JP3838817B2 - プラズマ加工機によるコーナ部切断方法およびその装置 - Google Patents

プラズマ加工機によるコーナ部切断方法およびその装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマ加工機を用いて被加工物のコーナ部を切断するプラズマ加工機によるコーナ部切断方法およびその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラズマ加工機によるプラズマ切断の課題の一つとして、被加工物のコーナ部での切断形状精度不良の問題がある。この要因としては、加工機の追従遅れや剛性によるものも考えられるが、図10(a)に示されるように、プラズマ流51がプラズマトーチ52の切断進行方向の後方側へ流れることによる切断部下方での切断遅れによるものが大きいとされている。
【0003】
従来、このようなコーナ部での形状精度不良を解消するために、次の(1)〜(3)に示すような方法が例えばレーザ加工において提案され、実施されてきている。
(1)図10(b)に示されるように、コーナ部の手前とコーナ部通過後の所定範囲において、切断速度をスローダウンし、加工機の追従遅れ等に起因する形状誤差を小さくする方法(例えば特開平2−30388号公報)。
(2)図10(c)に示されるように、コーナ部で三角形状もしくは円形状のルーピングを行う方法。
(3)図10(d)に示されるように、コーナ部でトーチを一旦強制停止(イグザクトストップ)させて、所定時間後に再稼働させる方法。
【0004】
なお、本発明に関連する先行技術として、特開平7−236988号公報に開示されるものがある。この先行技術は、鋭角コーナ部でも溶損なく精度良く切断加工することを目的とするレーザ切断方法に関わるものであって、特に請求項14には、コーナ進入方向延長線上あるいはコーナ切換後立ち上がり方向の逆方向延長線上に、切断幅以上の広さの空間を設け、コーナ部を切断加工することを特徴とするレーザ切断方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記(1)の切断速度をスローダウンさせる方法では、図11(a)に示されるように、そのスローダウン開始位置以降において切断幅が幅Pから幅Pに拡大してしまうという問題点がある。また、この種のプラズマ加工機においては、プラズマアークの周囲に、プラズマガスと同方向のアシストガス旋回流を配してベベル角の小さい直角の切断面を得る切断方法が採用される場合があるが、このような切断方法を採用したものでは、前述のようにコーナ部の近傍領域において切断速度をスローダウンさせると、切断速度とアシストガス旋回流の流量とのバランスが崩れ、図11(b)に示されるように、期待される直角の切断面(鎖線で示す。)に対して切断面テーパ(実線で示す。)が変化するという問題点がある。その他、切断面の面粗さが悪化したり、ドロスが多くなるといった不具合も発生する。
【0006】
また、前記(2)のルーピングによる方法では、被加工材の余分な部分を切断することになるため、材料の歩留まりが低下するという問題点がある。また、前述のアシストガス旋回流を用いた切断方法を採用した場合には、図11(c)に示されるように、ルーピングを行った後にコーナ部に突入する際(符号Qで示す。)に、アシストガスの流れが全方向開放状態となるために、このアシストガスの旋回流効果がなくなり、定常状態に復帰するまでに切断面テーパ(ベベル角)が大きくなってしまうという問題点がある。さらに、被加工材とトーチノズル間の電圧により切断高さ(ノズル先端と被加工材との距離)を一定にする制御もしくは被加工材とトーチノズル間の静電容量により切断高さを一定にする制御を行っているプラズマ加工機では、コーナ部への突入部位で既に切断された箇所を通過することになるため、電圧もしくは静電容量が変化することに起因してアーク切れもしくはハンチング状態による切断不良の発生の問題がある。
【0007】
一方、前記(3)のイグザクトストップによる方法では、コーナ部で停止した際にそのコーナ部の入熱量が過多になり、コーナ部が溶損してしまうという問題点がある。
【0008】
また、本発明に関連する先行技術として示した前記特開平7−236988号公報に開示されたものは、レーザ切断を対象とするものであって、プラズマ切断に特有の切断面下部の切断遅れもしくは加工機追従誤差に起因する形状精度不良の問題を解消するための手段とはなり得ない。
【0009】
