【発明の詳細な説明】
ドパミンD2作動薬としての4−アミノエトキシインドロン誘導体
発明の背景
ドパミン自己受容体作動薬を用いて抗精神病活性を誘発する試みが成功してい
る[ドルシニ(Dorsini)ら、アドバンシズ・イン・バイオケミカル・サイコファ
ーマコロジー(Adv.Biochem.Psychopharmacol.),16,645-648(1977);タミンガ(
Tamminga)ら、サイエンス(Science),200,567-568(1975);およびタミンガ(Tammi
nga)ら、サイキアトリー(Psychiatry),398-402(1986)]。最近、ドパミンD2受容
体における固有活性を測定する方法が報告された[ラーチ(Lahti)ら、モレキュラ
ー・ファーマコロジー(Mol.Pharm.),42,432-438(1993)]。固有活性は、この受
容体の「低親和性作動薬」(低Ag)状態と、この受容体の「高親和性作動薬」(
高Ag)状態との割合(すなわち、低Ag/高Ag)を用いて、予想することが
できる。これらの割合は、与えられた化合物の作動薬活性、部分作動薬活性およ
び拮抗薬活性と相関しており、かかる活性は抗精神病活性を誘発する化合物の能
力を特徴付ける。
ハフマン(Huffman)およびウィルソン(Wilson)の米国特許第4,314,944号には、
心血管の異常に有用な一連のインドロンが記載されている。オランダ国出願第00
9247号には、心臓病を治療するためのβ-アドレナリン遮断薬として有用な一連
の2-ヒドロキシ-3-アミノプロポキシ−オキシインドールが記載され、国際出願
公開第WO 94/03425号には、心血管疾患の治療に有用な一連のヘテロ環式誘導体
が記載されている。
発明の説明
本発明によれば、ドパミンD2受容体において効力を有する一群の化合物が提
供される。これらの化合物は、下記の式Iで示される。 本発明の化合物は、錐体外路の副作用(EPS)を本質的に伴わない有用な抗
精神薬である。本発明の化合物は様々な固有活性度を有するドパミン作動薬であ
り、そのうちのいくつかは選択的な自己受容体作動薬であり、それゆえ部分作動
薬(すなわち、シナプス後D2ドパミン受容体に対して自己受容体のみを活性化
する)である。したがって、それらは、精神分裂病の治療に臨床上有効であるこ
とが見い出されている薬剤により示されることが多い重篤な副作用の原因である
と認められているシナプス後ドパミン受容体を過剰に遮断することなく、脳のド
パミン系の機能的な変調を与える。ドパミン自己受容体の活性化は、ドパミン合
成および放出の阻害だけでなく、ニューロン興奮の減少をもたらし、それゆえ、
ドパミン系の機能充進を制御する手段を与える。本発明の化合物は、高い固有活
性を有することも見い出されており、それゆえ、天然の神経伝達物質として、す
なわち、完全作動薬として挙動する。したがって、それらは、パーキンソン病な
どの疾患状態の治療におけるドパミン代用物として用いることができる点で、ド
パミン濃度が異常な疾患の治療に有用である。
より詳しくは、本発明の化合物は、式I:
[式中、
Yは、水素、ハロゲンまたは炭素数1〜6のアルコキシ;
Rは、水素または炭素数1〜6のアルキルチオ;
R1は、水素または炭素数1〜6のアルキル;
Xは、水素、ハロゲン、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数1〜6のアルキル
またはフェニル;
nは、整数1、2、3または4]
で示される4-アミノエトキシ-1,3-ジヒドロ−インドール-2-オン誘導体また
はその医薬上許容される塩である。
好ましい化合物群は、Yが水素、クロロまたはフルオロ;Rが水素または炭素
数1〜3のアルキルチオ;R1が水素または炭素数1〜3のアルキル;Xが水素
;nが整数2または3である化合物またはその医薬上許容される塩である。
この式Iで示される化合物は、その遊離塩基の有用性を有する医薬上許容され
る酸付加塩の形態で用いてもよい。当該分野で公知の方法により調製される、か
かる塩は、無機酸または有機酸の両方を用いて形成される。例えば、フマル酸、
マレイン酸、安息香酸、アスコルビン酸、パモ酸、コハク酸、ビスメチレンサリ
チル酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、酢酸、シュウ酸、プロピオン
酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸
、桂皮酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタ
コン酸、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン
酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、シクロヘキシルスルファミン酸、リン酸および硝
酸が挙げられる。
式Iで示される化合物は、一般的に、スキームIおよびIIに示す全経路により
、下記のように調製される。
スキームI スキームII
本発明の化合物およびそれらの製造に関する下記の実施例は、本発明の真の範
囲に対する限定よりむしろ例示を目的として与えられる。
中間体1 1-(2-クロロエトキシ)-4-クロロ-3-ニトロベンゼン 方法A
2Lの三ツ口丸底フラスコに、4-クロロ-3-ニトロ-フェノール(50g、0.
