
加工用孔の経路に連続する切断経路で前記間隔を通過さ
せるように相対移動させて、切断形状に沿って切断加工
が行われる。
【0012】本発明によれば、プラズマトーチは下加工
用孔を切断加工した後、連続的に若干経路を変えるよう
にして切断形状に沿って切断加工を行なっており、切断
経路を変更する際にプラズマトーチの切断速度を低速度
にする必要がないため、切断形状の切断開始点での入熱
量の増加を抑制することができる。したがって、凹凸段
差の発生を抑制でき、切断加工精度を向上することがで
き、所望の孔形状の切断加工を安定して行なうことがで
きるという効果を奏する。さらに、ドロスの発生を抑制
することができ、後工程の処理を簡略化することができ
る。
【0013】また、本発明においては、下加工用孔を加
工ワークに形成される孔の切断形状の相似形として、そ
の下加工用孔をその外周の全部分と切断形状の全部分と
間隔が予め設定された間隔となるように切断形状内部に
切断加工することも可能である。このように下加工用孔
を孔の切断形状の相似形にすれば、下加工用孔を切断加
工する際に投入された熱量が切断形状上で略均等となる
ため、燃焼反応のバラツキを抑え切断形状に沿って安定
した切断加工を行なうことができる。したがって、切断
加工精度をより確実に向上することができるという効果
を奏する。
【0014】本発明においては、前記予め設定された間
隔を切断幅から切断幅の1/2の間の間隔とし、前記下
加工用孔の切断加工後、前記所定形状の孔の切断加工に
移行する切断経路が前記所定形状の孔の半径方向に略直
線状の切断経路であるのが好ましい。このように下加工
用孔の切断加工完了時に、プラズマトーチの切断速度を
緩めずに孔の半径方向に極めて小さく移動させることに
より経路変更が行なわれるようにされているため、切断
形状上の入熱量の増加を極めて抑えることができる。し
たがって、凹凸段差の発生を抑制することができ、切断
加工精度を向上することができるという効果を奏する。
【0015】本発明においては、前記切断加工時は、加
工ワークとプラズマトーチとの間の距離が固定されてい
るのが好ましい。
【0016】また、本発明においては、前記切断形状の
切断加工が終了した時点で、プラズマトーチが円弧を描
くようにして切断加工された孔の内部へ移動する経路を
とるのが好ましい。こうすることによりプラズマアーク
の消滅に時間的な遅れが生じても、切断形状線上の入熱
量を部分的に増加させることがないため、凹凸段差を生
じさせることなく切断加工を完了することができ、安定
した形状の孔を加工することができるという効果を奏す
る。
【0017】本発明においては、前記プラズマトーチを
切断加工された孔の内部へに移動させる際に、その移動
速度を孔の切断加工時の速度に比べて速くするととも
に、プラズマアークを消滅させるのが好ましい。こうす
ることにより、切断加工を完了させる際においても切断
形状線上の入熱の増加が抑制され、より確実に安定した
形状の孔を加工することができるという効果を奏する。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、本発明によるプラズマ加工
機における切断加工方法の具体的な実施の形態につき、
図面を参照しつつ説明する。
【0019】図1には本発明の一実施例に係るプラズマ
加工機の全体斜視図が示され、図2にはそのプラズマ加
工機のシステム構成図が示されている。
【0020】本実施例のプラズマ加工機1においては、
板状の加工ワークWを支持する切断定盤(切断架台)2
が矩形状のフレーム3の内側空間に配されるとともに、
このフレーム3を跨ぐように門形の走行ビーム4が配さ
れ、この走行ビーム4上にキャリッジ5が配されて、そ
のキャリッジ5にプラズマトーチ6が装着されている。
【0021】前記走行ビーム4は、X軸モータ7の駆動
によりフレーム3の長手方向(X軸方向)に配されるX
軸レール8に沿ってX軸方向に走行可能とされ、前記キ
ャリッジ5は、Y軸モータ9の駆動により走行ビーム4
上に配されるY軸レール10に沿ってY軸方向に走行可
能とされている。また、前記プラズマトーチ6は、Z軸
モータ11の駆動によりキャリッジ5に対して上下方向
(Z軸方向)に移動可能とされている。こうして、各モ
