【発明の詳細な説明】
発光素子で使用するための共役共重合体 発明の分野
この発明は、発光素子、特にエレクトロルミネセンス(electroluminescent,
EL)素子で使用するための共役重合体、およびその合成に関する。
発明の背景
共役重合体は、適切な素子構造における有機エレクトロルミネセンス(electr
oluminescent,EL)材料として使用されている。これは、例えば、本出願人に
よる米国特許第5,399,502号に示されており、これを参照としてここに援用する
。ポリ(p−フェニレンビニレン)は、この種の重合体の1つであり、例えば、
「ポリ(p−フェニレンビニレン)に至る前駆体経路(Precursor Route to Pol
y(p−phenylene vinylene):重合体特性と電子的性質の制御(Polymer Chara
cterisation and Control of Electronic Properties)」、D.D.C.Bradley,
J.Phys.D 20,1389(1987)に記載されているように、ウエスリング前駆体法
(Wessling precursor method)により調製することができる。例えば、ハライ
ドの対イオンを有するテトラヒドロチオフェンを基材とする前駆体が、典型的に
は図1に示すように使用される。「キシリレンビスジアルキルスルホニウム塩の
重合(The Polymerisation of Xylylene Bisdialkyl Sulfonium Salts)」R.A
.Wessling,J.Pol.Sci.Pol.Symp.72,55-66(1985)に記載されているよ
うに、キノイド中間体を介して、p−キシレンビス(スルホニウムハライド)単
量体の重合が起こることが提案されている。形成される共役重合体は不溶性で相
互作用可能であることから、溶液処理の可能な前駆体が必要とされる。前駆体材
料を使用して素子の製造が行われ、共役重合体は、熱変換工程を介してその場で
調製される。典型的には、スピンコートもしくはブレードコートまたは他のコー
ティング技術によって、透明な導電性の酸化物層、例えばインジウムスズ酸化物
(Indium Tin Oxide,ITO)上に前駆体重合体を被覆する。ITO自体は、例
えば、ガラスまたはプラスチックとすることのできる適切な基体上に被覆される
。その後、適切な熱処理によって、前駆体重合体膜はITO上で変換される。こ
の後に、適切な金属電極を付着させる。したがって、陽極と共役重合体と陰極と
からなる多層構造が得られる。それぞれ陽極および陰極に対して正および負の電
荷担体を注入することにより、発光が引き起こされる。電荷の注入/蓄積を促進
するために、または変換過程の際に保護を行うために、他の層を素子に含めるこ
とができる。これを図2に示す。
EL素子における発光層として前駆体共役重合体を使用する利点は次の通りで
ある。
a)製造の容易性、
b)多層構造に順応すること、
c)変換された重合体膜との相互作用性、および
d)固有の発光特性(luminescence properties)
しかしながら、その非放射減衰中心への移行の際に、励起状態の放射減衰の量
子収量が低下するために、フォトルミネセンス効率、従って、エレクトロルミネ
センス効率が有意に低減するという証拠がある。参照としてここに援用する本出
願人の先の米国特許第5,401,827号は、異なる半導体性バンドギャップ(semicon
ductor band gaps)を有する少なくとも2つの化学的に異なる繰り返し単位(例
えば、共役部分と非共役部分)からなる半導体共役重合体を記載することにより
、この論点を取り扱ったものである。したがって、共重合体の光学的性質は、異
なる繰り返し単位の相対的な比率によって決定される。この研究では、1を越え
るビス(スルホニウム)塩の共役重合、前駆体重合体の変換の程度を調節するこ
とによって、またはTHT単位を置換して変換過程の後も残る基を与えることに
よって共重合体を調製している。後者の手法を図3に示し、以下の説明では、置
換手法と呼ぶこととする。
この度、本発明者らは、ITOのようなある種の導電性性酸化物基体上で前駆
体単独重合体または共重合体を変換すると、発光の消光または期待される共役重
合体組成物の変更(modification)を生起する、望ましくない相互作用に至り得
るという証拠を得た。さらに、本発明者らは、共重合体中のある種の官能基の存
在が、素子の性能にとって、特に素子の寿命にとって有害であり得ることを認め
た。
発明の要旨
本発明は、これらの困難性を克服すると共に、増強されたフォトルミネセンス
効率およびエレクトロルミネセンス効率の利点を保持するEL素子における発光
層として、前駆体手法を介して調製される共役アリーレンビニレン共重合体系を
提供することを目的とする。
本発明によれば、発光素子(luminescent device)で使用するための共役ポリ
(アリーレンビニレン)共重合体を調製するための方法であって、
製し(式中、Arは置換されているか置換されていないアリーレンであり、Lは
脱離基であり、R1およびR2はそれぞれ独立にH、アルキル、アルコキシ、アリ
ール、または電子吸引(electron-withdrawing)基であり、nは整数である)、
(2)前記前駆体重合体と、カルボキシレート、アルデヒド、ケトン、スルホ
ネート、チオエート、ジスルフィド、キサンタート、アミン、ピリジン、ヒドラ
ジド、フェノキシド、100℃を越える沸点を有するアルコール、またはこれら
の誘導体からなる反応体とを置換条件下で反応させ、これにより所定割合の脱離
2、およびLは前記特定した通りであり、Xは反応体に由来する置換基であり、
lおよびmは独立に整数である)、
(3)前記置換された前駆体共重合体から脱離基を除去することによって、前
記置換された前駆体共重合体を共役ポリ(アリーレンビニレン)共重合体へと変
換する
ことからなることを特徴とする共役ポリ(アリーレンビニレン)共重合体の製
造方法が提供される。
この明細書を通じて、アリーレンという用語は、その範囲において、ヘテロア
リーレン並びに融合した環構造を含む1を越える環構造を組み込んだアリーレン
を含む、全ての種類のアリーレンを包含することを意図する。Arは、パラフェ
ニレン、1,4−ナフチレン、1,4−アントラセン、2,6−フルオレンとす
ることができ、好ましくはパラフェニレンとする。
R1およびR2は、C1−C10アルキル、C1−C10アルコキシ、例えば、置換さ
れているか置換されていないフェニルのようなアリール、複素環もしくは多環ア
リール、−CNまたは−CF3から独立に選択することができる。好ましくは、
R1およびR2の両者はHとする。
反応体がカルボキシレートからなる場合、カルボン酸塩が好適である。このよ
うにして、前駆体重合体は、パラキシレンビス(テトラヒドロチオフェニウムブ
ロミド)のような適切な単量体から、例えば、塩基触媒重合によって従来の様式
で作製することができる。その後、カルボン酸塩を前駆体重合体に添加する。他
の適切な単量体は、米国特許第5,401,827号に記載されている。
有利には、前記前駆体重合体は、モル過剰の塩基中で、適切な単量体からの塩
基触媒重合によって提供することができる。このようにして、カルボン酸塩は、
その対応するカルボン酸を用いて塩基の中和によって形成される。この方法の1
つの利点は、適切な容器のような単一の反応帯域中で実施できることであり、こ
の場合、過剰の塩基中で前記前駆体重合体を形成し、重合が完了した後に、中和