29モル)、炭酸カリウム(100g、0.72モル)、ジクロロエタン(315g
、3.2モル)、ヨウ化カリウム(5g)および2-ブタノン(1L)を加えた。
この混合物を機械的に攪拌し、44時間加熱還流した後、室温に冷却し、固形物
を濾過した。溶媒を真空下でエバポレートし、油状物をジエチルエーテル(30
0mL)に溶解し、10%水酸化ナトリウムで洗浄した。有機層を無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を真空下で除去した。生成物を1:1の塩化
メチレン−ヘキサンに溶解し、シリカで濾過した。濃縮して、生成物54.5g
(78%)を白色の固形物として得た。融点46〜48℃;MS EIm/e 2
35,237,239(M+);1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ3.9
5(t,2H,J=5.2Hz),4.36(t,2H,J=5.2Hz),7.32(
dd,1H,J=3.2,J=8.9Hz),7.66(d,1H,J=9Hz),7
.69(d,1H,J=3.2Hz)。
元素分析の結果(C8H7Cl2NO3として)
計算値:C,40.71;H,2.99;N,5.93
実測値:C,40.89;H,2.70;N,5.83
中間体1 1-(2-クロロエトキシ)-4-クロロ-3-ニトロベンゼン 方法B
500mLの三ツ口丸底フラスコに、4-クロロ-3-ニトロ−フェノール(10
g、0.058モル)、炭酸カリウム(20g、0.14モル)、ブロモクロロエ
タン(34.5g、0.24モル)および2-ブタノン(200mL)を加えた。
この混合物を機械的に攪拌し、窒素下で20時間加熱還流した後、室温に冷却し
、
固形物を濾過した。溶媒を真空下でエバポレートし、油状物をジエチルエーテル
(30mL)に溶解し、10%水酸化ナトリウムで洗浄した。有機層を無水硫酸
マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を真空下で除去した。生成物を1:1の
塩化メチレン−ヘキサンに溶解し、短いパッドのシリカで濾過した。濃縮し、放
置して、明るい黄色の結晶性固形物12.9g(94.8%)を得た。融点46〜4
8℃;MSEIm/e 235,237,239(M+);1H NMR(400MH
z,DMSO-d6)δ3.95(t,2H,J=5.2Hz),4.36(t,2H,J
=5.2Hz),7.32(dd,1H,J=3.2,J=8.9Hz),7.66(d
,1H,J=9Hz),7.69(d,1H,J=3.2Hz)。
元素分析の結果(C8H7Cl2NO3として)
計算値:C,40.71;H,2.99;N,5.93
実測値:C,40.89;H,2.70;N,5.83
中間体2 7-クロロ-4-(2-クロロエトキシ)-1H-インドール
−50〜−40℃の冷却浴中で攪拌したTHF(230mL)中における1-(
2-クロロエトキシ)-4-クロロ-3-ニトロベンゼン(10.00g、0.0423
6モル)の溶液に、臭化ビニルマグネシウムのTHF溶液(132mL、1.0
M、0.132モル)を2分間にわたり加えた。冷却浴中で2〜2.5時間攪拌し
た後、この冷却溶液に飽和NH4Cl(150mL)を加え、それらを冷却浴か
ら取り出した。1M HClを加えて、沈殿した固形物を溶解させ、この混合物
を0.5時間攪拌した。層を分離し、水相をジエチルエーテル(80mL)で1
回抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒
をエバポレートして、暗色の油状物15.43gを得た。クロマトグラフィー(
ヘキサン−塩化メチレン、2:1)で精製して、固形物を得た。これをヘキサン
と共に摩砕し、濾過して、生成物を黄色味を帯びた白色の固形物3.51g(36
%)として得た。融点73〜75℃;MS EIm/e 229,231,233(
M+);1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ3.99(t,2H,J=5.