本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、材料の無駄を生じずに、加工機の追従遅れや切断面下部の切断遅れに起因するコーナ部での形状精度不良を確実に防止することのできるプラズマ加工機によるコーナ部切断方法およびその装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
前記目的を達成するために、第1発明によるプラズマ加工機によるコーナ部切断方法は、
プラズマ加工機を用いて所定の切断線に対するプラズマトーチのカーフ幅オフセット方向(切断予定線に対するプラズマトーチの左右へのずらし量)の補正を行いつつ被加工物のコーナ部を切断するプラズマ加工機によるコーナ部切断方法であって、
前記コーナ部においてプラズマトーチをその切断進行方向に沿って通過させてスイッチバック点まで進行させ、このスイッチバック点において前記カーフ幅オフセット方向を逆方向に変更するとともに、再度同一経路を前記コーナ部まで戻し、このコーナ部で前記カーフ幅オフセット方向を元に戻すとともに、そのコーナ部に沿わせて切断進行方向を変更することを特徴とするものである。
【0011】
本発明においては、コーナ部の切断に際して、まずプラズマトーチを切断進行方向に沿ってコーナ部を通過させてスイッチバック点まで進行させ、次いでそのスイッチバック点において予め設定されたカーフ幅オフセット方向を逆方向に変更して、再度同一経路を通ってコーナ部まで戻し、続いてそのコーナ部でカーフ幅オフセット方向を元に戻すとともに、そのコーナ部に沿わせて切断進行方向を変更するようにプラズマトーチが移動される。こうして、アシストガス(二次ガス)旋回流を用いた切断方法を採用した場合にも、アシストガスの流れが全方向開放状態となることはなく、ガス旋回流の流れを乱すことが少ないため、コーナ部でのガス流れの乱れに起因する切断不良の発生を減らすことができる。また、従来のルーピングによる切断方法に比べ、材料の無駄を減らすことができる効果もある。さらに、プラズマ特有の切断面下方の切断遅れを解消することができるので、この切断遅れによる特に切断面下部のコーナ部の丸みをほぼ解消することができる。また、加工機の軸遅れに起因する形状誤差もなくすことができ、コーナ部の形状精度を格段に向上させることができる。
【0012】
次に、第2発明によるプラズマ加工機による切断加工装置は、第1発明による切断方法をより具体的に実現するための装置に関わるものである。すなわち、プラズマ加工機により被加工物のコーナ部を切断するコーナ部切断装置であって、被加工物の加工条件を設定する加工条件設定手段と、この加工条件設定手段により設定された加工条件に基づきプラズマトーチの移動方向と移動量とを制御するプラズマトーチ移動制御手段と、前記加工条件設定手段により設定された加工条件に基づきプラズマトーチのカーフ幅オフセット方向とオフセット量とを制御するカーフ幅制御手段とを備え、
前記プラズマトーチ移動制御手段は、前記コーナ部においてプラズマトーチをその切断進行方向に沿って通過させてスイッチバック点まで進行させ、このスイッチバック点から再度同一経路を前記コーナ部まで戻し、このコーナ部に沿わせて切断進行方向を変更するように前記プラズマトーチを制御し、
前記カーフ幅制御手段は、スイッチバック点において予め設定されたカーフ幅オフセット方向を逆方向に変更するとともに、再度前記コーナ部に達した際にそのカーフ幅オフセット方向を元に戻すように制御することを特徴とするものである。
【0013】
本発明によれば、前記第1発明による効果を、プラズマトーチ移動制御手段およびカーフ幅制御手段におけるプログラミングを行うことによって容易に得ることができる。
【0014】
前記第2発明においては、さらに、前記プラズマトーチが前記コーナ部を通過してから、スイッチバック点を経由して再度コーナ部に戻るまでの間、前記プラズマトーチのノズル先端と被加工物との距離を一定に保持するように制御するプラズマトーチ高さ制御手段が設けられるのが好ましい。こうすることで、コーナ部の切断において、既に切断された箇所を通過してもプラズマトーチが上下に不用意に動くことがなくなり、コーナ部でのアーク切れおよび切断不良の発生をより減少させることができる。
【0015】
また、前記第2発明において、前記コーナ部からスイッチバック点までの距離は、所定の加工条件に応じて前記加工条件設定手段により設定されるのが好ましい。これにより、コーナ部からスイッチバック点までの距離を被加工物の材質、板厚等に適合させて選定することができる。
【0016】