を行って、共役ポリ(アリーレンビニレン)共重合体へと変換する前に、置換さ
れた前駆体共重合体を形成するようにする。
カルボキシレートは、ホルメート(formate)またはアセテート(acetate)の
ような脂肪族系とすることができ、対応する脂肪族カルボン酸、ギ酸または酢酸
によって形成することができる。置換されているか、または置換されていない芳
香族カルボキシレートは、例えば2,6ジメチル安息香酸並びにその誘導体から
形成されるものを使用することができる。
また、次の一般式の材料を使用することができる。
R’−CO2HまたはAr’−CO2H
式中、R’=(シクロ)アルキル鎖、Ar’=置換されているか置換されてい
ない芳香族または多環系である。
この発明の更なる実施例では、前駆体重合体と、ケトンまたはアルデヒド(す
なわちカルボニル)を基材とする系の塩基性溶液との相互作用によって、置換手
法を促進することができる。典型的なカルボニルを基材とする系は、次に示す一
般的な構造を有し、ベンズアルデヒド、アントラアルデヒド、およびベンゾフェ
ノンを含み得る。
R3R4C=OまたはR3HC=O(式中、R3およびR4は、それぞれ独立に前
記特定したR’またはAr’である)。
この発明の更なる実施例では、酸素、イオウ、および窒素求核体を使用してP
PV前駆体共重合体を形成することができる。2段階の合成は、前駆体重合体の
調製を伴い、その後、アルコールまたはアルコキシド、チオールまたはチオレー
ト、またはアミン(例えば、ジフェニルアミン)等を用いた処理を行う。この後
に、HClもしくはHBrのような無機酸を使用して、または前記列記したカル
ボン酸の1つを使用することにより、通常の様式で溶液を中和する必要がある。
酸素求核体は、スルホン酸、フェノキシド、アルコール、およびこれらの誘導
体を含む。アルコールを使用する場合は、共役重合体を形成するための熱変換に
おいて、アルコールの有意な損失が起こらないように、低い揮発性を有するもの
とすべきである。
また、イオウを含有する求核体は、チオ酸、ジスルフィド、キサンタート、お
よびこれらの誘導体を含み得る。
窒素求核体は、一級、二級、および三級脂肪族または芳香族アミン、ピリジン
、ヒドラジド、およびこれらの誘導体を含み得る。
変換工程(3)は、一般に、80℃〜350℃の範囲、通常は150℃前後の
温度で、30分〜10時間の範囲、好ましくは4時間前後の時間に渡って実施す
る。
本発明の方法は、適切な試薬を用いて精製の前または後に前駆体重合体を処理
すること、またはこの種の試薬の存在下に重合を実施することを伴い得る。
置換基Xは、例えば求核置換による、反応体と前駆体重合体との間の置換反応
から形成される。反応体は、ビニル共重合体に組み込まれる化学的に有益な部分
として基Xを生成するように選択することができる。よって、基Xは、インジウ
ムまたは他の望ましくない不純物、例えば触媒残渣をキレート化するか結合し得
るものとすることができる。この種の反応体の例には、アセチルアセトンまたは
8−ヒドロキシキノリンが含まれ得る。代替的に、共役重合体は、架橋結合可能
な基を用いて調製することができる。この種の基は、共役ポリ(アリーレンビニ
レン)共重合体の他の部分に対して、またはポリ(アリーレンビニレン)共重合
体の他の鎖のような他の重合体鎖に対して架橋結合し得るものとすることができ
る。この場合、置換基Xは、アクリレートおよびシンナメートを含むことができ
、それぞれアクリル酸またはケイ皮酸を用いて重合溶液を中和することによって
重合体中に導入することができる。導入の程度は、重合のために使用する塩基の
量によって決定され得る。
この発明の更なる観点では、低いバンドギャップのルモフォア(lumophore)
またはクロモフォアを、脱離基の求核置換によって共重合体中に組み込み、共重
合体と比較してより低いバンドギャップのルモフォアを含有する半導体性の共重
合体を生成することができる。より低いバンドギャップ成分への励起子の移行に
より、発光スペクトルの対応するシフトを伴いながら、ルモフォアからの効率的
な発光に至る。よって、この方法を使用して、PPVの発光特性または吸収特性
を調整することができる。
本発明の方法の重要な観点は、最終的な共重合体中の非共役部分の濃度を、発
光スペクトルが有意に青色シフトするような段階まで増加させることができると
いうものである。極端な場合は、青色の発光が観察される。したがって、この方
法は、PPV共重合体のようなポリ(アリーレンビニレン)共重合体からの発光
を調整する高度に制御可能な様式を提供するものである。
更なる観点では、基体上に支持された共役ポリ(アリーレンビニレン)共重合
体からなる発光素子の製造方法であって、前記した方法に従って共役ポリ(アリ
ーレンビニレン)共重合体を調製することからなり、変換工程(3)を基体上で
実施することを特徴とする製造方法が提供される。
更なる観点では、第1の電極と、第2の電極と、共役ポリ(アリーレンビニレ
ン)共重合体層を含む、電極の間の少なくとも1つの層とからなるエレクトロル
ミネセンス素子の製造方法であって、前記した方法に従って共役ポリ(アリーレ
ンビニレン)共重合体を調製することからなり、変換工程(3)を第1の電極上
で実施することを特徴とする製造方法が提供される。
第1の電極は、導電性の酸化物、例えばインジウムスズ酸化物、アルミニウム
をドープした酸化亜鉛、フッ素をドープした酸化スズ、酸化バナジウム、酸化モ
リブデン、酸化ニッケル、導電性重合体、または金属膜からなるものとすること
ができる。
この発明によれば、ポリ(アリーレンビニレン)共重合体は、インジウムスズ
酸化物のような導電性の酸化物基体の存在下または非存在下で、高いフォトルミ
ネセンス効率を示す。
この発明の他の観点によれば、高いエレクトロルミネセンス効率の多層エレク
トロルミネセンス素子であって、発光層としての変換された前駆体共重合体と、
その上で変換過程が実施されるその下の電極とを組み込んだ多層エレクトロルミ
ネセンス素子が提供される。少なくともlつの他の層が存在し、その1つを第2
の電極とする。発光性共重合体は、ITOの存在下または非存在下で増強された
フォトルミネセンス効率を示し、素子の駆動の際に増強されたEL効率および他
と異なる安定性を示す。
EL素子の製造は、典型的には、例えば半透明の導電性酸化物上に対して、通
常は100nm前後の厚さで、適切な手段によって前駆体共重合体を被覆するこ
とによって実施する。その後、前駆体共重合体膜を変換し、半導体共役共重合体
を形成する。この後に、適切な金属電極を付着させ、適切な電圧の印加後に発光
を観察する。
本発明の半導体性共役ポリ(アリーレンビニレン)共重合体は、発光素子、特
に光学的または電気的に駆動されるレーザー(optically or electrically pum-
ped lasers)を備えるエレクトロルミネセンス素子における電荷輸送層または電
荷注入層または発光層として使用することができる。この重合体は、重合体蛍光
色素としても使用することができる。
以下の実施例および添付図面を参照し、あくまでも例示として、本発明をここ
にさらに詳細に説明する。図面の簡単な説明
図1は、PPVの製造に至る標準的な前駆体手法の概略を示す。
図2は、エレクトロルミネセンス素子の典型的な構造を示す。
図3は、本発明による反応スキームを示す。
好適な実施例の説明 実施例1
特定の実施例をここに説明する。表1を参照することができる。1当量(6.