1Hz),4.34(t,2H,J=5.0Hz),6.51(t,1H,J=2.
7Hz),6.53(d,1H,J=7.8Hz),7.04(d,1H,J=8.0H
z),7.29(t,1H,J=2.7Hz),11.43(s,1H)。
元素分析の結果(C10H9Cl2NOとして)
計算値:C,52.20;H,3.94;N,6.09
実測値:C,52.09;H,3.92;N,5.96
中間体3 方法A 3,7-ジクロロ-4-(2-クロロエトキシ)-1H-インドール
アセトニトリル(100mL)中における7-クロロ-4-(2-クロロエトキシ)
-1H-インドール(4.61g、20.0ミリモル)の溶液に、室温のN-クロロ
スクシンイミド(2.94g、2.20ミリモル)を加えた。この反応物を1.5
時間攪拌した後、水(100mL)に注ぎ込み、塩化メチレン(200mL)で
抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を真空下で
除去して、暗色の固形物を得た。この物質をクロマトグラフィー(塩化メチレン
−ヘキサン、1:2)に付して、4.15g(78.4%)を白色の固形物として得
た。融点106〜107.5℃;IR(KBr)3400cm-1;MS EIm/e
263,265,267,269(M+);1H NMR(CDCl3)δ3.91(2
H,t,J=6.2Hz),4.33(2H,t,J=6.2Hz),6.47(1H,
d,J=8.4Hz),7.08-7.13(2H,m),8.26(1H,bs,NH)
。
元素分析の結果(C22H25N2O3Clとして)
計算値:C,45.40;H,3.05;N,5.30
実測値:C,44.64;H,2.74;N,5.16
中間体3 方法B 3,7-ジクロロ-4-(2-クロロエトキシ)-1H-インドール
酢酸ナトリウム(6.0g)および酢酸(1mL)を含有する窒素下のメタノ
ール(200mL)中における7-クロロ-4-(2-クロロエトキシ)-1H-インド
ール(10.0g、37.8ミリモル)の溶液に、2℃のトリクロロイソシアン酸
(4.0g、17.2ミリモル)を少しずつ加えた。反応温度を8℃以下に維持し
、4時間攪拌した。このとき、ジエチルエーテル(200mL)で希釈し、10
NaOHで洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒
を真空下で除去して、油状物を得た。この物質を塩化メチレンに溶解し、シリカ
の短いパッドで濾過し、濃縮して、黄色味を帯びた白色の固形物10.0g(87
.0%)を得た。融点106〜107.5℃;IR(KBr)3400cm-1;MS
EIm/e 263,265,267,269(M+);1H NMR(CDCl3)δ
3.91(2H,t,J=6.2Hz),4.33(2H,t,J=6.2Hz),6.