さらに、前記加工条件設定手段により設定される加工条件に応じて、前記プラズマトーチ移動制御手段による制御および前記カーフ幅制御手段による制御を有効にするか無効にするかが選択可能とされるのが好ましい。こうすることで、被加工物の材質、板厚、コーナ角度等に応じて、コーナ部の切断経路を任意に選択することができ、より利便性が向上する。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明によるプラズマ加工機によるコーナ部切断方法およびその装置の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図1には本発明の一実施例に係るプラズマ加工機の全体斜視図が示され、図2にはそのプラズマ加工機のシステム構成図が示されている。
【0019】
本実施例のプラズマ加工機1においては、板状の被加工物Wを支持する切断定盤(切断架台)2が矩形状のフレーム3の内側空間に配されるとともに、このフレーム3を跨ぐように門形の走行ビーム4が配され、この走行ビーム4上にキャリッジ5が配されて、そのキャリッジ5にプラズマトーチ6が装着されている。
【0020】
前記走行ビーム4は、X軸モータ7の駆動によりフレーム3の長手方向(X軸方向)に配されるX軸レール8に沿ってX軸方向に走行可能とされ、前記キャリッジ5は、Y軸モータ9の駆動により走行ビーム4上に配されるY軸レール10に沿ってY軸方向に走行可能とされている。また、前記プラズマトーチ6は、Z軸モータ11の駆動によりキャリッジ5に対して上下方向(Z軸方向)に移動可能とされている。こうして、各モータ7,9,11を制御することで、プラズマトーチ6は被加工物Wの任意の位置へ移動されるとともに、任意の高さ位置に位置決めされて被加工物Wの切断加工が行われる。
【0021】
前記プラズマトーチ6は、後述する電極15にプラズマ電流を供給するために、トーチケーブル12を介してプラズマ電源ユニット13の一方の端子(マイナス端子)に接続されている。また、このプラズマ電源ユニット13の他方の端子(プラス端子)は、母材ケーブル14を介して被加工物W(もしくは切断定盤2)に接続されている。
【0022】
図3に示されるように、前記プラズマトーチ6は、略多重円筒形状であって、略中心部に配される略円柱状の電極15と、この電極15の外周側を覆うように配される略円筒状のノズル16と、このノズル16の外周側に配される略円筒状の第1ノズルキャップ17と、この第1ノズルキャップ17の外周側に配される略円筒状の第2ノズルキャップ18とを備えている。そして、電極15とノズル16との間に画成される先端部開放空間が作動ガス通路19とされ、ノズル16と第1ノズルキャップ17との間に画成される閉空間が冷却水通路20とされ、第1ノズルキャップ17と第2ノズルキャップ18との間に画成される先端部開放空間が二次ガス通路21とされている。
【0023】
前記電極15のプラズマアーク発生点となる先端部には、プラズマアークAの高熱に耐え得る高融点材料製(例えば、ハフニウム製,ジルコニウム製,合金製等)の耐熱インサート22が装着されている。また、前記ノズル16の先端部にはノズルオリフィス23が設けられ、前記作動ガス通路19により供給される作動ガス(酸素ガス)がそのノズルオリフィス23から被加工物Wに向けて噴出されるようになっている。さらに、前記第2ノズルキャップ18の先端開口部にはシールドキャップ24が装着され、前記二次ガス通路21により供給される二次ガス(空気)がそのシールドキャップ24先端の噴出口25から噴出されるようになっている。
【0024】
前記作動ガス通路19および二次ガス通路21にはそれぞれ作動ガススワラ26および2次スワラ27が嵌め込まれている。こうして、作動ガス通路19を通過する作動ガスは作動ガススワラ26によって旋回流にされてノズルオリフィス23から被加工物Wに噴出される。同様に、二次ガス通路21を通過する二次ガスは2次スワラ27によって旋回流にされて噴出口25から被加工物Wに噴出される。このような2重の旋回気流によって被加工物Wにおける切断溝の形状を変化させることが可能となり、ベベル角の小さな直角の切断面を得ることが可能となっている。
【0025】
このように構成されているので、作動ガス通路19に作動ガスを供給した状態で、電極15とノズル16との間に高周波放電の先導によりパイロットアークを着火させると、電離された導電性を持つ作動ガスがノズルオリフィス23を通じて被加工物Wに噴出され、電極15−被加工物W間にプラズマアークAが着火される。このプラズマアークAは、ノズルオリフィス23による拘束性と作動ガス気流による熱的ピンチ作用が効果的に働くことにより、高温でかつ高密度エネルギーを有するプラズマアークとなる。このようにして形成されるプラズマアークAが被加工物Wを溶融して、ピアッシングおよび切断が行われる。