2g)のp−キシリレンビス(テトラヒドロチオフェニウムブロミド)をとり、
120mlの50/50水/メタノール溶剤混合物に溶解する。その後、窒素パ
ージにより少なくとも20分間この溶液を脱酸素する。この後に、20mlの5
0/50水メタノール中の5当量の水酸化カリウムの脱酸素した溶液を単量体溶
液に添加する。重合が完了したら、10mlの酢酸を用いて中和を行う。その後
、透析物(dialate)の伝導率が<1μS/cmとなるまで、50/50水/メ
タノールに対して生成物を透析する。その後、正味のメタノールに対して最終的
な透析を行う。ここで、〜40モル%のアセテート官能性を含む生成物を、以下
に記載するようなEL素子の製造のために使用することができる。
実施例2
更なる特定の実施例では、実施例1と同様にして合成を行うが、重合のために
使用する1、2.5、または10当量の塩基を使用した後、それぞれ中和に必要
な0.9、5、および20mlの酢酸を使用することによって、アセテート官能
性の割合を変更することができる。重合のために使用する塩基の当量数が増加す
るのに伴って置換のために利用するアセテートの量が増加し、このようにして最
終重合体におけるアセテート濃度が実際に増加する。
実施例3
他の特定の実施例をここに記載する。1当量(6.2g)のp−キシリレンビ
ス(テトラヒドロチオフェニウムブロミド)をとり、150mlの50/50水
/メタノール溶剤混合物に溶解する。その後、窒素パージにより少なくとも20
分間この溶液を脱酸素する。この後に、80mlの50/50水メタノール中の
20当量の水酸化カリウムの脱酸素した溶液を単量体溶液に添加する。重合が完
了したら、80mlの酢酸を用いて中和を行う。その後、透析物の伝導率が<1
μS/cmとなるまで、50/50水/メタノールに対して生成物を透析する。
その後、正味のメタノールに対して最終的な透析を行う。
実施例4
他の特定の実施例をここに記載する。1当量(6.2g)のp−キシリレンビ
ス(テトラヒドロチオフェニウムブロミド)をとり、200mlの50/50水
/メタノール溶剤混合物に溶解する。その後、窒素パージにより少なくとも30
分間この溶液を脱酸素する。この後に、160mlの50/50水メタノール中
の40当量の水酸化カリウムの脱酸素した溶液を単量体溶液に添加する。重合が
完了したら、40mlの酢酸を用いて中和を行う。その後、透析物の伝導率が<
1μS/cmとなるまで、50/50水/メタノールに対して生成物を透析する
。その後、正味のメタノールに対して最終的な透析を行う。
実施例5
他の特定の実施例をここに記載する。1当量(6.2g)のp−キシリレンビ
ス(テトラヒドロチオフェニウムブロミド)をとり、120mlの50/50水
/メタノール溶剤混合物に溶解する。その後、窒素パージにより少なくとも20
分間この溶液を脱酸素する。この後に、20mlの50/50水メタノール中の
5当量の水酸化カリウムの脱酸素した溶液を単量体溶液に添加する。重合が完了
したら、8mlのギ酸を用いて中和を行う。その後、透析物の伝導率が<1μS
/cmとなるまで、50/50水/メタノールに対して生成物を透析する。その
後、正味のメタノールに対して最終的な透析を行う。ここで、生成物を、以下に
記載するようなEL素子の製造のために使用することができる。
実施例6
更なる特定の実施例では、実施例5と同様にして合成を行うが、重合のために
使用する1、2.5、または10当量の塩基を使用した後、それぞれ中和に必要
な0.8、4、および16mlのギ酸を使用することによって、ホルメート官能
性の割合を変更することができる。重合のために使用する塩基の当量数が増加す
るのに伴って置換のために利用するホルメートの量が増加し、このようにして最
終重合体におけるホルメート濃度が実際に増加する。
実施例7
他の特定の実施例をここに記載する。1当量(6.2g)のp−キシリレンビ
ス(テトラヒドロチオフェニウムブロミド)をとり、150mlの50/50水
/メタノール溶剤混合物に溶解する。その後、窒素パージにより少なくとも20
分間この溶液を脱酸素する。この後に、80mlの50/50水メタノール中の
20当量の水酸化カリウムの脱酸素した溶液を単量体溶液に添加する。重合が完
了したら、26mlのギ酸を用いて中和を行う。その後、透析物の伝導率が<2
μS/cmとなるまで、50/50水/メタノールに対して生成物を透析する。
その後、正味のメタノールに対して最終的な透析を行う。ここで、生成物を、以
下に記載するようなEL素子の製造のために使用することができる。
実施例8
他の特定の実施例をここに記載する。1当量(6.2g)のp−キシリレンビ
ス(テトラヒドロチオフェニウムブロミド)をとり、200mlの50/50水
/メタノール溶剤混合物に溶解する。その後、窒素パージにより少なくとも20
分間この溶液を脱酸素する。この後に、160mlの50/50水メタノール中
の40当量の水酸化カリウムの脱酸素した溶液を単量体溶液に添加する。重合が
完了したら、56mlのギ酸を用いて中和を行う。その後、透析物の伝導率が<
2μS/cmとなるまで、50/50水/メタノールに対して生成物を透析する
。その後、正味のメタノールに対して最終的な透析を行う。ここで、生成物を、
以下に記載するようなEL素子の製造のために使用することができる。実施例9
他の特定の実施例をここに記載する。1当量(6.2g)のp−キシリレンビ
ス(テトラヒドロチオフェニウムブロミド)をとり、220mlの50/50水
/メタノール溶剤混合物に溶解する。その後、窒素パージにより少なくとも20
分間この溶液を脱酸素する。この後に、240mlの50/50水メタノール中
の80当量の水酸化カリウムの脱酸素した溶液を単量体溶液に添加する。重合が
完了したら、112mlのギ酸を用いて中和を行う。その後、透析物の伝導率が
<2μS/cmとなるまで、50/50水/メタノールに対して生成物を透析す
る。その後、正味のメタノールに対して最終的な透析を行う。ここで、生成物を
、以下に記載するようなEL素子の製造のために使用することができる。
実施例10
他の特定の実施例をここに記載する。予備形成した所定量のPPV前駆体(透
析によって精製した単独重合体または共重合体)をとり、溶解の際に適切な求核