47(1H,d,J=8.4Hz),7.08-7.13(2H,m),8.26(1H,
bs,NH)。
中間体4 N-2-チエニル-[2-(3,7-ジクロロ-1H-インドール-4-イルオキシ)- エチル]-エチルアミン
無水ジメチルスルホキシド(6mL)中における2-(3,7-ジクロロ-1H-イ
ンドール-4-イルオキシ)-クロロエタン(1.70g、6.43ミリモル)および
2-チエニルメチルアミン(2.91g、25.7ミリモル)の溶液を90℃に1
2時間加熱した。この反応混合物を水(150mL)に注ぎ込み、0.1N Na
OHで塩基性にした後、塩化メチレン(2×100mL)で抽出した。有機層を
合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を濃縮した。フラッシ
ュクロマトグラフィー(酢酸エチル-ヘキサン、1:1)で精製して、橙色の固
形物1.68g(76.3%を得た。融点99〜101℃。
元素分析の結果(C15H15Cl2N2OSとして)
計算値:C,52.79;H,4.13;N,8.21
実測値:C,52.70;H,3.95;N,8.19
(4b)N-3-チエニル-[2-(3,7-ジクロロ-1H-インドール-4-イルオキシ
)-エチル]-エチルアミンは、3-チエニルメチルアミンを用いることにより、同
様にして調製し、黄色の固形物として単離した。融点123〜125℃;MS
EI m/e 340/342/344(M+)。
元素分析の結果(C18H18Cl2N2Oとして)
計算値:C,52.79;H,4.14;N,8.21
実測値:C,52.87;H,4.05;N,8.18
中間体5 2,6-ジブロモ-4-フルオロ-フェノール
室温の酢酸(200mL)中における4-フルオロフェノール(25g、0.2
2モル)の溶液に、機械的に撹拌しながら、臭素(78g、0.49モル)を徐
々に滴下した。1時間後、この反応混合物を氷水(1.5L)に注ぎ込んだ後、
飽和重亜硫酸ナトリウム水溶液100mLを加えた。固形物の沈殿を濾過し、乾
燥させて、白色の固形物51.8g(86.0%)を得た。融点54〜55℃;1H
NMR(CDCl3)δ5.69(1H,s,OH),7.25(2H,d,J=7.5
Hz);MS EI m/e 268/270/272(M+)。
元素分析の結果(C6H3Br2FOとして)
計算値:C,26.70;H,1.12
実測値:C,26.64;H,1.07
中間体6 1-(2-クロロエトキシ)-2,6-ジブロモ-4-フルオロベンゼン
2,6-ジブロモ-4-フルオロ-フェノール(55g、0.20モル)、炭酸カリ
ウム(60g、0.43モル)、1-ブロモ-2-クロロエタン(32.5g、0.2
3モル)および2-ブタノン(500mL)の混合物を2時間加熱還流し、周囲
温度に冷却した。固形物を濾過し、溶媒を真空下で除去して、油状物を得た。こ
の油状物をジエチルエーテル(300mL)に溶解し、水で洗浄し、無水硫酸マ
グネシウムで乾燥させ、活性炭で処理し、ソルカ・フロック(Solka floc)で濾過
して、油状物65.9g(97.2%)を得た。MS EI m/e 330/332/
334/336(M+);1H NMR(CDCl3)δ3.89(2H,t,J=6.1Hz)
,4.23(2H,t,J=6.1Hz),7.28(2H,d,J=7.5Hz)。
中間体7 1-(2-クロロエトキシ)-2,6-ジブロモ-4-フルオロ-3-ニトロベンゼン
水浴を用いて室温に維持した濃硫酸(165mL)中における1-(2-クロロ
エトキシ)-2,6-ジブロモ-4-フルオロベンゼン(65.8g、0.20モル)の
溶液に、硫酸中における硝酸の溶液(H2SO4165mL中におけるHNO31
0mL)を徐々に加えた。この反応物を室温で1時間攪拌した後、氷(1.5L
)に注ぎ込み、塩化メチレン(2×300mL)で抽出した。合わせた有機層を
重炭酸ナトリウム水溶液(150mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥
させ、濾過し、溶媒を真空下で除去して、白色の結晶性固形物73.3g(97.