【0026】
前記プラズマトーチ6をX軸、Y軸およびZ軸方向に移動させるX軸モータ7、Y軸モータ9およびZ軸モータ11は、NC装置28からの制御信号によってそれぞれサーボアンプ29,30,31を介して駆動される。この制御を可能にするために、NC装置28には、CAD/CAM装置データベース32からの材質、板厚毎のスイッチバック距離およびコーナ角度(後述する)等のデータ、および予め加工条件設定手段により設定されて加工条件データベース33に記憶されている、各種加工ワークに対応する切断条件データ等のデータが入力される。また、後述の倣い制御を行うために、前記NC装置28には倣い制御装置34が付設される。この倣い制御装置34は、プラズマ電源ユニット13から入力されるプラズマアーク電圧(電極15−被加工物W間の電圧)に基づいて倣い信号を演算し、この倣い信号をNC装置28に出力する。
【0027】
このようなシステムにおいて、図4(a)に示されているように、被加工物Wのコーナ部(切断加工後に製品(ハッチングで示す)のコーナ部となる箇所)aを切断する際に、本実施例では、そのコーナ部aまで切断した(矢印b)後、このコーナ部aにおいてプラズマトーチ6をその切断進行方向に沿って通過させてスイッチバック点cまで進行させ(矢印d)、再度同一経路をコーナ部aまで戻し(矢印e)、このコーナ部aに沿わせて切断進行方向を変更する(矢印f)ようにプラズマトーチ6の移動が制御される。
【0028】
次に、前述のプラズマトーチ6の制御を実行するための本実施例における被加工物Wのコーナ部の切断手順について、図5に示されるフローチャートに基づいてより詳細に説明する。
【0029】
S1:CAD/CAMデータベース32から、被加工物Wの材質、板厚毎にスイッチバック距離(図4(a)のa点〜c点間の距離)およびコーナ角度(図4(a)の角度θ)を読み込み、スイッチバック切断の有効なコーナポイントを選択し、各データをセットする。
【0030】
S2〜S5:予め作成されているCADデータをCAMデータに変換し、言い換えればNCプログラムを作成し、この作成されたNCプログラムを加工機に転送してそのNCプログラムをスタートさせる。すると、プラズマトーチ6が切断開始点(図4(b)のg点)へ移動する。
【0031】
S6〜S7:加工条件データベース33から各種加工ワークに対応する加工条件データを読み込み、これら加工条件データをセットする。ここで、セットされる加工条件としては、電流、切断速度、カーフ幅オフセット量(切断予定線に対するプラズマトーチの左右へのずらし量)、切断高さ(切断時のプラズマトーチ高さ)、ピアス高さ(ピアッシング時のプラズマトーチ高さ)、ピアスタイマ(ピアッシング時間)、プラズマガス圧(作動ガス圧)、アシストガス圧(二次ガス圧)の各種データである。こうして、各加工条件データがセットされると、切断(ピアス加工および実加工)を開始する。
【0032】
S8:カーフ幅オフセット方向を設定する。すなわち、図4(b)に示されているように、切断開始点gから、プラズマアークAの幅(カーフ幅)の半分の長さ(長さp)だけプラズマトーチ6をオフセットさせるためにそのオフセット方向を設定する。なお、図の例では、製品がプラズマトーチ6の進行方向に対して右側にあるので、オフセット方向は左方向となる。
【0033】
S9〜S10:切断を実行し、プラズマトーチ6がコーナ部aを通過すると、スイッチバック切断を行うか否かを判定する。このスイッチバック切断を行うか否かは、予め読み込まれる被加工物Wの材質、板厚、コーナ角度θ等に基づき判定される。なお、コーナ部の切断方法をスイッチバック切断とするか、通常のルーピング切断(図10(c)参照)とするかをCAD/CAM上でオペレータにより選択できるようにすることもできる。
【0034】
S11〜S12:スイッチバック切断を行う場合には、プラズマトーチ6の倣い制御をOFFにし、スイッチバック設定点(スイッチバック点c)まで切断を実行する。なお、倣い制御の詳細については図6に示されるフローチャートによって後述する。
【0035】
S13〜S14:プラズマトーチ6がスイッチバック点cに達すると、プラズマトーチ6の進行方向が逆になるので、カーフ幅オフセット方向を反転させる。なお、図の例では、オフセット方向を右方向にする(図4(c)参照)。この後、コーナ部aまでリターンバック切断を実行する。
【0036】