種を生成する0.1〜100当量の適切な塩の溶液系を用いて処理する。この塩
の例には、酢酸ナトリウム、アクリル酸テトラブチルアンモニウム、ケイ皮酸テ
トラブチルアンモニウム、安息香酸テトラブチルアンモニウム、テトラブチルア
ンモニウムチオールアセテート、ギ酸ナトリウム、ナトリウムフェノラート等が
含まれ得る。24時間まで、または必要な程度の置換が得られるまで、塩溶液を
用いて前駆体重合体溶液を処理する。その後、透析によって精製を行う。予備形
成した単独重合体PPVはその場で合成することができる。
実施例11
他の特定の実施例をここに記載する。予備形成した所定量のPPV前駆体単独
重合体をとり、25当量の酢酸ナトリウムの溶液を用いて処理する。11時間ま
で、または必要な程度の置換が得られるまで、塩溶液を用いて前駆体重合体溶液
を処理する。その後、透析によって精製を行う。
実施例12
更なる特定の実施例では、実施例11と同様にして合成を行うが、12.2、
40、100、および200当量の酢酸ナトリウムを使用することによって、ア
セテート官能性の割合を変更することができる。
実施例13
他の特定の実施例をここに記載する。1当量(6.2g)のp−キシリレンビ
ス(テトラヒドロチオフェニウムブロミド)をとり、120mlの50/50水
/メタノール溶剤混合物に溶解する。その後、窒素パージにより少なくとも20
分間この溶液を脱酸素する。この後に、100mlの50/50水メタノール中
の5当量の水酸化カリウムおよび20当量の酢酸カリウムの脱酸素した溶液を単
量体溶液に添加する。重合が完了したら、10mlの酢酸を用いて中和を行う。
その後、透析物の伝導率が<1μS/cmとなるまで、50/50水/メタノー
ルに対して生成物を透析する。その後、正味のメタノールに対して最終的な透析
を行う。ここで、生成物を、以下に記載するようなEL素子の製造のために使用
することができる。
実施例14
更なる特定の実施例では、実施例13と同様にして合成を行うが、10または
40当量の酢酸ナトリウムを使用することによって、アセテート官能性の割合を
変更することができる。
実施例15
他の特定の実施例をここに記載する。1当量(6.2g)のp−キシリレンビ
ス(テトラヒドロチオフェニウムブロミド)をとり、120mlの50/50水
/メタノール溶剤混合物に溶解する。その後、窒素パージにより少なくとも20
分間この溶液を脱酸素する。この後に、20mlの50/50水メタノール中の
5当量の水酸化カリウムの脱酸素した溶液を単量体溶液に添加する。重合が完了
したら、50mlの50/50水メタノール中の10mlの酢酸水酸化物および
20当量の酢酸カリウムを用いて中和を行う。その後、透析物の伝導率が<1μ
S/cmとなるまで、50/50水/メタノールに対して生成物を透析する。そ
の後、正味のメタノールに対して最終的な透析を行う。ここで、生成物を、以下
に記載するようなEL素子の製造のために使用することができる。
実施例16
他の特定の実施例をここに記載する。1当量のp−キシリレンビス(テトラヒ
ドロチオフェニウムブロミド)をとり、120mlの50/50水/メタノール
溶剤混合物に溶解する。その後、窒素パージにより少なくとも20分間この溶液
を脱酸素する。この後に、20mlの50/50水メタノール中の5当量の水酸
化カリウムの脱酸素した溶液を単量体溶液に徐々に添加する。同時に、5当量の
フェノールを滴下して添加し、溶液を2分間撹拌する。重合が完了したら、10
mlの酢酸または20mlのHClを用いて中和を行う。その後、透析物の伝導
率が<1μS/cmとなるまで、50/50水/メタノールに対して生成物を透
析する。その後、正味のメタノールに対して最終的な透析を行う。ここで、生成
物を、以下に記載するようなEL素子の製造のために使用することができる。
実施例17
更なる特定の実施例では、実施例10と同様にして合成を行うが、1または1
0当量のフェノールを使用することによって、フェノラート官能性の割合を増加
させることができる。フェノールの当量数が増加するにつれて、最終重合体にお
けるフェノール濃度が増加する。
実施例18
他の特定の実施例をここに記載する。1当量のp−キシリレンビス(テトラヒ
ドロチオフェニウムブロミド)をとり、140mlの57/43水/メタノール
溶剤混合物に溶解する。その後、窒素パージにより少なくとも20分間この溶液
を脱酸素する。この後に、20mlの50/50水メタノール中の5当量の水酸
化カリウムの脱酸素した溶液を単量体溶液に添加する。重合が完了したら、1当
量のピクリン酸、すなわち45mlの溶液(水中3.4M)を添加し、溶液を2
分間撹拌する。その後、10mlの酢酸を用いて中和を行う。その後、透析物の
伝導率が<1μS/cmとなるまで、50/50水/メタノールに対して生成物
を透析する。その後、正味のメタノールに対して最終的な透析を行う。ここで、
生成物を、以下に記載するようなEL素子の製造のために使用することができる
。
実施例19
他の特定の実施例をここに記載する。1当量のα,α−ジブロモ−p−キシレ
ンと2当量のテトラヒドロチオフェンとを10mlの脱酸素したメタノール中で
16時間55℃にて窒素下で反応させることにより、1当量(1.2g)のp−
キシリレンビス(テトラヒドロチオフェニウムブロミド)をその場で調製した。
その後、20mlの水および10mlのメタノールを添加した。その後、窒素パ
ージにより少なくとも20分間この溶液を脱酸素する。この後に、10mlの5
0/50水メタノール中の5当量の水酸化カリウムの脱酸素した溶液を単量体溶
液に添加する。重合が完了したら、5.1当量の2,6ジメチル安息香酸を用い
て中和を行う。その後、51の50/50水/メタノールに対して1回、次に5
1の正味のメタノールに対して3回生成物を透析する。ここで、生成物を、以下
に記載するようなEL素子の製造のために使用することができる。
実施例20
他の特定の実施例をここに記載する。1当量のp−キシリレンビス(テトラヒ
ドロチオフェニウムブロミド)をとり、120mlの50/50水/メタノール
溶剤混合物に溶解する。その後、窒素パージにより少なくとも20分間この溶液
を脱酸素する。この後に、20mlの50/50水メタノール中の5当量の水酸
化カリウムの脱酸素した溶液を単量体溶液に添加する。重合が完了したら、0.