1%)を得た。融点56〜57℃;MS EI m/e 375/377/379/3
81;1H NMR(CDCl3)δ3.91(2H,t,J=5.9Hz),4.29(2H
,d,J=5.9Hz),7.54(8.1Hz)。
元素分析の結果(C8H5Br2ClFNO3として)
計算値:C,25.46;H,1.34;N,3.71
実測値:C,25.46;H,1.20;N,3.51
中間体8 1-(2-クロロエトキシ)-4-フルオロ-3-アミノベンゼン
10%パラジウム/炭素7.3gを含有するエタノール(1.1L)中における
1-(2-クロロエトキシ)-2,6-ジブロモ-4-フルオロ-3-ニトロベンゼン(7
3.2g、0.19モル)の溶液を40psiで5日間水素化した。触媒を濾過し、
溶媒を除去した。残渣をジエチルエーテル(300mL)に溶解し、飽和炭酸ナ
トリウム水溶液(200mL)で洗浄した。有機層を分離し、水で洗浄し、無水
硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去して、油状物を得た。これは
固化して、暗色の固形物32.5g(90.0%)を得た。融点42〜43℃;MS
EI m/e 189/191(M+);1H NMR(CDCl3)δ3.40-3.60(
2H,bs,NH2),3.77(2H,d,J=6Hz),4.14(2H,d,J
=6Hz),6.19-6.23(1H,m),6.36(1H,dd,J=7,3Hz
),6.88(1H,dd,J=11,9Hz)。
元素分析の結果(C8H9ClFNOとして)
計算値:C,50.68;H,4.78;N,7.39
実測値:C,50.46;H,4.66;N,7.46中間体9 4-(2-クロロエトキシ)-7-フルオロ-3-チオメチル-1,3-ジヒドロ- インドール-2-オン
-78℃の無水塩化メチレン(200mL)中における(メチルチオ)酢酸エ
チル(7.2g、53.4ミリモル)の溶液に、塩化スルフリル(8.1g、59.
7ミリモル)を加え、20分間攪拌した。塩化メチレン(100mL)中におけ
る1-(2-クロロエトキシ)-4-フルオロ-3-アミノベンゼン(10.9g、52.
8ミリモル)およびプロトンスポンジ(13.9g)の溶液を滴下し、2時間攪
拌した後、トリエチルアミン(6.5g、64.5ミリモル)を加えた。温度を−
78℃で維持し、この反応混合物を1時間攪拌した。室温に加温した後、この混
合物を食塩水(200mL)に注ぎ込み、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾
過し、溶媒を除去して、油状物を得た。この油状物に酢酸(75mL)を加え、
この混合物を18時間放置した後、溶媒を真空下で除去した。残渣をジエチルエ
ーテル(400mL)と2.5N塩酸水溶液(150mL)とに分配した。有機
層を分離し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去して、固形
物を得た。この固形物を少量のジエチルエーテル(30mL)と共に摩砕して、
黄色の固形物8.8g(60.5%)を得た。融点140〜141℃;MS EI
m/e 275/277(M+);1H NMR(CDCl3)δ2.14(3H,s),3.
79-3.87(2H,m),4.25-4.33(2H,m),4.35(1H,s),6
.51(1H,dd,J=9.1,3.3Hz),6.99(1H,ほぼt,J=9.1
Hz),8.09(1H,s)。
元素分析の結果(C11H11ClFNO2Sとして)
計算値:C,47.92;H,4.02;N,5.O8
実測値:C,47.67;H,3.85;N,4.85
実施例1 4-[2-(3-チエニル)-(アミノエトキシ)]-7-フルオロ-3-チオメチル-1,3 - ジヒドロ-インドール-2-オン
表題化合物は、中間体6を調製するのに用いた方法に従って、ジメチルスルホ
キシド(50mL)中における4-(2-クロロエトキシ)-7-フルオロ-3-チオメ
チル-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン(3.0g,10.9ミリモル)および
3-チエニルメチルアミン(4.37g、38.6ミリモル)から調製して、黄褐
色の油状物2.11g(55%)を得た。MS EI m/e 352(M+)。フマル酸
塩をエタノール中で調製して、白色の固形物を得た。融点152.5〜155℃
;1H NMR(CDCl3)δ1.93(3H,s),2.99(2H,m),3.93(1
H,s),4.11-4.20(2H,m),4.52(1H,s),6.55(2H,s)
,6.62(1H,d,J=9,3Hz),7.08-7.14(2H,m),7.41(
1H,m),7.50(1H,dd,J=5,3Hz),11.00(1H,bs);