ータ7,9,11を制御することで、プラズマトーチ6
は加工ワークWの任意の位置へ移動されるとともに、任
意の高さ位置に位置決めされて加工ワークWの切断加工
が行われる。
【0022】前記プラズマトーチ6は、後述する電極1
5にプラズマ電流を供給するために、トーチケーブル1
2を介してプラズマ電源ユニット13の一方の端子(マ
イナス端子)に接続されている。また、このプラズマ電
源ユニット13の他方の端子(プラス端子)は、母材ケ
ーブル14を介して加工ワークW(もしくは切断定盤
2)に接続されている。
【0023】図3に示されるように、前記プラズマトー
チ6は、略多重円筒形状であって、略中心部に配される
略円柱状の電極15と、この電極15の外周側を覆うよ
うに配される略円筒状のノズル16と、このノズル16
の外周側に配される略円筒状の第1ノズルキャップ17
と、この第1ノズルキャップ17の外周側に配される略
円筒状の第2ノズルキャップ18とを備えている。そし
て、電極15とノズル16との間に画成される先端部開
放空間が作動ガス通路19とされ、ノズル16と第1ノ
ズルキャップ17との間に画成される閉空間が冷却水通
路20とされ、第1ノズルキャップ17と第2ノズルキ
ャップ18との間に画成される先端部開放空間が二次ガ
ス通路21とされている。
【0024】前記電極15のプラズマアーク発生点とな
る先端部には、プラズマアークAの高熱に耐え得る高融
点材料製(例えば、ハフニウム製,ジルコニウム製,合
金製等)の耐熱インサート22が装着されている。ま
た、前記ノズル16の先端部にはノズルオリフィス23
が設けられ、前記作動ガス通路19により供給される作
動ガス(酸素ガス)がそのノズルオリフィス23から加
工ワークWに向けて噴出されるようになっている。さら
に、前記第2ノズルキャップ18の先端開口部にはシー
ルドキャップ24が装着され、前記二次ガス通路21に
より供給される二次ガス(空気)がそのシールドキャッ
プ24先端の噴出口25から噴出されるようになってい
る。
【0025】前記作動ガス通路19および二次ガス通路
21にはそれぞれ作動ガススワラ26および2次スワラ
27が嵌め込まれている。こうして、作動ガス通路19
を通過する作動ガスは作動ガススワラ26によって旋回
流にされてノズルオリフィス23から加工ワークWに噴
出される。同様に、二次ガス通路21を通過する二次ガ
スは2次スワラ27によって旋回流にされて噴出口25
から加工ワークWに噴出される。このような2重の旋回
気流によって加工ワークWにおける切断溝の形状を変化
させることが可能となり、ベベル角の小さな直角の切断
面を得ることが可能となっている。
【0026】このように構成されているので、作動ガス
通路19に作動ガスを供給した状態で、電極15と加工
ワークWとの間にパイロットアークを着火させると、電
離された導電性を持つ作動ガスがノズルオリフィス23
を通じて加工ワークWに噴出され、電極15−加工ワー
クW間にプラズマアークAが着火される。このプラズマ
アークAは、ノズルオリフィス23による拘束性と作動
ガス気流による熱的ピンチ作用が効果的に働くことによ
り、高温でかつ高密度エネルギーを有するプラズマアー
クとなる。このようにして形成されるプラズマアークA
が加工ワークWを溶融して、ピアッシングおよび切断が
行われる。
【0027】前記プラズマトーチ6をX軸、Y軸および
Z軸方向に移動させるX軸モータ7、Y軸モータ9およ
びZ軸モータ11は、NC装置28からの制御信号によ
ってサーボコントロール部29における図示されない各
サーボアンプを介して駆動される。この制御を可能にす
るために、NC装置28には、CAD/CAM装置(図
示省略)から入力される各種加工ワークWに対する切断
形状等に基づいて数値データを作成するとともに、各種
加工ワークWに対応する切断条件データベースを格納す
るプログラム部30が付設されている。また、このNC
装置28は、加工ワークWに対して孔切断加工を行なう
際のプラズマトーチ6の経路を算出する孔加工マクロプ
ログラムを有している。
【0028】また、前記NC装置28には、非接触式に
て加工ワークWとプラズマトーチ6先端距離を制御す
る、すなわちプラズマ電源ユニット13から入力される