25当量のジフェニルアミンを添加し、溶液を1.5分間撹拌する。その後、1
0mlの酢酸または20mlのHClを用いて中和を行う。その後、透析物の伝
導率が<1μS/cmとなるまで、50/50水/メタノールに対して生成物を
透析する。その後、正味のメタノールに対して最終的な透析を行う。ここで、生
成物を、以下に記載するようなEL素子の製造のために使用することができる。
実施例21
他の特定の実施例をここに記載する。予備形成した所定量のPPV前駆体アセ
テート共重合体をとり、0.25当量のジフェニルアミン(10mg)を用いて
処理する。この溶液を室温で30分間撹拌する。透析による精製は必要としない
。
実施例22
他の特定の実施例をここに記載する。予備形成した所定量のPPV前駆体アセ
テート共重合体をとり、0.7当量のジフェニルアミン(27mg)を用いて処
理する。21の正味のメタノールに対して透析することにより精製を行った。
実施例23
他の特定の実施例をここに記載する。1当量(6.2g)のp−キシリレンビ
ス(テトラヒドロチオフェニウムブロミド)をとり、120mlの50/50水
/メタノール溶剤混合物に溶解する。その後、窒素パージにより少なくとも20
分間この溶液を脱酸素する。この後に、20mlの50/50水メタノール中の
5当量の水酸化カリウムの脱酸素した溶液を単量体溶液に添加する。重合が完了
したら、12mlのメタンスルホン酸を用いて中和を行う。その後、透析物の伝
導率が<5μS/cmとなるまで、50/50水/メタノールに対して生成物を
透析する。その後、正味のメタノールに対して最終的な透析を行う。ここで、生
成物を、以下に記載するようなEL素子の製造のために使用することができる。
実施例24
更なる特定の実施例では、実施例23と同様にして合成を行うが、重合のため
に使用する10当量の塩基を使用した後、中和に必要なメタンスルホン酸の量を
漸次増加させることによって、メタンスルホン酸官能性の割合を増加させること
ができる。実施例25
他の特定の実施例をここに記載する。1当量(3.1g)のp−キシリレンビ
ス(テトラヒドロチオフェニウムブロミド)をとり、75mlの50/50水/
メタノール溶剤混合物に溶解する。その後、窒素パージにより少なくとも20分
間この溶液を脱酸素する。この後に、40mlの50/50水メタノール中の2
0当量の水酸化カリウムの脱酸素した溶液を単量体溶液に添加する。重合が完了
したら、24mlのメタンスルホン酸を用いて中和を行う。その後、透析物の伝
導率が<2μS/cmとなるまで、50/50水/メタノールに対して生成物を
透析する。その後、正味のメタノールに対して最終的な透析を行う。ここで、生
成物を、以下に記載するようなEL素子の製造のために使用することができる。
実施例26
他の特定の実施例をここに記載する。予備形成し精製した前駆体重合体溶液を
とり、0.25当量のメタンスルホン酸を用いて処理する。この溶液を一晩(1
6時間)撹拌し、この後にスルホネートを基材とするPPV共重合体を得る。こ
れは、以下に記載するようなEL素子への製造のために使用する準備のできたも
のである。また、場合によっては更なる精製工程が必要となる。実施例27
他の特定の実施例をここに記載する。1当量(6.2g)のp−キシリレンビ
ス(テトラヒドロチオフェニウムブロミド)をとり、120mlの50/50水
/メタノール溶剤混合物に溶解する。その後、窒素パージにより少なくとも20
分間この溶液を脱酸素する。この後に、20mlの50/50水メタノール中の
5当量の水酸化カリウムの脱酸素した溶液を単量体溶液に添加する。重合が完了
したら、100mlの0.01M硫酸を用いて中和を行う。その後、透析物の伝
導率が<1μS/cmとなるまで、50/50水/メタノールに対して生成物を
透析する。その後、正味のメタノールに対して最終的な透析を行う。ここで、生
成物を、以下に記載するようなEL素子の製造のために使用することができる。実施例28
他の特定の実施例をここに記載する。1当量のp−キシリレンビス(テトラヒ
ドロチオフェニウムブロミド)をとり、120mlの50/50水/メタノール
溶剤混合物に溶解する。その後、窒素パージにより少なくとも20分間この溶液
を脱酸素する。この後に、20mlの50/50水メタノール中の5当量の水酸
化カリウムの脱酸素した溶液を単量体溶液に添加する。重合が完了したら、27
mlのメタノール中の1当量のヒドロキシクマリンのスラリーを添加し、溶液を
2分間撹拌する。その後、10mlの酢酸または20mlのHClを用いて中和
を行う。その後、透析物の伝導率が<2μS/cmとなるまで、50/50水/
メタノールに対して生成物を透析する。その後、正味のメタノールに対して最終
的な透析を行う。ここで、生成物を、以下に記載するようなEL素子の製造のた
めに使用することができる。
実施例29
他の特定の実施例をここに記載する。1当量のp−キシリレンビス(テトラヒ
ドロチオフェニウムブロミド)をとり、120mlの50/50水/メタノール
溶剤混合物に溶解する。その後、窒素パージにより少なくとも20分間この溶液
を脱酸素する。この後に、20mlの50/50水メタノール中の5当量の水酸
化カリウムの脱酸素した溶液を単量体溶液に添加する。重合が完了したら、1当
量のベンズアルデヒドを添加し、溶液を2分間撹拌する。その後、10mlの酢
酸または20mlのHClを用いて中和を行う。その後、透析物の伝導率が<1
μS/cmとなるまで、50/50水/メタノールに対して生成物を透析する。
その後、正味のメタノールに対して最終的な透析を行う。ここで、生成物を、以
下に記載するようなEL素子の製造のために使用することができる。
実施例30
更なる特定の実施例では、実施例29と同様にして合成を行うが、0.33ま
たは2当量のベンズアルデヒドを使用することによって、カルボニルの割合を増
加させることができる。
実施例31
他の特定の実施例をここに記載する。1当量のp−キシリレンビス(テトラヒ
ドロチオフェニウムブロミド)をとり、140mlの33/67水/メタノール
溶剤混合物に溶解する。その後、窒素パージにより少なくとも20分間この溶液
を脱酸素する。この後に、40mlの12/88水メタノール中の5当量の水酸
化カリウムの脱酸素した溶液を単量体溶液に添加する。重合が完了したら、1.