IR(KBr)1710cm-1。
元素分析の結果(C16H17N2FN2O2S2・C4H4O4として)
計算値:C,51.27;H,4.52;N,5.98
実測値:C,51.29;H,4.52;N,5.91
実施例2 4-[2-(2-チエニル-メチル-アミノ)-エトキシ]-7- クロロ-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン
2-メトキシエタノール(17mL)中におけるN-2-チエニル-[2-(3,7-
ジクロロ-1H-インドール-4-イルオキシ)-エチル]-エチルアミン(1.41g
、4.12ミリモル)の溶液に、リン酸(4mL)を加えた。この溶液を4時間
還流した後、H2O(100mL)に注ぎ込み、2.5N NaOHでpH9まで
塩 基性にした。水層を塩化メチレン(2×200mL)で抽出した。有機層を
合わせ、MgSO4で乾燥させ、溶媒をエバポレートして、生成物1.15g(8
6.5%)を得た。融点154〜155℃。
EtOH(20mL)中におけるフマル酸(6.6ミリモル)の熱溶液に、E
tOH(50mL)中における上記生成物(1.08g、3.3ミリモル)の熱溶
液を加えた。この混合物を冷却し、濾過し、乾燥させて、表題化合物の1/2フマ
ル酸塩をわずかに黄色の白色粉末0.5429g(60%)として得た。融点20
3〜204℃;MS EI m/e 323/324(M+)。
元素分析の結果(C15H15ClN2SO2・0.5C4H4O4として)
訃算値:C,53.61;H,4.50;N,7.36
実測値:C,53.41;H,4.39;N,7.17
(2b)4-[2-(3-チエニル-メチル-アミノ)-エトキシ]-7-クロロ-1,3-
ジヒドロ-インドール-2-オンは、上記の実施例2の方法で調製した(収率40%
)。フマル酸塩をエタノールから明るい褐色の固形物として調製した。融点19
1.5〜193℃;MS EI m/e 323/324(M+)。
元素分析の結果(C15H15ClN2SO2・0.5C4H4O4として)
計算値:C,53.61;H,4.50;N,7.36
実測値:C,53.27;H,4.51;N,7.17
実施例3 4-[2-(3-チエニル)-(アミノエトキシ)]-7- フルオロ-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン
エタノール(30mL)中における4-[(2-(3-チエニル)-(アミノエトキシ)
]-7-フルオロ-3-チオメチル-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン(1.80g
、5.12ミリモル)の溶液に、過剰のラネ−ニッケルを室温で断続的に加えた
。5時間後、出発物質の完全に消失したことが観察され、触媒を濾過し、溶媒を
除去し、固形物を塩化メチレン中におけるメタノールの溶液の最少量に溶解し、
シリカゲルカラム(塩化メチレン中における5%メタノール)に通過させて、明
るい黄色の固形物330mg(21%)を得た。融点154〜157℃;1HN
MR(DMSO-d6)δ2.80(2H,t,J=6Hz),3.42(2H,s),3
.74(2H,s),4.03(2H,t,J=6Hz),6.54(1H,dJ=9
,3Hz),7.01(1H,ほぼt,J=9Hz),7.18-7.34(5H,m),
10.81(1H,d,J=10Hz)。フマル酸塩をエタノール中で調製して
、黄色の固形物を得た。融点186.5〜187℃。
元素分析の結果(C15H15FN2O2S・0.5C2H4O4として)
計算値:C,56.03;H,4.70;N,7.69
実測値:C,55.81;H,4.74;N,7.34
(3b)4-[2-(2-チエニル)-(アミノエトキシ)]-7-フルオロ-1,3-ジヒド
ロ]インドール-2-オンは、実施例3の生成物と同様にして調製した。フマル酸
塩をエタノールから黄色の結晶として調製した。融点184〜185.5℃。
元素分析の結果(C15H15FN2O2S・0.5C2H4O4として)
計算値:C,56.03;H,4.70;N,7.69
実測値:C,55.48;H,4.73;N,7.48
ドパミン自己受容体に対する親和性は、ジーメン(Seemen)およびシャウス(Sch
aus)の標準的な実験的試験法[ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロ
ジー(European Journal ofP harmacology),203,105-109(1991)]の変法で確立し
た。この方法では、均質化したラットの線条体脳組織を3H-クインピロール(Qui
n.)および様々な濃度の試験化合物と共にインキュベートし、濾過し、洗浄し、