プラズマアーク電圧(電極15−加工ワークW間の電
圧)に基づいて高さ信号を演算し、この高さ信号を出力
する切断高さコントロール部31が付設されている。な
お、この切断高さコントロール部31は、その距離制御
の有効・無効を指令にて選択できるようにされている。
【0029】本実施例の制御システムにおいては、NC
装置28にてプログラム部30により切断形状が認識さ
れ、その切断形状が孔であると判断されたときに、孔加
工マクロプログラムが実行されるとともに、前記プログ
ラム部30に加工ワークWの材質、板厚毎に切断速度,
アーク電流,切断高さ,切断幅の各データが格納されて
いる切断条件データベースより孔加工切断条件が入力さ
れる。前記孔加工切断条件は、孔切断加工が完了した時
点でアーク電量を零に、切断速度を増加させた値に設定
されており、さらに孔切断加工中の切断高さが固定値に
設定されたものである。前記孔加工切断条件で、前記孔
加工マクロプログラムにより算出された経路に沿って、
プラズマトーチ6の移動が制御される。
【0030】前記孔加工マクロプログラムは、孔切断加
工を行なう際に自動的に作動され、プログラム部30か
ら読み込まれる数値データ(孔加工コード,孔径)に基
づいて、その孔の切断形状より内側に加工する下加工用
孔の孔径,形状および孔切断加工完了時の逃げ経路が算
出される。なお、この孔加工マクロプログラムで算出さ
れる経路は全て切断加工データベースより得られる切断
幅を用いて算出されたプラズマトーチ6の中心経路であ
る。
【0031】次に、本実施例における孔の切断制御につ
いて、図4に示されるフローチャートに基づいてより詳
細に説明する。なお、本実施例では、図5に示される円
状の孔Hを切断加工する場合が例示されている。
【0032】S1:プログラム部30より加工ワークW
に対する切断形状に基づいて作成された数値データが読
み込まれる。 S2:その切断形状が孔形状であるか否かが判定され
る。 S3:前記切断形状が孔形状である場合は、前記プログ
ラム部30の切断加工データベースより孔加工切断条件
が読み込まれる。 S4:続いて、NC装置28の孔加工マクロプログラム
が開始される。 S5:孔Hの切断形状およびプラズマアークの切断幅D
により、孔Hを切断するプラズマトーチ6の中心経路の
孔径dを認識する。 S6:前記孔加工マクロプログラムにより孔Hを切断加
工する際の経路を算出する。すなわち、前記孔Hの下加
工用孔Hを切断加工するプラズマトーチ6の中心経路
の孔径d’を算出し、さらに孔Hの切断完了時の逃げ経
路を算出する。本実施例では、孔Hと下加工用孔H
の間隔が切断幅Dの1/2に設定されており、前記孔径
d’=d+Dで算出される。 S7:次に、前記処理で算出された経路に基づいて孔H
の切断加工を開始する。 S8:切断開始点である孔H(下加工用孔H)の中心
位置O点へプラズマトーチ6を移動させて、ピアシング
を開始する()。 S9:ピアシング完了後、プラズマトーチ6を切断高さ
コントローラ31により切断高さに位置決めして、矢印
に沿って下加工用孔Hの切断経路Aに向けて移動さ
せる。 S10:プラズマトーチ6が下加工用孔Hの切断経路
Aに達した時点で、方向変換を行なって、矢印に沿っ
て下加工用孔Hを切断加工する。 S11:続いて、前記下加工用孔Hの切断加工がほぼ
完了した時点Bで矢印に沿って連続的かつ直線的に孔
Hの切断経路Cに向けて移動させる。なお、この移動距
離は、プラズマトーチ6の先端をわずかに振る程度の非
常に短い距離である。 S12:前記プラズマトーチ6が孔Hの切断経路Cに達
した時点Eで、矢印に沿って孔Hを切断加工する。 S13:孔Hの切断後、プラズマトーチ6よりプラズマ
アークを消滅させるとともに、前記切断速度より十分速
い速度で逃げ経路(矢印)に沿って略円弧状にプラズ
マトーチ6を移動させる。 S14:こうして孔Hの切断加工が完了する。 S15:前記加工ワークWに対して、全ての切断形状の
切断加工が行なわれたかを判定する。 S16:切断加工が終了していない場合は、次の加工ポ
イントへプラズマトーチ6を移動させて、再びステップ
S2以降が行なわれる。なお、ステップS2にて切断形
状が孔形状でない場合は、ステップS17にて通常の切