3当量のベンゾフェノンを70mlのメタノール中に添加し、溶液を20秒間撹
拌する。その後、10mlの酢酸を用いて中和を行う。その後、透析物の伝導率
が<1μS/cmとなるまで、50/50水/メタノールに対して生成物を透析
する。その後、正味のメタノールに対して最終的な透析を行う。ここで、生成物
を、以下に記載するようなEL素子の製造のために使用することができる。
実施例32
他の特定の実施例をここに記載する。1当量のp−キシリレンビス(テトラヒ
ドロチオフェニウムブロミド)をとり、120mlの50/50水/メタノール
溶剤混合物に溶解する。その後、窒素パージにより少なくとも20分間この溶液
を脱酸素する。この後に、20mlの50/50水メタノール中の5当量の水酸
化カリウムの脱酸素した溶液を単量体溶液に添加する。重合が完了したら、30
mlのメタノール中に溶解した0.03当量のアントラセンアルデヒドを添加し
、溶液を2分間撹拌する。その後、10mlの酢酸を用いて中和を行う。その後
、透析物の伝導率が<1μS/cmとなるまで、50/50水/メタノールに対
して生成物を透析する。その後、正味のメタノールに対して最終的な透析を2回
行う。ここで、生成物を、以下に記載するようなEL素子の製造のために使用す
ることができる。
実施例33
他の特定の実施例をここに記載する。予備形成した所定量のPPV前駆体アセ
テート共重合体をとり、0.14当量のアントラセンアルデヒドの溶液を用いて
処理する。透析によって精製を行う。
実施例34
他の特定の実施例をここに記載する。1当量のp−キシリレンビス(テトラヒ
ドロチオフェニウムブロミド)をとり、120mlの50/50水/メタノール
溶剤混合物に溶解する。その後、窒素パージにより少なくとも20分間この溶液
を脱酸素する。この後に、20mlの50/50水メタノール中の5当量の水酸
化カリウムの脱酸素した溶液を単量体溶液に添加する。重合が完了したら、30
mlのメタノール中に溶解した5当量のアセチルアセトンを添加し、溶液を2.
5分間撹拌する。その後、3mlの酢酸を用いて中和を行う。その後、透析物の
伝導率が<1μS/cmとなるまで、50/50水/メタノールに対して生成物
を透析する。その後、正味のメタノールに対して最終的な透析を行う。ここで、
生成物を、以下に記載するようなEL素子の製造のために使用することができる
。
実施例35
他の特定の実施例をここに記載する。1当量のp−キシリレンビス(テトラヒ
ドロチオフェニウムブロミド)をとり、120mlの50/50水/メタノール
溶剤混合物に溶解する。その後、窒素パージにより少なくとも20分間この溶液
を脱酸素する。この後に、20mlの50/50水メタノール中の5当量の水酸
化カリウムの脱酸素した溶液を単量体溶液に添加する。重合が完了したら、30
mlのメタノール中に溶解した5当量の3,メチル,2,4ペンタンジオンを添
加し、溶液を2.5分間撹拌する。その後、透析物の伝導率が<1μS/cmと
なるまで、50/50水/メタノールに対して生成物を透析する。その後、正味
のメタノールに対して最終的な透析を行う。ここで、生成物を、以下に記載する
ようなEL素子の製造のために使用することができる。
実施例36
他の特定の実施例をここに記載する。1当量(6.2g)のp−キシリレンビ
ス(テトラヒドロチオフェニウムブロミド)をとり、120mlの50/50水
/メタノール溶剤混合物に溶解する。その後、窒素パージにより少なくとも20
分間この溶液を脱酸素する。この後に、20mlの50/50水メタノール中の
5当量の水酸化カリウムの脱酸素した溶液を単量体溶液に添加する。重合が完了
したら、12mlのアクリル酸を用いて中和を行う。その後、透析物の伝導率が
<1μS/cmとなるまで、50/50水/メタノールに対して生成物を透析す
る。その後、正味のメタノールに対して最終的な透析を行う。ここで、生成物を
、以下に記載するようなEL素子の製造のために使用することができる。
実施例37
更なる特定の実施例では、実施例36と同様にして合成を行うが、重合のため
に使用する10当量の塩基を使用した後、それぞれ中和のために24mlのアク
リル酸を使用することによって、アクリレート官能性の割合を変更することがで
きる。重合のために使用する塩基の当量数が増加するにつれ、これに伴って置換
のために利用するアクリレートの量が増加し、このようにして最終重合体におけ
るアクリレート濃度が実際に増加する。
実施例38
他の特定の実施例をここに記載する。1当量(6.2g)のp−キシリレンビ
ス(テトラヒドロチオフェニウムブロミド)をとり、150mlの50/50水
/メタノール溶剤混合物に溶解する。その後、窒素パージにより少なくとも20
分間この溶液を脱酸素する。この後に、80mlの50/50水メタノール中の
20当量の水酸化カリウムの脱酸素した溶液を単量体溶液に添加する。重合が完
了したら、45.7mlのアクリル酸を用いて中和を行う。その後、透析物の伝
導率が<1μS/cmとなるまで、50/50水/メタノールに対して生成物を
透析する。その後、正味のメタノールに対して最終的な透析を行う。ここで、生
成物を、以下に記載するようなEL素子の製造のために使用することができる。実施例39
他の特定の実施例をここに記載する。予備形成した所定量のPPV前駆体単独
重合体をとり、25当量のアクリル酸塩の溶液を用いて処理する。11時間まで
、または必要な程度の置換が得られるまで、塩溶液を用いて前駆体重合体溶液を
室温で処理する。その後、透析によって精製を行う。
実施例40
他の特定の実施例をここに記載する。1当量(6.2g)のp−キシリレンビ
ス(テトラヒドロチオフェニウムブロミド)をとり、120mlの50/50水
/メタノール溶剤混合物に溶解する。その後、窒素パージにより少なくとも20
分間この溶液を脱酸素する。この後に、4mlの50/50水メタノール中の1
当量の水酸化カリウムの脱酸素した溶液を単量体溶液に添加する。重合が完了し
たら、50mlの50/50水/メタノール中の9当量のアクリル酸カリウムお
よび1当量のアクリル酸を添加する。その後、透析物の伝導率が<1μS/cm
となるまで、50/50水/メタノールに対して生成物を透析する。その後、正
味のメタノールに対して最終的な透析を行う。ここで、生成物を、以下に記載す
るようなEL素子の製造のために使用することができる。
実施例41
更なる特定の実施例では、実施例40と同様にして合成を行うが、19当量の
アクリル酸カリウムを使用することによって、アクリレート官能性の割合を増加
させることができる。アクリレートの当量数が増加するのにつれて、最終重合体