ベータプレート(Betaplate)シンチレーションカウンターで計数する。
ドパミンD2受容体に対する高親和性は、フィールズ(Fields)らの標準的な実
験的試験法[ブレイン・リサーチ(Brain Res.),136,578(1977)およびヤマムラ(Y
amamura)ら編、ニューロトランスミッター・レセプター・バインディング(Neuro
transmitter Receptor Binding),レイバン・プレス(Raven Press),N.Y.(1978)]
で確立した。この方法では、均質化した辺縁系脳組織を3H-スピロペリドール(S
piper.)および様々な濃度の試験化合物と共にインキュベートし、濾過し、洗浄
し、ハイドロフルオール(Hydrofluor)・シンチレーションカクテル(ナショナル
・ダイアグノスティクス(National Diagnostics))と共に振盪し、パッカード(P
ackard)460CDシンチレーションカウンターで計数する。
これらの研究の結果を以下に示す。 したがって、本発明の化合物は、神経伝達物質ドパミンの合成をもたらし、そ
れゆえ、精神分裂病、パーキンソン病、トウーレット症候群、アルコール嗜癖、
コカイン嗜癖、および類似した薬物に対する嗜癖などのドパミン障害の治療に有
用である。
本発明の化合物を含有する医薬組成物に適用可能な固形担体としては、香味剤
、滑沢剤、可溶化剤、懸濁化剤、充填剤、流動化剤、圧縮助剤、結合剤または錠
剤崩壊剤としても作用しうる1種またはそれ以上の物質またはカプセル化材料を
挙げることができる。散剤の場合、担体は、細かく粉砕された固形物であり、や
はり細かく粉砕された有効成分と混合されている。錠剤の場合、有効成分は、必
要な圧縮特性を有する担体と適当な割合で混合され、所望の形状および寸法に圧
縮成形される。散剤および錠剤は、好ましくは、99%までの有効成分を含有す
る。適当な固形担体としては、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネ
シウム、タルク、砂糖、乳糖、デキストリン、デンプン、ゼラチン、セルロース
、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロ
リドン、低融点ワックスおよびイオン交換樹脂が挙げられる。
液状担体は、液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤およびエリキシル剤を製造する
のに用いればよい。本発明の有効成分は、水、有機溶剤、両方の混合物または医
薬上許容される油脂などの医薬上許容される液状担体に溶解または懸濁すること
ができる。液状担体は、可溶化剤、乳化剤、緩衝化剤、保存剤、甘味剤、香味剤
、懸濁化剤、増粘剤、着色剤、粘度調節剤、安定剤または浸透圧調節剤などの他
の適当な医薬用添加物を含有することができる。経口および非経口投与用の液状
担
体の適当な例としては、水(特に上記のような添加物(例えば、セルロース誘導
体、好ましくはカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液)を含有する)、ア
ルコール(一価アルコールおよび多価アルコール(例えば、グリコール)を含む
)およびそれらの誘導体、ならびに油(例えば、分別ヤシ油および落花生油)が
挙げられる。非経口投与の場合、担体は、オレイン酸エチルおよびミリスチン酸
イソプロピルなどの油状エステルとすることもできる。滅菌液状担体は、非経口
投与用の無菌液状組成物に用いられる。
無菌の液剤または懸濁剤である液状医薬組成物は、例えば、筋肉内、腹膜内ま
たは皮下への注射により利用することができる。無菌液剤は、静脈内投与するこ
ともできる。経口投与は、液状または固形のいずれの組成物形態であってもよい
。
上記の医薬組成物は、単位剤形(例えば、錠剤またはカプセル剤)であること
が好ましい。かかる剤形では、上記の組成物は、適当量の有効成分を含有する単
位投与量に細分される。単位剤形は、包装された組成物(例えば、分包散剤、バ
イアル、アンプル、充填済シリンジまたは液体含有薬袋)とすることができる。
単位剤形は、例えば、カプセル剤または錠剤それ自体とすることができるし、あ
るいは、かかる組成物を適当数の包装形態とすることもできる。
特定の精神病の治療に用いるべき用量は、担当の医師が主観的に決定しなけれ
ばならない。関係する変数としては、特定の精神病ならびに患者の体格、年齢お
よび応答パターンが挙げられる。
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(72)発明者 ウェブ,マイケル・バイロン
アメリカ合衆国19054ペンシルベニア州
レビットタウン、ミル・クリーク・ロード
9071番、アパートメント2401