断加工が行なわれる。また、ステップS17による通常
の切断加工が終了した時点で、ステップS15の判定が
行なわれる。
【0033】本実施例によれば、ピアシング位置Oから
下加工用孔Hを切断加工し、その加工が略完了した時
点Bでプラズマトーチ6の切断速度を緩めずに、下加工
用孔Hの半径方向に極めて小さく移動させることによ
り経路変更が行なわれる。このため、切断開始点Eおよ
びその付近への入熱量の増加が抑制され、凹凸段差の発
生を抑制することができるとともに、切断加工精度の向
上を図ることができるという効果を奏する。また、下加
工用孔Hは孔Hの相似形にされているため、下加工用
孔Hの切断加工の際に投入された熱量が孔Hの切断経
路C上で略均等となり、燃焼反応のバラツキが抑えられ
るため切断形状に沿って安定した切断加工を行うことが
できる。さらに、孔Hの切断加工終了後にドロスの発生
を抑制することができるため、後工程の負担を軽減する
ことができるという効果を奏する。
【0034】本実施例においては、図5に示されるよう
に下加工用孔Hが孔Hと相似形でその孔径が孔Hの孔
径より切断幅D分小さくされ、その下加工用孔Hと孔
Hとの間隔が全周に渡って切断幅Dの1/2となるよう
に切断形状内部に切断加工されているが、孔Hより十分
小さい径を有する下加工用孔Hをその外周の一部分と
それに対向する孔Hとの間隔が切断幅Dの1/2となる
ように切断形状内部に切断加工することも可能であり、
この場合も同様の効果を得ることができる。また、前記
間隔においては切断幅Dの1/2とされているが、これ
に限られず、孔Hの形状や加工ワークWの板厚,材質に
応じて切断幅D〜D/2の間の任意の値に設定すること
ができる。
【0035】本発明においては、円形状の孔Hを切断加
工する場合について説明しているが、これに限らず、例
えば長円形状等の孔を切断加工する場合にも適用するこ
とができる。図6(a)(b)には、長円形状の孔H’
を切断加工する際のプラズマトーチ6の中心経路がそれ
ぞれ示されている。
【0036】図6(a)に示されるように、孔H’の円
弧径より切断幅D分小さい径を有する下加工用孔H
がその孔H’の内部に配置され、その下加工用孔H
と孔H’の円弧部との間隔が切断幅Dの1/2となるよ
うに配置されている。この孔H’を切断加工する際に
は、まず下加工用孔H’の略中心位置O’でピアシン
グを行ない、その下加工用孔H’の切断経路A’に沿
って下加工用孔H’の切断加工が行われる。続いて、
この下加工用孔H’の切断加工がほとんど終了した時
点Bで、プラズマトーチ6を連続的かつ直線的に孔H’
の切断経路C’に向けて移動させて、そのプラズマトー
チ6が孔H’の切断経路C’に達した時点E’で、その
切断経路C’に沿って孔Hを切断加工する。この孔H’
の切断後、プラズマトーチ6よりプラズマアークを消滅
させるとともに、前記切断速度より十分速い速度で逃げ
経路Fに沿って略円弧状にプラズマトーチ6を移動させ
る。こうして長円形状の孔H’を切断加工する場合であ
っても、凹凸段差やドロスの発生を抑制して、安定した
形状に切断加工することができる。
【0037】図6(b)に示されるように、孔H’の円
弧径より十分小さい径を有する下加工用孔H”がその
孔H’の内部に配置され、その下加工用孔H”の一部
分とそれに対向する孔H’との間隔が切断幅Dの1/2
となるように配置されていても良い。このような下加工
用孔H”を用いても前述と同様の方法にて孔H’の切
断加工を行うことができる。なお、図6(b)に、図6
(a)と同一符号を記して、切断加工方法の手順の説明
を省略する。また、同様の効果を奏するものである。
【0038】本実施例においては、切断加工形状が孔形
状である場合に図4で示されるフローによる切断加工方
法を適用するように構成されているが、これに限らず、
加工する孔径の大きさや加工ワークWの板厚,材質によ
り前記切断加工方法を適用するか否かを判定するように
してもよい。
【0039】また、本実施例においては、孔切断加工を
行う際にNC装置28の孔加工マクロプログラムによっ
てプラズマトーチ6の経路が算出されているが、予めプ
ログラム部30により数値データとしてプラズマトーチ
6の経路を構成するようにしてもよい。また、この場合