におけるアクリレート濃度が増加する。
実施例42
他の特定の実施例をここに記載する。1当量(6.2g)のp−キシリレンビ
ス(テトラヒドロチオフェニウムブロミド)をとり、180mlの33/67水
/メタノール溶剤混合物に溶解する。その後、窒素パージにより少なくとも20
分間この溶液を脱酸素する。この後に、40mlの50/50水メタノール中の
5当量の水酸化カリウムの脱酸素した溶液を単量体溶液に添加する。重合が完了
したら、120mlのメタノール中に溶解した5.8当量のケイ皮酸を用いて中
和を行う。その後、透析物の伝導率が<1μS/cmとなるまで、メタノールに
対して1回、次に50/50水/メタノールに対して生成物を透析する。その後
、正味のメタノールに対して最終的な透析を行う。ここで、生成物を、以下に記
載するようなEL素子の製造のために使用することができる。
実施例43
他の特定の実施例をここに記載する。1当量(6.2g)のp−キシリレンビ
ス(テトラヒドロチオフェニウムブロミド)をとり、180mlの33/67水
/メタノール溶剤混合物に溶解する。その後、窒素パージにより少なくとも20
分間この溶液を脱酸素する。この後に、160mlの12/88水メタノール中
の5当量の水酸化カリウムおよび20当量のケイ皮酸カリウムの脱酸素した溶液
を単量体溶液に添加する。重合が完了したら、100mlのメタノール中に溶解
した5.0当量のケイ皮酸を用いて中和を行う。その後、透析物の伝導率が<1
μS/cmとなるまで、50/50水/メタノールに対して生成物を透析する。
その後、正味のメタノールに対して最終的な透析を行う。ここで、生成物を、以
下に記載するようなEL素子の製造のために使用することができる。
実施例44
他の特定の実施例をここに記載する。予備形成した所定量のPPV前駆体単独
重合体をとり、25当量のケイ皮酸塩の溶液を用いて処理する。10時間まで、
または必要な程度の置換が得られるまで、塩溶液を用いて前駆体重合体溶液を処
理する。その後、透析によって精製を行う。
実施例45
他の特定の実施例をここに記載する。1当量のp−キシリレンビス(テトラヒ
ドロチオフェニウムブロミド)をとり、160mlの37/63水/メタノール
溶剤混合物に溶解する。その後、窒素パージにより少なくとも20分間この溶液
を脱酸素する。この後に、70mlの15/85水メタノール中の5当量の水酸
化カリウムおよび1当量の8−ヒドロキシキノリンの脱酸素した溶液を単量体溶
液に添加する。重合が完了したら、次に10mlの酢酸を用いて中和を行う。そ
の後、透析物の伝導率が<1μS/cmとなるまで、50/50水/メタノール
に対して生成物を透析する。その後、正味のメタノールに対して最終的な透析を
行う。ここで、生成物を、以下に記載するようなEL素子の製造のために使用す
ることができる。
実施例46
他の特定の実施例をここに記載する。1当量の予備形成したアセテート共重合
体を、29.5当量のグリコールおよび51.3当量のジエチレングリコールと
混合する。半透明の導電性酸化物上に100nm(変換後)の厚さで、適切な手
段によって前駆体PPV溶液を被覆する。その後、窒素下にて150℃で4時間
、前駆体PPV共重合体膜を変換する。ここで、以下に記載するように、適切な
金属電極を付着させた後に、生成物を、EL素子の製造のために使用することが
できる。
実施例47
図2に示すように、ガラス基体1上の半透明のインジウムスズ酸化物層2上に
、変換の後に100nmの厚さで、置換した前駆体共重合体をスピンコートによ
り被覆することによって素子の製造を行う。その後、150℃で4時間、前駆体
共重合体膜3を変換する。この後に、熱蒸発によってカルシウム電極6を付着さ
せ、適切な電圧(5V)の印加の後に、発光が観察される。電荷輸送層として作
用するように素子の製造の際に付加的な重合体層3および5を付与することがで
きる。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】平成10年8月11日(1998.8.11)
【補正内容】
請求の範囲
1.発光素子で使用するための共役ポリ(アリーレンビニレン)共重合体を
調製するための方法であって、
製し(式中、Arは置換されているか置換されていないアリーレンであり、Lは
脱離基であり、R1およびR2はそれぞれ独立にH、アルキル、アルコキシ、アリ
ール、または電子吸引基であり、nは整数である)、
(2)前記前駆体重合体と、カルボキシレート、アルデヒド、ケトン、スルホ
ネート、チオレート、ジスルフィド、キサンタート、アミン、ピリジン、ヒドラ
ジド、フェノキシド、100℃を越える沸点を有するアルコール、またはこれら
の誘導体からなる反応体とを置換条件下で反応させ、これにより所定割合の脱離
2、およびLは前記特定した通りであり、Xは反応体に由来する置換基であり、
lおよびmは独立に整数である)、
(3)工程2と同時に、前記置換された前駆体共重合体から脱離基を除去する
ことによって、前記置換された前駆体共重合体を共役ポリ(アリーレンビニレン
)共重合体へと変換する
ことからなることを特徴とする共役ポリ(アリーレンビニレン)共重合体の製
造方法。
2.請求項1記載の方法において、R1およびR2の両者がHであることを特
徴とする方法。
3.請求項1または2記載の方法において、前記反応体がカルボキシレート
塩からなることを特徴とする方法。
4.請求項3記載の方法において、前記前駆体重合体が適切な単量体からの
塩基触媒重合によって与えられ、前記カルボキシレート塩が前記前駆体重合体に
添加されることを特徴とする方法。
5.請求項3記載の方法において、前記前駆体重合体がモル過剰の塩基中の
適切な単量体からの塩基触媒重合によって与えられ、前記カルボキシレート塩が
対応するカルボン酸を用いた塩基の中和によって形成されることを特徴とする方
法。
6.請求項1乃至5のいずれかに記載の方法において、前記カルボキシレー
トがC1−C10の脂肪族であることを特徴とする方法。
7.請求項6記載の方法において、前記脂肪族カルボキシレートがホルメー
トまたはアセテートであることを特徴とする方法。
8.請求項1乃至7のいずれかに記載の方法において、前記カルボキシレー
トが芳香族であることを特徴とする方法。
9.請求項8記載の方法において、前記芳香族カルボキシレートが2,6ジ
メチル安息香酸であることを特徴とする方法。
10.請求項1または2記載の方法において、前記反応体がアルデヒドまた
はケトンの塩基性溶液であることを特徴とする方法。
11.請求項10記載の方法において、前記アルデヒドまたはケトンがベン
ズアルデヒド、アントラアルデヒド、またはベンゾフェノンであることを特徴と