S15〜S16:コーナ部aにおける位置決め(図4(c)のi位置)が完了すると、再度カーフ幅オフセット方向を反転させる、言い換えればそのオフセット方向を元の左方向に戻す(図4(c)のj位置)。
【0037】
S17〜S18:OFF状態になっていた倣い制御を再びONにして、次のブロックの切断を実行する。なお、ステップS10の判定において、スイッチバック切断を行わない場合には、ステップS11〜S17の各処理をスキップしてステップS18の処理を実行する。
【0038】
次に、プラズマトーチ6の切断高さ倣い制御について、図2をも参照しつつ図6に示されるフローチャートによって詳述する。この倣い制御は、プラズマ電源ユニット13から入力されるプラズマアーク電圧に基づいて倣い制御装置34によって倣い信号が演算され、その倣い信号がNC装置28に出力されることで実行される。
【0039】
T1〜T3:プラズマ電源ユニット13におけるプラズマ電源にてモニタしているプラズマトーチ6と被加工物Wとの間のアーク電圧(プラズマアーク電圧)値を倣い制御装置(AVC装置)34に出力する。このアーク電圧値に基づき、倣い制御装置34では、そのアーク電圧値のサンプリングを開始し、倣い制御の基準となるベース電圧を設定する。この後、倣い制御をONにする。
【0040】
T4:切断実行中にプラズマ電源にてアーク電圧をモニタして、このアーク電圧とベース電圧との間に差が生じるか否かを判定する。
T5:アーク電圧とベース電圧との間に差が生じたときには、その差(相対値)をそれに相当する信号(パルスもしくはアナログ信号)に変換してNC装置28に出力する。
【0041】
T6:NC装置28では、倣い制御装置34から入力される信号に基づき制御信号を演算してその信号をサーボアンプ31に出力し、Z軸モータを制御してプラズマトーチ6をZ軸方向(上下方向)に移動させる。
T7:プラズマアークがOFFとなったか否かを判定し、OFFになっていないときには、ステップT4〜T6の処理を繰り返し行い、OFFになったときには切断を終了して倣い制御をOFFにする。
【0042】
このような制御によって、アーク電圧が常にベース電圧に一致するようにプラズマトーチ6はその上下位置が制御されつつ、XY軸方向に移動されることになる。
【0043】
本実施例においては、プラズマトーチ6がコーナ部aからスイッチバック点cまで進み、再度スイッチバック点cからコーナ部aまで戻る間、前述の倣い制御がOFFにされているので、言い換えればコーナ部切断の際に切断高さが一定に保持されるので、コーナ部の切断において既に切断された箇所を通過しても、プラスマトーチ6が上下に不用意に動くことがなくなり、コーナ部でのハンチングやアーク切れによる切断不良を防止できる効果がある。
【0044】
本実施例のスイッチバックによるコーナ部切断方法によれば、図4(d)に示されるように、コーナ部aを通過する際にプラズマアークAの両側に被加工物による壁が残った状態となっているので、図11(c)に示される従来のルーピング方式の問題点であったアシストガスの流れが全方向開放状態になることはなく、切断過程でのアシストガスの旋回流の流れを乱すことが少なくなり、したがって切断面テーパ(ベベル角)が大きくなることがなく、切断不良を減少できる効果がある。勿論、ルーピング方式に比べて、材料の無駄を減らせるという効果もある。
【0045】
また、本実施例の切断方法によれば、プラズマ特有の切断面下方の切断遅れを解消することができるので、この切断遅れによる特に切断面下部のコーナ部の丸みをほぼ解消することができる。さらに、加工機の軸遅れに起因する形状誤差もなくすことができ、コーナ部の形状精度を格段に向上させることができる。
【0046】
図7、図8には、本実施例の切断方法による効果を実証するための切断テストのテスト結果が示されている。この切断テストは、スイッチバック切断による方法(本実施例)と、コーナ部に特別の処理を施さない通常の切断方法(比較例)とについて、特に切断板厚による影響を中心に比較を行ったものである。なお、テストはコーナ部角度(θ)が90度の場合と60度の場合の2種類のワークについて、コーナ部の前後における形状誤差データA,B(図9参照)を測定することにより行った。
【0047】
これらの図から明らかなように、本実施例においては、比較例のものに比べ、形状誤差がかなり改善されているのがわかる。また、この傾向は板厚が小さいほど顕著である。これは、高速域での加工機の追従性の悪化と、切断面下方の切断遅れ(アーク柱の遅れ)によるものと考えられる。また、コーナ部角度(θ)に関しては、90度と60度のいずれについても良好な結果が得られている。