はプログラム部30で、加工する孔径の大きさや加工ワ
ークWの板厚,材質により前記切断加工方法を適用する
か否かを設定できるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施例に係るプラズマ加工
機の全体斜視図である。
【図2】図2は、本実施例のプラズマ加工機のシステム
構成図である。
【図3】図3は、本実施例のプラズマトーチを説明する
概略断面図である。
【図4】図4は、本実施例における孔の切断方法の手順
を説明するフローチャートである。
【図5】図5は、円形状の孔を切断する方法を説明する
説明図である。
【図6】図6(a)(b)は、長円形状の孔を切断する
方法を説明する説明図である。
【図7】図7(a)(b)(c)は、従来の孔切断方法
を説明する説明図である。
【符号の説明】
1 プラズマ加工機 2 切断定盤 3 フレーム 4 走行ビーム 5 キャリッジ 6 プラズマトーチ 7 X軸モータ 8 X軸レール 9 Y軸モータ 10 Y軸レール 11 Z軸モータ 12 トーチケーブル 13 プラズマ電源ユニット 14 母材ケーブル 15 電極 16 ノズル 17 第1ノズルキャップ 18 第2ノズルキャップ 19 作動ガス通路 20 冷却水通路 21 二次ガス通路 22 耐熱インサート 23 ノズルオリフィス 24 シールドキャップ 25 噴出口 26 作動ガススワラ 27 2次スワラ 28 NC装置 29 サーボコントロール部 30 プログラム部 31 切断高さコントロール部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加工ワークとプラズマトーチとの間に形
    成されるプラズマアークを用いて、前記加工ワークに所
    定形状の孔を切断加工するプラズマ加工機における孔切
    断方法において、 前記所定形状の孔の切断形状の内側に、下加工用孔をそ
    の外周の少なくとも一部分とそれに対向する前記切断形
    状の一部分との間隔が予め設定された間隔となるように
    切断加工し、続いてその下加工用孔の経路に連続する切
    断経路で前記所定形状の孔の切断加工を行うことを特徴
    とするプラズマ加工機における孔切断方法。
  2. 【請求項2】 前記予め設定された間隔を切断幅から切
    断幅の1/2の間の間隔とし、前記下加工用孔の切断加
    工後、前記所定形状の孔の切断加工に移行する切断経路
    が前記所定形状の孔の半径方向に略直線状の切断経路で
    ある請求項1に記載のプラズマ加工機における孔切断方
    法。
  3. 【請求項3】 前記切断加工時は、加工ワークとプラズ
    マトーチとの間の距離が固定されている請求項1または
    2に記載のプラズマ加工機における孔切断方法。
  4. 【請求項4】 前記切断形状の切断加工が終了した時点
    で、プラズマトーチが円弧を描くようにして切断加工さ
    れた孔の内部へ移動する経路をとる請求項1〜3のうち
    のいずれかに記載のプラズマ加工機における孔切断方
    法。
  5. 【請求項5】 前記プラズマトーチを切断加工された孔
    の内部へに移動させる際に、その移動速度を孔の切断加
    工時の速度に比べて速くするとともに、プラズマアーク
    を消滅させる請求項4に記載のプラズマ加工機における
    孔切断方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7087855B2 (en) 2003-05-28 2006-08-08 Komatsu Industries Corporation Plasma cutting apparatus and control unit thereof
CN104493349A (zh) * 2015-01-19 2015-04-08 嘉兴威斯柏自动化科技有限公司 等离子小孔切割加工方法
CN113618207A (zh) * 2021-10-11 2021-11-09 山东艾西特数控机械有限公司 一种等离子切割小圆孔工艺

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