する方法。
12.請求項1乃至6、8または10のいずれかに記載の方法において、基
Xがインジウムをキレート化可能であるか結合可能であることを特徴とする方法
。
13.請求項12記載の方法において、前記反応体がアセチルアセトンまた
は8−ヒドロキシキノリンであることを特徴とする方法。
14.請求項1乃至6、8または10のいずれかに記載の方法において、基
Xがルモフォアからなることを特徴とする方法。
15.請求項1乃至6、8または10のいずれかに記載の方法において、基
Xが、共役ポリ(アリーレンビニレン)共重合体の他の部分に対して、または他
の重合体鎖に対して架橋結合可能であることを特徴とする方法。
【手続補正書】
【提出日】平成11年2月1日(1999.2.1)
【補正内容】
請求の範囲
1.発光素子で使用するための共役ポリ(アリーレンビニレン)共重合体を
調製するための方法であって、
製し(式中、Arは置換されているか置換されていないアリーレンであり、Lは
脱離基であり、R1およびR2はそれぞれ独立にH、アルキル、アルコキシ、アリ
ール、または電子吸引基であり、nは整数である)、
(2)前記前駆体重合体と、カルボキシレート、アルデヒド、ケトン、アミン
、またはこれらの誘導体からなる反応体とを置換条件下で反応させ、これにより
Ar、R1、R2、およびLは前記特定した通りであり、Xは反応体に由来する置
換基であり、lおよびmは独立に整数である)、
(3)前記置換された前駆体共重合体から脱離基を除去することによって、前
記置換された前駆体共重合体を共役ポリ(アリーレンビニレン)共重合体へと変
換する
ことからなることを特徴とする共役ポリ(アリーレンビニレン)共重合体の製
造方法。
2.請求項1記載の方法において、R1およびR2の両者がHであることを特
徴とする方法。
3.請求項1または2記載の方法において、前記反応体がカルボキシレート
塩からなることを特徴とする方法。
4.請求項3記載の方法において、前記前駆体重合体が適切な単量体からの
塩基触媒重合によって与えられ、前記カルボキシレート塩が前記前駆体重合体に
添加されることを特徴とする方法。
5.請求項3記載の方法において、前記前駆体重合体がモル過剰の塩基中の
適切な単量体からの塩基触媒重合によって与えられ、前記カルボキシレート塩が
対応するカルボン酸を用いた塩基の中和によって形成されることを特徴とする方
法。
6.請求項1乃至5のいずれかに記載の方法において、前記カルボキシレー
トがC1−C10の脂肪族であることを特徴とする方法。
7.請求項6記載の方法において、前記脂肪族カルボキシレートがホルメー
トまたはアセテートであることを特徴とする方法。
8.請求項1乃至5のいずれかに記載の方法において、前記カルボキシレー
トが芳香族であることを特徴とする方法。
9.請求項8記載の方法において、前記芳香族カルボキシレートが2,6ジ
メチル安息香酸であることを特徴とする方法。
10.請求項1または2記載の方法において、前記反応体がアルデヒドまた
はケトンの塩基性溶液であることを特徴とする方法。
11.請求項10記載の方法において、前記アルデヒドまたはケトンがベン
ズアルデヒド、アントラアルデヒド、またはベンゾフェノンであることを特徴と
する方法。
12.請求項1乃至6、8または10のいずれかに記載の方法において、基
Xがインジウムをキレート化可能であるか結合可能であることを特徴とする方法
。
13.請求項12記載の方法において、前記反応体がアセチルアセトンまた
は8−ヒドロキシキノリンであることを特徴とする方法。
14.請求項1乃至6、8または10のいずれかに記載の方法において、基
Xがルモフォアからなることを特徴とする方法。
15.請求項1乃至6、8または10のいずれかに記載の方法において、基
Xが、共役ポリ(アリーレンビニレン)共重合体の他の部分に対して、または他
の重合体鎖に対して架橋結合可能であることを特徴とする方法。
16.請求項15記載の方法において、基Xを形成するための前記反応体が
アクリレートまたはシンナメートであることを特徴とする方法。
17.請求項1乃至16のいずれかに記載の方法において、Arがp−フェ
ニレンであることを特徴とする方法。
18.基体上に支持された共役ポリ(アリーレンビニレン)共重合体からな
る発光素子の製造方法であって、請求項1乃至17のいずれかに記載の方法に従
って共役ポリ(アリーレンビニレン)共重合体を調製することからなり、変換工
程(3)を前記基体上で実施することを特徴とする発光素子の製造方法。
19.第1の電極と、第2の電極と、共役ポリ(アリーレンビニレン)共重
合体層を含む、電極の間の少なくとも1つの層とからなるエレクトロルミネセン
ス素子の製造方法であって、請求項1乃至17のいずれかに記載の方法に従って
共役ポリ(アリーレンビニレン)共重合体を調製することからなり、変換工程(
3)を前記第1の電極上で実施することを特徴とするエレクトロルミネセンス素
子の製造方法。
20.請求項19記載の方法において、前記第1の電極が導電性の金属酸化
物からなることを特徴とする方法。
21.発光素子で使用するための共役ポリ(アリーレンビニレン)共重合体
であって、請求項1乃至17のいずれかに記載の方法によって取得し得ることを
特徴とする発光素子で使用するための共役ポリ(アリーレンビニレン)共重合体
。
22.請求項18記載の方法によって取得し得ることを特徴とする発光素子
。
23.請求項19または20記載の方法によって取得し得ることを特徴とす
るエレクトロルミネセンス素子。
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(31)優先権主張番号 9620271.8
(32)優先日 平成8年9月28日(1996.9.28)
(33)優先権主張国 イギリス(GB)
(31)優先権主張番号 9622572.7
(32)優先日 平成8年10月30日(1996.10.30)
(33)優先権主張国 イギリス(GB)
(31)優先権主張番号 9624707.7
(32)優先日 平成8年11月28日(1996.11.28)
(33)優先権主張国 イギリス(GB)
(31)優先権主張番号 9703172.8
(32)優先日 平成9年2月15日(1997.2.15)
(33)優先権主張国 イギリス(GB)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),CN,GB,JP,U
S
【要約の続き】
を除去することによって、置換された前駆体共重合体を
共役ポリ(アリーレンビニレン)共重合体へと変換する
ことからなる。