【0048】
なお、本発明におけるプラズマトーチ移動制御手段およびカーフ幅制御手段は、本実施例におけるNC装置28、サーボアンプ29,30およびX軸モータ7、Y軸モータ9に相当し、本発明におけるプラズマトーチ高さ制御手段は、本実施例における倣い制御装置34、NC装置28、サーボアンプ31、Z軸モータ11に相当する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施例に係るプラズマ加工機の全体斜視図である。
【図2】図2は、本実施例のプラズマ加工機のシステム構成図である。
【図3】図3は、プラズマトーチの断面図である。
【図4】図4(a)(b)(c)(d)は、本実施例におけるコーナ部切断手順説明図である。
【図5】図5は、コーナ部切断手順を示すフローチャートである。
【図6】図6は、倣い制御のフローチャートである。
【図7】図7(a)(b)は、コーナエッジ部形状誤差(θ=90°の場合)のテスト結果を示すグラフである。
【図8】図8(a)(b)は、コーナエッジ部形状誤差(θ=60°の場合)のテスト結果を示すグラフである。
【図9】図9(a)は、形状誤差の説明図、図9(b)は、エッジ部形状を示す断面図である。
【図10】図10(a)は、切断進行面形状を示す図、図10(b)〜(d)は、従来のコーナ部切断方法説明図である。
【図11】図11(a)〜(c)は、従来技術の問題点を説明する図である。
【符号の説明】
1 プラズマ加工機
4 走行ビーム
5 キャリッジ
6 プラズマトーチ
7 X軸モータ
9 Y軸モータ
11 Z軸モータ
13 プラズマ電源ユニット
15 電極
16 ノズル
19 作動ガス通路
21 二次ガス通路
28 NC装置
29,30,31 サーボアンプ
32 CAD/CAM装置データベース
33 加工条件データベース
34 倣い制御装置

Claims (5)

  1. プラズマ加工機を用いて所定の切断線に対するプラズマトーチのカーフ幅オフセット方向の補正を行いつつ被加工物のコーナ部を切断するプラズマ加工機によるコーナ部切断方法であって、
    前記コーナ部においてプラズマトーチをその切断進行方向に沿って通過させてスイッチバック点まで進行させ、このスイッチバック点において前記カーフ幅オフセット方向を逆方向に変更するとともに、再度同一経路を前記コーナ部まで戻し、このコーナ部で前記カーフ幅オフセット方向を元に戻すとともに、そのコーナ部に沿わせて切断進行方向を変更することを特徴とするプラズマ加工機によるコーナ部切断方法。
  2. プラズマ加工機により被加工物のコーナ部を切断するコーナ部切断装置であって、
    被加工物の加工条件を設定する加工条件設定手段と、この加工条件設定手段により設定された加工条件に基づきプラズマトーチの移動方向と移動量とを制御するプラズマトーチ移動制御手段と、前記加工条件設定手段により設定された加工条件に基づきプラズマトーチのカーフ幅オフセット方向とオフセット量とを制御するカーフ幅制御手段とを備え、
    前記プラズマトーチ移動制御手段は、前記コーナ部においてプラズマトーチをその切断進行方向に沿って通過させてスイッチバック点まで進行させ、このスイッチバック点から再度同一経路を前記コーナ部まで戻し、このコーナ部に沿わせて切断進行方向を変更するように前記プラズマトーチを制御し、
    前記カーフ幅制御手段は、スイッチバック点において予め設定されたカーフ幅オフセット方向を逆方向に変更するとともに、再度前記コーナ部に達した際にそのカーフ幅オフセット方向を元に戻すように制御することを特徴とするプラズマ加工機による切断装置。
  3. さらに、前記プラズマトーチが前記コーナ部を通過してから、スイッチバック点を経由して再度コーナ部に戻るまでの間、前記プラズマトーチのノズル先端と被加工物との距離を一定に保持するように制御するプラズマトーチ高さ制御手段が設けられる請求項2に記載のプラズマ加工機によるコーナ部切断装置。
  4. 前記コーナ部からスイッチバック点までの距離は、所定の加工条件に応じて前記加工条件設定手段により設定される請求項2または3に記載のプラズマ加工機によるコーナ部切断装置。
  5. 前記加工条件設定手段により設定される加工条件に応じて、前記プラズマトーチ移動制御手段による制御および前記カーフ幅制御手段による制御を有効にするか無効にするかが選択可能とされる請求項2〜4のいずれかに記載のプラズマ加工機によるコーナ部切断装置。
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